JPH0515366A - 乳酸菌およびビフイズス菌の増殖促進剤 - Google Patents

乳酸菌およびビフイズス菌の増殖促進剤

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JPH0515366A
JPH0515366A JP19700191A JP19700191A JPH0515366A JP H0515366 A JPH0515366 A JP H0515366A JP 19700191 A JP19700191 A JP 19700191A JP 19700191 A JP19700191 A JP 19700191A JP H0515366 A JPH0515366 A JP H0515366A
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lactic acid
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sake lees
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JP19700191A
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Inventor
Seiichi Shimamura
誠一 島村
Norio Ishibashi
憲雄 石橋
Hiroshi Miyagawa
博 宮川
Fumiaki Abe
文明 阿部
Ikuko Kirihara
郁子 桐原
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Morinaga Milk Industry Co Ltd
Original Assignee
Morinaga Milk Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 乳酸菌、ビフィズス菌の増殖を促進する物質
を提供する。 【構成】 酒粕の水抽出物および/または蛋白分解酵素
処理酒粕の水抽出物を有効成分とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、乳酸菌およびビフィズ
ス菌の増殖促進剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】乳酸菌は、食品の風味、組織、栄養価の
改善または保存性付与等の目的から古くからチ−ズ、ヨ
−グルト、発酵バタ−等の乳製品、発酵ソ−セ−ジ、発
酵サラミ・ソ−セ−ジ等の畜肉製品、最近ではパンのス
タ−タ−としても利用されている。また、日本の伝統食
品であるみそ、しょうゆ、漬物等の製造においても乳酸
菌は重要な役割を果たしている。食品のみならず飼料用
サイレ−ジを調製するためのスタ−タ−としても乳酸菌
は広く使用されている。さらに乳酸菌の生理的効果とし
て、生きた乳酸菌の接種による腸内菌叢の改善効果また
は整腸作用等が明らかとなり、医薬品として乳酸菌製剤
も開発されている。
【0003】一方、ビヒドバクテリウム属に属する微生
物(ビフィズス菌)は、腸内の有用細菌であり、下痢
症、便秘症、感染症等の予防、治療、腸内有害細菌の増
殖抑制等、その有用性が臨床的に明らかにされつつあ
り、ビフィズス菌入りミルク、ビフィズス菌入り調製粉
乳、ビフィズス菌入りヨ−グルト、医薬用整腸剤等に使
用されている。
【0004】このように乳酸菌、ビフィズス菌の用途は
多岐にわたっており、乳酸菌、ビフィズス菌を培養し、
または乳酸菌、ビフィズス菌を用いて原料を発酵させる
にあたり、乳酸菌、ビフィズス菌の増殖を促進して菌濃
度を高め、または培養時間、発酵時間を短縮することは
極めて大きい意義を有する。
【0005】乳酸菌に対して増殖促進効果を有する物質
としては、メバロン酸、ストレポゲニン、コ−ンスティ
−プリカ−因子、オロチン酸、パンテチン、アデニル酸
