JP2000328231A - 有機系蒸着物質による成膜方法 - Google Patents

有機系蒸着物質による成膜方法

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JP2000328231A
JP2000328231A JP11139770A JP13977099A JP2000328231A JP 2000328231 A JP2000328231 A JP 2000328231A JP 11139770 A JP11139770 A JP 11139770A JP 13977099 A JP13977099 A JP 13977099A JP 2000328231 A JP2000328231 A JP 2000328231A
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organic
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Fumiyasu Nomura
文保 野村
Tetsuo Tanoue
哲郎 田之上
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、有機膜系物質を加熱し、蒸発せしめ
る成膜方法において、該有機系物質を均一に均等に加熱
し、安定的に、失敗なく、その再現性を実現する有機系
蒸発物質による成膜方法を提供する。 【解決手段】成膜対象基材に、有限量の有機系物質を抵
抗加熱方式で加熱し蒸発させる成膜方法において、該抵
抗加熱方式における抵抗加熱ボートの形状が、その有機
系物質を含む蒸着物質を周辺から加熱する形状をしてお
り、該蒸着物質の外寸の20%以上の距離をおいた外周
から加熱させる有機系蒸着物質による成膜方法である。
また抵抗加熱ボートの形状が、該有機系物質を含む蒸着
物質を周辺から加熱する形状をしており、該蒸着物質の
高さの1.5倍以上の高さを有する有機系蒸着物質によ
る成膜方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機系物質の蒸着
において有機系物質を加熱蒸発せしめ、成膜対象基材に
成膜する方法に関するものである。
【0002】本発明では、加熱手段が抵抗加熱ボートを
使用する方法であって、有機系物質と抵抗加熱ボートを
接触させずに抵抗加熱ボートの熱輻射を利用して加熱す
る成膜方法に関するものである。
【0003】
【従来の技術】従来、有機系物質を蒸発させる方法とし
て、特開昭63−270456号公報などに記載されて
いるように、蒸着るつぼにクヌードセンるつぼを用いて
その蒸発源としている例が多く、また、その加熱方法の
工夫も該公報に記載されているように当該るつぼに与え
る温度のコントロール性を向上させる目的で特殊な熱媒
を介して加熱させるような工夫がなされてきた。
【0004】一方、抵抗加熱法で加熱する方法では、図
3に示す形状の抵抗加熱用ボートおよび蒸発分子を効率
よく成膜せしめる方法が特開平3−232962号公報
などに提案されている。また、大型の連続装置にみられ
る図4に示す様な形状のボートおよびその寿命をのばす
ため方法が、特開平6−306585号公報などに提案
がなされている。いずれもボートの名の由来通りボート
(船)型をしており、ボート材料に直接蒸着用の材料を
入れ、直接ボートからの熱伝導で材料が加熱される方式
である。
【0005】さらに、成膜対象基材に、有機ポリシロキ
サン系化合物またはパーフルオロアルキル基含有化合物
を含む膜を膜付けする方法として、浸漬塗装、スピン塗
装、カーテン塗装、ロール転写塗装、グラビア印刷に代
表される印刷手法などの溶液塗布法、真空蒸着、イオン
プレーティング、およびスパッタリング手法などのドラ
イ手法が用いられてきた。
【0006】上記の浸漬塗装については、特開昭62−
148902号公報などに記載されているが、溶液の粘
度などにより、該化合物を含有する膜の膜厚を厳密に制
御するのは難しかった。膜が薄すぎると滑り性機能、撥
水性の機能、汚れ防止機能などが十分に発揮されず、反
対に膜が厚すぎると膜の耐久性に問題が生じたり、膜の
表面を擦ると膜がとれてしまうという問題も生じた。
【0007】また、ドライ手法については、特開平4−
72055号公報などに記載されているが、有機物系の
被膜形成物質が真空蒸着法でごく薄く成膜されている
が、成膜された膜の厚さについては、結果として0.0
3マイクロメートルになるという、薄膜の厚さを制御で
きるものではなかった。従って、実際に撥水性や汚れ防
止性の機能を十分に満たす膜かどうかは、できたものを
真空容器から取り出し評価するしかなかった。実際に
は、有機物が蒸発するとその沸騰あるいは昇華により真
空室の圧力が上昇するが、この圧力上昇の程度を見て有
限量の量を決めたり、加熱源の上部のシャッター板を開
閉したりして行ってきた。この場合、膜が薄すぎて本来
の機能が発揮されなかったり膜が厚すぎて表面を擦ると
膜が剥がれ白っぽくなって汚れてしまうという問題が発
生した。
【0008】また、有機ポリシロキサン系化合物または
パーフルオロアルキル基含有化合物を含む有限量の有機
系物質を、せいぜい100nm以下であるように、ごく薄
く成膜する場合、その蒸発自体をコントロールさせるこ
とは行われていなかった。
【0009】一方、有機ポリシロキサン系化合物または
パーフルオロアルキル基含有化合物を含む有機系物質で
はないが、ドライ手法の中で有機膜の蒸発をコントロー
ルする手法としては、特開昭63−270456号公報
に記載されている様に、クヌードセンセルの温度を一定
にするような温度コントロールはなされてきた。しかし
ながら、これは有機物の蒸発現象を温度によってコント
ロールするための制御であり、蒸発量あるいは蒸発され
た膜の膜厚を制御するものではなかった。従って、滑り
性機能、撥水性機能膜あるいは汚れ防止機能膜などの場
合のように成膜された膜厚によってその機能が果たされ
るものに関してその機能を制御するものではなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、上記の問
題点を解決するために鋭意検討した結果、以下に述べる
本発明に到達した。
【0011】本発明の目的は、有機膜系物質を加熱し、
蒸発せしめる成膜する方法において、その加熱手段が抵
抗加熱法であり、さらに抵抗加熱ボートの熱輻射により
有機系物質を加熱する場合において、有機系物質を均一
に均等に加熱し、安定的に、失敗なく、その再現性を実
現する有機系蒸発物質による成膜方法を提供することに
ある。
【0012】本発明の他の目的は、特に、物品の表面に
有機ポリシロキサン系化合物またはパーフルオロアルキ
ル基含有化合物を含む有機系物質を蒸発させて成膜し、
滑り性機能や撥水性機能や汚れ防止機能などを持たせる
場合に、その機能を必要十分に満たす有機系物質による
成膜方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の有機系蒸発物質
による成膜方法は、上記目的を解決するため下記の構成
からなる。
【0014】すなわち、本発明の有機系蒸発物質による
成膜方法は、成膜対象基材に、有機系物質を抵抗加熱方
式で加熱し蒸発させる成膜方法において、該抵抗加熱方
式における抵抗加熱ボートの形状が、該有機系物質を含
