JP2003516290A - 歩行者用コンベアシステムの逆転区域において多角形効果を減少させる方法および装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、歩行者用コンベア、とりわけエスカレータまたは動く歩道に使用可能なチェーンを逆転させる行程中に発生する多角形効果を減少させる方法に関するものである。本目的を達成するため、逆転車輪に対して間接または直接に作用する電気駆動装置を介して、逆転車輪の回転速度に様々な回転速度を付加する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 本発明は、チェーンを逆転させる行程中に発生する多角形効果を減少させる方
法であって、歩行者用コンベア、特にエスカレータまたは動く歩道に用いること
ができる方法に関するものである。

【０００２】 歩行者用コンベアシステム、特にエスカレータおよび歩く歩道のチェーンの逆
転中、鎖車によって多角形効果および回転効果が生じ、これらは特にエスカレー
タまたは動く歩道の静かな運転に対して悪影響を及ぼす。

【０００３】 この多角形効果は鎖車上のチェーンのうち、四角形のレスト部によって発生す
る。回転角度が増すに従って、鎖車の有効半径が変化し、それによってチェーン
の速度が最大値と最小値との間で変動する。チェーンが鎖車に係合する際に、チ
ェーンロールと鎖車の歯とがそれぞれ異なる速度を有しているため、衝撃が生じ
る。回転効果は、鎖車からチェーンリンクへ伝達されしたがってステップまたは
パレットに伝達された角運動量によって生じる。チェーンが鎖車から繰り出され
た後、この角運動量はシステムの慣性のため一時的に維持され、いわゆるチェー
ンのカーリングを生じる。角運動量は、チェーン案内部品が設けられている場合
は、チェーンと案内部との間の衝撃によってチェーンに生じる摩擦によって、そ
れぞれ減少する。

【０００４】 鎖車駆動装置がチェーンを同時に逆転させる通常の構造では、チェーンは鎖車
の接線方向に案内される。これによって、チェーンが鎖車に係合する時に鎖車と
チェーンとが異なる速度を有することとなる。衝撃はチェーンと鎖車との間でチ
ェーンの終端部方向に生じ、これは実際にエスカレータまたは動く歩道のステッ
プもしくはパレットなどの各搬送部品の加速度として計測可能である。ノイズが
発現するほか、これらの周期的に生じる衝撃は、チェーンと、鎖車と、駆動装置
とに、大きな負担をもたらすこととなる。

【０００５】 欧州特許EP 0 711 725号からは、エスカレータまたは動く歩道の帯状連続体を
案内する装置が知られていて、これによればチェーンロールは走路付きの支持用
レールおよび走路付きの平衡レールによって案内される。帯状連続体を逆転させ
る鎖車の進入口において、それらのチェーンロールは支持用レールの直線走路か
ら湾曲した平衡レール上へ係合し、更にそこから接線点へ走行して鎖車と係合す
る。

【０００６】 チェーンロールは支持用レールの走路から接線点へ、走行方向に対して直交す
る方向に、その走行方向を横断する距離全体にわたって鎖車の方へ案内され、こ
れは帯状連続体の静粛な運転に有利な影響を及ぼす。この連続エレメントの特殊
な湾曲形が多角形効果を更に小さくするのに役立つ。

【０００７】 ドイツの雑誌Klepzig Fachberichte 79(1971), H8, M200 の第437頁から第439
頁には、大きなチェーンリンクを有するチェーン駆動装置の動作上の問題が開示
されている。この記事は多角形効果の結果を論じていて、これによれば、機械分
野における多数の方式の可能性を提唱している。とりわけ、平衡歯車付きの星形
鎖車によるチェーンの逆転を取り上げていて、これによれば、チェーンボルトは
、その水平移動および速度を、次のロールが係合することによってチェーンリン
ク全体が星形鎖車に入っている限り、維持する。このチェーンリンクはその後初
めて逆転する。

【０００８】 これら両刊行物は、チェーンの逆転における多角形効果の結果を逆転車輪全体
にわたって減少させる非常に広範な機械構造を説明している。

【０００９】 本発明は、多角形効果および回転効果を、通常の逆転状態を実質的に維持しな
がら減少させ、これによって、歩行者用コンベアシステム、特にエスカレータま
たは動く歩道の静かな運転を最適化する方法および装置を提供することを目的と
する。

【００１０】 一方、本目的は、チェーンを逆転させる行程中に発生する多角形効果を減少さ
せる方法であって、逆転車輪の回転速度に対して電気駆動装置を介して様々な回
転速度を付加し、それを直接的または間接的に前記逆転車輪に対して作用させる
ことによって、歩行者用コンベアシステム、特にエスカレータまたは動く歩道に
適用可能な方法によって達成される。

