JP4016731B2 - 調理器用トッププレート - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、電磁加熱装置を備えた調理器のトッププレートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電気調理器の加熱系には、ラジエントヒーターや、高出力タイプで知られるハロゲンヒーターなどの赤外線加熱装置や、インダクションヒーター(IH)などの電磁加熱装置が用いられている。
【0003】
従来、赤外線加熱装置を備えた調理器のトッププレートには、可視光を遮断して赤外光を透過する濃色結晶化ガラス板が利用されている。可視光の遮断は、加熱装置部品を見えにくくすることや、ハロゲンヒーターからの強力な可視発光を軽減し、眩しくないようにするためである。なおこの種の調理器は、赤熱したヒーター部が濃色結晶化ガラス板を通して視認できるため、それを加熱時の目印としている。
【0004】
一方、電磁加熱装置を備えた調理器は、赤外線加熱装置のように可視光の発生をともなわないため、加熱時の目印となるヒーター部の点灯がない。そこでこの種の調理器では、発光ダイオードなどを用いて電磁加熱パワーを別途表示するようになってきている。この加熱パワー表示体は、調理器の側部に設けられるものもあるが、加熱部の近傍に設置してトッププレートを通して加熱パワーを確認できるものが主流となりつつある。ところが発光ダイオードの光は、従来の赤外線加熱ヒーターから発せられる光ほど強くない。このため濃色結晶化ガラス板ではダイオードの光が目立たず、見にくいという難点がある。そこで電磁加熱装置のトッププレートには、発光ダイオードを表示する部位を除いて遮光被膜を設けることで、調理器の内部構造を見えないようにした透明結晶化ガラス板が用いられつつある。例えば特開平10−273342号には、無機顔料とガラスからなる多孔質の無機顔料層からなる遮光被膜が形成されたトッププレートが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
遮光被膜を多孔質にすると、結晶化ガラス板との膨張差によるクラックの発生を防ぐことができる。このような遮光被膜を形成するには、ガラスが少なく無機顔料が多いものを使用すればよい。
【0006】
ところが多孔質の遮光被膜を採用した場合、トッププレート裏面の電磁加熱部分に取り付けられる温度センサー(熱電対)の接着痕が目立ち、外観上好ましくないという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、温度センサーの接着痕が目立たず、外観が良好な調理器用トッププレートを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の調理器用トッププレートは、電磁加熱装置を備えた調理器のトッププレートとして用いられる調理器用トッププレートであって、低膨張透明結晶化ガラス板の表面に無機顔料とガラスからなる多孔質の遮光被膜が形成され、前記遮光被膜の少なくとも電磁加熱部分上に耐熱樹脂層が形成されてなることを特徴とする。
【0009】
また本発明の調理器用トッププレートは、電磁加熱装置と赤外線加熱装置を備えた調理器のトッププレートとして用いられる調理器用トッププレートであって、低膨張透明結晶化ガラス板の表面に無機顔料とガラスからなる多孔質の遮光被膜が形成され、前記遮光被膜の少なくとも電磁加熱部分上に耐熱樹脂層が形成されてなることを特徴とする。
【0010】
【作用】
トッププレートに形成される遮光被膜は、充填密度が低く、多数の微小な隙間があり、光沢がない。このためセンサーの接着に用いる接着剤が遮光被膜の隙間に流れ込んで固化する。その結果、その部分だけ光沢を有して周囲とは異質に見えてしまう。
【0011】
そこで本発明では、予め耐熱樹脂層を遮光被膜上に形成しておくことにより、センサーの接着剤が遮光被膜の隙間に流れ込むのを防止するものである。
【0012】
以下に本発明を詳述する。
【0013】
