JPH11228424A - ビフィズス菌活性化物質とビフィズス菌活性増殖剤とそれを含有する食品 - Google Patents

ビフィズス菌活性化物質とビフィズス菌活性増殖剤とそれを含有する食品

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JPH11228424A
JPH11228424A JP2531398A JP2531398A JPH11228424A JP H11228424 A JPH11228424 A JP H11228424A JP 2531398 A JP2531398 A JP 2531398A JP 2531398 A JP2531398 A JP 2531398A JP H11228424 A JPH11228424 A JP H11228424A
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bifidobacterium
bifidobacteria
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activating substance
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Mitsuharu Matsumoto
光晴 松本
Takahiro Hironaka
貴宏 廣中
Takashi Hattori
隆史 服部
Hifumi Oishi
一二三 大石
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Kyodo Milk Industry Co Ltd
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Kyodo Milk Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、酒粕由来のビフィズス菌活性化物
質とこれを含有するビフィズス菌活性増殖剤及びそれを
含有する食品等に関するものである。 【構成】 酒粕からアルコールで抽出される分子量50
00以下の化合物であることを特徴とするビフィズス菌
活性化物質と、それを有効成分として含有するビフィズ
ス菌活性増殖剤およびビフィズス菌入り食品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酒粕由来のビフィズス
菌活性化物質とこれを含有するビフィズス菌活性増殖剤
及びそれを含有する食品等に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ビフィドバクテリウム属に属するビフィ
ズス菌は、下痢症、便秘症、感染症等の予防、治療効果
や腸内の有害細菌の増殖抑制作用等から腸内の有用細菌
であることが一般に知られている。これらの作用は臨床
的にも確認され、整腸剤などの医薬品ならびに、ヨーグ
ルトを始めとする種々の食品に利用されている。しかし
ながら、ビフィズス菌は腸内への定着率が低く、継続し
てビフィズス菌を接種し、且つビフィズス菌の増殖を促
進する物質(活性化因子)を摂取することが、ビフィズ
ス菌の定着には重要である。このため、ビフィズス菌の
増殖能を有する種々の物質の発見や開発の研究がなされ
ている。
【0003】現在までに、ビフィズス菌に対して増殖促
進効果を有する物質としてN−アセチルグルコサミン含
有糖類など種々のオリゴ糖が見出され、多くの食品に用
いられたり、特定保健用食品として認可されている食品
も存在する。また、酵母エキス、カゼイン分解物、ニン
ジン抽出物等も知られている。更に、酒粕由来のビフィ
ズス菌活性化因子としては「乳酸菌およびビフィズス菌
の増殖促進剤」(特開平5−15366)が知られてい
る。この発明は酒粕または蛋白分解酵素処理した酒粕の
水抽出物を有効成分として含有することを特徴とする乳
酸菌およびビフィズス菌増殖促進剤である。この水抽出
物は乳酸菌に対しても増殖促進活性を示し、ビフィズス
菌増殖促進活性は1〜2%添加で5倍程度である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このようにビフィズス
