JP2004026073A - 車輌の旋回特性推定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】規範旋回状態量と実旋回状態量との間の伝達関数を適正に推定し車輌の旋回特性を適正に推定する。
【解決手段】車輌が旋回を開始すると(S20)、操舵角θの如き旋回走行データに基づいて各制御サイクル毎に伝達関数を推定するためのパラメータa及びbが推定されることによりスタビリティファクタKhの推定値Khj及び旋回応答時定数係数Tpの推定値Tpjが演算され(S40)、車輌が旋回を終了すると(S60)、今回の旋回が推定に適した旋回であるか否かが判定され(S70)、Kh及びTpの推定に適した旋回であると判定されたときには、スタビリティファクタKhの推定値Tpj及び旋回応答時定数係数Tpの推定値Tpjがバッファメモリに記憶され(S80)、Kh及びTpの推定に適した旋回ではないと判定されたときには、各演算値が破棄される(S90)。
【選択図】    図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車輌の旋回特性推定装置に係り、更に詳細には車輌が旋回する際の規範旋回状態量と実旋回状態量との間の伝達関数を推定し、該伝達関数に基づき車輌の旋回特性を推定する車輌の旋回特性推定装置に係る。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車輌の旋回特性を推定する車輌の旋回特性推定装置の一つとして、例えば特開平10−258720号公報に記載されている如く、車輌の走行中にセンサにより車速、操舵角、ヨーレートを検出し、これらの検出値に基づき車輌の旋回特性としてスタビリティファクタを推定する車輌の旋回特性推定装置が従来より知られている。
【0003】
かかる旋回特性推定装置によれば、車輌の実際の旋回状況に基づきスタビリティファクタが推定されるので、一定値に設定されたスタビリティファクタを使用して車輌の規範ヨーレートが演算される場合に比して、規範ヨーレートを正確に演算し、これにより規範ヨーレート及び車輌の実際のヨーレートに基づく車輌の制御を正確に実行することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述の従来の旋回特性推定装置に於いては、車輌の横加速度の大きさが所定値以下であるときにのみスタビリティファクタを演算するようになっているが、上述の公開公報には、車輌の規範ヨーレートと車輌の実際のヨーレートとの間の伝達関数を推定し、該伝達関数に基づきスタビリティファクタの如き車輌の旋回特性を推定する場合については言及されておらず、従って上述の従来の旋回特性推定装置にはこの点に於いて改善の余地がある。
【0005】
例えば車輌の規範ヨーレートと車輌の実際のヨーレートとの間の伝達関数を一次遅れの伝達関数として推定し、該伝達関数に基づきスタビリティファクタの如き車輌の旋回特性を推定する場合には、伝達関数を適正に推定する必要があり、伝達関数を適正に推定するためには伝達関数が推定に適した車輌走行データに基づいて推定されなければならない。
【0006】
しかるに車輌の実際の旋回走行状況に於いては、車輌走行データが必ずしも伝達関数を適正に推定するに適したデータとは限らず、そのため伝達関数の推定が適正に行われないことに起因して車輌の旋回特性を適正に推定することができない場合がある。また伝達関数を一次遅れの伝達関数として推定する場合には、走行データの連続性を確保しながら伝達関数の推定に適した走行データを選別しなければならない。
【0007】
本発明は、車輌が旋回する際の規範旋回状態量と実旋回状態量との間の伝達関数を推定し、該伝達関数に基づき車輌の旋回特性を推定する際に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、走行データの連続性を確保しながら伝達関数の推定に適した走行データを選別することにより、伝達関数を適正に推定し、もって車輌の旋回特性を適正に推定することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の主要な課題は、本発明によれば、請求項1の構成、即ち車輌が旋回する際の車輌走行データに基づき規範旋回状態量を推定し、規範旋回状態量と実旋回状態量との間の伝達関数を推定し、該伝達関数に基づき車輌の旋回特性を推定する車輌の旋回特性推定装置であって、旋回状態が限界旋回状態であるか否かを判定し、限界旋回状態であると判定されたときには推定された旋回特性を採用しないことを特徴とする車輌の旋回特性推定装置によって達成される。
【0009】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、車輌の旋回指標値の大きさが基準値より増大して前記基準値に戻るまでの車輌走行データに基づき旋回状態が限界旋回状態であるか否かを判定するよう構成される(請求項2の構成)。
【0010】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項2の構成に於いて、前記基準値は車輌の実質的に直進走行状態に対応する値であるよう構成される(請求項3の構成)。
【0011】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項2の構成に於いて、前記車輌走行データの大きさの最大値が所定の範囲内にないときに旋回状態が限界旋回状態であると判定するよう構成される(請求項4の構成)。
【0012】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至4の構成に於いて、推定された車輌の旋回特性を利用して車輌の挙動を判定する挙動判定手段を有し、前記旋回特性推定装置は推定された車輌の旋回特性の信頼度を判定し、車輌の旋回特性の信頼度が低いときにはそれが高いときに比して前記挙動判定手段により車輌の挙動が悪化したと判定され難くするよう構成される(請求項5の構成)。
【0013】
【発明の作用及び効果】
上記請求項1の構成によれば、旋回状態が限界旋回状態であるか否かが判定され、限界旋回状態であると判定されたときには推定された旋回特性が採用されないので、旋回状態が限界旋回状態である状況に於ける車輌走行データに基づき規範旋回状態量が不正確に推定され規範旋回状態量と実旋回状態量との間の伝達関数が不正確に推定されることに起因して車輌の旋回特性が不正確に推定されることを確実に防止することができる。
【0014】
また上記請求項2の構成によれば、車輌の旋回指標値の大きさが基準値より増大して前記基準値に戻るまでの車輌走行データに基づき旋回状態が限界旋回状態であるか否かが判定されるので、走行データの連続性を確保しながら伝達関数の推定に適した走行データを確実に選別することができる。
【0015】
また上記請求項3の構成によれば、基準値は車輌の実質的に直進走行状態に対応する値であるので、走行データの連続性を確実に確保することができると共に、車輌が旋回状態にあるときの走行データを有効に利用することができる。