等のアデニン塩基を有する物質、およびイノシン酸等の
ヒポキサンチン塩基を有する物質が知られている。一
方、ビフィズス菌に対して増殖促進効果を有する物質と
しては、N−アセチルグルコサミン含有糖類、酵母エキ
ス、カゼイン分解物、ニンジン抽出液等が知られてお
り、また増殖促進剤に関する特許出願もなされている。
【0006】また乳酸菌、ビフィズス菌に対する増殖促
進効果とは関係のない「ヨ−グルト様発酵食品の製造方
法」(特開昭63−59837号公報)も知られてい
る。この発明は、酒粕もしくは酒粕と乳成分を主体とし
て調整した培地に乳酸菌を接種し、発酵せしめるヨ−グ
ルト様発酵食品の製造方法であり、通常のヨ−グルトの
原料である動物性蛋白質に代えて、固形分の30%が植
物性蛋白質である酒粕を主原料としてヨ−グルト様発酵
食品の製造を行うものである。すなわち、この発明にお
いて乳酸菌は、ヨ−グルトの製造と同様、発酵原料であ
る酒粕に酸味と芳香を付与するためのスタ−タ−として
使用されているにすぎず、酒粕に乳酸菌およびビフィズ
ス菌に対して顕著な増殖促進効果があることは開示され
ていない。またこの発明において酒粕は、蛋白源として
使用され、従って酒粕は、抽出物ではなく、全部が原料
として用いられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】乳酸菌、ビフィズス菌
に対して増殖促進効果を有する上記の公知物質は、ある
ものは高価であり、あるものは調製が困難であり、また
あるものはそれが持つ特異な味、匂いが製品に移行して
好ましくない味、匂いを付与する等の問題があった。こ
のため調製または入手が容易で、増殖促進の効果が大き
く、かつ添加しても好ましくない影響を及ぼさない増殖
促進剤が待望されていた。
【0008】上記の公知技術に鑑みて、本発明の発明者
らは、乳酸菌およびビフィズス菌の増殖促進に効果のあ
る物質について研究を行った結果、酒粕の水抽出物に効
果があることを認め、更に酒粕の水抽出物を得る際に蛋
白分解酵素を用いて酒粕を処理することによって効果が
より増大することを発見し、本発明を完成した。
【0009】本発明は、産業上極めて有用な乳酸菌、ビ
フィズス菌の増殖を促進する物質を提供することを課題
としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決する本
発明は、酒粕の水抽出物および/または蛋白分解酵素処
理した酒粕の水抽出物を有効成分として含有することを
特徴とする乳酸菌およびビフィズス菌の増殖促進剤、で
ある。
【0011】以下、本発明についてさらに詳しく説明す
る。
【0012】本発明において酒粕は、清酒製造において
副製する清酒粕、みりん製造において副製するみりん粕
であり、一般に市販されているものを使用することがで
きる。酒粕から増殖効果を有する有効成分を水で抽出す
る場合、酒粕を固形分換算で約10%(重量。以下特に
断りのない限り同じ)の濃度で水に懸濁することが望ま
しく、抽出温度は60〜130℃、抽出時間は1〜12
0分が望ましい。抽出液は必要があれば80〜90℃で
20分程度の殺菌を行い、のち濾過、または遠心分離等
適宜の固液分離方法によって水不溶物を除去し、増殖効
果を含有する有効成分を水溶液として回収する。水溶液
はそのまま、濃縮、または凍結乾燥等適宜の方法によっ
て粉末とし、増殖促進剤として乳酸菌、ビフィズス菌の
培地、または発酵原料に添加する。添加量は発酵原料に
対して、粉末換算で0.05%以上が望ましく、1%程
度で最も良い効果を得ることができる。
【0013】酒粕に蛋白分解酵素を作用せしめる場合、
酒粕の水懸濁液を予め加熱殺菌するのが望ましい。使用
する蛋白分解酵素は特に制限はなく、エンド型またはエ
キソ型のペプチダ−ゼを、単用または任意に併用するこ
とができる。具体的にはパパイン、トリプシン、ペプシ
ン、パンクレアチン、または微生物由来の蛋白分解酵素
等が用いられ、これらは市販品を使用することができ
る。蛋白分解酵素を作用させる反応条件は、使用する酵