本発明の調理器用トッププレートは、透明結晶化ガラス板の表面に遮光被膜及び耐熱樹脂層が形成されている。
【0014】
遮光被膜は、無機顔料とガラスからなる。また結晶化ガラス板との膨張差によるクラック発生を防止するために多孔質である。遮光被膜の形成には、無機顔料粉末とガラス粉末の割合が質量比で5:5〜9:1、好ましくは5:5〜8:2の範囲にある形成材料を使用することが好ましい。ガラス粉末の割合が1割以上であれば、無機顔料粉末を結晶化ガラス板に強固に固定することができ、また5割以下であれば、ガラス粉末が緻密に焼結することがなく、容易に多孔質膜を得ることができる。
【0015】
無機顔料粉末としては、TiO2、ZrO2、ZrSiO4の他、Co−Al−Zn系、Co−Al−Si系、Co−Al−Ti系、Co−Al−Cr系、Co−Ni−Ti−Zn系、Ti−Sb−Cr系、Ti−Ni系、Co−Si系、Ti−Fe−Zn系、Fe−Zn系、Fe−Ni−Cr系、Zn−Fe−Cr−Al系、Co−Cr−Fe系、Cu−Cr系、Cu−Cr−Fe系、Cu−Cr−Mn系の酸化物顔料等を単独又は混合して用いることができる。ガラス粉末としては、B2O3−SiO2系、Na2O−CaO−SiO2系、Li2O−Al2O3−SiO2系、ZnO−Al2O3−P2O5系等のガラスが使用できる。
【0016】
遮光被膜の厚みは0.1〜50μm、特に0.2〜40μmであることが好ましい。厚みが0.1μm以上であれば加熱装置を隠すための可視光遮蔽が可能となり、また50μm以下であれば、印刷回数の増加や材料コストの増加による製膜コストの上昇を抑制することができる。さらに、トッププレートは再溶融してリサイクルされるが、被膜に含まれる無機顔料はガラスにとって不純物となり、ガラスの着色の原因となる。しかし膜厚が薄ければ着色が生じ難くなる。
【0017】
なお遮光被膜は、結晶化ガラス板全面に形成してもよいが、必要に応じて未形成部分を設けてもよい。例えば加熱部分周辺に発光ダイオード表示領域を形成するための未形成部分を設けることができる。
【0018】
また電磁加熱装置だけでなく、赤外線加熱装置も備えた調理器に用いられる場合、赤外線加熱部分の遮光被膜の印刷密度を電磁加熱部分のそれより低くしたり、電磁加熱部分よりも遮光被膜の膜厚を薄くすることが望ましい。また無機顔料とガラスからなる無機顔料層に代えて、ラスター層(金属光沢膜)を形成してもよい。つまり、無機顔料層からなる遮光被膜は赤外線を透過しにくいため、赤外線加熱部分の遮光被膜の印刷密度を低くしたり、膜厚を薄くしたり、或いはラスター膜にすることにより、赤外線加熱に必要な量の赤外線を透過させることが可能になるためである。なお、「印刷密度」とは、単位面積当たりの膜形成(印刷)面積を意味している。例えばトッププレートの或る領域1cm2当たりの膜形成部分の総面積が0.5cm2である場合、印刷密度は50%である。また「赤外線加熱部分の印刷密度」とは、調理器の赤外線加熱装置と対応する領域全体の平均印刷密度であり、「電磁加熱部分の印刷密度」とは、電磁加熱装置と対応する領域全体の平均印刷密度を意味している。
【0019】
印刷密度を低くする場合、電磁加熱部分の印刷密度の30〜80%、特に40〜80%となるようにすることが好ましい。赤外線加熱部分の印刷密度が電磁加熱部分の30%以上であれば、加熱装置を完全に隠すための可視光遮蔽が可能となり、また印刷密度が80%以下であれば、赤外線透過量が十分となり、高い調理性能が得られる。
【0020】
遮光被膜の印刷密度を低くし、十分な赤外線透過量を確保する方法としては、例えば多数の開孔を設ける方法がある。開孔を形成する場合、赤外線加熱部分全体に均一に分布させることが望ましい。各開孔の大きさは、直径0.05〜5mm程度、特に0.1〜3mm程度であることが好ましい。また1cm2当たり5〜500個程度、特に10〜500個程度の開孔を形成することが好ましい。
【0021】
遮光被膜の厚みを薄くする場合、電磁加熱部分の遮光被膜の10〜50%程度、特に10〜40%程度の厚みとすることが好適である。10%以上であれば周囲とのコントラストが大きくならず、目立ちにくくなる。また50%以下であれば赤外線透過量が多くなり、十分な調理性能が得られる。
