JP2006035806A - 耐熱防汚基板およびこれを用いた加熱調理機器 - Google Patents

耐熱防汚基板およびこれを用いた加熱調理機器 Download PDF

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Abstract

【課題】撥水撥油性と耐熱性をともに有しかつ容易に製造できる、シロキサン結合を有するフッソ系化学吸着単分子膜の耐熱防汚基板とこれを応用した加熱調理機器を提供する。
【解決手段】耐熱防汚基板1は、珪酸系酸化物2が表面に存在する耐熱基板3と、珪酸系酸化物2の表面に形成した少なくともシロキサン結合を有する有機フッソ化合物の防汚薄膜4とで構成されている。一方、珪酸系酸化物2は、アルカリ金属とアルカリ土類金属からなるアルカリ分の合計量が少なくとも13wt%を超えないとともに、ジルコニウムが1〜22wt%もしくはチタンが1〜24wt%が少なくとも含有されている材質である。このため、撥水撥油性と耐熱性をともに有する耐熱防汚基板が、容易に得られる。
【選択図】図1

Description

本発明は、耐熱性と撥水撥油性に優れた耐熱防汚基板と、これを用いた加熱調理機器を提供するものである。
シロキサン結合を有するフッソ系化学吸着単分子膜を、セラミックコ−トやホーロー処理さらに硬質アルマイト処理の表面に形成した基体は、撥水撥油性被膜を有する基体として知られている(例えば、特許文献1参照)。一方、耐熱性と撥水撥油性を向上させるために、アルミナ薄膜を設け、この表面にシロキサン結合を有するフッソ系化学吸着単分子膜を形成したガラスと、このガラスを使用した調理器が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特許第2921197号公報 特許第3064808号公報
しかしながら、従来の構成では、シロキサン結合を有するフッソ系化学吸着単分子膜は、撥水撥油性を有するが耐熱性に関しては、これを形成する基板の材質との相性があり、従来はこの相性が不明確であるため、基板材質によっては耐熱性が確保できない課題があった。このため、ただ単にセラミックコ−トやホーロー処理さらに硬質アルマイト処理した基体は、200℃以下といった温度の比較的緩やかな環境で使用せざるを得なかった。
この課題を解決し200℃以上の温度環境で安心して使用するために、アルミナ薄膜を介在させ、その上に化学吸着単分子膜を形成して密着性を向上させていた。この様に従来の技術は、基板材質との相性が不明確であり、耐熱性を向上させるためには、アルミナ薄膜を介在させるなどの複雑な製法と厳密な品質管理で基板を処理してその表面に水酸基を多く露出させてから、化学吸着単分子膜を形成する必要がある課題があった。
前記従来の問題点に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、撥水撥油性と耐熱性をともに有し、かつ容易に製造できる耐熱防汚基板とこれを応用した加熱調理機器を提供することにある。
前記課題を解決するために、本発明の耐熱防汚基板は、珪酸系酸化物が表面に存在する耐熱基板と、珪酸系酸化物の表面に形成した少なくともシロキサン結合を有する有機フッソ化合物の防汚薄膜とで少なくとも構成され、珪酸系酸化物は、アルカリ金属とアルカリ土類金属からなるアルカリ分の合計量が少なくとも13wt%を超えないとともに、ジルコニウムの1〜22wt%もしくはチタンの1〜24wt%が少なくとも含有されている材質である。
そして、有機フッソ化合物を含むシラン系界面活性剤は、金属酸化物と接触させるとその表面に存在する水酸基と化学反応してシロキサン結合を生成して、金属酸化物の表面に撥水撥油性の防汚薄膜を付与する性質が有る。金属酸化物として、適正量の酸化チタンや酸化ジルコニウムやアルカリ分が混合された珪酸系酸化物を使用すると、その表面に存在する水酸基と、有機フッソ化合物に含まれるシラン基が、充分に反応して強固なシロキサン結合が得られる。
このため、組成を最適化した珪酸系酸化物が表面に存在する耐熱基板に、シロキサン結合を有する有機フッソ化合物の防汚薄膜を形成すると、撥水撥油性と耐熱性をともに有する耐熱防汚基板が容易に得られる。
また、本発明の耐熱防汚基板は、有機シリコーン樹脂の気相蒸発焼成膜が表面に存在する耐熱基板と、前記有機シリコーン樹脂の気相蒸発焼成膜の表面に形成させたシロキサン結合を有する有機フッソ化合物の防汚薄膜とで少なくとも構成したものである。有機シリコーン樹脂の気相蒸発焼成膜は、水酸化基を多く持っている耐熱の珪酸化合物であり、有機シリコーン樹脂の塗料などを乾燥器の中で乾燥蒸発させ、同時に配置した耐熱基板の表面に付着した膜を焼成することで簡単に形成することが出来る。この水酸化基を多く持っている有機シリコーン樹脂の気相蒸発焼成膜と、有機フッソ化合物に含まれるシラン基は充分に反応して強固なシロキサン結合が得られるので、この有機シリコーン樹脂の気相蒸発焼成膜を形成した耐熱基板に、シロキサン結合を有する有機フッソ化合物の防汚薄膜を形成すると、撥水撥油性と耐熱性を同時に有する耐熱防汚基板が容易に得られる。
本発明は、撥水撥油性と耐熱性をともに有するシロキサン結合を有するフッソ系化学吸着単分子膜の耐熱防汚基板が容易に得られる。また、この耐熱防汚基板を加熱調理機器に応用でき、調理物のこびりつきが発生しても簡単な掃除で容易に剥離し、長期間にわたって美麗さや清潔感が維持できる。
第1の発明の耐熱防汚基板は、珪酸系酸化物が表面に存在する耐熱基板と、前記珪酸系酸化物の表面に形成した少なくともシロキサン結合を有する有機フッソ化合物の防汚薄膜とで少なくとも構成され、前記珪酸系酸化物は、アルカリ金属とアルカリ土類金属からなるアルカリ分の合計量が少なくとも13wt%を超えないとともに、ジルコニウムの1〜22wt%もしくはチタンの1〜24wt%が少なくとも含有されている材質であるとしたものである。
そして、有機フッソ化合物を含むシラン系界面活性剤は、金属酸化物と接触させるとその表面に存在する水酸基と化学反応してシロキサン結合を生成して、金属酸化物の表面に撥水撥油性の防汚薄膜を付与する性質が有る。金属酸化物として、適正量の酸化チタンや酸化ジルコニウムやアルカリ分が混合された珪酸系酸化物を使用すると、その表面に存在する水酸基と、有機フッソ化合物に含まれるシラン基が、充分に反応して強固なシロキサン結合が得られる。
このため、組成を最適化した珪酸系酸化物が表面に存在する耐熱基板に、シロキサン結合を有する有機フッソ化合物の防汚薄膜を形成すると、撥水撥油性と耐熱性をともに有する耐熱防汚基板が、簡単な製法と品質管理によって得られる。
