JP4719850B2 - ビフィズス菌増殖促進性組成物 - Google Patents

ビフィズス菌増殖促進性組成物 Download PDF

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Description

本発明は新規なビフィズス菌増殖促進性組成物に関する。詳しくは、酸性条件下でも有効に機能できる新規なビフィズス菌増殖促進性組成物に関する。本発明に係るビフィズス菌増殖促進性組成物は、紅藻類アマノリ属であるノリ(海苔)から採取できる。
ビフィズス菌増殖促進物質は、体内の腸内細菌叢を改善し、アレルギー、抗腫瘍性、免疫機能強化、便秘症の改善、血清コレステロール低下機能などの健康機能を発現することにより、多くの飲料や食品の原料に用いられている。また、腸内細菌がビフィズス菌増殖促進物質を資化することにより生成する短鎖脂肪酸は、病原菌の生育の抑制、カルシウムの吸収促進、腸の蠕動機能の向上などの機能性を示す。
従来から、ビフィズス菌増殖促進物質として多くのものが公表されている。例えば、酵母エキス、N−アセチルグルコサミン含有糖類、カゼイン分解物、単糖類、オリゴ糖などの少糖類、シクロデキストリンやコンニャクマンナンなどの多糖類がビフィズス菌増殖促進物質として知られている。
特開平7−51057号公報 特開平5−15366号公報 特開平6−12571号公報 特開平7−267866号公報 特開平8−173151号公報 特開平8−196268号公報 特開平10−1437号公報 特開2001−46055号公報 特開2002−193903号公報 恒星社厚生閣発行「改訂水産化学」391〜392頁 食品化学新聞社発行「FOOD Style21」1997年7月号の25 〜27頁
従来から、ビフィズス菌の増殖促進性組成物に関する発明は多数特許出願されている。その数例を挙げれると以下のとおりである。すなわち、特許文献1には、海洋性微細藻類の藻体からの抽出物よりなる乳酸菌及びビフィズス菌の増殖促進物質含有物について記載されている。しかし、特許文献1のビフィズス菌の増殖促進物質含有物は、海洋性微細藻類の藻体、特にクリプトコティニウム属の藻類から抽出したものであって、特許文献1には、紅藻類アマノリ属であるノリ由来の抽出物やその成分であるグリセロールガラクトシドのことは何ら記載されていない。また、特許文献2には、酒粕水抽出物及び/又はこれを有効成分とする乳酸菌及びビフィズス菌の増殖促進剤について、特許文献3には、コーヒーノキ属植物の葉からの抽出物を主成分とする乳酸菌及びビフィズス菌の増殖促進剤について、さらに、特許文献4には、N−アセチルノイラミン酸及び/又はシアリルラクトースを有効成分とする乳酸菌及びビフィズス菌の増殖促進剤について、それぞれ記載されている。さらに、特許文献5には、天然ゴムの樹液からラテックスを分離した母液物(NRS)又はその分解物もしくはこれらの混合物を有効成分とするビフィズス菌の増殖促進剤について、特許文献6及び特許文献7には、カカオ豆及び/又はその外皮の溶媒抽出残渣もしく水不溶性繊維を有効成分とする、ビフィズス菌を含む乳酸菌の増殖促進物質について、それぞれ記載されている。また、特許文献8には、ゲオトリウム・キャンディダムの培養物から得られるビフィドバクテリウム属菌の増殖促進用組成物について記載されている。さらに、特許文献9には、2−アミノ−3−カルボキシ−1,4−ナフトノキンを有効成分とするビフィズス菌増殖促進用組成物について記載されている。しかし、これらの特許文献には、紅藻類アマノリ属であるノリ由来の抽出物やその成分であるグリセロールガラクトシドがビフィズス菌の増殖促進に有用であることは何ら開示されていない。
また、非特許文献1には、グリセリンにガラクトースが結合したガラクトシドが海藻から分離され、フロリドシドと名付けられたこと、及び、フロリドシドは、ツノマタ、ダルス、トサカノリなどの紅藻に広く分布することが判明した旨が記載されているが、それがビフィズス菌の増殖促進に有用であることは何ら開示されていない。さらに、非特許文献2には、藻類の生理活性物質と機能性について解説されているが、紅藻類アマノリ属であるノリ由来の抽出物やその成分であるグリセロールガラクトシドのことは何ら記載されていない。
現在ビフィズス菌増殖促進物質として最も幅広く使用されているフラクトオリゴ糖は、酸により分解されやすいため、酸性の飲料や食品に使用した場合、保存中に分解されるおそれがあり、添加物として使用できる範囲が限られている。そのため、ビフィズス菌増殖促進性物質として、他の菌よりもビフィズス菌に対して強い増殖促進作用を有し、かつ、耐酸性の強いものが求められている。
上記の状況に鑑み、本発明は、新規にして耐酸性の強いビフィズス菌増殖促進を提供することを第1の課題とする。また、本発明は、紅藻類アマノリ属であるノリ(海苔)を原料として、新規にして耐酸性の強いビフィズス菌増殖促進を提供することを第2の課題とするものである。
