JP2009195251A - 発酵飲料及びその製造法 - Google Patents

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Masanori Sugiyama
政則 杉山
Kazuhiro Nomura
和弘 野村
Hirotaka Oku
博貴 奥
Hitoshi Dogauchi
均 道垣内
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Abstract

【課題】植物乳酸菌を用いて製造される、新しい風味及び機能を備えた発酵飲料、及びその製造法の提供。
【解決手段】乳を主成分とする発酵原料に、酒粕若しくは焼酎蒸留残渣又はそれらの抽出物を添加し、ラクトバシラス プランタラムを用いて発酵させることにより製造される発酵乳又は発酵飲料。
【選択図】なし

Description

本発明は植物乳酸菌を用いて製造される発酵飲料及びその製造法に関する。
乳酸菌は、古来よりチ−ズ、ヨ−グルト、発酵バタ−等の乳製品を始め、果汁、野菜汁等、多くの食品に用いられ、食品の風味、組織、栄養価の改善または保存性付与等に重要な役割を果たしている。近年、乳酸菌の生理的効果として、生きた乳酸菌の接種による腸内菌叢の改善効果または整腸作用等が明らかとなり、医薬品として乳酸菌製剤も開発されている。従って、乳酸発酵において、乳酸菌の増殖促進、菌体濃度の増加、発酵時間の短縮等が達成できれば、産業上の利用価値は極めて大きなものとなる。
従来、発酵乳や発酵果汁等の発酵飲料の製造には、専ら動物から採取された動物性乳酸菌が使われてきた。これは乳や果汁を主成分とする乳酸発酵においては、植物から採取された植物乳酸菌の増殖が著しく遅い、もしくは増殖しないためである。近年、WHO-CARDIAC Study(World Health Organization Cardiovascular Diseasesand Alimentary Comparison Study、WHO 循環器疾患と栄養国際共同研究)は、アフリカのマサイ民族が主食とする発酵乳が彼らの健康維持に大きく寄与していると報告している。この発酵乳には植物乳酸菌が含まれていることから、植物乳酸菌を利用した発酵飲料に感心が集まり始め、我が国においても、米から分離した植物乳酸菌であるラクトバチルス カゼイ カメダを利用した発酵乳や、他の植物乳酸菌を利用した発酵飲料がいくつか市販されている。しかしながら、これまでに知られている植物乳酸菌による発酵飲料は、乳酸発酵がほとんど進んでいないため、その味は一般の動物性乳酸菌を用いた発酵乳製品とはほど遠いものである。
一方、清酒を搾り取った後の残りかすである酒粕や酒粕抽出物、あるいは酒粕の酵素分解物には、乳酸菌、ビフィズス菌、酵母等の微生物に対して増殖促進効果のあることが知られている(特許文献1〜3参照)。また、大麦焼酎の蒸留残液を添加した微生物用培地において、ラクトバシラス プランタラムIFO3070の増殖が促進されたことが報告されている(特許文献4参照)。
しかしながら、酒粕や焼酎蒸留残渣等を共存させた場合に、植物乳酸菌によって新しい風味及び機能を備えた良好な発酵飲料が製造できることはこれまでに全く知られていない。
特開平3−172171号公報 特開平5−15366号公報 特許第2835548号公報 特開2000−342247号公報
本発明は、植物乳酸菌を用いて製造される、新しい風味及び機能を備えた発酵飲料、及びその製造法を提供することを目的とする。
本発明者らは、植物乳酸菌を用いた発酵飲料の製造について鋭意検討を重ねた結果、原料である乳、果汁又は野菜汁に、酒粕若しくは焼酎蒸留残渣又はそれらの抽出物を添加することにより、乳酸発酵が効率よく行われると共に、これまでの発酵乳製品にはない優れた風味、食感及び機能を有する発酵飲料が得られることを見出した。
すなわち本発明は、乳を主成分とする発酵原料に、酒粕若しくは焼酎蒸留残渣又はそれらの抽出物を添加し、ラクトバシラス プランタラムを用いて発酵させることにより製造される発酵乳又は発酵飲料に係るものである。