菌ならびにビフィズス菌増殖促進物質の用途は多岐にわ
たっている。特に腸管内でのビフィズス菌の増殖を促進
して菌の定着を促進する活性化因子の需要は、消費者の
健康志向も相まって増加の一途をたどっている。さらに
は、ビフィズス菌を含有する医薬品ならびに食品の製造
においても、菌体濃度を高めると共に、培養、発酵時間
を短縮させ生産効率を向上させうるビフィズス菌増殖促
進物質は非常に重要な意義を有すると考えられる。
【0005】また、ビフィズス菌を含有する食品として
もっとも一般的なものはヨーグルトに代表される発酵食
品であるが、これらの食品は共存する乳酸菌が産生する
酸により発酵直後からビフィズス菌数が急速に減少し、
1週間後にはほとんど検出できなくなることが指摘され
ていた(湧口浩也、酪農化学・食品の研究,vol3
3,A203−A212,1984)。このような背景
から、増殖活性が高く、ビフィズス菌の活性を保持しう
る活性化因子の研究・開発が多くの研究機関で現在もな
お続けられている。
【0006】現在、ビフィズス菌活性化因子として知ら
れるオリゴ糖類は0.5〜数%の添加量でビフィズス菌
の増殖を数倍増加させるものが一般的であるが、前述の
ような背景から、より増殖活性の高い活性化因子が望ま
れていた。
【0007】また、その他のビフィズス菌に対して増殖
促進効果を有する物質は、調製が難しかったり、高価で
あったりするだけでなく、その物質が有する特異な味、
匂いが付くので食品としての使用には向かない等の欠点
があった。
【0008】そこで、我々は入手が容易でより安価な原
料を検索したところ、米発酵物のアルコール抽出物中
に、非常に強いビフィズス菌活性化作用を確認し、その
原料を清酒醸造時の副産物である酒粕に求め、酒粕中に
アルコールにより抽出されるビフィズス菌活性化物質が
存在することを見出した。この物質の基本性状を調べた
ところ、分子量5000以下の低分子量の化合物であ
り、そのビフィズス菌増殖促進活性は培地中へ1%以下
の添加で数倍〜1000倍強に達し、他に類をみない強
力な増殖促進作用を有することを確認した。また、この
ビフィズス菌増殖促進作用はビフィズス菌に対して特異
的で、乳酸菌(Lactobacillus acidophilusおよびStrep
tococcus thermophilus) などに対しては著しい増殖促
進作用は認められない(0.3〜1.2%添加で3倍程
の増殖促進作用を示す)ことから、ビフィズス菌特異的
活性化因子であるとの知見を得た。このように、本発明
者が見出した酒粕のアルコール抽出物のビフィズス菌活
性化作用は、前記酒粕の水抽出物やオリゴ糖類などの既
知物質に比べ数十〜数百倍の活性を有している。すなわ
ち、前述した公知の酒粕の水抽出物を有効成分とする
「乳酸菌およびビフィズス菌の増殖促進剤」(特開平5
−15366)とは、増殖促進作用や対象菌特異性など
において大きく相違するものであり、このような極めて
高いビフィズス菌増殖促進作用を有する物質は知られて
いない。
【0009】本発明は、このような新しい技術的知見に
基づき、酒粕のアルコール抽出物を有効成分としてビフ
ィズス菌活性化を図り、有益なビフィズス菌の増殖と定
着を促進するとともに、ビフィズス菌を含有する医薬品
ならびに食品の製造においても、菌体濃度を高め、培
養、発酵時間を短縮させ生産効率を向上さるようにする
ことが目的である。
【0010】
【課題を解決するための手段】特許を受けようとする第
1発明は、酒粕からアルコールで抽出される分子量50
00以下の化合物であるビフィズス菌活性化物質であ
る。
【0011】本願発明におけるビフィズス菌活性化物質
は、アルコールで抽出される分子量5000以下の非蛋
白性化合物で、ビフィズス菌の増殖を促進させ、ビフィ
ズス菌に乾燥や酸に対する耐性を付加する物質である。
原料である酒粕は、清酒製造において副製する酒粕、な
らびにみりん製造において副製するみりん粕をいい、通
常一般に市販されているものを使用することも可能であ
る。また抽出に用いるアルコールは炭素数5以下の水と
容易に混和しうるアルコールのいずれかまたは任意の構
成および比率の組み合わせを使用することが出来るが、
食品や医薬品への利用に際し問題となりにくいエタノー
ルを用いることが望ましい。
【0012】特許を受けようとする第2発明は、酒粕か
