JP4482718B2 - 調理器用トッププレート - Google Patents

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Description

本発明は、電磁加熱装置を備えた調理器のトッププレートに関するものである。
家庭用や業務用の調理器には、ガス調理器としてガスコンロ、赤外線加熱調理器としてラジエントヒーターやハロゲンヒーター、または電磁加熱(IH)調理器等が従来から使用されている。
これらの調理器に用いられるトッププレートには、加熱装置や内部配線等に調理者が接触したり、水、調味料、食品等がかかったりしないように、加熱装置や内部配線等の調理器の内部構造を隠蔽する役割を有しており、安全性、耐腐食性が高く、熱衝撃に強い材質が使用され、特に、電磁加熱調理器のトッププレートには、電磁波によって誘導加熱されにくい材質として、熱膨張係数の小さい結晶化ガラスが使用されている。
調理器のトッププレートに結晶化ガラス板を用いる場合、内部構造を隠蔽するために主に2つの方法が用いられている。
第1の方法は、結晶化ガラス板自体を着色剤によって濃色に着色し、不透明または半透明にする方法である(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、着色剤はガラスに溶け込むことができなければならず、使用できる着色剤の種類が限られたり、添加できる着色剤の量が制限されたりするため、限られた色にしか着色することができなかった。
また、電磁加熱装置のトッププレートに濃色の結晶化ガラス板を使用した場合、その結晶化ガラス板を通して印加される電力量等を表示するインジケーターの光を確認しにくいという問題を有していた。
そのため、インジケーターの光を調理面に表示させるためにはトッププレートの所定箇所に孔を設ける必要があり、加工時に結晶化ガラス板に割れや欠けが発生しやすいという問題を有していた。
第2の方法は、透明結晶化ガラス板の裏面(加熱装置と対向する面)に装飾層を形成し、この装飾層によって内部構造を隠蔽する方法である。(例えば、特許文献2〜4参照。)。これらの方法を用いて、インジケーター部を除いて装飾層を形成すると、透明結晶化ガラス板の表面側からでもインジケーターの光を充分に確認できるようになる。装飾層には、耐熱性、耐クラック性、耐剥離性および装飾性が求められる。
特許文献2に記載のトッププレートは、透明結晶化ガラス板にラスター彩からなる装飾層を形成したものであるが、ラスター彩は貴金属を多量に含むため非常に高価である。
特許文献3に記載のトッププレートは、装飾層が多孔質ガラスからなるため耐熱性、耐クラック性、耐剥離性に優れるとともに装飾層に含まれる顔料の種類を選択することによって、所望の色のトッププレートを得ることができる。しかし、装飾層が多孔質からなるため、装飾層の表面に接着剤を用いて温度センサーを取り付けた場合、接着剤が装飾層の空隙に浸透して、その部分だけ異なった外観となるという問題を有していた。
特許文献4には、シリコーン樹脂またはシリカ質ゾルと、TiOで表面を被覆した無機顔料とからなるパール調の装飾層が透明結晶化ガラス板に絵付け焼成したトッププレートが記載されている。この装飾層では、シリコーン樹脂またはシリカ質ゾルの有機基が焼成中に脱離し、無機顔料表面のTiと、シリコーン樹脂またはシリカ質ゾル中のSiとが、O原子を介してTi−O−Si結合が形成される。この結合の周囲は網目構造が粗であるため、装飾層と透明結晶化ガラス板との界面における熱収縮差を緩和して装飾層にクラックや剥離が起こりにくいことが記載されている。
特公平3−9056号公報 特公平7−17409号公報 特開平10−273342号公報 特開2001−213642号公報
ところで、特許文献4に記載の調理器用トッププレートは、無機顔料の表面をTiOで被覆するため手間やコストがかかり、また、無機顔料によってはTiOで被覆しても装飾層におけるクラックや剥離の発生を防止する効果が見られない場合があるとともに、パール調以外の色調の装飾層を得られなかった。
また、クラックや剥離が発生しなくても、装飾層の表面に接着剤を用いて温度センサーを取り付けた場合、装飾層が接着剤の浸透を十分に防止しきれず、接着痕として周囲とは異質に見えるという問題を有していた。
本発明は、装飾層が所望の色であり、クラックや剥離が発生しないとともに、接着剤が浸透せず、外観の優れた調理器用トッププレートを提供することである。
