JP3093292B2 - 撥水・撥油性ガラスを有する調理器 - Google Patents

撥水・撥油性ガラスを有する調理器

Info

Publication number
JP3093292B2
JP3093292B2 JP03009762A JP976291A JP3093292B2 JP 3093292 B2 JP3093292 B2 JP 3093292B2 JP 03009762 A JP03009762 A JP 03009762A JP 976291 A JP976291 A JP 976291A JP 3093292 B2 JP3093292 B2 JP 3093292B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
glass
water
repellent
oil
glass substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP03009762A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH04243934A (ja
Inventor
裕介 望月
恒雄 柴田
眞守 曽我
規央 美濃
小川  一文
英賢 川西
淳 麻植
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp, Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Panasonic Corp
Priority to JP03009762A priority Critical patent/JP3093292B2/ja
Publication of JPH04243934A publication Critical patent/JPH04243934A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3093292B2 publication Critical patent/JP3093292B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Cookers (AREA)
  • Surface Treatment Of Glass (AREA)
  • Physical Or Chemical Processes And Apparatus (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、オーブントースター、
ロースター、電気オーブン、ガスオーブン、電子レン
ジ、オーブンレンジなどの前面パネル用窓材のガラス
や、ミキサー、ジューサー、スピードカッターなどの撹
拌容器として用いられるガラスや、コーヒーメーカーの
デカンターや、グリルパン、ホットプレート、炊飯器な
どの蓋として用いられるガラスや、IH調理器のトップ
プレートなど、調理器具の中で水や油や食品の汚れの激
しい箇所において利用される撥水・撥油性ガラスを有す
る調理器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、上記した各機器に用いられるガラ
スはいずれも同じであるが、例えばオーブントースター
やオーブンレンジなどの前面パネル用窓材として用いら
れているガラスは、食品の水分や油成分が非常に付着し
やすく、一度付着すると取れにくいため、汚れが落ち難
く、また長期間の使用や過酷な条件での使用を行うと、
窓材のガラスに完全に汚れが付着して庫内が見え難くな
るものであった。
【0003】近年、このようなガラスへの水や油の汚れ
を防止するため、ガラス基板上にプライマーを介してフ
ッソ樹脂を塗布した撥水・撥油性ガラスを用いることが
考えられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ガラス
基板上にプライマーを介してフッソ樹脂を塗布した撥水
・撥油性ガラスは、オーブントースターやオーブンレン
ジでは連続使用時における庫内の温度上昇によりガラス
基板の表面温度が300℃以上に上昇するため、フッソ
樹脂が溶融し、撥水・撥油性能が劣化するという耐熱性
上の問題点を有していた。また、フッソ樹脂は機械的な
摩耗により剥離しやすく、傷がつくとそこからフッソ樹
脂塗膜が剥離してくるという問題点、およびコスト的に
も高いという問題点を有するものであった。
【0005】また、ミキサー、ジューサー、スピードカ
ッターなどの撹拌容器として用いられるガラスや、コー
ヒーメーカーのデカンターや、グリルパン、ホットプレ
