JP2003290921A - 多層盛溶接方法および多層盛自動溶接装置 - Google Patents

多層盛溶接方法および多層盛自動溶接装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ギャップ変化や溶接線の蛇行など寸法精度の
悪いX開先継手の溶接構造物を対象に、完全溶け込みで
高温割れのない良好な溶接を得るに好適な多層盛溶接方
法および多層盛自動溶接装置を提供する。 【解決手段】 厚板手長尺部材のX開先継手の開先を従
来よりも狭い30〜40度の範囲に限定し、高電流の1
パルスで1溶滴を移行させるパルス溶接波形と初層溶接
で出力すべきギャップ幅範囲別の複数の平均電流と充填
層および仕上層での他の平均電流とを設定し、初層溶接
時は、開先部のギャップ幅,開先中心の左右上下位置ず
れの検出情報に基づいて、ギャップ幅の大きさに対応し
た平均電流および平均電圧を階段状に増減出力させ、ギ
ャップ幅に関係のある溶着面積,溶接速度,ウィービン
グの幅と周波数などの条件パラメータとを算出して増減
し、溶接線左右および上下方向のトーチ位置ずれを修正
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、寸法精度が悪い開
先継手の厚板構造物の自動溶接に係り、特に、ギャップ
幅やビード幅の大きさに対応した溶接条件パラメータを
可変制御し、トーチ位置ずれを修正制御し、完全溶け込
みで高温割れの無い良好な溶接を実行するに好適な多層
盛溶接方法および多層盛自動溶接装置に関する。
【0002】
【従来の技術】発電プラントや化学プラントなど大型構
造物には、厚板部材が多く用いられており、工場内で溶
接可能なものや現地で組立溶接が必要なものもある。溶
接継手の開先を機械加工によって高精度に形成可能なも
のもある。
【0003】実際には、厚板構造物の多くは、大型で長
尺であり、加工コストの安いガス切断加工による開先継
手が用いられている。開先継手には、片面溶接が可能な
V形やレ形もある。しかし、溶接歪みや残留応力などの
低減に有効な両面溶接用のX開先継手が多く、そのX開
先の角度は、従来から約50〜70度と広い。
【0004】ガス切断加工の開先継手は、寸法精度が悪
く、開先部のギャップ変化が大きく、溶接線も蛇行し易
い形状となっている。長尺の開先継手内にギャップのな
い接触部分を設ければ、溶接ワークの組立作業が容易に
なるが、溶接時に溶け込み不足となり易い。
【0005】このようなギャップ変化の大きい開先継手
の溶接は、一般に、自動溶接が難しく、従来から熟練溶
接員による手動溶接が多くなされており、溶接作業に多
くの時間を要している。この手動溶接には、一般にワイ
ヤ溶融式の直流アーク溶接法が用いられ、スパッタの発
生が伴う溶接作業となる。
【0006】厚板長尺で角度の広いX開先継手は、表側
から多層盛溶接をした後に、裏側より表側の初層ビード
面まで裏ハツリ加工(ガウジングやグラインダ加工)し
て、裏側から完全溶け込み溶接の多層盛溶接をするた
め、一連の溶接作業に多大な時間を要するとともに、溶
接で消費するワイヤ量も増大してコスト高となってい
る。したがって、溶接の工数を低減し合理化するには、
開先を狭くし、裏ハツリを省略し、溶接の効率を高め、
溶接を自動化する必要がある。
【0007】まず、開先を狭くし、裏ハツリを省略でき
るようにするには、深溶け込み溶接が可能な新たな溶接
法の導入が必要である。その際に、溶け込み不足または
入熱過多による溶接割れ(高温割れ)や溶け落ちを防止す
るために、適正な溶接施工技術を確立する必要がある。
【0008】溶接を自動化するには、開先部のギャップ
幅や開先面積などの開先形状寸法や溶接線の位置ずれの
検出が可能なセンサが必要になる。ギャップ変化や開先
面積変化に対応可能な溶接条件制御やトーチ位置制御の
技術を確立する必要がある。この他、自動溶接を長時間
保持するには、トーチノズルへのスパッタ付着によるシ
ールド低下を防止しなければならず、スパッタの発生が
少ない溶接法が求められている。
【0009】一方、高い電流・電圧と低い電流・電圧を
交互に出力させるワイヤ溶融式のパルスアーク溶接法
は、通常の直流アーク溶接法と比べて、スパッタの発生
が少なく、高溶着な溶接が可能であることから、自動車
部品など薄板の溶接に多く適用されており、最近では、
厚板の溶接構造物にも適用されつつある。
【0010】しかし、市販されているパルスMAG/M
IG溶接電源の大半は、パルス電流の出力値が高々50
0A程度であり、600Aを越えるような高電流のパル
ス溶接電源は、極めて少ない。また、溶接母材の板厚や
継手形状やワイヤの材質および径によって、適用可能な
パルス溶接波形および溶接条件が異なるため、実際にス
パッタが少なく、溶接欠陥がない溶接を実現するには、
対象製品の継手に合った適正なパルス溶接波形および溶
接施工条件を確立しなければならない。
【0011】自動溶接の従来技術として、一般に据付け
型の溶接ロボットがある。溶接パス毎にティーチングし
てプレイバック溶接するには、手間と時間がかかるの
で、1品物の溶接には、不向きである。また、溶接ロボ
ットの可動範囲を超える大物製品や工場外の現地で組立
溶接が必要な構造物の溶接は、現実にはできない。他の
自動溶接の従来技術として、例えば、特公平4−751
14号公報の自動アーク溶接法では、溶接中にギャップ
幅を検出しながら、そのギャップ幅の大きさに対応して
溶接電流Iaを Ia=Io−k・G の関係式で増減制御し、また、この溶接電流Iaの大き
さに応じてワイヤ送り速度Wfを Wf=A・Ia+B・Ia の関係式で可変制御し、溶接電圧Eを E=El+Ea+Er の関係式で可変制御している。特公平4−75115号
公報には、溶接電流Iaおよびワイヤ送り速度Wfの変
化に対応して、ビード高さが一定に保たれるように、溶
接速度Vpを Vp=Wf/[(α・Wfo/Vpo)+β・(Io−Ia) の関係式で可変制御している。また、特開平3−476
80号公報の開先倣い制御装置では、開先内の形状を検
出するレーザ変位センサと、開先左右端位置およびワイ
ヤ先端位置の情報を検出するITVカメラと、これらの
情報から溶接トーチの位置を演算する手段とを備え、左
右方向の位置ずれを演算し、トーチ位置を制御してい
る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上記の特公平4−75
114号公報および特公平4−75115号公報の自動
アーク溶接法は、ギャップ幅の変化に対して溶け込みを
所望の目標値に保って自動溶接することが可能な1つの
方法として有効と考えられる。しかし、実際に溶接平均
電流を数アンペア単位で可変制御することは、困難であ
り、また、溶接電圧およびワイヤ送り速度の微小制御も
同様に難しく、過敏な制御で逆効果の動きとなって溶接
を乱す可能性がある。また、対象板厚が10mm程度の
ステンレス鋼では、開先角度も広く、表側1パスと裏側
1パスの溶接であるため、この溶接方法を、充填層や仕
上層溶接が必要な厚板継手の多パス溶接や材質が異なる
継手の溶接に適用することは、困難である。フラックス
入りワイヤによる溶接では、ビード表面全体に形成され
るフラックスの除去作業が必要となる。また、フラック
ス入りワイヤとソリッドワイヤとでは、ワイヤ溶融特性
および適正溶接条件が異なるばかりでなく、母材材質,
継手形状,ワイヤ材質などが異なると、それに適した溶
接条件を新たに見出す必要がある。さらに、この自動ア
ーク溶接法では、高速回転アーク溶接法が用いられてお
り、通常の直流アーク溶接や高い電流と低い電流を交互
に出力させるパルスアーク溶接と異なる。特開平3−4
7680号公報の開先倣い制御装置は、トーチずれ量を
演算して左右方向のトーチ位置を制御可能な1つの装置
として有効と考えられる。しかし、レーザ変位センサの
場合は、開先内を走査するための回転ミラー機構や揺動
機構を必要とし、装置が大型になるばかりなく、溶接速
度が速くなると、検出する開先断面形状の歪みによって
誤差が生じるおそれがある。また、光の強烈なアーク溶
接画像と微光の開先切断画像とを両立させるための特殊
なフィルタや装置が必要となる。この開先倣い制御装置
では、溶接中の電流・電圧、溶接速度などの条件パラメ
ータ制御は無く、上下方向のトーチ位置制御についても
記載されていない。
【0013】一方、特開平5−138354号公報の溶
接自動倣い装置では、レーザスリット光による開先切断
画像および溶接トーチを含む溶融池部のアーク溶接画像
を同時に撮像するITVカメラと、このITVカメラの
検出画像情報よりトーチ左右位置ずれ,ビード高さ,溶
接断面積を求める演算手段とを設けて、トーチ左右位置
を制御し、トーチ下端位置を制御し、溶接速度を制御し
ている。
