JP2003338360A - 調理器用トッププレート - Google Patents

調理器用トッププレート

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JP2003338360A
JP2003338360A JP2002169385A JP2002169385A JP2003338360A JP 2003338360 A JP2003338360 A JP 2003338360A JP 2002169385 A JP2002169385 A JP 2002169385A JP 2002169385 A JP2002169385 A JP 2002169385A JP 2003338360 A JP2003338360 A JP 2003338360A
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毅 永田
Narutoshi Shimatani
成俊 嶋谷
Shingo Nakane
慎護 中根
Naohide Yamada
直秀 山田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 温度センサーの接着痕が目立たず、外観が良
好な調理器用トッププレートを提供する。 【解決手段】 電磁加熱装置を備えた調理器のトッププ
レートとして用いられる調理器用トッププレートであっ
て、低膨張透明結晶化ガラス板1の表面に無機顔料とガ
ラスからなる多孔質の遮光被膜2が形成され、前記遮光
被膜2の少なくとも電磁加熱部分上に耐熱樹脂層3が形
成されてなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電磁加熱装置を備えた
調理器のトッププレートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】電気調理器の加熱系には、ラジエントヒ
ーターや、高出力タイプで知られるハロゲンヒーターな
どの赤外線加熱装置や、インダクションヒーター(I
H)などの電磁加熱装置が用いられている。
【0003】従来、赤外線加熱装置を備えた調理器のト
ッププレートには、可視光を遮断して赤外光を透過する
濃色結晶化ガラス板が利用されている。可視光の遮断
は、加熱装置部品を見えにくくすることや、ハロゲンヒ
ーターからの強力な可視発光を軽減し、眩しくないよう
にするためである。なおこの種の調理器は、赤熱したヒ
ーター部が濃色結晶化ガラス板を通して視認できるた
め、それを加熱時の目印としている。
【0004】一方、電磁加熱装置を備えた調理器は、赤
外線加熱装置のように可視光の発生をともなわないた
め、加熱時の目印となるヒーター部の点灯がない。そこ
でこの種の調理器では、発光ダイオードなどを用いて電
磁加熱パワーを別途表示するようになってきている。こ
の加熱パワー表示体は、調理器の側部に設けられるもの
もあるが、加熱部の近傍に設置してトッププレートを通
して加熱パワーを確認できるものが主流となりつつあ
る。ところが発光ダイオードの光は、従来の赤外線加熱
ヒーターから発せられる光ほど強くない。このため濃色
結晶化ガラス板ではダイオードの光が目立たず、見にく
いという難点がある。そこで電磁加熱装置のトッププレ
ートには、発光ダイオードを表示する部位を除いて遮光
被膜を設けることで、調理器の内部構造を見えないよう
にした透明結晶化ガラス板が用いられつつある。例えば
特開平10−273342号には、無機顔料とガラスか
らなる多孔質の無機顔料層からなる遮光被膜が形成され
たトッププレートが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】遮光被膜を多孔質にす
ると、結晶化ガラス板との膨張差によるクラックの発生
を防ぐことができる。このような遮光被膜を形成するに
