JP2001097870A - 乳酸菌を利用した胆汁酸の吸着方法 - Google Patents

乳酸菌を利用した胆汁酸の吸着方法

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JP2001097870A JP27929899A JP27929899A JP2001097870A JP 2001097870 A JP2001097870 A JP 2001097870A JP 27929899 A JP27929899 A JP 27929899A JP 27929899 A JP27929899 A JP 27929899A JP 2001097870 A JP2001097870 A JP 2001097870A
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bile acid
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Atsushi Yokota
篤 横田
Fusao Tomita
房男 冨田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 胆汁酸を吸着する方法及び胆汁酸吸着剤の提
供。 【解決手段】 炭素源の存在下で菌体内に胆汁酸を取り
込んで菌体外に胆汁酸を排出しないという性質を有する
乳酸菌を使用して胆汁酸を吸着する方法。上記乳酸菌を
使用する胆汁酸吸着剤。乳酸菌としては、ラクトバチル
ス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus) JCM-
1029株、ビフィドバクテリウム・ブレーベ (Bifidobact
erium breve)JCM-1192株等がある。また、胆汁酸吸着剤
としては、経口製剤や飲食品等の形態が挙げられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭素源の存在下で
菌体内に胆汁酸を取り込んで菌体外に胆汁酸を排出しな
いという性質を有する乳酸菌を使用する胆汁酸の吸着方
法及び吸着剤に関する。本発明によると、体内で胆汁酸
を乳酸菌に吸着させて体外に排泄させることができるの
で、その結果として、体内の血清コレステロール濃度を
低下させることができる。
【0002】
【従来の技術】大腸菌に関する Thanassi,D.G.らの報告
(J. Bacteriol., vol.179, pp.2512-2518, 1997)や Nei
sseria gonorrhoeaeに関する Hagman,K.E.らの報告(Mic
robiology, vol.143, pp.2117-2125, 1997) にあるよう
に、細菌には、菌体内に取り込んだコール酸を菌体外に
排出する機構、つまり、プロトン駆動力によって作動す
るコール酸の能動的な排出機構が存在する。また、ある
種の乳酸菌、例えば、ラクトコッカス(Lactococcus) 属
菌は菌体内に胆汁酸を取り込む活性を有し、同時に、取
り込んだ胆汁酸を菌体外に排出する活性をも有すること
が横田らにより報告されている (1998年日本生物工学会
乳酸菌工学研究部会要旨集) 。また、横田らは、胆汁酸
排出活性を示す乳酸菌に関して、胆汁酸排出活性をさら
に高めたラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lact
is) の変異株を取得している(特開平11-239476号)。
そして、このラクトコッカス(Lactococcus) 属菌に見ら
れる胆汁酸の排出機構は、プロトン駆動力によるもので
はなく、ATP駆動型のものであることが報告されてい
る。このような胆汁酸の排出機構を有する細菌は、菌体
内に胆汁酸を取り込むが、炭素源の存在下、取り込んだ
胆汁酸を菌体膜に局在する特異的な輸送体を介して能動
的に菌体外に胆汁酸を排出する。現在のところ、この細
菌が有する胆汁酸の能動的な排出機構が、胆汁酸耐性能
に深く関連しているものと考えられている。つまり、菌
体の胆汁酸排出能が高い程、菌体の胆汁酸耐性能が高い
傾向にあることが報告されている。
【0003】これまでに、腸内細菌等の胆汁酸耐性能に
注目した研究が精力的に行われているが、これらの研究
は、細菌の胆汁酸排出能と胆汁酸耐性能の関連に関する
ものであった。つまり、細菌の胆汁酸を取り込む能力に
注目した研究は行われていない現状にあった。そして、
これまでのところ、胆汁酸、特に脱抱合型の胆汁酸は自
身の極性が低いこともあり、腸内細菌等の細胞膜を単に