【0014】しかし、開先部にギャップ変化がある開先
継手に対しては、ギャップ幅の大きさに対応した高い溶
接電流と低い溶接電流を出力する制御やウィービング幅
を増減する制御とを同時にしないと、溶け込み不足,溶
け落ち,アンダーカットが発生し、良好な溶接ビ−ドが
得られない可能性が高い。
【0015】また、開先が深いまたは広い継手の多層多
パス盛溶接の場合は、撮像する画像の視野範囲を大きく
する必要がある。その視野範囲の拡大に伴って、検出す
べき位置や溶接断面積や形状の検出精度が著しく低下
し、トーチ位置制御および速度制御に大きな誤差が生じ
る可能性がある。
【0016】開先底部の溶接から開先上部の溶接をする
過程で、アーク溶接画像が上昇していくので、レーザス
リット光による開先切断画像がアーク溶接画像と重なり
合って見えなくなり、検出不可能となるおそれがある。
【0017】本発明者らは、特開平10−216940
号公報において、多層盛溶接方法および多層盛溶接装置
を提案したが、片面溶接が可能なV形やレ形の開先継手
を主な対象としており、X開先継手ではなかった。した
がって、X開先継手のギャップの幅が問題になることは
なく、X開先継手に特有な溶け落ちや溶け込み不足の現
象に悩まされることも相対的に少なかった。その結果、
初層の溶接および仕上層の溶接を充填層の溶接と区別
し、特別に配慮する必要性も少なかった。
【0018】したがって、特開平10−216940号
公報の多層盛溶接装置は、X開先継手に関しては、「自
動」溶接装置にはならず、作業員が制御する必要があっ
た。
【0019】本発明の目的は、ギャップ変化や溶接線の
蛇行など寸法精度の悪い開先継手の厚板構造物を対象に
ギャップ幅やビード幅の大きさに対応した溶接条件パラ
メータを可変制御し、トーチ位置ずれを修正制御し、完
全溶け込みで高温割れのない良好な溶接を実行するに好
適な多層盛溶接方法および多層盛自動溶接装置を提供す
ることである。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、溶接すべき一対の厚板長尺部材を突合わ
せた継手部の溶接線が蛇行しまたはギャップ幅や開先断
面積が変化することもある開先継手の溶接線方向に設置
されたガイドレール上を走行し、ワイヤ溶融式の溶接ト
ーチとトーチ駆動機構と開先部のギャップ幅,開先中心
の左右および上下位置ずれ量などを検出するセンサとを
搭載した自走式の溶接台車と、パルス溶接電源と、溶接
制御装置とを用いて多層盛溶接する多層盛溶接方法にお
いて、パルス溶接電源から出力すべき高電流の1パルス
で1溶滴が低電流のベース時間前半に移行可能なパルス
溶接波形を設定し、初層のパルス溶接で用いるギャップ
幅範囲別の複数の平均電流群または電流群および平均電
圧群を条件テーブルに設定し、初層溶接を実行する時
は、センサで検出される開先部のギャップ幅,開先中心
の左右および上下位置ずれなどの検出情報に基づいて、
ギャップ幅の大きさに対応した平均電流および平均電圧
を階段状に増減出力させ、前記ギャップ幅に関係する溶
着面積,溶接速度,ウィービングの幅や周波数などの条
件パラメータを各々算出して増減し、溶接線左右および
上下方向の位置ずれをなくす方向にトーチ位置を修正制
御する多層盛溶接方法を提案する。
【0021】充填層および仕上層のパルス溶接別に用い
る平均電流または電流および平均電圧を条件テーブルに
設定し、前記初層後の充填層および仕上層の各溶接を実
行する時には、前記溶接パスに該当する所定値の平均電
流および平均電圧を出力させ、開先面積とビード幅また
は開先肩幅またはビード幅および開先肩幅とを用いて、
開先中心の左右および位置ずれ,上下位置ずれなどの検
出情報に基づいて、溶接すべき溶着面積,溶接速度,ウ
ィービングの幅や周波数などの条件パラメータを各々算
出して増減し、溶接線左右および上下方向の位置ずれを
なくす方向にトーチ位置を修正制御する多層盛溶接方法
とすることもできる。
【0022】より具体的には、前記厚板長尺部材の開先
継手は、完全溶け込み溶接が必要なX開先継手であっ
て、前記X開先の角度を30〜40度の範囲に狭く形成
し、表側および裏側の初層溶接で、深溶け込みが必要な
ギャップのない部分では、平均電流を270A≦Ia≦
330Aの範囲,溶接速度を500mm/min程度ま
たはそれより幾分遅い領域に設定し、開先両壁面の溶融
が必要なギャップ変化のある部分では、前記ギャップ幅
が大きくなるに従って平均電流を予め定めた値ずつ減少
させるように設定し、溶着面積増加に必要な溶接速度を
減少する制御と溶接トーチのウィービング幅を増加する
制御とを実行する。
【0023】上記いずれの多層盛溶接方法においても、
開先部の断面形状画像を処理する画像処理装置に接続し
ている光切断式センサを溶接トーチ前方の開先上面に設
置し、溶接前に溶接開始点でトーチ先端のワイヤ位置決
めとセンサ座標の基準原点とを合わせ、初層,充填層お
よび仕上層の各溶接動作時には、前記画像処理装置と一
対の光切断式センサとにより、溶接トーチより先行する
位置でほぼ一定時間間隔で取得する断面形状画像を処理
し、ギャップ幅,ビード幅,開先肩幅,開先深さ,角
度,開先面積,開先中心の左右位置ずれ,上下位置ずれ
の値をそれぞれ検出し、検出したデータを前記溶接制御
装置側で分類し平均処理し、溶接すべき溶着面積,溶接
速度,ウィービングの幅や周波数などの条件パラメータ
をそれぞれ算出して制御し、溶接線左右および上下方向
の位置ずれを修正制御することも可能である。
【0024】本発明は、また、上記目的を達成するため
に、溶接すべき一対の厚板長尺部材を突合わせた継手部
の溶接線が蛇行しまたはギャップ幅や開先断面積が変化
することもある開先継手の溶接線方向に設置されたガイ
ドレール上を走行し、ワイヤ溶融式の溶接トーチとトー
チ駆動機構と開先部のギャップ幅,開先中心の左右およ
び上下位置ずれ量などを検出するセンサとを搭載した自
走式の溶接台車と、少なくとも高電流の1パルスで1溶
滴を移行させるための直流パルス溶接波形が設定可能で
あって、パルス電流値または前記パルス電流を出力させ
るパルス電圧値とパルス時間の調整設定が可能であると
ともに、ベース時間およびワイヤ送り速度の可変制御に
よってパルス溶接の平均電流,平均電圧の増減制御が可
能なパルス溶接電源と、前記センサから得られる断面形
状画像を処理して開先中心の左右位置ずれ,上下位置ず
れ,ギャップ幅,ビード幅,開先肩幅,開先深さ,角度
および開先面積を検出する画像処理装置と、初層と充填
層および仕上層の各溶接パスで使用する平均電流や平均
電圧,溶接中の計算処理で使用する溶接データを格納す
るデータファイルと、溶接および検出動作中に前記画像
処理装置から取得する検出データを処理する検出データ
処理手段と、溶接トーチの左右位置ずれおよび上下位置
ずれの修正量,ワイヤ送り速度と溶接すべき溶着面積,
溶接速度,ウィービングの幅や周波数などの条件パラメ
ータの増減量をそれぞれ算出してトーチ位置の修正制
御,溶接条件パラメータの適正制御を溶接台車およびパ
ルス溶接電源に実行させる溶接処理手段とを有する溶接
制御装置とからなる多層盛自動溶接装置を提案する。
【0025】前記センサは、開先部の断面形状画像を処
理する画像処理装置と一対の光切断式センサであり、少
なくとも開先面を直角に切断する垂直方向にスリット光
を照射するレーザ投光器と、干渉フィルタを介してスリ
ット光の反射像を撮像する受光器とを有し、溶接台車に
搭載され左右および上下方向に移動可能な溶接トーチと
は独立させて当該溶接トーチより先行する開先上面で断
面形状画像の撮像可能な溶接台車本体の位置に搭載され
ている。
【0026】溶接前に開先形状や溶接基準条件の入力情
報に基づいて多層盛溶接のパス数やパス毎のトーチ位置
および溶接条件を演算した結果を表示し、トーチ位置決
めとセンサ座標の原点合わせの設定状況および結果を表
示し、溶接中にリアルタイムで変化するトーチの現在位
置,出力中の溶接条件,検出データの情報を表示し、装
置異常や溶接異常が生じた時に警告を表示する画面表示
手段を前記溶接制御装置に設けることもできる。
【0027】すなわち、本発明の多層盛溶接方法では、
厚板長尺部材の開先部にギャップ変化や溶接線の蛇行が
伴う溶接構造物を対象に、開先断面積が小さくなるよう
に狭開先化し、ワイヤ溶着量や溶接パス数を削減し、熱
変形を軽減する。
【0028】また、高電流の1パルスで1溶滴が移行可
能なパルス溶接波形と、溶接パス毎に画像処理装置およ
び一対の光切断式センサで検出する開先部のギャップ
幅,ビード幅,開先面積,開先中心の左右位置ずれ,上
下位置ずれの検出情報とに基づいて、ギャップ幅の大き
さに対応した平均電流および平均電圧を出力するととも
に、溶接条件パラメータの適正制御,トーチ位置の修正
制御を溶接パス毎に実行するので、スパッタの発生が少
