JP2004049154A - サポニン分解物を含む発酵人参およびその製造方法 - Google Patents

サポニン分解物を含む発酵人参およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】人参中に含まれる配糖体(サポニン)成分を分解し、サポニン分解物、すなわち、20S−プロトパナキサジオール20−O−β−D−グルコピラノサイド、20S−プロトパナキサジオール、並びに20S−プロトパナキサトリオールのうち少なくとも一つを含有することを特徴とする発酵人参を提供する。
【解決手段】人参を微生物により発酵して得られる発酵人参であって、当該発酵人参中にサポニン分解物、すなわち、20S−プロトパナキサジオール20−O−β−D−グルコピラノサイド、20S−プロトパナキサジオール、並びに20S−プロトパナキサトリオールのうち少なくとも一つを含有することを特徴とする発酵人参、並びにサポニンを分解する能力を有する微生物を人参に接種し培養する上記発酵人参の製造方法。
【効果】本発明によれば、人参中の有効成分であるサポニンを予め発酵して分解させることによって、非発酵物に比し極めて奏効率が向上した人参の発酵食品を提供することができる。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人参を微生物により発酵して得られる発酵人参であって、当該発酵人参中にサポニン分解物、すなわち、20S−プロトパナキサジオール20−O−β−D−グルコピラノサイド、20S−プロトパナキサジオール、並びに20S−プロトパナキサトリオールのうち少なくとも一つを含有することを特徴とする発酵人参及びその製造方法を提供するものである。
【0002】
【従来技術】人参は、様々な効能ゆえに、古来より万能薬として珍重されてきた。ところで、人参中の有効成分であるサポニンは、グルコース、アラビノース、ラムノース等が結合した配糖体として存在しており、経口摂取後、生体消化酵素による分解をほとんど受けず(Hasegawa,H.et al.,Microbial Ecology in Health and Disease,12,85−91,2000)、もっぱら腸内細菌の働きにより20S−プロトパナキサジオール20−O−β−D−グルコピラノサイド(20S−protopanaxadiol 20−O−β−D−glucopyranoside)、20S−プロトパナキサジオール(20S−protopanaxadiol)、並びに20S−プロトパナキサトリオール(20S−protopanaxatriol)に分解されたのち吸収される(Hasegawa,H.et al.,Planta Medica,62,453−457,1996)。
【0003】ところが、腸内細菌の構成は個体差が大きいため、サポニンの吸収は個体差や不利益が生じてしまうものと考えられる。事実、本発明者は、サポニン分解能が薬効に影響することを、マウスを用いた癌転移実験で明らかにした(Hasegawa,H.et al.,Planta Medica,64,696−700,1998)。さらに、本発明者は、実際ヒトにおいてもサポニン分解能における個体差が非常に大きいことも確認した(Hasegawa,H.et al.,Planta Medica,63,436−440,1997)。
【0004】そもそも、腸内細菌は体質並びに食生活の影響を受け易く、したがって、個体差が大きく、さらに民族差に至ってはもっと顕著である。このことが、人参の治療現場で遭遇する薬効の個体差の一因になっていることが容易に想像できる。そこで、本発明者は予め腸内細菌を用いてサポニン分解物を生体外で製造し、腸内細菌による個体差の影響を排除した形で提供することを可能にした(特開平10−99094号公報,米国特許第5925537号)。
【0005】
【解決しようとする課題】しかし、その製造方法では、サポニン分解物の生成率に問題はないが、副次反応による腸内細菌特有のにおい物質を含めた代謝物の生成があるため、生成したサポニン分解物を培養培地から分離・精製する必要があり、そのまま食用として供給することはできない難点があった。本発明は、上記の課題を解決するために行われたものであり、その目的とするところは、サポニン分解物をサポニン分解微生物及び培養培地を含めた形で食用として、且つ風味や物性、作業性等に優れた発酵人参を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決すべく種々の微生物を鋭意検索していたところ、食用として供給される酵母、乳酸菌、ビフィドバクテリウム属細菌等の中に、人参を発酵させると同時にサポニンを分解する能力(以下、「サポニン分解能」という)を有する微生物が存在すること、およびこの微生物を用いればサポニン分解物を含む発酵人参が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0007】すなわち本発明は、人参を微生物により発酵して得られる発酵人参であって、当該発酵人参中にサポニン分解物、すなわち、20S−プロトパナキサジオール20−O−β−D−グルコピラノサイド、20S−プロトパナキサジオール、並びに20S−プロトパナキサトリオールのうち少なくとも一つを含有することを特徴とする発酵人参を提供するものである。
