JP4719850B2 - ビフィズス菌増殖促進性組成物 - Google Patents
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Description
ノリ由来グリセロールガラクトシドは、原料であるノリの乾燥物をエタノール又は水により加熱抽出し、その抽出物から中性糖を採取することにより得ることができる。エタノール抽出の場合は、75v/v %エタノールをノリの濃度が5〜25w/v %となるように加え、温度20〜85℃、30分間〜5時間にて抽出する。抽出液を濾過し、抽出残渣については同様の抽出操作を繰り返す。次いで、全濾液を20〜50℃にて減圧濃縮する。さらに、濃縮液に含まれるクロロフィルなどの脂溶成分をジエチルエーテルにて抽出除去する。このグリセロールガラクトシドを含む濃縮液を陽イオン交換樹脂、次いで、陰イオン交換樹脂により分離・精製することで、グリセロールガラクトシドを得ることができる。精製後のグリセロールガラクトシドは、白色の結晶であり、強い吸湿性を示し、乾燥させても粉末状にはなりにくい。少量の水に溶解し、溶けるとシロップ状を呈する。
以下、実施例と試験例によって本発明をさらに説明する。
(1)抽出・濃縮
タンパク質含量25%のノリ乾燥粉末(熊本県のノリ養殖業者が生産した乾燥ノリを500μm以下に粉砕した粉末)150gに、75v/v %エタノール1Lを加え、90℃の水浴中で30分間加熱した。抽出液は5B濾紙で吸引濾過した。残渣に対して同様の抽出を2回繰り返した。各濾液を約250mLまで減圧濃縮し、ジエチルエーテル250mLによる脂溶成分の抽出除去を2回行なった。各濃縮液を合わせ、60℃にて減圧濃縮し、100mLに定容した。
(2)イオン成分除去
この濃縮液100mLのうち20mLを分取し、これを、強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学ダイヤイオン:HPK25)を充填したカラムと強塩基性陰イオン交換樹脂(三菱化学ダイヤイオン:HPK75)を充填したカラムを連結したものに負荷し(各カラム長30cm、内径2cm)、蒸留水にて、流速1mL/分にて展開し、イオン成分を除去した。流出液は0〜400mLを分取した。このイオン交換カラムによるイオン成分除去操作を計3回、濃縮液合計60mLについて行なった。全流出液を合わせ、60℃で約30mLに減圧濃縮した。この濃縮液を凍結乾燥したところ、8.9gの乾燥物を得た。原料としたノリ乾燥物粉末からの収率は9.9%であった。
(3)HPLC分析
この乾燥物の0.1%水溶液を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて分析した結果、RT16.5分に1本のピークが出現していることが判った。そこで、この0.1%水溶液に1N塩酸を加え、121℃で20分間加熱後のサンプルについて、HPLC分析した。その結果、RT19.3分にガラクトースのピークが、RT20.6分付近にグリセリンのピークが出現していることが判明した。また、そのピーク比から、モル比1対1で結合していることが判った。なお、HPLC分析の際、カラムとしてCARBOSep CHO-411(TRANSGENOMIC 社製) を使用し、カラム温度75℃、移動相として蒸留水を使用し、流速0.5mL/分、注入量10μLにて測定を行なった。
(5)判定
以上から、この乾燥物は、グリセロールガラクトシド(2−O−グリセロール−α−D−ガラクトシド、1−O−グリセロール−α−D−ガラクトシド)を主成分とするものであると判断された。グリセロールガラクトシドの純度は、この乾燥物の0.1%水溶液に1N塩酸を加え、また、121℃で20分間加熱することで、加水分解によって生じるガラクトース量を測定することにより求めた。ガラクトース量測定の際は、酵素法によるガラクトース測定キット(ロッシュ製Fキット)を使用した。その結果、この乾燥物におけるグリセロールガラクトシドの純度は、93.5%であった。