ないパルス溶接が可能となる。また、開先部にギャップ
変化や溶接線の曲がりがある長尺部材の開先継手であっ
ても、溶接開始点から終点まで良好な溶接ビードを形成
でき、初層から仕上層までの多層盛溶接を自動で実行で
き、工数を削減し、溶接品質を高めることができる。
【0029】特に、完全溶け込み溶接が必要なX開先継
手の角度を30〜40度の範囲に狭く形成し、表側およ
び裏側の初層溶接で、深溶け込みが必要なギャップのな
い部分では、平均電流を270A≦Ia≦330Aの範
囲、溶接速度を500mm/min程度およびそれより
幾分遅い領域に設定してパルス溶接し、溶接割れや融合
不良など欠陥のない深溶け込みのビード断面を得ること
ができる。
【0030】また、開先両壁面の溶融が必要なギャップ
変化のある部分では、前記ギャップ幅が大きくなるに従
って平均電流を予め定めた値ずつ減少させる制御と、溶
着面積増加に必要な溶接速度を減少する制御と、溶接ト
ーチのウィービング幅を増加する制御をするので、アー
ク力が抑制されて溶け落ちやアンダーカットの発生を抑
制でき、ギャップ変化がある部分でも、平滑で良好な溶
接ビードを得ることができる。
【0031】同時に、位置ずれに対してトーチ位置を修
正制御し、溶接線の曲がりがある長尺部材の開先継手で
も溶接線左右および上下方向のトーチ位置ずれを解消で
き、溶接ビードの形成不良を防止できる。
【0032】また、初層後の充填層および仕上層の各溶
接をする時には、所定値の平均電流および平均電圧を出
力させるとともに、開先面積とビード幅か開先肩幅また
は前記ビード幅および前記開先肩幅とを用いて、開先中
心の左右位置ずれ,上下位置ずれの検出情報に基づい
て、溶接条件パラメータを適正に増減する制御およびト
ーチ位置の修正制御をすることにより、開先幅の狭い部
分も広い部分も同一のパス数で溶接でき、溶接線の曲が
りやレールずれに対する左右および上下方向のトーチ位
置ずれが解消でき、溶着融合不良やアンダーカットのな
い平滑で良好な溶接ビードを得ることができる。
【0033】さらに、本発明の多層盛自動溶接装置で
は、少なくとも高電流の1パルスで1溶滴を移行させる
ための直流パルス溶接波形が設定可能であって、パルス
電流値または前記パルス電流を出力させるパルス電圧値
とパルス時間の調整設定が可能であり、ベース時間およ
びワイヤ送り速度の可変制御によりパルス溶接の平均電
流,平均電圧の増減制御が可能なパルス溶接電源を用い
ている。
【0034】パルス溶接する時は、例えば、鋼材用の
1.2mm径のソリッドワイヤに給電するパルス電流値
Ipを高めの550〜650A,そのパルス時間Tpを
短めの1.8〜1.2msの範囲に設定し、高電流の1パ
ルスで1溶滴が低電流のベース時間Tb前半に移行可能
なパルス波形とし、ベース時間およびワイヤ送り速度の
可変制御による平均電流Iaの増減制御を実行すると、
小電流領域(平均)から大電流領域まで安定なアークおよ
び溶滴移行が得られ、スパッタの発生が少ない良好なパ
ルス溶接が可能となり、アーク溶接時間,スパッタ除去
作業,トーチノズル清掃回数を大幅に削減できる。
【0035】光切断式センサは、開先断面形状の画像を
処理する画像処理装置と一対であって、少なくとも開先
面を直角に切断する垂直方向にスリット光を照射するレ
ーザ投光器と、干渉フィルタを介してスリット光の反射
像を撮像する受光器とをセンサ筐体内に装備している。
【0036】この光切断式センサは、溶接トーチより先
行する開先上面で断面形状画像の撮像が可能であるとと
もに、溶接台車に搭載されている左右および上下方向に
移動可能な溶接トーチと独立させた位置の溶接台車本体
に設けると、溶接線左右方向に揺動させる溶接トーチの
動きに影響を受けることなく、開先上面の位置で揺れの
ない断面形状画像を正常に抽出できる。
【0037】また、この断面形状画像を処理して開先中
心の左右位置ずれ,上下位置ずれ,ギャップ幅,ビード
幅,開先肩幅,開先深さ,角度および開先面積などを検
出する検出手段を画像処理装置に設けると、検出情報が
得られ、その検出情報を制御装置側で取得し処理して、
溶接の制御に用いることが可能となる。
【0038】検出データ処理手段と、溶接条件の出力や
計算処理で使用する溶接データファイルと、位置ずれの
修正量や溶接条件パラメータの増減量を算出して制御す
る溶接処理手段を溶接制御装置に設けると、検出データ
の分類および平均処理と溶接線左右および上下方向の位
置ずれをなくすためのトーチ位置の修正制御と溶接すべ
き溶着面積,溶接速度,ウィービングの幅や周波数など
の条件パラメータの適正制御とが可能になり、開先部に
ギャップ変化や溶接線の曲がりがある長尺部材の開先継
手であっても、溶接開始点から終点まで良好な溶接ビー
ドを形成でき、初層から仕上層までの多層盛溶接が自動
で実行でき、溶接を合理化し、工数を低減し、溶接品質
を高めることができる。
【0039】溶接対象の任意寸法の開先継手に対して、
溶接前にその開先形状寸法や溶接の基準条件の入力情報
を基にして、多層盛溶接で必要なパス数やパス毎のトー
チ位置および溶接条件を演算および演算結果の画面表示
をすると、任意寸法の多層盛溶接の計画や演算結果の事
前把握が可能となり、確定後の演算結果の溶接データを
用いて溶接パス毎のトーチ位置および溶接条件の指令や
基本的な溶接動作が可能となる。
【0040】トーチ位置決めとセンサ座標原点合わせの
設定および結果表示の画面を設けると、溶接前に必要な
初層溶接開始点でのトーチ(ワイヤ先端)位置決めとその
位置座標の取得および記憶,センサ座標原点合わせを容
易に実行できる。
【0041】溶接実行中の情報をリアルタイムで表示す
る画面を設けると、制御されているトーチ現在位置,出
力中の溶接条件,検出データを表示画面で視認できる。
【0042】装置異常や溶接異常が生じた時にその警告
表示をすると、溶接動作の強制終了処理、異常回避の操
作などを容易に実行でき、装置の操作性および使い勝手
を高めることができる。
【0043】
【発明の実施の形態】次に、図1〜図21を参照して、
本発明による多層盛溶接方法および多層盛自動溶接装置
の実施形態を説明する。
【0044】図1は、本発明による多層盛溶接方法を採
用した多層盛自動溶接装置の一実施形態の構成を示す斜
視図である。図2は、図1に示した多層盛自動溶接装置
における溶接制御装置11の内部構成の一例を示すブロ
ック図である。
【0045】図1において、一対の厚板長尺部材を突合
わせた溶接ワーク1a,1bは、多層盛溶接が必要なX
開先継手である。溶接ワーク1a,1bは、コストが安
いガス切断加工法により、事前に開先面を加工し、その
開先面同士を突合わせてX開先継手として組立ててあ
る。
【0046】このため、加工面の寸法精度や組立が悪
く、溶接すべき継手の長手方向には、開先部2にギャッ
プ変化がある部分とない部分とが混在しており、溶接線
にも曲がりが生じている。
【0047】長手方向の溶接ワーク1a上に設置された
ガイドレール3は、溶接台車4の走行を案内する。自走
式の溶接台車4には、ワイヤ溶融式の溶接トーチ6と、
ワイヤリール7に巻かれているワイヤ5を溶接トーチ6
先端に送給するワイヤ送り機構8と、溶接トーチ6を左
右・上下方向に任意に移動させるトーチ駆動機構9と、
開先部2の断面形状を撮像する光切断式センサ10とを
搭載している。
【0048】光切断式センサ10は、溶接トーチ6より
所定距離だけ先行する独立した位置の溶接台車4本体に
設置しているため、溶接線左右に揺動(ウィービング動
作)させる溶接トーチ6の動きに影響を受けることな
く、開先上面の位置で揺れのない開先部の断面形状画像
を正しく抽出できる。
【0049】画像処理置22は、この断面形状画像を取
込み、画像処理し、自動溶接の制御で必要な開先中心の
左右位置ずれ,上下位置ずれ,開先部2のギャップ幅ま
たはビード幅,開先肩幅,角度,開先面積などの情報を
検出する。
【0050】溶接制御装置11は、溶接台車4の駆動を
制御し、パルス溶接電源12aの出力を制御し、光切断
式センサ10と一対の画像処理装置22に検出を指令し
て検出データを情報処理し、溶接トーチ6の位置および
溶接条件を制御し、構成機器を統括管理する。
【0051】パルス溶接電源12aは、溶接ワイヤ溶融
のための高いパルス電流と低いベース電流とを交互に繰
り返し出力する定電流制御方式または定電圧制御方式ま
たは両方併用制御方式のパルス溶接電源であり、溶接ト
ーチ6先端に送給するワイヤ5と溶接ワーク1a,1b
との間に給電する。
【0052】パルス溶接電源12aは、少なくとも高電
流の1パルスで1溶滴を移行させるための直流パルス溶
接波形が設定可能であり、パルス電流値またはこのパル
ス電流を出力させるパルス電圧値とパルス時間との調整
設定が可能である。
【0053】また、パルス溶接の平均電流の出力制御