上記の課題を解決するための本発明のうち、特許請求の範囲・請求項1に記載する発明は、グリセロールガラクトシドよりなるか又は採取若しくは合成されたグリセロールガラクトシドを有効成分とするビフィズス菌増殖促進である。
同請求項2に記載する発明は、グリセロールガラクトシドが紅藻類アマノリ属であるノリから採取したものである請求項1に記載のビフィズス菌増殖促進である。
また、同請求項3に記載する発明は、タンパク質含量が30%以下のノリから採取したものである請求項2に記載のビフィズス菌増殖促進である。
さらに、同請求項4に記載する発明は、pH4以下の酸性飲料又は酸性食品に添加して用いる請求項1から3のいずれかに記載のビフィズス菌増殖促進である。
本発明に係るビフィズス菌増殖促進性組成物は、強力なビフィズス菌増殖促進機能を有すると共に、強い耐酸性を有する。そのため、本発明に係るビフィズス菌増殖促進性組成物を摂取すると、胃液では分解されず、ビフィズス菌が生息する大腸にそのまま到達するので、ビフィズス菌の増殖を大いに促進することができる。しかも、酸性飲料や酸性食品に添加して保存しても分解されず、効力を持続できる。このように、本発明に係るビフィズス菌増殖促進性組成物は、ビフィズス菌増殖促進能を酸性条件下において十分に発揮できる。また、無色無臭であり、弱い甘みを有するだけである。そのため、本発明に係るビフィズス菌増殖促進性組成物は、ビフィズス菌増殖促進剤として、各種の食品や飲料にビフィズス菌増殖促進用の添加物として用いることができる。具体的には、酸性の清涼飲料や果実飲料、酸性乳飲料、酸性食品などに好適に用いることができる。また、ヨーグルト類、菓子類やダイエット甘味料などに添加しても強力なビフィズス菌の増殖促進作用を示す。さらに、魚介類や家畜類の飼料や餌料に添加しても有用である。その他、製剤化して直接服用することも可能である。
また、本発明に係るビフィズス菌増殖促進性組成物は、紅藻類アマノリ属であるノリから好適に採取できるので、本発明によってノリの活用方法を大きく拡げることができる。特に、本発明によって、タンパク質含量が少ないため従来は廃棄されていた低品質のノリをビフィズス菌の増殖促進作用素材として活用する途が開かれたことの意義は大きい。
本発明者らは、ノリに含まれる糖質について、鋭意研究した結果、ノリに含まれるグリセロールガラクトシド(フロリドシド、イソフロリドシドの混合物)が強いビフィズス菌増殖促進能を有することを見いだし、しかも、タンパク質含量が低くて食用に適さないノリには、このグリセロールガラクトシドが、食用として供されるノリの10倍程度含有されていることを発見し、本発明を完成するに至った。
グリセロールガラクトシドは、ガラクトースのα−1−水酸基とグリセリンの水酸基がグリコシド結合して形成される。このように、グリセリンにガラクトースが縮合結合した特異的構造を有するグリセロールガラクトシドは、紅藻類の中に、フロリドシド(2−O−グリセロール−α−D−ガラクトシド)、イソフロリドシド(1−O−グリセロール−α−D−ガラクトシド)として、わずかに含まれていることが報告されているが、そのビフィズス菌増殖促進作用についてはこれまで全く知られていなかった(非特許文献1)。
海藻の糖質に関しては、アルギン酸、フコイダン、寒天、カラギーナンなどの粘質多糖類が、ゲル化剤として、また、抗腫瘍性・血清コレステロール低下能などを有する機能性素材として、食品をはじめさまざまな産業分野で使用されている。ノリに含まれる糖質についても、その粘質多糖ポルフィランに関して、産業上の利用は進んでいないが、さまざまな生理機能性、物理化学的機能性が報告されている(非特許文献2)。
しかし、現在のところ、ノリからビフィズス菌の増殖促進作用を有する物質は見いだされていない。ノリに含まれる難消化性糖質としては、これまで上記ポルフィランの他にマンナン、キシランとされており、これらに関してのビフィズス菌増殖促進能が調べられている。その報告によれば、ポルフィランには増殖促進能が認められず、マンナン、キシランに関しては、1種類のビフィズス菌にのみ弱い発酵能が認められただけである。また、ポルフィランをポルフィラン分解酵素により分解したポルフィラン由来オリゴ糖にも、ビフィズス菌増殖促進能は認められていない。
ノリは日本において盛んに養殖されているが、近年、珪藻プランクトンの発生に伴う養殖海域の栄養塩の減少に伴って色落ちと呼ばれる低品質のノリが多量に発生しており、社会問題にもなっている。このような低品質のノリは、タンパク質含量、アミノ酸含量が低く、しかも、外観の黒みが乏しいため、食用に適さず、その多くが廃棄処分されている。これら低品質のノリの有効利用は、水産業にとって重要な課題である。