素の最適条件に設定することが望ましく、一般的にはp
H4〜9、温度30〜60℃の範囲で、ケルダ−ル法で
測定した窒素量で酒粕からの抽出率(酒粕の全窒素量に
対する水溶性区分の窒素量の割合。以下「窒素抽出率」
と記載する)が少なくとも30%に達するまで反応させ
ることが、増殖効果増大の点から望ましい。
【0014】蛋白分解酵素処理を終了した酒粕の水懸濁
液は、温度80〜90℃に20分程度加熱し、酵素を失
活させ、濾過、または遠心分離等適宜の固液分離方法に
よって水不溶物を除去し、増殖効果を含有する有効成分
を水溶液として回収する。水溶液はそのまま、濃縮、ま
たは凍結乾燥等適宜の方法によって粉末となし、増殖促
進剤として乳酸菌、ビフィズス菌の培地、または発酵原
料に添加する。添加量は培地または発酵原料に対して、
粉末換算で0.05%以上が望ましく、1%程度で最も
良い効果を得ることができる。
【0015】本発明の増殖促進剤を添加した場合、乳酸
菌、ビフィズス菌の培養、または発酵の条件は変更する
必要はないが、一定量の菌濃度となることを目的とする
場合には増殖促進剤無添加の場合よりも短い時間で培
養、発酵を終了することができる。
【0016】本発明の増殖促進剤の適量(例えば培地に
対して粉末として0.5%)を培地に添加し、増殖促進
効果を培養一定時間後の菌量の増加でみるときは、乳成
分を含まない培地を用いた場合には、乳酸菌、ビフィズ
ス菌のいずれも2倍以上の増殖促進効果を示す。また還
元脱脂乳を培地とした場合、還元脱脂乳培地で良好な増
殖を示す乳酸菌(ラクトバシラス・ブルガリカスおよび
ストレプトカッカス・サ−モフィルス)でも、添加しな
い場合に比して、1.6〜1.7倍の増殖促進効果を示
し、同培地では増殖の良好な他の乳酸菌にあっては4倍
以上の増殖促進効果を示す。還元脱脂乳培地では増殖の
悪いビフィズス菌も、4倍以上の増殖促進効果を示す。
酒粕の水抽出物よりも酒粕を蛋白分解酵素を用いて処理
した水抽出物が、同一添加量で比較すると乳酸菌、ビフ
ィズス菌に対する増殖促進効果が大きい。
【0017】一定菌濃度の培養物を得たい場合、本発明
の増殖促進剤を添加することによって、添加しない場合
に比して短時間でこれを得ることができる。
【0018】次に試験例をしめして本発明を詳細に説明
する。 試験例1 酒粕の水抽出物および蛋白分解酵素処理酒粕の水抽出物
について乳酸菌およびビフィズス菌に対する増殖促進効
果を試験した。 (1) 試料の調製 a)酒粕の水抽出物の調製:市販の清酒粕500gに水道
水2000mlを加え、均一に混合し、80℃で30分
間加熱処理し、40℃に冷却し、遠心分離機で水不溶の
残渣を除去し、上清液を凍結乾燥し、酒粕の水抽出物の
粉末(以下「酒粕水抽出粉末」と略記することがある)
約140gを得た。
【0019】b)蛋白分解酵素処理した酒粕水抽出物の調
製:市販の清酒粕500gに水道水2000mlを加
え、均一に混合し、80℃で30分間加熱殺菌し、40
℃に冷却し、市販の蛋白分解酵素プロテア−ゼM(天野
製薬社製)を2.5g加え、40℃で5時間酵素処理を
行った。窒素抽出率は45%であった。次いで80℃で
20分間加熱して酵素を失活させ、遠心分離機で水不溶
の残渣を除去し、上清液を凍結乾燥し、蛋白分解酵素処
理した酒粕水抽出物の粉末(以下「酒粕処理粉末」と略
記することがある)約180gを得た。 (2) 供試菌株 a)乳酸菌 ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acid
ophilus ATCC-4356)ラクトバシラス・カゼイ(Lactoba
cillus casei ATCC-393)ラクトバシラス・ブルガリカ
ス(Lactobacillus bulgaricus ATCC-11842 )ストレプ
トカッカス・サ−モフィルス(Streptococcus thermoph
ilus ATCC-19258 )ストレプトカッカス・サリバリウス