らアルコールで抽出される分子量5000以下の化合物
であるビフィズス菌活性化物質を有効成分として0.0
1〜5%(重量比)含有することを特徴とするビフィズ
ス菌活性増殖剤である。
【0013】当該第2発明のビフィズス菌活性増殖剤
は、少ない添加で数100倍〜1000倍強の強力なビ
フィズス菌活性増殖促進作用を有するもので、従来のも
のに比べて有効性の高いビフィズス菌活性増殖剤とな
る。
【0014】特許を受けようとする第3発明は、酒粕か
らアルコールで抽出される分子量5000以下の化合物
であるビフィズス菌活性化物質をビフィズス菌とともに
含有するようにしたことを特徴とするビフィズス菌入り
医薬品である。
【0015】第3発明のビフィズス菌入り医薬品として
は、例えば整腸剤、ビフィズス菌製剤等である。
【0016】特許を受けようとする第4発明は、酒粕か
らアルコールで抽出される分子量5000以下の化合物
であるビフィズス菌活性化物質をビフィズス菌とともに
含有するようにしたことを特徴とするビフィズス菌入り
食品である。
【0017】第4発明のビフィズス菌入り食品として
は、例えばビフィズス菌入りミルク、ビフィズス菌入り
調製粉乳、ビフィズス菌入りヨーグルト等がある。尚、
ビフィズス菌入りの食品であれば、これに限られること
がないこと勿論である。
【0018】特許を受けようとする第5発明は、酒粕か
らアルコールで抽出される分子量5000以下の化合物
であるビフィズス菌活性化物質をビフィズス菌とともに
培養、発酵させることを特徴とする医薬品の製造法であ
る。
【0019】特許を受けようとする第6発明は、酒粕か
らアルコールで抽出される分子量5000以下の化合物
であるビフィズス菌活性化物質をビフィズス菌とともに
培養、発酵させることを特徴とする食品の製造法であ
る。
【0020】
【実施例】以下本発明を実施例に基づいて詳細に説明す
る。
【0021】<実施例1> 1.ビフィズス菌活性化物質の調製方法 酒粕に約5倍量の80%エタノールを加え、ホモミキサ
ーでよく撹拌し、遠心分離(もしくは固液分離法)によ
って活性化物質を含有する抽出液を回収する。次いで当
該抽出液を減圧濃縮法等の濃縮法でエタノールを留去
し、濃縮液を得た。次に、この濃縮液を分液ロート等で
静置し不溶性の浮遊物を除き下層の水溶層を得た。更
に、この水溶層を凍結乾燥等の適当な乾燥法により乾燥
し、ビフィズス菌活性化物質を得た。しかし、この状態
では酒粕特有の臭気を有し、且つ経時的に褐変する場合
があり、このような臭気や褐変が好ましくない場合には
この水溶液を活性炭で脱臭、脱色することにより臭気や
色を抑えた乾燥粉末を得ることが可能である。なお、本
実施例では特に記述のない限り、この活性炭処理した乾
燥粉末をビフィズス菌活性化物質とする。本調製法にて
酒粕1kgを処理した場合約50gのビフィズス菌活性
化物質を得ることができた。
【0022】尚、本発明における原料酒粕は清酒製造に
おいて副製する酒粕と、みりん製造において副製するみ
りん粕の両者を含むものとする。また抽出に用いるアル
コールは炭素数1〜5の水と容易に混和しうるアルコー
ルのいずれかまたは任意の構成および比率の組み合わせ
を使用することが出来る。しかし、食品や医薬品への利
用に際し、人体等への問題となりにくいエタノールやメ
タノールを用いることが望ましい。更にアルコールの濃
度に関しては50〜100%の任意の濃度で使用するこ
とが可能である。
【0023】当該ビフィズス菌活性化物質の基本性状を
調べたところ、分子量5000以下の非蛋白性化合物で
あり、そのビフィズス菌増殖促進活性は培地中へ1%以
下の添加で数倍〜1000倍強と、他に類をみない強力
な増殖促進作用を有する特異的活性化因子であるととも
に、ビフィズス菌に乾燥や酸に対する耐性を付加する物
質である。
【0024】2.ビフィズス菌増殖促進作用の測定 前記実施例1で得たビフィズス菌活性化物質のビフィズ
ス菌増殖促進作用について熱水抽出画分との比較試験を
行い確認した。
【0025】供試検体 前記実施例の調製方法で得たビフィズス菌活性化物質お
よびアルコールの代わりにイオン交換水を用い、80℃
で撹拌しながら30分間加熱抽出した物質を使用した。
【0026】供試菌体 下記の菌を含むヨーグルトスターターABT−1(CHR.
