JP2921197B2 - 撥水・撥油性コーティング材およびその製造方法 - Google Patents

撥水・撥油性コーティング材およびその製造方法

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JP2921197B2
JP2921197B2 JP3222630A JP22263091A JP2921197B2 JP 2921197 B2 JP2921197 B2 JP 2921197B2 JP 3222630 A JP3222630 A JP 3222630A JP 22263091 A JP22263091 A JP 22263091A JP 2921197 B2 JP2921197 B2 JP 2921197B2
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恒雄 柴田
眞守 曽我
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英賢 川西
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C2222/00Aspects relating to chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive medium
    • C23C2222/20Use of solutions containing silanes

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  • Paints Or Removers (AREA)
  • Chemical Treatment Of Metals (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ジャー炊飯器の内鍋
や、ホットプレート・グリル鍋・フライパン等、調理器
具の中で水や油や食品の汚れの激しい箇所において使用
されている耐摩耗性を有する撥水・撥油性コーティング
材およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ジャー炊飯器の内鍋や、ホットプ
レート・グリル鍋・フライパン等の表面は、プライマー
を介してフッ素樹脂を塗装したもの、あるいは基板表面
を粗面化してフッ素樹脂を塗装したもの等、フッ素樹脂
の撥水・撥油性能を生かした表面改質が用いられてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
のフッ素コーティング技術は、基板とフッ素樹脂との密
着性が弱く、フッ素塗装面を金属などの硬いもので擦っ
たり、傷つけたりするとフッ素樹脂が剥がれて基板が露
出してしまうという問題点を有していた。また、繰り返
しヒートサイクルをかけることによっても、同じように
フッ素樹脂が剥がれて基板が露出してしまうという問題
点を有していた。この問題点は、一般家庭で使用する場
合、例えば、ジャー炊飯器の内鍋の中でお米を研ぐと米
がフッ素樹脂表面を傷つけ、繰り返し使用している間に
フッ素樹脂塗装が剥がれてしまうという現象や、ホット
プレートに金属ヘラを用いるとフッ素樹脂塗装が剥がれ
てしまうため、現行のものはプラスチック製の物が使用
されていること等に現れている。
【0004】本発明はこのような従来の課題を解決しよ
うとするものであって、耐摩耗性に優れた撥水・撥油性
コーティング材を提供することを第一の目的としてい
る。
【0005】また前記第一の目的を一層確実に達成する
第二・第三の手段を提供することを第二・第三の目的と
している。
【0006】また、簡単にかつ均一に耐摩耗性を有する
撥水・撥油性コーティング材を製造する方法を提供する
ことを第四の目的としている。
【0007】また前記第四の目的を一層確実に達成する
方法を提供することを第五・第六の目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】第一の目的を達成するた
めの本発明の第一の手段は、表面にセラミックコートを
施したものまたはホーロー処理を施したものまたは硬質
アルマイト処理したもの等の耐摩耗性を有する基板表面
上に、シロキサン結合を有する化学吸着単分子膜あるい
は化学吸着単分子累積膜を化学吸着して形成される撥水
・撥油性コーティング材とするものである。