受動的な拡散により通過するものと考えられていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、能動的
な胆汁酸取り込み活性に注目しながら乳酸菌の研究を進
めていたところ、炭素源の存在下で菌体内に胆汁酸を取
り込んで菌体外に胆汁酸を排出しないという性質を有す
るラクトバチルス(Lactobacillus) 属菌やビフィドバク
テリウム(Bifidobacterium) 属菌等の乳酸菌を見出し
た。そして、これらの乳酸菌を使用することにより、胆
汁酸を菌体内に吸着させることができることを見出し、
本発明を完成するに至った。
【0005】したがって、本発明は、炭素源の存在下で
菌体内に胆汁酸を取り込んで菌体外に胆汁酸を排出しな
いという性質を有する乳酸菌を使用する胆汁酸の吸着方
法を提供することを課題とする。また、本発明は、この
ような性質を有する乳酸菌からなる胆汁酸吸着剤を提供
することを課題とする。本発明によると、胆汁酸、特に
脱抱合型の胆汁酸を能動的に菌体内に取り込んで菌体外
に胆汁酸を排出しないという性質を有する乳酸菌を利用
することにより、ヒト血清脂質の代謝改善やヒト大腸癌
の発生頻度の低減が可能となる。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、炭素源の存在
下で菌体内に胆汁酸を取り込んで菌体外に胆汁酸を排出
しないという性質を有する乳酸菌を使用することよりな
る胆汁酸の吸着方法に関する。また、本発明は、このよ
うな性質を有する乳酸菌からなる胆汁酸吸着剤に関す
る。本発明では、胆汁酸を吸着させるために、炭素源の
存在下で菌体内に胆汁酸を取り込んで菌体外に胆汁酸を
排出しないという性質を有する乳酸菌を使用する。
【0007】本発明で使用できる乳酸菌としては、ラク
トバチルス(Lactobacillus) 属菌やビフィドバクテリウ
(Bifidobacterium) 属菌等を挙げることができる。理
化学研究所微生物系統保存施設(JCM) に登録・保存され
ている菌株の中で、ラクトバチルス(Lactobacillus) 属
菌としては、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブス
ピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbruekii
subsp. bulgaricus)JCM-1002株、ラクトバチルス・ア
シドフィルス(Lactobacillus acidophilus)JCM-1028
株、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus
acidophilus)JCM-1034株、ラクトバチルス・サリバリウ
(Lactobacillus salivarius) JCM-1044株、ラクトバ
チルス・ヘルベチクス(Lactobacillus helveticus) JC
M-1062株、ラクトバチルス・ブヒネリ(Lactobacillus
buchneri) JCM-1115株、ラクトバチルス・マリ(Lactoba
cillus mali) JCM-1116株、ラクトバチルス・プランタ
ラム(Lactobacillus plantarum) JCM-1149株、ラクト
バチルス・サケイ(Lactobacillus sakei) JCM-1157株
等を使用することができ、また、ビフィドバクテリウム
(Bifidobacterium) 属菌としては、ビフィドバクテリウ
ム・ブレーベ(Bifidobacterium breve) JCM-1192株、
ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium
bifidum) JCM-1255株等を使用することができる。
【0008】これらの乳酸菌は、グルコース等の炭素源
が存在する条件下で胆汁酸を取り込んで菌体外に胆汁酸
を排出しないという性質を有する。そして、胆汁酸を取
り込んだ菌体の胆汁酸濃度は、胆汁酸を取り込む前に比
べて数倍高くなる。この胆汁酸の取り込み活性は、炭素
源が存在する条件下でのみ発現し、炭素源が存在しない
条件下では、胆汁酸取り込み活性は発現しない。また、
炭素源の供給を停止すると、炭素源の存在下で作動する
胆汁酸取り込み活性も停止する。したがって、胆汁酸の
取り込みは、炭素源の存在下で能動的に行われると考え
られる。
【0009】一方で、取り込んだ胆汁酸の排出系を有す
るラクトコッカス(Lactococcus) 属菌は、炭素源が存在
する条件下で菌体内に胆汁酸を取り込むが、同時に取り