(Streptococcus salivariusATCC-9758)リューコノス
トック・クレモリス(Leuconostoc cremoris ATCC-1925
4 ) b)ビフィズス菌 ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium
bifidum ATCC-15696)ビフィドバクテリウム・インファ
ンチス(Bifidobacterium infantis ATCC-15697 )ビフ
ィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve
ATCC-15700)ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifido
bacterium longum ATCC-15707 )ビフィドバクテリウム
・シュードロングム(Bifidobacterium pseudolong ATC
C-25526 )ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifido
bacterium animalis ATCC-25527 ) (3) 試験方法 1)供試菌株の前培養液の調製 a)乳酸菌の前培養液の調製 ラクトバシラス・アシドフィルス、ラクトバシラス・カ
ゼイ、ラクトバシラス・ブルガリカスの保存スラントか
らそれぞれ1白金耳をとり、MRS寒天培地(ディフコ
社製)に塗抹し、35℃で16時間嫌気的に培養した。
一方ストレプトカッカス・サーモフィルス、ストレプト
カッカス・サリバリウス、リューコノストック・クレモ
リスも同様に各々の保存スラントからそれぞれ1白金耳
をとり、GAM寒天培地(日水製薬社製)に塗抹し、ス
トレプトカッカス・サーモフィルス、ストレプトカッカ
ス・サリバリウスは35℃で、、リューコノストック・
クレモリスは30℃で16時間嫌気的に培養した。次い
で寒天培地上に生育したコロニーを白金耳でかきとり、
滅菌生理食塩水に、分光光度計で測定した濁度を2.0
(波長660nm、石英セル、光路長10mm)に調整
して懸濁し、乳酸菌の前培養液を調製した。
【0020】b)ビフィズス菌の前培養液の調製 上記各ビフィズス菌の保存スラントから各々1白金耳を
とり、これをGAM寒天培地(日本製薬社製)に塗抹
し、35℃で16時間嫌気的に培養した。GAM寒天培
地上に生育したコロニーを白金耳でかきとり、滅菌生理
食塩水に、分光光度計で測定した濁度を2.0(波長6
60nm、石英セル、光路長10mm)に調整して懸濁
し、ビフィズス菌の前培養液を調製した。
【0021】2)増殖促進効果の試験 2-1) 乳成分を含まない培地の場合 a)試験培地:酵母エキス0.5%、肉エキス0.5%、
グルコース2%、リン酸一カリウム0.1%、リン酸二
カリウム0.1%、無水酢酸ナトリウム0.2%、シス
チン0.05%、ツィーン80(Tween80)0.
05%、精製水(イオン交換水)96.5%からなる液
体培地に、前記(1)a) の酒粕水抽出粉末または前記(1)
b) の酒粕処理粉末をそれぞれ0.5%の濃度で添加
し、10%水酸化ナトリウム水溶液で培地のpHを6.
8に調整し、試験管に10mlづつ分注した。これを1
15℃で15分間高圧滅菌して、2種類の試験培地「W
a」(酒粕水抽出粉末含有)および試験培地「Wb」
(酒粕処理粉末含有)を調製した。
【0022】b)対照培地:酒粕水抽出粉末または酒粕処
理粉末を添加していないことを除き、上記試験培地と同
一の組成および方法により調製した。
【0023】c)培養と濁度測定:上記の試験培地Waお
よび試験培地Wbを各2本組とし、2本に前記(3) 1)の
a)およびb)で調製した供試菌の前培養液を0.5mlづ
つ接種し、2本組のうちの1本は直ちに分光光度計を用
い、波長660nm、石英セル、光路長10mmで濁度
を測定した。2本組のうちの他の1本は、リューコノス
トック・クレモリスは30℃で、残りの11株は35℃