第2の発明の耐熱防汚基板は、耐熱基板と、前記耐熱基板の表面に存在する有機シリコーン樹脂の気相蒸発焼成膜と、前記有機シリコーン樹脂の気相蒸発焼成膜の表面に形成させたシロキサン結合を有する有機フッソ化合物の防汚薄膜とで少なくとも構成されるものである。有機シリコーン樹脂の気相蒸発焼成膜は、水酸化基を多く持っている耐熱の珪酸化合物である。有機シリコーン樹脂の塗料などを焼成炉の中で焼成させる際に同時に耐熱基板を配置しておくと、耐熱基板の表面に気相蒸発焼成膜が付着するので、簡単に形成することができる。この水酸化基を多く持っている有機シリコーン樹脂の気相蒸発焼成膜と、有機フッソ化合物に含まれるシラン基は、充分に反応して強固なシロキサン結合が得られる。そのため、この有機シリコーン樹脂の気相蒸発焼成膜を形成した耐熱基板に、シロキサン結合を有する有機フッソ化合物の防汚薄膜を形成すると、撥水撥油性と耐熱性をともに有する耐熱防汚基板が、簡単な製法と品質管理によって得られる。
第3の発明の耐熱防汚基板は、特に、第1の発明または第2の発明で用いる耐熱基板が結晶化ガラスであるとした。結晶化ガラスは、ジルコニウム成分やチタン成分が結晶化した酸化物として存在するため水酸化基を多く持っている。このため、シロキサン結合を有する有機フッソ化合物の防汚薄膜を形成すると、撥水撥油性と耐熱性を同時に有する耐熱防汚基板が、簡単な製法と品質管理によって得られる。
第4の発明の耐熱防汚基板は、特に、第1の発明または第2の発明で用いる防汚薄膜が少なくともアルキル基もしくはフルオロアルキル基を有するものである。防汚薄膜は、少なくともアルキル基もしくはフルオロアルキル基を有する材料組成であると、撥水と撥油性と耐熱性に優れた防汚薄膜が簡単に得られる。また、この材料を用いた防汚薄膜は、単分子膜となるため、膜厚が数ナノメートルの光の干渉が起こらない透明で耐熱性に優れた膜が形成され、基体の色感を損なわない防汚薄膜が形成される。
第5の発明の耐熱防汚基板は、特に、第1の発明または第2の発明または第4の発明で用いる防汚薄膜が、ハロゲン化シラン、アルコキシシラン、イソシアネートシラン、アミノシランのいずれかを原料としているものである。ハロゲン化シラン、アルコキシシラン、イソシアネートシラン、アミノシランのいずれかを原料とした防汚薄膜であると、撥水と撥油性と耐熱性に優れた防汚薄膜が簡単に得られる。
第6の発明の耐熱防汚基板は、特に、第5の発明で用いるハロゲン化シランがクロロシランであるとした。ハロゲン化シランがクロロシランであると、撥水と撥油性と耐熱性に優れた防汚薄膜が簡単に得られる。
第7の発明の耐熱防汚基板は、特に、第5の発明で用いるハロゲン化シラン、アルコキシシラン、イソシアネートシラン、アミノシランの原料が有機シリコーンで希釈されるものである。希釈溶媒がシリコーンであると、有機シリコーンによりシラン化合物は溶媒和されるので、外部からの水の影響を受けにくくなり、耐熱性と撥油性と耐熱性に優れた防汚薄膜が簡単に形成される。
第8の発明の加熱調理機器は、特に、第1〜第7の発明のいずれかで用いる防汚薄膜を上面に形成したガラス製の耐熱基板からなる耐熱防汚基板と、前記耐熱防汚基板の下部に配置した内部空間を有する筐体と、前記筐体と前記耐熱防汚基板との内部空間に収納した調理加熱用部品とを少なくとも有し、前記耐熱防汚基板は、その下面に耐熱金属を主成分とする焼成被膜が形成されているものである。
焼成被膜は、耐熱金属を主成分とするため色の付いた金属色となる。そのため、耐熱基板として透明なガラスを用いて、焼成被膜の金属色が、透明な防汚薄膜の表面に付着した調理残さ物を見えにくくして、長期間にわたって美麗さや清潔感が維持できる。また、焼成被膜は、防汚薄膜を構成する極めて微薄の有機フッソ化合物膜が廻りこんでその表面に適度に付着するが、主成分である耐熱金属との相乗効果で、親水性を有する様になる。焼成被膜が親水性を有するため水玉ができにくくなって表面に付着する水分が落下しにくくなり、その下部位置に配置された調理加熱用部品に水分が落下しにくくなる。このため、加熱調理機器を業務用調理場などの高温多湿環境で長期間使用しても、耐熱防汚基板から落下する結露水分が減少し、調理用鍋を加熱する調理加熱用部品は、防湿対策で充分対応できる。
第9の発明の加熱調理機器は、特に、第8の発明の焼成被膜に含有される耐熱金属は、少なくとも白金または金またはパラジウムのいずれかである。耐熱金属が、これら金属であると、その表面は水玉が一層できにくくなって表面に付着する水分が落下しにくくなり、その下部位置に配置された調理加熱用部品に水分が落下しにくくなる。このため、調理加熱用部品は、一層簡単な防湿対策で対応できる。
第10の発明の加熱調理機器は、特に、第1の発明〜第7の発明のいずれかで用いる防汚薄膜を上面に形成した耐熱防汚基板と、前記耐熱防汚基板の下部に配置した内部空間を有する筐体と、前記筐体と前記耐熱防汚基板との内部空間に収納した調理加熱用部品とを少なくとも有しており、前記耐熱防汚基板は、その下面に形成した酸化ビスマスが少量含有の焼成被膜を介在させて、前記筐体と接着剤で接合されているものである。
酸化ビスマスは、焼成により溶融すると体積膨張して多孔質膜が生成するとともに、その多孔質膜が偏析して散在する性質が有る。そのため、焼成被膜に色付き耐熱材料を混合しても綺麗な被膜が形成できる。従って、防汚薄膜を形成する耐熱基板として透明なガラスを用いても、その裏側に存在する色付き焼成被膜が、透明な防汚薄膜の表面に付着した調理残さ物を見えにくくして、長期間にわたって美麗さや清潔感が維持できる。
また、防汚薄膜を構成する極めて微薄の有機フッソ化合物は、廻りこんでも多孔質な焼成被膜の内部にもぐり込んでしまう。そのため、水玉ができにくくなって表面に付着する水分が落下しにくくなり、その下部位置に配置された調理加熱用部品に水分が落下しにくくなる。さらに、この多孔質な焼成被膜は、筐体と耐熱防汚基板の接合への妨害を低減させる。そのため、筐体は、簡単に耐熱防汚基板に良好に接合できる。
第11の発明の加熱調理機器は、特に、第10の発明で用いる酸化ビスマスが1〜30wt%含有する焼成被膜である。酸化ビスマスが1〜30wt%含有する焼成被膜であると、多孔質な焼成被膜が得られて筐体と耐熱防汚基板の接合への妨害を低減し、筐体が耐熱防汚基板に一層簡単に良好に接合する。
第12の発明の加熱調理機器は、特に、第8の発明〜第11の発明のいずれかで用いる防汚薄膜を上面に形成した耐熱防汚基板は、その下面に形成した焼成被膜のさらに下面に有機シリコーン膜を形成しているものである。焼成被膜のさらに下面に有機シリコーン膜が形成されている耐熱基板を使用すると、有機シリコーン膜を形成している際中に、有機シリコーン樹脂の気相蒸発焼成膜がその裏側の面に自然と形成される。本発明は、この気相蒸発焼成膜の表面に防汚薄膜を形成しているため、耐熱性が向上する利点が生じる。
