JP3282449B2 - 車輌の横滑り状態量検出装置 - Google Patents

車輌の横滑り状態量検出装置

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JP3282449B2
JP3282449B2 JP16791195A JP16791195A JP3282449B2 JP 3282449 B2 JP3282449 B2 JP 3282449B2 JP 16791195 A JP16791195 A JP 16791195A JP 16791195 A JP16791195 A JP 16791195A JP 3282449 B2 JP3282449 B2 JP 3282449B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車等の車輌の旋回
時に於ける横滑り状態量を検出する装置に係り、特に車
体のスリップ角や横方向速度の如き物理量として横滑り
状態量を検出する横滑り状態量検出装置に係る。
【0002】
【従来の技術】例えば特開昭62−83247号公報に
記載されている如く、自動車等の車輌の旋回時に於ける
車体のスリップ角の如き運動状態量を検出する装置に於
いて、操舵角及び車速を入力変数とする車輌モデルより
推定される車輌の横滑り角(車体のスリップ角)等と横
加速度、ヨーレート、車速に基づき演算される横滑り角
等とを比較することにより、車輌モデルの前後輪のコー
ナリングパワーを補正する技術が従来より知られてい
る。
【0003】かかる技術によれば、車輌モデルが有する
定常運動特性と過渡運動特性の両者が実際の車輌の特性
に一致するよう補正されるので、車輌モデルの前後輪の
コーナリングパワーの補正が行われない場合に比して車
輌の旋回時に於ける運動状態量の推定精度を向上させる
ことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一般に、車輌モデルよ
り横滑り角等が推定される場合の推定精度は線形領域
(タイヤの線形領域)に於いては良好であるが、非線形
領域に於いては推定精度が悪化し、そのため車輌の旋回
限界の如き車輌の挙動限界を判定しスピンの如き旋回挙
動を制御するために車輌モデルによる推定値を使用する
ことはできない。従って車輌の挙動限界を判定するに当
たり横加速度、ヨーレート等をパラメータとする積分演
算により横滑り角を求めることが考えられるが、この場
合には、積分演算により誤差(ドリフト)が蓄積され易
いことに加えて、路面のカントが高精度に推定されない
ことに起因して横滑り角の推定精度が悪化し易いという
問題がある。
【0005】本発明は、従来の横滑り状態量検出装置に
於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本
発明の主要な課題は、路面のカントの推定精度を高くす
ることにより、横滑り状態量の推定精度を向上させるこ
とである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の如き主要な課題
は、本発明によれば、車速Vを検出する車速検出手段
と、車輌のヨーレートγを検出するヨーレート検出手段
と、車輌の横加速度Gy を検出する横加速度検出手段
と、車輌の状態量を検出する手段と、検出された車輌の
状態量を入力変数として車輌モデルにより車輌の横方向
速度の変化率Vysd を推定する横方向速度推定手段と、
横方向加速度の偏差V*γ−Gy と横方向速度の変化率
Vysd との和C0 の低周波成分をカント推定値Cとして
演算するカント推定値演算手段と、前記車速V、前記ヨ
ーレートγ、前記横加速度Gy 及び前記カント推定値C
をパラメータとする積分演算により車輌の横滑り物理量
を演算する横滑り物理量演算手段とを有する車輌の横滑
り状態量検出装置(請求項の構成)によって達成され
る。
【0007】
【0008】また本発明によれば、上述の主要な課題を
効果的に達成すべく、上記請求項の構成に於て、前記
カント推定値演算手段は小さい時定数を有し前記和C0
の低周波成分を演算する第一のフィルタ手段と、大きい
時定数を有し前記和C0 の低周波成分を演算する第二の
フィルタ手段と、前記横滑り物理量推定手段により推定
される横滑り物理量が小さいときには前記第一のフィル
タ手段により演算された値C1 を前記カント推定値Cと
し、前記横滑り物理量推定手段により推定される横滑り
物理量が大きいときには前記第二のフィルタ手段により