でそれぞれ16時間、特別な嫌気的条件とすることなく
通常のフラン器内で培養し、培養後の濁度を上記と同条
件で測定した。
【0024】2-2) 乳成分主体の培地の場合 a)試験培地:10%還元脱脂乳培地に、前記(1)a) の酒
粕水抽出粉末または前記(1)b) の酒粕処理粉末を濃度が
0.5%となるように添加し、試験管に10mlづつ分
注した。これを115℃で15分間高圧滅菌して、2種
類の試験培地「La」(酒粕水抽出粉末含有)および試
験培地「Lb」(酒粕処理粉末含有)を調製した。
【0025】b)対照培地:10%還元脱脂乳培地を試験
管に10mlづつ分注し、これを115℃で15分間高
圧滅菌して、対照培地を調製した。
【0026】c)培養と酸度測定:上記の試験培地Laお
よび試験培地Lbを各2本組とし、2本に前記(3) 1)の
a)およびb)で調製した供試菌の前培養液を0.5mlづ
つ接種した後、2本組のうちの1本は直ちに常法により
1/10規定水酸化ナトリウム溶液で酸度を測定した。
2本組のうちの他の1本は、リューコノストック・クレ
モリスは30℃で、残りの11株は35℃でそれぞれ1
6時間、特別な嫌気的条件とすることなく通常のフラン
器内で培養し、培養後の酸度を上記と同条件で測定し
た。 (4) 比較方法 1)乳成分を含まない培地の場合 上記の培養前後の培地の濁度の測定結果から次式により
それぞれの供試株について増殖促進効果を算出した。
【0027】増殖促進効果(倍)=(WT16−WT0
/(WC16−WC0 ) ここでWT16は16時間培養後の試験培地の濁度、WT0
は菌接種直後、培養前の試験培地の濁度、WC16は16時
間培養後の対照培地の濁度、WC0 は菌接種直後、培養
前の対照培地の濁度を示す。
【0028】2)乳成分主体の培地の場合 乳酸菌およびビフィズス菌は酸(乳酸、酢酸)を生成し
てエネルギーを獲得し、増殖する性質を有しているの
で、上記の培養前後の培地の酸度(乳酸%として表す)
の測定結果から次式によりそれぞれの供試株について増
殖促進効果を算出した。なお酸度の測定は、公定法(昭
和26年12月27日厚生省令第52号、「乳及び乳製
品の成分規格等に関する省令」、別表の二(七)(1)
5の乳及び乳製品の酸度の測定法)によった。
【0029】増殖促進効果(倍)=(LT16−LT0
/(LC16−LC0 ) ここでLT16は16時間培養後の試験培地の酸度(%)、
LT0 は菌接種直後、培養前の試験培地の酸度(%)、
LC16は16時間培養後の対照培地の酸度(%)、LC0
は菌接種直後、培養前の対照培地の酸度(%)を示す。 (5) 試験結果 乳成分を含まない培地による結果を表1に、乳成分主体
の培地による結果を表2に示す。
【0030】
【表1】 表1から明らかなように、酒粕水抽出粉末を0.5%添
加した試験培地Waでは、乳酸菌に対しては2.4〜
3.5倍の、またビフィズス菌に対しては2.4〜2.
6倍の増殖促進効果があることが確認された。一方、酒
粕処理粉末を0.5%添加した試験培地Wbでは、乳酸
菌およびビフィズス菌のいずれに対しても3倍以上の増
殖促進効果があることが確認され、さらに酒粕水抽出粉
末と比較して酒粕処理粉末の方が優れた増殖促進効果を
有することが明らかとなった。
【0031】
【表2】 表2から明らかなように、酒粕水抽出粉末を0.5%添
加した試験培地Laでは、10%還元脱脂乳培地で良好
な増殖を示す乳酸菌ラクトバシラス・ブルガリカスおよ
びストレプトカッカス・サーモフィルスに対しても1.
3〜1.4倍の増殖促進効果を示し、10%還元脱脂乳
培地では増殖の弱い他の4株の乳酸菌にあってはいずれ
も3倍以上の増殖促進効果を示すことが確認された。ま
たビフィズス菌に対しては3倍以上の増殖促進効果があ
ることが確認された。一方、酒粕処理粉末を0.5%添
加した試験培地Lbでは、10%還元脱脂乳培地で良好
な増殖を示す乳酸菌ラクトバシラス・ブルガリカスおよ
びストレプトカッカス・サーモフィルスに対しても1.