また本発明は、乳を主成分とする発酵原料に、酒粕若しくは焼酎蒸留残渣又はそれらの抽出物を添加し、ラクトバシラス プランタラムを用いて発酵させることを特徴とする発酵乳又は発酵飲料の製造法に係るものである。
本発明によれば、従来の動物性乳酸菌を用いた場合には得られなかった良好な風味、食感及び機能を有する発酵飲料を得ることができる。また、本発明の発酵飲料の製造法によれば、植物乳酸菌の発酵が顕著に促進され、発酵時間を短縮できることから生産効率を大幅に改善でき、製造コストの削減を図ることができる。
ラクトバシラス プランタラムSN35Nを用いた場合の発酵乳の酸度変化を示すグラフである。 ラクトコッカス ラクティス サブスペシース ラクティス SN26Nを用いた場合の発酵乳の酸度変化を示すグラフである。 ラクトバシラス プランタラムSN13Tを用いた場合の発酵乳の酸度変化を示すグラフである。 全被験者の1週間あたりの平均排便回数を応募時(試験開始時)から1週間ごとにプロットしたグラフである。 応募時の排便回数か同じであったグループ(まったく無い:1名、1回:4名、2回:15名、3回:10名)毎の1週間あたりの平均排便回数の変化を示したグラフである。
本発明の発酵飲料は、乳、果汁及び野菜汁から選ばれる1種以上を主成分とする発酵原料に、酒粕若しくは焼酎蒸留残渣又はそれらの抽出物を該発酵原料に添加し、植物乳酸菌を用いて発酵させることにより製造される。
主原料として使用する乳は、動物乳、例えば牛乳、ヤギ乳、めん羊乳等が挙げられ、特に牛乳が好ましい。斯かる乳は、未殺菌乳及び殺菌乳の何れであってもよく、また、これらの乳から調製した濃縮乳もしくは練乳、これらの脱脂乳、部分脱脂乳又これらを乾燥して粉末にした粉乳等であってもよい。
また、果汁としては、特に限定されるものではないが、例えばモモ、りんご、イチゴ等の汁液が挙げられ、野菜汁としては、例えば、ニンジン、トマト、キャベツ等の汁液が挙げられる。このうち、モモ果汁については風味の点から、ニンジン汁についてはカロチン供給の点から有用性が高い。また、モモとニンジンは乳酸菌の発酵の点からも有用性が高い。
果汁及び野菜汁は、もとになる果物又は野菜を、ミキサー等を用いて摩砕し、必要に応じて更に搾汁することにより得ることができる。斯かる果汁及び野菜汁は、適宜濃縮してもよく、この濃縮液をそのまま、或いは濃縮液を蒸留水等で適当な濃度に希釈して本発明の発酵原料とすることができる。
乳、果汁及び野菜汁は、それぞれを単独で用いて本発明の発酵飲料の原料とすることができるが、目的に応じてこれらを組み合わせて使用してもよい。
植物乳酸菌とは植物由来の乳酸菌をいい、例えば穀物、野菜、果物、あるいはこれらを原材料に含む発酵食品から分離されたものを使用することができる。具体的には、ラクトバシラス プランタラムSN13T株(分離源:ソーセージ)、ラクトバシラス プランタラムSN26T株(分離源:ソーセージ)、ラクトバシラス プランタラムSN35N株(分離源:ナシ)、ラクトバシラス プランタラムJCM 1149株(分離源:塩漬キャベツ)、ラクトバシラス プランタラムJCM 8348株(分離源:コメ)、ラクトバシラス プランタラムIFO3070株(JCM 1057株)、ラクトバシラス カゼイK−1株(分離源:亀田 植物乳酸菌ヨーグルト)、ラクトバシラス カゼイJCM 8136株(分離源:不明)、ペディオコッカス ペントサセウス(分離源:大塚 野菜の戦士)、ペディオコッカスJCM 5885株(分離源:酒もろみ)、ラクトバシラス プランタラムSN35M株(分離源:メロン)、ラクトコッカス ラクティス サブスペシース ラクティス SN26N株(分離源:ナシ)、エンテロコッカス スペシースSN21I株(分離源:イチジク)及びエンテロコッカス ムンヅティSN29N株(分離源:ナシ)、ラクトバシラス ヒルガルディNBRC15886(分離源:ワイン)等が挙げられ、このうち、食感、風味、外観の点から果物由来のものを用いるのが好ましく、中でもラクトバシラス プランタラムが更に好ましく、特にラクトバシラス プランタラムSN35Nが好ましい。