は、ガラスが少なく無機顔料が多いものを使用すればよ
い。
【0006】ところが多孔質の遮光被膜を採用した場
合、トッププレート裏面の電磁加熱部分に取り付けられ
る温度センサー(熱電対)の接着痕が目立ち、外観上好
ましくないという問題がある。
【0007】本発明の目的は、温度センサーの接着痕が
目立たず、外観が良好な調理器用トッププレートを提供
することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の調理器用トップ
プレートは、電磁加熱装置を備えた調理器のトッププレ
ートとして用いられる調理器用トッププレートであっ
て、低膨張透明結晶化ガラス板の表面に無機顔料とガラ
スからなる多孔質の遮光被膜が形成され、前記遮光被膜
の少なくとも電磁加熱部分上に耐熱樹脂層が形成されて
なることを特徴とする。
【0009】また本発明の調理器用トッププレートは、
電磁加熱装置と赤外線加熱装置を備えた調理器のトップ
プレートとして用いられる調理器用トッププレートであ
って、低膨張透明結晶化ガラス板の表面に無機顔料とガ
ラスからなる多孔質の遮光被膜が形成され、前記遮光被
膜の少なくとも電磁加熱部分上に耐熱樹脂層が形成され
てなることを特徴とする。
【0010】
【作用】トッププレートに形成される遮光被膜は、充填
密度が低く、多数の微小な隙間があり、光沢がない。こ
のためセンサーの接着に用いる接着剤が遮光被膜の隙間
に流れ込んで固化する。その結果、その部分だけ光沢を
有して周囲とは異質に見えてしまう。
【0011】そこで本発明では、予め耐熱樹脂層を遮光
被膜上に形成しておくことにより、センサーの接着剤が
遮光被膜の隙間に流れ込むのを防止するものである。
【0012】以下に本発明を詳述する。
【0013】本発明の調理器用トッププレートは、透明
結晶化ガラス板の表面に遮光被膜及び耐熱樹脂層が形成
されている。
【0014】遮光被膜は、無機顔料とガラスからなる。
また結晶化ガラス板との膨張差によるクラック発生を防
止するために多孔質である。遮光被膜の形成には、無機
顔料粉末とガラス粉末の割合が質量比で5:5〜9:
1、好ましくは5:5〜8:2の範囲にある形成材料を
使用することが好ましい。ガラス粉末の割合が1割以上
であれば、無機顔料粉末を結晶化ガラス板に強固に固定
することができ、また5割以下であれば、ガラス粉末が
緻密に焼結することがなく、容易に多孔質膜を得ること
ができる。
【0015】無機顔料粉末としては、TiO2、Zr
2、ZrSiO4の他、Co−Al−Zn系、Co−A
l−Si系、Co−Al−Ti系、Co−Al−Cr
系、Co−Ni−Ti−Zn系、Ti−Sb−Cr系、
Ti−Ni系、Co−Si系、Ti−Fe−Zn系、F
e−Zn系、Fe−Ni−Cr系、Zn−Fe−Cr−
Al系、Co−Cr−Fe系、Cu−Cr系、Cu−C
r−Fe系、Cu−Cr−Mn系の酸化物顔料等を単独
又は混合して用いることができる。ガラス粉末として
は、B23−SiO2系、Na2O−CaO−SiO
2系、Li2O−Al23−SiO2系、ZnO−Al2
3−P25系等のガラスが使用できる。
【0016】遮光被膜の厚みは0.1〜50μm、特に
0.2〜40μmであることが好ましい。厚みが0.1
μm以上であれば加熱装置を隠すための可視光遮蔽が可
能となり、また50μm以下であれば、印刷回数の増加
や材料コストの増加による製膜コストの上昇を抑制する
ことができる。さらに、トッププレートは再溶融してリ
サイクルされるが、被膜に含まれる無機顔料はガラスに
とって不純物となり、ガラスの着色の原因となる。しか
し膜厚が薄ければ着色が生じ難くなる。
【0017】なお遮光被膜は、結晶化ガラス板全面に形
成してもよいが、必要に応じて未形成部分を設けてもよ
い。例えば加熱部分周辺に発光ダイオード表示領域を形