む蒸着物質を周辺から加熱する形状をしており、該蒸着
物質の外寸の20%以上の距離をおいた外周から加熱さ
せることを特徴とする成膜方法である。
【0015】また、本発明の有機系蒸発物質による成膜
方法は、成膜対象基材に、有機系物質を抵抗加熱方式で
加熱し蒸発させる成膜方法であって、該抵抗加熱方式に
おける抵抗加熱ボートの形状が、該有機系物質を含む蒸
着物質を周辺から加熱する形状をしており、該蒸着物質
の高さの1.5倍以上の高さを有することを特徴とする
成膜方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の有機系蒸発物質による成
膜方法は、成膜対象基材に、有限量の有機系物質を抵抗
加熱方式で加熱し蒸発させる成膜方法において、該抵抗
加熱方式における抵抗加熱ボートの形状が、該有機系物
質を含む蒸着物質を周辺から加熱する形状をしており、
該蒸着物質の外寸の20%以上の距離をおいた外周から
加熱させる成膜方法である。
【0017】また、本発明の有機系蒸発物質による成膜
方法は、成膜対象基材に、有限量の有機系物質を抵抗加
熱方式で加熱し蒸発させる成膜方法において、該抵抗加
熱方式における抵抗加熱ボートの形状が、該有機系物質
を含む蒸着物質を周辺から加熱する形状をしており、該
蒸着物質の高さの1.5倍以上の高さを有する成膜方法
である。
【0018】加熱方法として、有機系物質を加熱し蒸発
させる場合は、抵抗加熱法が好ましい。抵抗加熱方式の
場合には、有機系物質の急激な突沸などがおこりにくく
都合が良い。特に本発明では抵抗加熱ボートを利用した
熱輻射加熱方式がもっとも好ましく良い。この場合、有
機系物質の突沸の問題や急激な化合物の分解が発生せ
ず、実際に成膜される膜特性が加熱する有機系物質で予
測できることもあり非常に有利である。ここでいう抵抗
加熱ボートを利用した熱輻射加熱方式とは、有機系物質
と抵抗加熱ボートは接点をもたず(接触させず)、ある
空間を介して抵抗加熱ボートの熱が輻射熱伝達によって
伝えられる方式である。ここで、抵抗加熱方式で使用さ
れるボートの材料としてはモリブデンあるいはタングス
テンが高融点、耐久性の面で好ましく用いられる。
【0019】上記に示した、抵抗加熱ボートを使用した
熱輻射加熱方式の場合、ある空間を介して熱を伝えるた
め、このある空間が問題になる。
【0020】一つ目に、減圧下で行われる真空蒸着で
は、空間の圧力によって対流熱伝達が含まれる場合があ
る。これは真空ポンプなどで排気された蒸発前の真空状
況、加熱源の加熱に伴う加熱源周辺部材からの脱ガス分
子による状態、さらには加熱される有機系物質の蒸発分
子などによる状態が複雑に絡み合って、圧力の値で示さ
れる対流熱伝達環境因子である。これは、厳密な意味で
測定が非常に困難である。従って、あまりこの空間が狭
いとこの環境因子が該有機系物質の均一均等加熱に大き
く影響する。
【0021】2つ目に、熱輻射の再現性である。輻射熱
伝達は、熱源との距離の2乗に反比例して減少する。該
有機系蒸着材料を周辺から加熱するため、距離の再現性
が非常に該有機系物質の均一均等加熱に大きく影響す
る。
【0022】3つ目に、熱輻射に関するもので、熱源と
熱を受ける側との微小面積関係によって、その輻射の効
率が変化する。
【0023】従って、1つ目、2つ目の理由から、でき
るだけ熱源となる抵抗加熱ボートと熱を受ける側の該有
機系物質との距離を離した方が好ましいことが判明し
た。
【0024】また、3つ目の理由から、できるだけ、有
機系物質を全天方向から加熱する方が好ましいことが判
明した。
【0025】種々、検討した結果、下記の様な抵抗加熱
方式が好ましいことが判った。すなわち、 (1)抵抗加熱ボートの形状が、有機系物質を含む蒸着
物質を周辺から加熱する形状をしており、蒸着物質の外
寸の20%以上の距離をおいた外周から加熱させる加熱
方法である。 (2)抵抗加熱ボートの形状が、有機系物質を含む蒸着
物質を周辺から加熱する形状をしており、蒸着物質の高
さの1.5倍以上の高さを有することを特徴とする加熱
方法である。
【0026】有機系物質を加熱蒸発させ、蒸発量を測定
し、その測定結果をもとに蒸発量を実質的に一定にする
ように加熱源の出力を制御することによって、成膜対象
基材に有機系物質を含む膜を成膜する。出力に上限ある
いは(かつ)下限を設けて制御することも好ましく用い
られる。
【0027】上記有機系物質の蒸発量を測定する手段と
しては、光学式膜厚計、四重極方式の質量分析計、およ
び水晶式膜厚計などによる方式が挙げられるが、蒸発源
の出力を制御するためには、非常に微量の質量を測定で
きる必要があるため、水晶式膜厚計が有利である。ここ
でいう水晶式膜厚計とは、水晶振動子と呼ばれる水晶に
膜を堆積させその質量の変化を固有振動数の変化から算
出する膜厚計である。通常、金属膜や、金属酸化物系の
膜には汎用されているが、有機膜なかでも有機ポリシロ
キサン系化合物またはパーフルオロアルキル基含有化合
物を含む有限量の有機系物質での適用例は見られない。
【0028】このように有機系物質を加熱して蒸発させ
る場合、蒸発潜熱で一旦吸熱挙動が発生したりあるいは
分解熱あるいは解離熱などの挙動が発生したりして、通
常のPID制御(比例、積分、微分制御)でのパラメー
タ調整だけでははうまくコントロールできないことがあ
った。つまり、有機系蒸発現象では、線形に温度と蒸気
圧の関係ができないことや、何種類もの有機系物質を混
合するために沸点がいくつもあって挙動が予測できない
こともしばしばあった。
【0029】また、真空蒸着の場合は、蒸発源付近の真
空圧力を一定にすることがなかなか難しく、蒸気圧との
関係でしばしば再現性が得られないことがしばしばあっ
た。さらに有機系物質への加熱が本当に均一でないと、
材料の大きさによる熱容量の問題もあって蒸発が安定的
にある時間持続することが難しいこともあった。
【0030】さらに、蒸発現象をコントロールしてか
ら、膜厚モニタが捕らえる堆積速度に時間遅れが生じ、
瞬間瞬間に起こっている蒸発現象と膜厚モニタで実際に
測定される堆積速度から出される制御信号がマッチしな
いことがしばしばあった。
【0031】そこで、上記出力をPID制御するのに加
えて、その出力に上限あるいは(かつ)下限を用いた。
すると、非常に安定的にかつ失敗無く、再現性のある制
御が可能になった。
【0032】すなわち、まず、本発明で加熱源への出力
に上限を設けた場合について説明する。
【0033】出力一定でモニタ上で堆積速度が上昇始め
てから、目標の速度付近になってくる。蒸発現象が進む
につれ、徐々に堆積速度がそ上昇する。その上昇カーブ
が急激となり、通常のPID制御パラメータで制御して
も加熱源への出力がゼロになるだけでどんどん堆積速度
が上昇し目標速度から大幅にかけ離れてしまう場合があ
る。加熱源への出力に上限を設けておくと目標堆積速度
に到達するまでの時間が若干長くなるが、堆積速度の上
昇カーブを急激化させないで制御できるようになる。上
限の決定方法は、有機系物質の蒸発現象によるが、加熱
限への出力を下側から一定出力で何回かテストする。蒸
発させたときの上記膜厚モニタで監視し、堆積速度が目
標になったときに出力をゼロにして目標堆積速度×5倍
の堆積速度を超えない出力とすると好ましい。
【0034】次に、加熱限への出力に下限を設けた場合
について説明する。
【0035】出力一定でモニタ上で堆積速度が上昇始め