込んだ胆汁酸を能動的に菌体外に排出する。これは、胆
汁酸を菌体外に排出する能力の方が、菌体内に胆汁酸を
取り込む能力よりもはるかに優っていて、見かけ上、胆
汁酸を排出するようになると考えられる。
【0010】また、本発明の胆汁酸吸着剤は、これらの
乳酸菌菌体、菌体を含む培養物、あるいは菌体がその活
性を保持している状態で含有されている製剤がある。ま
た、これらの乳酸菌菌体や菌体培養物等を飲食品のなか
に含有させてもよい。この製剤としては、粉剤、顆粒
剤、カプセル剤、錠剤、ドリンク剤等がある。また、飲
食品としては、発酵乳、チーズ、バター等の乳製品、ド
リンクヨーグルトや乳酸菌飲料等の飲料、バターケーキ
等の菓子やパン類等、種々のものがある。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明では、炭素源の存在下で菌
体内に胆汁酸を取り込んで菌体外に胆汁酸を排出しない
という性質を有する乳酸菌を使用して、胆汁酸を吸着す
る。具体的な使用法としては、例えば、炭素源の存在下
で菌体内に胆汁酸を取り込んで菌体外に胆汁酸を排出し
ないという性質を有する乳酸菌を菌体として、あるいは
この菌体を含む培養物として、顆粒状等の製剤やこれら
を添加した飲食品の形態で摂取させ、腸管内で胆汁酸を
菌体内に取り込んで吸着させることにより、腸管内の胆
汁酸量を低減させる。顆粒状等の製剤は、粉末が知られ
ている普通の方法で製造できるし、また、飲食品は、発
酵乳、チーズ、バター等の乳製品、ドリンクヨーグル
ト、乳酸菌飲料等の飲料等を挙げることができる。
【0012】本発明で使用する乳酸菌がヒト腸管内に存
在する胆汁酸を能動的に取り込み、これにより取り込ま
れた胆汁酸が菌体内で濃縮されて糞便中に排泄され、胆
汁酸の体外への排泄量が増加する。そして、体外に排泄
される胆汁酸量が増加すると胆汁酸の体内での生合成
量、つまり肝臓におけるコレステロールから胆汁酸への
異化作用が亢進すると共に、LDL レセプターを介しての
血中からの LDL取り込みが亢進し、これが血清コレステ
ロールを低下させる要因となる(TIBTECH, vol.12, pp.6
-8, 1994) 。
【0013】このように、胆汁酸の体外への排泄量を増
加させることが血清コレステロール濃度の低下につなが
るという作用機序は、既に高脂血症薬として臨床的に使
用されている「コレスチラミン」の作用機序であり、し
たがって、上記の性質を有する乳酸菌を使用して胆汁酸
を吸着し除去することで、同様の効果が期待できる。
【0014】また、一般的に大腸内において、胆汁酸、
特に極性のより低い二次胆汁酸が増加すると、上皮細胞
が損傷し、その結果、大腸癌の発癌リスクが高まること
が報告されている。したがって、上記の性質を有する乳
酸菌を使用して胆汁酸を吸着し除去することで、大腸内
の二次胆汁酸濃度を低下できれば、その結果として、大
腸癌の発癌リスクを低減することができる。
【0015】次に実施例及び比較例を示し、本発明をさ
らに詳しく説明する。なお、胆汁酸取り込み活性は、以
下に示す方法で測定した。乳酸菌を市販の MRS培地又は
市販の GAM培地で一夜培養した。これらの培地の組成は
次のとおりである。
【0016】MRS培地(1リットル) ペプトン 10 g 肉エキス 10 g 酵母エキス 5 g リン酸水素 2カリウム 2 g クエン酸 2アンモニウム 2 g グルコース 20 g ツイーン80 1 g 酢酸ナトリウム 5 g 硫酸マグネシウム(7水和物) 0.58g 硫酸マンガン(4水和物) 0.28g
【0017】GAM培地(1リットル) ペプトン 10 g プロテオースペプトン 10 g ソイペブトン 3 g 可溶性デンプン 5 g グルコース 3 g システイン塩酸塩 0.3 g 酵母エキス 5 g 肝臓エキス末 1.2 g 肉エキス末 2.2 g 消化血清末 13.5 g チオグリコール酸ナトリウム 0.3 g リン酸 2水素ナトリウム 2.5 g
【0018】次に、2代目の培養物を調製し、培養液の
濁度(660nmにおける吸光度) が 0.6になった時点で菌体
を遠心分離によって回収した。回収した菌体を1mM硫酸
マグネシウムを含む50mMリン酸カリウム緩衝液(pH 7.0)
で洗浄し、その後、洗浄した菌体を同じ緩衝液中に再懸
濁した。この菌体懸濁液に 10mM 2-deoxyglucoseを加え
て30分間静置することで、菌体の細胞膜を脱エネルギー
状態とした。そして、静置した菌体懸濁液を遠心操作し
て菌体を回収し、さらに1mM硫酸マグネシウムを含む50
mMリン酸カリウム緩衝液(pH 7.0)で菌体を洗浄した。そ