【0009】第二の目的を達成するための本発明の第二
の手段は、前記本発明の第一の手段の構成において、化
学吸着単分子膜は、パーフルオロアルキル基を有するク
ロロシラン系界面活性剤である撥水・撥油性コーティン
グ材とするものである。
【0010】第三の目的を達成する本発明の第三の手段
は、前記本発明の第一の手段の構成において、化学吸着
単分子累積膜は、テトラクロロシランもしくはトリクロ
ロシランとパーフルオロアルキル基を有するクロロシラ
ン系界面活性剤である撥水・撥油性コーティング材とす
るものである。
【0011】第四の目的を達成する本発明の第四の手段
は、クロロシラン系界面活性剤を含む非水系の有機溶媒
中に、表面にセラミックコートを施したものまたはホー
ロー処理を施したものまたは硬質アルマイト処理したも
の等の耐摩耗性を有する基板を浸漬して、前記基板の表
面にクロロシラン系界面活性剤を化学吸着させ、シロキ
サン結合を有する化学吸着単分子膜あるいは化学吸着単
分子累積膜を形成させる撥水・撥油性コーティング材の
製造方法とするものである。
【0012】第五の目的を達成する本発明の第五の手段
は、前記本発明の第四の手段構成において、非水系の有
機溶媒にピリジンを含有させた撥水・撥油性コーティン
グ材の製造方法とするものである。
【0013】また第六の目的を達成する本発明の第六の
手段は、非水系の有機溶媒に、表面にセラミックコート
を施したものまたはホーロー処理を施したものまたは硬
質アルマイト処理したもの等の耐摩耗性を有する基板を
浸漬して、前記基板の表面にクロロシラン系界面活性剤
を化学吸着させる工程において、超音波を用いて化学吸
着させることを特徴とする撥水・撥油性コーティング材
の製造方法とするものである。
【0014】
【作用】本発明の第一の手段によれば、耐摩耗性を有す
る基板表面上に化学吸着単分子膜あるいは化学吸着単分
子累積膜が化学吸着して高密度に形成されるため、耐摩
耗性に優れた撥水・撥油性コーティング材が得られる。
【0015】本発明の第二の手段によれば、基板表面上
の化学吸着単分子膜がパーフルオロアルキル基を有する
クロロシラン系界面活性剤からなるため、パーフルオロ
アルキル基が分子レベルで耐摩耗性を有する基板表面上
に並び、化学吸着単分子膜が一層高密度に形成される。
このため前記本発明の第一の手段によるよりも、一層撥
水・撥油性の優れたコーティング材が得られる。
【0016】本発明の第三の手段よれば、化学吸着単分
子累積膜は、テトラクロロシランもしくはトリクロロシ
ランとパーフルオロアルキル基を有するクロロシラン系
界面活性剤が化学吸着して形成されるため、パーフルオ
ロアルキル基の密度がさらに高まり、より撥水・撥油性
の優れた耐摩耗性を有するコーティング材が得られる。
【0017】また本発明の第四の手段によれば、耐摩耗
性を有する基板と、化学吸着単分子膜あるいは化学吸着
単分子累積膜は化学吸着している。このためフッ素樹脂
を塗装した物に比べ、耐熱性・耐摩耗性に優れた撥水・
撥油性コーティング材が得られる。またフッ素樹脂を塗
装する場合、加熱及び焼成工程が不要で、浸漬工程のみ
で均一な性質の耐摩耗性を有する撥水・撥油性コーティ
ング材が作成される。
【0018】また本発明の第五の手段によれば、非水系
の有機溶媒にピリジンを含有させているため、クロロシ
ラン系界面活性剤と耐摩耗性を有する基板表面の水酸基
の脱塩酸反応が促進される。このため化学吸着が促進さ
れ、コーティング材の製造工程が短縮化される。
【0019】更に本発明の第六の手段によれば、超音波
を用いているため、クロロシラン系界面活性剤と耐摩耗
性を有する基板表面の水酸基との反応が振動により促進
され、コーティング材の製造工程が短縮化され、かつ確
実な結合が得られるものである。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例について添付図面に基
づいて説明する。
【0021】(実施例1) 図1は炊飯器の断面図である。1は炊飯器の内鍋、2は
内蓋、3は放熱板である。また4はヒーター等の熱源で
ある。内鍋1・内蓋2・放熱版3等は、図2に示すよう
な表面処理を実施し、耐摩耗性を有する撥水・撥油性材
料でコーティングしている。図2において、内鍋1等を
構成するアルミニウムの基板5の表面はセラミックでコ
ートしてある。これをトリクロロエチレン等の有機溶剤
で脱脂処理する。一方、パーフルオロアルキル基を有す