演算された値C2 を前記カント推定値Cとする切替え手
段とを有するよう構成される(請求項の構成)。
【0009】また本発明によれば、上述の主要な課題を
効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於て、前記
車輌モデルは操舵角及び車速を入力変数とする第一のモ
デルと、横加速度及びヨーレートを入力変数とする第二
のモデルとよりなり、何れか一方のモデルの何れかの入
力変数を検出する手段が故障した場合には他方のモデル
が使用されるよう構成される(請求項の構成)。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【作用】 輌が旋回する際の車輌の横加速度Gy と車速
V及び車体のヨーレートγの積V*γにより推定される
横加速度との偏差の低周波成分が路面のカントの推定値
とされる場合には、偏差の低周波成分を演算するための
時定数を大きくする必要があるが、時定数が大きく設定
されるとカントの推定値は実際の路面のカントの変化に
追従しなくなる。また車輌の旋回挙動が安定であっても
多少の車体のスリップ角が発生するため、時定数が小さ
く設定されるとスリップ角の変化により生じるGy とV
*γとの偏差と路面のカントとを区別できなくなる。
【0014】上述の請求項の構成によれば、検出され
た車輌の状態量を入力変数として車輌モデルにより車輌
の横方向速度の変化率Vysd が推定され、カント推定値
Cは横方向加速度の偏差V*γ−Gy と横方向速度の変
化率Vysd との和C0 の低周波成分として演算されるの
で、低周波成分を演算するための時定数を大きくしなく
てもカントの推定値が実際の路面のカントの変化に追従
して高精度に演算され、また車速V、ヨーレートγ、横
加速度Gy 及びカント推定値Cをパラメータとする積分
演算により車輌の横滑り物理量が演算されるので、横加
速度Gy に含まれる実際の路面のカント成分が高精度に
除去され、これにより路面のカントの影響を受けること
なく車輌の横滑り物理量が高精度に演算される。
【0015】特に請求項の構成によれば、横滑り物理
量推定手段により推定される横滑り物理量が小さいとき
には、換言すれば車輌の挙動が安定であるときには、小
さい時定数を有する第一のフィルタ手段により演算され
た値C1 がカント推定値Cとされ、横滑り物理量推定手
段により推定される横滑り物理量が大きいときには、換
言すれば車輌の挙動が不安定であるときには、大きい時
定数を有する第二のフィルタ手段により演算された値C
2 がカント推定値Cとされるので、車輌の挙動が不安定
である場合にもカント推定値Cが実際の路面のカントに
対応して高精度に演算される。
【0016】同様に請求項の構成によれば、車輌モデ
ルは操舵角及び車速を入力変数とする第一のモデルと、
横加速度及びヨーレートを入力変数とする第二のモデル
とよりなり、何れか一方のモデルの何れかの入力変数を
検出する手段が故障した場合には他方のモデルが使用さ
れるので、検出手段が故障した場合にも車輌の横滑り物
理量が支障なく高精度に演算される。
【0017】
【0018】
【好ましい実施態様】 述の請求項の構成に於いて、
第一のフィルタ手段は前記和C0 をローパスフィルタ処
理することにより和C0 の低周波成分を演算し、第二の
フィルタ手段は第一のフィルタ手段により演算された低
周波成分を更にローパスフィルタ処理することにより低
周波成分を演算するよう構成される。
【0019】また上述の請求項の構成に於いて、切替
え手段は第一のフィルタ手段により演算された値C1 及
び第二のフィルタ手段により演算された値C2 がそれぞ
れ重み付けされた和としてカント推定値Cを演算し、横
滑り物理量推定手段により推定される横滑り物理量が大
きいほど値C1 の重みを小さくすると共に値C2 の重み
を大きくするよう構成される。
【0020】
【実施例】以下に添付の図を参照しつつ、本発明を実施
例について詳細に説明する。
【0021】図1は車輌の旋回挙動制御装置の一部とし
て構成された本発明による車輌の横滑り状態量検出装置
の一つの実施例を示す概略構成図(A)及びブロック線
図(B)である。
【0022】図1(A)に於いて、旋回挙動制御装置1
0は横滑り状態量検出装置12と制動力制御装置14と
を有し、横滑り状態量検出装置12は後述の如く車輌の
横滑り物理量として車輌の横速度Vy 若しくは車体のス
リップ角βを演算し、制動力制御装置14は車体のスリ
ップ角βに基づき車輌の旋回挙動を推定し、旋回挙動が
スピンの如く不安定であるときには制動装置16へ制御