本発明者等は、鋭意検討を行なった結果、装飾層に用いるシリコーン樹脂が適度な三次元網目構造を形成すると、温度センサーを接着剤で設置しても接着剤が装飾膜に浸透しないとともに、クラックや剥離が発生しないため、外観が損なわれないことを見いだし、本発明として提案するものである。
本発明の調理器用トッププレートは、電磁加熱装置を備えた調理器のトッププレートとして用いられる調理器用トッププレートであって、透明結晶化ガラス板の電磁加熱装置と対向する面に装飾層が形成され、該装飾層が、有機基とSiとのモル比(有機基/Si)が0.1〜1.5であるシリコーン樹脂100質量部に対して、10〜100質量部の無機顔料が混合されてなることを特徴とする。
本発明の調理器用トッププレートは、電磁加熱装置を備えた調理器のトッププレートとして用いられる調理器用トッププレートであって、透明結晶化ガラス板の電磁加熱装置と対向する面に装飾層が形成され、該装飾層が、有機基とSiとのモル比(有機基/Si)が0.1〜1.5であるシリコーン樹脂100質量部に対して、10〜100質量部の無機顔料が混合されてなるため、装飾層にクラックや剥離が発生しないとともに、接着剤が浸透しせず、外観が優れる。また、本発明において、使用できる無機顔料に制限がないため、所望の色の調理器用トッププレートを得ることができる。
シリコーン樹脂に含まれる有機基とSiとのモル比(有機基/Si)が1.5より大きいと、シリコーン樹脂中に三次元網目構造が形成されにくいため、温度センサーを設置するための接着剤が装飾層に浸透しやすく、接着部付近だけ異なった外観となる。また、0.1よりも小さいと、シリコーン樹脂の重合度が高くなり、非常に緻密な三次元網目構造が形成されるため、装飾層が硬くなるとともに大きく収縮し、透明結晶化ガラス板と装飾層との間に生じる応力によってクラックや剥離の発生を抑制できない。有機基とSiとのモル比(有機基/Si)の好ましい範囲は、0.3〜1.3であり、さらに好ましくは0.5〜1.2である。
無機顔料がシリコーン樹脂100質量部に対して10質量部より少なく混合すると、加熱装置を隠すための可視光隠蔽能が不十分であり、また、装飾層のクラックや剥離が発生しやすく、外観が損なわれる。さらに、そのクラック等の空隙に接着剤が浸透することでその部分だけ光沢を有して、周囲とは異質に見えるため、外観が損なわれる。
すなわち、無機顔料の添加量が少ないと、シリコーン樹脂は、無機顔料によって阻害されることなく重合反応が進行し、非常に緻密な三次元網目構造が形成されるため、装飾層は硬くなるとともに大きく収縮し、透明結晶化ガラス板との界面に生じた応力によって剥離が発生したり、無機顔料との界面に生じた応力によって無機顔料の近傍からクラックが発生したりする。
無機顔料がシリコーン樹脂100質量部に対して100質量部より多く混合すると、シリコーン樹脂が、無機顔料によって重合反応が阻害されて充分な三次元網目構造を形成できないため、温度センサーの接着剤が装飾層に浸透し、装飾層のその部分だけ異なった外観となるとともに、シリコーン樹脂の重合度が高くならず装飾層が弾力性の乏しい被膜となるため、クラックが発生しやすく、意匠性が低下する。
好ましい無機顔料の混合量は、シリコーン樹脂100質量部に対して20〜80質量部であり、さらに好ましくは30〜70質量部である。
本発明の調理器用トッププレートは、シリコーン樹脂の主成分が三官能性シリコーンであると、Si−O−Si結合からなる三次元網目構造が形成されるため、耐熱性が高くなるとともに、三次元網目構造が形成されて装飾層が緻密になるため、接着剤の浸透が抑制され、意匠性の低下を防止でき好ましい。シリコーン樹脂に三官能性シリコーンの他に重合度を調節する目的で二官能性シリコーンや四官能性シリコーンが用いられていてもよい。なお「三官能性シリコーン」とは、Si原子が有する四本の結合手のうち、三本が架橋酸素と結合し、残りの一本がフェニル基、メチル基などの有機基と結合したシリコーンを指す。
本発明の調理器用トッププレートは、シリコーン樹脂中の有機基であるメチル基とフェニル基とのモル比(メチル基/フェニル基)が0.2〜5であることが好ましい。さらに好ましくは、0.5〜4である。メチル基とフェニル基とのモル比(メチル基/フェニル基)が0.2よりも小さいと、Si原子に結合したフェニル基の割合が多くなる。フェニル基は分子量が大きいため、装飾層中にフェニル基が多く存在すると、装飾層の構造が粗になり、温度センサーの接着剤が装飾層に浸透しやすくなり好ましくない。一方、5よりも大きいと、装飾層の耐熱性が低下しやすい。