は、ベース時間およびワイヤ送り速度の可変制御により
なされる。
【0054】溶接中のシールドガスは、パルス溶接電源
12aおよびトーチケーブル介してガスボンベ16から
供給される。ガスボンベ16は、鋼材溶接の場合、Ar
ガスを主成分とする10〜20%程度のCOガス入り
の混合ガスボンベである。
【0055】Ar+CO混合ガスの代わりに、例えば
数%のOを加えたAr+CO+Oの混合ガスやAr
+Oの混合ガスを使用することも可能である。
【0056】配線ケーブル13は、パルス溶接電源12
aと溶接トーチ6およびワイヤ送り機構8を接続してお
り、配線ケーブル14a,14bは、溶接制御装置11
と溶接台車4,光切断式センサ10,パルス溶接電源1
2aを接続している。
【0057】図2において、操作盤15aは、自動運転
に必要な初期設定,開先継手2の形状寸法,基本溶接条
件を入力設定する。画面表示装置15bは、溶接データ
ファイル作成時の入力と演算結果とを表示し、自動溶接
時に必要な溶接トーチ位置,溶接条件,センサの検出情
報を表示し、その他、自動運転時に必要な情報を表示す
る。
【0058】統括制御装置17は、パソコンなどからな
り、任意形状寸法の開先継手2の多層盛溶接に必要なパ
ス毎の溶接位置や溶接条件を予め決定して登録しておく
溶接データファイル18bを自動作成する溶接演算プロ
グラム18aと、溶接データファイル18bと画像処理
装置22より取得した検出データとに基づき、溶接パス
毎の制御および多層盛溶接を自動実行する自動運転プロ
グラム19と、自動溶接で必要な溶接位置演算制御部2
0a,溶接条件演算制御部20b,溶接中のデータを記
録する制御データ記録ファイル21a,検出データ記録
ファイル21bなどを備えている。
【0059】操作ペンダント24bは、各軸駆動装置2
4aを介して、溶接台車4や溶接トーチ6の移動操作、
溶接条件の設定修正の操作に用いられ、溶接前に溶接ト
ーチ6を開始点に移動させてトーチ(ワイヤ)位置決め
し、溶接中に不具合が生じた時に、トーチ位置や溶接条
件の割り込み修正、溶接停止などができるようにする。
【0060】図3は、本発明の多層盛溶接方法におい
て、スパッタの発生を抑制するためのパルスアーク溶接
の電圧・電流波形およびワイヤ先端の溶滴移行の概要を
示す図である。横軸の時間に対する縦軸には、定速送り
のワイヤ,パルス電圧の波形,パルス電流の波形,ワイ
ヤ溶滴の形成と移行の概要を示している。
【0061】本発明においては、定速送りのワイヤに同
期させて、パルス溶接電源12aより高いパルス電流I
p・電圧Vpと低いベース電流Ib・電圧Vbを交互に
出力させるか、または、直流の低いベース電流Ib・電
圧Vbに高電流のパルス電流Ip・電圧Vpのパルス波
形を重畳して出力させる。
【0062】このパルス電流Ip・電圧Vpの期間Tp
中に、溶融させたワイヤ5先端に溶滴26を形成させ、
パルス期間Tp終了後のベース電流Ib・電圧Vbの期
間Tb前半に、ワイヤ溶滴26を母材29側の溶融プー
ル27に離脱移行させる1パルスで1溶滴移行が可能な
適正パルス溶接波形を出力させる。
【0063】ワイヤ溶滴26の移行時に短絡移行が生じ
ない程度のアーク25長を保持するように溶接平均電圧
Eaを出力させ、パルスアーク溶接するので、スパッタ
の発生を防止でき、良好な溶接ビードを形成できる。
【0064】なお、アーク25長が短かすぎてワイヤ先
端の溶滴26が短絡移行(アーク消滅)してアーク再点弧
する時や、ピーク時間が長すぎてアーク力の強いパルス
電流Ipの期間Tp中に溶滴26が離脱移行する時に
は、溶滴26の一部がスパッタ28となって飛散する。
そのスパッタの一部がトーチノズルに付着して堆積する
と、ガスシールドの低下による溶接欠陥の発生に至る。
【0065】角度の狭いX開先継手の溶接では、特にギ
ャップのない部分で裏側まで溶融する深溶け込みと溶接
割れ防止が必要であるために、パルス電流Ip値の出力
が高い溶接波形を採用している。例えば、鋼材用の1.
2mm径のソリッドワイヤに給電すべきパルス電流Ip
を高めの550〜650A、そのパルス時間Tpを短め
の1.8〜1.2msの範囲に設定して、高電流の1パル
スで1溶滴をベース時間前半に移行可能としている。
【0066】パルス電流Ip値が550A未満の溶接電
源では、深溶け込み溶接が得られなかった。また、65
0Aを遥かに越えるような溶接電源は、トランス容量が
増大することになるので好ましくない。
【0067】パルスアーク溶接での平均電圧は、 Ea=(VpTp+VbTb)/(Tp+Tb) で示され、また、平均電流は、 Ia=(IpTp+IbTb)/(Tp+Tb) で示される。
【0068】ベース時間Tbを増減させて、平均電流I
aを可変制御する。ワイヤ送り速度Wfは、その平均電
流Iaとほぼ比例関係にあるので、同調させて増減し、
その溶接中にワイヤ溶滴26が短絡移行しない程度のア
ーク25長を保持するように平均電圧Eaを調整設定す
ればよい。
【0069】また、定電圧制御方式のパルス溶接電源を
使用する場合は、パルス電圧Vpおよびベース電圧Vb
の設定によって上記のパルス電流Ipおよびベース電流
Ibを出力させればよい。このように制御すると、小電
流(平均)領域から大電流領域までスパッタのないパルス
溶接を良好に実行できる。
【0070】ここでは、矩形波のパルス波形で説明した
が、台形波状または鋸形波状のパルス波形でもよい。
【0071】図4は、鋼材板厚T=32mmのX開先継
手における従来方式の多層盛溶接と本発明の方法による
多層盛溶接とを比較して示す図である。
【0072】角度が60度と広い従来開先の場合(1)
は、表側4パス裏側4パス溶接であるのに対して、本発
明により角度を35度に狭くして開先面積を小さくする
と、図4(2)に示すように、パス数の少ない表側3パス
裏側3パス溶接が可能となる。図中に記載の番号は、溶
接のパス番号であり、記号のTは板厚、Hは表側の開先
深さ、h1は1パス目溶接の初層ビード高さである。
【0073】図5は、図4(2)に示した多層盛溶接にお
ける下向き姿勢での各パス毎の溶接手順を示す図であ
る。
【0074】(1)は、表側初層の1パス目溶接S1、
(2)は、充填層で2パス目溶接S2、(3)は、仕上層で
3パス目溶接S3である。また、(4)は、溶接ワークを
反転した後の裏側初層の4パス目溶接S4、(5)は、充
填層で5パス目溶接S5、(6)は、裏側最後の仕上層で
6パス目溶接のビード断面をそれぞれ示している。立て
向き上進姿勢の場合には、溶接ワークの反転作業が不要
となり、下向き姿勢溶接の時よりも平均電流・電圧を減
少させて充填層および仕上層を溶接することになる。
【0075】図6は、図3に示したパルス溶接における
平均電流Iaとワイヤ送り速度Wfおよび平均電圧Ea
との関係を示す図である。
【0076】両者は、平均電流Iaに比例して増加する
特性を有しており、下記(1)式および(2)式 ワイヤ送り速度 Wf=kIa+k ……(1) 平均電圧 Ea=kIa+k ……(2) で表わされ、図5に示したX開先継手の多層盛溶接で使
用される。k,kはワイヤ定数、k,kは電圧
定数である。
【0077】図7は、X開先継手(角度:35度,板
厚:32mm)における初層溶接で重要な開先部のギャ
ップ幅Gと平均電流Iaとの関係を示す図である。
【0078】図7の○印の部分が溶け込みの良好な適正
領域であり、ギャップ幅が大きくなるに従って、その適
正領域は、概ね階段状に低電流側に移行する結果となっ
ている。特に、ギャップのない(G=0)部分の溶接で
は、約300A前後の平均電流で裏側まで溶け込む溶接
が可能である。
【0079】しかし、約330Aを越える高電流領域で
は、ワイヤ溶融量の増加によって溶接ビードが高く(ビ
ードの高さと幅の比が大きい)なり、また、溶接速度を
増減させても溶接による高温割れ(◆印)が発生し易い。
【0080】約270A未満の電流領域では、アーク力
および溶接入熱の不足によって裏側まで溶かすことがで
きずに溶け込み不足(黒△印)となる。
【0081】ギャップ幅1mm以上の領域では、高温割
れの問題がなくなるが、平均電流および溶接入熱が高す
ぎると、溶け落ち(●印)やアンダーカットが生じる。平
均電流および溶接入熱が低すぎると溶け込み不足(黒△
印)が生じることになる。
【0082】したがって、溶け良好な適正領域は、両者
の中間に存在することが分かり、開先角度が30〜40
度のX開先継手に適用できる。
【0083】ギャップ幅が広い部分での溶け落ちを確実
に防止する1つの手段として、裏側の開先継手内にセラ
ミックス性の裏当て材を用いればよい。
【0084】図8は、ギャップなしのX開先継手で溶接
速度Vpと平均電流を変化させて初層溶接をした結果を
示す図である。
【0085】溶け込みの良好な適正領域は、溶接速度V