また、有機シリコーン膜が親水性であるため、防汚薄膜を構成する極めて微薄の有機フッソ化合物は、廻りこんでも多孔質な有機シリコーン膜の内部にもぐり込んでしまう。そのため、水玉ができにくくなって表面に付着する水分が落下しにくくなり、その下部位置に配置された調理加熱用部品に水分が落下しにくくなる。さらに、この多孔質な焼成被膜は、筐体と耐熱防汚基板の接合への妨害を低減させる。そのため、筐体は、簡単で耐熱防汚基板に極めて良好に接合できる。
第13の発明の加熱調理機器は、第8の発明〜第12の発明のいずれかで用いる耐熱防汚基板は、有機シリコーン接着剤を用いて筐体と接合しているものである。有機シリコーン接着剤は、耐熱性に優れた接着剤であり、耐熱防汚基板の接合側に廻り込む微薄有機フッソ化合物膜との親和力が有るため馴染みが良くなり、簡単に長期間優れた接合力を保持できる。
第14の発明の加熱調理機器は、第8の発明〜第13の発明のいずれかで用いる耐熱防汚基板は、焼成被膜もしくは有機シリコーン膜の少なくともいずれかの面がコロナ処理されており、前記コロナ処理面を介して有機シリコーン接着剤で筐体と接合しているものである。コロナ処理により表面の濡れ性が改善されるため、優れた接合力が簡単に得られる。
本発明の目的は、第1の発明から第14の発明の要部を実施の形態とすることにより達成できるので、各請求項に対応する実施の形態の詳細を、以下に図面を参照しながら説明し、本発明を実施するための最良の形態の説明とする。なお、本発明は本実施の形態により限定されるものではない。また、本実施の形態の説明において、同一構成並びに作用効果を奏するところには同一符号を付して重複した説明を行わないものとする。
(実施の形態1)
図1(a)は、本発明の実施の形態1における耐熱防汚基板の構成図である。本実施の形態の耐熱防汚基板1は、珪酸系酸化物2が表面に存在する耐熱基板3と、珪酸系酸化物2の表面に形成した少なくともシロキサン結合を有する有機フッソ化合物の防汚薄膜4とで構成されている。一方、珪酸系酸化物2は、アルカリ金属とアルカリ土類金属からなるアルカリ分の合計量が少なくとも13wt%を超えないとともに、ジルコニウムが1〜22wt%もしくはチタンが1〜24wt%が少なくとも含有されている材質である。
有機フッソ化合物を含むシラン系界面活性剤は、金属酸化物と接触させるとその表面に存在する水酸基と化学反応してシロキサン結合を生成して、金属酸化物の表面に撥水撥油性の防汚薄膜を付与する性質が有る。そこで、金属酸化物として、どの材料がその表面に水酸基を多く保有して、有機フッソ化合物を含むシラン系界面活性剤と化学反応して強固なシロキサン結合を生成し、しかも高温においてもその結合を長期間維持して優れた耐熱性を有するかの選定を行った。
材料の選定を行う検討は、まず、ステンレス板の表面にゾルゲル法を用いて金属酸化物の薄膜を形成した。次に、シロキサン結合を有する有機フッソ化合物の原料として、へプタデカフルオロデシルトリクロロシランを準備し、ヘキサメチルシロキサンで希釈した有機溶液を調合した。そして、金属酸化物系薄膜を形成したステンレス板を、この有機溶液に窒素雰囲気下で浸漬し、その後に大気中に放置することで、金属酸化物系薄膜の表面に、シロキサン結合を有する有機フッソ化合物からなる防汚薄膜を得た。
この防汚薄膜を形成した金属酸化物薄膜系ステンレス板を、300℃の電気炉に所定時間放置した際の、防汚薄膜の撥水性で耐熱性の評価を行った。その結果、防汚薄膜を形成する複合酸化物の薄膜は、珪酸と酸化ジルコニウムの複合酸化物、珪酸と酸化チタンの複合酸化物、珪酸と酸化ジルコニウムと酸化チタンの複合酸化物、アルカリ金属とアルカリ土類金属が少量含有されている珪酸と酸化ジルコニウムもしくは酸化チタンとの複合酸化物が、最適であることことが判明した。そして、これら複合酸化物の薄膜に形成した防汚薄膜は、各種の単独組成の金属酸化物の薄膜に形成した防汚薄膜と比較して、撥水性が長時間維持して優れた耐熱性を有していた。
そこで次に、このシロキサン結合を有する有機フッソ化合物の防汚薄膜4に対して、優れた耐熱性を長時間維持できる珪酸系複合酸化物の組成最適化検討を行った。珪酸系複合酸化物の組成最適化検討は、珪酸系酸化物を主成分とするガラス基板を用い、その組成を変化させた耐熱基板3に、シロキサン結合を有する有機フッソ化合物からなる防汚薄膜4を形成した耐熱防汚基板1で行った。
耐熱防汚基板1の製法について説明する。まず、組成の異なる珪酸系酸化物2からなるガラス製の耐熱基板3を準備し、洗浄して表面に付着している汚れを除去した。次に、シロキサン結合を有する有機フッソ化合物の原料として、へプタデカフルオロデシルトリクロロシランを準備し、ヘキサメチルシロキサンで希釈した有機溶液を調合した。そして、この有機溶液に耐熱基板3を窒素雰囲気下で浸漬し、その後に大気中に放置することで、少なくともシロキサン結合を有する有機フッソ化合物の防汚薄膜4が形成された耐熱防汚基板1を得た。この耐熱防汚基板1は、水の接触角(室温測定値)が106°の撥水性材料である。
耐熱性は、300℃雰囲気下に耐熱防汚基板1を所定時間放置した際の撥水性を、水の接触角で表現した。この値は、室温測定値であり、所定時間経過すると300℃炉から耐熱防汚基板1を取り出して室温まで冷やし、その表面に水滴を滴下した測定した結果である。検討に用いたガラス基板の種別と化学組成、300℃に所定時間放置後の接触角(水、室温測定値)の結果を次の(表1)に示す。ガラス基板の化学組成は、ガラスをX線マイクロアナライザで組成分析して得た結果であり、説明を簡単にするため金属元素で表現しているが、本来はこれら元素の複合酸化物である。
Figure 2006035806
まず、ジルコニウム成分の最適組成について検討した。(表1)において、本発明品Iは、ジルコニウム成分の含有量を1〜22wt%と変化させた一般ガラス製の耐熱基板3に防汚薄膜4を形成させたものである。また、本発明品IIIは、ジルコニウム成分とチタン成分を同時に含有させその含有量を変化させた一般ガラス製の耐熱基板3に、本発明品IVは、ジルコニウム成分とチタン成分を同時に含有させ、その含有量を変化させた結晶化ガラス製の耐熱基板3に、防汚薄膜4を各々形成させたものである。
比較品1)、比較品2)は、ジルコニウム成分の含有量を1wt%未満に変化させた一般ガラス製の耐熱基板3に防汚薄膜4を形成させたもの、比較品3)は、ジルコニウム成分の含有量を23〜25wt%と変化させた一般ガラス製の耐熱基板3に防汚薄膜4を形成させたものである。
いずれもガラス、アルカリ金属とアルカリ土類金属からなるアルカリ分の合計量が13wt%を超えない様にしている。これらの結果をもとにして、珪酸系酸化物に含まれるジルコニウム成分含有量と耐久後の接触角の関係を図1(b)に示す。この結果より、アルカリ分の合計量が13wt%を超えないとともに、ジルコニウム成分が1〜22wt%含有されているガラスを使用すると、耐久後の接触角が大きく、撥水性が長時間維持して優れた耐熱性を有していることがわかる。