6〜1.7倍の増殖促進効果を示し、10%還元脱脂乳
培地では増殖の弱い他の4株の乳酸菌にあってはいずれ
も4倍以上の増殖促進効果を示すことが認められた。ま
たビフィズス菌に対しては4倍以上の増殖促進効果があ
ることが確認された。乳成分主体の培地の場合でも酒粕
水抽出粉末と比較して酒粕処理粉末の方が優れた増殖促
進効果を有することが明らかになった。 試験例2 乳酸菌およびビフィズス菌の増殖に及ぼす酒粕水抽出粉
末、および酒粕処理粉末の添加量の影響を試験した。 (1) 試料の調製 試験例1と同一の方法により調製した。 (2) 供試菌株 試験例1と同一の方法により調製した。 (3) 試験方法 試験例1の(3)2)2-1)a) 試験培地WaあるいはWbの酒
粕水抽出粉末または酒粕処理粉末の濃度を表3、および
表4に記載した濃度に調整し、(3)2)2-2)a) 試験培地L
aまたはLb中の酒粕水抽出粉末または酒粕処理粉末の
濃度を表5、および表6に記載した濃度に調整したこと
以外は、試験例1(3) 試験方法と同一の方法により試験
を行った。 (4) 比較方法 試験例1の(4) と同一の方法によりそれぞれの増殖促進
効果(倍)を算出した。 (5) 試験結果 乳成分を含まない培地による結果は表3および表4に、
乳成分主体の培地による結果は表5および表6に示すと
おりであった。
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
【表5】
【0035】
【表6】 表3から明らかなように、乳成分を含まない培地への酒
粕水抽出粉末の添加は、乳酸菌、ビフィズス菌に対して
0.05%の添加で増殖促進効果を呈することが認めら
れた。また増殖促進効果は添加量の増加とともに増大
し、1%の添加で最大の効果が得られることも確認され
た。
【0036】表4から明らかなように、乳成分を含まな
い培地への酒粕処理粉末の添加は、乳酸菌、ビフィズス
菌に対して0.025%の添加ですでに増殖促進効果を
呈することが認められる。また増殖促進効果は添加量の
増加とともに増大し、1%の添加で最大の効果が得られ
ることも確認された。
【0037】表5から明らかなように、乳成分主体の培
地への酒粕水抽出粉末の添加は、乳酸菌、ビフィズス菌
に対して0.05%の添加で増殖促進効果を呈すること
が認められる。また増殖促進効果は添加量の増加ととも
に増大し、1%の添加で最大の効果が得られることも確
認された。
【0038】表6から明らかなように、乳成分主体の培
地への酒粕処理粉末の添加は、乳酸菌、ビフィズス菌に
対して0.025%の添加ですでに増殖促進効果を呈す
ることが認められる。また増殖促進効果は添加量の増加
とともに増大し、1%の添加で最大の効果が得られるこ
とも確認された。
【0039】みりん粕水抽出物の粉末および蛋白分解酵
素処理したみりん粕水抽出物の粉末について上記試験例
と同様の試験を行い、乳酸菌、ビフィズス菌に対して
0.025%の添加ですでに増殖促進効果を呈すること
を確認した。
【0040】次に実施例を示し、本発明をより詳細に説
明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものでは
ない。
【0041】
【実施例】
実施例1 市販の清酒粕500gに水道水2000mlを加え、均
一に混合し、オートクレーブで121℃、5分間加熱処
理した。これを40℃に冷却し、遠心分離機で水不溶の
残渣を除去し、上清液を凍結乾燥し、清酒粕水抽出物の
粉末(増殖促進剤)約145gを得た。
【0042】酵母エキス0.5%、肉エキス0.5%、
グルコース2%、リン酸一カリウム0.1%、リン酸二
カリウム0.1%、無水酢酸ナトリウム0.2%、シス
チン0.05%、ツィーン80(Tween80)0.
