JP2018040520A - 調理器用トッププレート及びその製造方法 - Google Patents

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Shohei Yokoyama
尚平 横山
弘孫 小西
Koson Konishi
弘孫 小西
利昭 金澤
Toshiaki Kanazawa
利昭 金澤
武史 土谷
Takeshi Tsuchiya
武史 土谷
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Abstract

【課題】ガラス基板の主面上に耐熱樹脂層が配置されている調理器用トッププレートにおいて、耐熱樹脂層の熱劣化が生じ難い、調理器用トッププレートを提供する。
【解決手段】ガラス基板2と、ガラス基板2の主面2a上に配置されている耐熱樹脂層4とを備える、調理器用トッププレート1であって、耐熱樹脂層4が、着色顔料粉末と、体質顔料粉末と、シリコーン樹脂とを含み、耐熱樹脂層4における、着色顔料粉末の平均粒子径が、0.3μm以下であることを特徴としている。
【選択図】図1

Description

本発明は、調理器用トッププレート及び該調理器用トッププレートの製造方法に関する。
調理器の加熱装置としては、ラジエントヒーターや、高出力タイプで知られるハロゲンヒーターなどの赤外線加熱装置、インダクションヒーター(IH)などの電磁加熱装置が用いられている。
従来、赤外線加熱装置を備えた調理器のトッププレートとしては、可視光を遮断して赤外光を透過する濃色結晶化ガラス板が広く利用されている。濃色結晶化ガラス板をトッププレートとして利用することで、トッププレートの裏側に配置されている部材を隠蔽し、美観性を高めることができるとともに、強力な可視光を発する赤外線加熱装置の防眩を測ることができる。
なお、赤外線加熱装置を備えた調理器は、赤熱したヒーター部が濃色結晶化ガラス板を通して視認できるため、加熱中であることを表示するための機構は、特に設ける必要がない。
一方、電磁加熱装置を備えた調理器(以下、「IH調理器」とする。)は、赤外線加熱装置とは異なり、発熱中においても、可視光を発生させない。このため、IH調理器には、加熱中であることを表示するための機構を設ける必要がある。従来、この表示機構としては、例えば、発光ダイオードなどが用いられている。
しかしながら、発光ダイオードからの光は、赤外線加熱装置からの光よりも弱い。このため、例えば、IH調理器のトッププレートとして、上記のような濃色結晶化ガラス板を用いた場合、トッププレートの裏側に配置された発光ダイオードの視認性が悪くなるという問題が生じる。
このような問題に鑑み、例えば、下記の特許文献1などにおいて、遮光層が表面に形成されている低膨張結晶化ガラス板をトッププレートとして用いることが提案されている。また、特許文献1においては、遮光層を多孔質とすることにより、遮光層と低膨張結晶化ガラス板との熱膨張率差に起因して遮光層にクラックが発生することを抑制できることが記載されている。
ところが、多孔質の遮光層を採用した場合、トッププレート裏面の電磁加熱部分に取り付けられる温度センサー(熱電対)の接着痕が目立ち、外観上好ましくないという問題がある。
この問題を解決するために、下記特許文献2では、IH調理器用トッププレートとして、低膨張結晶化ガラス板の表面に、多孔質の遮光層が形成されており、さらに遮光層の少なくとも電磁加熱部分上に耐熱樹脂層が形成されているトッププレートが提案されている。
また、上述の通り、通常、低膨張結晶化ガラス板と遮光層とは、熱膨張係数が異なるため、遮光層にクラックが生じやすい。そのため、十分に厚い遮光層を形成することができず、遮光層のみでは、十分な隠蔽性を得ることができない場合もある。そのような場合には、遮光層の上に、遮光性を補うための耐熱樹脂層が形成されることもある。
特開平10−273342号公報 特開2003−338360号公報