成するための未形成部分を設けることができる。
【0018】また電磁加熱装置だけでなく、赤外線加熱
装置も備えた調理器に用いられる場合、赤外線加熱部分
の遮光被膜の印刷密度を電磁加熱部分のそれより低くし
たり、電磁加熱部分よりも遮光被膜の膜厚を薄くするこ
とが望ましい。また無機顔料とガラスからなる無機顔料
層に代えて、ラスター層(金属光沢膜)を形成してもよ
い。つまり、無機顔料層からなる遮光被膜は赤外線を透
過しにくいため、赤外線加熱部分の遮光被膜の印刷密度
を低くしたり、膜厚を薄くしたり、或いはラスター膜に
することにより、赤外線加熱に必要な量の赤外線を透過
させることが可能になるためである。なお、「印刷密
度」とは、単位面積当たりの膜形成(印刷)面積を意味
している。例えばトッププレートの或る領域1cm2
たりの膜形成部分の総面積が0.5cm2である場合、
印刷密度は50%である。また「赤外線加熱部分の印刷
密度」とは、調理器の赤外線加熱装置と対応する領域全
体の平均印刷密度であり、「電磁加熱部分の印刷密度」
とは、電磁加熱装置と対応する領域全体の平均印刷密度
を意味している。
【0019】印刷密度を低くする場合、電磁加熱部分の
印刷密度の30〜80%、特に40〜80%となるよう
にすることが好ましい。赤外線加熱部分の印刷密度が電
磁加熱部分の30%以上であれば、加熱装置を完全に隠
すための可視光遮蔽が可能となり、また印刷密度が80
%以下であれば、赤外線透過量が十分となり、高い調理
性能が得られる。
【0020】遮光被膜の印刷密度を低くし、十分な赤外
線透過量を確保する方法としては、例えば多数の開孔を
設ける方法がある。開孔を形成する場合、赤外線加熱部
分全体に均一に分布させることが望ましい。各開孔の大
きさは、直径0.05〜5mm程度、特に0.1〜3m
m程度であることが好ましい。また1cm2当たり5〜
500個程度、特に10〜500個程度の開孔を形成す
ることが好ましい。
【0021】遮光被膜の厚みを薄くする場合、電磁加熱
部分の遮光被膜の10〜50%程度、特に10〜40%
程度の厚みとすることが好適である。10%以上であれ
ば周囲とのコントラストが大きくならず、目立ちにくく
なる。また50%以下であれば赤外線透過量が多くな
り、十分な調理性能が得られる。
【0022】ラスター膜にする場合、Au、Pt、P
d、Rh、Ru、Bi、Sn、Ni、Fe、Cr、T
i、Ca、Si、Mgなどの金属元素、及びそれらの複
合体を含むものが使用可能である。特にAu、Pd、B
i、Sn、Fe、Ti等を含むものが好適に使用でき
る。ラスター膜の厚みは平均0.1〜10μm、特に
0.1〜5μmであることが好ましい。
【0023】耐熱樹脂層には、約200℃以上の耐熱性
が必要とされる。耐熱性を有する樹脂としては、ポリイ
ミド系樹脂、(芳香族)ポリアミド系樹脂、フッ素系樹
脂、シリコン系樹脂又はこれらの複合体を主成分として
用いることができる。また耐熱樹脂層は無色有色を問わ
ない。
【0024】耐熱樹脂層の膜厚は0.01〜50μmが
適当である。0.01μm以上であれば接着剤の浸透を
防ぐことが可能である。また50μm以下であれば、コ
ストアップの問題や、ガラスの再溶融の際に還元が起こ
る、といった問題が生じにくい。
【0025】またこの層には、遮光被膜の外観を調整す
るために、耐熱有機顔料や無機顔料を含有させてもよ
い。
【0026】耐熱樹脂層は、電磁加熱部分のみに施して
もよいが、その他の部分に施してもよい。例えば調理器
本体へのトッププレートの取り付けに接着剤を用いる場
合、電磁加熱部分と同様にその接着痕が現れることがあ
るが、その部分にも耐熱樹脂層を形成しておくことによ
り、良好な外観を得ることができる。遮光被膜全体の色
調を均一にするためにも、耐熱樹脂層は、赤外線加熱部
分を除いた遮光被膜全面に施すことが望ましい。なお耐