(1)試験方法
ヒト由来腸内細菌の代表株17株(理化学研究所微生物系統保存施設保存菌株)を用いてグリセロールガラクトシドの資化性について試験を行なった。グリセロールガラクトシドは実施例1の方法によって作ったものを用いた。なお、比較のため、グルコースについても同様の試験を行なった。
まず、供試菌株を変法GAMブイヨンにて嫌気培養した。培養は、アネロパック(三菱ガス化学株式会社製)を用いた嫌気ジャー(同)により、37℃で24〜48時間嫌気的に行なった。嫌気培養した菌液をGAM糖分解用半流動1/4培地へ接種し、37℃で4日間嫌気培養した。この菌液0.3mLを、濃度が0.5%となるようにグリセロールガラクトシド又はグルコースを添加したGAM糖分解用半流動1/4培地へ接種し、37℃で7日間嫌気培養した後、培養液のpHを測定した。対照として、糖質を添加していないGAM糖分解用半流動1/4培地について同様の試験を行なった。
(2)判定基準
供試菌株による資化性(すなわち増殖促進能)の有無又は強弱は、以下の基準により判定した。すなわち、pHの低下の尺度として、△pHを次式により算出した。
試験の結果を表1に示す。
表1から、腸内有用細菌ビフィズス菌であるビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)
属5株のうち、ビフィドバクテリム・ブレベ(Bifidobacterium breve) 、ビフィドバクテリム・ロングム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリム・アドレスセンテス(Bifidobacterium adolescentis)の4株に対する資化性(すなわち増殖促進能)が、他の菌株と比較して非常に大きいことが判る。また、グリセロールガラクトシドとグルコースの△pHを比較するために、△pH(グルコース)−△pH(グルセロールガラクトシド)の値を表1に示しているが、強い増殖促進能が認められた上記4株は、この値が、−0.04〜0.3となっており、グリセロールガラクトシドがグルコースとほぼ同等に資化されることが判る。
(4)所見
以上の結果から、グリセロールガラクトシドは、腸内有用細菌ビフィズス菌であるビフィドバクテリウム属5株のうち、4株に対して、他の細菌と比較して特異的に強い増殖促進能力を有することが明らかとなった。
(1)試験方法
ヒト唾液由来のα−アミラーゼ(SIGMA社製) を40unit添加した緩衝液(0.9mMのCaCl2 を含む45mMビス−トリス緩衝液、pH6.0)2mLに、実施例1の方法によって作ったグリセロールガラクトシドを0.2g添加し、37℃で30分間反応させた。加熱失活後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で加水分解により生成したガラクトース量を測定した。カラムはCARBOSep CHO-411(TRANSGENOMIC 社製) を使用し、カラム温度75℃、移動相として蒸留水を使用し、流速0.5mL/分、注入量10μLにて測定を行なった。
(2)試験結果
測定の結果、加水分解によるガラクトースの生成は認められなかった(分解率は3%以下)。
(3)所見
この結果から、グリセロールガラクトシドは、ヒト唾液由来α−アミラーゼにより加水分解されにくいことが確認された。
(1)試験方法
実施例1の方法によって作ったグリセロールガラクトシド0.1gを16.7mMのHCl−KCl緩衝液(pH2.0)1mLに溶かし、37℃で100分間反応させた後、HPLCで、加水分解により生成したガラクトース量を測定した。HPLCの分析条件は試験例2と同じである。
(2)試験結果
測定の結果、加水分解によるガラクトースの生成は認められなかった(分解率は3%以下)。
(3)所見