上記菌株のうち、ラクトバシラス プランタラムSN13T株、ラクトバシラス プランタラムSN26T株、ラクトバシラス プランタラムSN35N株、 ラクトバシラス プランタラムSN35M株、ラクトコッカス ラクティス サブスペシース ラクティス SN26N株、 エンテロコッカス スペシースSN21I株、及びエンテロコッカス ムンヅティSN29N株は、本発明者により分離された菌株であり、以下の菌学的性質を有する。
1)ラクトバシラス プランタラムSN13T株
タイ国産のナムというソーセージからの分離株、グラム陽性乳酸桿菌、ホモ型発酵、カタラーゼ陰性、芽胞形成能なし、好気条件下でも培養可、分類学上の位置はLactobacillus plantarum
2)ラクトバシラス プランタラムSN26T株
タイ国産のナムというソーセージから分離、グラム陽性乳酸桿菌、ホモ型発酵、カタラーゼ陰性、芽胞形成能なし、好気条件下でも培養可、分類学上の位置は Lactobacillus plantarum
3)ラクトバシラス プランタラムSN35N株
梨から分離、グラム陽性乳酸桿菌、ホモ型発酵、カタラーゼ陰性、芽胞形成能なし、好気条件下でも培養可、分類学上の位置は Lactobacillus plantarum
4)ラクトバシラス プランタラムSN35M株
メロンから分離、グラム陽性乳酸桿菌、ホモ型発酵、カタラーゼ陰性、芽胞形成能なし、好気条件下でも培養可、分類学上の位置はLactobacillus plantarum
5)ラクトコッカス ラクティス サブスペシース ラクティス SN26N株
梨から分離、グラム陽性乳酸球菌、ホモ型発酵、カタラーゼ陰性、芽胞形成能なし、好気条件下でも培養可、分類学上の位置はLactococcus lactis subsp. lactis
6)エンテロコッカス スペシースSN21I株
イチジクから分離、グラム陽性乳酸球菌、ホモ型発酵、カタラーゼ陰性、芽胞形成能なし、好気条件下でも培養可、分類学上の位置はEnterococcus sp.。
7)エンテロコッカス ムンヅティSN29N株
梨から分離、グラム陽性乳酸球菌、ホモ型発酵、カタラーゼ陰性、芽胞形成能なし、好気条件下でも培養可、分類学上の位置はEnterococcus mundtii
上記菌株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターへ、ラクトバシラス プランタラム(Lactobacillus plantarum)SN13T株(NITE P−7)、ラクトバシラス プランタラム(Lactobacillus plantarum)SN26T株(NITE P−8)、ラクトバシラス プランタラム(Lactobacillus plantarum)SN35N株(NITE P−6)、ラクトバシラス プランタラム(Lactobacillus plantarum)SN35M株(NITE P−5)、ラクトコッカス ラクティス サブスペシース ラクティス(Lactococcus lactis subsp. lactis) SN26N株(NITE P−9)、エンテロコッカス スペシース(Enterococcus sp.)SN21I株(NITE P−11)及びエンテロコッカス ムンヅティ(Enterococcus mundtii)SN29N株(NITE P−10)として寄託されている。
斯かる植物乳酸菌は、これらを単独で使用してもよいが、2種以上を組み合わせて使用してもよく、組み合わせることにより、適宜風味や食感を調製することができる。
本発明における「酒粕」とは、「もろみ」から清酒を搾り取った後の残りかすをいう。すなわち、酵母を大量に培養した酒母に蒸米と麹を加えて、約3週間アルコール発酵を行って、発酵産物である「熟成もろみ」とし、これより清酒を搾った残りが酒粕である。尚、発酵は、通常、米と麹を3回に分けて仕込むことにより(添仕込み、仲仕込み、留仕込み)、発酵過程が調節される。
「焼酎蒸留残渣」とは、麹に水と酵母を加えて1週間程度仕込んで一次もろみ(清酒工程の酒母に相当)とした後、米等を加えて約2週間アルコール発酵を行って、二次もろみを造り、これを蒸留して焼酎を得た残りの残渣である。
斯かる酒粕には、40%程度の水分と8〜10%程度のアルコール分の他、繊維質、澱粉、蛋白質、ビタミン類等が含まれる。但し、精米した米を原料とすることから、米糠、胚芽等は除去されており、それらに特有の成分は含まれていない。一方、焼酎蒸留残渣は、焼酎もろみを蒸留してアルコ−ル分を除いたもので、液状でアルコ−ル分はほとんど無く(1%以下)、栄養的には、酒粕とほとんど同様なものである。