ート、炊飯器などの蓋として用いられるガラスや、IH
調理器のトッププレートなどは、調理器具の中で水や油
や食品の汚れの激しい箇所において、食品の水分や油成
分が非常に付着しやすく、一度付着すると取れにくいた
め、汚れが落ち難く、また長期間の使用や過酷な条件で
の使用を行うと、ガラスに完全に汚れが付着し、取れな
くなり外観が損なわれるだけでなく食品衛生上もよくな
い。この問題点についてこれまでに有効な解決策はなか
った。
【0006】本発明は耐熱性や耐摩耗性に優れ、さらに
食品に含まれる油脂成分や酸に対して強い撥水・撥油性
ガラスを有する調理器を提供することを目的としてい
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の第1の発明は、ガラス基板表面上にパーフ
ルオロアルキル基を有するクロロシラン系界面活性剤か
ら形成され、かつシロキサン結合によりガラス基板と共
有結合した単分子吸着膜を設けた撥水・撥油性ガラスを
有する調理器としたものである。また、本発明の第2の
発明は、ガラス基板表面上にテトラクロロシランもしく
はトリクロロシランから形成される単分子吸着膜を設け
ると共に、該単分子吸着膜の上にパーフルオロアルキル
基を有するクロロシラン系界面活性剤から形成される単
分子吸着膜を設けて形成される累積膜を有し、該累積膜
はシロキサン結合によりガラス基板と共有結合した撥水
・撥油性ガラスを有する調理器としたものである。
た、本発明の第3の発明は、上記第1または第2の発明
の調理器において、ガラス基板として表面をアルカリ処
理したガラス基板を用いる調理器としたものである。
た、本発明の第4の発明は、上記第1または第2の発明
の調理器において、ガラス基板として焼き入れ強化した
ガラス基板を用いる調理器としたものである。
【0008】
【作用】本発明によれば、ガラス基板表面上に単分子吸
着膜あるいは累積膜が高密度に形成されるため、撥水・
撥油性の優れたガラスを有する調理器を提供できる。
【0009】そして、本発明の上記第1の発明によれ
ば、ガラス基板表面上の単分子吸着膜がパーフルオロア
ルキル基を有するクロロシラン系界面活性剤から形成さ
れるため、パーフルオロアルキル基が分子レベルでガラ
ス基板表面上に並び単分子吸着膜が高密度に形成される
ため、撥水・撥油性の優れたガラスを有する調理器が得
られる。
【0010】さらに、本発明の上記第2の発明によれ
ば、累積膜が、ガラス基板表面上にテ トラクロロシラン
もしくはトリクロロシランから形成される単分子吸着膜
を設けると共に、該単分子吸着膜の上にパーフルオロア
ルキル基を有するクロロシラン系界面活性剤から形成さ
れる単分子吸着膜を設けて形成されるため、パーフルオ
ロアルキル基の密度がさらに高まり、より撥水・撥油性
の優れたガラスを有する調理器が得られる。
【0011】また、本発明の上記第3の発明によれば、
前処理としてガラス基板をアルカリ処理して脱脂を行う
ことにより、ガラス基板表面がわずかにエッチングさ
れ、表面積が増大すると共にガラス基板表面の水酸基が
増加するため、パーフルオロアルキル基を有するクロロ
シラン系界面活性剤の吸着密度が増大し、その結果、撥
水・撥油性能は向上し、耐熱性、耐摩耗性が向上する。
【0012】また、本発明の上記第4の発明によれば、
焼き入れ強化したガラス基板を用いるため、上記第1ま
たは第2の発明で奏される作用に加えて、機械的、熱的
強度が強い撥水・撥油性ガラスを有する調理器が得られ
る。
【0013】また、本発明によれば、ガラス基板と単分
子吸着膜あるいは累積膜は、共有結合して化学吸着して
いるため、フッソ樹脂を塗装した物に比べ耐熱性、耐摩
耗性に優れ、さらに食品に含まれる油脂成分や酸に対し
て強い撥水・撥油性ガラスを有する調理器が得られる。
また、浸漬により吸着を形成させるため、複雑な物や小
さな部品など従来のフッソ樹脂を塗装する方法では困難
であった物でも表面に均一に撥水・撥油性能を持ったガ
ラスを有する調理器が得られる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例について添付図面に基
づいて説明する。
【0015】(実施例1) 図1はオーブントースターの例を示したものであり、前
面パネル用窓材として用いるガラス1はつぎのようにし
て作製される。図2に示すガラス基板2をトリクロロエ
チレン等の有機溶剤で脱脂を行ない、ついでパーフルオ
ロアルキル基を有するクロロシラン系界面活性剤として
81724SiCl3を用い、これを3×10-3〜5
×10-2mol/l程度の濃度で溶かした80%n−ヘキサ
