JP2003526735A - 鋼鉄スラグから、還元金属浴を使用してセメント産業用のポゾランバインダーを製造する方法 - Google Patents

鋼鉄スラグから、還元金属浴を使用してセメント産業用のポゾランバインダーを製造する方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、スラグ中に含有される金属酸化物を還元する金属浴を使用して、塩基性酸化物スラグ、特に製鉄スラグから、セメント産業用のポゾラン又は水硬性のバインダーを作る方法に関する。この方法では、酸性修正物質、例えばシリカサンド及び／又は高炉スラグ及び／又はＳｉＯ２含有修正物質の添加によって、還元の前に、液体スラグの塩基性値（ＣａＯ／ＳｉＯ２）を、目標スラグの塩基性値よりも０．１〜０．５小さい値に調節する。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】 本発明は、塩基性酸化物スラグから、セメント産業用のポゾラン又は水硬性の
粉砕材料を製造する方法に関する。
【０００２】 ヨーロッパ特許第６６６，９３０号明細書では、銑鉄、特に銑鉄中の炭素成分
を使用して製鉄スラグを還元し、それによって一方では銑鉄浴を精製し、同時に
製鉄スラグ中の酸化鉄を還元して鉄にし、鉄浴に導入する方法が既に開示されて
いる。酸化物スラグ、特に製鉄業のスラグは、それらの金属酸化物含有率及びそ
れらの塩基性に依存して、いくらかの大きい粘度を有し、従って高度に液体状の
スラグを維持するためには比較的高い温度での操作を必要とする。更にそのよう
なスラグを、適当な修正物質によってセメント技術に関連のある組成に適応させ
る場合、浴の炭素からの激しいＣＯの生成によって、通常の温度で激しく発泡す
る傾向を有することが多い。この様式で起こる発泡が継続的である場合、これは
金属とスラグとの間の物質移動を減少させ、還元速度を明らかに低下させ、従っ
て処理時間を実質的に長くする。同時に、比較的高い炭素含有率の金属浴で操作
する場合、これは界面において特に激しい反応をもたらすことがあり、これはか
なりの発泡、更に望ましくないスラグの噴き出しをもたらすことがある。
【０００３】 本発明は、そのような塩基性酸化物スラグの処理における処理期間を短くし、
且つ初期反応速度を遅くし、同時に安全で迅速な反応を達成し、特にスラグ中の
金属酸化物を低温で還元することを目的としている。この目的を達成するために
、本発明の方法は本質的に、石英質砂及び／又は高炉スラグ及び／又はＳｉＯ２ 含有修正物質のような酸性添加剤の添加によって液体スラグの塩基性を調節して
、前記還元の前に、目標スラグの塩基性値（ＣａＯ／ＳｉＯ２）よりも０．１〜
０．５小さくすることを含む。液体スラグの塩基性値を、比較的小さい値、特に
セメント技術での続く利用のために望ましい値よりも小さい値に低下させること
によって、比較的低温においても高度に液体状であり、発泡する傾向が小さいス
ラグをすぐに得ることができる。塩基性値の低下、及びそれによる温度レベルの
関数としての粘度の関連する低下は、明らかに比較的大きい還元速度、従って比
較的迅速な反応をもたらし、この間に特に鉄及びマンガンの酸化物が迅速に金属
の鉄及び金属のマンガンにそれぞれ還元する。同様に、クロム、ニッケル、バナ
ジウム及び他の金属の酸化物が還元される。金属酸化物含有率が低下すると、浴
に含有されている炭素の一酸化炭素及び二酸化炭素への転化も当然に減少し、従
ってスラグが発泡する危険性が実質的に低下する。適当な量のＡｌ２Ｏ３を添加
する場合、粘度は更に低下し、比較的小さい塩基性値の低下で所望の反応速度が
得られる。
【０００４】 本発明の方法では、還元の最終的段階又は最終段階に近い段階のスラグの塩基
性値が、１．１〜１．５の所望の目標塩基性値に調節される有利な様式で、続く
処理を行う。炭素転化が減少することによって発泡の傾向が減少し、従って製鉄
スラグの還元を行う転化器に対応する添加を行うことは容易であり、セメント技
術に関する理由で求められる目標塩基性値を還元の終わりに向けて調節すること
は容易である。
【０００５】 好ましいセメント技術に関するスラグ組成に調節するために、１．１〜１．５