熱樹脂の耐熱性が高く、赤外線加熱時の高温に耐えられ
る場合は、赤外線加熱部分にも耐熱樹脂層を付与する
と、さらに良好な外観を得ることができる。
【0027】本発明における透明結晶化ガラス板は、無
色の透明低膨張結晶化ガラスであることが好ましいが、
本発明の目的が達成されるのであれば有色の透明結晶化
ガラスでも差し支えない。結晶化ガラス板は、加熱、冷
却が繰り返されるため、低膨張であることが求められ、
特に30〜750℃における平均線熱膨張係数が−10
〜+30×10-7/℃、特に−10〜+20×10-7
℃の範囲にあるものを使用することが望ましい。熱膨張
係数が上記範囲内にあれば、加熱時にトッププレート内
部に著しい温度分布が生じても、膨張差で割れることが
ない。この条件を満たす結晶化ガラスとして、例えば日
本電気硝子株式会社製N−0がある。
【0028】本発明の調理器用トッププレートは、遮光
被膜及び耐熱樹脂層が調理器本体側、即ち電磁加熱装置
(及び赤外線加熱装置)と対向するように調理器に取り
付けて使用される。調理器への取り付けは、調理器本体
に設けられたトッププレート支持枠に、シリコン樹脂等
を用いて接着、固定することにより行われる。
【0029】なお調理器の上面となる面にも、意匠性向
上やヒーター位置の表示等のために、必要に応じて装飾
被膜を印刷形成することができる。装飾被膜も無機顔料
粉末とガラス粉末からなる材料を用いて形成できるが、
擦れても剥がれないように、また汚れが付着しにくいよ
うに、強固で平滑な膜にすることが必要である。それゆ
え装飾被膜用材料には、遮光被膜用材料よりもガラス含
有率の高いものを選択することが重要である。具体的に
は、装飾被膜材料中のガラス含有率は、質量基準で5割
以上であることが好ましい。またガラス粉末や無機顔料
粉末には、遮光被膜に用いるものと同様の材料を使用す
ることができる。
【0030】また調理器の上面となる面には、フッ素コ
ート等の防汚処理を施してもよい。
【0031】本発明の調理器用トッププレートは、次の
ようにして作製される。まず所定のサイズに成形、加工
された低膨張透明結晶化ガラス板を用意する。また無機
顔料とガラス粉末との混合粉末をペースト化する。次い
で結晶化ガラス板表面にペーストを例えばスクリーン印
刷、転写等の方法で印刷し、乾燥後、焼成して透明結晶
化ガラス板上に遮光被膜を形成する。さらに耐熱樹脂を
例えばスプレー法、印刷法等の方法で遮光被膜上に塗布
し、乾燥させることにより、本発明の調理器用トッププ
レートを得ることができる。
【0032】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を説明する。
【0033】(実施例1)まず市販のCu−Cr−Mn
系黒色無機顔料粉末とB23−SiO2系ガラス粉末
(日本電気硝子株式会社製BHW)からなるフリット
に、樹脂及び有機溶剤を添加して遮光被膜形成用無機顔
料ペーストを作製した。なお無機顔料粉末とガラス粉末
の混合割合は、質量比で7:3とした。次にこのペース
トを日本電気硝子株式会社製の板厚4mm透明結晶化ガ
ラス板N−0(30〜750℃の平均線熱膨張係数−4
×10-7/℃)にスクリーン印刷した。続いてペースト
を100〜150℃で10〜20分間乾燥させた後、8
50℃で30分間焼成を行い、結晶化ガラス板1に無機
顔料層からなる遮光被膜2を形成した。遮光被膜を膜厚
計で測定したところ、厚みは5μmであった。続いて遮
光被膜上に全面にわたってシリコン樹脂からなる耐熱樹
脂をスクリーン印刷にて塗布し、乾燥させ、耐熱樹脂層
3を形成した。耐熱樹脂層を膜厚計で測定したところ、
厚みは1〜3μmであった。
【0034】このようにして作製したトッププレート
(図1)の電磁加熱部分の耐熱樹脂層上に、熱電対の接
着に用いられる接着剤(シリコン樹脂)を塗布した。な