の後、洗浄した菌体を同じ緩衝液中に再懸濁し、菌体懸
濁液の濁度が8になるよう調整した。
【0019】このようにして調製した菌体懸濁液96μl
に6mMコール酸溶液(14Cで標識したコール酸、16mCi/
mmol) 2μl を加えて15分間静置した後、1Mグルコース
溶液1μl を加えて胆汁酸取り込み活性の測定を開始し
た。一定時間経過後、 100mM塩酸リチウムを含む 100mM
リン酸カリウム緩衝液3mlを加えて反応を停止し、その
後、反応溶液をセルロースアセテート膜(pore size:0.
45μm)で濾過し、膜上に留まった放射能量をシンチレー
ションカウンターで測定した。また、対照として、グル
コースを加えないものについても同様に放射能量を測定
した。
【0020】
【実施例1】ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactoba
cillus acidophilus) JCM-1028 株について、胆汁酸取
り込み活性を測定した。その結果を図1に示す。グルコ
ースは反応開始後15分の時点で添加した。グルコースを
加えない菌体懸濁液では、菌体内に胆汁酸が取り込まれ
ず菌体内のコール酸濃度は変化しなかった。一方、グル
コースを加えた菌体懸濁液では、速やかに菌体内にコー
ル酸が取り込まれコール酸濃度は約7倍に上昇した。菌
体懸濁液に添加したグルコースがほぼ消費されたと考え
られる時点(反応時間30分の時点)以降は、コール酸の
受動的な排出が発生し、その結果、菌体内のコール酸濃
度は徐々に低下した。
【0021】
【実施例2】ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidob
acterium breve) JCM-1192 株について、胆汁酸取り込
み活性を測定した。その結果を図2に示す。グルコース
は反応開始後15分の時点で添加した。実施例1と同様、
グルコースを加えない菌体懸濁液では、菌体内に胆汁酸
が取り込まれず菌体内のコール酸濃度は変化しなかっ
た。一方、グルコースを加えた菌体懸濁液では、速やか
に菌体内にコール酸が取り込まれコール酸濃度は約7倍
に上昇した。菌体懸濁液に添加したグルコースがほぼ消
費されたと考えられる時点(反応時間60分の時点)以降
は、コール酸の受動的な排出が発生し、その結果、菌体
内のコール酸濃度は徐々に低下した。
【0022】
【比較例1】胆汁酸取り込み活性を有すると共に胆汁酸
排出活性を有することが知られているラクトコッカス(L
actococcus) 属菌のラクトコッカス・ラクチス(Lactoco
ccuslactis) MG1363株について、胆汁酸取り込み活性を
測定した。その結果を図3に示す。
【0023】グルコースは反応開始後15分の時点で添加
した。グルコースを加えない菌体懸濁液では、菌体内に
胆汁酸が取り込まれず菌体内のコール酸濃度は変化しな
かった。一方、グルコースを加えた菌体懸濁液では、グ
ルコースを加えると同時に菌体内のコール酸濃度がゼロ
付近まで低下した。これは、菌体がグルコースの存在下
で菌体内に存在するコール酸を能動的に排出したことに
よる。この現象は、実施例1のラクトバチルス・アシド
フィルス(Lactobacillus acidophilus) JCM-1028 株や
実施例2のビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobac
terium breve)JCM-1192 株では見られない現象であっ
た。
【0024】菌体懸濁液に加えたグルコースが全て消費
されると、このエネルギーに依存する能動的な胆汁酸排
出系が停止し、それに代わって菌体内への胆汁酸取り込
み活性が生じた。この現象は、乳酸菌の膜の内外に電気
化学的ポテンシャルが生じた場合に観察されることが知
られている。グルコースを加えることによって電気化学
的ポテンシャルが形成されるが、グルコース存在下では
膜上の胆汁酸排出ポンプが能動的に作動しているため、
見かけ上、胆汁酸が菌体内から排出されている状態とな
る。そして、グルコースが完全に消費されると、胆汁酸
の能動的な排出ポンプは停止するが、膜を介しての電気
化学的ポテンシャルは直ちには消滅しないため、引き続
き胆汁酸取り込み活性が観察される。この胆汁酸取り込
み活性は、グルコースが完全に消費された後、膜を介し
ての電気化学的ポテンシャルが消滅した時点で完全に停
止する。
【0025】この比較例により、ラクトコッカス(Lacto
coccus) 属菌には胆汁酸の能動的な排出機構が存在する