るクロロシラン系界面活性剤C8F17C2H4SiCl3
を、3×10-3〜5×10-2mol/l程度の濃度で溶かし
た80%n−ヘキサデカン(シクロヘキサン、トルエ
ン、キシレン、ジシクロヘキシルでもよい)、12%四
塩化炭素、8%クロロホルム溶液を調整しておく。次い
で、この溶液中に前記基板5を非水系雰囲気中にて室温
で約2時間浸漬した後、クロロホルムで約30分間洗浄
し、さらに水洗処理を約15分間行う。この処理によっ
て基板5の表面は水酸基を含むため、パーフルオロアル
キル基を有するクロロシラン系界面活性剤のクロロシリ
ル基と水酸基が反応して表面に
【0022】
【化1】
【0023】の結合が生成され、化学吸着単分子膜6が
基板5と化学結合した形で10〜30Åの厚みで形成さ
れる。
【0024】このようにして作製された試料の耐摩耗性
を測定するため、以下の実験を行った。
【0025】上記の方法にて作成された5×5cm2の耐
摩耗性を有する撥水・撥油性コーティング材試料を、市
販の亀の子たわしで全荷重2kgをかけて毎分60回転の
スピードで回転させながら所定回数の回転を加えた後、
純水とサラダ油2.5μlを試料上に滴下し、それぞれに
ついて室温にて接触角を測定した結果を図3に示す。な
お比較例として、従来の方式であるフッ素樹脂(パーフ
ルオロアルコキシ樹脂、以下PFAと称す)を塗布した
ガラスについても、同様の測定を行い併記した。この図
3の結果から明らかなように、実施例1の耐摩耗性を有
する撥水・撥油性コーティング材は上記条件にて800
0回転まで耐摩耗性を保持し、従来のPFAを塗布した
ガラスよりも優れた耐摩耗性を示している。
【0026】なお、パーフルオロアルキル基を有するク
ロロシラン系界面活性剤としては、一般的に次式で表さ
れる。
【0027】 F(CF2)m(CH2)nSiRqX3-q あるいは F(CF2)m(CH2)nA(CH2)pSiRqX3-q (式中m=1〜30、n=0〜15、m+n=10〜3
0、p=1〜25、q=0〜2であり、Rはアルキル
基、Xはハロゲン原子あるいはアルコキシ、Aは酸素原
子、カルボキシあるいはジメチルシリレンを表す。)耐
熱性・撥油性の点からは、上式のmの数は多い方が良
く、またnの数は少ない方が良い。実用的には、n=0
〜5が好ましい。例を挙げると、 F(CF2)8(CH2)2SiCl3 F(CF2)8(CH2)SiCl3 F(CF2)8SiCl3 CF3(CH2)2SiCl3 F(CF2)6(CH2)2SiCl3 F(CF2)8(CH2)2Si(CH3)Cl2 F(CF2)20(CH2)2SiCl3 などが有効であるが、その他にも CF3(CH2)2Si(CH3)2(CH2)15SiCl3 F(CF2)4(CH2)2Si(CH3)2(CH2)9Si
Cl3 CF3COO(CH2)15SiCl3 CF3CH2O(CH2)15SiCl3 なども有効
である。
【0028】また耐摩耗性を有する基板としては、鉄・
アルミニウム等の金属表面にセラミックコートを施した
もの、またはホーロー処理を施したもの、硬質アルマイ
ト処理したものをさす。セラミックコート材料として
は、珪素アルコキシドまたは金属アルコキシド及びこれ
らの混合物を用いる。これらは一般式として R1M(OR2)n で示されるものである。R1は炭素原子が0〜3個のア
ルキル基・ビニル基・3、3、3トリフルオロプロピル
基・γ−グリシドキシプロピル基・γ−メタクリロキシ
プロピル基であり、R2は水酸基またはメトキシ・エト
キシ・イソプロポキシ・t−ブトキシ置換基である。ま
た、Mは硅素または金属である。
【0029】この代表例としては、Si(OH)4,S
i(OCH3)4,Ti(OCH3)4,Al(OCH3)
3,Zr(OCH3)4,Y(OCH3)3,La(OCH
3)3,Ca(OCH3)2,Mn(OCH3)4,Sn(O
CH3)4,Sr(OCH3)4,Ba(OCH3)2,CH
3Si(OCH3)3,SiOZr(OC2H5)6,SiO
Ti(OC2H5)6などがある。 (実施例2) 図4はホットプレートの例を示している。食品の調理面
であるプレート7はアルミニウムのダイカストで製造さ
れており、耐熱強化ガラス等の透光性のガラス8が施さ
れている。このプレート7の表面は、耐摩耗性を有する
撥水・撥油性コーティング材で以下のようにしてコート
されている。先ずセラミックコートしたアルミニウムの