お比較のために、耐熱樹脂層を形成していないトッププ
レートを用意し、その電磁加熱部分の遮光被膜上に同じ
接着剤を塗布した。
【0035】得られた各サンプルについて、調理器の上
面となるトッププレート面(即ち、遮光被膜が形成され
ていない面)を観察したところ、本発明の実施例では、
接着剤の接着痕が全く認められなかったのに対し、耐熱
樹脂層を形成していない比較例では接着痕が見られ、外
観上好ましくなかった。
【0036】(実施例2)図2は、装飾被膜を形成した
本発明の調理器用トッププレートを示している。なお図
中、Aは赤外線加熱部分を、Bは電磁加熱部分をそれぞ
れ表している。
【0037】まず実施例1と同様にして遮光被膜形成用
無機顔料ペーストを結晶化ガラス板にスクリーン印刷し
た。ここで赤外線加熱部分Aの印刷密度は、電磁加熱部
分Bの印刷密度の50%とした。印刷密度は、赤外線加
熱部分全体に均一に分布させた開孔(1mmφドット)
の密度を変化させることで調整した。続いてペーストを
100〜150℃で10〜20分間乾燥させた後、85
0℃で30分間焼成を行い、結晶化ガラス板1に無機顔
料層からなる遮光被膜2を形成した。この遮光被膜を膜
厚計で測定したところ、厚みは5μmであった。
【0038】調理面となるもう一方の面(表側)の装飾
被膜形成は、以下のように準備した。TiO2白色無機
顔料粉末とB23−SiO2系ガラス粉末からなるフリ
ットに、樹脂及び有機溶剤を添加して装飾被膜用無機顔
料ペーストを作製した。なお無機顔料粉末とガラス粉末
の混合割合は、質量比で3:7とした。次に、遮光被膜
が形成された面とは反対の面(表側)にこのペーストを
スクリーン印刷した。続いてペーストを100〜150
℃で10〜20分間乾燥させた後、850℃で30分間
焼成を行い、結晶化ガラス板1に装飾被膜4を形成し
た。このようにして形成された装飾被膜は、ガラス中に
無機顔料が分散しており、気孔を殆ど含まないものであ
った。装飾被膜を膜厚計で測定したところ、厚みは5μ
mであった。
【0039】得られた調理器用トッププレートについ
て、トッププレート裏側に形成された遮光被膜を観察し
たところ、クラックは見られなかった。また表側は光沢
のある平滑な表面を呈していた。
【0040】続いてシリコン樹脂からなる耐熱樹脂を、
遮光被膜の赤外線加熱部分を除いた部分にスクリーン印
刷にて塗布し、乾燥させ、耐熱樹脂層3を形成した。耐
熱樹脂層を膜厚計で測定したところ、厚みは1〜3μm
であった。
【0041】得られた調理器用トッププレートの電磁加
熱部分の耐熱樹脂層上に、熱電対の接着に用いられる接
着剤(シリコン樹脂)を塗布した。
【0042】次にトッププレートを、電磁加熱部分が電
磁ヒーター(1.5kW)上に、赤外線加熱部分が赤外
線ヒーター(1.5kW)上になるように、遮光被膜を
下側にして調理器本体にセットした。
【0043】この調理器について、遮光性、熱電対の接
着痕の有無及び調理性能を評価した。その結果、加熱装
置の構造は全く見えず、また接着剤による接着痕も確認
できなかった。しかも電磁ヒーター、赤外線ヒーターと
も良好な調理性能を有していた。
【0044】なお調理性能は、300ml容器に入れた
100mlの水を、各ヒーターにてフルパワーで5分間
加熱することにより評価した。評価の結果、水が沸騰す
れば良好な調理性能を有していると判断した。
【0045】(実施例3)図3は、赤外線加熱部分の遮
光被膜として印刷膜厚を薄くした無機顔料層を採用し、
且つ耐熱樹脂層を形成した本発明の調理器用トッププレ
ートを示している。なお図中、Aは赤外線加熱部分を、
Bは電磁加熱部分をそれぞれ表している。
【0046】まず実施例1と同様にして遮光被膜形成用
無機顔料ペーストを結晶化ガラス板にスクリーン印刷し
た。ここで赤外線加熱部分Aの膜厚は、電磁加熱部分B
の膜厚の20%とした。印刷膜厚は、印刷回数、及びス