pが500mm/min前後および幾分遅い領域、平均
電流Iaが270A≦Ia≦330Aの範囲の部分に存
在することが分かった。
【0086】図9は、本発明の溶接方法で初層溶接の条
件を制御する状況を示す図である。上段は、開先部ギャ
ップ検出画像,そのギャップの大きさ(G=0,G=5
mm)に対応したパルス電流波形,溶接ビード断面を示
し、下段は、ギャップ幅Gに対応した平均電流Iaおよ
び溶接速度Vpと平均電圧Eaとワイヤ送り速度との関
係を示している。
【0087】ギャップのない部分およびその近傍では、
平均電流Iaが高い約300Aを出力させるとともに、
それに比例関係にある適正な平均電圧Eaを出力させ
る。平均電流Iaが高いと、ワイヤ送り速度(溶融速度)
Wfが速くなるために、溶接速度Vpを速くして溶接す
べき溶着面積(ワイヤ溶着面積)を減少させる。
【0088】ギャップ幅が大きくなるに従って、平均電
流Iaを階段状に予め定めた値(例えば20〜40A程
度)ずつ減少させてアーク力を弱めるとともに、それに
適した平均電圧Eaおよびワイヤ送り速度Wfを出力さ
せる。
【0089】溶接速度Vpについては、ギャップ幅が大
きくなるに従って溶接すべき溶着面積S1(溶着量)を増
加させる必要があるため、溶接速度Vpをギャップ幅に
応じて減少させる。
【0090】図10は、X開先の深さHが16mm,角
度θが35度の継手溶接におけるギャップ幅Gと開先面
積[As=H2tan(θ/2)+HG]および初層の溶着面積
S1とビード高さとの関係を示す図である。
【0091】溶着面積S1を増大させる制御をすると、
図4(2)および図5(1)に示したように、初層のビード
高さh1を約8.5±0.5mmに形成できる。このビー
ド高さは、概ね7≦h1≦9mmの範囲に形成すれば、
初層溶接後の充填層および仕上溶接で開先表面まで均等
に盛り上げることが簡単にできる。
【0092】したがって、ここでは、ギャップが0(G
o)の時の基準面積Soと、センサ側から順次取得する検
出データを分類してそれぞれ平均化処理したギャップ幅
Gs値またはギャップ幅Gsと開先角度θsの値とを用
いて、溶接すべき溶着面積S1を(3)式または(4)式 初層の溶着面積 S=So+k(Gs−Go) ……(3) S=So+k(Gs−Go) +ktan(θs−θo) ……(4) により求める。kは、ギャップ重み定数、kは、角
度重み定数、θoは、標準角度である。
【0093】また、その溶着面積S1に必要な溶接速度
Vp(mm/min)は、平均電流Iaと相関関係のある
ワイヤ送り速度Wf(m/min)およびワイヤ径d(m
m)とから求めることができ、(5)式 溶接速度 V=(103πηWf)/(4S) ……(5) で示される。ηは、ワイヤ溶着定数である。
【0094】この他に、ギャップ幅が1mm以上の領域
では、開先面両壁の溶融促進と溶け落ちを防止する必要
があるため、溶接トーチを溶接線方向の左右に揺動させ
るウィービング制御をしている。
【0095】ギャップ幅Gsの大きさおよび溶接速度Vp
に対応したウィービング幅Uwやウィービング周波数f
wの増減制御 Uw=Gs−k10,fw=Vp/(60・Pu) をする。k10はウィービングの幅定数、Puは一往復
のピッチである。
【0096】このようにしてギャップ幅の大きさに対応
させて溶接条件パラメータの制御をすると、図9の中央
に示した溶接ビード断面のように良好な溶接部を得るこ
とができる。
【0097】上記の検出項目およびそれに基づく制御方
法は、図11〜図19で説明し、ウィービングの幅Uw
や周波数fwなどの条件制御については、図20および
図21で説明する。
【0098】図11は、表側および裏側の初層溶接と充
填層および仕上層の各溶接とで出力する平均電流Iaの
溶接条件テーブルの一例を示す図である。
【0099】初層溶接後の充填層および仕上層溶接をす
る時には、図11に示す他の平均電流Iaを選択して出
力させるとともに、溶接中にほぼ一定時間間隔でセンサ
側より検出される開先面積(残存面積)Asと開先肩幅W
sまたはビード幅Bsまたは前記開先肩幅Wsおよび前
記ビード幅Bsとを用いて、溶接すべき溶着面積Sp、
溶接速度Vpを算出して増減制御する。
【0100】ここでは、溶接パスプラン演算で求めた充
填層および仕上層における最小の基準面積SGoおよび基
準幅Bpと、検出データのビード幅Bsを平均化 Bs=(Bs1+Bs2+・・+Bsa)/a した値を用いて、ビード幅の変化に対応した溶接すべき
溶着面積Spを(6)式充填/仕上層の溶着面積 Sp=SGo+k(Bs−Bp) ……(6) で求める。kは、ビード幅重み定数である。
【0101】または、開先面積Asと開先肩幅Wsの検
出値を用いて、残されている溶接面積As+k(Ws
+k)を残りのパス数(p−n)で割算する(7)式 充填/仕上層の溶着面積 Sp=[As+k(Ws+k)]/(P−n) ……(7) によって開先面積の変化に対応した溶着面積Spを求め
ることができる。kは、余盛り高さ、kは、仕上ビ
ード幅定数である。
【0102】この時の溶接速度Vpは、(8)式で求めら
れる。 溶接速度 Vp=(103πηWf)/(4Sp) ……(8) このように計算処理して、溶接条件パラメータをリアル
タイムで制御すると、図5に示した溶接パス毎のビード
断面のように良好な溶接部を得ることができる。
【0103】初層溶接では、ギャップ幅範囲別の複数の
平均電流を設定しておき、開先部のギャップ検出情報に
基づいて切り換え出力できるようする。その平均電流I
aに適したワイヤ送り速度Wfおよび平均電圧Eaを前
記(1)(2)式で計算する。また、充填層および仕上層で
使用する平均電流Iaも条件テーブルから幾つか選択可
能なように設定しておく。
【0104】下向き姿勢の多層盛溶接で高電流を選択
し、立て向き姿勢の溶接で低電流を選択すると、両方の
多層盛溶接ができる。
【0105】各々の平均電流Iaとその電流に適した各
平均電圧Eaの両方を編集可能な条件テーブルに設定し
て、開先部のギャップ検出情報に基づいて切り換え出力
できるようにしてもよい。
【0106】このように、条件テーブルを事前に準備す
ると、図7および図9に示した溶接条件パラメータを可
変制御できる。
【0107】一方、板厚などの寸法が異なる各々のX開
先継手に対しても自動溶接ができるようにする必要があ
るため、ここでは、入力すべき開先寸法と図11に示し
た平均電流の条件テーブルとに基づいて、溶接開始点で
の基準となる溶接パス数やパス毎のトーチおよび溶接条
件を溶接演算プログラム18aによって演算するように
している。
【0108】図12は、溶接データ演算結果の表示例を
示す図である。その演算方法の説明は、省略するが、溶
接パス毎のトーチ位置の目標値、溶接条件、積層ビード
の幅や高さが分かるようになっている。
【0109】次に、本発明の溶接制御で使用する光切断
式センサによる検出方法の概要について説明する。
【0110】図13は、光切断式センサ10および関連
機器の構成を示す斜視図である。光切断式センサ10
は、溶接トーチ6より先行する開先継手2の上部位置に
あり、その開先面2を直角に切断する垂直方向にスリッ
ト状の光31bを照射するレーザ投光器31aと、その
反射像を干渉フィルタ32bを介して撮像するカメラ3
2aとを備えている。
【0111】干渉フィルタ32bは、特定波長のレーザ
光のみを抽出する。投光受光制御器23は、レーザ投光
器31aおよびカメラ32aを制御するとともに、撮像
された光切断画像を画像処理装置22に送信する。
【0112】画像処理装置22は、自動溶接をする時に
必要な開先中心の左右位置ずれΔYs,上下位置ずれΔ
Zs,開先肩幅Ws,開先面積As,ギャップGsまた
はビード幅Bsの検出情報を抽出する溶接検出プログラ
ムを内蔵しており、統括制御装置17からの検出指令と
検出結果の報告要求に応答する。
【0113】光切断式センサ10の筐体部分は、過熱を
防止する水冷構造、支障のある微粒子の侵入を防止する
ガス流出構造になっており、溶接トーチ6と独立した位
置の溶接台車4に固定されている。
【0114】図14は、溶接前にするトーチ位置(ワイ
ヤ先端位置)座標の原点とセンサ座標の原点の位置基準
合わせを示す図である。
【0115】溶接台車4を駆動して溶接トーチ6を溶接
開始点に移動させ、図14(2)に示すように、ワイヤ5
先端を開先継手2の中央部にあるギャップGの中心位置
(●点)に合わせ、そのワイヤ位置を溶接位置座標の原点
(Yp=0,Zp=0)とする。 センサ側では、図14
(1)に示すように、光学式センサ10の設置位置で撮像
される開先断面の線画像33を画像処理装置22で処理
し、ギャップGsの中央位置(●点)を検出し、その検出
位置をセンサ座標の原点(Ys=0、Zs=0)として、左