【0008】また本発明は、サポニン分解能を有する微生物を人参に接種し培養することを特徴とする発酵人参の製造方法を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明において発酵人参とは、人参に乳酸菌やビフィドバクテリウム属細菌等の微生物を接種し、発酵を行ったものをいう。原料として用いる人参は常法により得られるものでよく、例えば、収穫後水洗いしただけのもの、さらに乾燥したもの、あるいは蒸した後乾燥したものを粉末にしたものが挙げられる。
【0010】また、原料として用いる人参は、主成分としてサポニン類を含む人参をいい、好適には、高麗人参(Korean ginseng:Panax ginseng C.A.Meyer)、三七人参(Sanchi ginseng:Panax notoginseng (Burk.)F.H.Chen)、アメリカ人参(American ginseng:Panax quinquefolium L.)、竹節人参(Chikusetsu ginseng:Panax japonicus C.A.Meyer)、ヒマラヤ人参(Himalayan ginseng:Panax pseudo−ginseng Wall.subsp.himalaicus Hara)、及びベトナム人参(Vietnamese ginseng:Panax vietnamensis Ha et Grushv.)等が挙げられるが、これらに限定されない。そして、これらの人参は単独で、あるいは組み合わせて用いられ得る。
【0011】本発明の発酵人参は、発酵人参中にサポニン分解物、すなわち、20S−プロトパナキサジオール20−O−β−D−グルコピラノサイド、20S−プロトパナキサジオール、並びに20S−プロトパナキサトリオールのうち少なくとも一つを含有するものであり、例えば、人参発酵を、サポニン分解能を有する微生物を用いて行うことにより製造される。
【0012】この発酵においては、サポニン分解能を有する微生物を単独で、あるいは組み合わせて用いても良い。このうち、ある微生物が、サポニン分解能を有するか否かは、例えば、高圧加熱殺菌(121℃、15分間)した人参に微生物を接種して発酵させた発酵人参中に、サポニン分解物、すなわち、20S−プロトパナキサジオール20−O−β−D−グルコピラノサイド、20S−プロトパナキサジオール、並びに20S−プロトパナキサトリオールを、薄層クロマトグラフィー法(Hasegawa,H.et al.,Planta Medica,62,453−457,1996)に従い調べることができる。
【0013】本発明の発酵人参の製造において、サポニン分解能を有する微生物(以下、「サポニン分解微生物」という)として使用される微生物は、食品に添加することができるβ−グルコシダーゼ・α−アラビノシダーゼ・α−ラムノシダーゼ生産菌であれば特に制限されず、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidphilus)、ラクトバチルス・ガセリ(L.gasseri)、ラクトバチルス・マリ(L.mali)、ラクトバチルス・プランタラム(L.plantarum)、ラクトバチルス・ブヒネリ(L.buchneri)、ラクトバチルス・カゼイ(L.casei)、ラクトバチルス・ジョンソニー(L.johnsonii)、ラクトバチルス・ガリナラム(L.gallinarum)、ラクトバチルス・アミロボラス(L.amylovorus)、ラクトバチルス・ブレビス(L.brevis)、ラクトバチルス・ラムノーザス(L.rhamnosus)、ラクトバチルス・ケフィア(L.kefir)、ラクトバチルス・パラカゼイ(L.paracasei)、ラクトバチルス・クリスパタス(L.crispatus)等のラクトバチルス属細菌、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptcoccus thermophilus)等のストレプトコッカス属細菌、ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)等のラクトコッカス属細菌、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(B.longum)、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス(B.adolescentis)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(B.infantis),ビフィドバクテリウム・ブレーベ(B.breve)、ビフィドバクテリウム・カテヌラータム(B.catenulatum)等のビフィドバクテリウム属細菌、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)等のバチルス属細菌、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyses cerevisiae)、トルラスポラ・デルブルエッキー(Torulaspora delbrueckii)、キャンジダ・ケフィア等のサッカロマイセス属、トルラスポラ属、キャンジダ属等に属する酵母等のうち、前記方法でサポニン分解能を有すると判断された微生物が、好ましいものとして挙げられる。
【0014】中でも、ラクトバチルス属、ストレプトコッカス属、ラクトコッカス属に属する乳酸菌、ビフィドバクテリウム属細菌や、サッカロマイセス属細菌がサポニン分解物の生成量や発酵人参の風味等の点から好ましく、特にラクトバチルス・ガセリDSM20243株、ラクトバチルス・プランタラムATCC14947株およびATCC10241株、ラクトバチルス・ブヒネリATCC4005株、ラクトバチルス・カゼイATCC393株、ラクトバチルス・マリATCC27304株、ラクトバチルス・ガリナラムJCM2011株、ラクトバチルス・アミロボラスJCM1126株、ラクトバチルス・ブレビスATCC14869株、ラクトバチルス・ラムノーザスATCC7469株及びATCC53103株、ラクトバチルス・ケフィアNRIC1693株、ラクトバチルス・パラカゼイNCDO−151株、ラクトコッカス・ラクチスATCC15577株、ビフィドバクテリウム・ビフィダムJCM7002株、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティスATCC15703株、サッカロマイセス・セレビシエIFO−0309株およびIFO−2018株は、β−グルコシダーゼ・α−アラビノシダーゼ・α−ラムノシダーゼ活性が特に高いため好ましい。
【0015】なお、1種のサポニン分解微生物で本発明の発酵人参を得ることができるが、一般には、2種以上を組み合わせて使用する方が培養時間を短縮できるため好ましい。
【0016】本発明の発酵人参の製造は、サポニン分解微生物を用いる以外は常法により行えばよい。例えば、まず人参を殺菌処理した後、サポニン分解微生物を接種して培養を行い、これを均質化処理することにより発酵人参を得ることができる。人参を発酵するにあたり、サポニン分解微生物を2種以上組み合わせて接種して培養(発酵)する際には、接種したそれぞれの微生物に共通に適した培養条件を選択すればよい。例えば、嫌気性菌であれば、培養基中の酸素を炭酸ガスや窒素ガスなどの不活性ガスで置換するか、または酸素反応剤などで除酸素して嫌気的条件化にて培養を行うこともできる。また、好気性菌であれば、酸素存在下の好気条件を選択すればよい。更に、上記の2種以上の微生物を同時に接種して培養してもよいが、別々に接種して培養してもよい。
【0017】一方、人参を発酵する際の条件は、用いる微生物の種類に合わせ適宜設定すればよく、例えば乳酸菌、ビフィドバクテリウム属細菌や、サッカロマイセス属細菌を用いる場合には、25℃〜37℃で、24〜48時間程度培養すればよく、人参濃度としては固形分換算で1〜50%がサポニン分解物の生成量の点から好ましい。
【0018】この培養、発酵にあたり、原料である人参中に各種糖質等、例えば、米糠、ふすま、とうもろこし等であれば10重量%〜30重量%程度、ぶどう糖、蔗糖、果糖、乳糖等であれば0.5重量%〜5.0重量%程度添加してもよい。
【0019】上記のようにして得られた発酵人参は、そのままでも製品とすることもできるが、一般には、風味を上げたり、必要な形状とする等のために種々の成分を添加、配合し、更にフレーバーを添加して最終製品とすることができる。
【0020】本発明の発酵人参に添加、混合される成分としては、各種糖質や乳化剤、甘味料、酸味料、果汁等が挙げられる。より具体的には、グルコース、シュークロース、フラクトース、蜂蜜等の糖類、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、パラチニット等の糖アルコール、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン糖脂肪酸エステル、レシチン等の乳化剤、が挙げられる。この他にも、ビタミンA、ビタミンB類、ビタミンC、ビタミンE等の各種ビタミン類やハーブエキス、穀物成分、野菜成分、乳成分等を配合しても、優れた風味の発酵人参を得ることができる。