基板を、トリクロロエチレン等の有機溶剤で脱脂処理す
る。一方、パーフルオロアルキル基を有するクロロシラ
ン系界面活性剤C8F17C2H4SiCl3を、3×10-3
〜5×10-2mol/l程度の濃度で溶かした80%n−ヘ
キサデカン(トルエン、キシレン、ジシクロヘキシルで
もよい)、12%四塩化炭素、8%クロロホルム溶液を
調整する。次いで、この溶液中に前記アルミニウムの基
板を非水系雰囲気中にて室温で約2時間浸漬する。この
浸漬工程の後クロロホルムで約30分間洗浄し、さらに
水洗を約15分間行う。この洗浄工程によって、アルミ
ニウムの基板の表面は水酸基を含むことになり、クロロ
シラン系界面活性剤のクロロシリル基と水酸基が反応す
る。この反応の結果アルミニウムの基板の表面には(化
1)の結合が生成され、化学吸着単分子膜がアルミニウ
ムの基板と化学結合した形で10〜30Åの厚みで形成
される。
【0030】このようにして作製された試料の耐摩耗性
を測定するため、以下の実験を行った。
【0031】上記の方法にて作成された5×5cm2の耐
摩耗性を有する撥水・撥油性コーティング材の試料を、
市販の亀の子たわしを使用して全荷重2kgをかけながら
毎分60回転のスピードで回転させる。こうして所定回
数の回転を加えた後、純水とサラダ油2.5μlを試料上
に滴下し、それぞれについて室温にて接触角を測定し
た。この結果を図5に示す。またこのとき比較例とし
て、従来の方式であるPFAを塗布した試料についても
同様の測定を行い併記した。
【0032】この結果から明らかなように、実施例2の
耐摩耗性を有する撥水・撥油性コーティング材は、上記
条件にて6000回転まで耐摩耗性を保持している。一
方、従来のPFAを塗布した試料は急激に接触角が低下
している。
【0033】(実施例3) 本実施例の構成は、前記図1と同様である。本実施例で
は、炊飯器の内鍋1・内蓋2・放熱板3の表面処理は以
下のようにして実施している。図6は本実施例による製
造工程を示している。先ず、基板9をトリクロロエチレ
ン等の有機溶剤で脱脂処理する。一方、テトラクロロシ
ランを3×10-3〜5×10-2mol/l程度の濃度で溶か
した80%n−ヘキサデカン、12%四塩化炭素、8%
クロロホルム溶液を調整しておく。次いで、この溶液中
に前記基板9を非水系雰囲気中にて室温で約2時間浸漬
する。この浸漬工程の後、クロロホルムで約30分間洗
浄し、さらに水洗を約15分間行う。この洗浄工程によ
って、基板9の表面は図6(a)に示すように水酸基を
含むことになる。この水酸基が、テトラクロロシランの
4つの塩素基のうちの1個と反応し、さらに水洗行程に
より他の3つのクロロシリル基が水酸基に置換され、
【0034】
【化2】
【0035】の結合が生成される。こうして、図6
(b)に示すような単分子膜が耐摩耗性を有する基板9
と化学結合した形で吸着する。このため、基板9の表面
上にあった水酸基1個に対し、3個の水酸基が得られ
る。この後、パーフルオロアルキル基を有するクロロシ
ラン系界面活性剤を、実施例1で示したように基板9上
に吸着すれば(化1)の結合が生成され、図6(c)に
示すように化学吸着単分子累積膜10が吸着される。
【0036】この方式で作製した耐摩耗性を有する撥水
・撥油性コーティング材は、実施例1で示したものに比
べ、パーフルオロアルキル基を有するクロロシラン系界
面活性剤の吸着密度が上昇するため、より優れた撥水・
撥油性コーティング材を得ることができる。
【0037】実施例1で示した撥水・撥油性コーティン
グ材と、本実施例の撥水・撥油性コーティング材の耐熱
性を以下のようにして比較した。すなわち各試料を所定
の温度で30分間加熱した後、この上に純水とサラダ油
2.5μlを滴下し、それぞれについて室温にて接触角を
測定した。この結果を図7に示している。図7から明ら
かなように、本実施例の方法で得られた撥水・撥油性コ
ーティング材は、実施例1のものより優れた性能を示し
ている。
【0038】なお、テトラクロロシラン(SiCl4)
のほかに、SiHCl3、SiH2Cl2、Cl−(Si
Cl2O)n−SiCl3(nは整数)等も有効である。
【0039】(実施例4) 本実施例では、実施例1のパーフルオロアルキル基を有
するクロロシラン系界面活性剤を吸着する工程におい
て、浸漬する溶液中に塩基性化合物であるピリジンを3
×10-5〜5×10-3mol/l程度加えたものである。こ