【００１１】 本発明による方法の有利な実施例は、関連する従属請求項に開示されている。

【００１２】 更に、本目的は、チェーンを逆転させる行程中に発生する多角形効果を減少さ
せる装置によって達成される。本装置は、歩行者用コンベアシステム、特にエス
カレータまたは動く歩道に用いることができ、少なくとも１台の電気駆動式モー
タを含み、モータは必要に応じて少なくとも１つの歯車に連結され、逆転車輪に
間接的または直接的に作用し、駆動用モータは少なくとも１つの電源装置、特に
周波数変換機へ接続され、これによって駆動用モータは不定速度で駆動可能であ
る。

【００１３】 本発明による装置の有利な実施例は、関連する従属請求項に開示されている。

【００１４】 従来用いられてきた機械分野における変形例と比較すると、本発明の目的は、
電気駆動装置の改造に基づく方式を含んだ概念を提唱する。

【００１５】 通常は非同期交流モータを用い、モータは周波数変換機などの電源装置と連動
させ、モータを駆動して不定速度で回転させることが可能であり、モータは必要
に応じて歯車と組み合わせて対応する方式でそれぞれの逆転車輪に対して作用さ
せる。チェーンを走行させる場合に付加する様々なチェーン速度は、本発明の目
的によって殆ど補償され、またはかかるチェーン速度への適応が実現され、これ
までにシステムに生じていた衝撃が補償される。

【００１６】 望ましくは、鎖車の位相位置および／またはチェーンの回転速度を測定し、各
測定値は制御装置へ送信し、各測定値は制御装置によって対応する方式で処理し
、周波数変換機へ送信する。

【００１７】 基本的な速度付加を設定するため、古いエスカレータおよび動く歩道に関して
既に測定した値を用いることができ、その結果、対応する処理後には、ヘルツ単
位の周波数になり、これによって、回転速度は、それぞれの逆転車輪に対して、
電気駆動モータに対応する駆動装置を介して付加可能である。

【００１８】 多角形効果を減少させるほか、本発明は、機械分野における改造を一切要する
ことなく、歩行者用コンベアの静粛な運転を相当に改善することを目的とする。
逆転車輪および／またはそのチェーンの製造上の許容差は、それぞれに制御装置
、すなわち電源装置により記憶可能であり、運転状態のチェーンの位相角または
回転速度の監視によって、更なる干渉の可能性を提供し、これは、搬送速度がゼ
ロと最大との間で変動する場合は、特に顕著な効果をもたらす。

【００１９】 本発明の目的は多くの用途に用いることができ、電気部品または電子部品の価
格は下がり続けているため、通常の機械的改造よりも安価になると考えられる。

【００２０】 以下、本発明の目的を、添付図面を参照して一実施例によって示す。

【００２１】 次の構成部品が図示されている。

【００２２】 すなわち、複数の歯３を設けた逆転車輪２と、複数のリンク４から成るブラケ
ットチェーン５と、電気駆動モータとがあり、モータは必要に応じて、ここでは
図示していない歯車と連動する。駆動モータ６と逆転車輪２との間の連結は駆動
用部材７によって達成される。チェーン５の走行方向、逆転車輪２の逆転方向は
、それぞれ矢印で示す。本発明によれば、チェーン５が逆転車輪２へ進入する間
に発生する多角形効果は、様々な回転速度を逆転車輪２の回転速度に付加し、不
定回転速度で逆転車輪２を回転させることによって、減少させる。この不定回転
速度は、逆転車輪２への進入中にチェーン５が有する数学的機能に大部分一致し
ている。これによって、多角形効果により生じる衝撃をシステム全体において最
小限に抑える。

【００２３】 このような速度付加は、周波数変換機８を駆動モータ６と連動させることによ
って達成する。周波数変換機は駆動モータ６を駆動し、モータ６は不定回転速度
で回転し、その不定回転速度は累進式に駆動部材７を介して逆転車輪２へ伝達さ
れる。制御装置９にはいくつかの駆動用パラメータを記憶させることができ、そ
れらのパラメータには既存のエスカレータまたは動く歩道の基本パターンが含ま
れている。そのため、こうした基本設定項目は、標準的な設計にも用いることが
できる。

【００２４】 乗り心地を更に良好にする場合は、逆転車輪２の位相位置をセンサ10によって
検出し、その位相位置を制御装置９へ送信すればよい。チェーン５の回転速度は
他のパラメータとしてもよく、これは例えば他のセンサ11により測定され、その
場合も、それらの測定値は制御装置９へ送信される。センサ10、11により測定さ
れた値をその現時点のパターンと比較し、対応する等化を行なうことによって、
周波数変換機８に対して電気的な値を与えて、駆動モータ６をチェーン５の様々
な回転速度に連続的に適応させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 唯一の図であり、エスカレータ１を歩行者用コンベアシステムの一例として示
す模式図である。