信号を出力し、制動装置16により左前輪18FL又は右
前輪18FR、或いは何れかの前輪と左後輪18RL及び右
後輪18RRの制動力を制御し、これにより車輌の旋回挙
動を安定化させるようになっている。
【0023】横滑り状態量検出装置12には、操舵角セ
ンサ20より図には示されていないステアリングホイー
ルの回転操作に応じて回転されるステアリングシャフト
の回転角として操舵角θを示す信号が入力され、車輌の
重心に設けられた横加速度センサ22より車輌の横加速
度Gy を示す信号が入力され、車速センサ24より車速
Vを示す信号が入力され、更にはヨーレートセンサ26
より車輌のヨーレートγを示す信号が入力されるように
なっている。また横滑り状態量検出装置12は操舵角セ
ンサ20及び横加速度センサ22が故障しているか否か
を判定し、これらのセンサが故障しているときには警報
装置28へ制御信号を出力して車輌の乗員に警報を発す
るようになっている。
【0024】図1(B)に示されている如く、横滑り状
態量検出装置12は上述の各センサよりの信号に基づき
車速V、ヨーレートγ及び横加速度Gy をパラメータと
する積分演算により車輌の横滑り物理量を演算する横滑
り物理量演算ブロック30と、操舵角θの如き車輌の状
態量を入力変数として車輌モデルにより車輌の横滑り物
理量を推定する横滑り物理量推定ブロック32と、車輌
の旋回挙動が不安定なときには積分演算の積分時定数を
大きくする積分時定数設定ブロック34と、横滑り物理
量演算手段により演算された横滑り物理量横滑り物理
量推定手段により推定された横滑り物理量との重み和
基づき最終的に車輌の横滑り状態量を演算する最終演算
ブロック36とを有している。
【0025】横滑り物理量演算ブロック30は横滑り物
理量推定ブロック32により演算される推定スリップ角
速度βsd等に基づき路面のカント推定値Cを演算するカ
ント推定値演算ブロック30Aを含み、横滑り物理量推
定ブロック32は車体の推定スリップ角βs 及び推定ス
リップ角速度βsdを演算する第一のオブザーバ38及び
第二のオブザーバ40を含んでいる。第一のオブザーバ
38は下記の数1にて表され、操舵角θに基づき演算さ
れる前輪の操舵角δf 及び後輪の操舵角δr を入力変数
として車体の推定スリップ角βs 及び推定スリップ角速
度βsdを演算する。一方第二のオブザーバ40は下記の
数2にて表され、前輪の横力Fyf及び後輪の操舵角δr
を入力変数として車体の推定スリップ角βs 及び推定ス
リップ角速度βsdを演算する。
【0026】
【数1】
【数2】
【0027】尚上記数1及び数2に於いて、図7に示さ
れている如く、Cf 及びCr はそれぞれ前輪Wf 及び後
輪Wr のコーナリングパワーであり、Mは車輌の重量で
あり、Lf は重心Oと前輪Wf の車軸との間の前後方向
距離であり、Lr は重心Oと後輪Wr の車軸との間の前
後方向距離であり、Iz は車体のヨー慣性モーメントで
あり、γs 及びγsdはそれぞれ車輌の推定ヨーレート及
び推定ヨーレートの変化率である。
【0028】また前輪の横力Fyfはγd をヨーレートγ
の微分値とし、Lをホイールベース(=Lf +Lr )と
して下記の数3に従って演算される。
【数3】Fyf=(M*Lr *Gy +Iz *γd )/L
【0029】また図には示されていないが、横滑り状態
量検出装置12及び制動力制御装置14は実際には例え
ば中央処理ユニット(CPU)と、リードオンリメモリ
(ROM)と、ランダムアクセスメモリ(RAM)と、
入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモン
バスにより互いに接続された一つのマイクロコンピュー
タと駆動回路とよりなっていてよい。
【0030】図示の実施例の横滑り状態量検出装置12
は図2及び図3に示されたルーチンに従って車輌の横速
度Vy 若しくは車体のスリップ角βを演算する。尚図2
及び図3に示されたルーチンは所定時間毎に繰り返し実
行される。
【0031】まずステップ10に於いては操舵角θを示
す信号等の読込みが行われ、ステップ20に於いては操
舵角センサ20が故障しているか否かの判別が行われ、
否定判別が行われときにはステップ50へ進み、肯定判
別が行われときにはステップ30へ進む。ステップ30
に於いては横加速度センサ22が故障しているか否かの
判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ6
0へ進み、肯定判別が行われときにはステップ40に於