本発明の調理器用トッププレートは、装飾層の膜厚が、0.1〜10μmであると好ましい。さらに好ましくは、1〜5μmである。厚みが0.1μmより薄いと、加熱装置を隠すための可視光隠蔽能が不十分となるため外観上好ましくない。また、10μmより厚いと、装飾層の乾燥や焼成を行なう際に、表面から離れた内部に存在する有機溶剤ほど揮発が遅れるため、装飾層表面にピンホールやクラックが発生しやすくなり、外観が損なわれやすい。
また、本発明の調理器用トッププレートは、シリコーン樹脂の他に耐熱性の高い樹脂であるポリイミド系樹脂、(芳香族)ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂などをシリコーン樹脂と混合して装飾層を形成することもできる。
無機顔料としては、例えば、TiO、ZrO、ZrSiO等の白色顔料、Co−Al−Zn系、Co−Al−Si系、Co−Al−Ti系等の青色顔料、Co−Al−Cr系、Co−Ni−Ti−Zn系等の緑色顔料、Ti−Sb−Cr系、Ti−Ni系の黄色顔料、Co−Si系等の赤色顔料、Ti−Fe−Zn系、Fe−Zn系、Fe−Ni−Cr系、Zn−Fe−Cr−Al系等の茶色顔料、Cu−Cr系、Cu−Cr−Fe系、Cu−Cr−Mn系等の黒色顔料を単独または混合して用いることができるが、特に、TiO、ZrO、ZrSiOはガラス原料でもあるため、トッププレートから装飾層を除去することなく再溶融してもガラスに着色せず、リサイクルが可能であり好ましい
本発明の調理器用トッププレートは、無機顔料が粒状である場合、平均粒径が0.1〜50μmであると好ましい。さらに好ましくは、0.1〜10μmである。粒径が0.1μmより小さいと、無機顔料粒子が再凝集を起こしやすく、樹脂中に均一に分散性しにくいとともに、作業中に粉塵として飛散しやすくなるため、環境または安全性の面から好ましくない。一方、平均粒径が50μmより大きいと、装飾層の表面凹凸が大きくなり、トッププレートの組立作業時に汚れ等が付着しやすく好ましくない。
また、本発明の調理器用トッププレートは、無機顔料が鱗片状である場合、平均直径が5〜100μm、平均厚さが0.1〜5μmであると好ましい。
鱗片状粒子の場合、平均直径が100μmより大きいと、装飾層の表面凹凸が大きくなり、トッププレートの組立作業時に汚れ等が付着しやすいため好ましくない。一方、平均直径が5μmより小さいと、無機顔料粒子が再凝集を起こしやすく、樹脂中に均一に分散性しにくいとともに、作業中に粉塵として飛散しやすくなるため、環境または安全性の面から好ましくない。
また、平均厚さが0.1μmよりも薄いと、加熱装置を隠すための可視光隠蔽能が不十分となりやすい。一方、平均厚さが5μmよりも厚いと、装飾層の表面凹凸が大きくなり、トッププレートの組立作業時に汚れ等が付着しやすいため好ましくない。
装飾層の表面粗さがRaで1.0μm以下であると好ましい。表面粗さがRaで1.0μmよりも大きいと、トッププレートを搬送したり調理器を組み立てたりする際に、装飾層表面に汚れが付着しやすく、またその汚れを除去しにくいため、装飾層に付着した汚れが透けて見え、外観が損なわれやすい。
装飾層の表面が粗くなる原因は、無機顔料の形状や含有量によるものと、装飾層に発生したクラックによるものがある。
本発明の調理器用トッププレートは、装飾層が、電磁加熱装置と対向する面に形成されてなることから、装飾層は透明結晶化ガラス板によって覆われて外部に曝されないため、装飾層に傷や汚れが付着したり、装飾層が剥離したりしにくく長期間にわたって外観を維持できる
なお、装飾層は、透明結晶化ガラス板の全面に形成してもよいが、必要に応じて未形成部分を設けても良い。例えば加熱部分周辺に引火電圧等の表示領域を配設するためにその領域を未形成部分とすることができる。
また、電磁加熱装置だけでなく、赤外線加熱装置も備えた調理器のトッププレートに用いられる場合、赤外線加熱部にラスター層(金属光沢膜)や無機顔料粉末とガラス粉末からなるガラス層を形成してもよい。つまり、赤外線加熱部では、装飾層が500℃以上に加熱されることがあり、シリコーン樹脂は熱分解されるとともに、シリコーン樹脂は赤外線透過率が低いため、耐熱性と、赤外線透過率の高いラスター層やガラス層を形成してもよい。