ところで、IH調理器では、電磁加熱装置により鍋等の調理器が直接加熱される。このため、電磁加熱装置によりトッププレートが直接加熱されるわけではない。また、通常水分を含む被加熱物が入れられた状態で調理器の加熱が行われるため、調理器の温度もそれほど高くはならない。従って、通常時は、トッププレートの温度もそれほど高くまで上昇することはない。
しかしながら、内部に被調理物がない状態で調理器を加熱するいわゆる空焚きをした場合などには、調理器が高温になり、それに伴って、トッププレートの温度も400℃以上といった高温になることもある。この場合、耐熱樹脂層が熱劣化し、変色してしまう場合がある。耐熱樹脂層が変色すると、使用面側から、耐熱樹脂層の変色が視認され、外観性が悪くなるという問題がある。
本発明の目的は、ガラス基板の主面上に耐熱樹脂層が配置されている調理器用トッププレートにおいて、耐熱樹脂層の熱劣化が生じ難い、調理器用トッププレート及び該調理器用トッププレートの製造方法を提供することにある。
本発明に係る調理器用トッププレートは、ガラス基板と、耐熱樹脂層とを備える。耐熱樹脂層は、ガラス基板の主面上に配置されている。耐熱樹脂層は、着色顔料粉末と、体質顔料粉末と、シリコーン樹脂とを含む。本発明において、耐熱樹脂層における、着色顔料粉末の平均粒子径は、0.3μm以下である。このため、例えば、調理器用トッププレートが400℃以上といった高温になった場合であっても、耐熱樹脂層が変色しにくく、熱劣化が生じ難い。従って、高い耐熱性を有する調理器用トッププレートを実現することができる。
なお、本発明において、「ガラス基板」には、結晶化ガラス基板が含まれるものとする。
本発明において、調理器用トッププレートは、ガラス基板と耐熱樹脂層との間に配置されている、無機遮光層をさらに備えていてもよい。このような構成の調理器用トッププレートを用いた場合、調理器の内部に配置されている部材をより一層効果的に隠蔽でき、調理器の美観性をさらに一層高めることができる。
なお、「無機遮光層」とは、入射する光の少なくとも一部を吸収又は反射する層である。もっとも、本発明において、「無機遮光層」は、入射する光の全部を吸収又は反射する層に限定されない。
本発明において、耐熱樹脂層における、シリコーン樹脂の割合が、30質量%以上、70質量%以下の範囲内にあることが好ましい。
本発明において、耐熱樹脂層における、平均粒子径が0.3μm以下の着色顔料粉末の割合が、10質量%以上、35質量%以下の範囲内にあることが好ましい。
本発明において、耐熱樹脂層における、体質顔料粉末の割合が、15質量%以上、35質量%以下の範囲内にあることが好ましい。
本発明の調理器用トッププレートの製造方法は、ガラス基板と、ガラス基板の主面上に配置されている耐熱樹脂層とを備える、調理器用トッププレートの製造方法であって、平均粒子径が0.3μm以下の着色顔料粉末と、体質顔料粉末と、シリコーン樹脂とを含む、ペーストを用意する工程と、ガラス基板の主面上に、ペーストを塗布し、乾燥させることによって、耐熱樹脂層を形成する工程と、を備えることを特徴としている。
本発明によれば、ガラス基板の主面上に耐熱樹脂層が配置されている調理器用トッププレートにおいて、耐熱樹脂層の熱劣化が生じ難い、調理器用トッププレート及び該調理器用トッププレートの製造方法を提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係る調理器用トッププレートを示す模式的正面断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る調理器用トッププレートを示す模式的正面断面図である。
以下、好ましい実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は単なる例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、各図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照する場合がある。
(第1の実施形態)