右および上下方向のトーチ位置ずれをΔYs=0,ΔZs
=0する。
【0116】初層溶接の時には、開先肩幅の中心位置を
他のセンサ座標の原点(Ys=0,Zs=0)として使用す
ることも可能である。
【0117】溶接の終了位置については、開始点からの
溶接線長さ(溶接距離)を入力設定すると、所定の位置で
溶接動作を終了させることができる。他の方法として、
例えば溶接の終了位置を検知する検知スイッチを溶接台
車側かガイドレール側か溶接母材側に設置すると、所定
の位置で溶接動作を終了させることができる。
【0118】図15は、画像処理装置22と一対の光切
断式センサ10とにより検出する内容を示す図である。
【0119】光切断式センサ10で撮像される開先断面
の線画像(33a〜f)を画像処理装置22に取込んで、
検出項目を抽出する。例えば、開先肩幅Wsは、左右上
面33f,33aと左右の開先斜面33d,33bとが
各々交わる交点(d点とc点を結ぶ長さ)の距離で求めら
れる。
【0120】このd点とc点の距離を2等分した中点が
左右方向の開先中心である。開先斜面の角度が左右異な
る場合または加工精度が悪い場合に、開先継手の上部と
底部とで中心がずれることになる。
【0121】それを避けるために、溶接部に近い位置で
開先中心を求めている。すなわち、開先の右斜面33d
と開先底部のビード面33eとが交わる交点(b点)より
1mm程度上の位置に水平線35を描き、その水平線3
5と左右の開先斜面33d,33bとが交わる交点(j
点とi点を結ぶ長さ)の距離を2等分した中点位置(f
点)を開先中心とすると、中心ずれをなくすことができ
る。この中点位置f点と初期設定時の原点位置(Ys=
0)との偏差(水平方向の距離)を左右位置ずれΔYsと
している。
【0122】一方、開先底部の上下位置ずれΔZsにつ
いては、開先底部の最も深い位置(e点)を求め、また
は、開先の左斜面33bと左底面33cとが交わる交点
a点を通る他の水平線と前記f点の垂直線とが交わる交
点位置(e点近傍)を求めた後に、初期設定時の原点位置
(Zs=0)との偏差(垂直方向の距離)を計測して上下位
置ずれΔZsとしている。この上下位置ずれΔZsは、
前層のビード高さを加算した合計量に相当する値であ
る。
【0123】また、開先面積As(溶接残存面積)は、ま
だ溶接が残っている部分の開先内の総面積を計測してい
る。
【0124】図16は、本発明の多層盛自動溶接装置の
操作盤に表示する画面構成の一例を示す図である。(1)
は多層盛溶接運転メニュー選択の初期画面51、(2)は
溶接パスプラニングでの継手選択およびパスプラン作成
画面52、(3)はトーチ基準位置取込み画面53、(4)
はセンサ基準位置自動設定画面54、(5)は溶接線長さ
設定画面55、(6)は自動溶接運転画面56を示してい
る。
【0125】装置起動時の初期画面51には、幾つかの
メニュー表示の選択画面があり、所定の番号指定によっ
て、図16(2)〜(7)に示した各々の画面に移行でき、
また、初期画面に戻ることもできるようになっている。
操作手順の概要は、以下の通りである。
【0126】まず、1番の溶接パスプラニングを指定す
ると、図16(2)の画面52になり、継手選択(X開
先,V開先),溶接パスプラン新規作成実行,溶接デー
タ登録ファイルを示すようになっている。
【0127】例えば、溶接パスプラン新規作成実行で
は、選択した継手用の溶接演算プログラム18aが起動
し、その開先寸法の入力と図11に示した平均電流の条
件テーブルを基にして、基準となる溶接パス数やパス毎
のトーチおよび溶接条件を自動演算する。
【0128】その演算結果を図12に示したように表示
し、溶接データファイルが作成される。既に登録済みの
溶接データファイルを指定(ファイル番号)して呼び出し
示すこともできるようになっている。
【0129】2番のトーチ基準位置取込み画面53で
は、溶接台車を溶接開始点に移動させて、図14(2)に
示したように、開先内でトーチ位置(ワイヤ先端位置)決
めをした後に、トーチ位置取込みを実行すると、制御装
置11側でそのトーチ位置(Xo,Yo,Zo)を取得して
結果を表示する。
【0130】その後に、3番指定のセンサ基準位置自動
設定画面54で実行を指定すると、光切断式センサ10
を溶接開始点に自動で誘導するとともに、画像処理装置
22側に検出指令を出して、図14(1)に示したよう
に、開先部のギャップ幅中心と開先肩幅中心でのセンサ
基準位置(Ys=0,Zs=0)とを合わせる。
【0131】4番指定の溶接線長さ設定画面55で、溶
接開始点から終了点までの溶接距離Xを入力する。溶接
スタートエンド条件設定やその他必要な設定をした後
に、5番指定で自動溶接運転画面56となる。
【0132】この自動溶接運転画面56では、継手や溶
接パス数と溶接すべき現在パス番号の表示、電流や電圧
などの出力すべき溶接条件の表示、検出データとトーチ
現在位置の表示をする。また、溶接パスの指定と実行の
他に、溶接の一時停止や溶接再開も実行し、装置異常や
溶接異常の発生時には、一時停止をしてその異常の内容
表示や警告表示をする。
【0133】このような操作画面および表示画面を設け
ることで、自動溶接運転が可能になるばかりでなく、リ
アルタイムで変化している溶接および検出の状況を画面
で見ることができる。また、異常の内容表示や警告表示
をすると、異常回避の操作などを容易にし、装置の操作
性および使い勝手を高められる。
【0134】図17は、本発明の多層盛溶接方法におけ
る検出動作および溶接制御動作の実行手順の概要を示す
図である。図16(6)に示した自動溶接運転画面56で
溶接実行を指定すると、実施される内容である。
【0135】最初に溶接台車4を初期位置62に移動さ
せ、光切断式センサ10と一対の画像処理装置22とに
検出指令を出し、位置ずれや開先形状寸法の検出させる
とともに、溶接トーチより先行する位置で取得した検出
データの分類および平均化処理、トーチ位置の修正計算
や溶接条件パラメータの補正計算の処理67を実行す
る。
【0136】溶接トーチ6が溶接開始位置64に到達し
た地点で、パルス溶接電源12a側に指令して溶接開始
65となる。
【0137】予め定めた溶接スタート条件でアークを発
生させた後に、定常の溶接条件に移行する。溶接台車4
には、トーチ現在位置要求と結果報告68をさせてい
る。また、トーチ位置修正および溶接条件補正の位置6
9,71に到達する毎に、溶接線左右および上下方向の
位置ずれ量ΔYm、ΔZmの修正指令70とウィービン
グ条件の補正指令72bは、溶接台車6に送信し、平均
電流Iaおよび平均電圧Eaの補正指令は、パルス溶接
電源12aに送信する。
【0138】したがって、検出指令66からトーチ位置
の修正計算や溶接条件パラメータの補正計算67してそ
れを制御70,72b,72cする一連の動作は、ほぼ
一定時間間隔で溶接終了位置75aに到達するまで繰り
返す75b。
【0139】溶接終了位置75aに到達すると、予め定
めた溶接エンド条件で溶接終端処理76aをした後に、
溶接トーチ6を回避位置に移動77する。
【0140】指定数の溶接パスが完了していなければ、
溶接パス更新61の箇所まで戻り77b、再び初期位置
62に移動する。
【0141】溶接パス完了ならば77c、エンド78に
至る。
【0142】このように構成すると、多層盛溶接の自動
運転で必要な検出動作および溶接制御動作を確実に実行
できる。
【0143】ここでは省略しているが、溶接の不具合が
認められた時には、オペレータの判断で、トーチ位置ず
れの割り込み修正、溶接条件パラメータの割り込み修正
ができるようにしてある。また、溶接の一時停止とその
溶接再開もできるので、溶接の不具合を回避することが
可能になる。
【0144】次に、本発明の多層盛溶接におけるトーチ
位置の制御方法について説明する。図18は、溶接線の
位置ずれとその位置ずれ検出の概要を示す図である。図
18(1)は、初層溶接で目標値とすべき溶接位置(Y1=
0,Z1=0)とワイヤ5(トーチ)位置ずれΔYm,ΔZ
mの関係を示し、図18(2)は、光切断式センサによる
位置ずれ(ΔYs,ΔZs),ギャップ幅Gsの検出を示
し、図18(3)は、ガイドレール3上を走行する溶接台
車4と修正すべき溶接線左右の位置ずれΔYmの関係を
示す。
【0145】溶接トーチを位置決めした後に、溶接開始
点(●点)から溶接台車4が走行する過程で、図18(3)
に示すように、開先継手の曲がりやガイドレール3の設
置ずれなどによって、溶接トーチ6が、開先中心の溶接
線36からずれることになる。
【0146】このような開先継手を良好に自動溶接する
ためには、位置ずれ(ΔYs,ΔZs)の検出情報を用い
て、この位置ずれをなくす方向にトーチ位置を修正する
制御が必要となる。
【0147】図19は、図18に示した溶接線左右方向