てから、目標の速度付近になってくる。蒸発現象が進む
につれ、徐々に堆積速度が上昇する。その後、通常のP
ID制御パラメータで制御すると、目標の堆積速度を超
え徐々に加熱源への出力を下げる。しかしながら上記で
説明した蒸発現象の乱れのためか急激に堆積速度が低下
しどんどん加熱源への出力を上昇させても目標の堆積速
度の10%も満たない状態になってしまう場合がある。
この場合、加熱源への出力に下限を設けておくと制御中
に堆積速度の急激な低下をさけることが可能になる。下
限の決定方法は、有機系物質の蒸発現象によるが、加熱
限への出力を下側から一定出力で何回かテストする。上
記膜厚モニタで監視し、堆積速度が目標になったときに
出力を下げ、ある時間(例えば10秒)経過後に、堆積
速度が目標堆積速度の10%になる、出力とすると好ま
しい。該時間は、堆積速度の応答性を考慮して決定され
ることが好ましい。
【0036】加熱源への出力に上限と下限を組み合わせ
ることも好ましく用いられる。
【0037】本発明において、成膜対象基材に成膜され
た膜の膜厚は1nmから30nmであることが非常に好まし
い。さらに好ましくは、2nm〜10nmであることが非常
に好ましい。これは、目的とする滑り性機能、撥水性性
機能、および汚れ防止性機能を有する場合、膜厚が1nm
以下になるとその効果が十分に発揮されにくくなり、例
えば撥水性機能を図る尺度として水に対する接触角を測
定すれば判る。また、膜厚が30nmを超えると接触角で
評価すると十分特性は満たしているが、膜が厚膜化しす
ぎていて表面を擦ると膜が剥がれてしまう現象が発生す
る。そのため白化したりして汚れ状に見えてしまう。膜
厚が2nm〜10nmであると、目標の特性が安定して得ら
れる。
【0038】本発明で用いられる有機系物質は多孔質材
料に保持させせることが好ましい。これは、有機系物質
を均一分散化にして物質として保持でき、さらには、分
散化状態が良ければ加熱がむらなく行われ均一な蒸発が
可能となるためである。液状のまま容器に入れた場合
は、ヒータの近くと蒸発表面に気化現象のばらつきが生
じ、ひいては突沸などの現象も免れなくなる。
【0039】また、本発明では、有機系物質を繊維状の
導電性物質に付着させて用いることが好ましい。繊維状
の導電性物質表面に有機系物質が付着しているために、
加熱したとき導電性繊維を通して加熱することが可能と
なり有機系物質の均一な加熱が可能となる。ここで導電
性物質としては、耐熱性の高い鉄、アルミニウム、銅ま
たはカーボンが好ましく用いられる。特に市販のスチー
ルウールが安価で取り扱いも容易であり好適である。形
状、線径も特に限定しないが、加工性、熱伝導性、有機
系物質の付着性から線径が0.01mm〜1mmのもの
が好ましくさらに0.025mm〜0.05mmのもの
が最も適当である。
【0040】本発明においては、導電性物質を少なくと
も一方向が開放している保持枠に入れるとさらに好まし
い。これは、保持枠に入れることで有機系物質が加熱に
より溶融した場合に下に流れでることを防止でき、さら
に真空室下面の汚染防止にもなる。さらにあらゆる方向
に蒸発する向きがあると真空室の壁を汚染する原因とな
るので蒸発する方向を成膜対象基板方向のみ開放するこ
とが好ましい。
【0041】本発明で用いられる有機系物質としては、
本発明の効果が最大限に発揮できる例として、最近注目
されている物品に滑り性機能、撥水性機能、汚れ防止機
能などをもたせる膜として、各種表示画面の最表面、あ
るいは各種表示画面の前面に用いられる光学フィルター
の最表面、めがねレンズなどの最表面に用いられる膜
で、特に反射防止機能膜の最表面に付与する膜に用いら
れる有機ポリシロキサン系化合物またはパーフルオロア
ルキル基含有化合物を含む物質が挙げられる。
【0042】有機ポリシロキサン系化合物としては、中
でもポリジメチルシロキサン系重合物が特性上の接触角
を大きくすることが可能なことから好ましく使用され
る。かかるシロキサンの具体例としては、末端にシラノ
ール基を有するポリジメチルシロキサン、ポリメチルフ
ェニルシロキサン、ポリメチルビニルシロキサンなどの
ポリアルキル、ポリアルケニル、あるいはポリアリール
シロキサンに各種架橋剤、例えばテトラアセトキシシラ
ン、テトラアルコキシキシシラン、テトラエチルメチル
ケトオキシムシラン、テトライソプロペニルシランなど
の四官能シラン、さらにはアルキルあるいはアルケニル
トリアセトキシシラン、トリケトオキシムシラン、また
はトリイソプロペニルシラントリアルコキシシランなど
の3官能シランなどを添加混合したもの、場合によって
はあらかじめ反応させたものが挙げられる。
【0043】他のポリシロキサンの例としては、Si−
H結合を有するポリシロキサンと不飽和基を有する化合
物を白金化化合物などの触媒存在下に反応させて硬化さ
せてなる化合物なども挙げることができる。
【0044】パーフルオロアルキル基含有化合物として
は、特に限定されるものではないが、特にパーフルオロ
基含有(メタ)アクリレートを含むポリマーおよび他の
モノマーとの共重合体が好ましい。これらの重合物中に
は架橋硬化せしめる目的で各種の官能基を導入させたも
のが使用されるが、その具体例としてはヒドロキシ(メ
タ)アクリレートなどの水酸基含有モノマー、(メタ)
アクリル酸などのカルボキシル基含有モノマーなどとの
共重合体が挙げられる。さらにはアリル(メタ)アクリ
レートなどの反応性の異なる二重結合を有するモノマー
との共重合体も架橋硬化可能な例として挙げられる。か
かる共重合体の重合形態としては、特に限定されず、ラ
ンダム共重合体、ブロック共重合体等が適用可能でであ
るが、撥水性、成膜対象基板の表面の接着性向上等の点
からブロック共重合体が特に好ましく使用される。
【0045】前述のかかる末端シラノール有機ポリシロ
キサンの分子量は特に限定されないが、安定性、取り扱
いのやすさなどの点から、数平均分子量で好ましくは1
000〜100万、さらに好ましくは2000〜50万
の末端シラノール有機ポリシロキサンが使用される。
【0046】さらにはジメチルジクロルシラン、ジメチ
ルジアルコキシシラン、ジメチルアセトキシシランなど
のモノマーを加水分解して、末端シラノール基を有する
有機ポリシロキサンとすることも可能である。また、さ
らに縮合反応を進行させて、前述の末端シラノール基を
有する有機ポリシロキサンとすることも可能である。
【0047】以上の有機系物質を含む組成物中には、硬
化を促進させる目的、あるいは硬化可能ならしめる目的
から各種硬化剤、3次元架橋剤を添加することも可能で
ある。これらの具体例としてはシリコーン樹脂硬化剤、
シランカップリング剤、各種金属アルコレート、各種金
属キレート化合物、イソシアネート化合物、メラミン樹
脂、多官能アクリル樹脂、あるいは尿素樹脂などがあ
る。
【0048】さらに具体的な例として、本発明で用いら
れる有機系物質は、下式(I)で示される化合物を含む
ことが簡易で好ましい。
【0049】 n−Cpp+1CH2CH2Si(NH23 ・・・(I) (ただし、pは自然数) 例えば、3,3,3−トリフルオロプロピルトリアミノ
シラン、2−(パーフルオロプロピル)エチルトリアミ
ノシラン、2−(パーフルオロブチル)エチルトリアミ
ノシラン、(パーフルオロヘキシル)エチルトリアミノ
シラン、2−(パーフルオロオクチル)エチルトリアミ
ノシランなどのが化合物を単独はもちろん2種以上を混