図1に示すように、調理器用トッププレート1(以下、「調理器用トッププレート1」を、単に「トッププレート1」とする。)は、ガラス基板2を備えている。ガラス基板2は、一方側の主面である調理面2bと、他方側の主面である裏面2aとを有している。調理面2bは、鍋やフライパンなどの調理器具が載せられる側の面である。他方、裏面2aは、調理器の内部側の面である。調理面2b及び裏面2aは、互いに対向している。
本実施形態では、ガラス基板2の裏面2a上に、無機遮光層3が設けられている。無機遮光層3上に、耐熱樹脂層4が設けられている。なお、本実施形態において、耐熱樹脂層4は、ガラス基板2の裏面2aの全体の上に形成されている。
ガラス基板2は、波長450nm〜700nmにおける少なくとも一部の光を透過する。ガラス基板2は、有色透明であってもよいが、トッププレート1の美観性をより一層高める観点から、無色透明であることが好ましい。なお、無色透明であるとは、波長450nm〜700nmにおける可視波長域の光透過率が75%以上であることをいう。
トッププレート1は、繰り返し加熱及び冷却される。このため、ガラス基板2は、高い耐熱性及び低い熱膨張係数を有するものであることが好ましい。具体的には、ガラス基板2の軟化温度は、700℃以上であることが好ましく、750℃以上であることがより好ましい。また、ガラス基板2の30℃〜750℃における平均線熱膨張係数は、−10×10−7/℃〜+40×10−7/℃の範囲内であることが好ましく、−10×10−7/℃〜+20×10−7/℃の範囲内であることがより好ましい。このため、ガラス基板2は、ガラス転移温度が高く、低膨張なガラスや、低膨張の結晶化ガラスからなるものであることが好ましい。低膨張の結晶化ガラスの具体例としては、例えば、日本電気硝子社製のN−0が挙げられる。なお、ガラス基板2としては、ホウケイ酸ガラスなどを用いてもよい。
無機遮光層3は、無機物からなり、可視光の透過率が低いものであれば、特に限定されない。無機遮光層3は、例えば、チタンなどの金属膜により形成することができる。また、無機遮光層3は、無機顔料とガラスとを含む層により形成することもできる。この場合、無機顔料としては、例えば、Cu−Cr−Mn系黒色無機顔料を用いることができる。また、ガラスとしては、例えば、B−SiO系ガラス粉末を用いることができる。
また、無機遮光層3は、多孔質膜であってもよいし、実質的に空隙を有さない、緻密な膜であってもよい。
無機遮光層3の厚みは、特に限定されない。無機遮光層3の厚みは、例えば、無機遮光層3の光透過率や、機械的強度、あるいは熱膨張係数などに応じて適宜設定することができる。なお、無機遮光層3は、通常、ガラス基板2と異なる熱膨張係数を有する。このため、繰り返しの加熱及び冷却により無機遮光層3が損傷する場合がある。
この損傷をより一層抑制する観点から、無機遮光層3は、薄い方が好ましい。無機遮光層3の厚さは、1μm以上、15μm以下の範囲内であることが好ましく、3μm以上、10μm以下の範囲内であることがより好ましい。
耐熱樹脂層4は、着色顔料粉末と、体質顔料粉末と、シリコーン樹脂とを含んでいる。耐熱樹脂層4において、着色顔料粉末及び体質顔料粉末は、シリコーン樹脂中に分散している。
着色顔料粉末は、無機顔料粉末である。本実施形態において、着色顔料粉末の平均粒子径は、0.3μm以下である。なお、平均粒子径は、レーザー回折法や電子顕微鏡で撮像した画像から読み取ることにより測定することができる。
上記のように、本実施形態では、耐熱樹脂層4における着色顔料粉末の平均粒子径が、0.3μm以下である。このため、下記の実施例においても裏付けられるように、例えば、トッププレート1が400℃以上といった高温になった場合であっても、耐熱樹脂層4が変色しにくく、熱劣化し難い。従って、高い耐熱性を有するトッププレート1を実現することができる。なお、耐熱樹脂層4における着色顔料粉末の平均粒子径が上記上限を超えると、トッププレート1が高温になったときの耐熱樹脂層4の変色を十分に抑制することができない。
耐熱樹脂層4をより一層変色しにくくし、熱劣化をより一層抑制する観点から、耐熱樹脂層4における着色顔料粉末の平均粒子径は、0.2μm以下であることがより好ましい。