【0016】
また上記請求項4の構成によれば、車輌走行データの大きさの最大値が所定の範囲内にないときに旋回状態が限界旋回状態であると判定されるので、旋回状態が限界旋回状態であるか否かを確実に判定することができる。
【0017】
また上記請求項5の構成によれば、車輌の旋回特性の信頼度が低いときにはそれが高いときに比して挙動判定手段により車輌の挙動が悪化したと判定され難くされるので、車輌の挙動が悪化していないにも拘わらず推定された車輌の旋回特性の信頼性が低いことに起因して車輌の挙動が悪化したと判定される虞れを低減することができる。
【0018】
【課題解決手段の好ましい態様】
図15に示された車輌の二輪モデルに於いて、車輌の質量及びヨー慣性モーメントをそれぞれM及びIとし、車輌の横加速度をGyとし、前輪100f及び後輪100rのコーナリングフォースをそれぞれFf及びFrとし、前輪100fの実舵角をδとし、車輌の重心102と前輪車軸及び後輪車軸との間の距離をそれぞれLf及びLrとし、車輌のホイールベースをL(=Lf+Lr)とし、車輌のヨーレートをγとし、前輪及び後輪のスリップ角をそれぞれβf及びβrとし、前輪及び後輪のコーナリングパワーをKf及びKrとし、車体のスリップ角をβとし、車速をVとし、車輌のヨー角速度(ヨーレートγの微分値)をγdとすると、車輌の力及びモーメントの釣合い等により下記の式1〜6が成立する。
【0019】
MGy=Ff+Fr  ……(1)
Iγd=LfFf−LbFr  ……(2)
Ff=Kfβf  ……(3)
Fr=Krβr  ……(4)
βf=δ−β+(Lf/V)γ  ……(5)
βr=−β+(Lr/V)γ  ……(6)
【0020】
上記式1〜6より下記の式7が成立する。
【数1】
Figure 2004026073
【0021】
車速Vが実質的に一定であると仮定し、ラプラス演算子をsとして上記式7をラプラス変換し、ヨーレートγについて整理することにより、下記の式8〜10が得られる。
【0022】
【数2】
Figure 2004026073
【0023】
上記式9のKhはスタビリティファクタであり、上記式10のTpは車速依存の時定数をもつ一次遅れ系の車速Vにかかる係数(本明細書に於いては操舵応答時定数係数と呼ぶ)である。これらの値は車輌のヨー運動に関する操舵応答を特徴付けるパラメータ、即ち車輌の旋回特性である。また上記式8は前輪の実舵角δ、車速V、横加速度Gyより車輌のヨーレートγを演算する式であり、この線形化モデルより演算されるヨーレートをヨーレートについての規範旋回状態量、即ち規範ヨーレートとする。
【0024】
上記式8に於けるスタビリティファクタKh及び操舵応答時定数係数Tpを推定するための推定モデルとして、ARX(auto−regressive exogenous model)を使用し、推定アルゴリズムに逐次最小二乗法を使用する。上記式8により一次遅れ系であることが解っているので、u(k)を時刻kでの入力とし、y(k)を出力とし、e(k)を白色雑音として、ARXモデルを下記の式11の通りとする。
y(k)+ay(k−1)=bu(k)+e(k)  ……(11)
【0025】
ここで時間シフトオペレータz−1を使用すると、上記式11は下記の式12の通り変形することができ、従って下記の式13が成立する。
【数3】
Figure 2004026073
【0026】
上記式13のu(k)に前輪の実舵角δ、車速V、横加速度Gyに基づいて上記式8に従って演算される規範ヨーレートを与え、y(k)に実ヨーレートγを与え、規範ヨーレートから実ヨーレートへの離散時間伝達関数のパラメータa及びbを推定することにより、上記式8に於けるスタビリティファクタKh及び操舵応答時定数係数Tpを推定することができる。
【0027】
従って本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1の構成に於いて、規範旋回状態量は車輌の規範ヨーレートであり、実旋回状態量は車輌の実ヨーレートであるよう構成される(好ましい態様1)。
【0028】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様1の構成に於いて、車輌の旋回特性はスタビリティファクタ及び操舵応答の時定数に関連する値であるよう構成される(好ましい態様2)。
【0029】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様1の構成に於いて、規範ヨーレートと実ヨーレートとの間の伝達関数のパラメータを推定し、その推定結果に基づき車輌の旋回特性を推定するよう構成される(好ましい態様3)。
【0030】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1の構成に於いて、規範旋回状態量は操舵輪の規範舵角であり、実旋回状態量は操舵輪の実舵角であるよう構成される(好ましい態様4)。
【0031】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1の構成に於いて、旋回状態が非限界旋回状態であるときに推定された旋回特性を記憶し、車輌の旋回毎の旋回特性の変化を判定し、旋回特性の変化が所定の範囲内であるときには最新の旋回特性を含む旋回特性に基づき最終的に推定された旋回特性を決定するよう構成される(好ましい態様5)。
【0032】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項2の構成に於いて、車輌の旋回指標値は車輌のヨーレート、操舵角、車輌の横加速度の少なくとも何れかであるよう構成される(好ましい態様6)。
【0033】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項4の構成に於いて、車輌走行データの大きさは車速と車輌の横加速度との積の絶対値、車輌のヨーレートの絶対値、車輌の横加速度の絶対値、操舵角の絶対値、平均車速、前後加速度の絶対値の少なくとも何れかを含むよう構成される(好ましい態様7)。
【0034】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様7の構成に於いて、車輌走行データの大きさは車速と車輌の横加速度との積の絶対値、車輌のヨーレートの絶対値、車輌の横加速度の絶対値、操舵角の絶対値、平均車速、前後加速度の絶対値であるよう構成される(好ましい態様8)。
【0035】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項5の構成に於いて、規範旋回状態量は車輌の規範ヨーレートであり、実旋回状態量は車輌の実ヨーレートであるよう構成される(好ましい態様9)。
【0036】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様9の構成に於いて、挙動判定手段は車輌の規範ヨーレートと車輌の実ヨーレートとの偏差の大きさに基づき車輌の挙動を判定するよう構成される(好ましい態様10)。