合して用いることもできる。
【0050】さらに滑り性や汚れ防止機能としての指紋
などのふき取り性を良くするものとして、該有機系物質
が下式(II)で示され、数平均分子量が500から10
000であるケイ素含有有機含有フッ素化合物を含むこ
とを特徴とすることが好ましく用いられる。
【0051】
【化2】 (式中、Rfは、パーフルオロアルキル基を表す。Z
は、フッ素またはトリフルオロメチル基を表す。a,b,c,
d,eは、それぞれ独立して、0または1以上の整数を表
し、a+b+c+d+eは、少なくとも1以上であり、a,b,c,d,e
でくくられた繰り返し単位の存在順序は、式中において
限定されない。Yは、水素又は炭素数1〜4のアルキル
基を表す。Xは、水素、臭素又はヨウ素を表す。R
1は、水酸基又は加水分解可能な置換基を表す。R2は、
水素又は1価の炭化水素基を表す。lは、0、1又は2
を表す。mは、1、2又は3を表す。) さらに滑り性や汚れ防止機能としての指紋などのふき取
り性を良くするものとして、本発明では、有機系物質が
下式(III)で示される末端にカルバメート結合を介し
てアルコキシシラン構造を有する含フッ素化合物である
ことが好ましい。
【0052】 Rf{(CH2nOCONH−R1−Si(OR23m・・・式(III ) (式中、Rfは含フッ素オキサアルキル基あるいは含フ
ッ素アルキル基を含む有機基、nは1〜4の整数、R1
は2価の有機基、R2は1価の有機基、mは1〜4の整
数。) 本発明では、有機系物質の成膜された膜の密着には成膜
対象基材の表面が二酸化珪素を主成分とする膜である
と、滑り性機能、撥水性機能、汚れ防止機能を発揮する
のに密着およびその耐久性の面で好都合である。
【0053】さらに、成膜対象基材が反射防止膜付き基
板であると汚れが非常に目立つため、本発明の効果がも
っとも大きく発揮される。すなわち、目標の膜が均一か
つ所望の膜厚が得られてないと、つまり薄すぎれば汚れ
防止機能が不十分であり厚すぎると反射干渉色が大きく
変化したり、表面を擦ったときに白化したりする。
【0054】成膜対象基材が表示画面のフィルター用基
板の用途では、眼精疲労に効果があるので広く普及して
いるが指紋などで表面が汚れることが良く言われている
が、本発明の成膜により得られる膜を使用すればかかる
課題も解決される。
【0055】本発明においては、成膜対象基材が成膜領
域を通過する成膜手法のときその効果が特に大きい。
【0056】従来の真空蒸着法の場合、有限量の有機系
物質を蒸着材料とするときは、ベルジャー型の真空蒸着
機、すなわち、蒸着室の下部で蒸発源を加熱し、その上
部に成膜対象基板を固定または回転させる方式をを使用
するのが一般的であるが、この場合は、有限量として入
れる有機系物質の量を決定すればその有機系物質を使い
切ることである程度の膜厚が保証された。しかしなが
ら、図2のような基板通過型成膜であると、通過する基
板長さ分に相当する膜の厚みから換算される、蒸発とし
ての必要量を、有限量として有機系物質として入れる形
となるが、目的とする基板の通過長さに達する前に薬品
切れを起こしたり、前半部分だけ厚膜化してしまうとい
う問題もしばしばあった。
【0057】これに対し、本発明を適用すれば、通過基
板上に成膜される膜厚も目標とする通過基板長さも必要
十分に成膜可能となる。
【0058】また、本発明において、有機系物質からな
る膜の膜厚を精度良く所望厚さにコントロールするため
には、その通過速度が実質的に一定速であることが好ま
しい。
【0059】特に成膜室が、成膜領域の前後に、成膜対
象基板を多段に収納可能な第1及び第2のストッカーを
有しており、密閉された減圧下で第1のストッカーから
順次該成膜対象基板を取り出し、順次成膜領域を通過さ
せ、順次第2のストッカーに取り入れる薄膜つき基板の
製造方法である場合に好ましく適用される。
【0060】以下、本発明の有機系蒸着物質による成膜
方法の一例を図を用いて説明する。ただし、本発明はこ
れらに限定されるものではない。
【0061】図2は、本発明の成膜方法に用いるための
蒸着装置の一例を示す概略図である。また、図1は、図
2の蒸発装置における蒸発源部分の拡大図である。
【0062】図2および図1において、真空室1は、基
板保持室2,2’、基板搬送室3、蒸着室4で基本的に
構成されている。これに密閉機構8、8’が設けられて
おり、図示しない真空ポンプによる減圧下で密閉され
る。基板6は、基板保持機構(以下ストッカー)5ある
いは5’に保持されており搬送ローラ7により1枚ずつ
蒸着室の上部を1枚ずつ搬送され通過し成膜され、スト
ッカー5’あるいは5に保持されるしくみになってい
る。有機系物質9をあらかじめ導電性物質10に付着さ
せ、保持枠11に入れておき、これを蒸着室4の内部に
入れておく。抵抗加熱ボート12に電流を出力し、抵抗
加熱ボート12の輻射熱で有機系物質9の加熱を行う。
蒸着室4の内部の圧力と加熱された有機系物質9の融点
沸点昇華点の関係で蒸発現象が起こる。蒸発された有機
系物質は、一部解離、分解をともなうが蒸発分子となり
飛翔する。飛翔した蒸発分子が水晶振動子13に到達す
ると、水晶振動子13の質量が変化しその固有振動数の
変化から膜厚を同定できる。この膜厚に関し、単位時間
あたりの膜厚すなわち堆積速度を算出し、その測定結果
が一定になるように演算装置15を用いて出力コントロ
ーラ16へ制御信号をおくる。出力コントローラ16は
抵抗加熱ボート12へ電流を出力する。このとき、出力
に上限あるいは(かつ)下限を設定する。このようし
て、目標の蒸発量すなわち堆積速度に対して実質的に一
定になったのを確認した後、ストッカー5と搬送ローラ
7との連携で蒸着室4の上部の基板搬送室3の内部で基
板6を通過させ成膜させる。一方のストッカーにはいっ
ていた基板6すべてが蒸着室4の上部を通過したこと確
認して抵抗加熱ボートへの出力を止める。なお、基板上
に成膜された膜と水晶式膜厚計14の堆積速度の関係は
実験により厳密に求められる。
【0063】本発明の有機膜の成膜は、例えば、車の窓
ガラス(フロントガラス、リアウインド、側面ウイン
ド)、オートバイのシールド、ヘルメットのシールド、
鏡、手鏡、繊維、布、衣服(たとえば、スカート、ズボ
ン、カッター、背広など香辛料などがついてもすぐふき
取れる)、革製品(車のハンドル、自転車のハンドル、
ハンドバック、かばん、靴)、マウス(パソコン用)、
コップ、花瓶、持ち運び用ケース、電話の受話器、携帯
電話、印鑑、ドアの取手、ショーウインドウ、切符、各
種チケット、銀行などのカード、時計の前面などの用途
に好適に用いられる。
【0064】
【実施例】(実施例1) (1)成膜対象基材(基板)作成 成膜対象基材に、市販のポリメチルメタアクリレート板
(三菱レーヨン(株)製、商標”アクリライト”LN−
084、グレー系色原着約70%透過率、厚さ約2m
m)を使用した。ハードコート用塗料としては、特開昭
59−114501号公報の実施例1に記載の、ビニル
トリエトキシシランを氷酢酸で加水分解したものと、メ
チルトリエトキシシランを氷酢酸で加水分解したものを
混合して用いた。この混合溶解物に硬化剤である酢酸ナ
トリウムを加えて塗料とした。この塗料を、上記成膜対
象基板に浸漬法にて塗布して、90℃で3時間キュアし
て約2μmの厚さのハードコートを施した。このハード
コートを施した基板に、真空蒸着法でZrO2/SiO