デカン(シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ジシク
ロヘキシルでもよい)、12%四塩化炭素、8%クロロ
ホルム溶液を調整する。そしてこの溶液中に前記ガラス
基板2を非水系雰囲気中にて室温で約2時間浸漬した
後、クロロホルムで約30分間洗浄し、さらに水洗を約
15分間行う。ガラス基板2の表面は水酸基を含んでい
るため、パーフルオロアルキル基を有するクロロシラン
系界面活性剤のクロロシリル基と水酸基が反応して表面
【0016】
【化1】
【0017】の結合が生成され、図2に示すように単分
子吸着膜3がガラス基板2と化学結合した形で10〜3
0Åの厚みで形成される。
【0018】このようにして作製された調理器具用の撥
水・撥油性ガラスの耐熱性を測定するため、各温度にお
いて30分間熱処理を行った後、純水とサラダ油2.5
μlをガラス1上に滴下し、それぞれについて室温にて
接触角を測定した結果を図3に示す。また比較例として
従来の方式であるフッソ樹脂(パーフルオロアルコキシ
樹脂。以下PFAと称す。)を塗布したガラスについて
も同様の測定を行い併記した。この図3の結果から明ら
かなように、実施例1の調理器具用の撥水・撥油性ガラ
スは300℃付近まで耐熱性を保持し、従来のPFAを
塗布したガラスよりも優れた耐熱性を示した。
【0019】次に食パンの焦げ付き試験を行った。試験
方法としてはオーブントースター庫内のヒーター近傍に
食パン片を入れ、加熱時間3分、最高加熱温度180℃
にて加熱処理を行い、繰り返し回数10回、100回、
200回、500回におけるガラス1上の汚れの取れや
すさを実施例1による調理器具用の撥水・撥油性ガラ
ス、従来のPFAを塗布したガラス、さらに無処理のガ
ラスと比較して図4に示した。表中の○は汚れが完全に
取れる状態を示し、△は汚れがやや残る状態を示し、×
は汚れが全く取れない状態を示す。無処理のガラスは繰
り返し回数10回ですでに汚れは取れず、従来のPFA
を塗布したガラスにおいても繰り返し回数200回にお
いて撥水・撥油性能がなくなり汚れが取れなくなるのに
対し、実施例1による調理器具用の撥水・撥油性ガラス
は繰り返し回数500回においてもその機能が低下する
ことはなかった。
【0020】次に砂糖と醤油を用いた耐熱焦げ付き試験
を以下の方法で行った。砂糖と醤油が1:1の割合で混
合したものをスポイトで1滴、実施例1の調理器具用の
撥水・撥油性ガラスに滴下し、各加熱温度において20
分間保持した後、乾燥ティッシュペーパーで拭き取り試
験を行った。比較として従来のPFAを塗布したガラ
ス、さらに無処理のガラスについても同様の試験を行っ
た。試験結果を図5に示す。表中の○は汚れが完全に取
れる状態を示し、△は汚れがやや残る状態を示し、×は
汚れが全く取れない状態を示す。図5より明らかなよう
に、無処理のガラスは加熱温度200℃で汚れがやや残
り、250℃で汚れが全く取れなかった。従来のPFA
を塗布したガラスでは加熱温度300℃で汚れがやや残
り、320℃でPFAが軟化した。これに対し、実施例
1による調理器具用の撥水・撥油性ガラスは、320℃
においても汚れは完全に取れ、330℃でやや汚れが残
ると言うように実調理の耐熱性の面からも従来の技術よ
りも優れた性能を持つ。
【0021】なお、パーフルオロアルキル基を有するク
ロロシラン系界面活性剤としては、一般的に次式で表さ
れる。
【0022】F(CF2m(CH2nSiRq3-q あるいは F(CF2m(CH2nA(CH2pSiRq3-q (式中m=1〜30、n=0〜15、m+n=10〜3
0、p=1〜25、q=0〜2であり、Rはアルキル
基、Xはハロゲン原子あるいはアルコキシ、Aは酸素原
子、カルボキシあるいはジメチルシリレンを表す。)耐
熱性、撥油性の点からは、上式においてのmの数は多い
方が性能的に向上する。またnの数は少ない方が性能的
に向上する。実用的にはn=0〜5が好ましい。例を挙
げると、 F(CF28(CH22SiCl3 F(CF28(CH2)SiCl3 F(CF28SiCl3 CF3(CH22SiCl3 F(CF26(CH22SiCl3 F(CF28(CH22Si(CH3)Cl2 F(CF220(CH22SiCl3 などが有効であるが、その他にも CF3(CH22Si(CH32(CH215SiCl3 F(CF24(CH22Si(CH32(CH29Si
Cl3 CF3COO(CH215SiCl3 CF3CH2O(CH215SiCl3 なども有効
である。
【0023】(実施例2) 図6はミキサーの例を示しており、撹はんガラス容器と