【0037】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様9の構成に於いて、車輌の旋回特性はスタビリティファクタ及び操舵応答の時定数に関連する値であり、車輌の旋回毎に推定されたスタビリティファクタの変化に基づきスタビリティファクタの信頼度を判定するよう構成される(好ましい態様11)。
【0038】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様10の構成に於いて、挙動判定手段は車輌の規範ヨーレートと車輌の実ヨーレートとの偏差の大きさが基準値よりも大きいか否かにより車輌の挙動を判定し、車輌の旋回特性の信頼度が低いときにはそれが高いときに比して基準値を大きくすることにより、挙動判定手段により車輌の挙動が悪化したと判定され難くするよう構成される(好ましい態様12)。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を好ましい実施の形態(以下単に実施形態という)について詳細に説明する。
【0040】
図1は本発明による車輌の挙動制御装置に適用された旋回特性推定装置の一つの実施形態を示す概略構成図である。
【0041】
図1に於て、10FL及び10FRはそれぞれ車輌12の左右の前輪を示し、10RL及び10RRはそれぞれ左右の後輪を示している。操舵輪である左右の前輪10FL及び10FRは運転者によるステアリングホイール14の転舵に応答して駆動されるラック・アンド・ピニオン式のパワーステアリング装置16によりタイロッド18L 及び18R を介して操舵される。
【0042】
各車輪の制動力は制動装置20の油圧回路22によりホイールシリンダ24FR、24FL、24RR、24RLの制動圧が制御されることによって制御されるようになっている。図には示されていないが、油圧回路22はオイルリザーバ、オイルポンプ、種々の弁装置等を含み、各ホイールシリンダの制動圧は通常時には運転者によるブレーキペダル26の踏み込み操作に応じて駆動されるマスタシリンダ28により制御され、また必要に応じて後に説明する如く電子制御装置30により制御される。
【0043】
車輪10FR〜10RLのホイールシリンダにはそれぞれ対応するホイールシリンダの圧力Pi(i=fr、fl、rr、rl)を検出する圧力センサ32FR〜32RLが設けられ、ステアリングホイール14が連結されたステアリングコラムには操舵角θを検出する操舵角センサ34が設けられている。
【0044】
また車輌12にはそれぞれ車輌のヨーレートγを検出するヨーレートセンサ36、車輌の前後加速度Gxを検出する前後加速度センサ38、車輌の横加速度Gyを検出する横加速度センサ40が設けられている。尚操舵角センサ34、ヨーレートセンサ36及び横加速度センサ40は車輌の左旋回方向を正としてそれぞれ操舵角、ヨーレート及び横加速度を検出する。
【0045】
図示の如く、圧力センサ32FR〜32RLにより検出された圧力Piを示す信号、操舵角センサ34により検出された操舵角θを示す信号、ヨーレートセンサ36により検出されたヨーレートγを示す信号、前後加速度センサ38により検出された前後加速度Gxを示す信号、横加速度センサ40により検出された横加速度Gyを示す信号は電子制御装置30に入力される。
【0046】
尚図には詳細に示されていないが、電子制御装置30は例えばCPUとROMとEEPROMとRAMとバッファメモリと入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続された一般的な構成のマイクロコンピュータを含んでいる。EEPROMは上記式8による規範ヨーレートγ(s)の演算に使用されるスタビリティファクタKhの初期値Khi及び旋回応答時定数係数Tpの初期値Tpiを記憶しており、これらの初期値は車輌の出荷時に車輌毎に設定され、後に詳細に説明する如く車輌が非限界旋回状態にあるときの車輌の旋回走行データに基づいて演算される推定値に書き換えられることによって適宜更新される。
【0047】
電子制御装置30は、後述の如く図2に示されたフローチャートに従い、車輌が旋回を開始すると、操舵角の如き旋回走行データに基づいて各制御サイクル毎に上述の如く上記式13のパラメータa及びbを推定することによりスタビリティファクタKh及び旋回応答時定数係数Tpの推定値を演算すると共に、旋回適否判定指標値を演算し、車輌が旋回を終了すると、旋回適否判定指標値に基づき当該旋回がスタビリティファクタKh及び旋回応答時定数係数Tpの推定に適した旋回であるか否かを判定し、Kh及びTpの推定に適した旋回であると判定されたときにはスタビリティファクタKhの推定値Khj及び旋回応答時定数係数Tpの推定値Tpjを演算し、それらをバッファメモリに記憶する。
【0048】
尚バッファメモリは、車輌の旋回開始より旋回終了までを一旋回として各旋回毎にそれぞれ最大でn個のスタビリティファクタの推定値Khj及び旋回応答時定数係数の推定値Tpj(演算された順にj=1,2,…,n)を記憶し、n個以上の各推定値が演算されるようになると、最も古い推定値を破棄し、常にn個のスタビリティファクタの推定値Khj及び旋回応答時定数係数の推定値Tpjを記憶する。
【0049】
電子制御装置30は、後述の如く図3に示されたフローチャートに従い、新たなスタビリティファクタの推定値Khjが演算されバッファメモリに記憶されると、最新の推定値を含む推定値について移動平均値Khaを演算してバッファメモリに記憶し(最大m個)、図14に示されている如く、推定に適した旋回であると判定された旋回毎に移動平均値Khaの変化勾配Ak及び移動分散値Bk(KhaとKhjとの差の二乗和の移動平均値に相当する値)を演算し、移動平均値Khaの変化勾配Ak若しくは移動分散値Bkが小さいほど大きくなるよう移動平均値Khaの信頼度Rk(0≦Rk≦1)を演算する。
【0050】
そして電子制御装置30は、挙動制御に供されるスタビリティファクタKhを演算する際のEEPROM記憶初期値Khiに対する重みをWk1とし、移動平均値Khaに対する重みをWk2として、信頼度Rkが高いほど重みWk1が小さく重みWk2が大きくなるよう、信頼度Rkに基づいて重みWk1及びWk2を演算し、また後述の如くヨーレート検出値γと目標ヨーレートγtとの偏差であるヨーレート偏差Δγの大きさに基づく車輌の挙動制御の必要性を判定するための基準値をγoとして、信頼度Rkが高いほど基準値γoが小さくなるよう、信頼度Rkに基づいて基準値γoを演算する。尚重みWk1及びWk2の値は0以上1以下であり、それらの和は1である。
【0051】
更に電子制御装置30は、信頼度Rkが1である状況が所定の回数以上継続し、バッファメモリに記憶されているスタビリティファクタの移動平均値Khaのうちの最大値と最小値との偏差ΔKhaが基準値未満であるときには、EEPROMに記憶されているスタビリティファクタの初期値Khiを最後に演算された移動平均値Khaに書き換えて更新する。
【0052】
同様に、電子制御装置30は、後述の如く図4に示されたフローチャートに従い、新たな旋回応答時定数係数の推定値Tpjが演算されバッファメモリに記憶されると、最新の推定値を含む推定値について移動平均値Tpaを演算してバッファメモリに記憶し(最大m個)、推定に適した旋回であると判定された旋回毎に移動平均値Tpaの変化勾配At及び移動分散値Bt(TpaとTpjとの差の二乗和の移動平均値に相当する値)を演算する。
【0053】
そして電子制御装置30は、移動平均値Tpaの変化勾配At若しくは移動分散値Btが小さいほど大きくなるよう移動平均値Tpaの信頼度Rt(0≦Rt≦1)を演算し、挙動制御に供される旋回応答時定数係数Tpを演算する際のEEPROM記憶初期値Tpiに対する重みをWt1とし、移動平均値Tpaに対する重みをWt2として、信頼度Rtが高いほど重みWt1が小さく重みWt2が大きくなるよう、信頼度Rtに基づいて重みWt1及びWt2を演算する。尚重みWt1及びWt2の値も0以上1以下であり、それらの和も1である。
【0054】
更に電子制御装置30は、信頼度Rtが1である状況が所定の回数以上継続し、バッファメモリに記憶されている旋回応答時定数係数の移動平均値Tpaのうちの最大値と最小値との偏差ΔTpaが基準値未満であるときには、EEPROMに記憶されている旋回応答時定数係数の初期値Tpiを最後に演算された移動平均値Tpaに書き換えて更新する。
【0055】
また電子制御装置30は、EEPROMに記憶されているスタビリティファクタの初期値Khi及び最後に演算された移動平均値Khaの重みWk1及びWk2に基づく重み和としてスタビリティファクタKhを演算し、EEPROMに記憶されている旋回応答時定数係数の初期値Tpi及び最後に演算された移動平均値Tpaの重みWt1及びWt2に基づく重み和として旋回応答時定数係数Tpを演算し、これらのスタビリティファクタKh及び旋回応答時定数係数Tpを使用して上記式8に従って規範ヨーレートγ(s)を目標ヨーレートγtとして演算する。
【0056】
そして電子制御装置30は、ヨーレート検出値γと目標ヨーレートγtとの偏差としてヨーレート偏差Δγを演算し、該ヨーレート偏差Δγの大きさが上記基準値γoを越えているか否かの判別により車輌の旋回挙動が悪化しているか否かを判定し、車輌の旋回挙動が悪化しているときには車輌の旋回挙動が安定化するよう挙動制御を実行する。
【0057】
次に図2に示されたフローチャートを参照して図示の実施形態に於けるスタビリティファクタKhの推定演算ルーチンについて説明する。尚図2に示されたフローチャートによる制御は図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
【0058】
まずステップ10に於いては操舵角θを示す信号等の読み込みが行われ、ステップ20に於いては例えばヨーレートセンサ36により検出された車輌の実ヨーレートγの絶対値がその基準値γs(0に近い正の定数)未満の状況より基準値γs以上の状況へ変化したか否かの判別により、車輌が旋回を開始したか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ10へ戻り、肯定判別が行われたときにはステップ30へ進む。
【0059】
ステップ30に於いてはスタビリティファクタKh、旋回応答時定数係数Tp等の初期値の読み込みが行われる。例えば前サイクルの後述のステップ80に於いてスタビリティファクタKhの演算値等が記憶されなかったときにはEEPROMに記憶されているスタビリティファクタの初期値Khi等が読み込まれ、前サイクルのステップ80に於いてスタビリティファクタKhの演算値等が記憶されたときにはそれらの値が読み込まれる。
【0060】
ステップ40に於いてはステアリングギヤ比をNsとして前輪の実舵角δがθ/Nsとして演算され、上記式13に於ける内部演算パラメータa及びbが推定されることによりそれぞれ上記式9及び10により表わされるスタビリティファクタKh及び操舵応答時定数係数Tpが演算され、ステップ50に於いては旋回適否判定指標値として、車速Vと横加速度Gyとの積の絶対値VXGY、ヨーレートγの絶対値YR、横加速度Gyの絶対値GY、操舵角θの絶対値STR、平均車速VX、前後加速度Gxの絶対値GXが演算される。
【0061】
ステップ60に於いては例えば車輌の実ヨーレートγの絶対値がその基準値γs未満になったか否かの判別により、車輌の旋回が終了したか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ40へ戻り、肯定判別が行われたときにはステップ70へ進む。
【0062】
尚図示の実施形態に於いては、車輌の旋回が開始し終了したか否かの判別は車輌の実ヨーレートγを旋回判定指標値として行われるようになっているが、操舵角θ(又は前輪の実舵角δ)又は車輌の横加速度Gyを旋回判定指標値として行われてもよく、また実ヨーレートγ、操舵角θ(又は前輪の実舵角δ)、車輌の横加速度Gyの少なくとも二つの値の組合せを旋回判定指標値として行われてもよい。
【0063】
ステップ70に於いては車輌が旋回を開始した後旋回を終了するまでの間に上記ステップ50に於いて演算された各旋回適否判定指標値がそれぞれ対応する条件を満たしているか否かの判別により、今回の旋回がスタビリティファクタKh等を推定するに適した旋回であるか否か、換言すれば限界旋回状態ではなかったか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ80へ進み、否定判別が行われたときにはステップ90へ進む。
【0064】
(1)ステップ50に於いて演算されたVXGYの最大値をmax(VXGY)とし、VXGYmin及びVXGYmaxを正の定数(VXGYmin<VXGYmax)として、
VXGYmin<max(VXGY)<VXGYmax
(2)ステップ50に於いて演算されたYRの最大値をmax(YR)とし、YRmin及びYRmaxを正の定数(YRmin<YRmax)として、
YRmin<max(YR)<YRmax
(3)ステップ50に於いて演算されたGYの最大値をmax(GY)とし、GYmin及びGYmaxを正の定数(GYmin<GYmax)として、
GYmin<max(GY)<GYmax
(4)ステップ50に於いて演算されたSTRの最大値をmax(STR)とし、STRmin及びSTRmaxを正の定数(STRmin<STRmax)として、
STRmin<max(STR)<STRmax
(5)ステップ50に於いて演算されたVXの平均値をmean(VX)とし、VXmin及びVXmaxを正の定数(VXmin<VXmax)として、
VXmin<mean(VX)<VXmax
(6)ステップ50に於いて演算されたGXの最大値をmax(GX)とし、GXmaxを正の定数として、
max(GX)<GXmax
ステップ80に於いては上記ステップ40に於いて演算されたスタビリティファクタKh及び旋回応答時定数係数Tpがそれぞれ推定値Khj及びTpjとしてパラメータa、b及び内部演算値と共にバッファメモリに記憶され、ステップ90に於いては上記各演算値及びパラメータが破棄される。