2/TiO2/SiO2の順に金属酸化物を蒸着し、比
視感度反射率で約0.5%の反射防止膜つき基板を得
た。基板サイズは、700mm×1200mm×2mm
で、16枚作成した。
【0065】(2)有機系物質および蒸着材料の作成 スチールウール(日本スチールウール(株)製、#1;
線径約0.035mm)を、外径18mm、高さ7mm
肉厚1mmの上方が開放された銅製の容器に詰めた。こ
の中に、m−キシレンヘキサフルオライドにより3%に
希釈した2−(パーフルオロオクチル)エチルトリアミ
ノシラン10gを注いで上記スチールウールに付着さ
せ、常温で約24時間乾燥させ、蒸着材料とした。
【0066】(3)防汚膜の作成 モリブデン製の高さ(幅)18mmの厚さ0.5mmの
材料を径30mmの円環状にして、抵抗加熱ボートとし
た。円環状の中心部に上記(2)で得られた蒸着材料を
入れた。このようして図2に示す蒸着機にセットし、さ
らに上記(1)で得られた成膜対象基板16枚をストッ
カーに投入して、蒸着室4の圧力を1×10-3Paとし
た。なお、蒸発源と基板搬送面との距離は1000mm
であり、膜厚モニタは、蒸発源から高さ600mm、蒸
発源からの水平距離500mmに配置した。
【0067】まず、抵抗加熱ボートに電流850A投入
し、有機系物質を加熱し蒸発させた。膜厚モニタで堆積
速度を測定した。徐々にレイトが上昇し始めた。目標レ
イトは、6オングストローム/sに設定した。膜厚計の
信号をもとにPIDコントロールで抵抗加熱ボートへ出
力する電流値を制御した。レイトが目標の6オングスト
ローム/sよりも下回ったときは電流を上昇させる方向
で、反対に上回ったときは電流を下降させる方向で制御
を行い、出力の電流値に上限として780A、下限とし
て600Aを設定した。電流値は600A〜780Aの
間で制御していた。6オングストローム/s±10%の
範囲内に20秒間制御できているのを確認して、ストッ
カーの中にある基板を水平方向に5m/分の速度で搬送
させた。16枚の基板が搬送されて蒸着室の上部をすべ
て通過し終わる時間は4分であった。
【0068】この防汚膜作成を上記と全く同じ方法で1
00回実施した。100回とも蒸着室の上部を成膜対象
基板が搬送中、膜厚モニタ上での堆積速度として6オン
グストローム/s±20%の範囲で制御可能であった。
【0069】(4)防汚膜の評価 (1)膜厚 16枚の基板についた防汚膜の膜厚を搬送方向に16点
(1点/1枚)とり超薄切片法によるサンプル作成で透
過型電子顕微鏡(日立製H−600型)で400000
倍の写真で測定した。その結果、16点とも4nmから8
nmの膜厚になっていた。
【0070】(2)撥水性 16枚の基板を16点(1点/1枚)とり接触角計(協
和界面科学(株)製、CA−D型)を使用して、室温で
直径1.5mmの水滴を針先に作り、これをサンプル表
面に接触させて液滴をつくった。このときに生ずる液滴
と面との角度を測定し、静止接触角とした。16点とも
110゜から111゜であった。
【0071】(3)反射干渉色 反射防止膜による反射干渉色が淡い青紫系の色であった
が、防汚膜成膜前後でほとんど変化が見られなかった。
【0072】(4)外観 透過色を確認したところ、防汚膜成膜前後で変化が見ら
れなかった。もちろん白化などの問題もなかった。
【0073】(5)拭き汚れ 東レ(株)製のめがね拭き(商標"トレシー")で何回も
擦ったが、拭き汚れは発生しなかった。
【0074】(6)耐久性 東レ(株)のめがね拭き(商標"トレシー")にエタノー
ルをしみこませ2kg/cm2の圧力で100回擦過し
た。接触角の変化を測定したが、変化は2゜以下であっ
た。
【0075】(7)指紋のふき取り性 鼻の油をつけ、東レ(株)製めがね拭き(商標"トレシ
ー")にて拭き取ったところ、5回程の払拭操作で簡単
にその油がふき取れた。
【0076】上記評価を100回実施したが、ほぼ同様
な結果となった。
【0077】(実施例2) (1)成膜対象基板作成 実施例1と全く同様に作成した。
【0078】(2)有機系物質および蒸着材料の作成 スチールウール(日本スチールウール(株)製、#1;
線径約0.035mm)を、外径18mm、高さ7mm
肉厚1mmの上方が開放された銅製の容器に詰めた。こ
の中に、パーフルオロヘキサンで3%に希釈した下式
(IV)
【0079】
【化3】 で示される化合物(分子量約5000)10gを上記ス
チールウールに付着させ、常温で約24時間乾燥させ、
蒸着材料とした。
【0080】(3)防汚膜の作成 モリブデン製の高さ(幅)18mmの厚さ0.5mmの
材料を径30mmの円環状にして、抵抗加熱ボートとし
た。円環状の中心部に上記(2)で得られた蒸着材料を
入れた。このようして図2に示す蒸着装置にセットし、
さらに上記(1)で得られた成膜対象基板16枚をスト
ッカーに投入して、蒸着室4の圧力を1×10-3Paと
した。なお、蒸発源と基板搬送面との距離は1000m
mであり、膜厚モニタは、蒸発源から高さ600mm、
蒸発源からの水平距離500mmに配置した。
【0081】まず、抵抗加熱ボートに電流800A投入
し、有機系物質を加熱し蒸発させた。膜厚モニタで堆積
速度を測定した。徐々にレイトが上昇し始めた。目標レ
イトは、6オングストローム/sに設定した。膜厚計の
信号をもとにPIDコントロールで抵抗加熱ボートへ出
力する電流値を制御した。レイトが目標の6オングスト
ローム/sよりも下回ったときは電流を上昇させる方向
で、反対に上回ったときは電流を下降させる方向で制御
を行い、出力の電流値に上限として780A、下限とし
て650Aを設定した。電流値は650A〜780Aの
間で制御していた。6オングストローム/s±10%の
範囲内に20秒間制御できているのを確認して、ストッ
カーの中にある基板を水平方向に5m/分の速度で搬送
させた。16枚の基板が搬送されて蒸着室の上部をすべ
て通過し終わる時間は4分であった。
【0082】この防汚膜作成を上記と全く同じ方法で1
00回実施した。100回とも蒸着室の上部を成膜対象
基板が搬送中、膜厚モニタ上での堆積速度として6オン
グストローム/s±20%の範囲で制御可能であった。
【0083】(4)防汚膜の評価 (1)膜厚 16枚の基板についた防汚膜の膜厚を搬送方向に16点
(1点/1枚)とり超薄切片法によるサンプル作成で透
過型電子顕微鏡(日立製H−600型)で400000
倍の写真で測定した。その結果、16点とも4nmから8
nmの膜厚になっていた。
【0084】(2)撥水性 16枚の基板を16点(1点/1枚)とり接触角計(協
和界面科学(株)製、CA−D型)を使用して、室温で
直径1.5mmの水滴を針先に作り、これをサンプル表
面に接触させて液滴を作った。このときに生ずる液滴と
面との角度を測定し、静止接触角とした。16点とも1
10゜から111゜であった。
【0085】(3)反射干渉色 反射防止膜による反射干渉色が淡い青紫系の色であった
が、防汚膜成膜前後でほとんど変化が見られなかった。
【0086】(4)外観 透過色を確認したところ、防汚膜成膜前後で変化が見ら
れなかった。もちろん白化などの問題もなかった。
【0087】(5)拭き汚れ 東レ(株)製のめがね拭き(商標"トレシー")で何回も
擦ったが拭き汚れは発生しなかった。
【0088】(6)耐久性 東レ(株)のめがね拭き(商標"トレシー")にエタノー