この結果から、グリセロールガラクトシドは、胃酸により加水分解されにくいことが確認された。また、このことは、グリセロールガラクトシドが酸に対して強い抵抗性があることを示すものである。
(1)試験方法
豚膵液由来のα−アミラーゼ(ベーリンガー・マンハイム山之内製)を80unit添加した緩衝液(0.9MのCaCl2 を含む45mMビス−トリス緩衝液、pH6.6)2mLに、実施例1の方法によって作ったグリセロールガラクトシドを0.2g添加し、37℃で6時間反応させた。加熱失活後、HPLCで、加水分解により生成したガラクトース量を測定した。HPLCの分析条件は試験例2と同じである。
(2)試験結果
測定の結果、加水分解によるガラクトースの生成は認められなかった(分解率は3%以下)。
(3)所見
この結果から、グリセロールガラクトシドは、膵液α−アミラーゼにより加水分解されにくいことが確認された。
(1)試験方法
ラット小腸アセトン粉末(SIGMA社製) を20unit(1unitは、5%マルトースから、1分間に1μモルのグルコースを生成するラット小腸アセトン粉末量)添加した緩衝液(45mMマレイン酸緩衝液、pH6.6)2mLに、グリセロールガラクトシド(実施例1の方法で作ったもの)を0.2g添加し、37℃で3時間反応させた。加熱失活後、HPLCで、加水分解により生成したガラクトース量を測定した。HPLCの分析条件は試験例2と同じである。
(2)試験結果
測定の結果、加水分解によるガラクトースの生成は認められなかった(分解率は3%以下)。
(3)所見
この結果から、グリセロールガラクトシドは、小腸粘膜酵素により加水分解しにくいことが確認された。
すなわち、各試験例では、分解液を100倍に希釈し、使用したサンプルの濃度は10%w/v であるから、
グリセロールガラクトシドが分解した場合の検出限界
=HPLCのガラクトース検出限界0.002%
×グリセロールガラクトシドとガラクトースのモル比1.411=0.0028%
グリセロールガラクトシドの分解率
=0.0028%×100/0.1=2.822%
すなわち、グリセロールガラクトシドが3%以上分解しないと、ガラクトースの生成は検出できないことになる。
(1)試験方法
試験前夜から絶食させたwister系オスラット5週齢を屠殺後、小腸を取り出した。その空腸部分を約10cm切り取り、先端を丸くしたガラス棒を差し込み、先端を木綿糸で縛り、腸管をガラス棒にそって裏返し、腸管の端を木綿糸できつく縛った。この結び目から約5cmのところをカミソリで切断し、緩衝液(炭酸水素ナトリウム2.1g/L、塩化カルシウム2水和物0.373g/Lを添加したクレブス・ヘンセライト(Krebs Henseleit) 緩衝溶液 (SIGMA 社製) 、pH7.4) 1mLを注射器で腸管内へ注入した。なお、このクレブス・ヘンセライト緩衝溶液は、グルコースを0.2w/v %含んでいる。この注射筒を抜くと同時に木綿糸でかたく縛った。
グリセロールガラクトシド(実施例1の方法で作ったもの)を0.3w/v %含む緩衝液を6mL入れた試験管の中に、作成した反転腸を浸し、37℃の恒温槽で1時間インキュベートした。インキュベート中は5%CO2 /95%O2 ガスでバブリングした。インキュベート終了後、反転腸内と試験管浴液中のグリセロールガラクトシドの濃度を測定した。また、比較のため、小腸で吸収される糖質であるグルコースに関してもその濃度を測定した。グリセロールガラクトシド量は、サンプル溶液0.2mLに対して2N塩酸を10μL添加し、121℃で20分間加熱後、2N水酸化ナトリウム10μLを添加して中和してガラクトース測定キット(ロッシュ製Fキット)により、ガラクトース量を測定した。得られたガラクトース量に1.411及び1.1(希釈倍率)を掛けたものがグリセロールガラクトシド量となる。グルコース量は、グルコースCIIテストワコーを用いて測定した。
(2)試験結果