【0065】
次に図3に示されたフローチャートを参照して図示の実施形態に於けるスタビリティファクタKhの推定値の信頼性判定ルーチンについて説明する。尚図3に示されたフローチャートによる制御も図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
【0066】
まずステップ110に於いては上記ステップ80に於いてスタビリティファクタKhの新たな推定値Khjがバッファメモリに記憶されたか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ230へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ120へ進む。
【0067】
ステップ120に於いてはバッファメモリに記憶されているn個以下のスタビリティファクタKhの推定値Khjについて移動平均値Khaが演算され、ステップ130に於いては移動平均値Khaの変化勾配Akが演算され、またスタビリティファクタKhの移動分散値Bkが演算される。
【0068】
ステップ140に於いては移動平均値の変化勾配Akに基づき図6に示されたグラフに対応するマップより信頼度Rk1が演算され、移動分散値Bkに基づき図7に示されたグラフに対応するマップより信頼度Rk2が演算され、最新のスタビリティファクタの移動平均値Khaについての信頼度Rkが下記の式14に従って演算される。尚式14の関数fは信頼度Rk1及びRk2が1であるときに1となる信頼度Rk1及びRk2の関数、例えばそれらの線形和である。
Rk=f(Rk1,Rk2)  ……(14)
【0069】
ステップ150に於いては信頼度Rkに基づき図8に示されたグラフに対応するマップよりEEPROMに記憶されているスタビリティファクタの初期値Khiに対する重みWk1及びスタビリティファクタの推定値の移動平均値Khaに対する重みWk2が演算され、ステップ160に於いては信頼度Rkに基づき図9に示されたグラフに対応するマップより後述の挙動制御(図5)に於けるヨーレート偏差Δγについての基準値γoが演算される。
【0070】
ステップ170に於いては信頼度Rkが1であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ180に於いてカウンタのカウント値Ckが1インクリメントされ、否定判別が行われたときにはステップ190に於いてカウンタのカウント値Ckが0にリセットされる。
【0071】
ステップ200に於いてはカウンタのカウント値Ckが基準値Cko(上記mよりも小さい正の一定の整数)を越えているか否かの判別、即ち信頼度Rkが1である状況が所定の回数Cko以上継続したか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのまま図3に示されたルーチンによる制御を一旦終了し、肯定判別が行われたときにはステップ210へ進む。
【0072】
ステップ210に於いてはバッファメモリに記憶されているm個以下のスタビリティファクタの移動平均値Khaのうち、信頼度Rkが1であるときのCko個のスタビリティファクタの移動平均値Khaの最大値Khamaxとそれらの最小値Khaminとの偏差をΔKhaとして、偏差ΔKhaが基準値Dk(正の定数)未満であるか否かの判別、即ちバッファメモリに記憶されているCko個のスタビリティファクタの移動平均値Khaの分散が小さいか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのまま図3に示されたルーチンによる制御を一旦終了し、肯定判別が行われたときにはステップ220に於いてEEPROMに記憶されているスタビリティファクタの初期値Khiが上記ステップ120に於いて演算された最新のスタビリティファクタの移動平均値Khaに書き換えられる。
【0073】
ステップ230に於いてはEEPROMに記憶されているスタビリティファクタの初期値Khiに対する重みWk1及びスタビリティファクタの推定値の移動平均値Khaに対する重みWk2がそれぞれ前回値に維持され、ステップ240に於いては後述の挙動制御(図5)に於けるヨーレート偏差Δγについての基準値γoが前回値に維持される。
【0074】
次に図4に示されたフローチャートを参照して図示の実施形態に於ける旋回応答時定数係数Tpの推定値の信頼性判定ルーチンについて説明する。尚図4に示されたフローチャートによる制御も図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。また図4に於いて、図3に示されたステップに対応するステップには図3に於いて付されたステップ番号より200多いステップ番号が付されている。
【0075】
まずステップ310に於いては上記ステップ80に於いて旋回応答時定数係数Tpの新たな推定値Tpjがバッファメモリに記憶されたか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ430に於いてEEPROMに記憶されている旋回応答時定数係数の初期値Tpiに対する重みWt1及び旋回応答時定数係数の推定値の移動平均値Tpaに対する重みWt2がそれぞれ前回値に維持され、肯定判別が行われたときにはステップ320へ進む。
【0076】
ステップ320に於いてはバッファメモリに記憶されているn個以下の旋回応答時定数係数Tpの推定値Tpjについて移動平均値Tpaが演算され、ステップ330に於いては移動平均値Tpaの変化勾配Atが演算され、また旋回応答時定数係数Tpの移動分散値Btが演算される。
【0077】
ステップ340に於いては移動平均値の変化勾配Atに基づき図10に示されたグラフに対応するマップより信頼度Rt1が演算され、移動分散値Btに基づき図11に示されたグラフに対応するマップより信頼度Rt2が演算され、最新の旋回応答時定数係数の推定値Tpaについての信頼度Rtが下記の式15に従って演算される。尚式15の関数fも信頼度Rt1及びRt2が1であるときに1となる信頼度Rt1及びRt2の関数、例えばそれらの線形和である。
Rt=f(Rt1,Rt2)  ……(15)
【0078】
ステップ350に於いては信頼度Rtに基づき図12に示されたグラフに対応するマップよりEEPROMに記憶されている旋回応答時定数係数の初期値Tpiに対する重みWk1及び旋回応答時定数係数の推定値の移動平均値Tpaに対する重みWk2が演算され、しかる後上記ステップ150に対応するステップが実行されることなくステップ370へ進む。
【0079】
ステップ370に於いては信頼度Rtが1であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ380に於いてカウンタのカウント値Ctが1インクリメントされ、否定判別が行われたときにはステップ390に於いてカウンタのカウント値Ctが0にリセットされる。
【0080】
ステップ400に於いてはカウンタのカウント値Ctが基準値Cto(上記mよりも小さい正の一定の整数)を越えているか否かの判別、即ち信頼度Rtが1である状況が所定の回数Cto以上継続したか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのまま図4に示されたルーチンによる制御を一旦終了し、肯定判別が行われたときにはステップ410へ進む。
【0081】
ステップ410に於いてはバッファメモリに記憶されているm個以下の旋回応答時定数係数の移動平均値Tpaのうち、信頼度Rtが1であるときのCto個の旋回応答時定数係数の移動平均値Tpaの最大値Tpamaxとそれらの最小値Tpaminとの偏差をΔTpaとして、偏差ΔTpaが基準値Dt(正の定数)未満であるか否かの判別、即ちバッファメモリに記憶されているCto個の旋回応答時定数係数の移動平均値Tpaの分散が小さいか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのまま図4に示されたルーチンによる制御を一旦終了し、肯定判別が行われたときにはステップ420に於いてEEPROMに記憶されている旋回応答時定数係数の初期値Tpiが上記ステップ320に於いて演算された最新の旋回応答時定数係数の移動平均値Tpaに書き換えられる。
【0082】
次に図5に示されたフローチャートを参照して図示の実施形態に於ける車輌の挙動制御ルーチンについて説明する。尚図5に示されたフローチャートによる制御も図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
【0083】
まずステップ510に於いては操舵角θを示す信号等の読み込みが行われ、ステップ520に於いてはEEPROMに記憶されているスタビリティファクタの初期値Khi及び最後に演算された移動平均値Khaの重みWk1及びWk2に基づく重み和として下記の式16に従ってスタビリティファクタKhが演算される。
Kh=Wk1Khi+Wk2Kha  ……(16)
【0084】
同様に、ステップ530に於いてはEEPROMに記憶されている旋回応答時定数係数の初期値Tpi及び最後に演算された移動平均値Tpaの重みWt1及びWt2に基づく重み和として下記の式16に従って旋回応答時定数係数Tpが演算される。
Tp=Wt1Tpi+Wt2Tpa  ……(17)
【0085】
ステップ540に於いては上記ステップ520及び530に於いて演算されたスタビリティファクタKh及び旋回応答時定数係数Tpを使用して、操舵角θに基づき前輪の実舵角δが演算されると共に、実舵角δ等に基づき上記式8に従って規範ヨーレートγ(s)が車輌の目標ヨーレートγtとして演算される。
【0086】
ステップ550に於いては下記の式18に従ってヨーレートの検出値γと目標ヨーレートγtとの偏差としてヨーレート偏差Δγが演算される。
Δγ=γ−γt  ……(18)
【0087】
ステップ560に於いてはヨーレート偏差Δγの絶対値が上記ステップ160又は240に於いて設定された基準値γoを越えているか否かの判別、即ち車輌の旋回挙動を安定化させる必要があるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのまま図5に示されたルーチンによる制御を一旦終了し、肯定判別が行われたときにはステップ570へ進む。
【0088】
ステップ570に於いては例えば当技術分野に於いて公知の要領にてヨーレート偏差Δγの大きさを低減して車輌の旋回挙動を安定化させるための車輌の目標ヨーモーメントMt及び目標減速度Gxtが演算され、目標ヨーモーメントMt及び目標減速度Gxtを達成するための各車輪の目標制動圧Pti(i=fr、fl、rr、rl)が演算され、各車輪の制動圧Piがそれぞれ対応する目標制動圧Ptiになるよう制御される。
【0089】
以上の説明より解る如く、図示の実施形態によれば、車輌が旋回を開始しステップ20に於いて肯定判別が行われると、ステップ40に於いて操舵角θの如き旋回走行データに基づいて各制御サイクル毎に上述の如く上記式13のパラメータa及びbが推定されることによりスタビリティファクタKhの推定値Khj及び旋回応答時定数係数Tpの推定値Tpjが演算される。
【0090】
そして車輌が旋回を終了しステップ60に於いて肯定判別が行われると、ステップ70に於いて旋回適否判定指標値に基づき今回の旋回がスタビリティファクタKh及び旋回応答時定数係数Tpの推定に適した旋回であるか否かが判定され、Kh及びTpの推定に適した旋回であると判定されたときには、ステップ80に於いてスタビリティファクタKhの推定値Tpj及び旋回応答時定数係数Tpの推定値Tpjがバッファメモリに記憶され、Kh及びTpの推定に適した旋回ではないと判定されたときには、ステップ90に於いて各演算値が破棄される。
【0091】
従って図示の実施形態によれば、推定に適した旋回時の車輌走行データに基づいて、換言すれば車輌が限界旋回状態にはない状況での旋回走行データに基づいて上記式13のパラメータa及びbを推定することができ、これによりスタビリティファクタKhの推定値Khj及び旋回応答時定数係数Tpの推定値Tpjを実際の車輌の状況に即して適正に演算することができる。
【0092】
また図示の実施形態によれば、新たなスタビリティファクタKhの推定値Khj及び旋回応答時定数係数Tpの推定値Tpjがバッファメモリに記憶されると、ステップ110に於いて肯定判別が行われ、ステップ120及び130に於いてスタビリティファクタの推定値Khjの移動平均値Khaの変化勾配Ak及び移動分散値Bkが演算され、ステップ140に於いて移動平均値Khaの変化勾配Ak若しくは移動分散値Bkが小さいほど大きくなるよう移動平均値Khaの信頼度Rkが演算される。
【0093】
そしてステップ150に於いてスタビリティファクタKhを演算する際のEEPROM記憶初期値Khiに対する重みをWk1とし、移動平均値Khaに対する重みをWk2として、信頼度Rkが高いほど重みWk1が小さく重みWk2が大きくなるよう、信頼度Rkに基づいて重みWk1及びWk2が演算され、挙動制御のステップ520に於いてスタビリティファクタの初期値Khi及び最後に演算された移動平均値Khaの重みWk1及びWk2に基づく重み和として上記式16に従ってスタビリティファクタKhが演算される。
【0094】
従って図示の実施形態によれば、移動平均値Khaの信頼度Rkが高いほど移動平均値Khaの重みが大きくなるようスタビリティファクタの初期値Khi及び最後に演算された移動平均値Khaの重み和としてスタビリティファクタKhが演算されるので、移動平均値Khaの信頼度が考慮されることなく一定の重みにてスタビリティファクタKhが初期値Khi及び移動平均値Khaの重み和として演算される場合に比して、車輌の実際の状況に即してスタビリティファクタKhを演算することができる。
【0095】