【0022】
ラスター膜にする場合、Au、Pt、Pd、Rh、Ru、Bi、Sn、Ni、Fe、Cr、Ti、Ca、Si、Mgなどの金属元素、及びそれらの複合体を含むものが使用可能である。特にAu、Pd、Bi、Sn、Fe、Ti等を含むものが好適に使用できる。ラスター膜の厚みは平均0.1〜10μm、特に0.1〜5μmであることが好ましい。
【0023】
耐熱樹脂層には、約200℃以上の耐熱性が必要とされる。耐熱性を有する樹脂としては、ポリイミド系樹脂、(芳香族)ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂又はこれらの複合体を主成分として用いることができる。また耐熱樹脂層は無色有色を問わない。
【0024】
耐熱樹脂層の膜厚は0.01〜50μmが適当である。0.01μm以上であれば接着剤の浸透を防ぐことが可能である。また50μm以下であれば、コストアップの問題や、ガラスの再溶融の際に還元が起こる、といった問題が生じにくい。
【0025】
またこの層には、遮光被膜の外観を調整するために、耐熱有機顔料や無機顔料を含有させてもよい。
【0026】
耐熱樹脂層は、電磁加熱部分のみに施してもよいが、その他の部分に施してもよい。例えば調理器本体へのトッププレートの取り付けに接着剤を用いる場合、電磁加熱部分と同様にその接着痕が現れることがあるが、その部分にも耐熱樹脂層を形成しておくことにより、良好な外観を得ることができる。遮光被膜全体の色調を均一にするためにも、耐熱樹脂層は、赤外線加熱部分を除いた遮光被膜全面に施すことが望ましい。なお耐熱樹脂の耐熱性が高く、赤外線加熱時の高温に耐えられる場合は、赤外線加熱部分にも耐熱樹脂層を付与すると、さらに良好な外観を得ることができる。
【0027】
本発明における透明結晶化ガラス板は、無色の透明低膨張結晶化ガラスであることが好ましいが、本発明の目的が達成されるのであれば有色の透明結晶化ガラスでも差し支えない。結晶化ガラス板は、加熱、冷却が繰り返されるため、低膨張であることが求められ、特に30〜750℃における平均線熱膨張係数が−10〜+30×10-7/℃、特に−10〜+20×10-7/℃の範囲にあるものを使用することが望ましい。熱膨張係数が上記範囲内にあれば、加熱時にトッププレート内部に著しい温度分布が生じても、膨張差で割れることがない。この条件を満たす結晶化ガラスとして、例えば日本電気硝子株式会社製N−0がある。
【0028】
本発明の調理器用トッププレートは、遮光被膜及び耐熱樹脂層が調理器本体側、即ち電磁加熱装置(及び赤外線加熱装置)と対向するように調理器に取り付けて使用される。調理器への取り付けは、調理器本体に設けられたトッププレート支持枠に、シリコン樹脂等を用いて接着、固定することにより行われる。
【0029】
なお調理器の上面となる面にも、意匠性向上やヒーター位置の表示等のために、必要に応じて装飾被膜を印刷形成することができる。装飾被膜も無機顔料粉末とガラス粉末からなる材料を用いて形成できるが、擦れても剥がれないように、また汚れが付着しにくいように、強固で平滑な膜にすることが必要である。それゆえ装飾被膜用材料には、遮光被膜用材料よりもガラス含有率の高いものを選択することが重要である。具体的には、装飾被膜材料中のガラス含有率は、質量基準で5割以上であることが好ましい。またガラス粉末や無機顔料粉末には、遮光被膜に用いるものと同様の材料を使用することができる。
【0030】
また調理器の上面となる面には、フッ素コート等の防汚処理を施してもよい。
【0031】
本発明の調理器用トッププレートは、次のようにして作製される。まず所定のサイズに成形、加工された低膨張透明結晶化ガラス板を用意する。また無機顔料とガラス粉末との混合粉末をペースト化する。次いで結晶化ガラス板表面にペーストを例えばスクリーン印刷、転写等の方法で印刷し、乾燥後、焼成して透明結晶化ガラス板上に遮光被膜を形成する。さらに耐熱樹脂を例えばスプレー法、印刷法等の方法で遮光被膜上に塗布し、乾燥させることにより、本発明の調理器用トッププレートを得ることができる。