ノリは、生育環境によりそのタンパク質含量が乾燥重量当たり12〜45%と大きく変動する。本発明の新規なビフィズス菌増殖促進性組成物であるグリセロールガラクトシドは、ノリから抽出するのが最適であるが、グリセロールガラクトシドはタンパク質含量が低いノリに多く含まれているので、タンパク質含量の低いノリを原料とすることが好ましい。ノリのタンパク質含量とグリセロールガラクトシド含量とは、図4に示すように、負の相関関係があり、ノリのタンパク質含量が低いほどグリセロールガラクトシドの含量が多くなるため、本発明では、原料としてタンパク質含量が30%以下(図4から推定するとグリセロールガラクトシド含量4.5%以上)、好ましくは25%以下(同7.5%以上)のノリを使用するとよい。
以下、ノリ由来グリセロールガラクトシドの好ましい抽出方法を説明する。
ノリ由来グリセロールガラクトシドは、原料であるノリの乾燥物をエタノール又は水により加熱抽出し、その抽出物から中性糖を採取することにより得ることができる。エタノール抽出の場合は、75v/v %エタノールをノリの濃度が5〜25w/v %となるように加え、温度20〜85℃、30分間〜5時間にて抽出する。抽出液を濾過し、抽出残渣については同様の抽出操作を繰り返す。次いで、全濾液を20〜50℃にて減圧濃縮する。さらに、濃縮液に含まれるクロロフィルなどの脂溶成分をジエチルエーテルにて抽出除去する。このグリセロールガラクトシドを含む濃縮液を陽イオン交換樹脂、次いで、陰イオン交換樹脂により分離・精製することで、グリセロールガラクトシドを得ることができる。精製後のグリセロールガラクトシドは、白色の結晶であり、強い吸湿性を示し、乾燥させても粉末状にはなりにくい。少量の水に溶解し、溶けるとシロップ状を呈する。
ビフィズス菌増殖促進性組成物として有用なグリセロールガラクトシドは、生ノリに限らず、ノリの乾燥物(板状のノリ、ノリの粉末など。いわゆる「海苔」として製品化されているものも含む。)からも採取できる。また、上記のノリ由来のものに限らず、グリセロールガラクトシドであれば、どのような原料から製したものでもよい。グリセロールガラクトシドは、ノリに限らず、紅藻類に広く分布することが知られている。具体的には、石灰藻、ヒカゲノイト、ツノマタ、トサカノリ、ダルスなどから少量ずつ採取できる。また、ビフィズス菌増殖促進性組成物として有用なグリセロールガラクトシドは、どのような方法で製したものでもよく、例えば、酵素反応或いは化学反応により合成されたものでも差し支えない。
グリセロールガラクトシドは、後記試験例に示すとおり、消化酵素によって分解されない。また、胃液と同じ条件であるpH2、37℃における100分間の反応によって分解が認められないので、胃液でも分解されないものと推定される。このように、グリセロールガラクトシドは強い耐酸性を有する。また、グリセロールガラクトシドは、反転腸試験の結果、小腸において能動輸送されず、濃度勾配による受動輸送によって小腸へごくわずかに吸収されるのみである。これらのことから、グリセロールガラクトシドは、摂取量のほとんどが、消化酵素で分解されず、小腸でも吸収されずに回腸、大腸に到達するものと認められる。
このように、本発明に係るビフィズス菌増殖促進性組成物であるグリセロールガラクトシドは、強い耐酸性を有するので、pH4以下の酸性飲料又は酸性食品に添加しても保存中に分解するおそれがない。なお、市販の酸性飲料は、例えば、グレープフルーツジュースでpH3.3程度、黒酢ドリンクでpH3.2程度であるから、本発明に係るビフィズス菌増殖促進性組成物は、ほとんどの酸性飲料ないし酸性食品に添加しても、その効力を安定に持続できる。また、本発明に係るビフィズス菌増殖促進性組成物は、無色無臭であり、弱い甘みがあるだけなので、各種の食品や飲料に添加してもほとんど味に影響を与えない。そのため、本発明に係るビフィズス菌増殖促進性組成物の好ましい用法は、ビフィズス菌増殖促進剤として、酸性飲料をはじめとする各種飲料や食品に添加したり、製剤化して直接服用することである。また、魚介類や家畜類(養鶏を含む)の飼料や餌料に混じて供与することもできる。
すなわち、本発明のビフィズス菌増殖促進性組成物を適宜の担体(例えば、でんぷん、コーンスターチ、カルボキシルメチルセルロース、乳糖など)と組み合わせて製剤化し、ビフィズス菌増殖促進剤として、直接に服用するようにしてもよい。この場合、グリセロールガラクトシドを資化するビフィズス菌と一緒に製剤化してもよいし、ビフィズス菌の増殖に必要な他の素材と合わせて製剤化してもよい。剤型としては、散剤、液剤、錠剤など任意の形態を採ることができる。なお、投与量や投与方法は、患者の年齢・体重・症状や使用目的などに応じて適宜定めればよく、一定ではない。
以下、実施例と試験例によって本発明をさらに説明する。
<ノリ由来グリセロールガラクトシドの抽出方法>
(1)抽出・濃縮