本発明においては、斯かる酒粕や焼酎蒸留残渣をそのまま使用することもできるが、それらの抽出物を使用することもできる。
酒粕や焼酎蒸留残渣をそのまま用いる場合、それらは多くの水分を含むことから腐敗を防止するためにも、充分に乾燥させたものを使用するのが好ましい。乾燥手段は、特に限定されるものではなく、凍結乾燥法、熱風乾燥法、マイクロ波乾燥法、噴霧乾燥法、遠赤外線放射乾燥法等の公知の方法によって行えばよい。
更に、酒粕や焼酎蒸留残渣は食感を向上させる点から、微細均一化粉末とするのが好ましい。特に、その粒径を100μm以下とするのが好ましく、ナノテクロロジー技術を用いてさらに微細加工するのがより好ましい。斯かる微細化には、ロッドミル、ボールミル、ジェットミル等を始めとする粉砕機を用いればよい。
酒粕又は焼酎蒸留残渣の抽出物は、酒粕又は焼酎蒸留残渣を乾燥又は乾燥することなく、常温下又は加温下で適当な溶剤で抽出することにより得ることができる。なお、本発明の酒粕又は焼酎蒸留残渣の抽出物には、各種溶剤抽出液又はその希釈液、濃縮液もしくは乾燥末が包含される。
上記抽出物を得るために用いられる抽出溶剤としては、極性溶剤、非極性溶剤のいずれをも使用することができ、これらを混合して用いることもできる。例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;プロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコール類;酢酸エチル等のエステル類;n−ヘキサン等の炭化水素類;クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類が挙げられ、このうち、水、アルコール類、水−アルコール混液が好ましく、特に水、エタノール、水−エタノール混液、中でも15〜75%の水−エタノール混液(vol/vol)を用いるのが好ましい。
抽出条件は、使用する溶媒によっても異なるが、例えば水、アルコール類、水−アルコール混液又は酢酸エチル等により抽出する場合、酒粕又は焼酎蒸留残渣1重量部に対して1〜10重量部の溶剤を用い、4〜40℃、好ましくは20〜30℃の温度で、1〜5日間、特に1日間抽出するのが好ましい。
上記の抽出物は、そのまま用いることもできるが、当該抽出物を希釈、濃縮若しくは凍結乾燥した後、必要に応じて粉末又はペースト状に調製して用いることもできる。また、上記抽出物から不活性な夾雑物を除去して用いることもでき、さらに必要により、公知の方法で脱臭、脱色等の処理を施してから用いてもよい。
酒粕若しくは焼酎蒸留残渣又はそれらの抽出物の添加量は、乳、果汁又は野菜汁に対して、0.01重量%〜5.0重量%とするのが好ましく、更に0.05重量%〜2.0重量%、特に0.05重量%〜1.0重量%であるのが好ましい。
発酵は、乳、果汁又は野菜汁に、酒粕若しくは焼酎蒸留残渣又はそれらの抽出物を添加し、従来公知の方法に準じて行えばよい。例えば、ヨーグルト発酵を行う場合、乳原料を主要とする無脂乳固形分が8.0%以上の濃度に調整した水溶液を、65〜130℃の温度で1秒〜30分の時間、加熱殺菌を行ない、30〜45℃の温度まで冷却する。続いて、これに植物乳酸菌をスターターとして、0.1〜6%重量接種する。接種後、30〜45℃の温度で3〜72時間、乳酸菌量が1000万個/ml以上になるまで発酵を行ない、発酵終了後、10℃以下まで冷却したものをヨーグルトとする。尚、加える酒粕若しくは焼酎蒸留残渣又はそれらの抽出物は、風味や食感の点から不溶性固形物の残らないものが望ましく、具体的には抽出物を凍結乾燥(FD)またはスプレードライ(SD)により粉末としたものを用いるのが好ましい。
また、発酵果汁飲料又は発酵野菜汁飲料は、果汁又は野菜汁、或いはこれにその他の原料を調合した水溶液を65〜130℃の温度で1秒〜30分の時間、加熱殺菌を行い、30〜45℃まで冷却する。続いて、これに植物乳酸菌をスターターとして0.1〜6%重量接種する。接種後、30〜45℃の温度で12〜72時間、発酵を行い、発酵終了後、冷却したものを発酵果汁又は発酵野菜汁とする。これら発酵果汁又は発酵野菜汁は、そのまま飲料としてもよく、さらには希釈又は殺菌を行い発酵果汁飲料又は発酵野菜汁飲料とすることができる。