高温に長時間放置しても撥水性を維持できる理由は、次の4点のためと思われる。1点目は、ガラス製の耐熱基板3にはアルカリ分が非常に少なく含有されているため、高温下において溶出するアルカリ成分が微小であり、防汚薄膜4を結合させているシロキサン結合の劣化が防止されて強固な結合になっていること。2点目は、ジルコニウム酸化物は再結晶し易いため水酸化基を多くも持っておりその量が多いほど、防汚薄膜4を結合させているシロキサン結合が多数生成して強固な結合になっていること。3点目は、ジルコニウム酸化物は珪酸に対して熱膨張が大きいが、その量が少ないと耐熱基板3の熱膨張を低減させ、防汚薄膜4を結合させているシロキサン結合の熱膨張による剥離を防止して強固な結合にしていること。4点目は、ジルコニウム成分の含有量が適正化されているため、水酸化基による強力結合現象と熱膨張による剥離現象がバランスして、強固な結合にしていること。
次に、チタン成分の最適組成について検討した。(表1)において、本発明品IIは、チタン成分の含有量を1〜24wt%と変化させた一般ガラス製の耐熱基板3に防汚薄膜4を形成させたものである。また、本発明品IIIは、ジルコニウム成分とチタン成分を同時に含有させ、その含有量を変化させた一般ガラス製の耐熱基板3に、本発明品IVは、ジルコニウム成分とチタン成分を同時に含有させ、その含有量を変化させた結晶化ガラス製の耐熱基板3に、防汚薄膜4を各々形成させたものである。
比較品1)と比較品4)は、チタン成分の含有量を1wt%未満に変化させた一般ガラス製の耐熱基板3に防汚薄膜4を形成させたもの、比較品5)は、チタン成分の含有量を25〜27wt%と変化させた一般ガラス製の耐熱基板3に防汚薄膜4を形成させたものである。
いずれもガラス、アルカリ金属とアルカリ土類金属からなるアルカリ分の合計量が13wt%を超えない様にしている。これらの結果をもとにして、珪酸系酸化物に含まれるチタン成分含有量と耐久後の接触角の関係を図1(c)に示す。この結果より、アルカリ分の合計量が13wt%を超えないとともに、チタン成分が1〜24wt%含有されているガラスを使用すると、耐久後の接触角が大きく、撥水性が長時間維持して優れた耐熱性を有していることがわかる。
高温に長時間放置しても撥水性を維持できる理由は、次の4点のためと思われる。1点目は、ガラス製の耐熱基板3にはアルカリ分が非常に少なく含有されているため、高温下において溶出するアルカリ成分が微小であり、防汚薄膜4を結合させているシロキサン結合の劣化が防止されて強固な結合になっていること。2点目は、チタン酸化物は再結晶し易いため水酸化基を多くも持っておりその量が多いほど、防汚薄膜4を結合させているシロキサン結合が多数生成して強固な結合になっていること。3点目は、チタン酸化物は珪酸に対して熱膨張が大きいが、その量が少ないと耐熱基板3の熱膨張を低減させ、防汚薄膜4を結合させているシロキサン結合の熱膨張による剥離を防止して強固な結合にしていること。4点目は、チタン成分の含有量が適正化されているため、水酸化基による強力結合現象と熱膨張による剥離現象がバランスして、強固な結合にしていること。
次に、アルカリ分の最適組成について検討した。(表1)において、参考品は、アルカリ分の合計量が13wt%を超えた範囲において、ジルコニウム成分含有量を1〜22wt%もしくはチタン成分含有量を1〜24wt%と変化させた一般ガラス製の耐熱基板3に、防汚薄膜4を形成させたものである。一方、本発明品I〜IVは、アルカリ分の合計量が13wt%以下の範囲において、ジルコニウム成分含有量を1〜22wt%もしくはチタン成分含有量を1〜24wt%と変化させたガラス製の耐熱基板3に、防汚薄膜4を形成させたものである。この両者は、ジルコニウム成分含有量もしくはチタン成分含有量は同じであるが、アルカリ分合計量が異なる。そこで、参考品の結果と、本発明品I〜IIIの結果をもとにして、珪酸系酸化物に含まれるアルカリ成分含有量と耐久後の接触角の関係を図1(d)に整理した。
この結果より、アルカリ成分含有量が13wt%を境にして耐久後の接触角が変化し、13wt%以下であると接触角が大きく撥水性が長時間維持して優れた耐熱性を有しているが、13wt%を超えると接触角が小さく撥水性がすぐに低下して耐熱性のないことがわかる。この理由は、ガラス製の耐熱基板3にアルカリ分が少なく含有されていると、高温下において溶出するアルカリ成分が微小であり、防汚薄膜4を結合させているシロキサン結合の劣化が防止されて強固な結合になっているためと思われる。
なお、本発明の効果は、撥水性で評価したが、撥油性も同様な結果であることは言うまでもなく、砂糖や醤油さらにミリンの混合液を多数回数焼き付けても、簡単に剥離できた。また、効果の判定は、耐熱基板として、珪酸系酸化物を主成分とするガラス基板を用いておこなっているが、この組成の珪酸系酸化物系ガラスを表面に形成した琺瑯基板や、この組成の珪酸系酸化物のガラスをいずれも用いておりその印刷焼成膜を部分的に形成したガラス基板でも、同様な効果があることは言うまでもない。
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2における耐熱防汚基板の構成図である。本実施の形態における耐熱防汚基板5は、耐熱基板6と、その表面に形成された有機シリコーン樹脂の気相蒸発焼成膜7と、さらにその上に形成された少なくともシロキサン結合を有する有機フッソ化合物の防汚薄膜8とで少なくとも構成される。
耐熱防汚基板5の製法について説明する。まず、ガラスやセラミックなどの耐熱基板6と、有機シリコーン樹脂の塗料をその内部に充満したステンレス容器を準備し、両方を100℃の乾燥器の中に長時間入れて、有機シリコーン樹脂の乾燥蒸気を耐熱基板6の表面に形成した。その後、耐熱防汚基板5を300℃の電気炉で焼成し、その表面に有機シリコーン樹脂の気相蒸発焼成膜7を形成した。
次に、耐熱基板6を洗浄して表面に付着している汚れを除去した。次に、シロキサン結合を有する有機フッソ化合物の原料として、へプタデカフルオロデシルトリクロロシランを準備し、ヘキサメチルシロキサンで希釈した有機溶液を調合した。そして、この有機溶液に耐熱基板を窒素雰囲気下で浸漬し、その後に大気中に放置することで、少なくともシロキサン結合を有する有機フッソ化合物の防汚薄膜8が形成された耐熱防汚基板5を得た。この耐熱防汚基板5は、水の接触角(室温測定値)が106°の撥水性材料である。