が、ラクトバチルス(Lactobacillus) 属菌及びビフィド
バクテリウム(Bifidobacterium) 属菌には胆汁酸の排出
機構が存在しないか、存在したとしてもラクトコッカス
Lactococcus) 属菌の排出機構よりも、その排出活性
が極端に弱いことが明らかになった。その結果、乳酸菌
の膜を介して電気化学的ポテンシャルが存在した場合、
ラクトバチルス(Lactobacillus) 属菌及びビフィドバク
テリウム(Bifidobacterium) 属菌では菌体内に胆汁酸が
取り込まれることが明らかになった。なお、本発明のラ
クトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブ
ルガリクス(Lactobacillus delbruekii subsp.bulgari
cus) JCM-1002 株では約6倍、ラクトバチルス・アシド
フィルス(Lactobacillus acidophilus) JCM-1034 株で
は約2倍、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacil
lus salivarius) JCM-1044株では約7倍、ラクトバチル
ス・ヘルベチクス(Lactobacillus helveticus)JCM-1062
株では約3倍、ラクトバチルス・ブヒネリ(Lactobacil
lus buchneri)JCM-1115 株では約2倍、ラクトバチルス
・マリ(Lactobacillus mali) JCM-1116 株では約10倍、
ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantar
um) JCM-1149株では約4倍、ラクトバチルス・サケイ(L
actobacillus sakei) JCM-1157株では約6倍、また、ビ
フィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bif
idum) JCM-1255株では約4倍、それぞれ菌体内に取り込
まれたコール酸温度が上昇した。
【0026】
【実施例3】ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactoba
cillus acidophilus) JCM-1028 株、及びビフィドバク
テリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve) JCM-119
2 株の配合錠剤の製造 ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acid
ophilus) JCM-1028 株、及びビフィドバクテリウム・ブ
レーベ(Bifidobacterium breve) JCM-1192 株を MRS培
地に接種し、37℃で18〜24時間静置培養した。培養後、
遠心分離によってそれぞれの菌体を回収した。5%蔗
糖、5%可溶性デンプン、5%グルタミン酸ナトリウ
ム、及び1%硫酸マグネシウム7水和物を含む分散媒中
に菌体を混合し、混合液のpHを7.0 に調整した後、混合
物を凍結乾燥した。それぞれの凍結乾燥物を粉末化して
乾燥菌体粉末を調製した。
【0027】このようにして調製したそれぞれの乾燥菌
体粉末2mg(生菌数は 1×109 程度)に乳糖(61mg)、デン
プン(116.2mg) 、ポリビニルピロリドンK25(20mg) 、及
びステアリン酸マグネシウム(0.8mg) を加えて均一に混
合し、打錠機で圧縮成形して乳酸菌乾燥粉末を含む2種
類の胆汁酸吸着剤の錠剤(1錠あたり200mg)を製造し
た。
【0028】
【実施例4】ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactoba
cillus acidophilus) JCM-1028 株、及びビフィドバク
テリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve) JCM-119
2 株を含む発酵乳の製造 0.5 %酵母エキスを添加した11.5%無脂乳固形からなる
脱脂乳培地を用いてラクトバチルス・アシドフィルス(L
actobacillus acidophilus) JCM-1028 株、ビフィドバ
クテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve) JCM-1
192 株、及びストレプトコッカス・サーモフィルス(Str
eptococcus thermophilus) JCM-10658株を31℃で20時