して用いるガラス4は次のようにして作製される。図2
に示すガラス基板2をトリクロロエチレン等の有機溶剤
で脱脂を行なう。次にパーフルオロアルキル基を有する
クロロシラン系界面活性剤としてC81724SiC
3を用い、これを3×10-3〜5×10-2mol/l程度の
濃度で溶かした80%n−ヘキサデカン(トルエン、キ
シレン、ジシクロヘキシルでもよい)、12%四塩化炭
素、8%クロロホルム溶液を調整する。そしてこの溶液
中に前記ガラス基板を非水系雰囲気中にて室温で約2
時間浸漬した後、クロロホルムで約30分間洗浄し、さ
らに水洗を約15分間行う。これによりガラス基板2の
表面は水酸基を含んでいるため、クロロシラン系界面活
性剤のクロロシリル基と水酸基が反応して表面に(化
1)の結合が生成され、単分子吸着膜3がガラス基板2
と化学結合した形で10〜30Åの厚みで形成される。
【0024】このようにして作製された実施例2による
調理器具用の撥水・撥油性ガラスよりなるガラス容器を
用い、りんご、オレンジ、パイナップルを各300gず
つ入れてジュースを作った。この操作を100回繰り返
し、従来の(未処理の)ガラス容器を用いて同様の操作
を行なったものと汚れ度合を比較した。その結果、実施
例2による調理器具用の撥水・撥油性ガラスよりなるガ
ラス容器の方が、従来のガラス容器に比べて汚れ具合い
が少なく、防汚性に優れることが明らかとなった。この
ことより、実施例2による調理器具用の撥水・撥油性ガ
ラスがりんご、オレンジ、パイナップル等に含まれる酸
に対しても強いことが証明された。
【0025】(実施例3) 図1で示したオーブントースターの前面パネル用窓材の
ガラス1において、ガラス基板2をトリクロロエチレン
等の有機溶剤で脱脂を行なう。次いでテトラクロロシラ
ン3×10-3〜5×10-2mol/l程度の濃度で溶かした
80%n−ヘキサデカン、12%四塩化炭素、8%クロ
ロホルム溶液を調整する。そしてこの溶液中に前記ガラ
ス基板2を非水系雰囲気中にて室温で約2時間浸漬した
後、クロロホルムで約30分間洗浄し、さらに水洗を約
15分間行う。これにより図7の(a)に示すようにガ
ラス基板2の表面は水酸基を含んでいるため、テトラク
ロロシランの4つの塩素基のうち1個と水酸基が反応
し、さらに水洗行程により他の3つのクロロシリル基が
水酸基に置換され、
【0026】
【化2】
【0027】の結合が生成され、図7の(b)に示すよ
うに単分子膜がガラス基板2と化学結合した形で吸着す
る。このため、ガラス基板2の表面上にあった水酸基1
個に対し、3個の水酸基が得られる。この後、パーフル
オロアルキル基を有するクロロシラン系界面活性剤を実
施例1で示したようにガラス基板2上に吸着すれば(化
1)の結合が生成され、図7の(c)に示すように累積
が吸着される。この方式で作製した調理器具用の撥
水・撥油性ガラスは、実施例1で示したものに比べ、パ
ーフルオロアルキル基を有するクロロシラン系界面活性
剤の吸着密度が上昇するため、より優れた撥水・撥油性
ガラスを得ることができる。
【0028】実施例1で示した調理器具用の撥水・撥油
性ガラスと本実施例で示した調理器具用の撥水・撥油性
ガラスの上に純水とサラダ油2.5μlを滴下し、それ
ぞれについて室温にて接触角を測定したものを図8に示
す。図8から明らかなように、本実施例に示した方法で
得られた調理器具用の撥水・撥油性ガラスは実施例1に
示すものより優れた性能を示した。なお、テトラクロロ
シラン(SiCl4)のほかにSiHCl3、SiH2
2、Cl−(SiCl2O)n−SiCl3(nは整数)
等も有効である。
【0029】(実施例4) 実施例1においてパーフルオロアルキル基を有するクロ
ロシラン系界面活性剤を吸着する工程において、超音波
を与えながら浸漬を行った。この時、浸漬時間を変えて
サンプルを作成し、作成したサンプルの調理器具用の撥
水・撥油性ガラスの上に純水とサラダ油2.5μlを滴
下し、それぞれについて室温にて接触角を測定したもの
を図9に示す。また、比較のため実施例1の方法で同時
間浸漬したサンプルも作製し、同様に接触角を測定して
これも図9に示した。
【0030】図9から明らかなように、本実施例に示し
た方法で得られた調理器具用の撥水・撥油性ガラスは、
実施例1による方法によって得られた調理器具用の撥水
・撥油性ガラスよりもパーフルオロアルキル基を有する
クロロシラン系界面活性剤の吸着時間が速く、浸漬工程
の時間短縮に有効な方法であることがわかる。
【0031】(実施例5) 図1で示したオーブントースターの前面パネル用窓材の
ガラス1において、ガラス基板2を5%水酸化ナトリウ