ルをしみこませ2kg/cm2の圧力で100回擦過し
た。接触角の変化を測定したが、変化は2゜以下であっ
た。
【0089】(7)指紋のふき取り性 鼻の油をつけ、東レ(株)製めがね拭き(商標"トレシ
ー")にて拭き取ったところ、3回程の払拭操作で簡単
にその油がふき取れた。
【0090】上記評価を100回実施したが、ほぼ同様
な結果となった。
【0091】(実施例3) (1)成膜対象基板作成 実施例1と全く同様に作成した。
【0092】(2)有機系物質および蒸着材料の作成 スチールウール(日本スチールウール(株)製、#1;
線径約0.035mm)を、外径18mm高さ7mm肉
厚1mmの上方が開放された銅製の容器に詰めた。この
中に、下記合成例に示す液体1gを上記スチールウール
に付着させ、常温で約24時間乾燥させ、蒸着材料とし
た。
【0093】(合成例)HO-CH2CF2(CF2CF2O)n-CF2CH2-O
H(パーフルオロポリエチレングリコール系化合物 数
平均分子量1500)15mmolと50度窒素雰囲気
下でイソシアナートプロピロトリエトキシシラン(OCN-
CH2CH2CH2-Si(OCH2CH3)3)30mmolとDBTDL(ジブ
チル錫ジラウレート:触媒)0.01gをジエチルエー
テル20g中に溶解し滴下した後、8時間環流攪拌、反
応させた後、溶媒を留去したところ白色の粘性の液体が
得られた。
【0094】(3)防汚膜の作成 モリブデン製の高さ(幅)18mmの厚さ0.5mmの
材料を、径30mmの円環状にして、抵抗加熱ボートと
した。円環状の中心部に上記(2)で得られた蒸着材料
を入れた。このようして図2に示す蒸着装置にセット
し、さらに上記(1)で得られた成膜対象基板16枚を
ストッカーに投入して、蒸着室4の圧力を1×10-3
aとした。なお、蒸発源と基板搬送面との距離は100
0mmであり、膜厚モニタは、蒸発源から高さ600m
m、蒸発源からの水平距離500mmに配置した。
【0095】まず、抵抗加熱ボートに電流800A投入
し、有機系物質を加熱し蒸発させた。膜厚モニタで堆積
速度を測定した。徐々にレイトが上昇し始めた。目標レ
イトは、6オングストローム/sに設定した。膜厚計の
信号をもとにPIDコントロールで抵抗加熱ボートへ出
力する電流値を制御した。レイトが目標の6オングスト
ローム/sよりも下回ったときは電流を上昇させる方向
で、反対に上回ったときは電流を下降させる方向で制御
を行い、出力の電流値に上限として800A、下限とし
て200Aを設定した。電流値は200A〜800Aの
間で制御していた。6オングストローム/s±10%の
範囲内に20秒間制御できているのを確認して、ストッ
カーの中にある基板を水平方向に5m/分の速度で搬送
させた。16枚の基板が搬送されて蒸着室の上部をすべ
て通過し終わる時間は4分であった。
【0096】この防汚膜作成を上記と全く同じ方法で1
00回実施した。100回とも蒸着室の上部を成膜対象
基板が搬送中、膜厚モニタ上での堆積速度として6オン
グストローム/s±20%の範囲で制御可能であった。
【0097】(4)防汚膜の評価 (1)膜厚 16枚の基板についた防汚膜の膜厚を搬送方向に16点
(1点/1枚)とり超薄切片法によるサンプル作成で透
過型電子顕微鏡(日立製H−600型)で400000
倍の写真で測定した。その結果、16点とも4nmから8
nmの膜厚になっていた。
【0098】(2)撥水性 16枚の基板を16点(1点/1枚)とり接触角計(協
和界面科学(株)製、CA−D型)を使用して、室温で
直径1.5mmの水滴を針先に作り、これをサンプル表
面に接触させて液滴をつくった。この時に生ずる液滴と
面との角度を測定し、静止接触角とした。16点とも1
10゜から111゜であった。
【0099】(3)反射干渉色 反射防止膜による反射干渉色が淡い青紫系の色であった
が、防汚膜成膜前後でほとんど変化が見られなかった。
【0100】(4)外観 透過色を確認したところ、防汚膜成膜前後で変化が見ら
れなかった。もちろん白化などの問題もなかった。
【0101】(5)拭き汚れ 東レ(株)製のめがね拭き(商標"トレシー")で何回も
擦ったが拭き汚れは発生しなかった。
【0102】(6)耐久性 東レ(株)のめがね拭き(商標"トレシー")にエタノー
ルをしみこませ2kg/cm2の圧力で100回擦過し
た。接触角の変化を測定したが、変化は2゜以下であっ
た。
【0103】(7)指紋のふき取り性 鼻の油をつけ、東レ(株)製めがね拭き(商標"トレシ
ー")にて拭き取ったところ、1回程の払拭操作で簡単
にその油がふき取れた。
【0104】上記評価を100回実施したが、ほぼ同様
な結果となった。
【0105】(実施例4) (1)成膜対象基板作成 実施例1と全く同様に作成した。
【0106】(2)有機系物質および蒸着材料の作成 外径18mm高さ7mm肉厚1mmの上方が開放された
銅製の容器に、下記合成例に示す液体を1gを液体のま
ま入れ、蒸着材料とした。
【0107】(合成例)HO-CH2CF2(CF2CF2O)n-CF2CH2-O
H(パーフルオロポリエチレングリコール系化合物 数
平均分子量1500)15mmolと50度窒素雰囲気
下でイソシアナートプロピロトリエトキシシラン(OCN-
CH2CH2CH2-Si(OCH2CH3)3)30mmolとDBTDL(ジブ
チル錫ジラウレート:触媒)0.01gをジエチルエー
テル20g中に溶解し滴下した後、8時間環流攪拌、反
応させた後、溶媒を留去したところ白色の粘性の液体が
得られた。
【0108】(3)防汚膜の作成 モリブデン製の高さ(幅)18mmの厚さ0.5mmの
材料を径30mmの円環状にして、抵抗加熱ボートとし
た。円環状の中心部に上記(2)で得られた蒸着材料を
入れた。このようして図2に示す蒸着装置にセットし、
さらに上記(1)で得られた成膜対象基板16枚をスト
ッカーに投入して、蒸着室4の圧力を1×10-3Paと
した。なお、蒸発源と基板搬送面との距離は1000m
mであり、膜厚モニタは、蒸発源から高さ600mm、
蒸発源からの水平距離500mmに配置した。
【0109】まず、抵抗加熱ボートに電流800A投入
し、有機系物質を加熱し蒸発させた。膜厚モニタで堆積
速度を測定した。急激にレイトが上昇し始めた。目標堆
積速度は、6オングストローム/sに設定し、2オング
ストローム/sに達した時点で抵抗加熱ボートへの電流
値コントロールを始めた。膜厚計の信号をもとにPID
コントロールで抵抗加熱ボートへ出力する電流値を制御
するのに加えて出力電流値に上下限を設けた。電流値の
上限は600A、下限は550Aに設定した。電流値
は、550〜600Aの間で制御していた。蒸発レイト
が6オングストローム/sになった時点で、ストッカー
の中にある基板を水平方向に5m/分の速度で搬送させ
た。16枚の基板が搬送されて蒸着室の上部を通過し終
わる時間は4分であった。材料が突沸する現象は若干観
測されたものの2オングストローム/s〜40オングス
トローム/sの間で制御可能であった。
【0110】(4)防汚膜の評価 (1)膜厚 16枚の基板についた防汚膜の膜厚を搬送方向に16点
(1点/1枚)とり超薄切片法によるサンプル作成で透
過型電子顕微鏡(日立製H−600型)で400000
倍の写真で測定した。その結果、16点とも2nmから3
5nmの膜厚になっていた。
【0111】(2)撥水性 16枚の基板を16点(1点/1枚)とり接触角計(協