05%、精製水(イオン交換水)96.5%からなる水
溶液を調製し、この水溶液に1%の濃度で上記の清酒粕
水抽出物粉末を添加し、10%水酸化ナトリウム水溶液
でpHを6.8に調整し、オートクレーブで115℃、
15分間加熱滅菌し、増殖促進剤添加培地を調製した。
一方、清酒粕水抽出物粉末を添加しない他は上記と同じ
組成、および条件で調製した無添加培地を調製した。
【0043】上記増殖促進剤添加培地および無添加培地
1000mlに試験例1(3) 1) b)の条件で調製したビ
フィドバクテリウム・ロングムの前培養液10mlを接
種し、35℃で16時間培養した。培養液を試験例(4)
1)に記載した方法で濁度を測定し、比較した結果、上記
増殖促進剤添加培地の培養液の菌濃度は無添加の場合に
比して3.0倍であった。 実施例2 みりん粕300gに水道水1800mlを加え、均一に
混合し、80℃で30分間加熱殺菌した。これを40℃
に冷却し、遠心分離機で水不溶の残渣を除去し、上清液
を凍結乾燥し、みりん粕水抽出物の粉末(増殖促進剤)
約100gを得た。
【0044】10%還元脱脂乳培地を調製し、この還元
脱脂乳培地に1%の濃度で上記のみりん粕水抽出物粉末
を添加し、オートクレーブで115℃、15分間加熱滅
菌し、増殖促進剤添加培地を準備した。一方みりん粕水
抽出物粉末を添加しない他は上記と同じ組成、および条
件で調製した無添加培地を調製した。
【0045】上記増殖促進剤添加培地および無添加培地
1000mlに試験例1(3) 1) a)の条件で調製したラ
クトバシラス・アシドフィルスの前培養液10mlを接
種し、35℃で16時間培養した。培養液を試験例(4)
2)に記載した方法で酸度を測定し、比較した結果、上記
増殖促進剤添加培地の培養液の菌濃度は無添加の場合に
比して4.0倍であった。 実施例3 市販の清酒粕500gに水道水2000mlを加え、均
一に混合し、10%水酸化ナトリウム水溶液でpHを
8.0に調整した。次いで80℃で30分間加熱殺菌し
た。これを40℃に冷却し、市販の蛋白分解酵素パンク
レアチン(天野製薬社製)を5g加え、40℃で2時間
酵素反応を行った。窒素抽出率40%。次いで80℃で
20分間加熱して酵素を失活させ、遠心分離機で水不溶
の残渣を除去し、上清液を凍結乾燥し、蛋白分解酵素処
理した清酒粕水抽出物の粉末(増殖促進剤)約190g
を得た。
【0046】10%還元脱脂乳培地を調製し、この還元
脱脂乳培地に1%の濃度で上記の蛋白分解酵素処理した
清酒粕水抽出物の粉末を添加し、オートクレーブで11
5℃、15分間加熱滅菌し、増殖促進剤添加培地を準備
した。一方蛋白分解酵素処理した清酒粕水抽出物の粉末
を添加しない他は上記と同じ組成、および条件で調製し
た無添加培地を調製した。
【0047】上記増殖促進剤添加培地および無添加培地
1000mlに試験例1(3) 1)b)の条件で調製したビフ
ィドバクテリウム・ブレーベの前培養液10mlを接種
し、35℃で20時間培養した。培養液を試験例(4) 2)
に記載した方法で酸度を測定し、比較した結果、上記増
殖促進剤添加培地の培養液の菌濃度は無添加の場合に比
して5.5倍であった。 実施例4 みりん粕300gに水道水1800mlを加え、均一に
混合し、10%塩酸水溶液でpHを4.0に調整した。
次いで80℃で30分間加熱殺菌した。これを40℃に
冷却し、市販の蛋白分解酵素豚ペプシン(和光純薬社
製)を3g加え、40℃で3時間酵素反応を行った。窒
素抽出率50%。次いで80℃で20分間加熱して酵素
を失活させ、遠心分離機で水不溶の残渣を除去し、上清
液を凍結乾燥し、蛋白分解酵素処理したみりん粕水抽出
物の粉末(増殖促進剤)約110gを得た。
【0048】実施例1の清酒粕水抽出物粉末のかわりに
上記蛋白分解酵素処理したみりん粕水抽出物の粉末を用
い、ビフィドバクテリウム・ロングムのかわりに試験例
1(3) 1) a) の条件で調製したリューコノストック・ク
レモリスを接種し、30℃で16時間培養したほかは、
実施例1と同様にして増殖促進効果を比較した結果、上
記増殖促進剤添加培地の培養液の菌濃度は無添加の場合
に比して4.6倍であった。
【0049】
【発明の効果】本発明によって奏せられる効果は次のと
おりである。
【0050】(1) 乳成分を含まない培地において、乳酸
菌またはビフィズス菌の増殖を促進する物質を提供す
る。
【0051】(2) 乳成分主体の培地において、乳酸菌ま
たはビフィズス菌の増殖を促進する物質を提供する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:01) (C12N 1/20 C12R 1:225) (C12N 1/20 C12R 1:46)

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 酒粕の水抽出物および/または蛋白分解
    酵素処理した酒粕の水抽出物を有効成分として含有する
    ことを特徴とする乳酸菌およびビフィズス菌の増殖促進
    剤。
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