上記、発酵飲料の製造に際しては、主原料の乳、果汁又は野菜汁の他に、ゼラチン、寒天、糖類、香料、果肉など通常発酵飲料の製造に使用されている原料を添加することもできる。例えば、蔗糖、グルコース、フラクトース、パラチノース、トレハロース、等の糖類、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、還元水飴等の糖アルコール類、アスパルテーム、アセスルファムカリウム等の高甘味度甘味料、蔗糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、レシチン等の乳化剤、カラギーナン、キサンタンガム、グァーガム等の増粘剤、クエン酸、乳酸、リンゴ酸等の酸味料、レモン果汁、オレンジ果汁等の果汁類の他、ビタミン類やカルシウム、鉄、マンガン、亜鉛等のミネラル類、更には甘草、桂枝、生姜のような生薬、あるいは香草、グルタミン酸ナトリウム、クチナシ色素、シリコーン、リン酸塩等の食品添加物等を添加することが可能である。
斯くして得られる本発明の発酵飲料は、後記実施例に示すように、短時間で乳酸発酵が起こる。そして得られた発酵物は、新しい風味を有し、優れた便秘改善効果を有する。また、グルタミン酸ナトリウムを添加して発酵させた場合にはGABA(γ−アミノ酪酸)を豊富に含む発酵物が得られることから、血圧低下作用、肝臓や腎臓の機能改善作用、神経の鎮静作用等の有用な機能を有する飲料となり得る。特に、乳を原料に用いて製造された発酵乳は、動物性乳酸菌を用いた場合には得られない風味、食感、外観を有することから(表3)、商品的価値が極めて高い。
尚、本発明の飲料が発酵乳である場合、プレーンタイプ、ソフトタイプ、ドリンクタイプ、固形(ハード)タイプ、フローズンタイプ等、いずれの形態の製品とすることが可能であり、プレーンタイプ、フレーバードタイプ、フルーツタイプ等、いずれの種類の製品であってもよい。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例1 乳酸菌発酵促進効果
(1)脱脂粉乳(PM)の13%水溶液に酒粕抽出物凍結乾燥品(酒粕FD)を1%量添加したものを121℃、15分間高圧滅菌し、30℃まで冷却する。2%量の植物乳酸菌をスターターとして接種し30℃で乳酸発酵を行なう。酒粕FDを添加していないものをコントロールとし、経時的な酸度変化を測定した。植物乳酸菌としては、ラクトバシラス プランタラムSN35N、ラクトバシラス プランタラムSN26T、ラクトバシラス プランタラムSN13Tを使用した。結果を図1〜3に示す。使用した植物乳酸菌の全てにおいて、酒粕FDを添加することで乳酸発酵が大幅に促進されたのに対し、酒粕FD無添加の場合は、ほとんど乳酸発酵が進んでいない。
植物乳酸菌を単一菌スターターとし、ヨーグルトの試作を行なった。仕上りヨーグルトの製品酸度を0.7〜0.75%としたとき、酒粕FD無添加の場合は全く発酵しなかったが、酒粕FDを1.5%添加すると、約15時間程度で発酵し、植物乳酸菌を使用したヨーグルトができた。
(2)13%脱脂粉乳(13%PM)と13%PMに酒粕抽出物スプレードライ品(焼酎蒸留残渣抽出物2%SD)を加えたものを121℃15分殺菌後、30℃まで冷却し試験菌を2%接種した。30℃で培養し0時間、20時間での酸度と乳酸菌数を測定した。試験菌は、あらかじめ13%PM+2%SD培地で30℃、20時間増殖させたラクトバシラス プランタラムSN35Nを使用した。結果を表1に示す。
2%焼酎蒸留残渣抽出物SDの添加で乳酸酸度の上昇が認められ、又乳酸酸度の上昇に伴い、生菌数の増加も確認された。
実施例2 各種植物乳酸菌を用いたヨーグルトの製造
表2(表2−1、2−2)に示す種々の植物乳酸菌を上記の方法で乳酸発酵させ、ヨーグルトを製造した。