タンパク質含量25%のノリ乾燥粉末(熊本県のノリ養殖業者が生産した乾燥ノリを500μm以下に粉砕した粉末)150gに、75v/v %エタノール1Lを加え、90℃の水浴中で30分間加熱した。抽出液は5B濾紙で吸引濾過した。残渣に対して同様の抽出を2回繰り返した。各濾液を約250mLまで減圧濃縮し、ジエチルエーテル250mLによる脂溶成分の抽出除去を2回行なった。各濃縮液を合わせ、60℃にて減圧濃縮し、100mLに定容した。
(2)イオン成分除去
この濃縮液100mLのうち20mLを分取し、これを、強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学ダイヤイオン:HPK25)を充填したカラムと強塩基性陰イオン交換樹脂(三菱化学ダイヤイオン:HPK75)を充填したカラムを連結したものに負荷し(各カラム長30cm、内径2cm)、蒸留水にて、流速1mL/分にて展開し、イオン成分を除去した。流出液は0〜400mLを分取した。このイオン交換カラムによるイオン成分除去操作を計3回、濃縮液合計60mLについて行なった。全流出液を合わせ、60℃で約30mLに減圧濃縮した。この濃縮液を凍結乾燥したところ、8.9gの乾燥物を得た。原料としたノリ乾燥物粉末からの収率は9.9%であった。
(3)HPLC分析
この乾燥物の0.1%水溶液を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて分析した結果、RT16.5分に1本のピークが出現していることが判った。そこで、この0.1%水溶液に1N塩酸を加え、121℃で20分間加熱後のサンプルについて、HPLC分析した。その結果、RT19.3分にガラクトースのピークが、RT20.6分付近にグリセリンのピークが出現していることが判明した。また、そのピーク比から、モル比1対1で結合していることが判った。なお、HPLC分析の際、カラムとしてCARBOSep CHO-411(TRANSGENOMIC 社製) を使用し、カラム温度75℃、移動相として蒸留水を使用し、流速0.5mL/分、注入量10μLにて測定を行なった。
(5)判定
以上から、この乾燥物は、グリセロールガラクトシド(2−O−グリセロール−α−D−ガラクトシド、1−O−グリセロール−α−D−ガラクトシド)を主成分とするものであると判断された。グリセロールガラクトシドの純度は、この乾燥物の0.1%水溶液に1N塩酸を加え、また、121℃で20分間加熱することで、加水分解によって生じるガラクトース量を測定することにより求めた。ガラクトース量測定の際は、酵素法によるガラクトース測定キット(ロッシュ製Fキット)を使用した。その結果、この乾燥物におけるグリセロールガラクトシドの純度は、93.5%であった。
試験例1
<腸内細菌の資化性試験>
(1)試験方法
ヒト由来腸内細菌の代表株17株(理化学研究所微生物系統保存施設保存菌株)を用いてグリセロールガラクトシドの資化性について試験を行なった。グリセロールガラクトシドは実施例1の方法によって作ったものを用いた。なお、比較のため、グルコースについても同様の試験を行なった。
まず、供試菌株を変法GAMブイヨンにて嫌気培養した。培養は、アネロパック(三菱ガス化学株式会社製)を用いた嫌気ジャー(同)により、37℃で24〜48時間嫌気的に行なった。嫌気培養した菌液をGAM糖分解用半流動1/4培地へ接種し、37℃で4日間嫌気培養した。この菌液0.3mLを、濃度が0.5%となるようにグリセロールガラクトシド又はグルコースを添加したGAM糖分解用半流動1/4培地へ接種し、37℃で7日間嫌気培養した後、培養液のpHを測定した。対照として、糖質を添加していないGAM糖分解用半流動1/4培地について同様の試験を行なった。
(2)判定基準
供試菌株による資化性(すなわち増殖促進能)の有無又は強弱は、以下の基準により判定した。すなわち、pHの低下の尺度として、△pHを次式により算出した。
この△pHが正であり、その値が大きいほど、すなわちpHの低下が大きいほど、資化性が大きいと判断した。
(3)試験結果
試験の結果を表1に示す。
表1から、腸内有用細菌ビフィズス菌であるビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)
属5株のうち、ビフィドバクテリム・ブレベ(Bifidobacterium breve) 、ビフィドバクテリム・ロングム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリム・アドレスセンテス(Bifidobacterium adolescentis)の4株に対する資化性(すなわち増殖促進能)が、他の菌株と比較して非常に大きいことが判る。また、グリセロールガラクトシドとグルコースの△pHを比較するために、△pH(グルコース)−△pH(グルセロールガラクトシド)の値を表1に示しているが、強い増殖促進能が認められた上記4株は、この値が、−0.04〜0.3となっており、グリセロールガラクトシドがグルコースとほぼ同等に資化されることが判る。
(4)所見