【0032】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を説明する。
【0033】
(実施例1)
まず市販のCu−Cr−Mn系黒色無機顔料粉末とB2O3−SiO2系ガラス粉末(日本電気硝子株式会社製BHW)からなるフリットに、樹脂及び有機溶剤を添加して遮光被膜形成用無機顔料ペーストを作製した。なお無機顔料粉末とガラス粉末の混合割合は、質量比で7:3とした。次にこのペーストを日本電気硝子株式会社製の板厚4mm透明結晶化ガラス板N−0(30〜750℃の平均線熱膨張係数−4×10-7/℃)にスクリーン印刷した。続いてペーストを100〜150℃で10〜20分間乾燥させた後、850℃で30分間焼成を行い、結晶化ガラス板1に無機顔料層からなる遮光被膜2を形成した。遮光被膜を膜厚計で測定したところ、厚みは5μmであった。続いて遮光被膜上に全面にわたってシリコン樹脂からなる耐熱樹脂をスクリーン印刷にて塗布し、乾燥させ、耐熱樹脂層3を形成した。耐熱樹脂層を膜厚計で測定したところ、厚みは1〜3μmであった。
【0034】
このようにして作製したトッププレート(図1)の電磁加熱部分の耐熱樹脂層上に、熱電対の接着に用いられる接着剤(シリコン樹脂)を塗布した。なお比較のために、耐熱樹脂層を形成していないトッププレートを用意し、その電磁加熱部分の遮光被膜上に同じ接着剤を塗布した。
【0035】
得られた各サンプルについて、調理器の上面となるトッププレート面(即ち、遮光被膜が形成されていない面)を観察したところ、本発明の実施例では、接着剤の接着痕が全く認められなかったのに対し、耐熱樹脂層を形成していない比較例では接着痕が見られ、外観上好ましくなかった。
【0036】
(実施例2)
図2は、装飾被膜を形成した本発明の調理器用トッププレートを示している。なお図中、Aは赤外線加熱部分を、Bは電磁加熱部分をそれぞれ表している。
【0037】
まず実施例1と同様にして遮光被膜形成用無機顔料ペーストを結晶化ガラス板にスクリーン印刷した。ここで赤外線加熱部分Aの印刷密度は、電磁加熱部分Bの印刷密度の50%とした。印刷密度は、赤外線加熱部分全体に均一に分布させた開孔(1mmφドット)の密度を変化させることで調整した。続いてペーストを100〜150℃で10〜20分間乾燥させた後、850℃で30分間焼成を行い、結晶化ガラス板1に無機顔料層からなる遮光被膜2を形成した。この遮光被膜を膜厚計で測定したところ、厚みは5μmであった。
【0038】
調理面となるもう一方の面(表側)の装飾被膜形成は、以下のように準備した。TiO2白色無機顔料粉末とB2O3−SiO2系ガラス粉末からなるフリットに、樹脂及び有機溶剤を添加して装飾被膜用無機顔料ペーストを作製した。なお無機顔料粉末とガラス粉末の混合割合は、質量比で3:7とした。次に、遮光被膜が形成された面とは反対の面(表側)にこのペーストをスクリーン印刷した。続いてペーストを100〜150℃で10〜20分間乾燥させた後、850℃で30分間焼成を行い、結晶化ガラス板1に装飾被膜4を形成した。このようにして形成された装飾被膜は、ガラス中に無機顔料が分散しており、気孔を殆ど含まないものであった。装飾被膜を膜厚計で測定したところ、厚みは5μmであった。
【0039】
得られた調理器用トッププレートについて、トッププレート裏側に形成された遮光被膜を観察したところ、クラックは見られなかった。また表側は光沢のある平滑な表面を呈していた。
【0040】
続いてシリコン樹脂からなる耐熱樹脂を、遮光被膜の赤外線加熱部分を除いた部分にスクリーン印刷にて塗布し、乾燥させ、耐熱樹脂層3を形成した。耐熱樹脂層を膜厚計で測定したところ、厚みは1〜3μmであった。
【0041】
得られた調理器用トッププレートの電磁加熱部分の耐熱樹脂層上に、熱電対の接着に用いられる接着剤(シリコン樹脂)を塗布した。
【0042】