和界面科学(株)製、CA−D型)を使用して、室温で
直径1.5mmの水滴を針先に作り、これをサンプル表
面に接触させて液滴をつくった。この時に生ずる液滴と
面との角度を測定し、静止接触角とした。16点とも1
08゜から111゜であった。
【0112】(3)反射干渉色 反射防止膜による反射干渉色が淡い青紫系の色であった
が、防汚膜成膜前後でほとんど変化が見られなかった。
【0113】(4)外観 透過色を確認したところ、防汚膜成膜前後で変化が見ら
れなかった。もちろん白化などの問題もなかった。
【0114】(5)拭き汚れ 東レ(株)製のめがね拭き(商標"トレシー")で何回も
擦ったが、拭き汚れは発生しなかった。
【0115】(6)耐久性 東レ(株)のめがね拭き(商標"トレシー")にエタノー
ルをしみこませ2kg/cm2の圧力で100回擦過し
た。接触角の変化を測定したが、変化は2゜以下であっ
た。
【0116】(7)指紋のふき取り性 鼻の油をつけ、東レ(株)製めがね拭き(商標"トレシ
ー")にて拭き取ったところ、1回程の払拭操作で簡単
にその油がふき取れた。
【0117】(比較例1) (1)成膜対象基板作成 実施例1と全く同様に作成した。
【0118】(2)有機系物質および蒸着材料の作成 スチールウール(日本スチールウール(株)製、#1;
線径約0.035mm)を、外径18mm高さ7mm肉
厚1mmの上方が開放された銅製の容器に詰つめた。こ
の中に、m−キシレンヘキサフルオライドで3%に希釈
した2−(パーフルオロオクチル)エチルトリアミノシ
ラン10gを注いで上記スチールウールに付着させ、常
温で約24時間乾燥させ、蒸着材料とした。
【0119】(3)防汚膜の作成 モリブデン製の高さ(幅)7mmの厚さ0.5mmの材
料を径22mmの円環状にして、抵抗加熱ボートとし
た。円環状の中心部に上記(2)で得られた蒸着材料を
入れた。このようして水晶モニタとそれに基づく蒸発源
コントロールシステムを持たない図2に示す蒸着機にセ
ットし、さらに上記(1)で得られた成膜対象基板16
枚をストッカーに投入して、蒸着室4の圧力を1×10
-3Paとした。なお、蒸発源と基板搬送面との距離は1
000mmであり、膜厚モニタを、蒸発源から高さ60
0mm、蒸発源からの水平距離500mmに配置した。
【0120】まず、抵抗加熱ボートに電流650A投入
し、有機系物質を加熱し蒸発させた。蒸発に伴い、蒸着
室内の圧力は上昇してやがて降下した。圧力が3×10
-3Paに上昇した時点でストッカーの中にある基板を水
平方向に5m/分の速度で搬送させた。その後、徐々に
圧力が上昇し続け、ちょうど6枚目の基板が蒸着室の上
部にきたとき、圧力が2×10-2Paの極大となり、そ
の後圧力が下降し始め16枚目の基板ホルダーが通過し
終わったときには圧力が4×10-3Paとなっていた。
膜厚モニタ上での堆積速度は、成膜対象基板の3枚目が
蒸着室の上部を通過しているとき4オングストローム/
s、5枚目が通過しているとき18オングストローム/
s、6枚目が通過しているとき80オングストローム/
s、7枚目が通過しているとき50オングストローム/
s、8枚目が通過しているとき2オングストローム/s
であった。1枚目〜2枚目、9枚目〜16枚目は2オン
グストローム/s未満であった。
【0121】(4)防汚膜の評価 (1)膜厚 16枚の基板についた防汚膜の膜厚を搬送方向に16点
(1点/1枚)とり超薄切片法によるサンプル作成で透
過型電子顕微鏡(日立製H−600型)で400000
倍の写真で測定した。1〜2枚目は、ほとんど膜厚が観
察されなかった。3枚目が4nm、4枚目が6nm、5枚目
が30nm、6枚目が110nm、7枚目が80nm、の膜厚
になっていた。8枚目が2nm、9枚目以降は膜厚がほと
んど観察されなかった。
【0122】(2)撥水性 16枚の基板を16点(1点/1枚)とり接触角計(協
和界面科学(株)製、CA−D型)を使用して、室温で
直径1.5mmの水滴を針先に作り、これをサンプル表
面に接触させて液滴をつくった。この時に生ずる液滴と
面との角度を測定し、静止接触角とした。1枚目が30
゜、2枚目が40゜、3、4枚目が110゜、5枚目が
111゜、6枚目が112゜、7枚目が111゜、8枚
目が109゜、9枚目が60゜、10枚目以降は20゜
〜30゜であった。
【0123】(3)反射干渉色 反射防止膜による反射干渉色が淡い青紫系の色であっ
た。1枚目から4枚目までと8枚目以降は防汚膜成膜前
後でほとんど変化が見られず、5枚目は若干青っぽい色
に変化し、6、7枚目は、非常に大きな色変化で青い反
射干渉色になった。
【0124】(4)外観 透過色を確認したところ、防汚膜成膜前後で変化が見ら
れなかった。6枚目、7枚目のみ若干白化して見えた。
【0125】(5)拭き汚れ 6枚目、7枚目は東レ(株)製のめがね拭き(商標"ト
レシー")で何回も擦ったところ、汚れ防止機能膜をつ
けたのにも関わらず、拭けば拭くほど拭いた部分が白化
しが拭き汚れが発生した。5枚目は、うっすら拭き汚れ
傾向があるようにも見えた。
【0126】(6)耐久性 東レ(株)のめがね拭き(商標トレシー)にエタノール
をしみこませ2kg/cm2の圧力で100回擦過し
た。接触角の変化を測定したが、変化は2゜以下であっ
た。
【0127】(7)指紋のふき取り性 鼻の油をつけ、東レ(株)製めがね拭き(商標"トレシ
ー")にて拭き取ったところ、5回程の払拭で簡単にそ
の油がふき取れたのは3、4、5、8枚目の基板のみで
あった。
【0128】(比較例2)比較例1の結果から、図2に
示す蒸着装置で製造を行う場合は、膜厚モニタ上での堆
積速度が2オングストローム/s〜18オングストロー
ム/sの間の範囲内にあるとき成膜対象基板に成膜され
た防汚膜は良好と判断した。従って該範囲外であるとき
は異常とみなした。
【0129】抵抗加熱ボートの形状を高さ(幅)18m
mの厚さ0.5mmの材料を径22mmの円環状にした
ものから高さ(幅)7mmの厚さ0.5mmの材料を径
30mmの円環状に変更する以外は、実施例1と全く同
じ方法で実施した。100回実施して8回異常が発生し
た。このうち上限の18オングストローム/sを超えた
ものは6回、下限の2オングストローム/sを下回った
ものは2回であった。異常発生率は8%であった。
【0130】
【発明の効果】本発明によれば、有機膜系物質を加熱
し、蒸発せしめる成膜する方法において、その加熱手段
が抵抗加熱法であり、さらに抵抗加熱ボートの熱輻射に
より有機系物質と抵抗加熱ボートを接触させずに加熱す
るので、有機系物質を均一に均等に加熱することがで
き、安定的に、失敗なく、その再現性をもって有機系蒸
発物質を含む膜を製造することができる。
【0131】また、本発明においては、特に、物品の表
面に有機ポリシロキサン系化合物またはパーフルオロア
ルキル基含有化合物を含む有機系物質を蒸発させて成膜
し、滑り性機能や撥水性機能や汚れ防止機能などを持た
せる場合に、その機能を必要十分に満たす有機系蒸発物
質による膜を得ることができる。
【0132】また、本発明によれば、蒸着物質の製造バ
ラツキ、蒸着物質と抵抗加熱ボートの配置の精度が多少
悪くても、再現良く、かつ均一に有機系物質の加熱が可
能である。
【0133】さらに、有機ポリシロキサン系化合物また
はパーフルオロアルキル基含有化合物を含む有限量の有
機系物質を加熱蒸発させ、物品に膜付けをすることがで