Hansen社製)を使用した。 ラクトバチラス・アシドフィルス(Lactobacillus acid
ophilus) ストレプトカッカス・サ−モフィルス(Streptococcus t
hermophilus) ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium
bifidum) ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium
lactis)
【0027】培養 供試菌体のヨーグルトスターターABT−1を減菌生理
食塩水に懸濁し、1%濃度のスターター液を調整した。
このスターター液300μlを各濃度(最終濃度:0.01
%, 0.02%, 0.04%, 0.08%, 0.15%, 0.3%, 0.6%, 1.2%,2.
4%, 5.0%,10.0%)の供試検体を含む10%スキムミルク
培地10mlに加え、40℃で6時間培養した。供試検
体を含まない10%スキムミルク培地で培養したものを
対照(コントロール)とした。
【0028】菌体数の測定 培養液中の菌体数の測定は、培養終了後、適宣希釈した
培養液100μlをビフィズス菌選択平板培地(表1記
載の5%NNLP溶液を含有するMRS寒天培地;Merc
k KGaA製)に塗抹し、嫌気的条件下で37℃、48時間
培養し、培養後に出現したコロニー数と希釈倍率の積を
求め、培養液中の単位体積あたりビフィズス菌数を算出
した。
【0029】
【表1】
【0030】試験結果 上記の方法で算出したビフィズス菌数を表2に示す。
【0031】
【表2】 培養直後の脱脂乳培地中のビフィズス菌数
【0032】表2.から明らかなように、前記実施例1
で得たビフィズス菌活性化物質の活性は添加量の増加に
ほぼ比例するように上昇し、0.3%の添加でコントロ
−ルの約1400倍に達し、1.2%まではほぼ同一の
活性を示した。しかし、1.2%を越えると徐々に活性
が低下し、10%で約500倍に低下することから、ビ
フィズス菌の活性化には本ビフィズス活性化物質の濃度
が0.01〜5%(好ましくは0.15〜1.20%)
の範囲が適当であると考えれらる。一方、熱水抽出画分
は、1.2〜10%の添加で、約3倍程度の増殖活性し
か得られなかった。
【0033】このように本ビフィズス菌活性化物質はヨ
ーグルトスターター中のビフィズス菌に対し短時間で極
めて高い増殖促進作用を示し、ビフィズス菌の増殖に極
めて効果的に作用することを示すものであった。本ビフ
ィズス菌活性化物質の利用はヨーグルトなどの発酵食品
の製造において、短時間で菌濃度を高められることか
ら、培養、発酵時間を短縮させ生産効率の向上を計り、
なおかつビフィズス菌含有量の高い発酵食品の製造が可
能となることを示すものであった。
【0034】<実施例2> 1.ビフィズス菌活性化ヨーグルトの製造 ビフィズス菌を多く含有する食品としてはヨーグルトな
どの発酵乳が代表的な食品であるが、これらの食品中の
ビフィズス菌数は共存する乳酸菌の酸生成により製造直
後から急速に減少し、10℃の保存で1週間後にはほと
んど検出できなくなることが知られている。(湧口浩
也、酪農化学・食品の研究,VOL.33,A203-A212,1984
)。そこで実施例1で得たビフィズス菌活性化物質を
用いることによりビフィズス菌に酸耐性を持たせ、ヨー
グルト保存中のビフィズス菌の減少を抑えたヨーグルト
の作成を試みた。
【0035】供試検体 実施例1で得たビフィズス菌活性化物質を10%濃度に
なるよう減菌生理食塩水に溶解し、孔径0.22μmの
除菌フィルターで除菌した溶液を供試検体溶液とした。
【0036】供試菌体 実施例1に記載の供試菌体とそれを含むヨーグルトスタ
ーターABT−1(CHR.Hansen社製)を使用した。
【0037】発酵 加熱殺菌した牛乳約1リットルあたり80mgのスター
ターならびに供試検体(最終濃度: 0.08%, 0.15%, 0.3
%, 0.6%, 1.2% )を加え、撹拌後、直ちに100ml容
積のカップに分注した。アルミシールで密封し、40℃