間培養して複合菌スターターを調製した。培養後の乳酸
酸度は1.30%、pHは4.40であり、菌数はラクトバチルス
・アシドフィルス(Lactobacillusacidophilus) JCM-102
8 株が 2.3×108 、また、ビフィドバクテリウム・ブレ
ーベ(Bifidobacterium breve) JCM-1192 株が 5.5×10
8 、また、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Strep
tococcus thermophilus) JCM-10658 株が 2.8×108
あった。
【0029】牛乳 4.4リットルに脱脂粉乳50g を添加し
て撹拌した後、60〜70℃の温度で均質処理 (均質圧は10
0kg/cm2 から270kg/cm2)を行なった。この均質乳を90〜
95℃で5〜10分間保持して加熱殺菌した後、38℃に冷却
した。この殺菌乳に、前記の複合菌スターターを500ml
添加し、容器に充填して38℃で5時間発酵させた後10℃
以下に冷却して、胆汁酸の吸着能を有するラクトバチル
ス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus) JCM
-1028 株、及びビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifid
obacterium breve) JCM-1192 株を含む発酵乳を得た。
【0030】
【発明の効果】本発明の方法によると、炭素源の存在下
で菌体内に胆汁酸を取り込んで菌体外に胆汁酸を排出し
ないという性質を有する乳酸菌を使用して、体内で胆汁
酸を菌体内に取り込ませて吸着させることができるの
で、脂質代謝、特に血清コレステロール濃度を低下させ
たり、大腸癌の発癌リスクを低減させたりすることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacill
us acidophilus) JCM-1028 株の胆汁酸取り込み活性を
示す。
【図2】ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacte
rium breve) JCM-1192 株の胆汁酸取り込み活性を示
す。
【図3】ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lact
is) MG1363株の胆汁酸取り込み活性を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C12N 1/20 (C12N 1/20 C12R 1:23) C12R 1:23) (C12N 1/20 (C12N 1/20 C12R 1:01) C12R 1:01) (72)発明者 冨田 房男 北海道札幌市西区発寒4条西5丁目7−8 Fターム(参考) 4B065 AA21X AA30X AC16 BB15 CA42 CA44 CA60 4C087 AA01 AA02 BC56 BC58 BC59 BC60 CA09 CA10 MA01 MA52 NA14 ZA45 ZC33

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素源の存在下で菌体内に胆汁酸を取り
    込んで菌体外に胆汁酸を排出しないという性質を有する
    乳酸菌を使用することを特徴とする胆汁酸の吸着方法。
  2. 【請求項2】 炭素源が、グルコースである請求項1記
    載の方法。
  3. 【請求項3】 乳酸菌が、ラクトバチルス(Lactobacill
    us) 属菌又はビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)
    属菌である請求項1又は2記載の方法。
  4. 【請求項4】 炭素源の存在下で菌体内に胆汁酸を取り
    込んで菌体外に胆汁酸を排出しないという性質を有する
    乳酸菌からなることを特徴とする胆汁酸吸着剤。
  5. 【請求項5】 吸着剤が、乳酸菌菌体、菌体を含む培養
    物、これらの経口製剤及びこれらを添加した飲食品のう
    ちから選択される形態である請求項4記載の吸着剤。
JP27929899A 1999-09-30 1999-09-30 乳酸菌を利用した胆汁酸の吸着方法 Withdrawn JP2001097870A (ja)

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