耐熱性は、300℃雰囲気下に耐熱防汚基板5を所定時間放置した際の撥水性を、水の接触角で表現した。この値は、室温で測定した値であり、所定時間経過すると300℃炉から耐熱防汚基板5を取り出して室温まで冷やし、その表面に水滴を滴下して測定した結果である。検討に用いたガラス基板の種別と化学組成、300℃に所定時間放置後の接触角の結果を次の(表2)に示す。
Figure 2006035806
有機シリコーン樹脂の気相蒸発焼成膜7を中間に介在させて防汚薄膜8が形成された耐熱防汚基板5の本発明品は、気相蒸発焼成膜が介在しない比較品と比較して、耐久後の接触角が大きく、撥水性が長時間維持して優れた耐熱性を有していることがわかる。これは、有機シリコーン樹脂の気相蒸発焼成膜7は水酸化基を多く持っている耐熱性の珪酸化合物となっているため、防汚薄膜4を結合させているシロキサン結合が多数生成して強固な結合になっているためと思われる。なお、検討に用いた耐熱基板は、本発明品Vは結晶化ガラス、本発明品VI〜VIIは一般ガラス、本発明品VIIIは粘土の焼成物、本発明品IXはアルミの陽極酸化物(所謂、アルマイト)である。また、本発明の効果は、撥水性で評価したが、撥油性も同様な結果であることは言うまでもなく、砂糖や醤油さらにミリンの混合液を多数回数焼き付けても、簡単に剥離できた。
(実施の形態3)
実施の形態3は、実施の形態1または2における耐熱基板3に結晶化ガラスを用いたものである。すなわち、(表1)に記載した様に、本発明品IVは、ジルコニウム成分とチタン成分とアリカリ分が同時に存在する結晶化ガラス製の耐熱基板3に、防汚薄膜4を形成させたものである。一方、本発明品IIIは、ジルコニウム成分とチタン成分とアリカリ分が同じ含有量で存在する一般ガラス製の耐熱基板3に、防汚薄膜4を形成させたものである。耐熱性に大きく関与するこれら成分が同量で存在しても、結晶化ガラスを用いた本発明品IVは、一般ガラスを用いた本発明品IIIと比較して、耐久後の接触角が大きく、撥水性が長時間維持して優れた耐熱性を有していることがわかる。これは、結晶化ガラスは、ジルコニウム成分やチタン成分が結晶化した酸化物として存在するため水酸化基を多く持っており、防汚薄膜4を結合させているシロキサン結合が多数生成して強固な結合になっているためと思われる。
(表2)でも同様であり、結晶化ガラスを用いた本発明品Vは、一般ガラスや他材料を用いた本発明品VI〜本発明品IXと比較して、耐久後の接触角が大きく、撥水性が長時間維持して優れた耐熱性を有していることがわかる。これは、結晶化ガラスが、ジルコニウム成分やチタン成分が結晶化した酸化物として存在するため水酸化基を多く持っており、その表面に形成した有機シリコーン樹脂の気相蒸発焼成膜7とともに、防汚薄膜4を結合させているシロキサン結合が多数生成して強固な結合になっているためと思われる。
(実施の形態4)
実施の形態4は、実施の形態1または2における、少なくともシロキサン結合を有する有機フッソ化合物の防汚薄膜4および防汚薄膜8に用いる材料組成について検討した。シロキサン結合を有する防汚薄膜は、少なくともアルキル基もしくはフルオロアルキル基を有する材料組成であると、撥水と撥油性と耐熱性に優れた防汚薄膜が簡単に提供できる。また、この材料を用いた防汚薄膜は、単分子膜となるため、膜厚が数ナノメートルの光の干渉が起こらない透明で耐熱性に優れた膜が形成され、基体の色感を損なわない防汚薄膜が形成される。
本発明のシラン化合物としては、次のものが有効である。
(1)SiX (n=0に相当)
(2)SiX−O−SiX (n=1に相当)
(3)Si(OC
(4)Si(OCH−O−Si(OCH
(5)Si(OC−O−Si(OCH
(6)Si(OC−O−Si(OC
(7)Si(NCO)
(8)Si(NCO)−O−Si(NCO)
(9)SiCl
(10)SiCl−O−SiCl
(11)SiYpCl4−p
(12)CH(CHO(CHSiYqCl3−q
(13)CH(CH−Si(CH(CH−SiYCl3−q
(14)CFCOO(CHSiYCl3−q
但し、pは1〜3の整数、qは0〜2の整数、rは1〜25の整数、sは0〜12の整数、tは1〜20の整数、uは0〜12の整数、vは1〜20の整数、wは1〜25の整数を示す。また、Yは、水素、アルキル基、アルコキシル基、含フッ素アルキル基または含フッ素アルコキシ基である。
(15)CHCHO(CH15SiCl
(16)CH(CHSi(CH(CH15SiCl
(17)CH(CHSi(CH(CHSiCl
(18)CHCOO(CH15SiCl
(19)CF(CF−(CH−SiCl
(20)CF(CF−(CH−SiCl
(21)CF(CF−C−SiCl
また、上記クロロシラン系化合物の代わりに、全てのクロロシリル基をイソシアネート基に置き換えたイソシアネート系化合物、例えば下記に示す(22)−(26)を用いてもよい。
(22)SiY(NCO)4−p
(23)CH−(CHSiY(NCO)3−p
(24)CH(CHO(CHSiY(NCO)q−P
(25)CH(CH−Si(CH(CH−SiY(NCO)3−q
(26)CFCOO(CHSiY(NCO)3−q
但し、p、q、r、s、t、u、v、wおよびXは、前記と同様である。
また、前記のシラン系化合物に変えて、下記(27)−(33)に具体的に例示するシラン系化合物を用いてもよい。
(27)CHCHO(CH15Si(NCO)
(28)CH(CHSi(CH(CH2)15Si(NCO)
(29)CH(CHSi(CH(CH2)Si(NCO)
(30)CHCOO(CH15Si(NCO)
(31)CF(CF−(CH−Si(NCO)
(32)CF(CF−(CH−Si(NCO)
(33)CF(CF−C−Si(NCO)
また、シラン系化合物として、一般に、SiY(OA)4−k(Yは、前記と同様、Aはアルキル基、kは0、1、2または3)で表される物質を用いることが可能である。中でも、CF−(CF−(R)−SiY(OA)3−q(nは1以上の整数、好ましくは1〜22の整数、Rはアルキル基、ビニル基、エチニル基、アリール基、シリコンもしくは酸素原子を含む置換基、lは0または1、Y、Aおよびqは前記と同様)で表される物質を用いると、よりすぐれた防汚性の被膜を形成できるが、これに限定されるものではなく、これ以外にも、 CH−(CH−SiY(OA)3−qおよびCH−(CH−0−(CH−SiY(OA)3−q、CH−(CH2)−Si(CH−(CH−SiY(OA)3−q、CFCOO−(CH−SiY(OA)3−q(但し、q、r、s、t、u、v、w、YおよびAは、前記と同様)などが使用可能である。
さらに、より具体的なシラン系化合物としては、下記に示す(34)〜(57)を挙げることができる。
(34)CHCHO(CH15Si(OCH
(35)CFCHO(CH15Si(OCH
(36)CH(CHSi(CH(CH15Si(OCH
(37)CH(CHSi(CH(CHSi(OCH3)