以上の結果から、グリセロールガラクトシドは、腸内有用細菌ビフィズス菌であるビフィドバクテリウム属5株のうち、4株に対して、他の細菌と比較して特異的に強い増殖促進能力を有することが明らかとなった。
試験例2
<ヒト唾液由来α−アミラーゼによる加水分解試験>
(1)試験方法
ヒト唾液由来のα−アミラーゼ(SIGMA社製) を40unit添加した緩衝液(0.9mMのCaCl を含む45mMビス−トリス緩衝液、pH6.0)2mLに、実施例1の方法によって作ったグリセロールガラクトシドを0.2g添加し、37℃で30分間反応させた。加熱失活後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で加水分解により生成したガラクトース量を測定した。カラムはCARBOSep CHO-411(TRANSGENOMIC 社製) を使用し、カラム温度75℃、移動相として蒸留水を使用し、流速0.5mL/分、注入量10μLにて測定を行なった。
(2)試験結果
測定の結果、加水分解によるガラクトースの生成は認められなかった(分解率は3%以下)。
(3)所見
この結果から、グリセロールガラクトシドは、ヒト唾液由来α−アミラーゼにより加水分解されにくいことが確認された。
試験例3
<胃酸による加水分解試験>
(1)試験方法
実施例1の方法によって作ったグリセロールガラクトシド0.1gを16.7mMのHCl−KCl緩衝液(pH2.0)1mLに溶かし、37℃で100分間反応させた後、HPLCで、加水分解により生成したガラクトース量を測定した。HPLCの分析条件は試験例2と同じである。
(2)試験結果
測定の結果、加水分解によるガラクトースの生成は認められなかった(分解率は3%以下)。
(3)所見
この結果から、グリセロールガラクトシドは、胃酸により加水分解されにくいことが確認された。また、このことは、グリセロールガラクトシドが酸に対して強い抵抗性があることを示すものである。
試験例4
<膵液α−アミラーゼによる加水分解試験>
(1)試験方法
豚膵液由来のα−アミラーゼ(ベーリンガー・マンハイム山之内製)を80unit添加した緩衝液(0.9MのCaCl を含む45mMビス−トリス緩衝液、pH6.6)2mLに、実施例1の方法によって作ったグリセロールガラクトシドを0.2g添加し、37℃で6時間反応させた。加熱失活後、HPLCで、加水分解により生成したガラクトース量を測定した。HPLCの分析条件は試験例2と同じである。
(2)試験結果
測定の結果、加水分解によるガラクトースの生成は認められなかった(分解率は3%以下)。
(3)所見
この結果から、グリセロールガラクトシドは、膵液α−アミラーゼにより加水分解されにくいことが確認された。
試験例5
<小腸粘膜酵素による加水分解試験>
(1)試験方法
ラット小腸アセトン粉末(SIGMA社製) を20unit(1unitは、5%マルトースから、1分間に1μモルのグルコースを生成するラット小腸アセトン粉末量)添加した緩衝液(45mMマレイン酸緩衝液、pH6.6)2mLに、グリセロールガラクトシド(実施例1の方法で作ったもの)を0.2g添加し、37℃で3時間反応させた。加熱失活後、HPLCで、加水分解により生成したガラクトース量を測定した。HPLCの分析条件は試験例2と同じである。
(2)試験結果
測定の結果、加水分解によるガラクトースの生成は認められなかった(分解率は3%以下)。
(3)所見
この結果から、グリセロールガラクトシドは、小腸粘膜酵素により加水分解しにくいことが確認された。
試験例2〜同5では、HPLC測定でのガラクトース検出限界は0.002%であるため、分解率を「3%以下」と算出したが、その計算は次式によるものである。
すなわち、各試験例では、分解液を100倍に希釈し、使用したサンプルの濃度は10%w/v であるから、
グリセロールガラクトシドが分解した場合の検出限界
=HPLCのガラクトース検出限界0.002%
×グリセロールガラクトシドとガラクトースのモル比1.411=0.0028%
グリセロールガラクトシドの分解率
=0.0028%×100/0.1=2.822%
すなわち、グリセロールガラクトシドが3%以上分解しないと、ガラクトースの生成は検出できないことになる。
試験例6
<反転腸を用いた小腸吸収試験>
(1)試験方法
試験前夜から絶食させたwister系オスラット5週齢を屠殺後、小腸を取り出した。その空腸部分を約10cm切り取り、先端を丸くしたガラス棒を差し込み、先端を木綿糸で縛り、腸管をガラス棒にそって裏返し、腸管の端を木綿糸できつく縛った。この結び目から約5cmのところをカミソリで切断し、緩衝液(炭酸水素ナトリウム2.1g/L、塩化カルシウム2水和物0.373g/Lを添加したクレブス・ヘンセライト(Krebs Henseleit) 緩衝溶液 (SIGMA 社製) 、pH7.4) 1mLを注射器で腸管内へ注入した。なお、このクレブス・ヘンセライト緩衝溶液は、グルコースを0.2w/v %含んでいる。この注射筒を抜くと同時に木綿糸でかたく縛った。