なお、耐熱樹脂層4における着色顔料粉末の平均粒子径の下限は、特に限定されないが、0.05μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましい。耐熱樹脂層4における着色顔料粉末の平均粒子径が小さすぎると、後述する製造方法において製造されるペーストが、高粘度になる場合があり、印刷性が悪くなることがある。
なお、耐熱樹脂層4には、平均粒子径が0.3μmより大きい着色顔料粉末がさらに含まれていてもよい。その場合、着色顔料粉末における平均粒子径が0.3μm以下の着色顔料粉末の含有量が、50質量%以上であることが好ましい。それによって、耐熱樹脂層4をより一層変色しにくくし、熱劣化をより一層抑制することができる。
耐熱樹脂層4における平均粒子径が0.3μm以下の着色顔料粉末の含有量(割合)は、10質量%以上、35質量%以下の範囲内にあることが好ましく、20質量%以上、30質量%以下であることがより好ましい。平均粒子径が0.3μm以下の着色顔料粉末の含有量が、上記範囲内にある場合、耐熱樹脂層4をより一層変色しにくくし、熱劣化をより一層抑制することができる。なお、上記平均粒子径が0.3μm以下の着色顔料粉末の含有量は、上記耐熱樹脂層を100質量%としたときの含有量である。
耐熱樹脂層4に含まれる着色顔料粉末は、有色の無機物である限りにおいて特に限定されない。着色顔料粉末は、例えば、TiO粉末、ZrO粉末若しくはZrSiO粉末などの白色の顔料粉末、Coを含む青色の無機顔料粉末、Coを含む緑色の無機顔料粉末、Ti−Sb−Cr系若しくはTi−Ni系の黄色の無機顔料粉末、Co−Si系の赤色の無機顔料粉末、Feを含む茶色の無機顔料粉末、又はCuを含む黒色の無機顔料粉末などが挙げられる。
Coを含む青色の無機顔料粉末の具体例としては、例えば、Co−Al系又はCo−Al−Ti系の無機顔料粉末が挙げられる。Co−Al系の無機顔料粉末の具体例としては、CoAl粉末などが挙げられる。Co−Al−Ti系の無機顔料粉末の具体例としては、CoAl−TiO−LiO粉末などが挙げられる。
Coを含む緑色の無機顔料粉末の具体例としては、例えば、Co−Al−Cr系又はCo−Ni−Ti−Zn系の無機顔料粉末が挙げられる。Co−Al−Cr系の無機顔料粉末の具体例としては、Co(Al,Cr)粉末などが挙げられる。Co−Ni−Ti−Zn系の無機顔料粉末の具体例としては、(Co,Ni,Zn)TiO粉末などが挙げられる。
Feを含む茶色の無機顔料粉末の具体例としては、例えば、Fe−Zn系の無機顔料粉末が挙げられる。Fe−Zn系の無機顔料粉末の具体例としては、(Zn,Fe)Fe粉末などが挙げられる。
Cuを含む黒色の無機顔料粉末の具体例としては、例えば、Cu−Cr系の無機顔料粉末やCu−Fe系の無機顔料粉末が挙げられる。Cu−Cr系の無機顔料粉末の具体例としては、Cu(Cr,Mn)粉末や、Cu−Cr−Mn粉末などが挙げられる。また、Cu−Fe系の無機顔料粉末の具体例としては、Cu−Fe−Mn粉末などが挙げられる。
着色顔料粉末としては、上記のような無機顔料粉末の単独又は複数を混合して用いることができる。
体質顔料粉末は、着色顔料粉末とは異なる無機顔料粉末である。体質顔料粉末としては、特に限定されないが、例えば、タルク、マイカなどを用いることができる。
耐熱樹脂層4における体質顔料粉末の含有量(割合)は、15質量%以上、35質量%以下の範囲内にあることが好ましい。体質顔料粉末の含有量は、より好ましくは20質量%以上、30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以上、30質量%以下の範囲内にある。体質顔料粉末の含有量が、上記範囲内にある場合、耐熱樹脂層4をより一層変色しにくくし、熱劣化をより一層抑制することができる。なお、上記体質顔料粉末の含有量は、上記耐熱樹脂層を100質量%としたときの含有量である。