の場合、浸漬時間を種々変えたサンプルを作製し、各サ
ンプルの上に純水とサラダ油2.5μlを滴下し、それぞ
れについて室温にて接触角を測定した。 この結果を図8
に示している。また比較のために実施例1の方法で同時
間浸漬したサンプルも作成し、同様に接触角を測定した
結果を図8に併記している。
【0040】図8から明らかなように、本実施例に示し
た方法で得られた撥水・撥油性コーティング材は、実施
例1による方法によって得られた撥水・撥油性コーティ
ング材よりも、パーフルオロアルキル基を有するクロロ
シラン系界面活性剤の吸着時間が速く、浸漬工程に要す
る時間を短縮する上で有効な方法であることがわかる。
これは、パーフルオロアルキル基を有するクロロシラン
系界面活性剤が、基板に吸着する際に起きる脱塩酸反応
が加速され、シロキサン結合が生成される速度が増大す
るため、パーフルオロアルキル基を有するクロロシラン
系界面活性剤の吸着速度は増大すると考えられる。
【0041】(実施例5) 本実施例は、実施例1のパーフルオロアルキル基を有す
るクロロシラン系界面活性剤を吸着する工程を、超音波
を与えながら浸漬したものである。この場合、浸漬時間
を種々変えたサンプルを作成し、作成したサンプルの撥
水・撥油性コーティング材の上に、純水とサラダ油2.5
μlを滴下し、それぞれについて室温にて接触角を測定
した。この結果を図9に示している。またこのとき、比
較のために実施例1の方法で同時間浸漬したサンプルに
ついても、同様に接触角を測定して併記している。
【0042】図9から明らかなように、本実施例の方法
で得られた撥水・撥油性コーティング材は、実施例1に
よる撥水・撥油性コーティング材よりも、パーフルオロ
アルキル基を有するクロロシラン系界面活性剤の吸着時
間が速く、浸漬工程の時間短縮に有効な方法であること
がわかる。
【0043】また、実施例3に示した方法と実施例4に
示した方法を組み合わせることによりさらに浸漬工程時
間の短縮が可能であることは容易に類推できる。
【0044】
【発明の効果】上記したように本発明の第一の手段によ
れば、表面にセラミックコートを施したものまたはホー
ロー処理を施したものまたは硬質アルマイト処理したも
の等の耐摩耗性を有する基板表面上に、シロキサン結合
を有する化学吸着単分子膜あるいは化学吸着単分子累積
膜を化学吸着して形成される撥水・撥油性コーティング
材とすることによって、従来例のものに比べ耐摩耗性に
優れた撥水・撥油性コーティング材が得られるものであ
る。
【0045】本発明の第二の手段よれば、化学吸着単分
子膜をパーフルオロアルキル基を有するクロロシラン系
界面活性剤から構成したことによって、パーフルオロア
ルキル基が分子レベルで耐摩耗性を有する基板表面上に
並び化学吸着単分子膜が高密度に形成されるため、一層
撥水・撥油性に優れた耐摩耗性を有するコーティング材
が得られるものである。
【0046】本発明の第三の手段によれば、化学吸着単
分子累積膜は、テトラクロロシランもしくはトリクロロ
シランとパーフルオロアルキル基を有するクロロシラン
系界面活性剤が化学吸着して形成されるため、パーフル
オロアルキル基の密度がさらに高まり、より撥水・撥油
性の優れた耐摩耗性を有するコーティング材が得られる
ものである。
【0047】また本発明の第四の手段によれば、非水系
の有機溶媒に耐摩耗性を有する基板を浸漬して、前記基
板の表面にクロロシラン系界面活性剤を化学吸着させ、
シロキサン結合を有する化学吸着単分子膜あるいは化学
吸着単分子累積膜を形成させる撥水・撥油性コーティン
グ材の製造方法とすることによって、耐摩耗性を有する
基板と単分子吸着膜あるいは化学吸着単分子累積膜は化
学吸着させることができ、フッ素樹脂を塗装した物に比
べ耐摩耗性に優れた撥水・撥油性コーティング材を得る
ことができる製造法を提供できるものである。また、フ
ッ素樹脂を塗装する場合は、乾燥及び焼成工程が必要で
あるが、本発明による製造方法ではこれらの工程は不要
であり、工程の大幅な削減ができ、浸漬工程のみで均一
な性質の撥水・撥油性コーティング材が作成できる。
【0048】本発明の第五の手段によれば、前記本発明
の第五の手段の構成に加え、非水系の有機溶媒にピリジ
ンを含有させることによって、クロロシラン系界面活性
剤と基板表面の水酸基の脱塩酸反応が促進されるため、
化学吸着が促進され製造工程が前記本発明の第四の手段
によるよりも短縮化されるものである。