の目標塩基性値への調節に加えて、Ａｌ２Ｏ３含有率を増加させることが望まし
い。ここでは例えばこの目的のために、ボーキサイトを添加することができる。
還元相の迅速な転化を確実にするために、Ａｌ２Ｏ３含有率修正物質を処理の初
めの段階で加えることも有利であり、ボーキサイトのようなＡｌ２Ｏ３含有率修
正物質を少なくとも部分的にスラグ還元の前に加えるようにして処理することが
有利である。還元の前に、Ａｌ２Ｏ３含有率調節に必要とされる添加剤の一部を
加えることによって、スラグ中での信頼可能な混和と同時にスラグ粘度の低下が
還元工程の間に確実になる。ここで加えられる量は好ましくは、必要とされるＡ
ｌ２Ｏ３含有添加剤の１／２〜３／４である。
【０００６】 特に単純な様式では、目標塩基性値は、焼石灰及び／又はＣａＯ含有修正物質
を添加することによって調節することができる。
【０００７】 還元の前に、中和点に近い値まで塩基性値を低下させることは、非塩基性耐熱
ライニングの使用寿命に関しても特に有利である。
【０００８】 本発明の方法では、スラグの金属酸化物含有率、特に酸化鉄、酸化マンガン、
酸化クロム、酸化ニッケル、及び酸化バナジウム成分の合計含有率が３．５ｗｔ
％未満に低下したときから、目標塩基性値に近づくように処理することが有利で
ある。金属酸化物含有率が３．５ｗｔ％未満に低下することによって、発泡がか
なり避けられる。これは、上述のように浴に含有される炭素の転化が実質的に減
少することによる。これによって、目標塩基性値及びセメントの技術的組成に達
するために必要とされる添加剤は、このときからこの方法に好ましくない影響を
与えずに加えることができる。
【０００９】 以下では、例示の態様によって本発明をより詳細に説明する。
【００１０】 例１ 転化器において、銑鉄１０トン上に、下記の組成のスラグ３トンを投入した：
【００１１】
【表１】
【００１２】 還元処理の間に、炭素キャリアの形で炭素を金属浴に供給した。石炭及び酸素
を供給することによって、液体状スラグを維持するために必要とされる温度を維
持し、必要とされる還元電位を提供した。７７０ｋｇの石英砂を吹き込むことに
よってスラグの塩基性値を１．１まで低下させ、且つ４９４ｋｇのボーキサイト
を加えた。これによって、以下の組成のスラグを溶融還元の初期において作った
：
【００１３】
【表２】
【００１４】 特にＦｅＯ含有率を１５．４ｗｔ％から１ｗｔ％未満まで低下させ且つ酸化マ
ンガン含有率を実質的に半分にすることができる還元段階の最後に向けて、求め
られる最終的なスラグ組成を、２６５ｋｇの焼石灰及び３３０ｋｇのボーキサイ
トの添加によって調節した。還元段階の最後に向けての、約１．７ｗｔ％の比較
的低い金属酸化物含有率、並びに浴に含有される炭素のわずかな一酸化炭素及び
二酸化炭素への転化は、処理の最後まで発泡を防ぐ。良好なセメント技術に関す
る性能を示す下記の目標スラグ組成が達成された：
【００１５】
【表３】
【００１６】 この方法では、スラグの塩基性値は、目的塩基性値よりも合計で０．２小さい
値に低下していた。これによって、発泡及び望ましくないスラグの噴出が安全に
妨げられた。
【００１７】 例２ 転化器において、下記の組成で液体状の４トンのスラグを、１０トンの銑鉄上
に投入した：
【００１８】
【表４】
【００１９】 石炭及び酸素を供給することによって、上述のスラグに溶融還元を行った。
【００２０】 但しこの前に、粘度を低下させる様式でスラグの化学組成を変化させた。これ
は、８６７ｋｇの石英砂及び９８０ｋｇのボーキサイトを加えることによって行
った。
【００２１】 同時に、金属酸化物含有スラグを炭素含有鉄浴に接触させることによって、還
元反応を行った。
【００２２】 両方の効果（塩基性及びＡｌ２Ｏ３の調節、並び初期還元）は、溶融還元処理
の開始前に、下記の組成をもたらした：
【００２３】
【表５】
【００２４】 還元段階の終了の後で、求められる最終的なスラグ組成を、８２８ｋｇの焼石
灰及び２３７ｋｇのボーキサイトの添加によって調節した。
【００２５】 最終的なスラグの組成は、以下のようなものであった：
【００２６】