耐熱樹脂層4に含まれるシリコーン樹脂は、高い耐熱性を有するものであることが好ましい。耐熱樹脂層4に含まれるシリコーン樹脂は、例えば、シリコン原子に直接結合した官能基が、メチル基及びフェニル基のうち少なくとも一方であるシリコーン樹脂であることが好ましい。この場合、トッププレート1が高温になったときの耐熱樹脂層4の変色をより一層効果的に抑制することができる。
耐熱樹脂層4におけるシリコーン樹脂の含有量(割合)は、30質量%以上、70質量%以下の範囲内にあることが好ましい。シリコーン樹脂の含有量は、より好ましくは40質量%以上、60質量%以下、さらに好ましくは45質量%以上、50質量%以下の範囲内にある。シリコーン樹脂の含有量が、上記範囲内にある場合、耐熱樹脂層4をより一層変色しにくくし、熱劣化をより一層抑制することができる。なお、上記シリコーン樹脂の含有量は、上記耐熱樹脂層を100質量%としたときの含有量である。
耐熱樹脂層4の厚みは、特に限定されない。耐熱樹脂層4の厚みは、耐熱樹脂層4の光透過率などに応じて適宜設定することができる。耐熱樹脂層4の厚みは、例えば、1μm〜15μm程度とすることができる。
(製造方法)
トッププレート1は、例えば、以下の製造方法により製造することができる。
まず、ガラス基板2の裏面2a上に、無機遮光層3を形成する。次に、無機遮光層3上に耐熱樹脂層4を形成する。
特に、本実施形態の製造方法では、平均粒子径が0.3μm以下の着色顔料粉末と、体質顔料粉末と、シリコーン樹脂とを含む、ペーストを用意し、用意したペーストをガラス基板2の裏面2a上に塗布し、乾燥させることによって、耐熱樹脂層4を形成する。
本発明の製造方法で用いられる着色顔料粉末の平均粒子径は0.3μm以下であるため、得られるトッププレート1が400℃以上といった高温になった場合であっても、耐熱樹脂層4が変色しにくく、熱劣化し難い。従って、高い耐熱性を有するトッププレート1を製造することができる。
無機遮光層3の形成方法としては、特に限定されない。無機遮光層3は、例えば、下記の方法により形成することができる。
まず、無機顔料粉末とガラス粉末との混合粉末に溶媒を加えてペースト化する。得られたペーストをガラス基板2の裏面2a上に、スクリーン印刷法などを用いて塗布し、乾燥させる。その後、焼成することにより無機遮光層3を形成することができる。なお、焼成温度及び焼成時間は、使用するガラス粉末の組成などに応じて適宜設定することができる。焼成温度は、例えば、200℃〜850℃程度とすることができる。焼成時間は、例えば、10分〜1時間程度とすることができる。
また、無機遮光層3が、金属膜からなる場合は、スパッタリング法やCVD法などにより形成することができる。
耐熱樹脂層4の形成方法も、平均粒子径が0.3μm以下の着色顔料粉末、体質顔料粉末及びシリコーン樹脂を用いる限りにおいて、特に限定されない。耐熱樹脂層4は、例えば、着色顔料粉末及び体質顔料粉末が分散したシリコーン樹脂を無機遮光層3の上に、スクリーン印刷法などを用いて塗布し、乾燥させることにより形成することができる。乾燥温度としては、例えば、50℃〜100℃程度の温度とすることができる。乾燥時間としては、例えば、10分〜1時間程度とすることができる。なお、耐熱樹脂層4の組成によっては、乾燥後に焼成を行うことが好ましい場合もある。
また、着色顔料粉末及び体質顔料粉末が分散したシリコーン樹脂の塗布スピード及び粘度は、耐熱樹脂層4に含まれる着色顔料粉末及び体質顔料粉末の量に応じて適宜設定する必要がある。例えば、耐熱樹脂層4における着色顔料粉末及び体質顔料粉末の含有量が多い場合は、シリコーン樹脂の粘度を低くし、シリコーン樹脂の塗布スピードを遅くすることが好ましい。
以上説明したように、本実施形態では、耐熱樹脂層4における着色顔料粉末の平均粒子径が、0.3μm以下である。このため、下記の実施例においても裏付けられるように、例えば、トッププレート1が400℃以上といった高温になった場合であっても、耐熱樹脂層4が変色しにくく、熱劣化し難い。従って、高い耐熱性を有するトッププレート1を実現することができる。また、耐熱樹脂層4における着色顔料粉末の平均粒子径が、0.3μm以下であるので、高温下においても耐熱樹脂層4が高い硬度を有している。そのため、無機遮光層3やガラス基板2からの耐熱樹脂層4の剥離が生じ難い。