ム溶液等のアルカリ溶液で脱脂を行うと、ガラス表面が
わずかにエッチングされ、表面積が増大すると共にガラ
ス基板2表面の水酸基が増加することになる。次いでパ
ーフルオロアルキル基を有するクロロシラン系界面活性
剤としてC81724SiCl3を用い、これを3×1
-3〜5×10-2mol/l程度の濃度で溶かした80%n
−ヘキサデカン(トルエン、キシレン、ジシクロヘキシ
ルでもよい)、12%四塩化炭素、8%クロロホルム溶
液を調整する。この溶液に前記ガラス基板2を非水系雰
囲気中にて室温で約2時間浸漬した後、クロロホルムで
約30分間洗浄し、さらに水洗を約15分間行う。これ
により図2に示すようにガラス基板2表面は水酸基を含
んでいるため、クロロシラン系界面活性剤のクロロシリ
ル基と水酸基が反応して表面に(化1)の結合が生成さ
れ、単分子吸着膜3がガラス基板2と化学結合した形で
10〜30Åの厚みで形成される。
【0032】このようにして作製された調理器具用の撥
水・撥油性ガラスの耐熱性を測定するため、各温度にお
いて30分間熱処理を行った後、純水とサラダ油2.5
μlを滴下し、それぞれについて室温にて接触角を測定
したものを図10に示す。
【0033】図10から明らかなように、本実施例に示
した方法で得られた調理器具用の撥水・撥油性ガラス
は、実施例1に示すものより優れた耐熱性を示した。こ
れはアルカリ処理をすることによって、ガラス表面上に
水酸基が未処理のものに比べ密に付いているため、パー
フルオロアルキル基を有するクロロシラン系界面活性剤
の吸着密度が増大し、その結果、撥水・撥油性能は向上
し、耐熱性、耐摩耗性も向上するものと考えられる。
【0034】(実施例6) 図1で示したオーブントースターの前面パネル用窓材の
ガラス1において、ガラス基板2として焼き入れ強化ガ
ラスを用い、実施例1に示す方法で調理器具用の撥水・
撥油性ガラスを作製した。また、同様の焼き入れ強化ガ
ラスを用いて従来の技術であるPFAを塗布したガラス
基板も作製した。この両者の衝撃強度と全体を急冷した
場合の熱衝撃強度の無破損限界温度差を図11に示し
た。衝撃強度はJIS R 3206強化ガラスに基づ
き、225gの鋼球を厚さ5mmで30cm四方の試料
の中央に落下したときに破壊される限界の平均落下高さ
を表し、全体を急冷した場合の熱衝撃強度の無破損限界
温度差は厚さ5mmで10cm四方の試料を全体加熱
し、これを20℃の水中に投じた際の無破損限界温度差
を示す。
【0035】図11より明らかなように本発明による調
理器具用の撥水・撥油性ガラスの方が機械的、熱的強度
は強かった。これはPFAを塗布した場合、PFAを焼
き付ける際に熱処理を加えるため、焼き入れ強化ガラス
を用いるとガラスの強化性が損なわれ機械的、熱的強度
が著しく減少する。しかし、本発明による調理器具用の
撥水・撥油性ガラスにおいてはその製造行程に於て熱処
理を加えることがないので、焼き入れ強化ガラスをその
強度を保ったまま使用することができる。
【0036】
【発明の効果】上記したように本発明によれば、単分子
吸着膜あるいは累積膜がガラス基板と共有結合している
ため、ガラス基板表面上にフッソ樹脂を塗装した従来例
のものに比べ耐熱性、耐摩耗性に優れ、さらに食品に含
まれる油脂成分や酸に対して強い撥水・撥油性ガラスを
有する調理器が得られる。
【0037】そして、本発明によれば、ガラス基板表面
上に単分子吸着膜がパーフルオロアルキル基を有するク
ロロシラン系界面活性剤から形成されるため、パーフル
オロアルキル基が分子レベルでガラス基板表面上に並び
単分子吸着膜が高密度に形成されるため、撥水・撥油性
の優れたガラスを有する調理器が得られる。
【0038】また、本発明によれば、ガラス基板上の累
積膜が、ガラス基板表面上にテトラクロロシランもしく
はトリクロロシランから形成される単分子吸着膜を設け
ると共に、該単分子吸着膜の上にパーフルオロアルキル
基を有するクロロシラン系界面活性剤から形成される単
分子吸着膜を設けて形成されるため、パーフルオロアル
キル基の密度がさらに高まり、より撥水・撥油性の優れ
たガラスを有する調理器が得られる。
【0039】また、本発明によれば、ガラス基板とし
て、表面をアルカリ処理したガラス基板を用いる場合、
ガラス基板の該アルカリ処理の結果、ガラス基板表面が
わずかにエッチングされ、表面積が増大すると共にガラ
ス基板表面の水酸基が増加し、パーフルオロアルキル基
を有するクロロシラン系界面活性剤の吸着密度が増大
し、その結果、撥水・撥油性能が向上し、耐熱性、耐摩
耗性が向上する。
【0040】また、本発明によれば、焼き入れ強化した