(38)CHCOO(CH15Si(OCH
(39)CF(CF(CHSi(OCH
(40)CF(CF−C−Si(OCH
(41)CHCHO(CH15Si(OC
(42)CH(CHSi(CH(CH15Si(OC
(43)CH(CHSi(CH(CHSi(OC
(44)CF(CHSi(CH(CHSi(OC
(45)CHCOO(CH15Si(OC
(46)CFCOO(CH15Si(OC
(47)CFCOO(CH15Si(OCH
(48)CF(CF(CHSi(OC
(49)CF(CF2)(CH2)Si(OC
(50)CF(CF2)(CH2)Si(OC
(5l)CF(CFSi(OC
(52)CF(CF(CH)2Si(OCH
(53)CF(CF(CHSi(OCH
(54)CF(CF(CHSiCH(OC
(55)CF(CF(CHSiCH(OCH
(56)CF(CF(CHSi(CHOC
(57)CF(CF(CHSi(CHOCH
なお、(22)〜(57)の化合物を用いた場合には、塩酸が発生しないため、装置保全および作業上のメリットもある。
シラン化合物を含む原材料溶液を希釈する溶媒は、シラン化合物が水と反応することを防止するため非水溶媒を使用する。特に、非水溶媒がシリコーンであると、シリコーンによりシラン化合物は溶媒和されるので、外部からの水の影響を受けにくく、優れた非水溶媒となる。溶媒としては、活性水素を含まない非水系溶媒を用いるのが好ましく、水を含まない炭化水素系溶媒、フッ化炭素系溶媒、シリコーン系溶媒などを用いることが可能である。
なお、石油系の溶剤の他に具体的に使用可能なものは、石油ナフサ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ベンジン、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、デカリン、工業ガソリン、灯油、リグロイン、ジメチルミリコーン、フェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエステルシリコーンなどを挙げることができる。また、フッ化炭素系溶媒には、フロン系溶媒や、フロリナート(3M社製品)、アフルード(旭ガラス社製品)などがある。なお、これらは1種単独で用いてもよいし、よく混合するものなら2種以上を組み合わせてもよい。
次に、シラン化合物を含む溶液を塗布する工程について説明する。シラン化合物を含む溶液の塗布が、湿度35%以下の無水雰囲気下であると、シラン化合物が外気からの水と反応することがないので、表面上にこれらのシラン化合物同士が結合してできるシロキサン結合を有する防汚薄膜が形成される。また、シラン化合物を含む溶液を塗布する工程の後工程に、溶媒を除去する乾燥工程を設けると、乾燥工程においてシラン化合物が濃縮されるため、高密度のシロキサン結合を有する防汚薄膜が形成されて、耐熱性が大幅に向上できる。この乾燥工程が湿度35%以下の無水雰囲気下であり、さらに、この後工程として過剰な未反応のシラン化合物を洗浄する工程を設けると、一層高密度のシロキサン結合を有する防汚薄膜が形成されて、耐熱性が一層大幅に向上できる。
(実施の形態5)
実施の形態5は、実施の形態1または2における、少なくともシロキサン結合を有する有機フッソ化合物の防汚薄膜4および防汚薄膜8に用いる材料の原料について検討した。防汚薄膜4および8に用いる原材料は、ハロゲン化シラン、アルコキシシラン、イソシアネートシラン、アミノシランのいずれかである。これら原材料を使用すると、表面上にこれらのシラン化合物同士が結合してできるシロキサン結合を有する、耐熱性の防汚薄膜が簡単に形成される。
(実施の形態6)
実施の形態6は、実施の形態1または2における、少なくともシロキサン結合を有する有機フッソ化合物の防汚薄膜4および8に用いる原料で、特に耐熱性を有する原料について検討した。その結果、ハロゲン化シラン化合物が最適であり、特にクロロシランであると、クロロシラン化合物同士が結合してできるシロキサン結合が耐熱基板と強固に化学結合した、耐熱性の防汚薄膜が簡単に形成されることが判明した。
(実施の形態7)
実施の形態7は、実施の形態1または2における、少なくともシロキサン結合を有する有機フッソ化合物の防汚薄膜4および防汚薄膜8に用いる原料を希釈する溶媒について検討した。その結果に、溶媒がシリコーンであると、シリコーンによりシラン化合物は溶媒和されるので、外部からの水の影響を受けにくくなり、耐熱性の防汚薄膜が簡単に形成されることが判明した。
(実施の形態8)
実施の形態8は、実施の形態1または2における、耐熱防汚基板1または耐熱防汚基板5を、加熱調理機器に応用したものであり、その構成を図3に示す。加熱調理機器は、防汚薄膜4または8を上面に形成したガラス製の耐熱基板3もしくは耐熱基板6からなる耐熱防汚基板1または耐熱防汚基板5と、耐熱防汚基板1または耐熱防汚基板5を搭載するためにその下部に配置した筐体9と、筐体9の内部空間に収納した調理加熱用部品10とを少なくとも有している。
一方、耐熱防汚基板1または耐熱防汚基板5には、その下面に耐熱金属を主成分とする焼成被膜11が予め形成されており、その上面に防汚薄膜4または8を後工程で形成している。そして、焼成被膜11を介在させて筐体9と耐熱防汚基板1または耐熱防汚基板5は接合している。食材などを収納した調理用鍋は、耐熱防汚基板1または耐熱防汚基板5の上面に形成された防汚薄膜4または8の上部に配置し、調理加熱用部品10により加熱される。焼成被膜11は、酸化ビスマスもしくはガラスが少量含有しており、残部は金や白金さらにパラジウム等から選択した少なくとも1種の耐熱金属、ガラスとした。
焼成被膜11は、耐熱金属を主成分とするため色の付いた金属色となる。そのため、耐熱基板3または6として透明なガラスを用いて、焼成被膜11の金属色が、透明な防汚薄膜4または8の表面に付着した調理残さ物を見えにくくして、長期間にわたって美麗さや清潔感が維持できる。なお、必要によっては美観を良くするために、耐熱基板3もしくは7の下側にマイカを接着剤で固着させ、その上にさらに焼成被膜11を形成する構成とした。
防汚薄膜4または8は、シロキサン結合を有する有機フッソ化合物の液体を原料としており、耐熱基板3もしくは6の上面に塗布され乾燥工程を経て防汚薄膜となる。この塗布と乾燥の工程において蒸発した有機フッソ化合物は、その下面に予め形成した焼成被膜11まで廻りこみ、極めて微薄の有機フッソ化合物膜が形成される。
一方、焼成被膜11は、耐熱金属が主成分であり焼成されているので親水性を有するが、廻りこんだ極めて微薄の有機フッソ化合物膜が焼成被膜11の表面にほとんど付着しないため親水性を有する様になる。耐熱防汚基板1または5の下面に形成される焼成被膜11が親水性を有すると、水玉ができにくくなったその表面に付着する水分が落下しにくくなり、このことは、その下部位置に配置された調理加熱用部品10に水分が落下しにくくなる効果が得られる。