クリーンの種類を変えることで調整した。続いてペース
トを100〜150℃で10〜20分間乾燥させた後、
850℃で30分間焼成を行い、結晶化ガラス板1に無
機顔料層からなる遮光被膜2を形成した。電磁加熱部分
の遮光被膜を膜厚計で測定したところ、厚みは5μmで
あった。
【0047】調理面となるもう一方の面(表側)の装飾
被膜4の形成は、実施例2と同様にして行った。
【0048】続いてシリコン樹脂からなる耐熱樹脂を、
遮光被膜の赤外線加熱部分を除いた部分にスクリーン印
刷にて塗布し、乾燥させ、耐熱樹脂層3を形成した。耐
熱樹脂層を膜厚計で測定したところ、厚みは1〜3μm
であった。
【0049】得られた調理器用トッププレートについ
て、実施例2と同様にして調理器本体にセットし、遮光
性、熱電対の接着痕の有無及び調理性能を評価した。そ
の結果、加熱装置の構造は全く見えず、また接着剤によ
る接着痕も確認できなかった。しかも電磁ヒーター、赤
外線ヒーターとも良好な調理性能を有していた。
【0050】(実施例4)図4は、赤外線加熱部分の遮
光被膜としてラスター層を採用し、且つ耐熱樹脂層を形
成した本発明の調理器用トッププレートを示している。
なお図中、Aは赤外線加熱部分を、Bは電磁加熱部分を
それぞれ表している。
【0051】まず市販の金元素含有ラスターペーストを
用意し、日本電気硝子株式会社製の板厚4mmの透明結
晶化ガラス板N−0(30〜750℃の平均線熱膨張係
数−4×10-7/℃)の赤外線加熱部分にスクリーン印
刷した。100〜150℃で30分間乾燥させた後、8
50℃で30分間焼成し、赤外線加熱部分にラスター層
からなる遮光被膜5を形成した。ラスター層を膜厚計で
測定したところ、厚みは2μmであった。
【0052】次に実施例1と同様にして遮光被膜形成用
無機顔料ペーストを作製し、結晶化ガラス板の赤外線加
熱部分以外の領域にスクリーン印刷した。100〜15
0℃で10〜20分間乾燥させた後、850℃で30分
間焼成を行い、結晶化ガラス板の電磁加熱部分を含む領
域に無機顔料層からなる遮光被膜2を形成した。無機顔
料層を膜厚計で測定したところ、厚みは5μmであっ
た。
【0053】調理面となるもう一方の面(表側)の装飾
被膜4の形成は、実施例2と同様にして行った。
【0054】続いてシリコン樹脂からなる耐熱樹脂を、
遮光被膜の赤外線加熱部分を除いた部分にスクリーン印
刷にて塗布し、乾燥させ、耐熱樹脂層3を形成した。耐
熱樹脂層を膜厚計で測定したところ、厚みは1〜3μm
であった。
【0055】このようにして作製した調理器用トッププ
レートについて、実施例2と同様にして調理器本体にセ
ットし、遮光性、熱電対の接着痕の有無及び調理性能を
評価した。その結果、加熱装置の構造は全く見えず、ま
た接着剤による接着痕も確認できなかった。しかも電磁
ヒーター、赤外線ヒーターとも良好な調理性能を有して
いた。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の調理器用
トッププレートは、温度センサーの接着痕が目立たず、
良好な外観を有しており、電磁加熱装置を備えた調理器
のトッププレートとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の他の実施例を示す説明図であり、
(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図3】本発明の他の実施例を示す説明図であり、
(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図4】本発明の他の実施例を示す説明図であり、
(a)は平面図、(b)は断面図である。
【符号の説明】