ガラス基板を用いることにより、ガラス基板上への膜形
成時、加熱処理が不要なため、機械的、熱的強度が強い
調理器具用の撥水・撥油性ガラスが得られる。
【0041】このように、本発明によれば、ガラス基板
と単分子吸着膜あるいは累積膜は化学吸着しているため
フッソ樹脂を塗装した物に比べ、耐熱性、耐摩耗性に優
れ、さらに食品に含まれる油脂成分や酸に対して強い撥
水・撥油性ガラスを有する調理器が得られる。また浸漬
により吸着膜を形成させるため、複雑な形状の物や小さ
な部品など、従来のフッソ樹脂を塗装する方法では困難
であった物でも、表面に均一に撥水・撥油性能を持った
ガラスを有する調理器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の調理器具用の撥水・撥油性ガラスを用
いた代表的な例であるオーブントースターの外観斜視図
【図2】実施例1におけるガラス表面上にシロキサン結
合を有する単分子吸着膜としてパーフルオロアルキル基
を有するクロロシラン系界面活性剤を設けた調理器具用
の撥水・撥油性ガラスの表面状態構成図
【図3】実施例1と従来例のガラスによる水と油の接触
角と熱処理温度との関係を示す特性図
【図4】実施例1と従来例のガラスによる汚れの取れや
すさを示す比較図
【図5】実施例1と従来例のガラスによる耐熱焦げ付き
試験を示す比較図
【図6】本発明の調理器具用の撥水・撥油性ガラスを用
いた代表的な例であるミキサーの外観斜視図
【図7】実施例におけるガラス表面上にシロキサン結
合を有する累積膜としてテトラクロロシランとパーフル
オロアルキル基を有するクロロシラン系界面活性剤を設
けた調理器具用の撥水・撥油性ガラスの表面状態構成図
【図8】実施例3と実施例1のガラスによる水と油の接
触角と熱処理温度との関係を示す特性図
【図9】実施例4と実施例1のガラスによる水と油の接
触角と浸漬時間との関係を示す特性図
【図10】実施例5と実施例1のガラスによる水と油の
接触角と熱処理温度との関係を示す特性図
【図11】実施例6と従来例のガラスによる衝撃強度と
熱衝撃強度の関係を示す比較図
【符号の説明】
1、4 ガラス 2 ガラス基板 3 単分子吸着膜 5 累積膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 曽我 眞守 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 美濃 規央 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 小川 一文 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 川西 英賢 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 麻植 淳 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラス基板表面上にパーフルオロアルキル
    基を有するクロロシラン系界面活性剤から形成され、か
    シロキサン結合によりガラス基板と共有結合した単分
    子吸着膜を設けた撥水・撥油性ガラスを有する調理器。
  2. 【請求項2】ガラス基板表面上にテトラクロロシランも
    しくはトリクロロシランから形成される単分子吸着膜を
    設けると共に、該単分子吸着膜の上にパーフルオロアル
    キル基を有するクロロシラン系界面活性剤から形成され
    る単分子吸着膜を設けて形成される累積膜を有し、該累
    積膜はシロキサン結合によりガラス基板と共有結合した
    撥水・撥油性ガラスを有する調理器。
  3. 【請求項3】表面をアルカリ処理したガラス基板を用い
    る請求項1または2記載の撥水・撥油性ガラスを有する
    調理器。
  4. 【請求項4】焼き入れ強化したガラス基板を用いる請求
    1または2記載の撥水・撥油性ガラスを有する調理
    器。
JP03009762A 1991-01-30 1991-01-30 撥水・撥油性ガラスを有する調理器 Expired - Fee Related JP3093292B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP03009762A JP3093292B2 (ja) 1991-01-30 1991-01-30 撥水・撥油性ガラスを有する調理器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP03009762A JP3093292B2 (ja) 1991-01-30 1991-01-30 撥水・撥油性ガラスを有する調理器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH04243934A JPH04243934A (ja) 1992-09-01