【0021】また、本発明の発酵人参に添加することのできるフレーバーとしては、ヨーグルト系、ベリー系、オレンジ系、花梨系、シソ系、シトラス系、アップル系、ミント系、グレープ系、ペア、カスタードクリーム、ピーチ、メロン、バナナ、トロピカル、ハーブ系、紅茶、コーヒー系等のフレーバーが挙げられ、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。フレーバーの添加量は特に限定されないが、風味面から0.05〜0.5質量%、特に0.1〜0.3質量%程度が好ましい。
【0022】以上説明した本発明の発酵人参は、固形状、液状等いずれの形態の製品とすることも可能である。また、発酵終了後、発酵人参に殺菌処理を施し、死菌含有タイプの製品としてもよい。
【0023】
【実施例】次に実施例および参考例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例等に何ら制約されるものではない。なお、以下の実施例において、サポニン分解物の定性は、本発明者らの方法(Planta Medica,62,453−457,1996)に従い、薄層クロマトグラフィー(TLC)によって行った。
【0024】まず、発酵人参サンプル約1gを秤量し、これに純水2mlと水飽和n−ブタノール1mlを加え、抽出する。この抽出液を遠心分離(3000rpm,10分間)し、得られた上清2μlをTLC(和光純薬社製シリカゲル70F254)に塗布する。同時に、サポニン分解物、20S−プロトパナキサジオール20−O−β−D−グルコピラノサイド、20S−プロトパナキサジオール、並びに20S−プロトパナキサトリオールも標準として塗布する。TLCを混合溶媒(クロロホルム−メタノール−純水,60:35:10,下層)で展開し、TLCプレートに8%バニリン−メタノール/72%硫酸溶液(1:5体積比)を噴霧した後、加熱(140度,3分)して赤紫色に呈色するスポットを検出する。サポニン分解物、20S−プロトパナキサジオール20−O−β−D−グルコピラノサイド、20S−プロトパナキサジオール、並びに20S−プロトパナキサトリオールのRf値は、それぞれ0.63、0.70、並びに0.83である。
【0025】(実施例1:発酵高麗人参の製造)高麗人参(韓国産乾燥3年根)の粉末200gを精製水400mlに懸濁し、高圧加熱殺菌(121℃,15分間)した。ラクトバチルス・ラムノーザスATCC7469株を1%接種し、37℃、7日間培養した。発酵培地をTLCで分析し、20S−プロトパナキサジオール20−O−β−D−グルコピラノサイド、20S−プロトパナキサジオール、並びに20S−プロトパナキサトリオールの生成を確認した。80度で6時間過熱乾燥し、発酵人参(170g)を得た。
【0026】(参考例1)四肢の冷えを訴える女性40人を無作為に20人ずつ2群に分け、2重盲検法によって、内容物の見えないカプセルに充填した非発酵人参および実施例1で製造した発酵人参を、1日3g、1週間投与した。その結果、冷えが改善された有効率は、非発酵人参の場合45%であったのに比し、発酵人参の場合85%と顕著な奏効率の上昇が認められた。
【0027】(実施例2:発酵紅参の製造)紅参(韓国正官庄製)の粉末200gを精製水400mlに懸濁し、高圧加熱殺菌(121℃,15分間)した。ビフィドバクテリウム・アドレスセンティスATCC15703株を1%接種し、37℃、7日間培養した。発酵培地をTLCで分析し、20S−プロトパナキサジオール、並びに20S−プロトパナキサトリオールの生成を確認した。80度で6時間過熱乾燥し、発酵人参(165g)を得た。
【0028】(参考例2)肩凝りを訴える女性40人を無作為に20人ずつ2群に分け、2重盲検法によって、内容物の見えないカプセルに充填した非発酵人参および実施例2で製造した発酵人参を1日3g、1週間投与した。その結果、肩凝りが改善された有効率は、非発酵人参の場合35%であったのに比し、発酵人参の場合70%と顕著な奏効率の上昇が認められた。
【0029】以上2つ参考例は、発酵人参の即効性を示唆するものである。これは、人参の発酵処理によって、サポニン代謝物の吸収率が増加したことに基づくものと考えられる。
【0030】(実施例3:発酵アメリカ人参の製造)アメリカ人参(カナダ国・ブリティシュコロンビア産4年根)の粉末200gを精製水400mlに懸濁し、高圧加熱殺菌(121℃,15分間分間)した。ラクトバチルス・ガセリDSM20243株を1%接種し、37℃、7日間培養した。発酵培地をTLCで分析し、20S−プロトパナキサジオール、並びに20S−プロトパナキサトリオールの生成を確認した。80度で6時間過熱乾燥し、発酵人参(160g)を得た。