このため、加熱調理機器を業務用調理場などの高温多湿環境で長期間使用しても、調理用鍋を加熱する調理加熱用部品10は、その上部に配置した耐熱防汚基板1または5から落下する結露水分が減少し、落下結露水分によるトラブルが無い効果が得られる。また、このことで調理加熱用部品10は、簡単な防湿対策で充分対応できる利点が生じる。一方、焼成被膜11が存在しない耐熱防汚基板1または5であると、その下面は、ガラス製の耐熱基板3もしくは6となる、このガラス製の耐熱基板に、極めて微薄の有機フッソ化合物膜が廻りこんで付着すると結合して撥水性を有し、その表面に付着する水分が落下し易くなる。従って、加熱調理機器を高温多湿環境で長期間使用する際は、落下結露水分を考慮して調理加熱用部品10は複雑な防湿対策が必要である。
(実施の形態9)
実施の形態9は、実施の形態8における焼成被膜に含有される耐熱金属の材質について検討した結果を、図3を利用して説明する。耐熱金属が少なくとも白金または金またはパラジウムのいずれかであると、その表面は水玉が一層できにくくなって表面に付着する水分が落下しにくくなり、その下部位置に配置された調理加熱用部品10に水分が落下しにくくなった。このため、調理加熱用部品は、一層簡単な製法と品質管理で得られる防湿対策で対応できる。
(実施の形態10)
実施の形態10は、実施の形態1または2における、耐熱防汚基板1または耐熱防汚基板5を、加熱調理機器に応用したものであり、その構成を図3に示すとともに、図1、図2を利用して説明する。加熱調理機器は、防汚薄膜4または8を上面に形成した耐熱基板3もしくは6からなる耐熱防汚基板1または耐熱防汚基板5と、耐熱防汚基板1または耐熱防汚基板5を搭載するためにその下部に配置した筐体9と、筐体9の内部空間に収納した調理加熱用部品10とを少なくとも有している。
一方、耐熱防汚基板1または耐熱防汚基板5には、その下面には酸化ビスマスが少量含有する焼成被膜11が予め形成されており、その上面に防汚薄膜4または8を後工程で形成している。そして、焼成被膜11を介在させて筐体9と耐熱防汚基板1または5を接着剤12で接合している。食材などを収納した調理用鍋は、耐熱防汚基板1または5の上面に形成された防汚薄膜4または8の上部に配置し、調理加熱用部品10により加熱される。
酸化ビスマスは、焼成により溶融すると体積膨張して多孔質膜を生成するとともにその多孔質膜が偏析して散在する性質がある。そのため、焼成被膜11に色付き耐熱材料を混合しても綺麗な被膜が形成できる。従って、防汚薄膜4または8を形成する耐熱基板として透明なガラスを用いても、その裏側に存在する色付き焼成被膜11が、透明な防汚薄膜の表面に付着した調理残さ物を見えにくくして、長期間にわたって美麗さや清潔感が維持できる。そこで、焼成被膜11は、酸化ビスマスが少量含有しており、残部は金や白金さらにパラジウムから選択した少なくとも1種の耐熱金属、ガラスとした。
防汚薄膜4または8は、シロキサン結合を有する有機フッソ化合物の液体を原料としており、耐熱基板3もしくは6の上面に塗布され乾燥工程を経て防汚薄膜となる。この塗布と乾燥の工程において蒸発した有機フッソ化合物は、その下面に予め形成した酸化ビスマスが含有する焼成被膜11まで廻りこみ、極めて微薄の膜が形成される。一方、酸化ビスマスは、焼成により溶融すると体積膨張して多孔質膜が生成するとともにその多孔質膜が偏析して散在する性質がある。
そのため、廻りこんだ極めて微薄の有機フッソ化合物の膜は、多孔質な焼成被膜11の内部にもぐり込んでしまい、筐体9と耐熱防汚基板1または5の接合への妨害を低減させる。これらのことにより、筐体9は、耐熱防汚基板1または5と良好に接合できる。また、この多孔質な焼成被膜は、水玉ができにくくなって表面に付着する水分が落下しにくくなり、その下部位置に配置された調理加熱用部品10に水分が落下しにくくなった。一方、焼成被膜11が存在しないと、廻りこんだ極めて微薄の有機フッソ化合物の膜が、筐体9と耐熱防汚基板1または5の接合への妨害をして良好な接合が得られにくくなった。
(実施の形態11)
実施の形態11は、実施の形態8または10における加熱調理機器に用いる焼成被膜11に混合する酸化ビスマスの量を検討した。その結果、酸化ビスマスの混合量は、1〜30wt%が最適であった。それは、1wt%未満であると多孔質度が不足して、廻りこんだ極めて微薄の有機フッソ化合物の膜が、筐体9と耐熱防汚基板1または5の接合への妨害をして良好な接合が得られにくくなるためである。
一方、30wt%を超えると、多孔質膜が大き過ぎて極めて脆い膜となり、ガラスを混合しても強固な膜が得られなくなるとともに多孔質度が過ぎてやや平滑的になり、廻りこんだ極めて微薄の有機フッソ化合物の膜が、筐体9と耐熱防汚基板1または5の接合への妨害をして良好な接合が得られにくくなるためである。
これらのことより、焼成被膜11は、酸化ビスマスが1〜30wt%含有しており、残部は金や白金さらにパラジウム等から選択した少なくとも1種の耐熱金属、ガラスとした。耐熱金属は、薄黒色をしているため、耐熱基板3または耐熱基板6に透明なガラスを使用した際に、防汚薄膜4または8に付着した調理残さ物を見えにくくする効果もある。
ガラスは、酸化ビスマスが偏析して散在する多孔質膜を形成するので、この脆い膜を強固な膜にするために混合している。なお、酸化ビスマスは、その混合量が少ない時は、ガラスの混合量を少なくし必要によってはガラスなしとしても強固な膜が得られたが、その混合量が多い時は、混合するガラスの量を多くして強固な膜が得られる様にした。これらのことより以後の検討は、酸化ビスマスが5wt%、残部が白金や金を主成分とする焼成被膜11で行なった。
(実施の形態12)
実施の形態12は、実施の形態1における耐熱防汚基板1の耐熱性を向上させる具体的対策と、実施の形態2における耐熱防汚基板5に積層する有機シリコーン樹脂の気相蒸発焼成膜7を簡単に形成する具体的対策と、前述の実施の形態11の加熱調理機器において実施する製法を検討したものである。その結果、図3に示す様に、その下面の焼成被膜11のさらに下面に有機シリコーン膜13が予め形成されている耐熱基板3もしくは6を使用し、後工程で防汚薄膜4または8をその上面に形成すれば、有機シリコーン樹脂の気相蒸発焼成膜7が簡単に形成できることを見出した。
具体的製法を説明する。まず、焼成被膜11が予め形成されている耐熱基板3もしくは6を準備し、焼成被膜11の面に有機シリコーン樹脂の液体塗料を塗布して、乾燥焼成した。これによって、有機シリコーン膜13が焼成被膜11の面に形成されるが、これと同時に、耐熱基板3もしくは6の焼成被膜11が予め形成されていない側にも、有機シリコーン樹脂の気相蒸発焼成膜7が形成される。