で6時間発酵させた。供試検体溶液に代わり減菌生理食
塩水を加えたものを対照(コントロール)とした。発酵
終了直後、ならびに未開封のまま10℃で2週間保存し
たヨーグルトについて菌体数、pHおよび酸度を測定し
た。
【0038】菌体数:pHおよび酸度の測定 ビフィズス菌数は実施例1に記載した菌体数の測定法と
同一の測定法でヨーグルト単位体積あたりのビフィズス
菌数を算出した。乳酸菌数は乳酸菌選択培地(BCP加
プレートカウント寒天培地;栄研化学(株)製)を用
い、偏性嫌気的条件で培養すること以外はビフィズス菌
数の測定と同一の方法で菌数を測定した。尚、活性は培
養直後のコントロールの菌体数に対する倍数で表示し
た。また、pHはpHメーターで、酸度は滴定法で測定
した。
【0039】試験結果 ヨーグルトのビフィズス菌数、乳酸菌数、pHおよび酸
度を表3、表4、表5に示す。
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】
【表5】
【0043】表3から明らかなように、発酵直後のビフ
ィズス菌数は実施例1で得たビフィズス菌活性化物質の
添加量の増加にほぼ比例するように上昇し、0.3〜
1.2%でコントロールの1200〜1300倍強に達
していた。また、10℃で2週間保存した場合の生存率
はコントロールでは0.39%まで低下しているが、ビ
フィズス菌活性化物質の添加でビフィズス菌数の減少が
抑えられ、0.3〜1.2%の添加では若干の減少は認
められるものの生存率72〜75%の値を示し、発酵直
後の高い生菌数を維持していた。
【0044】一方、表4に示すように乳酸菌に対しては
ビフィズス菌のような顕著な増加は認められなかった
が、0.3〜1.2%の濃度で3.3〜3.4倍に菌数
を増加させており、2週間後の生存率は75〜90%で
著しい変化は認められなかった。この結果から本ビフィ
ズス菌活性化物質は乳酸菌に対しても若干の増殖促進作
用を有することが認められた。
【0045】また、ヨーグルトのpHおよび酸度は表5
に示すように本ビフィズス菌活性化物質の添加量の増加
にほぼ比例するように低下および上昇しており、乳酸菌
数の増加により酸性側へシフトしていると考えられる。
このように酸性側にシフトしているにも関わらずビフィ
ズス菌数は発酵直後、2週間保存後ともにコントロール
に比べ増加しており、本ビフィズス菌活性化物質はビフ
ィズス菌に耐酸性を持たせられることが明らかとなっ
た。以上の結果から本ビフィズス菌活性化物質はヨーグ
ルト中のビフィズス菌に対し短時間で極めて高い増殖促
進作用を示し、また、保存中のビフィズス菌数の低下を
抑制し発酵直後の高菌数を保持しておりヨーグルトなど
のビフィズス菌含有発酵食品のビフィズス菌の活性化に
極めて効果的に作用することを示すものであった。本ビ
フィズス菌活性化物質の利用はヨーグルトなどの発酵食
品の製造において、短時間で菌濃度を高められることか
ら、培養、発酵時間を短縮させ生産効率の向上を計り、
なおかつビフィズス菌の含有ならびに活性の高い発酵食
品の製造が可能となることを示すものであった。
【0046】<実施例3> 1.ビフィズス菌の凍結乾燥に及ぼす影響 本ビフィズス菌活性化物質を加えることにより、ビフィ
ズス菌に凍結乾燥耐性を持たせることが可能かどうかを
試験した。
【0047】供試検体 実施例1で得たビフィズス菌活性化物質を10%濃度に
なるよう減菌生理食塩水に溶解し、孔径0.22μmの
除菌フィルターで除菌した溶液を供試検体溶液とした
(実施例2の供試検体と同一)。
【0048】供試菌体 実施例1に記載の供試菌体とそれを含むヨーグルトスタ
ーターABT−1(CHR.Hansen社製)より分離したビフ
ィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lact
is)を使用した。
【0049】前培養 上記の各ビフィズス菌を下記表6に記載する前培養培地
に接種し、減菌流動パラフィンにて栓をした後、37℃
で24時間培養し、660nmの吸光度(石英セル、光