【手続補正書】

【提出日】平成１４年６月１４日（２００２．６．１４）

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】特許請求の範囲

【補正方法】変更

【補正の内容】

【特許請求の範囲】

【請求項２】 歩行者用コンベアシステム、特にエスカレータ（１）ま
たは動く歩道に用いることができ、少なくとも１台の電気駆動式モータ（６）を
含み、該モータは必要に応じて少なくとも１つの歯車に連結され逆転車輪（２）
に間接的にまたは直接的に作用する、チェーン（５）の逆転行程中に発生する多 角形効果を減少させる装置において、 該電気駆動式モータ（６）は少なくとも１
つの電源装置、特に周波数変換機（８）に接続され、これによって該電気駆動式
モータ（６）は不定回転速度で回転可能であり、前記逆転車輪（２）の位相位置 を検出しその測定値を前記電源装置、特に周波数変換機（８）と協調する制御装 置（９）へ送信する少なくとも１つのセンサ（10）を備えることを特徴とする装 置 。

【請求項３】 請求項２に記載の装置において、前記チェーンの回転速
度を検出し、その測定値を前記電源装置、特に周波数変換機（８）と協調する制
御装置（９）へ送信する少なくとも１つのセンサ（11）を特徴とする装置。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＧＷ，ＭＬ， ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＧＭ，Ｋ Ｅ，ＬＳ，ＭＷ，ＭＺ，ＳＤ，ＳＬ，ＳＺ，ＴＺ，ＵＧ ，ＺＷ)，ＥＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ， ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ)，ＡＥ，ＡＧ，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ， ＡＵ，ＡＺ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＢＺ，Ｃ Ａ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＲ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＤＭ ，ＤＺ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＤ，ＧＥ，ＧＨ， ＧＭ，ＨＲ，ＨＵ，ＩＤ，ＩＬ，ＩＮ，ＩＳ，ＪＰ，Ｋ Ｅ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＡ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ， ＭＷ，ＭＸ，ＭＺ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，Ｒ Ｕ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＳＬ，ＴＪ，ＴＭ ，ＴＲ，ＴＴ，ＴＺ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＳ，ＵＺ，ＶＮ， ＹＵ，ＺＡ，ＺＷ

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 歩行者用コンベアシステム、特にエスカレータ（１）または
   動く歩道に用いることができ、電気駆動装置（６）を介して逆転車輪（２）の回
   転速度に対して様々な回転速度を付加し、該電気駆動装置を該逆転車輪（２）に
   対して間接または直接に作用させ、チェーン（５）を逆転させる行程中に発生す
   る多角形効果を減少させる方法。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の方法において、前記電気駆動装置（６）を
   必要に応じて歯車へ連結し、少なくとも１つの電源装置、特に周波数変換機（８
   ）によって駆動し、これによって該電気駆動装置（６）を不定回転速度で回転さ
   せることを特徴とする方法。
3. 【請求項３】 請求項１または２に記載の方法において、前記逆転車輪（２
   ）の位相位置および／または前記チェーン（５）の速度をそれぞれ測定し、その
   測定値は、それぞれ、前記電源装置、特に周波数変換機（８）へ電気的に接続さ
   れている制御装置（９）へ送信することを特徴とする方法。
4. 【請求項４】 歩行者用コンベアシステム、特にエスカレータ（１）または
   動く歩道に用いることができ、少なくとも１台の電気駆動式モータ（６）を含み
   、該モータは必要に応じて少なくとも１つの歯車に連結され、逆転車輪（２）に
   間接的にまたは直接的に作用し、該電気駆動式モータ（６）は少なくとも１つの
   電源装置、特に周波数変換機（８）に接続され、これによって該電気駆動式モー
   タ（６）は不定回転速度で回転可能である、チェーン（５）の逆転行程中に発生
   する多角形効果を減少させる装置。
5. 【請求項５】 請求項４に記載の装置において、前記逆転車輪（２）の位相
   位置を検出し、その測定値を前記電源装置、特に周波数変換機（８）と協調する
   制御装置（９）へ送信する少なくとも１つのセンサ（10）を特徴とする装置。
6. 【請求項６】 請求項４または５に記載の装置において、前記チェーンの回
   転速度を検出し、その測定値を前記電源装置、特に周波数変換機（８）と協調す
   る制御装置（９）へ送信する少なくとも１つのセンサ（11）を特徴とする装置。