【0049】また本発明の第六の手段によれば、超音波
を用いて化学吸着の促進をしているため、クロロシラン
系界面活性剤と耐摩耗性を有する基板表面の水酸基との
反応が振動により促進され、製造工程が短縮化され、か
つ確実な結合ができる耐摩耗性を有する撥水・撥油性コ
ーティング材が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施例の構成を示す炊飯器の断
面図
【図2】同実施例の表面状態を示す構成図
【図3】同実施例の水と油の接触角と摩耗回数との関係
を示す特性図
【図4】本発明の第二の実施例を示すホットプレートの
外観斜視図
【図5】同実施例の水と油の接触角と摩耗回数との関係
を示す特性図
【図6】同実施例の表面状態を示す構成図
【図7】本発明の第三の実施例によるコーティング材の
水と油の接触角と摩耗回数との関係を示す特性図
【図8】本発明の第四の実施例によるコーティング材の
水と油の接触角と浸漬時間との関係を示す特性図
【図9】本発明の第五の実施例によるコーティング材の
水と油の接触角と浸漬時間との関係を示す特性図
【符号の説明】
1 炊飯器の内鍋 2 炊飯器の内蓋 3 炊飯器の放熱板 5・9 基板 6 化学吸着単分子膜 7 ホットプレートのプレート 10 化学吸着単分子累積膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 美濃 規央 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 小川 一文 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 川西 英賢 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 麻植 淳 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−169067(JP,A) 特開 昭64−51477(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09D 183/04 - 183/08

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面にセラミックコートを施したものま
    たはホーロー処理を施したものまたは硬質アルマイト処
    理したもの等の耐摩耗性を有する基板表面上に、シロキ
    サン結合を有する化学吸着単分子膜あるいは化学吸着単
    分子累積膜を化学吸着して形成される撥水・撥油性コー
    ティング材。
  2. 【請求項2】 化学吸着単分子膜は、パーフルオロアル
    キル基を有するクロロシラン系界面活性剤である請求項
    1記載の撥水・撥油性コーティング材。
  3. 【請求項3】 化学吸着単分子累積膜は、テトラクロロ
    シランもしくはトリクロロシランとパーフルオロアルキ
    ル基を有するクロロシラン系界面活性剤である請求項1
    記載の撥水・撥油性コーティング材。
  4. 【請求項4】 クロロシラン系界面活性剤を含む非水系
    の有機溶媒中に、表面にセラミックコートを施したもの
    またはホーロー処理を施したものまたは硬質アルマイト
    処理したもの等の耐摩耗性を有する基板を浸漬して、前
    記基板の表面にクロロシラン系界面活性剤を化学吸着さ
    せ、シロキサン結合を有する化学吸着単分子膜あるいは
    化学吸着単分子累積膜を形成させる撥水・撥油性コーテ
    ィング材の製造方法。
  5. 【請求項5】 非水系の有機溶媒がピリジンを含有して
    いる請求項4記載の撥水・撥油性コーティング材の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 非水系の有機溶媒に、表面にセラミック
    コートを施したものまたはホーロー処理を施したものま
    たは硬質アルマイト処理したもの等の耐摩耗性を有する
    基板を浸漬して、前記基板の表面にクロロシラン系界面
    活性剤を化学吸着させる工程において、超音波を用いて
    化学吸着させることを特徴とする請求項4記載の撥水・
    撥油性コーティング材の製造方法。
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