1 低膨張透明結晶化ガラス板 2 無機顔料層からなる遮光被膜 3 耐熱樹脂層 4 装飾被膜 5 ラスター層からなる遮光被膜 A 赤外線加熱部分 B 電磁加熱部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F24C 15/10 F24C 15/10 B (72)発明者 山田 直秀 滋賀県大津市晴嵐二丁目7番1号 日本電 気硝子株式会社内 Fターム(参考) 3K051 AB02 AD31 CD42 CD43 CD44 3L087 AA03 AC21 DA30 4G059 AA08 AA15 AB05 AC08 AC30 CA01 CA03 CB08 FA11 FA18 FA22 GA01 GA05 GA16

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電磁加熱装置を備えた調理器のトッププ
    レートとして用いられる調理器用トッププレートであっ
    て、低膨張透明結晶化ガラス板の表面に無機顔料とガラ
    スからなる多孔質の遮光被膜が形成され、前記遮光被膜
    の少なくとも電磁加熱部分上に耐熱樹脂層が形成されて
    なることを特徴とする調理器用トッププレート。
  2. 【請求項2】 耐熱樹脂層が、ポリイミド系樹脂、ポリ
    アミド系樹脂、フッ素系樹脂又はシリコン系樹脂、若し
    くはそれらの複合体を含むことを特徴とする請求項1の
    調理器用トッププレート。
  3. 【請求項3】 遮光被膜及び耐熱樹脂層が、電磁加熱装
    置と対向する面に形成されてなることを特徴とする請求
    項1の調理器用トッププレート。
  4. 【請求項4】 低膨張透明結晶化ガラス板が、30〜7
    50℃における平均線熱膨張係数が−10〜+30×1
    -7/℃である結晶化ガラスからなることを特徴とする
    請求項1の調理器用トッププレート。
  5. 【請求項5】 電磁加熱装置と赤外線加熱装置を備えた
    調理器のトッププレートとして用いられる調理器用トッ
    ププレートであって、低膨張透明結晶化ガラス板の表面
    に無機顔料とガラスからなる多孔質の遮光被膜が形成さ
    れ、前記遮光被膜の少なくとも電磁加熱部分上に耐熱樹
    脂層が形成されてなることを特徴とする調理器用トップ
    プレート。
  6. 【請求項6】 耐熱樹脂層が、ポリイミド系樹脂、ポリ
    アミド系樹脂、フッ素系樹脂又はシリコン系樹脂、若し
    くはそれらの複合体を含むことを特徴とする請求項5の
    調理器用トッププレート。
  7. 【請求項7】 遮光被膜及び耐熱樹脂層が、電磁加熱装
    置と対向する面に形成されてなることを特徴とする請求
    項5の調理器用トッププレート。
  8. 【請求項8】 赤外線加熱部分の遮光被膜の印刷密度が
    電磁加熱部分のそれより低いことを特徴とする請求項5
    の調理器用トッププレート。
  9. 【請求項9】 赤外線加熱部分の遮光被膜は、直径0.
    05〜5mmの開孔が1cm2当たり5〜500個形成
    されてなることを特徴とする請求項5の調理器用トップ
    プレート。
  10. 【請求項10】 赤外線加熱部分の遮光被膜の膜厚が電
    磁加熱部分のそれより薄いことを特徴とする請求項5の
    調理器用トッププレート。
  11. 【請求項11】 赤外線加熱部分の遮光被膜がラスター
    膜からなることを特徴とする請求項5の調理器用トップ
    プレート。
  12. 【請求項12】 低膨張透明結晶化ガラス板が、30〜
    750℃における平均線熱膨張係数が−10〜+30×
    10-7/℃である結晶化ガラスからなることを特徴とす
    る請求項5の調理器用トッププレート。
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