また、耐熱樹脂層4は、乾燥するまでの間、流動性を有するため、本実施形態のように、耐熱樹脂層4を設けた場合、トッププレート1の裏面2a側表面が平坦化される。このため、より一層美観に優れたトッププレート1を実現することができる。
また、本実施形態では、耐熱樹脂層4とともに、無機遮光層3が設けられている。このため、調理面2b側から視たときに、電磁加熱調理器などの調理器の内部に配置されている部材をより効果的に隠蔽でき、電磁加熱調理器などの調理器の美観性をさらに高めることができる。
なお、上記実施形態では、耐熱樹脂層4が、ガラス基板2の裏面2aの全体の上に形成されている場合について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。耐熱樹脂層4は、例えば、ガラス基板2の裏面2aの一部の上に形成されていてもよい。例えば、調理器が電磁加熱調理器の場合、耐熱樹脂層4を、トッププレート1の電磁加熱部分のみに設けてもよい。また、例えば、無機遮光層3が多孔質膜により構成されている場合、少なくとも、トッププレート1の裏面2aの電磁加熱部分に取り付けられる温度センサー(熱電対)の接着部の下方の部分に、耐熱樹脂層4を設けてもよい。その場合、温度センサーの接着痕を目立たなくすることができ、トッププレート1の外観性を向上させることができる。
また、上記実施形態では、ガラス基板2の調理面2bの上には、膜が形成されていない例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。例えば、調理面2bの上に、意匠性向上やヒーター位置の表示等のために、必要に応じて装飾被膜を形成してもよい。
また、ガラス基板2の裏面2a側にも、さらなる膜が形成されていてもよい。例えば、耐熱樹脂層4の上に、耐熱樹脂層4の保護層などが形成されていてもよいし、耐熱樹脂層4と無機遮光層3との間に、密着層などが形成されていてもよい。また、無機遮光層3とガラス基板2の間に意匠性向上やヒーターの位置表示等のために必要に応じて装飾被膜を形成してもよい。
(第2の実施形態)
図2は、本発明の第2の実施形態に係る調理器用トッププレート11の模式的断面図である。図2に示すように、調理器用トッププレート11においては、無機遮光層3が設けられておらず、ガラス基板2の裏面2a上に、直接耐熱樹脂層4が設けられている。
第2の実施形態においても、耐熱樹脂層4における着色顔料粉末の平均粒子径が、0.3μm以下である。このため、下記の実施例においても裏付けられるように、例えば、トッププレート11が400℃以上といった高温になった場合であっても、耐熱樹脂層4が変色しにくく、熱劣化し難い。
第2の実施形態に示すように、ガラス基板2の裏面2aの直上に、耐熱樹脂層4が設けられていてもよい。また、第1の実施形態に示したように、ガラス基板2の裏面2a上に、無機遮光層3を介して耐熱樹脂層4が設けられていてもよい。
以下、本発明について、実施例に基づいてさらに詳細を説明する。但し、以下の実施例は、単なる例示である。本発明は、以下の実施例に何ら限定されない。
(実施例1)
まず、Cu−Fe−Mn系の黒色の着色顔料粉末(平均粒子径:0.2μm)23.4質量%と、体質顔料粉末としてのタルク23.4質量%と、シリコーン樹脂29.9質量%(樹脂固形分)とを混合し、有機溶剤23.2質量%を添加してペーストを作製した。次に、このペーストを透明結晶化ガラス板(日本電気硝子社製、商品名「N−0」、30℃〜750℃における平均線熱膨張係数:0.5×10−7/℃)の全体の上に、厚みが4μmとなるように、スクリーン印刷した。その後、150℃で5分間乾燥させ、さらに300℃で30分間焼成することにより耐熱樹脂層を形成し、調理器用トッププレート(トッププレート)を完成させた。
作製したトッププレートを電磁加熱装置に組み込み、鍋を空焚きさせることにより、トッププレートを500℃で10分間保持した(空焚き試験)。その後、トッププレートの調理面側から耐熱樹脂層の変色を目視で観察した。なお、耐熱樹脂層の変色は、以下の評価基準で評価した。結果を下記の表1に示す。なお、表1における有機溶剤の配合量は、樹脂中に含まれる有機溶剤も含むものとする。また、無機顔料粉末中の体質顔料粉末割合は、着色顔料粉末及び体質顔料粉末の総量を100質量%としたときの体質顔料粉末の割合のことをいうものとする。