グリセロールガラクトシド(実施例1の方法で作ったもの)を0.3w/v %含む緩衝液を6mL入れた試験管の中に、作成した反転腸を浸し、37℃の恒温槽で1時間インキュベートした。インキュベート中は5%CO /95%O ガスでバブリングした。インキュベート終了後、反転腸内と試験管浴液中のグリセロールガラクトシドの濃度を測定した。また、比較のため、小腸で吸収される糖質であるグルコースに関してもその濃度を測定した。グリセロールガラクトシド量は、サンプル溶液0.2mLに対して2N塩酸を10μL添加し、121℃で20分間加熱後、2N水酸化ナトリウム10μLを添加して中和してガラクトース測定キット(ロッシュ製Fキット)により、ガラクトース量を測定した。得られたガラクトース量に1.411及び1.1(希釈倍率)を掛けたものがグリセロールガラクトシド量となる。グルコース量は、グルコースCIIテストワコーを用いて測定した。

(2)試験結果
測定結果は表2に示すとおりである。表2から、グルコースは、インキュベート前が試験管溶液、反転腸内部溶液共に0.2w/v %であったものが、インキュベート後は小腸細胞による能動輸送により試験管溶液中のグルコースが反転腸内部に急速に輸送されることで、その濃度が50%以下となり、反転腸内部の濃度は2倍近い値まで上昇していた。これに対してグリセロールガラクトシドは、インキュベート前が試験管溶液0.3w/v %、反転腸内部溶液で0w/v %であったものが、インキュベート後は試験管溶液中は0.3w/v %と濃度変化しておらず、反転腸内部溶液の濃度はわずか0.03w/v %であった。これは、試験管溶液に含まれるグリセロールガラクトシド量の1/60にすぎない。このことから、グリセロールガラクトシドは、グルコースのように能動輸送されず、単に濃度勾配による拡散により、細胞間の隙間を通り、小腸内部にごくわずか輸送されることが確認された。
(3)所見
以上の結果から、グリセロールガラクトシドは、小腸ではほとんど吸収されないことが確認された。
試験例7
<ノリ乾燥物のビフィズス菌増殖促進能確認試験その1>
(1)試験方法
ビフィズドバクテリア属5株に対するノリ乾燥物の増殖促進能について試験した。
まず、熊本県のノリ養殖業者が生産した乾燥ノリを500μm以下に粉砕して、タンパク質含量25%と41%の2種類のノリ乾燥物粉末を作った。供試菌株を変法GAMブイヨンにて嫌気培養した。培養は、アネロパック(三菱ガス化学株式会社製)を用いた嫌気ジャー(同)により、37℃で24時間嫌気的に行なった。嫌気培養した菌液をGAM糖分解用半流動1/2培地へ接種し、37℃で4日間嫌気培養した。次いで、GAM糖分解用半流動1/2培地30mLに、ノリ乾燥物粉末を5w/v %となるように添加し、115℃で15分間滅菌後、この培養液に、嫌気培養した菌液0.75mLを接種した。37℃で4日間嫌気培養した後、培養液のpHを測定した。対照として、ノリ乾燥物粉末を添加していないGAM糖分解用半流動1/2培地について同様の試験を行なった。
(2)判定基準
供試菌株により資化性(すなわち増殖促進機能)の有無又は強弱は、試験例1で用いた基準にしたがった。ただし、ノリの添加によって、培養前のpHが若干異なることから、以下の式を用いることとした。
(3)試験結果
試験の結果を表3に示す。表3から、タンパク質含量25%のノリ乾燥物粉末は、腸内有用細菌ビフィズス菌であるビフィドバクテリウム(Bifidobacterium) 属5株のうち、ビフィドバクテリム・ブレベ(Bifidobacterium breve) 、ビフィドバクテリム・ロングム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリム・アドレスセンテス(Bifidobacterium adolescentis)の4株に対する資化性(すなわち増殖促進能)が非常に大きいことが判明した。これに対して、タンパク質含量41%のノリ乾燥物粉末に対する資化性は認められなかった。
(4)所見
以上の結果から、ノリ乾燥物のうち、タンパク質含量の低いものは、腸内有用細菌ビフィズス菌に対して強い増殖促進能を有しており、ビフィズス菌増殖促進素材として使用できることが明らかとなった。
試験例8
<ノリ乾燥物のビフィズス菌増殖促進能確認試験その2>
(1)試験方法
上記ビフィズス菌増殖促進能がノリ乾燥物中に含まれるどの物質に由来するのかを確認するために、以下の試験をした。
タンパク質含量25%のノリ乾燥物粉末(500μm以下)50gを7%ホルマリン溶液750mLに加え、液温25℃で24時間浸漬した。これに蒸留水250mLを追加して沸騰水浴中で24時間熱水抽出した。この抽出液を9000rpmで20分間の遠心分離を行い、上澄みを珪藻土にて吸引濾過し、濾液をpH7〜8に調整後、65℃にて約250mLまで減圧濃縮した。この濃縮液のうち、5mLについて0.8M塩化ナトリウム溶液を移動相として、ゲル濾過クロマトグラフィー(東ソー:HW−40F)に通し、溶出液を20mLごとに分画した。