次に、これら膜が形成された耐熱基板3もしくは6を洗浄して表面に付着している汚れを除去した。次に、シロキサン結合を有する有機フッソ化合物の原料として、へプタデカフルオロデシルトリクロロシランを準備し、ヘキサメチルシロキサンで希釈した有機溶液を調合した。そして、この有機溶液に前述の耐熱基板3もしくは6を窒素雰囲気下で浸漬し、その後に大気中に放置することで、少なくともシロキサン結合を有する有機フッソ化合物の防汚薄膜4もしくは8が形成された耐熱防汚基板1もしくは5を得た。その後、この基板で加熱調理機器を組み立てて完成である。
焼成被膜11のさらに下面に有機シリコーン膜13が予め形成されている耐熱基板3もしくは6を使用すると、有機シリコーン樹脂の気相蒸発焼成膜7が形成され、この膜に防汚薄膜8が形成されるためその耐熱性が向上する利点と、有機シリコーン膜13が親水性であるため筐体9と耐熱防汚基板1または5の接着剤12による接合を良好にする利点が得られた。また、有機シリコーン膜13が親水性であるため、防汚薄膜を構成する極めて微薄の有機フッソ化合物は、廻りこんでも多孔質な有機シリコーン膜13の内部にもぐり込んでしまう。そのため、水玉ができにくくなって表面に付着する水分が落下しにくくなり、その下部位置に配置された調理加熱用部品10に水分が落下しにくくなる利点がある。
(実施の形態13)
実施の形態13は、図3における筐体9と耐熱防汚基板1または5を接合する接着剤12の材質を検討した。その結果、有機シリコーン樹脂が最適であることが判明した。これは、有機シリコーン膜13が耐熱性の接着剤であること、耐熱防汚基板1または5の接合側に廻り込む微薄有機フッソ化合物膜との親和力があるため馴染みが良く長期間優れた接合力を保持できるためである。
(実施の形態14)
実施の形態14は、図3における筐体9と耐熱防汚基板1または5の接合力を向上させる方法を検討した。その結果、耐熱防汚基板1または5は、コロナ放電処理機を用いて、その下面に形成した焼成被膜11もしくは有機シリコーン膜13のいずれかの面をコロナ処理すると、このコロナ処理面を介して有機シリコーンの接着剤12で筐体9と強固に接合することが判明した。この優れた接合力は、コロナ処理により表面の濡れ性が改善されたためと思われる。
以上のように、本発明の耐熱防汚基板およびそれを使用した加熱調理機器は、その優れた撥水撥油と耐熱性により、調理物のこびりつきが発生しても簡単な掃除で容易に剥離し、長期間にわたって美麗さや清潔感が維持できるため、IH調理機器やホットプレート、グリル鍋、フライパンなどに応用ができる。
(a)本発明の実施の形態1である耐熱防汚基板の構成図(b)耐熱防汚基板におけるジルコニウム成分含有率と耐久性の関係特性図(c)耐熱防汚基板におけるチタン成分含有率と耐久性の関係特性図(d)耐熱防汚基板におけるアルカリ成分含有率と耐久性の関係特性図 本発明の実施の形態2における耐熱防汚基板の構成図 本発明の実施の形態1または実施の形態2の耐熱防汚基板を使用して形成した実施の形態8〜14における加熱調理機器の構成図
符号の説明
1、5 耐熱防汚基板
2 珪酸系酸化物
3、6 耐熱基板
4、8 防汚薄膜
7 気相蒸発焼成膜
9 筐体
10 調理加熱用部品
11 焼成被膜
12 接着剤
13 有機シリコーン膜

Claims (14)

  1. 珪酸系酸化物が表面に存在する耐熱基板と、前記珪酸系酸化物の表面に形成したシロキサン結合を有する有機フッソ化合物の防汚薄膜とで少なくとも構成され、前記珪酸系酸化物は、アルカリ金属とアルカリ土類金属からなるアルカリ分の合計量が13wt%を超えないとともに、ジルコニウムの1〜22wt%もしくはチタンの1〜24wt%が含有されている材質である耐熱防汚基板。
  2. 耐熱基板と、前記耐熱基板の表面に存在する有機シリコーン樹脂の気相蒸発焼成膜と、前記気相蒸発焼成膜の表面に形成させたシロキサン結合を有する有機フッソ化合物の防汚薄膜とで少なくとも構成された耐熱防汚基板。
  3. 耐熱基板は、結晶化ガラスである請求項1または請求項2に記載の耐熱防汚基板。
  4. 防汚薄膜は、少なくともアルキル基もしくはフルオロアルキル基を有する請求項1または請求項2に記載の耐熱防汚基板。
  5. 防汚薄膜は、ハロゲン化シラン、アルコキシシラン、イソシアネートシラン、アミノシランのいずれかを原料としている請求項1または請求項2または請求項4のいずれか1項に記載の耐熱防汚基板。
  6. ハロゲン化シランは、クロロシランである請求項5に記載の耐熱防汚基板。
  7. ハロゲン化シラン、アルコキシシラン、イソシアネートシラン、アミノシランの原料は、有機シリコーンで希釈されている請求項5に記載の耐熱防汚基板。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載された防汚薄膜を上面に形成したガラス製の耐熱基板からなる耐熱防汚基板と、前記耐熱防汚基板の下部に配置した内部空間を有する筐体と、前記筐体と前記耐熱防汚基板との内部空間に収納した調理加熱用部品とを少なくとも有し、前記耐熱防汚基板は、その下面に耐熱金属を主成分とする焼成被膜が形成されている加熱調理機器。
  9. 焼成被膜に含有される耐熱金属は、少なくとも白金または金またはパラジウムのいずれかである請求項8に記載の加熱調理機器。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項に記載された防汚薄膜を上面に形成した耐熱防汚基板と、前記耐熱防汚基板の下部に配置した内部空間を有する筐体と、前記筐体と前記耐熱防汚基板との内部空間に収納した調理加熱用部品とを少なくとも有し、前記耐熱防汚基板は、その下面に形成した酸化ビスマスが少量含有した焼成被膜を介在させて、前記筐体と接着剤で接合されている加熱調理機器。
  11. 酸化ビスマスが1〜30wt%含有する焼成被膜である請求項10に記載の加熱調理機器。
  12. 防汚薄膜を上面に形成した耐熱防汚基板は、その下面に形成した焼成被膜のさらに下面に有機シリコーン膜を形成している請求項8〜11のいずれか1項に記載の加熱調理機器。
  13. 耐熱防汚基板は、有機シリコーン接着剤を用いて筐体と接合している請求項8〜12のいずれか1項に記載の加熱調理機器。
  14. 耐熱防汚基板は、焼成被膜もしくは有機シリコーン膜の少なくともいずれかの面がコロナ処理されており、前記コロナ処理面を介してシリコーン接着剤で筐体と接合している請求項8〜13のいずれか1項に記載の加熱調理機器。
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