JP3093292B2 true JP3093292B2 (ja) 2000-10-03

Family

ID=11729289

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP03009762A Expired - Fee Related JP3093292B2 (ja) 1991-01-30 1991-01-30 撥水・撥油性ガラスを有する調理器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3093292B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006008420A (ja) * 2004-06-22 2006-01-12 Matsushita Electric Ind Co Ltd 基体とその製造方法およびそれを用いた調理機器、調理容器

Also Published As

Publication number Publication date
JPH04243934A (ja) 1992-09-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100502988B1 (ko) 비점착성 조리용기
KR100871877B1 (ko) 세라믹 코팅 철강재 가열조리기구 및 그 제조방법
US20120216880A1 (en) Cooking appliance surfaces having spill containment pattern and methods of making the same
JP2001500928A (ja) 耐熱性で耐引掻性の耐付着性被膜
KR102647206B1 (ko) 강화 세라믹 코팅
JP7182636B2 (ja) ダイヤモンド及び着色マイカを含む非付着性セラミックコーティング
JP2003276129A (ja) 遠赤外線効果を有するコーティング構造
JP3093292B2 (ja) 撥水・撥油性ガラスを有する調理器
JP2002326841A (ja) 防汚性ガラス
JP2921197B2 (ja) 撥水・撥油性コーティング材およびその製造方法
JPH07290639A (ja) 撥水性被覆物
JP2007003186A (ja) 加熱調理器
WO2014184160A1 (en) Chemically stable, stain-, abrasion- and temperature-resistant, easy-to-clean metalware for use in elevated temperatures
CA1080563A (en) Kitchen utensils used for the cooking of food
JP2713426B2 (ja) 加熱調理器用非金属製容器およびその製造方法
JP3856308B2 (ja) 加熱調理器
JP3064808B2 (ja) 化学吸着膜ガラスとその製造法および化学吸着膜ガラスを有する調理器
JPH0798026B2 (ja) 調理器具およびその製造方法
KR20050114554A (ko) 세라믹 코팅 조성물이 적용된 조리기기 및 이의 제조방법
JP2891103B2 (ja) 化学吸着膜ガラスとその製造法および化学吸着膜ガラスを有する調理器
JP3558666B2 (ja) 親水性塗膜とその製法および親水性塗膜を有する調理器
JPH0723862A (ja) 調理器具用部材および調理器具
JPH04244518A (ja) 加熱調理器
JPH08120491A (ja) 化学吸着膜の製造方法
JP2010227477A (ja) 加熱調理器および電磁誘導加熱式調理器

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070728

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080728

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090728

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees