JP3400282B2 - 脂質代謝改善剤およびそれを含有する食品 - Google Patents
脂質代謝改善剤およびそれを含有する食品Info
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Description
用させて得られる発酵豆乳を主成分とする脂質代謝改善
剤、それを含有する食品および低比重リポタンパク質抗
酸化剤に関する。
は、血中コレステロール量を低下させることが一般的に
行なわれており、かかる方法は、高コレステロール血
症、特に高LDL(低比重リポタンパク質)コレステロ
ール血症の改善において効果的である(馬淵 宏ら(198
7)Coronary vol4,281 )。一方、動脈硬化の発生は、L
DLの酸化変性が発端となって起こることが報告(Stei
nberg D ら(1989)New Engl J Med,321,1196-1197) され
ており、LDLに対し抗酸化活性を有する物質が注目さ
れている。また、豆乳には、大豆蛋白質、リン脂質、イ
ソフラボンが含まれており、脂質代謝に有効であること
が期待されている。しかしながら、豆乳には特有の不快
臭や不快味があるため多くの消費者から敬遠されている
のが現状である。
目的は、動脈硬化症予防・改善に優れた脂質代謝改善剤
を提供することにある。
明者らは、豆乳の持つ有効成分に着目し、鋭意研究を行
った結果、豆乳に乳酸菌を作用させて得られた発酵豆乳
が、LDLに対する優れた抗酸化活性及び脂質の腸管か
らの吸収抑制作用を有し、脂質代謝改善剤として有用で
あることを見出し、本発明を完成した。
させて得られる発酵豆乳を含有することを特徴とする脂
質代謝改善剤、LDL抗酸化剤、コレステロールの腸管
からの吸収抑制剤およびこれを含有する脂質代謝改善食
品を提供することにある。
目的として、乳酸菌やビィフィズス菌で豆乳を発酵させ
ることなどが試みられているが、発酵豆乳に優れた脂質
代謝改善効果があることは未だ報告されていない。
に乳酸菌を作用させて得られた発酵豆乳を主成分とす
る。ここで、本発明において用いられる発酵豆乳は、豆
乳に乳酸菌を作用させて得られるものであり、例えば以
下の工程に従い製造されるものが挙げられる。
あってもよいが、例えば、原料となる大豆を水につけた
後、熱水又は0.5〜1.0重量%(以下、単に%で示
す)の炭酸ナトリウムを含む熱水を添加して磨砕後、お
からを取り除き、更に加熱殺菌することにより製造する
ことができる。
原料となる大豆は、特に制限はないが、油脂を含有した
丸大豆、脱皮大豆、又はフレーク大豆等を原料としたも
のが好ましく、特に脱皮大豆を原料としたものが好まし
い。
造後、次の工程である微生物処理のために、ショ糖、ブ
ドウ糖、果糖、転化糖等の食品に用いられる糖や、肉エ
キス、ペプトン、酵母エキス、ペプチド等の微生物の増
殖に必要な栄養素を添加してもよく、微生物の至適pH
に調整するために豆乳にクエン酸、リンゴ酸、アスコル
ビン酸、乳酸、酢酸等の食品に用いられる酸を添加して
もよい。
特に限定されず、例えば、培養した乳酸菌の菌液を上記
豆乳に接種した後、その微生物に適した温度、時間、嫌
気性菌ならば嫌気性等の条件を適宜決定して発酵を行え
ばよい。なお、発酵は、菌株を複数種組み合わせた混合
発酵であってもよいし、菌株を複数種組み合わせた連続
発酵であってもよい。
体又はその代謝産物等が人体に有害なものでなければ、
特に限定されるものでないが、ラクトバチルス属、ラク
トコッカス属、ストレプトコッカス属又はロイコノスト
ック属に属する乳酸菌が好ましく、特に、ラクトバチル
ス・カゼイ、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクト
バチルス・プランタラム、ラクトバチルス・ヘルベティ
カス、ラクトバチルス・ガッセリ、ラクトバチルス・サ
リバリウス・サリバリウス、ラクトバチルス・サリバリ
ウス・サリシニウス、ラクトバチルス・ブヒネリ、ラク
トバチルス・ファーメンタム、ラクトバチルス・パラカ
ゼイ・トレランス、ラクトパチルス・パラカゼイ・パラ
カゼイ、ラクトバチルス・ジョンソニー、ラクトバチル
ス・デルブルッキ・デルブルッキ、ラクトバチルス・デ
ルブルッキ・ブルガリクス、ラクトバチルス・デルブル
ッキ・ラクチス、ラクトバチルス・ガリナラム、ラクト
バチルス・アミロボラス、ラクトバチルス・ブレビス・
ブレビス、ラクトバチルス・ラムノーサス、ラクトバチ
ルス・ケフィア、ラクトバチルス・クリスパータス、ラ
クトバチルス・ロイテリ、ラクトコッカス・ラクチス・
ラクチス、ラクトコッカス・ラクチス・クレモリス、ラ
クトコッカス・プランタラム、ラクトコッカス・ラフィ
ノラクチス、ストレプトコッカス・サーモフィルス、ロ
イコノストック・メセンテロイデス・クレモリス、ロイ
コノストック・ラクチス等が好ましい。
乳は、そのまま本発明の脂質代謝改善剤とすることがで
きるが、食品や経口医薬品に通常使用されている添加物
を加えてもよい。ここで用いる添加物としては、糖類、
蛋白質、脂質、ビタミン類、植物抽出物、動物抽出物、
ゲル化剤、香料、着色剤等が挙げられる。なお、本発明
の脂質代謝改善剤に用いる発酵豆乳は、未殺菌のままで
も、殺菌してからでも用いることができる。
ンパク質抗酸化剤を医薬として使用する場合の投与量
は、投与法、患者の年齢、体重、容態によって異なる
が、経口投与の場合、成人患者に対して1日あたり10
0〜500mlとすることが好ましい。
範囲で食品に添加して用いることができ、脂質代謝改善
食品とすることができる。食品としては、乳酸菌飲料、
発酵乳、豆乳、牛乳、チーズ、プリン、アイスクリーム
等に10〜80%、好ましくは40〜70%程度含有さ
せればよく、その他ビスケット、パン等に含有させるこ
ともできる。
明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでは
ない。
加え、pHを2Mクエン酸で6.8としたのち、100
℃、30分蒸気滅菌したものを豆乳培地とした。これに
ヒト由来乳酸菌のシードスターターを0.5〜1%接種
し、至適温度(26〜 37℃)の範囲で7日間培養した。
培養終了後、各菌液を1gずつ供栓付試験管にとったの
ち、メタノールを7ml加え、時々攪拌しながら一晩4℃
で放置した。その後、遠心分離(1500×g,5℃)し、上
清を10mlにメスアップして10倍希釈サンプルとし
た。測定までこれを−20℃で保存し、抗酸化性を測定
する際に更に4倍希釈して使用した。
料で1週間予備飼育したのち、0.5%コレステロー
ル、および5%ラードを添加したMF飼料で2週間飼育
した。解剖前日に24時間絶食させ、腹部大動脈から採
血を行い、EDTA法により血漿を調製した。この血漿
から超遠心法によりLDL画分を採取し、生理的リン酸
緩衝液で24時間解析したのち、適当な濃度に希釈して
酸化反応用LDLとした。
大し、アガロースゲル上で電気泳動を行うと移動距離が
大きくなることから、移動距離の増大を酸化の指標とし
て発酵豆乳の抗酸化性を調べた。
サンプル添加後、5μM CuSO4 存在下で37℃6時間イ
ンキュベートして酸化させ、EDTA添加ののち氷水中
で冷却して反応を止めた。また、サンプルの代わりにメ
タノールを加えたものをコントロールとし、メタノー
ル、EDTA添加後、0℃でインキュベートしたものを
ブランクとした。
チトラックLDHアイソザイムゲル・16:CIBA-CORNIN
G)にアプライし、90Vで45分間泳動後、コーコレスト
・A(日本ケミファ)によるコレステロール染色を行っ
た。ゲルを乾燥後、各レーンにおけるLDLの移動距離
を測定した。ブランクをLDLが全く酸化されていない
状態と仮定し、コントロールと比べてサンプル添加によ
り移動距離の増大が抑制された割合をLDL変性抑制率
とした。
は豆乳培地の値を100としたときの比抑制率として表
した。
は、LDL抗酸化活性を有し、豆乳と比較しても優れた
LDL抗酸化活性が認められた。
ルコースを添加した培地にて前培養した乳酸菌を1%グ
ルコースを加えクエン酸でpHを6.8〜6.9に調整
した素豆乳(四国化工機(株)製、100℃90分滅
菌)に0.5〜1%接種し所定温度で2日間培養した。
に、後述する方法で調製した人工脂質ミセルを200μ
l を加えて、37℃で1時間放置後、遠心分離(8000×
g,15分)し上清のコレステロール濃度をデタミナTC
555(協和メディックス)を用いて測定した。コント
ロールとしては素豆乳を用い、各発酵豆乳の沈殿に移行
したコレステロール量を下記式(2)によりコレステロ
ール不溶化率とした。
ー(150mM,pH7.0)75mlに、oxgall(DIFCO社製)2g、
コレステロール(和光純薬工業製)921mg、リゾフォ
スファチジルコリン(SIGMA社製)135mgの順で
加えて溶解し、次いでモノオレイン酸(東京化成工業
(株)社製)90.2mg、オレイン酸(和光純薬工業
(株)社製)702.2mgを加え混合し、リン酸バッフ
ァーを加えて全量を100mlとした。溶液を攪拌しなが
ら、室温での超音波処理(SONIFR(BRANSON社
製),スモールチップ)を行った。このエマルジョン及
びミセル溶液をしばらく攪拌後100,000×g、25℃に
て超遠心分離を16〜18時間行った。超遠心分離後、
透明なミセル層のみを回収し、人工脂質ミセルを調製し
た。
はいずれも豆乳に比べミセル不溶化作用が強かった。コ
レステロールが小腸粘膜から吸収されるにはミセルに溶
解していることが必須である。よって発酵豆乳は豆乳よ
りもコレステロールの吸収を抑制することが期待され
る。
コレステロールの吸収を抑制し、血中コレステロール濃
度を低下させることが期待できるので、動脈硬化症の予
防・改善効果が期待できる。また、本発明の脂質代謝改
善剤は、LDLに対する優れた抗酸化活性を有するの
で、動脈硬化の発端とされるLDLの酸化変性を効果的
に防止することができる。更に、本発明の脂質代謝改善
剤は、豆乳に乳酸菌を作用させて得られた発酵豆乳から
なるので、安全性にも全く問題のない官能的にも優れた
脂質代謝改善剤であり、動脈硬化の予防および治療に有
用である。
Claims (3)
- 【請求項1】 乳酸菌を豆乳に作用させて得られる発酵
豆乳を含有することを特徴とする低比重リポタンパク質
抗酸化剤。 - 【請求項2】 該乳酸菌が、ラクトバチルス属、ラクト
コッカス属、ストレプトコッカス属およびロイコノスト
ック属より選ばれる一種又は二種以上である請求項1記
載の低比重リポタンパク質抗酸化剤。 - 【請求項3】 該乳酸菌が、ラクトバチルス・カゼイ、
ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・プ
ランタラム、ラクトバチルス・ヘルベティカス、ラクト
バチルス・ガッセリ、ラクトバチルス・サリバリウス・
サリバリウス、ラクトバチルス・サリバリウス・サリシ
ニウス、ラクトバチルス・ブヒネリ、ラクトバチルス・
ファーメンタム、ラクトバチルス・パラカゼイ・トレラ
ンス、ラクトバチルス・パラカゼイ・パラカゼイ、ラク
トバチルス・ジョンソニー、ラクトバチルス・デルブル
ッキ・デルブルッキ、ラクトバチルス・デルブルッキ・
ブルガリクス、ラクトバチルス・デルブルッキ・ラクチ
ス、ラクトバチルス・ガリナラム、ラクトバチルス・ア
ミロボラス、ラクトバチルス・ブレビス・ブレビス、ラ
クトバチルス・ラムノーサス、ラクトバチルス・ケフィ
ア、ラクトバチルス・クリスパータス、ラクトバチルス
・ロイテリ、ラクトコッカス・ラクチス・ラクチス、ラ
クトコッカス・ラクチス・クレモリス、ラクトコッカス
・プランタラム、ラクトコッカス・ラフィノラクチス、
ストレプトコッカス・サーモフィルス、ロイコノストッ
ク・メセンテロイデス・クレモリスおよびロイコノスト
ック・ラクチスより選ばれる1種又は2種以上である請
求項1又は2記載の低比重リポタンパク質抗酸化剤。
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井村隆,大豆タンパク質の血清脂質改善作用−ヒトにおける大豆タンパク質の最小有効摂取量の検討−,Therapeutic Research,1996,Vol.17,No.6,pages 573−578 |
Also Published As
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