【表６】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ，ＴＲ)，ＯＡ(ＢＦ ，ＢＪ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＧＷ， ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，Ｇ Ｍ，ＫＥ，ＬＳ，ＭＷ，ＭＺ，ＳＤ，ＳＬ，ＳＺ，ＴＺ ，ＵＧ，ＺＷ)，ＥＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ， ＭＤ，ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ)，ＡＥ，ＡＧ，ＡＬ，ＡＭ， ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，Ｂ Ｚ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＲ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ ，ＤＭ，ＤＺ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＤ，ＧＥ， ＧＨ，ＧＭ，ＨＲ，ＨＵ，ＩＤ，ＩＬ，ＩＮ，ＩＳ，Ｊ Ｐ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＡ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ， ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＭＺ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，Ｒ Ｏ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＳＬ，ＴＪ ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ，ＴＺ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＳ，ＵＺ， ＶＮ，ＹＵ，ＺＡ，ＺＷ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 酸性修正物質、例えば石英砂及び／又は溶鉱炉スラグ及び／
    又はＳｉＯ２含有修正物質の添加によって、還元の前に、液体スラグの塩基性値
    を、目標スラグの塩基性値（ＣａＯ／ＳｉＯ２）よりも０．１〜０．５小さい値
    に調節することを特徴とする、スラグ中に含有される金属酸化物を還元する金属
    浴を使用して、塩基性酸化物スラグ、特に鋼鉄スラグから、セメント産業用のポ
    ゾラン又は水硬性の粉砕材料を製造する方法。
  2. 【請求項２】 還元段階の最後又は最後近くで塩基性値を調節して、１．１
    〜１．５の所望の目標塩基性値にすることを特徴とする、請求項１に記載の方法
    。
  3. 【請求項３】 Ａｌ２Ｏ３含有修正物質、例えばボーキサイトを、少なくと
    も部分的に、スラグの還元の前に導入することを特徴とする、請求項１又は２に
    記載の方法。
  4. 【請求項４】 焼石灰及び／又はＣａＯ含有修正物質の添加によって、目標
    塩基性値を調節することを特徴とする、請求項１、２又は３に記載の方法。
  5. 【請求項５】 スラグの金属酸化物含有率、特に酸化鉄、酸化マンガン、酸
    化クロム及び酸化バナジウムの含有率の合計が３．５ｗｔ％未満になったときか
    ら、目標塩基性値に近づけるようにすることを特徴とする、請求項１〜４のいず
    れかに記載の方法。
  6. 【請求項６】 １２〜１５ｗｔ％のＡｌ２Ｏ３含有率を得ることを目的とし
    たＡｌ２Ｏ３の添加のときの塩基性値が、Ａｌ２Ｏ３含有率が比較的低いときよ
    りもわずかに低下していることを特徴とする、請求項３に記載の方法。
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