路長10mm)が0.5となるように減菌生理食塩水で
希釈し、各ビフィズス菌の前培養液とした。
【0050】
【表6】
【0051】本培養 110℃で10分間オートクレーブ減菌した10%スキ
ムミルク培地10mlに前培養液100μlを加え、さ
らに供試検体濃度が2.5%,5.0%となるように供
試検体溶液を加えた後、37℃で48時間培養した。培
養後、直ちに培養液1mlを取り、凍結乾燥ならびに培
養直後の菌体数測定に供した。供試検体溶液に代わり同
量の減菌生理食塩水を加えたものを対照(コントロー
ル)とした。
【0052】菌体数の測定 菌体数は培養直後の培養液および1mlの蒸留水に懸濁
した凍結乾燥物の懸濁液を適宣希釈し、うち100μl
を5%馬脱線維血液を含むBL寒天平板培地(栄研化学
(株)製)に塗抹し、嫌気的条件下で37℃、48時間
培養した。培養後出現したコロニ−数と希釈倍率の積を
求め、培養液中の単位体積あたりの菌体数を算出した。
算出した菌体数から以下の計算式によりビフィズス菌の
生存率LP(%)を算出した。 LP(%)=凍結乾燥後の菌体数/凍結乾燥前の菌体数
×100 *LP:ビフィズス菌生存率(%)
【0053】試験結果 上記の方法で算出したビフィズス菌の生菌数と生存率を
表7に示す。
【0054】
【表7】 凍結乾燥前後のビフィズス菌数
【0055】表7から明らかなように実施例で得たビフ
ィズス菌活性化物質は2.5%以上の添加で、凍結乾燥
後のビフィズス菌の生存率を約1000倍に増加させて
いた。この結果は、本ビフィズス菌活性化物質を用いる
ことにより、より活力(生菌数)の高い食品や医薬品用
のビフィズス菌を供することが可能となることを示すも
のであった。
【0056】<実施例4> 1.ビフィズス菌増殖促進作用の比較検討 実施例1で得たビフィズス菌活性化物質と市販のビフィ
ズス菌活性化物質(オリゴ糖類)の増殖促進効果につい
て比較検討した。
【0057】供試検体 検体1:実施例1で得たビフィズス活性化因子 検体2:キシロオリゴ糖を主成分とする市販品 検体3:フラクトオリゴ糖を主成分とする市販品 検体4:ラクトスクロースを主成分とする市販品 上記検体を10%濃度になるように生理食塩水に溶解
し、孔径0.22μmの除菌フィルターで除菌した溶液
を供試検体溶液とした。
【0058】 供試菌体 Bifidobacterium adolescentis(ATCC 15703) 理化学研究所より購入 Bifidobacterium bifidum(ATCC 11863) 同上 Bifidobacterium longum(ATCC 115707) 同上 Bifidobacterium breve(ATCC 15700) 同上 Bifidobacterium animalis(ATCC 25527) ヨーグルトスターターABT-1 より分離
【0059】前培養 上記の各ビフィズス菌を実施例3の表6に記載する組成
の前培養培地に接種し、減菌流動パラフィンにて栓をし
た後、37℃で24時間培養し、660nmの吸光度
(石英セル、光路長10mm)が0.5となるように減
菌生理食塩水で希釈し、各ビフィズス菌の前培養液とし
て調整した。
【0060】本培養 110℃で10分間オートクレーブ減菌した10%スキ
ムミルク培地10mlに前培養液100μlを加え、さ
らに供試検体濃度が0.6%(供試検体1については
0.3と0.6%)となるように供試検体溶液を加えた
後、37℃で24時間培養した。尚、供試検体溶液に代
わり同量の減菌生理食塩水を加えたものを対照(コント
ロール)とした。
【0061】菌体数の測定 菌体数は本培養直後の培養液および1mlの蒸留水に懸
濁した凍結乾燥物の懸濁液を適宣希釈し、うち100μ
lを5%馬脱線維血液を含むBL寒天平板培地(栄研化
学(株)製)に塗抹し、嫌気的条件下で37℃、48時
間培養した。培養後出現したコロニ−数と希釈倍率の積
を求め、培養液中の単位体積あたりの菌体数を算出し
た。算出した菌体数から以下の計算式によりビフィズス