次にトッププレートを、電磁加熱部分が電磁ヒーター(1.5kW)上に、赤外線加熱部分が赤外線ヒーター(1.5kW)上になるように、遮光被膜を下側にして調理器本体にセットした。
【0043】
この調理器について、遮光性、熱電対の接着痕の有無及び調理性能を評価した。その結果、加熱装置の構造は全く見えず、また接着剤による接着痕も確認できなかった。しかも電磁ヒーター、赤外線ヒーターとも良好な調理性能を有していた。
【0044】
なお調理性能は、300ml容器に入れた100mlの水を、各ヒーターにてフルパワーで5分間加熱することにより評価した。評価の結果、水が沸騰すれば良好な調理性能を有していると判断した。
【0045】
(実施例3)
図3は、赤外線加熱部分の遮光被膜として印刷膜厚を薄くした無機顔料層を採用し、且つ耐熱樹脂層を形成した本発明の調理器用トッププレートを示している。なお図中、Aは赤外線加熱部分を、Bは電磁加熱部分をそれぞれ表している。
【0046】
まず実施例1と同様にして遮光被膜形成用無機顔料ペーストを結晶化ガラス板にスクリーン印刷した。ここで赤外線加熱部分Aの膜厚は、電磁加熱部分Bの膜厚の20%とした。印刷膜厚は、印刷回数、及びスクリーンの種類を変えることで調整した。続いてペーストを100〜150℃で10〜20分間乾燥させた後、850℃で30分間焼成を行い、結晶化ガラス板1に無機顔料層からなる遮光被膜2を形成した。電磁加熱部分の遮光被膜を膜厚計で測定したところ、厚みは5μmであった。
【0047】
調理面となるもう一方の面(表側)の装飾被膜4の形成は、実施例2と同様にして行った。
【0048】
続いてシリコン樹脂からなる耐熱樹脂を、遮光被膜の赤外線加熱部分を除いた部分にスクリーン印刷にて塗布し、乾燥させ、耐熱樹脂層3を形成した。耐熱樹脂層を膜厚計で測定したところ、厚みは1〜3μmであった。
【0049】
得られた調理器用トッププレートについて、実施例2と同様にして調理器本体にセットし、遮光性、熱電対の接着痕の有無及び調理性能を評価した。その結果、加熱装置の構造は全く見えず、また接着剤による接着痕も確認できなかった。しかも電磁ヒーター、赤外線ヒーターとも良好な調理性能を有していた。
【0050】
(実施例4)
図4は、赤外線加熱部分の遮光被膜としてラスター層を採用し、且つ耐熱樹脂層を形成した本発明の調理器用トッププレートを示している。なお図中、Aは赤外線加熱部分を、Bは電磁加熱部分をそれぞれ表している。
【0051】
まず市販の金元素含有ラスターペーストを用意し、日本電気硝子株式会社製の板厚4mmの透明結晶化ガラス板N−0(30〜750℃の平均線熱膨張係数−4×10-7/℃)の赤外線加熱部分にスクリーン印刷した。100〜150℃で30分間乾燥させた後、850℃で30分間焼成し、赤外線加熱部分にラスター層からなる遮光被膜5を形成した。ラスター層を膜厚計で測定したところ、厚みは2μmであった。
【0052】
次に実施例1と同様にして遮光被膜形成用無機顔料ペーストを作製し、結晶化ガラス板の赤外線加熱部分以外の領域にスクリーン印刷した。100〜150℃で10〜20分間乾燥させた後、850℃で30分間焼成を行い、結晶化ガラス板の電磁加熱部分を含む領域に無機顔料層からなる遮光被膜2を形成した。無機顔料層を膜厚計で測定したところ、厚みは5μmであった。
【0053】
調理面となるもう一方の面(表側)の装飾被膜4の形成は、実施例2と同様にして行った。
【0054】
続いてシリコン樹脂からなる耐熱樹脂を、遮光被膜の赤外線加熱部分を除いた部分にスクリーン印刷にて塗布し、乾燥させ、耐熱樹脂層3を形成した。耐熱樹脂層を膜厚計で測定したところ、厚みは1〜3μmであった。
【0055】