変色の評価基準;
◎…耐熱樹脂層が変色していない
○…耐熱樹脂層がぼんやりと変色
×…耐熱樹脂層がくっきりと変色
また、表1における鉛筆硬度は、JIS K 5600−5−4:1999に準拠して測定した。
(実施例2〜4)
着色顔料粉末、体質顔料粉末、シリコーン樹脂及び有機溶剤の配合量を下記の表1に示す割合に変更したこと以外は、実施例1と同様にして調理器用トッププレートを作製し、実施例1と同様の空焚き試験及び鉛筆硬度の測定を行った。結果を下記の表1に示す。
(実施例5)
着色顔料粉末として、平均粒子径が0.2μmであるCu−Fe−Mn系の黒色の着色顔料粉末10質量%と、平均粒子径が0.5μmであるCu−Cr−Mn系の黒色の着色顔料粉末10質量%とを併用したこと以外は、実施例2と同様にして調理器用トッププレートを作製し、実施例1と同様の空焚き試験及び鉛筆硬度の測定を行った。結果を下記の表1に示す。
(比較例1〜6,8〜11)
着色顔料粉末として、Cu−Cr−Mn系の黒色の着色顔料粉末(平均粒子径:0.5μm)を用いたこと、並びに着色顔料粉末、体質顔料粉末、シリコーン樹脂及び有機溶剤の配合量を下記の表1に示す割合に変更したこと以外は、実施例1と同様にして調理器用トッププレートを作製し、実施例1と同様の空焚き試験及び鉛筆硬度の測定を行った。結果を下記の表1に示す。
(比較例7)
着色顔料粉末として、平均粒子径が0.5μmであるCu−Fe−Mn系の黒色の着色顔料粉末を用いたこと以外は、実施例1と同様にして調理器用トッププレートを作製し、実施例1と同様の空焚き試験及び鉛筆硬度の測定を行った。結果を下記の表1に示す。
Figure 2018040520
表1における実施例及び比較例の結果から、本発明に従い、耐熱樹脂層における着色顔料粉末の平均粒子径を0.3μm以下の範囲内とすることにより、高温下においても、耐熱樹脂層が変色しにくく、高い耐熱性を有する調理器用トッププレートを実現できることがわかる。
1,11…調理器用トッププレート
2…ガラス基板
2a…裏面
2b…調理面
3…無機遮光層
4…耐熱樹脂層

Claims (6)

  1. ガラス基板と、前記ガラス基板の主面上に配置されている耐熱樹脂層とを備える、調理器用トッププレートであって、
    前記耐熱樹脂層が、着色顔料粉末と、体質顔料粉末と、シリコーン樹脂とを含み、
    前記耐熱樹脂層における、前記着色顔料粉末の平均粒子径が、0.3μm以下である、調理器用トッププレート。
  2. 前記ガラス基板と前記耐熱樹脂層との間に配置されている、無機遮光層をさらに備える、請求項1に記載の調理器用トッププレート。
  3. 前記耐熱樹脂層における、前記シリコーン樹脂の割合が、30質量%以上、70質量%以下の範囲内にある、請求項1又は2に記載の調理器用トッププレート。
  4. 前記耐熱樹脂層における、平均粒子径が0.3μm以下の前記着色顔料粉末の割合が、10質量%以上、35質量%以下の範囲内にある、請求項1〜3のいずれか1項に記載の調理器用トッププレート。
  5. 前記耐熱樹脂層における、前記体質顔料粉末の割合が、15質量%以上、35質量%以下の範囲内にある、請求項1〜4のいずれか1項に記載の調理器用トッププレート。
  6. ガラス基板と、前記ガラス基板の主面上に配置されている耐熱樹脂層とを備える、調理器用トッププレートの製造方法であって、
    平均粒子径が0.3μm以下の着色顔料粉末と、体質顔料粉末と、シリコーン樹脂とを含む、ペーストを用意する工程と、
    前記ガラス基板の前記主面上に、前記ペーストを塗布し、乾燥させることによって、前記耐熱樹脂層を形成する工程と、
    を備える、調理器用トッププレートの製造方法。
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