のトーチ位置ずれを適正に修正する方法の制御ブロック
を示す図である。
【0148】一連の制御動作は、溶接線方向に走行しな
がらパルス溶接をする溶接トーチ6および溶接台車4の
制御と、光切断式センサ10と一対の画像処理装置22
から検出データ群の取得と、その検出データの分類や平
均化の処理や位置ずれ計算38a,38bと、修正値の
計算40と、位置修正の制御指令41と、トーチ現在位
置43の把握などの手順からなり、溶接トーチ6が溶接
終了位置に到達するまで繰り返される。
【0149】修正位置でない時には、他の計算処理44
も実行している。検出データの処理としては、ほぼ一定
時間間隔(1〜2秒程度)で取得する検出データ群の中か
ら左右方向の位置ずれΔYsの値を抽出する。その位置
ずれの検出データ値は、ばらついているおそれがあるの
で、順次取得した値(ΔYs1,ΔYs2,・・ΔYsa)を所
定数(例えばa=3点から5点)を集めて平均化の処理を
(9)式平均化 ΔYs=(ΔYs1+ΔYs2+・+ΔYsa)/a …(9) で実行する。
【0150】この平均化処理は、古いデータを1つ捨て
て新しいデータを1つ加えて平均化する処理を繰り返
し、データのバラツキを緩和する。
【0151】また、修正すべき左右方向の位置修正量Δ
Ymは、トーチ位置の基準値Ypと平均化の処理をした
検出データの算出値ΔYsとの偏差となり、(10)式左
右位置の修正量 ΔYm=Yp−ΔYs ……(10) で求めることができる。
【0152】なお、トーチ位置の目標値Ypは、図12
に示した溶接パス毎の左右位置(Y1,Y2,・・Yp)の
値であり、1層1パスの多層盛溶接の場合(図4)には、
表側も裏側もいずれの溶接パスも開先中心が目標値とな
る。
【0153】さらに、ここでは、過剰な修正や過小な修
正を避けるため、上限下限領域(±C1≦ΔYm≦C2)
を設けて、1回当りの修正量を抑制すると、過剰な修正
動作や不要な動きが防止でき、溶接の悪化を防止でき
る。
【0154】このように溶接パス毎に所定の検出および
位置修正の計算処理を実行して左右方向のトーチ位置制
御をリアルタイムですると、左右方向の位置ずれを解消
できる。
【0155】一方、上下方向のトーチ位置制御では、検
出データ群の中から上下位置ずれΔZsの値を順次抽出
して平均化処理 [ΔZs=(ΔZs1+ΔZs2+・・ΔZsa)/a] をした検出データ値を用いる。
【0156】初層溶接で検出される上下位置ずれの値
は、ギャップ部分の位置ずれである。これに対して、充
填層や仕上層の溶接で検出される上下位置ずれの値は、
前層までの累計ビード高さを加算したずれ量に該当する
ことになる。溶接パス毎のトーチ上下位置の目標値Zp
は、図12に示した上下位置(Z1,Z2,・・Zp)の値
である。
【0157】したがって、修正すべき上下方向の位置修
正量ΔZmは、平均化処理した検出データ値ΔZsとト
ーチ上下位置の目標値Zpとの偏差となり、(11)式 上下位置の修正量 ΔZm=ΔZs−Zp ……(11) で求められる。
【0158】また、上記と同様に、1回当りの修正量を
抑制するための上限下限領域(±C3≦ΔZm≦C4)を
設けると、過剰な修正動作や不要な動きを防止できる。
【0159】このようにして、上下方向のトーチ位置制
御を左右方向のトーチ位置制御と合せて実行すると、該
当する溶接パス毎のトーチ位置ずれをなくし、良好な溶
接ビードを得ることができる。
【0160】溶接パス毎のトーチ位置制御や溶接条件パ
ラメータの増減制御は、溶接開始点から終了位置に到達
するまで実行すればよい。
【0161】また、溶接開始部と溶接終端部のビード形
状変化が検出結果に及ぼす影響を抑制するために、これ
らの制御を溶接開始点よりも所定距離(例えば10〜5
0mm)前進した位置から開始して、溶接終了点よりも
所定距離(10〜50mm)手前の位置で可変制御を止め
る制御に切り換えてもよい。
【0162】さらに、仕上層の溶接前に前層溶接で開先
上面肩の一部が溶かされていて、開先形状の検出が困難
な場合には、その前層溶接で検出および制御されて記憶
した検出記録データを再度使用して、溶接線左右および
上下方向のトーチ位置制御、溶接条件パラメータの増減
制御をすると、自動溶接を持続できる。
【0163】次に、多層盛溶接で必要なウィービング動
作の制御方法について説明する。ギャップ幅またはビー
ド幅Bsが変化する開先部の両壁を確実に溶融させるた
めには、溶接トーチを溶接線左右方向に揺動させるウィ
ービング溶接の制御が必要である。
【0164】図20は、ウィービング溶接の制御方法を
示す図である。図21は、ウィービング溶接方法の制御
ブロックを示す図である。
【0165】初層溶接の時は、光切断式センサと一対の
画像処理装置とで検出されるギャップ幅Gsを平均化処
理した情報を用いて、ウィービング条件の増減を制御す
る。
【0166】充填層溶接の時は、ビード幅Bsの検出値
を平均化処理し、仕上層溶接の時には、開先肩幅Wsま
たはビード幅Bsの検出値を平均化処理して用いる。
【0167】ウィービング条件の主な制御項目は、ウィ
ービング幅Uw,周波数fw,揺動速度Vu,左右両端
の停止時間T,Tであり、溶接トーチ6が修正すべ
き位置41に到達した地点で、ウィービング条件の修正
制御47をリアルタイムでする。
【0168】ここでは、溶接速度Vpを増減する制御に
合せて、トーチ揺動の1往復のピッチPuが一定になる
ようにUw,fw,Vuの値を計算処理46する。すな
わち、該当する溶接パスで検出されるデータ45aの平
均化処理をした検出値45b(ギャップGsまたはビー
ド幅Bsまたは開先肩幅Ws)の大きさに比例して、ウ
ィービング幅Uwを広くし、揺動速度Vuを速くし、ま
た、周波数fwも溶接速度Vpに比例して大きくなるよ
うにする。
【0169】各層別のウィービング幅Uwは、(12)〜(1
4)式 初層のウィービング幅 Uw=Gs−k10 ……(12) 充填層のウィービング幅 Uw=Bs−k11 ……(13) 仕上層のウィービング幅 Uw=Ws−k12またはUw=Bs−k12 ……(14) で求められる。ただし、k10,k11,k12は、ウ
ィービングの幅定数である。
【0170】また、揺動速度Vuおよび周波数fwは、
(15)式および(16)式周波数 fw=Vp/(60Pu) ……(15) 揺動速度 Vu=2Uw /[(60Pu/Vp)−(T+T)] ……(16) で求められる。
【0171】このように所定の検出および位置修正の計
算処理を実行し、ウィービング条件の修正制御をする
と、溶接パス毎にアンダーカットや融合不良のない溶接
ビードが得られる。
【0172】
【発明の効果】本発明の多層盛方法および多層盛自動溶
接装置によれば、開先部のギャップ変化や溶接線の蛇行
など寸法精度の悪い開先継手の溶接構造物であっても、
狭開先化によってワイヤ溶着量や溶接パス数の低減、熱
変形の軽減ができ、また、高電流の1パルスで1溶敵を
移行させるパルス溶接波形の出力と、ギャップ幅の大き
さに対応した平均電流,平均電圧,溶接速度,ウィービ
ングの幅や周波数などの条件パラメータの適正制御によ
って、スパッタの少ない深溶け込み溶接、溶接割れや溶
け落ちのない溶接品質を得ることができる。
【0173】また、溶接線左右および上下方向のトーチ
位置の修正制御によって、溶接線曲がりやレール設置ず
れがある長尺部材の開先継手でも、溶接始点から終点ま
で良好な溶接ビードをパス毎に形成でき、初層から仕上
層までの多層盛溶接を自動で実行でき、溶接を合理化
し、工数を削減し、溶接の品質を高めることができる。
【0174】さらに、溶接前の設定や結果表示から溶接
中の動作表示や異常時の警告表示などの画面表示によっ
て、装置の操作性および使い勝手を良くできる。
【0175】本発明の多層盛溶接方法および多層盛自動
溶接装置を発電プラントや化学プラントなどの厚板溶接
構造物に適用すると、溶接の自動化,合理化,コスト削
減などを達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による多層盛溶接方法を採用した多層盛
自動溶接装置の一実施形態の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示した多層盛自動溶接装置における溶接
制御装置11の内部構成の一例を示すブロック図であ
る。
【図3】本発明の多層盛溶接方法において、スパッタの
発生を抑制するためのパルスアーク溶接の電圧・電流波
形およびワイヤ先端の溶滴移行の概要を示す図である。
【図4】鋼材板厚T=32mmのX開先継手における従
来方式の多層盛溶接と本発明の方法による多層盛溶接と
を比較して示す図である。
【図5】図4(2)に示した多層盛溶接における下向き姿
勢での各パス毎の溶接手順を示す図である。