いて警報装置28へ制御信号が出力されることにより操
舵角センサ20及び横加速度センサ22が故障している
旨の警報が車輌の乗員に発せられる。
【0032】ステップ50に於いては操舵角θに基づき
前輪の操舵角δf 及び後輪の操舵角δr が演算されると
共に、これらに基づき第一のオブザーバ36により車体
の推定スリップ角βs 及び推定スリップ角速度βsdが演
算される。同様にステップ60に於いては上記数3に従
って前輪の横力Fyfが演算され、操舵角θに基づき後輪
の操舵角δr が演算されると共に、前輪の横力Fyf及び
後輪の操舵角δr に基づき第二のオブザーバ38により
車体の推定スリップ角βs 及び推定スリップ角速度βsd
が演算される。
【0033】ステップ70に於いては後述のローパスフ
ィルタ処理用の第一の時定数T1 及び第二の時定数T2
がそれぞれ図4及び図5のグラフに対応するマップより
演算され、ステップ80に於いてはτをサンプリングタ
イムとして下記の数4に従ってローパスフィルタ処理用
のフィルタ係数R1 〜R3 が演算される。尚数4に於い
てT2 は定数である。
【数4】R1 =τ/T1 R2 =τ/T2 R3 =τ/T3
【0034】ステップ90に於いては車速V及び推定ス
リップ角速度βsdの積として車輌の推定横速度の変化率
Vysd が演算されると共に、下記の数5に従って基本カ
ント推定値C0が演算される。
【数5】C0 =V*γ−Gy +Vysd
【0035】ステップ100及び110に於いてはそれ
ぞれ下記の数6及び7に従ってカント推定値C1 及びC
2 のローパスフィルタ処理が行われることによりローパ
スフィルタ処理後のカント推定値C1 及びC2 が演算さ
れる。尚数6及び7の右辺のC1 及びC2 はそれぞれ1
サイクル前のローパスフィルタ処理後のカント推定値C
1 及びC2 である。
【0036】
【数6】C1 =(1−R1 )*C1 +R1 *C0
【数7】C2 =(1−R2 )*C2 +R2 *C1
【0037】ステップ120に於いては下記の数8に従
ってカント推定値C1 の移行円滑化処理が行われ、ステ
ップ130に於いては移行円滑化処理後のカント推定値
C1がカント推定値Cに書換えられる。尚数8の右辺の
C1 は1サイクル前の移行円滑化処理後のカント推定値
C1 である。
【数8】C1 =(1−R3 )*C1 +R3 *C2
【0038】ステップ140に於いては車体の推定スリ
ップ角βs に基づき図6に示されたグラフに対応するマ
ップより基本積分時定数T0 が演算され、ステップ15
0に於いては基本積分時定数T0 が1サイクル前のステ
ップ160又は170に於いて設定された時定数Tより
も小さいか否かの判別、即ち基本積分時定数が減少する
過程にあるか否かの判別が行われ、否定判別が行われた
ときにはステップ160に於いて積分時定数Tが基本積
分時定数T0 に設定され、肯定判別が行われたときには
ステップ170に於いて積分時定数Tが下記の数9に従
って設定される。尚下記の数9に於いてフィルタ係数R
t はTt を5秒程度の定数としてτ/Tt である。尚数
9の右辺のTは1サイクル前に演算された積分時定数T
である。
【数9】T=(1−Rt )*T+Rt *T0
【0039】ステップ180に於いては後述のステップ
200に於けるフィルタ係数Rがτ/Tとして演算さ
れ、ステップ190に於いては車輌の推定横速度Vysが
車速Vと推定スリップ角βs との積として演算され、ス
テップ200に於いては車輌の横速度Vy が下記の数1
0に従って演算される。尚数10に従って横速度Vy を
演算することは下記の数11の微分方程式を解くことと
等価である。また数10及び11の右辺のVyは1サイ
クル前に演算された横速度Vyである。
【0040】
【数10】Vy =(1−R)*Vy +R*Vys+(Gy
−V*γ+C)*τ
【数11】dVy /dt=(Vys−Vy )/T+(Gy
−V*γ+C)
【0041】ステップ210に於いては車体のスリップ
角βがVy /Vとして演算され、ステップ220に於い
ては横速度Vy 若しくはスリップ角βが制動力制御装置
14へ出力される。
【0042】かくして図示の実施例に於いては、ステッ
プ20〜130及びステップ200、特にステップ20
0に於ける演算の数10の第3項により横滑り物理量演
算ブロック30の機能が達成され、ステップ20〜13
0及びステップ190により横滑り物理量推定ブロック
32の機能が達成され、ステップ140〜170により
積分時定数設定ブロック34の機能が達成され、ステッ