ラスター層を使用する場合、Au、Pt、Pd、Rh、Ru、Bi、Sn、Ni、Fe、Cr、Ti、Ca、Si、Mgなどの金属元素、及びそれらの複合体を含むものが使用可能である。特にAu、Pd、Bi、Sn、Fe、Ti等を含むものが好適に使用できる。ラスター膜の厚みは平均0.1〜10μm、特に0.1〜5μmであることが好ましい。
調理器の外表面となる面にも、意匠性向上やヒーター位置の表示等のために、必要に応じて装飾層を印刷形成することができる。なお、シリコーン樹脂層よりも強固な装飾層が必要であれば、例えば、無機顔料粉末とガラス粉末からなるガラス層を形成してもよい。
本発明の調理器用トッププレートは、透明結晶化ガラス板が、無色の透明低膨張結晶化ガラスであることが好ましいが、有色の透明結晶化ガラスであっても差し支えない。特に、透明結晶化ガラス板が、30〜750℃における平均線熱膨張係数が−10〜+30×10−7/℃、好ましくは−10〜+20×10−7/℃であると、加熱や冷却が繰り返されても、熱衝撃によって破損しにくい。この条件を満たす透明結晶化ガラスとして、例えば、日本電気硝子製のN−0がある。
本発明の調理器用トッププレートは、以下のようにして作製される。
まず、所定のサイズに成形、加工された透明結晶化ガラス板と、シリコーン樹脂と無機顔料との混合物に有機溶剤や樹脂を添加して均一に分散させたペーストを用意する。有機溶剤としては、炭素数が8〜20の高級アルコール、テルピネオール、酢酸イソアミル等が使用可能であり、樹脂としては、エチルセルロースやメチルセルロースが使用可能である。
次いで、透明結晶化ガラス板の表面にペーストをスクリーン印刷等の方法で印刷し、乾燥後、焼成して透明結晶化ガラス板上に装飾層を形成することにより、本発明の調理器用トッププレートを得ることができる。
なお、装飾層の乾燥方法としては、例えば、熱風乾燥機を使用し、50〜150℃で10分〜1時間程度乾燥する方法がある。乾燥が不十分であると、装飾層中に残留した有機溶剤が焼成時に急激に気化して、ピンホール状の塗膜欠陥やクラックを生ずる。また、透明結晶化ガラス板の表面にペーストを印刷した後、放置して乾燥すれば、有機溶剤が揮発して適当な流動性が得られるため、装飾層の表面を平滑にする作用も有する。
焼成は、電気炉等で行われる。焼成温度は200〜350℃、好ましくは250〜300℃であり、焼成時間は10分〜1時間、好ましくは30分〜1時間である。焼成工程において、焼成温度を350℃以上とすると、Si原子とフェニル基やメチル基からなる有機基のC原子との結合の切断(熱分解)が起こり、有機基が抜けた部分が空隙になり、また熱によってシリコーン樹脂の網目構造が破壊され、孔やクラックが発生しやすくなる。200℃よりも低いと、樹脂が重合し難く、緻密な網目構造が形成され難いため、温度センサーを取り付ける接着剤が装飾層に浸透しやすい。
また、装飾層の膜厚を厚くする際には、1回の耐熱塗料の塗布によって形成しても良いが、複数回の塗布により形成したほうが好ましい。複数回の塗布を行なう場合は、塗布ごとに乾燥、焼成を行った方が、残存している揮発成分によるピンホール状の塗膜欠陥やクラックを生じにくいため好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
表1および2に実施例1〜10を示し、表3および4に比較例1〜7を示す。
実施例または比較例の調理器用トッププレートは、以下のようにして作製した。
まず、シリコーン樹脂と無機顔料である市販のCu−Cr−Mn系黒色顔料(FERRO製 42−303A)とを表1に記載の割合で混合した混合物に有機溶剤を添加してペーストを作製した。なお、シリコーン樹脂としては、主成分が三官能性シリコーンであるシリコーン樹脂(信越化学工業製 KR−300系)を使用した。
このペーストを透明結晶化ガラス板(日本電気硝子製 N−0)の表面にスクリーン印刷法により塗布して装飾層を形成した。
続いて、装飾層を150℃で20分間乾燥させた後、280℃で30分間焼成し、実施例1〜5の調理器用トッププレートを作製した。
また、シリコーン樹脂と無機顔料である市販の雲母顔料(メルク製 Iriodin100)とを表2に記載の割合で混合した混合物に有機溶剤を添加してペーストを作製した以外は実施例1〜5と同様にして実施例6〜10の調理器用トッププレートを作製した。
