JP2020061977A - ストレプトコッカス・サリバリウスに属する新規乳酸菌およびその利用 - Google Patents
ストレプトコッカス・サリバリウスに属する新規乳酸菌およびその利用 Download PDFInfo
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Abstract
Description
5 x 107個の菌数あたり5mLの10%豆乳含有溶液を37℃で6時間以内に凝固させることができる、乳酸菌
である。
便宜上、本願で使用される特定の用語は、ここに集めている。別途規定されない限り、本願で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。文脈で別途明記されない限り、単数形「a」、「an」及び「the」は複数の言及を含む。
本実施形態の乳酸菌は、5 x 107個の菌数あたり5mLの10%豆乳含有溶液を37℃で6時間以内に凝固させることができる。条件「5 x 107個の菌数あたり5mLの10%豆乳含有溶液を37℃」とは、本実施形態の乳酸菌がこの条件でしか豆乳を凝固させることができないという意味ではなく、この条件下で6時間以内に当該豆乳を凝固させることができる能力を有することを意味する。従って、使用する乳酸菌の菌数、豆乳の濃度及び量並びに温度によって、豆乳含有溶液の凝固時間は異なる。
本実施形態の発酵物は、上記乳酸菌による食品素材の発酵により得られる。また、本実施形態の飲食物は、その発酵物を含む。本実施形態において、食品素材は、上記乳酸菌により発酵できるものであればいかなる食品素材であってもよく、例えば、豆乳、果物及び野菜が挙げられる。上記乳酸菌を用いて発酵豆乳飲料を製造する場合には、まず使用する豆乳に適した条件で殺菌した豆乳に、上記乳酸菌を単独または他の微生物と同時に接種培養し、これを均質化処理することで発酵豆乳を得ることができる。果物又は野菜の場合も、豆乳と同様の方法により、発酵果汁又は発酵野菜を得ることができる。これら発酵物を未発酵野菜果汁や未発酵果汁、アルコール等と混合し、さらに各種栄養素、ビタミン、フレーバー等を添加して最終製品とすることも可能である。これらは、上記乳酸菌を生菌の状態で含有するので好ましい。
ストレプトコッカス・サリバリウスに属する新規乳酸菌は、以下に示す酒粕濾過培地を用いて単離した。800mLの蒸留水に200gの酒粕を加え弱火にかけ、よく撹拌して沸騰させて溶かす。火から下ろして50℃くらいになるまで冷まし、キッチンペーパーで濾過し、Brixを5.0に調整して121℃で15分間オートクレーブし、酒粕濾過培地として使用した。ヤエザクラの花に付着した菌類を酒粕濾過培地に接触させ、30℃、24時間培養し、生育した菌を単離した。単離後、121℃、15分間オートクレーブしたLactobacilli MRS Broth(Difco社製)培地で30℃、24時間の条件において培養可能であった菌を以後の実験で用いた。かかる菌は、Lactobacilli MRS Broth(Difco社製)培地において円形で白色のコロニーを形成した。顕微鏡観察において、上記菌は、球菌で運動性はなく、芽胞は形成しなかった(不図示)。上記菌は、グラム染色試験において陽性を示し、カタラーゼ活性試験において活性を示さず、また、ガス発生が観察されなかった(不図示)。
上記菌の菌種同定を16S rDNA塩基配列に基づいて以下の方法で行った。MRS培地を用いて30℃、24時間培養した培養用菌液を遠心分離した菌体ペレットから抽出したDNAを鋳型として、16S rDNA配列の全長をPCR法によって増幅し、増幅産物の塩基配列をDye Terminator法により決定した。その塩基配列を配列番号1に示す。得られた塩基配列をデータベースで検索して菌種を同定した。その結果、前記乳酸菌の16S rDNAの塩基配列はストレプトコッカス・サリバリウスおよびストレプトコッカス・サーモフィリスの16S rDNA塩基配列と99%同一であることが確認できたが、ストレプトコッカス・サリバリウスは、ストレプトコッカス・サーモフィリスと異なり、牛乳を発酵させることができないことから、上記菌は、ストレプトコッカス・サリバリウスに属する乳酸菌の新株と同定し、ストレプトコッカス・サリバリウス サクラ2と命名して(以後、実施例の乳酸菌)、2018年9月19日に日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8に住所を有する独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに寄託された。受託番号はNITE P-02785である。