プ200及び210により最終演算ブロック36の機能
が達成される。特にステップ70〜130によりカント
推定値演算ブロック30Aの機能が達成される。
【0043】図示の実施例によれば、ステップ20及び
30に於いてそれぞれ操舵角センサ20及び横加速度セ
ンサ22が故障しているか否かの判別が行われ、操舵角
センサが正常であるときには前輪の操舵角δf 及び後輪
の操舵角δr を入力変数とする第一のオブザーバ38に
より車体の推定スリップ角βs 及び推定スリップ角速度
βsdが演算され、操舵角センサが故障しているときには
前輪の横力Fyf及び後輪の操舵角δr を入力変数とする
第二のオブザーバ40により車体の推定スリップ角βs
及び推定スリップ角速度βsdが演算されるので、操舵角
センサが故障した場合にも車体の推定スリップ角及び推
定スリップ角速度を確実に推定することができる。
【0044】また路面のカントはV*γ−Gy の低周波
成分として演算されるのではなく、ステップ90に於い
て車輌の推定横速度の変化率Vysd が演算され、数5に
従って基本カント推定値C0 が演算されるので、車輌の
定常状態に於いて車体のスリップ角や路面のカントが変
化する場合にも路面のカントを高精度に演算し、これに
より車輌の横速度Vy や車体のスリップ角βを高精度に
演算することができる。
【0045】またステップ100に於いて基本カント推
定値C0 が小さい時定数にてローパスフィルタ処理され
ることによりC1 が演算され、ステップ110に於いて
C1が大きい時定数にてローパスフィルタ処理されるこ
とによりC2 が演算され、ステップ120に於いてそれ
ぞれ重み付されたC1 及びC2 の和としてカント推定値
Cが演算されるので、通常時にはカント推定値がC1 又
はそれに近い値として演算され、車輌の挙動が不安定な
ときにはC2 に近い値として演算され、これにより実際
の路面のカントに応じてカント推定値Cを高精度に演算
することができる。
【0046】例えば図8の上半分は路面のカントの変化
を示し、下半分は車体のスリップ角の変化を示してい
る。特に図8の上半分に於いて細い実線は実際の路面の
カントを示し、細い破線は車輌の推定横速度の変化率V
ysd にて補正されない場合のカント推定値C′を示し、
太い実線はステップ110及び120の処理が行われな
い場合のカント推定値C″を示し、一点鎖線はステップ
110の処理が行われたカント推定値C2 を示し、太い
破線は実施例によるカント推定値Cを示している。また
図8の下半分に於いて、細い実線は実際の車体のスリッ
プ角を示し、破線はオブザーバにより演算されるスリッ
プ角を示している。
【0047】この図8より、推定値C′はスピンの発生
よりも早く実際のカントより乖離し、スピン発生後には
実際のカントより大きく乖離してしまうことが解る。一
方推定値C″は車輌の挙動が安定であるときには実際の
カントに追従して変化するが、スピンが発生すると実際
のカントより大きく乖離してしまうことが解る。またオ
ブザーバにより演算される推定スリップ角βs もスピン
の発生後に実際のスリップ角より大きく乖離してしまう
ことが解る。
【0048】これに対し図示の実施例により演算される
カント推定値Cはスピン発生前は推定値C″と同様実際
のカントの変化に良好に追従し、しかもスピン発生後に
も実際のカントよりの乖離度合が他の推定値C′及び
C″に比して遥かに小さいことが解る。
【0049】また図示の実施例によれば、ステップ14
0〜170に於いて車輌の挙動が不安定なほど積分時定
数Tが大きい値に設定されるので、車輌の挙動が安定な
状況に於いて積分演算による誤差の蓄積を防止すること
ができると共に、車輌の挙動が不安定な状況に於いて車
輌の横速度Vy や車体のスリップ角βを十分大きい値に
演算することができる。
【0050】特にステップ150に於いて積分時定数T
が減少する過程にあるか否かの判別が行われ、積分時定
数が減少する過程にあるときにはステップ170に於い
て積分時定数の減少度合が低減されるので、車輌の旋回
方向が逆転される場合にも一時的に車体の推定スリップ
角βs が小さくなって積分時定数Tが小さくなることに
起因して積分演算が実質的に中断されてしまうことを確
実に防止することができる。
【0051】更に車輌の横速度Vy はステップ200に
於いて数11と等価な数10に従って演算されることに
より、車輌の定常状態に於いてはVy が推定横速度Vys
に収束するよう演算されるので、横速度Vy の値を安定
的に演算することができ、また横加速度センサ22のオ