次に、各分画についてビフィズス菌発酵能を調べた。すなわち、各分画を減圧濃縮後、Sephadex G-10(Amersham Biosciences社製) カラムにて脱塩し(カラム長30cm、カラム内径2cm)、3mLに減圧濃縮した。これに、GAM糖分解用半流動培地3mLを加え、115℃で15分間滅菌した後、GAM糖分解用半流動1/2培地にて4日間前培養したビフィドバクテリウム・アドレスセンテス培養液0.2mLを接種し、37℃で4日間の嫌気培養を行なった。対照として、3%の食塩水3mLについて同様の操作をした。(2)判定基準
ビフィドバクテリウム・アドレスセンテスの増殖の程度は、培養後の対照のpHから各サンプルのpHを差し引き、その差である△pHが大きいほど、より増殖していると判断した。
(3)試験結果
試験の結果を図1に示す。図1から、280〜360mL付近にかけて△pHのピークが見られ、ビフィドバクテリウム・アドレスセンテス増殖促進作用のある物質が溶出していることが判った。このピークが、グリセロールガラクトシドによるものであるか否か、以下の試験例によって確認した。
試験例9
<ノリ乾燥物のビフィズス菌増殖促進能確認試験その3>
(1)試験方法
試験例8のとおり、ゲル濾過クロマトグラフィーにおける各分画を減圧濃縮後、Sephadex G-10(Amersham Biosciences社製) カラムにて脱塩し(カラム長30cm、カラム内径2cm)、3mLに減圧濃縮後、115℃で15分間滅菌した。次に、0.2μmフィルターにて濾過滅菌した2%酵素液を1mL添加した。酵素液は、セルラーゼオノズカ12S(ヤクルト薬品工業製)0.6gを酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液(pH6)30mLに溶かして調整した。なお、グリセロールガラクトシドは、セルラーゼオノズカ12Sを、長期間作用させた場合、加水分解され、ガラクトースが生成されることが本発明者らによって既に確認されている。
酵素液添加後、45℃にて7日間インキュベートし、各分画のガラクトース濃度をガラクトース測定キット(ロッシュ製Fキット)により測定した。また、参考までに、各分画の全糖量をフェノール硫酸法にて測定した。
(2)試験結果
試験の結果を図1に示す。図1には、各分画の全糖量をフェノール硫酸法にて測定した結果を併せて示した。図1から、酵素による加水分解によって生成するガラクトース濃度は、280〜360mL付近において明瞭なピークを示した。この生成ガラクトースノピーク位置と△pHのピーク位置は一致していることから、ノリの熱水抽出物において、ビフィドバクテリウム・アドレスセンテスの増殖促進作用を示した糖質は、グリセロールガラクトシドであることが判明した。
(3)所見
上記の結果から、試験例7において、タンパク質含量25%のノリ乾燥物が示した強いビフィズス菌増殖促進機能は、グリセロールガラクトシドによるものであることが確認できた。
試験例10
<ノリのタンパク質含量とグリセロールガラクトシド含量の関係確認試験>
(1)試験方法
タンパク質含量の異なるノリ乾燥物10種類について以下の試験を行い、それぞれのグリセロールガラクトシド含量を測定した。すなわち、ノリ乾燥物5gに、75v/v %エタノール100mLを加え、90℃の水浴中で30分間加熱した。抽出液は5B濾紙で吸引濾過した。残渣に対して75v/v %エタノール50mLにより、同様の抽出を2回繰り返した。各濾液を約50mLまで減圧濃縮し、ジエチルエーテル100mLによる脂溶成分の抽出除去を2回行なった。各濃縮液を合わせ、60℃にて減圧濃縮し、50mLに定容した。これを0.4μmフィルターで濾過した試料をHPLCにより分析し、RT16.5付近のピーク面積を測定した。グリセロールガラクトシド0.1w/v %溶液を標準として、各試料中のグリセロールガラクトシド量を求めた。
(2)試験結果
試験の結果を図2に示す。図2から、ノリのタンパク質含量とグリセロールガラクトシド含量の間に負の相関が認められた。すなわち、タンパク質含量が低いほど、グリセロールガラクトシド含量は急増する。特に、タンパク質含量が20%以下の場合、グリセロールガラクトシド含量は10%を超え、タンパク質含量が17%の場合、グリセロールガラクトシド含量は15%にまで達することが判明した。
(3)所見
上記の結果から、ノリのうち、タンパク質含量が低いものはグリセロールガラクトシドを豊富に含むため、強いビフィズス菌増殖促進能を有することが明らかとなった。すなわち、タンパク質含量が低いノリはビフィズス菌増殖促進物質の良好な原料となり得ることが確認された。具体的には、タンパク質含量が30%以下、好ましくは20%以下のノリはビフィズス菌増殖促進物質の良好な原料となり得ることが理解できた。