表中、数値は乳酸酸度(%)を示す。1%焼酎蒸留残渣抽出物SDの0時間と発酵20時間後の乳酸酸度の変化値(b)を焼酎蒸留残渣抽出物未添加の0時間と発酵20時間後の乳酸酸度の変化値(a)で除した値を焼酎蒸留残渣抽出物の促進効果とした。
また、2%焼酎蒸留残渣抽出物SDを添加した時の20時間後の乳酸酸度とヨーグルトカードの形成(凝固)の有無を示した。JCM1149株、JCM8348株、エンテロコッカス スペシースSN21I株、エンテロコッカス ムンヅティSN29N株では、2%焼酎蒸留残渣抽出物SD添加の20時間培養後でもカードの形成は認められないが、実施例1の結果から、菌数は十分に増えているものと思われる。
実施例3 ヨーグルトの評価
本発明に係る乳酸菌(ラクトバシラス プランタラムSN35N)及び比較として日本乳業協会より入手した動物性乳酸菌(ラクトバシラス ブルガリカス B−5b、ストレプトコッカス サモフィルス510、ストレプトコッカス ラクティス527の混合)でそれぞれ製品酸度0.7〜0.75%まで発酵したヨーグルトを被験者15名に試食してもらい(表3)、その感想を調査した。評価は5段階で行い、回答者数にポイントを乗じたものの総計を各項目の得点とした。外観に関しては、全く無い(0)、わずかにある(−1)、ある(−2)とした。結果を表4に示す。なお被験者の性別及び年齢構成は下記表3に示すとおりである。
表4より、本発明に係るヨーグルトは、食感、風味、外観のほぼ全ての項目で、比較品より優れていることが明らかとなった。
実施例4 ヨーグルトの便秘に対する効果
広島県内在住で日ごろ便秘に悩む女性30名に対して、本発明のヨーグルト(ラクトバシラス プランタラムSN35N及びラクトバシラス プランタラムSN13Tの植物乳酸菌をスターターとして使用し、30〜45℃の温度で製品酸度0.7〜0.8%になるまで3〜72時間発酵したヨーグルト)100gを朝夕2回、21日間試食してもらい、その便通に対する効果をアンケート調査した。30名の年齢構成は、20代(7名、23.3%)、30代(19名、63.3%)、40代(3名、10.0%)、50代(1名、3.3%)であり、1週間あたりの排便回数は、まったく無い(1名、3.3%)、1回程度(4名、13.3%)、2回程度(15名、50%)、3回程度(10名、33.3%)であった。
調査結果を表5に、平均の排便回数の変化を図4に、応募時(試験開始時)に同じ排便回数にあった集団毎の平均回数の変化を図5に示す。さらに、被験者30名のうち27名が従来の動物乳酸菌ヨーグルトで満足な改善を得られていないと回答していることから、本発明ヨーグルトが便通改善に著効を示すことが明らかとなった。
実施例5 野菜汁、果物果汁の製造
モモ果汁に酒粕SD(1.0%)、あるいは酒粕SD(1.0%)とグルタミン酸ナトリウム(GluNa、1.0%)を添加したものに、ラクトバシルス・ヒルガルディ(Lactobacillus hilgardii)NBRC15886株(独立行政法人 製品評価技術基盤機構生物遺伝資源センターより入手)の2%量を接種し、30℃で38時間培養してモモ発酵果汁を製造し、乳酸酸度とGABA量を測定した。結果を表6に示す。表から明らかなように、SDの添加で乳酸発酵が促進されると同時に、GABAが生産されていることが確認される。
また、同様にニンジン汁をラクトバシルス・ヒルガルディを用いて発酵させてニンジン発酵果汁を製造した。乳酸酸度を表7に示す。ニンジン汁に1.5%SDと0.5%GluNaを添加し、ラクトバシルス・ヒルガルディの3%量を接種し、30℃で28時間培養したときの乳酸酸度は0.76%、GABA量は53.9mMであった。

Claims (3)

  1. 乳を主成分とする発酵原料に、酒粕若しくは焼酎蒸留残渣又はそれらの抽出物を添加し、ラクトバシラス プランタラムを用いて発酵させることにより製造される発酵乳又は発酵飲料。
  2. ドリンクタイプ又は固形タイプのものである請求項1記載の発酵乳又は発酵飲料。
  3. 乳を主成分とする発酵原料に、酒粕若しくは焼酎蒸留残渣又はそれらの抽出物を添加し、ラクトバシラス プランタラムを用いて発酵させることを特徴とする発酵乳又は発酵飲料の製造法。
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