また、シリコーン樹脂と無機顔料である市販のCu−Cr−Mn系黒色顔料(FERRO製 42−303A)とを表3または4に記載の割合で混合した混合物に有機溶剤を添加してペーストを作製した以外は実施例1〜5と同様にして比較例1〜7の調理器用トッププレートを作製した。なお、シリコーン樹脂としては、主成分が三官能性シリコーンであるシリコーン樹脂(信越化学工業製 KR−300系)、または、主成分が二官能性シリコーンであるシリコーン樹脂(信越化学工業製 KR−271系)を使用した。
装飾層の膜厚および表面粗さRaは、触針式表面粗さ計(JUKI製 JP7200F)を用いて測定した。
クラック、剥離は、倍率を200倍として光学顕微鏡を用いて装飾層を観察し、剥離が認められた場合を「×」、剥離はないが、クラックが認められた場合を「△」、剥離およびクラックともに認められなかった場合を「○」と判定した。
接着剤による装飾層の変色は、グリス痕によって評価した。グリス痕は、温度センサーを取り付けるための接着剤である耐熱グリス(シリコーン樹脂)を装飾層に塗布し、室温で24時間放置後、透明結晶化ガラス板側から目視にて観察し、接着剤が浸透し装飾層の変色が明確に認められた場合を「×」、明確では無いが変色が認められた場合を「△」、接着痕が全く認められなかった場合を「○」と判定した。
清掃性は、装飾層表面にCeO粉(平均粒径:0.5〜1μm)を付着させ、付着部を水で濡らしたキムワイプ(登録商標)にて20回往復させて拭き取り、完全に拭取れた場合を「○」、拭取れなかった場合を「×」と判定した。
表1、2から明らかなように、実施例1〜10は、装飾層にクラックや剥離が発生せず、グリス痕も認められなかった。また、清掃性も優れていた。
一方、表3、4から明らかなように、比較例1および4は、無機顔料の含有量が少ないため、装飾層の剥離が認められたとともに、接着剤が浸透し装飾層の変色が明確に認められた。また、比較例2、3および6は、無機顔料の含有量が多すぎるため、クラックの発生と、接着剤が浸透し装飾層の変色が明確に認められた。また、比較例5および7は、有機基とSiのモル比(有機基/Si)が1.8と大きいため、接着剤が浸透し装飾層の変色が明確に認められた。
以上のように、本発明の調理器用トッププレートは、所望の色に装飾できるとともに、温度センサーの接着剤による変色が認められず、また、装飾層にクラックや剥離が発生せず、良好な外観を有しているため、電磁加熱装置を備えた調理器のトッププレートとして好適である。

Claims (8)

  1. 電磁加熱装置を備えた調理器のトッププレートとして用いられる調理器用トッププレートであって、透明結晶化ガラス板の電磁加熱装置と対向する面に装飾層が形成され、該装飾層が、有機基とSiとのモル比(有機基/Si)が0.1〜1.5であるシリコーン樹脂100質量部に対して、10〜100質量部の無機顔料が混合されてなることを特徴とする調理器用トッププレート。
  2. 装飾層を形成するシリコーン樹脂が、三官能性シリコーンを主成分とすることを特徴とする請求項1に記載の調理器用トッププレート。
  3. 装飾層を形成するシリコーン樹脂が、有機基としてメチル基とフェニル基を有し、メチル基とフェニル基とのモル比(メチル基/フェニル基)が0.2〜5.0であることを特徴とする請求項1または2に記載の調理器用トッププレート。
  4. 装飾層の膜厚が0.1〜10μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の調理器用トッププレート。
  5. 無機顔料が粒状であり、平均粒径が0.1〜50μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の調理器用トッププレート。
  6. 無機顔料が鱗片状であり、平均直径が5〜100μm、平均厚さが0.1〜5μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の調理器用トッププレート。
  7. 装飾層の表面粗さがRaで1.0μm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の調理器用トッププレート。
  8. 透明結晶化ガラス板が、30〜750℃における平均線熱膨張係数が−10〜+30×10 −7 /℃であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の調理器用トッププレート。
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