フセットの如きセンサの定常的誤差の影響を排除して横
速度Vy を高精度に演算することができ、更には車輌の
横加速度Vyは数10に従って前回演算された車輌の横
加速度Vyと推定横加速度Vysとの重み和として演算さ
れ、重みに相当するフィルタ係数Rは車輌の挙動が不安
定なほど小さくされるので、車輌の挙動が不安定なほど
推定精度が悪化する推定横加速度の重みが低減され、こ
れにより車輌の挙動が不安定な状況に於いても横加速度
Vyを高精度に演算することができる。
【0052】尚図示の実施例に於いては、操舵角センサ
20及び横加速度センサ22の両方について故障判別が
行われ、第一のオブザーバ38及び第二のオブザーバ4
0の何れかにより車体の推定スリップ角βs 及び推定ス
リップ角速度βsdが演算されるようになっているが、操
舵角センサ20及びステップ20、50が省略され、車
体の推定スリップ角及び推定スリップ角速度が常に第二
のオブザーバ40により演算されるよう構成されてもよ
い。
【0053】特に第一のオブザーバ38は前輪及び後輪
の操舵角を入力変数とするので、前輪のコーナリングパ
ワーに依存し、車体のスリップ角に推定誤差が生じると
前輪のスリップ角にも誤差が生じ、前輪の横力に誤差が
生じるため、カウンタステアが行われると車体の推定ス
リップ角及び推定スリップ角速度が実際の値とは全く異
なる値に演算されてしまうが、前輪の横力Fyf及び後輪
の操舵角δr を入力変数とする第二のオブザーバ40に
よれば、カウンタステアが行われる場合にも車体の推定
スリップ角βs 及び推定スリップ角速度βsdを正確に演
算することができる。
【0054】また図示の実施例に於いては、基本積分時
定数T0 は車体の推定スリップ角βs の絶対値に基づき
図6に示されたグラフに対応するマップより演算される
ようになっているが、基本積分時定数は1サイクル前に
演算された車体のスリップ角βの絶対値、1サイクル前
に演算された車体のスリップ角βとその微分値との線形
和との絶対値、車速及び操舵角により定まる目標ヨーレ
ートと実際のヨーレートとの偏差の絶対値等に応じて演
算されてもよい。
【0055】以上に於いては本発明を特定の実施例につ
いて詳細に説明したが、本発明は上述の実施例に限定さ
れるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施
例が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0056】例えば図示の実施例に於いては、ステップ
20に於いて操舵角センサ20が故障しているか否かの
判別が行われ、操舵角センサが故障しているときにはス
テップ30に於いて横加速度センサ22が故障している
か否かの判別が行われるようになっているが、まず横加
速度センサの故障判別が行われ、横加速度センサが故障
しているときには操舵角センサの故障判別が行われ、こ
れにより横加速度センサが故障していないときには第二
のオブザーバ40により車体の推定スリップ角βs 及び
推定スリップ角速度βsdが演算されるよう構成されても
よい。
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【発明の効果】以上の説明より明らかである如く、本発
の請求項の構成によれば、検出された車輌の状態量
を入力変数として車輌モデルにより車輌の横方向速度の
変化率Vysd が推定され、カント推定値Cは横方向加速
度の偏差V*γ−Gy と横方向速度の変化率Vysd との
和C0 の低周波成分として演算されるので、低周波成分
を演算するための時定数を大きくしなくてもカントの推
定値が実際の路面のカントの変化に追従して高精度に演
算され、また車速V、ヨーレートγ、横加速度Gy 及び
カント推定値Cをパラメータとする積分演算により車輌
の横滑り物理量が演算されるので、横加速度Gy に含ま
れる実際の路面のカント成分を高精度に除去して車輌の
横滑り物理量を高精度に演算することができ、これによ
り路面のカントの影響を受けることなく車輌の横滑り状
態量を高精度に検出することができる。
【0061】また上述の請求項の構成によれば、車輌
の挙動が安定であるときには小さい時定数を有する第一
のフィルタ手段により演算された値C1 がカント推定値
Cとされ、車輌の挙動が不安定であるときには大きい時
定数を有する第二のフィルタ手段により演算された値C
2 がカント推定値Cとされるので、車輌の挙動が不安定
である場合にもカント推定値Cを実際の路面のカントに