また図示の実施形態によれば、ステップ160に於いて移動平均値Khaの信頼度Rkが高いほどヨーレート偏差Δγについての基準値γoが小さくなるよう演算され、挙動制御のステップ560に於いてヨーレート偏差Δγの絶対値が基準値γoを越えているか否かの判別により車輌の旋回挙動が悪化しているか否かが判別される。
【0096】
従って図示の実施形態によれば、移動平均値Khaの信頼度Rkが低いほど車輌の旋回挙動悪化判定の不感帯が広くされることにより挙動悪化判定が行われ難くされ、逆に移動平均値Khaの信頼度Rkが高いほど車輌の旋回挙動悪化判定の不感帯が狭くされることにより挙動悪化判定が行われ易くされるので、車輌の挙動が悪化していないにも拘わらずスタビリティファクタKhの推定精度が低いことに起因して挙動制御が不必要に早く開始されることを防止すると共に、スタビリティファクタKhの推定精度が高く車輌の旋回挙動を高精度に判定し得るときには挙動制御を遅れなく早期に開始し、車輌の挙動を効果的に安定化させることができる。
【0097】
また図示の実施形態によれば、移動平均値Khaの信頼度Rkが最も高い1である状況がCko回以上継続すると、ステップ200に於いて肯定判別が行われ、信頼度Rkが1である状況に於けるスタビリティファクタの移動平均値Khaの最大値Khamaxとそれらの最小値Khaminとの偏差ΔKhaが基準値Dk未満であるときには、ステップ210に於いて肯定判別が行われ、これによりステップ220に於いてEEPROMに記憶されているスタビリティファクタの初期値Khiが最新のスタビリティファクタの移動平均値Khaに書き換えられる。
【0098】
従って図示の実施形態によれば、スタビリティファクタの推定値が漸次車輌の真のスタビリティファクタに近づき、スタビリティファクタの推定値が安定的に演算されるようになると、スタビリティファクタの初期値Khiが最新のスタビリティファクタの移動平均値Khaに書き換えられることによって更新されるので、EEPROMに記憶されているスタビリティファクタの初期値Khiを車輌の真のスタビリティファクタ又はそれに近い値に設定することができ、これによりステップ540〜570に於いて車輌の目標ヨーレートγtを車輌の実際の状況に即して正確に演算し、車輌の挙動を正確に判定し正確に制御することができる。
【0099】
例えば図13はヨーレートセンサ36により検出されるヨーレートγ、旋回の適否、スタビリティファクタの推定値Khjの変化の一例を示している。図13に示されている如く、EEPROMに記憶されているスタビリティファクタの初期値Khiが車輌の真のスタビリティファクタKhrと異なっていても、車輌が推定に適した旋回を行う度にスタビリティファクタの推定値Khjが演算され、その移動平均値Khaが演算され、移動平均値Khaは漸次真のスタビリティファクタKhrに近づく。
【0100】
図14は推定に適した旋回の旋回Noを横軸にとってスタビリティファクタの移動平均値Kha、挙動制御に使用されるスタビリティファクタ(ステップ520に於いて演算されるスタビリティファクタ)Kh、基準値γoの変化の一例を示している。尚移動平均値Khaの変化勾配Akは図14の移動平均値Khaの傾きに相当する。図14より、移動平均値Khaは漸次真のスタビリティファクタKhrに近づくにつれて挙動制御に使用されるスタビリティファクタKhが真のスタビリティファクタKhrに近づくと共に、これに対応して基準値γoが漸次小さくなることが解る。
【0101】
また図示の実施形態によれば、新たなスタビリティファクタKhの推定値Khj及び旋回応答時定数係数Tpの推定値Tpjがバッファメモリに記憶されると、ステップ310に於いて肯定判別が行われ、ステップ320及び330に於いて旋回応答時定数係数Tpの推定値Tpjの移動平均値Tpaの変化勾配At及び移動分散値Btが演算され、ステップ340に於いて移動平均値Tpaの変化勾配At若しくは移動分散値Btが小さいほど大きくなるよう移動平均値Tpaの信頼度Rtが演算される。
【0102】
そしてステップ350に於いて旋回応答時定数係数Tpを演算する際のEEPROM記憶初期値Tpiに対する重みをWt1とし、移動平均値Tpaに対する重みをWt2として、信頼度Rtが高いほど重みWt1が小さく重みWt2が大きくなるよう、信頼度Rtに基づいて重みWt1及びWt2が演算され、挙動制御のステップ530に於いて旋回応答時定数係数の初期値Tpi及び最後に演算された移動平均値Tpaの重みWt1及びWt2に基づく重み和として上記式17に従って旋回応答時定数係数Tpが演算される。
【0103】
従って図示の実施形態によれば、移動平均値Tpaの信頼度Rtが高いほど移動平均値Tpaの重みが大きくなるよう旋回応答時定数係数の初期値Tpi及び最後に演算された移動平均値Tpaの重み和として旋回応答時定数係数Tpが演算されるので、移動平均値Tpaの信頼度が考慮されることなく一定の重みにて旋回応答時定数係数Tpが初期値Tpi及び移動平均値Tpaの重み和として演算される場合に比して、車輌の実際の状況に即して旋回応答時定数係数Tpを演算することができる。
【0104】
また図示の実施形態によれば、移動平均値Tpaの信頼度Rtが最も高い1である状況がCto回以上継続すると、ステップ400に於いて肯定判別が行われ、信頼度Rtが1である状況に於ける旋回応答時定数係数の移動平均値Tpaの最大値Tpamaxとそれらの最小値Tpaminとの偏差ΔTpaが基準値Dt未満であるときには、ステップ410に於いて肯定判別が行われ、これによりステップ420に於いてEEPROMに記憶されている旋回応答時定数係数の初期値Tpiが最新の旋回応答時定数係数の移動平均値Tpaに書き換えられる。
【0105】
従って図示の実施形態によれば、スタビリティファクタの推定値の場合と同様、旋回応答時定数係数の推定値が漸次車輌の真の旋回応答時定数係数に近づき、旋回応答時定数係数の推定値が安定的に演算されるようになると、旋回応答時定数係数の初期値Tpiが最新の旋回応答時定数係数の移動平均値Tpaに書き換えられることによって更新されるので、EEPROMに記憶されている旋回応答時定数係数の初期値Tpiを車輌の真の旋回応答時定数係数又はそれに近い値に設定することができ、これによりステップ540〜570に於いて車輌の目標ヨーレートγtを車輌の実際の状況に即して正確に演算し、車輌の挙動を正確に判定し正確に制御することができる。
【0106】
また図示の実施形態によれば、ステップ20に於いては例えばヨーレートセンサ36により検出された車輌の実ヨーレートγの絶対値がその基準値γs(0に近い正の定数)未満の状況より基準値γs以上の状況へ変化したか否かの判別により、車輌が旋回を開始したか否かの判別が行われ、またステップ60に於いては例えば車輌の実ヨーレートγの絶対値がその基準値γs未満になったか否かの判別により、車輌の旋回が終了したか否かの判別が行われるので、スタビリティファクタKh及び旋回応答時定数係数Tpを推定するための車輌の旋回走行データの連続性を確実に確保することができ、また基準値γsが大きい値である場合に比して車輌の旋回走行データを有効に利用することができる。
【0107】
以上に於いては本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0108】
例えば上述の実施形態に於いては、ステップ50に於いて旋回適否判定指標値として、車速Vと横加速度Gyとの積の絶対値VXGY等が演算され、ステップ70に於いてそれらの旋回適否判定指標値が上記条件(1)〜(6)を満たしているか否かが判別されるようになっているが、上記ステップ50に於いて演算される何れかの旋回適否判定指標値が省略されてもよい。
【0109】
また逆に上記ステップ50に於いて演算される旋回適否判定指標値に加えて、例えば一旋回中の最大車速Vmaxと最小車速Vminとの偏差ΔVが所定の基準値以下であるか否か、車輌の横加速度Gyと車速V及び車輌のヨーレートγの積との差Gy−Vγのローパスフィルタ処理値を路面のカントCant(車輌横方向の傾斜角)として、路面のカントCantの絶対値の最大値が基準値以下であるか否かの判別などが追加されてもよい。
【0110】
また上述の実施形態に於いては、規範旋回状態量及び実旋回状態量はそれぞれ車輌の規範ヨーレート及び実ヨーレートであるが、規範旋回状態量及び実旋回状態量は規範ヨーレート及び実ヨーレートをそれぞれ車速Vにて除算し変換係数を乗算した値として得られる操舵輪の規範舵角及び実舵角であってもよい。
【0111】
また上述の実施形態に於いては、バッファメモリに最大m個のスタビリティファクタの移動平均値Kha及び旋回応答時定数係数Tpaが記憶されるようになっているが、例えば移動平均値Kha等がローパスフィルタ処理され、その変化率の大きさに基づき移動平均値Kha等の信頼度Rk及びRtが演算されるよう修正されてもよい。
【0112】
また上述の実施形態に於いては、信頼度Rk1及びRk2の関数として移動平均値Khaの信頼度Rkが演算され、信頼度Rt1及びRt2の関数として移動平均値Tpaの信頼度Rtが演算されるようになっているが、信頼度Rk1及びRk2の一方が信頼度Rkとされるよう修正されてもよい。
【0113】
また上述の実施形態に於いては、ステップ310〜410はステップ110〜220とは独立に実行されるようになっているが、例えばステップ190〜210の実行後にステップ320〜410が実行されるよう修正されてもよい。
【0114】
また上述の実施形態に於いては、車輌の挙動が悪化したか否かはステップ560に於いてヨーレート検出値γと車輌の目標ヨーレートγtとの偏差の大きさが基準値を越えているか否かにより判別され、その基準値γoが信頼度Rkに応じて可変設定されるようになっているが、基準値γoは信頼度Rt又は信頼度Rk、Rtの両者に応じて可変設定されてもよく、また挙動制御は当技術分野に於いて公知の任意の要領にて実行されてよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による車輌の挙動制御装置に適用された旋回特性推定装置の一つの実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図示の実施形態に於けるスタビリティファクタKhの推定演算ルーチンを示すフローチャートである。
【図3】図示の実施形態に於けるスタビリティファクタKhの推定値の信頼性判定ルーチンを示すフローチャートである。
【図4】図示の実施形態に於ける旋回応答時定数係数Tpの推定値の信頼性判定ルーチンを示すフローチャートである。
【図5】図示の実施形態に於ける挙動制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図6】スタビリティファクタの推定値Khaの移動平均値の変化勾配Akと信頼度Rk1との関係を示すグラフである。
【図7】スタビリティファクタの推定値Khaの移動分散値Bkと信頼度Rk2との関係を示すグラフである。
【図8】最新のスタビリティファクタの移動平均値Khaについての信頼度Rkとスタビリティファクタの初期値Khiに対する重みWk1及びスタビリティファクタの推定値の移動平均値Khaに対する重みWk2との関係を示すグラフである。
【図9】最新のスタビリティファクタの移動平均値Khaについての信頼度Rkとヨーレート偏差Δγについての基準値γoとの関係を示すグラフである。
【図10】旋回応答時定数係数の推定値Tpの移動平均値の変化勾配Atと信頼度Rt1との関係を示すグラフである。
【図11】旋回応答時定数係数の推定値Tpの移動分散値Btと信頼度Rt2との関係を示すグラフである。
【図12】最新の旋回応答時定数係数の移動平均値Tpaについての信頼度Rtと旋回応答時定数係数の初期値Tpiに対する重みWt1及び旋回応答時定数係数の推定値の移動平均値Tpaに対する重みWt2との関係を示すグラフである。
【図13】ヨーレートセンサにより検出されるヨーレートγ、旋回の適否、スタビリティファクタの移動平均値Khaの変化の一例を示すグラフである。
【図14】推定に適した旋回の旋回Noを横軸にとってスタビリティファクタの移動平均値Kha、挙動制御に使用されるスタビリティファクタKh、基準値γoの変化の一例を示すグラフである。
【図15】規範ヨーレート、スタビリティファクタ、旋回応答時定数係数を推定するための車輌の二輪モデルを示す説明図である。
【符号の説明】
10FR〜10RL…車輪
20…制動装置
28…マスタシリンダ
30…電子制御装置
32FR〜32RL…圧力センサ
34…操舵角センサ
36…ヨーレートセンサ
38…前後加速度センサ
40…横加速度センサ

Claims (5)

  1. 車輌が旋回する際の車輌走行データに基づき規範旋回状態量を推定し、規範旋回状態量と実旋回状態量との間の伝達関数を推定し、該伝達関数に基づき車輌の旋回特性を推定する車輌の旋回特性推定装置であって、旋回状態が限界旋回状態であるか否かを判定し、限界旋回状態であると判定されたときには推定された旋回特性を採用しないことを特徴とする車輌の旋回特性推定装置。
  2. 車輌の旋回指標値の大きさが基準値より増大して前記基準値に戻るまでの車輌走行データに基づき旋回状態が限界旋回状態であるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の車輌の旋回特性推定装置。
  3. 前記基準値は車輌の実質的に直進走行状態に対応する値であることを特徴とする請求項2に記載の車輌の旋回特性推定装置。
  4. 前記車輌走行データの大きさの最大値が所定の範囲内にないときに旋回状態が限界旋回状態であると判定することを特徴とする請求項2に記載の車輌の旋回特性推定装置。
  5. 推定された車輌の旋回特性を利用して車輌の挙動を判定する挙動判定手段を有し、前記旋回特性推定装置は推定された車輌の旋回特性の信頼度を判定し、車輌の旋回特性の信頼度が低いときにはそれが高いときに比して前記挙動判定手段により車輌の挙動が悪化したと判定され難くすることを特徴とする請求項1乃至4に記載の車輌の旋回特性推定装置。
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