菌の増殖促進活性RK(倍)を算出した。 RK(倍)=検体添加時の菌体数/対照の菌体数 RK:ビフィズス菌増殖促進活性
【0062】試験結果 上記の方法で算出したビフィズス菌増殖促進活性(倍)
を表8に示す。
【0063】
【表8】 ビフィズス菌活性化物質の各種ビフィズス菌
に及ぼす影響
【0064】表8から明らかなように実施例1で得たビ
フィズス菌活性化物質(検体1)はB.lactisに対し極め
て高い増殖促進作用(0.3%で223倍、0.6%で
270倍)を示した。このような高い増殖促進作用は現
在までのところ他に類がなく、B.lactisに対しては極め
て有効な活性化因子であると考えられる。またB.breve
に対しても0.3%で15.3倍、0.6%で17.5
倍の増殖促進作用を示し、さらにB.bifidum やB.longum
に対しても市販オリゴ糖類に比べより低い濃度で高い増
殖促進作用を示すことから、通常の市販オリゴ糖類に比
べ有効であることが判明した。以上の結果から本発明が
ビフィズス菌増殖促進剤として極めて有効であることが
確認された。
【0065】
【効果】本発明に係るビフィズス菌活性化物質は前記実
施試験で明らかになったように、ビフィズス菌に対して
特異的に高い増殖促進作用と耐酸性および耐乾燥性を付
与するビフィズス菌活性化因子である。
【0066】従って、これを有効成分として含有させれ
ば、有効性の高いビフィズス菌活性増殖剤を供すること
ができる。
【0067】また、本ビフィズス菌活性化物質をヨーグ
ルトなどの食品の製造過程で使用すれば、短時間で菌濃
度を高められることから、培養、発酵時間を短縮させ生
産効率の向上を図ることができる。
【0068】また、本ビフィズス菌活性化物質を含有さ
せた食品は、ビフィズス菌含有量の高い発酵食品となる
だけでなく、その耐酸性および耐乾燥性により、豊富な
ビフィズス菌のもたらす有効性が長期間継続維持できる
特性を持った製品となる。
【0069】つまり、本発明に係るビフィズス菌活性化
物質を用いることにより、より活力(生菌数)の高い食
品や医薬品用のビフィズス菌を供することが可能とな
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12G 3/02 119 C12G 3/02 119V C12N 1/20 C12N 1/20 A 1/38 1/38 //(C12N 1/20 C12R 1:01) (C12N 1/38 C12R 1:01)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酒粕からアルコールで抽出される分子量
    5000以下の化合物であることを特徴とするビフィズ
    ス菌活性化物質。
  2. 【請求項2】 酒粕からアルコールで抽出される分子量
    5000以下の化合物であるビフィズス菌活性化物質を
    有効成分として0.01〜5%(重量比)含有すること
    を特徴とするビフィズス菌活性増殖剤。
  3. 【請求項3】 酒粕からアルコールで抽出される分子量
    5000以下の化合物であるビフィズス菌活性化物質を
    ビフィズス菌とともに含有するようにしたことを特徴と
    するビフィズス菌入り医薬品。
  4. 【請求項4】 酒粕からアルコールで抽出される分子量
    5000以下の化合物であるビフィズス菌活性化物質を
    ビフィズス菌とともに含有するようにしたことを特徴と
    するビフィズス菌入り食品。
  5. 【請求項5】 酒粕からアルコールで抽出される分子量
    5000以下の化合物であるビフィズス菌活性化物質を
    ビフィズス菌とともに培養、または発酵させることを特
    徴とする医薬品の製造法。
  6. 【請求項6】 酒粕からアルコールで抽出される分子量
    5000以下の化合物であるビフィズス菌活性化物質を
    ビフィズス菌とともに培養または、発酵させることを特
    徴とする食品の製造法。
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