対応して高精度に演算することができ、これにより車輌
の横滑り状態量を高精度に検出することができる。
【0062】また上述の請求項の構成によれば、車輌
モデルは操舵角及び車速を入力変数とする第一のモデル
と、横加速度及びヨーレートを入力変数とする第二のモ
デルとよりなり、何れか一方のモデルの何れかの入力変
数を検出する手段が故障した場合には他方のモデルが使
用されるので、検出手段が故障した場合にも車輌の横滑
り物理量を支障なく高精度に演算することができ、これ
により車輌の横滑り状態を高精度に検出することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】車輌の旋回挙動制御装置の一部として構成され
た本発明による車輌の横滑り状態量検出装置の一つの実
施例を示す概略構成図(A)及びブロック線図(B)で
ある。
【図2】図1に示された実施例の横滑り状態量演算ルー
チンの前半の部分を示すフロー
【図3】図1に示された実施例の横滑り状態量演算ルー
チンの後半の部分を示すフローチャートである。
【図4】車体の推定スリップ角βs の絶対値と時定数T
1 との間の関係を示すグラフである。
【図5】車体の推定スリップ角βs の絶対値と時定数T
2 との間の関係を示すグラフである。
【図6】車体の推定スリップ角βs の絶対値と基本積分
時定数T0 との間の関係を示すグラフである。
【図7】後輪の操舵角δr が0である場合について第一
のオブザーバの車輌モデル(A)及び第二のオブザーバ
の車輌モデル(B)を示す説明図である。
【図8】実際の路面のカント及び車体のスリップ角、推
定される路面のカント及び車体のスリップ角の変化の一
例を示すグラフである。
【符号の説明】
10…旋回挙動制御装置 12…横滑り状態量検出装置 14…制動力制御装置 16…制動装置 18FL〜18RR…車輪 20…操舵角センサ 22…横加速度センサ 24…車速センサ 26…ヨーレートセンサ 28…警報装置 30…横滑り物理量演算ブロック 30A…カント推定値演算ブロック 32…横滑り物理量推定ブロック 34…積分時定数設定ブロック 36…最終演算ブロック 38…第一のオブザーバ 40…第二のオブザーバ

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車速Vを検出する車速検出手段と、車輌の
    ヨーレートγを検出するヨーレート検出手段と、車輌の
    横加速度Gy を検出する横加速度検出手段と、車輌の状
    態量を検出する手段と、検出された車輌の状態量を入力
    変数として車輌モデルにより車輌の横方向速度の変化率
    Vysd を推定する横方向速度推定手段と、横方向加速度
    の偏差V*γ−Gy と横方向速度の変化率Vysd との和
    C0 の低周波成分をカント推定値Cとして演算するカン
    ト推定値演算手段と、前記車速V、前記ヨーレートγ、
    前記横加速度Gy 及び前記カント推定値Cをパラメータ
    とする積分演算により車輌の横滑り物理量を演算する横
    滑り物理量演算手段とを有する車輌の横滑り状態量検出
    装置。
  2. 【請求項2】請求項の車輌の横滑り状態量検出装置に
    於いて、前記カント推定値演算手段は小さい時定数を有
    し前記和C0 の低周波成分を演算する第一のフィルタ手
    段と、大きい時定数を有し前記和C0 の低周波成分を演
    算する第二のフィルタ手段と、前記横滑り物理量推定手
    段により推定される横滑り物理量が小さいときには前記
    第一のフィルタ手段により演算された値 C1 を前記カ
    ント推定値Cとし、前記横滑り物理量推定手段により推
    定される横滑り物理量が大きいときには前記第二のフィ
    ルタ手段により演算された値C2 を前記カント推定値C
    とする切替え手段とを有していることを特徴とする車輌
    の横滑り状態量検出装置。
  3. 【請求項3】請求項1の車輌の横滑り状態量検出装置に
    於いて、前記車輌モデルは操舵角及び車速を入力変数と
    する第一のモデルと、横加速度及びヨーレートを入力変
    数とする第二のモデルとよりなり、何れか一方のモデル
    の何れかの入力変数を検出する手段が故障した場合には
    他方のモデルが使用されるよう構成されていることを特
    徴とする車輌の横滑り状態量検出装置。
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