き、主に、物品に滑り性機能、撥水性機能、汚れ防止機
能などを付与することができ、特に物品の外観を損ねず
薄い膜を物品に付与することができる。
【0134】また、本発明は、各種表示画面の最表面、
あるいは各種表示画面の前面に用いられる光学フィルタ
ーの最表面、めがねレンズなどの最表面に用いられる膜
に適用することができ、特に反射防止機能膜の最表面に
付与する膜の成膜に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図2の蒸発源部分の拡大図である。
【図2】本発明の有機系蒸着物質による成膜方法で用い
る蒸発装置の一例を示す概略図である。
【図3】抵抗加熱ボートの従来例を示す概略透視図であ
る。
【図4】抵抗加熱ボートの従来例を示す概略斜視図であ
る。
【符号の説明】
1:真空室 2,2’:基板保持室 3:基板搬送室 4:蒸着室 5,5’:基板保持機構(ストッカー) 6:基板 7:搬送ローラ 8,8’:密閉機構 9:有機系物質 10:導電性物質 11:保持枠 12:抵抗加熱ボート 13:水晶振動子(水晶振動モニタ) 14:膜厚計 15:演算装置 16:出力コントローラー

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成膜対象基材に、有機系物質を抵抗加熱
    方式で加熱し蒸発させる成膜方法において、該抵抗加熱
    方式における抵抗加熱ボートの形状が、該有機系物質を
    含む蒸着物質を周辺から加熱する形状をしており、該蒸
    着物質の外寸の20%以上の距離をおいた外周から加熱
    させることを特徴とする有機系蒸着物質による成膜方
    法。
  2. 【請求項2】 成膜対象基材に、有機系物質を抵抗加熱
    方式で加熱し蒸発させる成膜方法において、該抵抗加熱
    方式における抵抗加熱ボートの形状が、該有機系物質を
    含む蒸着物質を周辺から加熱する形状をしており、該蒸
    着物質の高さの1.5倍以上の高さを有することを特徴
    とする有機系蒸着物質による成膜方法。
  3. 【請求項3】 有機系物質を加熱蒸発させ、その蒸発量
    の測定結果をもとに該蒸発量を実質的に一定にするよう
    に抵抗加熱ボートへの出力を制御することを特徴とする
    請求項1または2に記載の有機系蒸着物質による成膜方
    法。
  4. 【請求項4】 蒸発量を測定する手段が水晶式膜厚計で
    あることを特徴とする請求項3記載の有機系蒸着物質に
    よる成膜方法。
  5. 【請求項5】 抵抗加熱ボートへの出力上限あるいは
    (かつ)下限を設けることを特徴とする請求項3に記載
    の有機系蒸着物質による成膜方法。
  6. 【請求項6】 成膜対象基材に成膜される膜の膜厚が1
    nmから30nmになるように制御することを特徴とする請
    求項1から5のいずれかにに記載の有機系蒸着物質によ
    る成膜方法。
  7. 【請求項7】 有機系物質が多孔質材料に保持させた蒸
    着物質とすることを特徴としる請求項1または2に記載
    の有機系蒸着物質による成膜方法。
  8. 【請求項8】 有機系物質が繊維状の導電性物質に付着
    させた蒸着物質とすることを特徴としる請求項1または
    2に記載の有機系蒸着物質による成膜方法。
  9. 【請求項9】 導電性物質を少なくとも一方向が開放し
    ている保持枠に入れた蒸着物質とすることを特徴とする
    請求項8に記載の有機系蒸着物質による成膜方法。
  10. 【請求項10】 成膜対象基材が成膜領域を通過するこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載の有機系蒸着物
    質による成膜方法。
  11. 【請求項11】 通過速度が実質的に一定速であること
    を特徴とする請求項10記載の有機系蒸着物質による成
    膜方法。
  12. 【請求項12】 成膜室が、成膜領域の前後に、成膜対
    象基材を多段に収納可能な第1及び第2のストッカーを
    有しており、密閉された減圧下で第1のストッカーから
    順次該成膜対象基材を取り出し、順次成膜領域を通過さ
    せ、順次第2のストッカーに取り入れることを特徴とす
    る請求項10に記載の有機系蒸着物質による成膜方法。
  13. 【請求項13】 有機系物質が、有機ポリシロキサン系
    化合物またはパーフルオロアルキル基含有化合物を含む
    物質であることを特徴とする請求項1または2に記載の
    有機系蒸着物質による成膜方法。
  14. 【請求項14】 有機系物質が下式(I) n−Cpp+1CH2CH2Si(NH23 ・・・(I) (ただし、pは自然数)で示される化合物を含むことを
    特徴とする請求項1または2に記載の有機系蒸着物質に
    よる成膜方法。
  15. 【請求項15】 有機系物質が下式(II)で示され、数
    平均分子量が500から10000であるケイ素含有有
    機含有フッ素化合物を含むことを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載の有機系蒸着物質による成膜方法。 【化1】 (式中、Rfは、パーフルオロアルキル基を表す。Z
    は、フッ素またはトリフルオロメチル基を表す。a,b,c,
    d,eは、それぞれ独立して、0または1以上の整数を表
    し、a+b+c+d+eは、少なくとも1以上であり、a,b,c,d,e
    でくくられた繰り返し単位の存在順序は、式中において
    限定されない。Yは、水素又は炭素数1〜4のアルキル
    基を表す。Xは、水素、臭素又はヨウ素を表す。R
    1は、水酸基又は加水分解可能な置換基を表す。R2は、
    水素又は1価の炭化水素基を表す。lは、0、1又は2
    を表す。mは、1、2又は3を表す。)で示され、数平
    均分子量が500から10000であるケイ素含有有機
    含有フッ素化合物を含むことを特徴とする請求項1また
    は2に記載の有機系蒸着物質の成膜方法。
  16. 【請求項16】 有機系物質が下式(III) Rf{(CH2nOCONH−R1−Si(OR23m・・・式(III) (式中、Rfは含フッ素オキサアルキル基あるいは含フ
    ッ素アルキル基を含む有機基、nは1〜4の整数、R1
    は2価の有機基、R2は1価の有機基、mは1〜4の整
    数)で示される末端にカルバメート結合を介してアルコ
    キシシラン構造を有する含フッ素化合物を含むことを特
    徴とする請求項1または2に記載の有機系蒸着物質の成
    膜方法。
  17. 【請求項17】 成膜対象基板の表面が二酸化珪素を主
    成分とする膜で構成されていることを特徴とする請求項
    1または2に記載の有機系蒸着物質による製膜方法。
  18. 【請求項18】 成膜対象基材が反射防止膜付き基材で
    あることを特徴とする請求項1または2に記載の有機系
    蒸着物質による成膜方法。
  19. 【請求項19】 成膜対象基材が表示画面のフィルター
    用基材であることを特徴とする請求項1または2に記載
    の有機系蒸着物質による成膜方法。
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