測定結果は表2に示すとおりである。表2から、グルコースは、インキュベート前が試験管溶液、反転腸内部溶液共に0.2w/v %であったものが、インキュベート後は小腸細胞による能動輸送により試験管溶液中のグルコースが反転腸内部に急速に輸送されることで、その濃度が50%以下となり、反転腸内部の濃度は2倍近い値まで上昇していた。これに対してグリセロールガラクトシドは、インキュベート前が試験管溶液0.3w/v %、反転腸内部溶液で0w/v %であったものが、インキュベート後は試験管溶液中は0.3w/v %と濃度変化しておらず、反転腸内部溶液の濃度はわずか0.03w/v %であった。これは、試験管溶液に含まれるグリセロールガラクトシド量の1/60にすぎない。このことから、グリセロールガラクトシドは、グルコースのように能動輸送されず、単に濃度勾配による拡散により、細胞間の隙間を通り、小腸内部にごくわずか輸送されることが確認された。
(3)所見
以上の結果から、グリセロールガラクトシドは、小腸ではほとんど吸収されないことが確認された。
(1)試験方法
ビフィズドバクテリア属5株に対するノリ乾燥物の増殖促進能について試験した。
まず、熊本県のノリ養殖業者が生産した乾燥ノリを500μm以下に粉砕して、タンパク質含量25%と41%の2種類のノリ乾燥物粉末を作った。供試菌株を変法GAMブイヨンにて嫌気培養した。培養は、アネロパック(三菱ガス化学株式会社製)を用いた嫌気ジャー(同)により、37℃で24時間嫌気的に行なった。嫌気培養した菌液をGAM糖分解用半流動1/2培地へ接種し、37℃で4日間嫌気培養した。次いで、GAM糖分解用半流動1/2培地30mLに、ノリ乾燥物粉末を5w/v %となるように添加し、115℃で15分間滅菌後、この培養液に、嫌気培養した菌液0.75mLを接種した。37℃で4日間嫌気培養した後、培養液のpHを測定した。対照として、ノリ乾燥物粉末を添加していないGAM糖分解用半流動1/2培地について同様の試験を行なった。
(2)判定基準
供試菌株により資化性(すなわち増殖促進機能)の有無又は強弱は、試験例1で用いた基準にしたがった。ただし、ノリの添加によって、培養前のpHが若干異なることから、以下の式を用いることとした。
試験の結果を表3に示す。表3から、タンパク質含量25%のノリ乾燥物粉末は、腸内有用細菌ビフィズス菌であるビフィドバクテリウム(Bifidobacterium) 属5株のうち、ビフィドバクテリム・ブレベ(Bifidobacterium breve) 、ビフィドバクテリム・ロングム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリム・アドレスセンテス(Bifidobacterium adolescentis)の4株に対する資化性(すなわち増殖促進能)が非常に大きいことが判明した。これに対して、タンパク質含量41%のノリ乾燥物粉末に対する資化性は認められなかった。
(4)所見
以上の結果から、ノリ乾燥物のうち、タンパク質含量の低いものは、腸内有用細菌ビフィズス菌に対して強い増殖促進能を有しており、ビフィズス菌増殖促進素材として使用できることが明らかとなった。
(1)試験方法
上記ビフィズス菌増殖促進能がノリ乾燥物中に含まれるどの物質に由来するのかを確認するために、以下の試験をした。
タンパク質含量25%のノリ乾燥物粉末(500μm以下)50gを7%ホルマリン溶液750mLに加え、液温25℃で24時間浸漬した。これに蒸留水250mLを追加して沸騰水浴中で24時間熱水抽出した。この抽出液を9000rpmで20分間の遠心分離を行い、上澄みを珪藻土にて吸引濾過し、濾液をpH7〜8に調整後、65℃にて約250mLまで減圧濃縮した。この濃縮液のうち、5mLについて0.8M塩化ナトリウム溶液を移動相として、ゲル濾過クロマトグラフィー(東ソー:HW−40F)に通し、溶出液を20mLごとに分画した。
次に、各分画についてビフィズス菌発酵能を調べた。すなわち、各分画を減圧濃縮後、Sephadex G-10(Amersham Biosciences社製) カラムにて脱塩し(カラム長30cm、カラム内径2cm)、3mLに減圧濃縮した。これに、GAM糖分解用半流動培地3mLを加え、115℃で15分間滅菌した後、GAM糖分解用半流動1/2培地にて4日間前培養したビフィドバクテリウム・アドレスセンテス培養液0.2mLを接種し、37℃で4日間の嫌気培養を行なった。対照として、3%の食塩水3mLについて同様の操作をした。(2)判定基準
ビフィドバクテリウム・アドレスセンテスの増殖の程度は、培養後の対照のpHから各サンプルのpHを差し引き、その差である△pHが大きいほど、より増殖していると判断した。
(3)試験結果
試験の結果を図1に示す。図1から、280〜360mL付近にかけて△pHのピークが見られ、ビフィドバクテリウム・アドレスセンテス増殖促進作用のある物質が溶出していることが判った。このピークが、グリセロールガラクトシドによるものであるか否か、以下の試験例によって確認した。
(1)試験方法
試験例8のとおり、ゲル濾過クロマトグラフィーにおける各分画を減圧濃縮後、Sephadex G-10(Amersham Biosciences社製) カラムにて脱塩し(カラム長30cm、カラム内径2cm)、3mLに減圧濃縮後、115℃で15分間滅菌した。次に、0.2μmフィルターにて濾過滅菌した2%酵素液を1mL添加した。酵素液は、セルラーゼオノズカ12S(ヤクルト薬品工業製)0.6gを酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液(pH6)30mLに溶かして調整した。なお、グリセロールガラクトシドは、セルラーゼオノズカ12Sを、長期間作用させた場合、加水分解され、ガラクトースが生成されることが本発明者らによって既に確認されている。
酵素液添加後、45℃にて7日間インキュベートし、各分画のガラクトース濃度をガラクトース測定キット(ロッシュ製Fキット)により測定した。また、参考までに、各分画の全糖量をフェノール硫酸法にて測定した。
(2)試験結果
試験の結果を図1に示す。図1には、各分画の全糖量をフェノール硫酸法にて測定した結果を併せて示した。図1から、酵素による加水分解によって生成するガラクトース濃度は、280〜360mL付近において明瞭なピークを示した。この生成ガラクトースノピーク位置と△pHのピーク位置は一致していることから、ノリの熱水抽出物において、ビフィドバクテリウム・アドレスセンテスの増殖促進作用を示した糖質は、グリセロールガラクトシドであることが判明した。
(3)所見
上記の結果から、試験例7において、タンパク質含量25%のノリ乾燥物が示した強いビフィズス菌増殖促進機能は、グリセロールガラクトシドによるものであることが確認できた。
(1)試験方法
タンパク質含量の異なるノリ乾燥物10種類について以下の試験を行い、それぞれのグリセロールガラクトシド含量を測定した。すなわち、ノリ乾燥物5gに、75v/v %エタノール100mLを加え、90℃の水浴中で30分間加熱した。抽出液は5B濾紙で吸引濾過した。残渣に対して75v/v %エタノール50mLにより、同様の抽出を2回繰り返した。各濾液を約50mLまで減圧濃縮し、ジエチルエーテル100mLによる脂溶成分の抽出除去を2回行なった。各濃縮液を合わせ、60℃にて減圧濃縮し、50mLに定容した。これを0.4μmフィルターで濾過した試料をHPLCにより分析し、RT16.5付近のピーク面積を測定した。グリセロールガラクトシド0.1w/v %溶液を標準として、各試料中のグリセロールガラクトシド量を求めた。
(2)試験結果
試験の結果を図2に示す。図2から、ノリのタンパク質含量とグリセロールガラクトシド含量の間に負の相関が認められた。すなわち、タンパク質含量が低いほど、グリセロールガラクトシド含量は急増する。特に、タンパク質含量が20%以下の場合、グリセロールガラクトシド含量は10%を超え、タンパク質含量が17%の場合、グリセロールガラクトシド含量は15%にまで達することが判明した。
(3)所見
上記の結果から、ノリのうち、タンパク質含量が低いものはグリセロールガラクトシドを豊富に含むため、強いビフィズス菌増殖促進能を有することが明らかとなった。すなわち、タンパク質含量が低いノリはビフィズス菌増殖促進物質の良好な原料となり得ることが確認された。具体的には、タンパク質含量が30%以下、好ましくは20%以下のノリはビフィズス菌増殖促進物質の良好な原料となり得ることが理解できた。
グレープフルーツジュース(pH3.31)100mLにグリセロールガラクトシドシロップ(70% w/v)(実施例1でノリ乾燥粉末から抽出して得たグリセロールガラクトシドの乾燥物70gを清水に溶解して100mLに調整したもの)6mLを溶解し、80℃で20分間殺菌した。
得られたグレープフルーツジュースは、グレープフルーツ本来の味を損なうことなく、風味もよく、美味である。また、ビフィズス菌増殖促進作用を有する美容飲料、健康飲料としても好適である。さらに、10℃以下で7日間保存してもグリセロールガラクトシドは分解されず、酸性飲料中で効力を維持したまま保存可能であることが確認された。
グレープフルーツジュース(pH3.31)250g、グラニュー糖30g、レモン汁10mL、グリセロールガラクトシドシロップ(70% w/v)(実施例2で用いたもの)5mLに熱湯30mLで溶かしたゼラチン5gを加えた後、80℃で20分間殺菌し、その後冷却した。
得られたグレープフルーツゼリーは、グレープフルーツ本来の味を損なうことなく、風味も良好である。また、ビフィズス菌増殖促進作用を有する美容食品、健康食品としても有用である。
インスタントコーヒー(pH4.37)2g、清水250mL、グラニュー糖30g、グリセロールガラクトシドシロップ(70% w/v)(実施例2で用いたもの)5mLに熱湯30mLで溶かしたゼラチン5gを加えた後、80℃で20分間殺菌し、その後冷却した。
得られたコーヒーゼリーは、コーヒー本来の味を損なうことなく、風味も良好である。また、ビフィズス菌増殖促進作用を有する美容食品、健康食品としても有用である。
プレーンヨーグルト(pH4.07)250gに牛乳25mL、グラニュー糖30g、レモン汁10mLを加えて攪拌し、pH2.82のヨーグルト混合物を作った。この混合物にグリセロールガラクトシドシロップ(70% w/v)(実施例2で用いたもの)5mLとバニラエッセンス少々、及び熱湯30mLで溶かしたゼラチン5gを加えた後、80℃で20分間殺菌し、その後冷却した。
得られたヨーグルトゼリーは、ヨーグルト本来の味を損なうことなく、風味も良好である。また、ビフィズス菌増殖促進作用を有する美容食品、健康食品としても有用である。さらに10℃で7日間保存してもグリセロールガラクトシドは分解されず、ヨーグルトゼリー中で効力を維持したまま保存可能であることが確認された。
Claims (4)
- グリセロールガラクトシドよりなるか又は採取若しくは合成されたグリセロールガラクトシドを有効成分とするビフィズス菌増殖促進剤。
- グリセロールガラクトシドが紅藻類アマノリ属であるノリから採取したものである請求項1に記載のビフィズス菌増殖促進剤。
- タンパク質含量が30%以下のノリから採取したものである請求項2に記載のビフィズス菌増殖促進剤。
- pH4以下の酸性飲料又は酸性食品に添加して用いる請求項1から3のいずれかに記載のビフィズス菌増殖促進剤。
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JPH11228424A (ja) * | 1998-02-06 | 1999-08-24 | Kyodo Milk Ind Co Ltd | ビフィズス菌活性化物質とビフィズス菌活性増殖剤とそれを含有する食品 |
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