このようにして作製した調理器用トッププレートについて、実施例2と同様にして調理器本体にセットし、遮光性、熱電対の接着痕の有無及び調理性能を評価した。その結果、加熱装置の構造は全く見えず、また接着剤による接着痕も確認できなかった。しかも電磁ヒーター、赤外線ヒーターとも良好な調理性能を有していた。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の調理器用トッププレートは、温度センサーの接着痕が目立たず、良好な外観を有しており、電磁加熱装置を備えた調理器のトッププレートとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の他の実施例を示す説明図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図3】本発明の他の実施例を示す説明図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図4】本発明の他の実施例を示す説明図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【符号の説明】
1 低膨張透明結晶化ガラス板
2 無機顔料層からなる遮光被膜
3 耐熱樹脂層
4 装飾被膜
5 ラスター層からなる遮光被膜
A 赤外線加熱部分
B 電磁加熱部分
Claims (13)
- 電磁加熱装置を備えた調理器のトッププレートとして用いられる調理器用トッププレートであって、低膨張透明結晶化ガラス板の表面に無機顔料とガラスからなる多孔質の遮光被膜が形成され、前記遮光被膜の少なくとも電磁加熱部分上に耐熱樹脂層が形成されてなることを特徴とする調理器用トッププレート。
- 耐熱樹脂層が、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂又はシリコン系樹脂、若しくはそれらの複合体を含むことを特徴とする請求項1の調理器用トッププレート。
- 遮光被膜及び耐熱樹脂層が、電磁加熱装置と対向する面に形成されてなることを特徴とする請求項1の調理器用トッププレート。
- 低膨張透明結晶化ガラス板が、30〜750℃における平均線熱膨張係数が−10〜+30×10-7/℃である結晶化ガラスからなることを特徴とする請求項1の調理器用トッププレート。
- 電磁加熱装置と赤外線加熱装置を備えた調理器のトッププレートとして用いられる調理器用トッププレートであって、低膨張透明結晶化ガラス板の表面に無機顔料とガラスからなる多孔質の遮光被膜が形成され、前記遮光被膜の少なくとも電磁加熱部分上に耐熱樹脂層が形成されてなることを特徴とする調理器用トッププレート。
- 耐熱樹脂層が、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂又はシリコン系樹脂、若しくはそれらの複合体を含むことを特徴とする請求項5の調理器用トッププレート。
- 遮光被膜及び耐熱樹脂層が、電磁加熱装置と対向する面に形成されてなることを特徴とする請求項5の調理器用トッププレート。
- 赤外線加熱部分の遮光被膜の印刷密度が電磁加熱部分のそれより低いことを特徴とする請求項5の調理器用トッププレート。
- 赤外線加熱部分の遮光被膜は、直径0.05〜3mmの開孔が1cm2当たり5〜500個形成されてなることを特徴とする請求項5の調理器用トッププレート。
- 赤外線加熱部分の遮光被膜の膜厚が電磁加熱部分のそれより薄いことを特徴とする請求項5の調理器用トッププレート。
- 赤外線加熱部分の遮光被膜がラスター膜からなることを特徴とする請求項5の調理器用トッププレート。
- 低膨張透明結晶化ガラス板が、30〜750℃における平均線熱膨張係数が−10〜+30×10-7/℃である結晶化ガラスからなることを特徴とする請求項5の調理器用トッププレート。
- 無機顔料とガラス粉末の混合粉末をペースト化し、次いで低膨張透明結晶化ガラス表面に前記ペーストを印刷し、乾燥、焼成した後、耐熱樹脂を塗布し、乾燥させる調理器用トッププレートの製造方法であって、耐熱樹脂が、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂又はシリコン系樹脂、若しくはそれらの複合体を含むことを特徴とする調理器用トッププレートの製造方法。
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