比較例の乳酸菌として、ラクトバチルス・プランタルム(比較例1)、ラクトバチルス・サケイ(比較例2)、リューコノストック・メセンテロイデス(比較例3)及びストレプトコッカス・サリバリウス(比較例4)、ストレプトコッカス・サーモフィリス(比較例5)を用いた。比較例1から3の乳酸菌は、121℃、15分間オートクレーブしたLactobacilli MRS Broth(Difco社製)培地を用いて30℃で24時間培養した。比較例4及び5の乳酸菌は、121℃、15分間オートクレーブしたNITE Biological Resource Center (NBRC)推奨のトリプシケースソイイーストイクストラクト培地を用いて37℃で24時間培養した。
37℃で24時間培養した乳酸菌の培養液を滅菌した希釈液(0.1%酵母エキス溶液)に適宜希釈後、スパイラルシステムにてMRS寒天平板培地に塗布し、生菌数を測定した。また生菌数を表わす単位であるCFU/mlは培養プレートおいて1ml接種した時のコロニー形成能を示す。その間培養した乳酸菌は4℃に保存し、そこから豆乳発酵用に5x107個の乳酸菌を1回量として使用した。
(1)菌株
比較例1の乳酸菌(対照群)としてNBRCのラクトバチルス・プランタルムに属する10株(3074株(比較例1-1)、14712株(比較例1-2)、101972株(比較例1-3)、15891株(比較例1-4)、3070株(比較例1-5)、12006株(比較例1-6)、14713株(比較例1-7)、101973株(比較例1-8)、101975株(比較例1-9)、109604株(比較例1-10))、ラクトバチルス・プランタルムに属する2株(ラクトバチルス・プランタルムHOKKAIDO(比較例1-11)、ラクトバチルス・プランタルム SN13T(比較例1-12))を使用した。
比較例1から3の乳酸菌は、121℃、15分間滅菌したLactobacilli MRS Broth(Difco社製)をγ線滅菌済みポリプロピレン製遠沈管(ECK-15ML-R, アズワン社製)に分注したものに接種して30℃で24時間定常状態になるまで培養した。比較例4から5の乳酸菌は121℃、15分間オートクレーブ滅菌したトリプシケースソイイクストラクト培地をγ線滅菌済みポリプロピレン製遠沈管(ECK-15ML-R, アズワン社製)に分注したものに接種して37℃で24時間定常状態になるまで培養した。実施例1の乳酸菌(ストレプトコッカス・サリバリウス サクラ2)は、121℃、15分間オートクレーブ滅菌したLactobacilli MRS Broth(Difco社製)培地を、γ線滅菌済みポリプロピレン製遠沈管(ECK-15ML-R, アズワン社製)に分注したものに接種して30℃、24時間、定常状態になるまで培養した。
市販の10%豆乳(スジャータ めいらく製)を90℃、30分間滅菌し、γ線滅菌済みポリプロピレン製遠沈管(ECK-15ML-R, アズワン社製)に5mlずつ分注し、そこに5 x 107個の各乳酸菌(実施例1及び比較例1から5の乳酸菌)をそれぞれ添加し、37℃に保温した。その後、時間経過をおって豆乳が発酵して凝固する凝固時間を検討した。一回の実験に各三本ずつ計五回の実験を行って、各15検体の結果を表2に示した。
Claims (8)
- 5 x 107個の菌数あたり5mLの10%豆乳含有溶液を37℃で6時間以内に凝固させることができる、乳酸菌。
- ストレプトコッカス属である、請求項1に記載の乳酸菌。
- ストレプトコッカス・サリバリウスに属する、請求項1又は2に記載の乳酸菌。
- 受託番号:NITE P-02785で寄託されている、請求項1から3に記載の乳酸菌。
- 請求項1から4の何れかに記載の乳酸菌による食品素材の発酵により得られた発酵物。
- 請求項5に記載の発酵物を含有する飲食物。
- 請求項1から4の何れかに記載の乳酸菌を含有する飲食物。
- 食品素材に、請求項1から4の何れかに記載の乳酸菌を接種し、発酵させることを特徴とする発酵物の製造方法。
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