以下、本発明の実施例として、グリセロールガラクトシドを添加した酸性飲料や酸性食品の製造例を示す。これらの酸性飲料や酸性食品中でグリセロールガラクトシドは分解されることがなく、その効力を維持した状態で保存し得ることが確認されている。
<グレープフルーツジュースの製造方法>
グレープフルーツジュース(pH3.31)100mLにグリセロールガラクトシドシロップ(70% w/v)(実施例1でノリ乾燥粉末から抽出して得たグリセロールガラクトシドの乾燥物70gを清水に溶解して100mLに調整したもの)6mLを溶解し、80℃で20分間殺菌した。
得られたグレープフルーツジュースは、グレープフルーツ本来の味を損なうことなく、風味もよく、美味である。また、ビフィズス菌増殖促進作用を有する美容飲料、健康飲料としても好適である。さらに、10℃以下で7日間保存してもグリセロールガラクトシドは分解されず、酸性飲料中で効力を維持したまま保存可能であることが確認された。
<グレープフルーツゼリーの製造方法>
グレープフルーツジュース(pH3.31)250g、グラニュー糖30g、レモン汁10mL、グリセロールガラクトシドシロップ(70% w/v)(実施例2で用いたもの)5mLに熱湯30mLで溶かしたゼラチン5gを加えた後、80℃で20分間殺菌し、その後冷却した。
得られたグレープフルーツゼリーは、グレープフルーツ本来の味を損なうことなく、風味も良好である。また、ビフィズス菌増殖促進作用を有する美容食品、健康食品としても有用である。
<コーヒーゼリーの製造方法>
インスタントコーヒー(pH4.37)2g、清水250mL、グラニュー糖30g、グリセロールガラクトシドシロップ(70% w/v)(実施例2で用いたもの)5mLに熱湯30mLで溶かしたゼラチン5gを加えた後、80℃で20分間殺菌し、その後冷却した。
得られたコーヒーゼリーは、コーヒー本来の味を損なうことなく、風味も良好である。また、ビフィズス菌増殖促進作用を有する美容食品、健康食品としても有用である。
<ヨーグルトゼリーの製造方法>
プレーンヨーグルト(pH4.07)250gに牛乳25mL、グラニュー糖30g、レモン汁10mLを加えて攪拌し、pH2.82のヨーグルト混合物を作った。この混合物にグリセロールガラクトシドシロップ(70% w/v)(実施例2で用いたもの)5mLとバニラエッセンス少々、及び熱湯30mLで溶かしたゼラチン5gを加えた後、80℃で20分間殺菌し、その後冷却した。
得られたヨーグルトゼリーは、ヨーグルト本来の味を損なうことなく、風味も良好である。また、ビフィズス菌増殖促進作用を有する美容食品、健康食品としても有用である。さらに10℃で7日間保存してもグリセロールガラクトシドは分解されず、ヨーグルトゼリー中で効力を維持したまま保存可能であることが確認された。
産業上の利用性
以上、詳細に説明したとおり、本発明に係るビフィズス菌増殖促進性組成物は、強力なビフィズス菌増殖促進能を有し、特に、酸性下で分解されず、ビフィズス菌増殖促進能を酸性条件において十分に発揮できる。そのため、本発明に係るビフィズス菌増殖促進性組成物は、各種の酸性食品や酸性飲料にビフィズス菌増殖促進剤として添加して用いることができる。具体的には、酸性の清涼飲料や果実飲料、酸性乳飲料などに好適に用いることができる。また、ヨーグルト類、菓子類、ダイエット甘味料などに添加しても強力なビフィズス菌の増殖促進作用を示す。さらに、魚介類や家畜類の飼料や餌料に添加しても有用である。その他、適当な担体と組み合わせてビフィズス菌増殖促進剤として製剤化し、服用ないし供与してもよい。
また、本発明に係るビフィズス菌増殖促進性組成物は、紅藻類アマノリ属であるノリから好適に採取できるので、本発明によってノリの活用の途を大きく拡げることができる。特に、本発明により、タンパク質含量が少ないため従来は廃棄されていた低品質のノリをビフィズス菌の増殖促進作用素材として活用する途が開かれたことの意義は大きい。
ノリのビフィズス菌増殖促進能がグリセロールガラクトシドによるものであることを示すグラフ(試験例8、9に対応) ノリ中のタンパク質含量とグリセロールガラクトシド含量の関係を示すグラフ(試験例10に対応)

Claims (4)

  1. グリセロールガラクトシドよりなるか又は採取若しくは合成されたグリセロールガラクトシドを有効成分とするビフィズス菌増殖促進
  2. グリセロールガラクトシドが紅藻類アマノリ属であるノリから採取したものである請求項1に記載のビフィズス菌増殖促進
  3. タンパク質含量が30%以下のノリから採取したものである請求項2に記載のビフィズス菌増殖促進
  4. pH4以下の酸性飲料又は酸性食品に添加して用いる請求項1から3のいずれかに記載のビフィズス菌増殖促進
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