【0031】(実施例4:発酵三七人参の製造)三七人参(中国・雲南省産4年根)の粉末100gを精製水200mlに懸濁し、高圧加熱殺菌(121℃,15分間分間)した。ビフィドバクテリウム・ビフィダムJCM7002株を1%接種し、37℃、7日間培養した。発酵培地をTLCで分析し、20S−プロトパナキサジオール、並びに20S−プロトパナキサトリオールの生成を確認した。80度で6時間過熱乾燥し、発酵人参(85g)を得た。
【0032】(実施例5:発酵竹節人参の製造)竹節人参(日本国産4年根)の粉末100gを精製水200mlに懸濁し、高圧加熱殺菌(121℃,15分間分間)した。サッカロマイセス・セレビシエIFO−0309株を1%接種し、37℃、7日間培養した。発酵培地をTLCで分析し、20S−プロトパナキサジオール、並びに20S−プロトパナキサトリオールの生成を確認した。80度で6時間過熱乾燥し、発酵人参(88g)を得た。
【0033】(実施例6:発酵ヒマラヤ人参の製造)ヒマラヤ人参(ネパール国産3年根)の粉末50gを精製水100mlに懸濁し、高圧加熱殺菌(121℃,15分間分間)した。ラクトバチルス・ガセリDSM20243株とビフィドバクテリウム・ビフィダムJCM7002株をそれぞれ1%接種し、37℃、4日間培養した。発酵培地をTLCで分析し、20S−プロトパナキサジオール20−O−β−D−グルコピラノサイド、20S−プロトパナキサジオール、並びに20S−プロトパナキサトリオールの生成を確認した。80度で6時間過熱乾燥し、発酵人参(43g)を得た。
【0034】(実施例7:発酵ベトナム人参の製造)ベトナム人参(ベトナム国産5年根)の粉末50gを精製水100mlに懸濁し、高圧加熱殺菌(121℃,15分間分間)した。ラクトバチルス・マリATCC27304株とビフィドバクテリウム・ビフィダムJCM7002株をそれぞれ1%接種し、37℃、4日間培養した。発酵培地をTLCで分析し、20S−プロトパナキサジオール20−O−β−D−グルコピラノサイド、20S−プロトパナキサジオール、並びに20S−プロトパナキサトリオールの生成を確認した。80度で6時間過熱乾燥し、発酵人参(46g)を得た。
【0035】これらの例からも分かるように、人参をサポニン分解微生物で発酵させることによって、サポニン分解物、20S−プロトパナキサジオール20−O−β−D−グルコピラノサイド、20S−プロトパナキサジオール、並びに20S−プロトパナキサトリオールを含有する発酵人参が得ることが可能となり、その発酵人参を使用する有用性が血行改善試験において実証された。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、人参をサポニン分解微生物で発酵させることによって、サポニン分解物、20S−プロトパナキサジオール20−O−β−D−グルコピラノサイド、20S−プロトパナキサジオール、並びに20S−プロトパナキサトリオールを含有する発酵人参が得られる。そして、サポニン分解物は分解前のサポニンと比べ生体への吸収性が高いので、本発明の発酵人参は即効性とともに有効性が向上した。このように、発酵人参は健康食品として極めて有利なものである。

Claims (7)

  1. 人参を微生物により発酵して得られる発酵人参であって、当該発酵人参中にサポニン分解物、すなわち、20S−プロトパナキサジオール20−O−β−D−グルコピラノサイド、20S−プロトパナキサジオール、並びに20S−プロトパナキサトリオールのうち少なくとも一つを含有することを特徴とする発酵人参。
  2. 発酵に使用される微生物がサポニン分解能を有する微生物である請求項1記載の発酵人参。
  3. 発酵に使用される微生物が乳酸菌、ビフィドバクテリウム属細菌又はサッカロマイセス属細菌であることを特徴とする請求項1記載の発酵人参。
  4. 人参が、高麗人参、三七人参、アメリカ人参、竹節人参、ヒマラヤ人参、及びベトナム人参からなる群から選択される請求項1記載の発酵人参。
  5. サポニン分解能を有する微生物を人参に接種し培養することを特徴とする発酵人参の製造方法。
  6. 微生物が乳酸菌、ビフィドバクテリウム属細菌又はサッカロマイセス属細菌である請求項5記載の発酵人参の製造方法。
  7. 人参が、高麗人参、三七人参、アメリカ人参、竹節人参、ヒマラヤ人参、及びベトナム人参からなる群から選択される請求項5記載の発酵人参の製造方法。
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