【図6】図3に示したパルス溶接における平均電流Ia
とワイヤ送り速度Wfおよび平均電圧Eaとの関係を示
す図である。
【図7】X開先継手(角度:35度,板厚:32mm)に
おける初層溶接で重要な開先部のギャップ幅Gと平均電
流Iaとの関係を示す図である。
【図8】ギャップなしのX開先継手で溶接速度Vpと平
均電流を変化させて初層溶接をした結果を示す図であ
る。
【図9】本発明の溶接方法で初層溶接の条件を制御する
状況を示す図である。
【図10】X開先の深さHが16mm、角度θが35度
の継手溶接におけるギャップ幅Gと開先面積および初層
の溶着面積S1とビード高さとの関係を示す図である。
【図11】表側および裏側の初層溶接と充填層および仕
上層の各溶接とで出力する平均電流Iaの溶接条件テー
ブルの一例を示す図である。
【図12】溶接データ演算結果の表示例を示す図であ
る。
【図13】光切断式センサ10および関連機器の構成を
示す斜視図である。
【図14】溶接前にするトーチ位置(ワイヤ先端位置)座
標の原点とセンサ座標の原点の位置基準合わせを示す図
である。
【図15】画像処理装置22と一対の光切断式センサ1
0とにより検出する内容を示す図である。
【図16】本発明の多層盛自動溶接装置の操作盤に表示
する画面構成の一例を示す図である。
【図17】本発明の多層盛溶接方法における検出動作お
よび溶接制御動作の実行手順の概要を示す図である。
【図18】溶接線の位置ずれとその位置ずれ検出の概要
を示す図である。
【図19】図18に示した溶接線左右方向のトーチ位置
ずれを適正に修正する方法の制御ブロックを示す図であ
る。
【図20】ウィービング溶接の制御方法を示す図であ
る。
【図21】図20に示したウィービング溶接方法の制御
ブロックを示す図である。
【符号の説明】
1a 溶接ワーク 1b 溶接ワーク 2 開先継手 3 ガイドレール 4 溶接台車、 5 溶接ワイヤ 6 溶接トーチ 8 ワイヤ送り機構 9 トーチ駆動機構 10 光切断式センサ 11 溶接制御装置 12a パルス溶接電源 15a 操作盤、 15b 画面表示装置 17 統括制御装置 18a 溶接データファイル 22 画像処理装置 23 投光受光制御器 24a 各軸駆動装置 25 アーク 26 ワイヤ溶滴 28 スパッタ 31a レーザ投光器 31b スリット光 32a カメラ 32b 干渉フィルタ 28 開先中心軸 33 開先形状の画像線 33a〜33f 開先形状の画像線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B23K 37/02 B23K 37/02 B (71)出願人 598109039 株式会社 日立茨城ビジネスエンジニアリ ング 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 (72)発明者 今永 昭慈 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 羽田 光明 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 柴田 信雄 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内 (72)発明者 小林 正宏 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立茨城ビジネスエンジニアリング (72)発明者 佐藤 登志美 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立事業所内 (72)発明者 豊田 清一 茨城県日立市弁天町三丁目10番2号 日立 協和エンジニアリング株式会社内 (72)発明者 秋葉 伸彦 茨城県日立市会瀬町二丁目9番1号 日立 設備エンジニアリング株式会社内 Fターム(参考) 4E082 AA03 AA04 BA04

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶接すべき一対の厚板長尺部材を突合わ
    せた継手部の溶接線が蛇行しまたはギャップ幅や開先断
    面積が変化することもある開先継手の溶接線方向に設置
    されたガイドレール上を走行し、ワイヤ溶融式の溶接ト
    ーチとトーチ駆動機構と開先部のギャップ幅,開先中心
    の左右および上下位置ずれ量などを検出するセンサとを
    搭載した自走式の溶接台車と、パルス溶接電源と、溶接
    制御装置とを用いて多層盛溶接する多層盛溶接方法にお
    いて、 パルス溶接電源から出力すべき高電流の1パルスで1溶
    滴が低電流のベース時間前半に移行可能なパルス溶接波
    形を設定し、 初層のパルス溶接で用いるギャップ幅範囲別の複数の平
    均電流群または電流群および平均電圧群を条件テーブル
    に設定し、 初層溶接を実行する時は、センサで検出される開先部の
    ギャップ幅,開先中心の左右および上下位置ずれなどの
    検出情報に基づいて、ギャップ幅の大きさに対応した平
    均電流および平均電圧を階段状に増減出力させ、 前記ギャップ幅に関係する溶着面積,溶接速度,ウィー
    ビングの幅や周波数などの条件パラメータを各々算出し
    て増減し、 溶接線左右および上下方向の位置ずれをなくす方向にト
    ーチ位置を修正制御することを特徴とする多層盛溶接方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の多層盛溶接方法におい
    て、 充填層および仕上層のパルス溶接別に用いる平均電流ま
    たは電流および平均電圧を条件テーブルに設定し、 前記初層後の充填層および仕上層の各溶接を実行する時
    には、前記溶接パスに該当する所定値の平均電流および
    平均電圧を出力させ、 開先面積とビード幅または開先肩幅またはビード幅およ
    び開先肩幅とを用いて、開先中心の左右および位置ず
    れ,上下位置ずれなどの検出情報に基づいて、溶接すべ
    き溶着面積,溶接速度,ウィービングの幅や周波数など
    の条件パラメータを各々算出して増減し、 溶接線左右および上下方向の位置ずれをなくす方向にト
    ーチ位置を修正制御することを特徴とする多層盛溶接方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の多層盛溶接方
    法において、 前記厚板長尺部材の開先継手は、完全溶け込み溶接が必
    要なX開先継手であって、 前記X開先の角度を30〜40度の範囲に狭く形成し、 表側および裏側の初層溶接で、深溶け込みが必要なギャ
    ップのない部分では、平均電流を270A≦Ia≦33
    0Aの範囲,溶接速度を500mm/min程度または
    それより幾分遅い領域に設定し、 開先両壁面の溶融が必要なギャップ変化のある部分で
    は、前記ギャップ幅が大きくなるに従って平均電流を予
    め定めた値ずつ減少させるように設定し、 溶着面積増加に必要な溶接速度を減少する制御と溶接ト
    ーチのウィービング幅を増加する制御とを実行すること
    を特徴とする多層盛溶接方法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか一項に記載
    の多層盛溶接方法において、 開先部の断面形状画像を処理する画像処理装置に接続し
    ている光切断式センサを溶接トーチ前方の開先上面に設
    置し、 溶接前に溶接開始点でトーチ先端のワイヤ位置決めとセ
    ンサ座標の基準原点とを合わせ、 初層,充填層および仕上層の各溶接動作時には、前記画
    像処理装置と一対の光切断式センサとにより、溶接トー
    チより先行する位置でほぼ一定時間間隔で取得する断面
    形状画像を処理し、 ギャップ幅,ビード幅,開先肩幅,開先深さ,角度,開
    先面積,開先中心の左右位置ずれ,上下位置ずれの値を
    それぞれ検出し、 検出したデータを前記溶接制御装置側で分類し平均処理
    し、 溶接すべき溶着面積,溶接速度,ウィービングの幅や周
    波数などの条件パラメータをそれぞれ算出して制御し、 溶接線左右および上下方向の位置ずれを修正制御するこ
    とを特徴とする多層盛溶接方法。
  5. 【請求項5】 溶接すべき一対の厚板長尺部材を突合わ
    せた継手部の溶接線が蛇行しまたはギャップ幅や開先断
    面積が変化することもある開先継手の溶接線方向に設置
    されたガイドレール上を走行し、ワイヤ溶融式の溶接ト
    ーチとトーチ駆動機構と開先部のギャップ幅,開先中心
    の左右および上下位置ずれ量などを検出するセンサとを
    搭載した自走式の溶接台車と、 少なくとも高電流の1パルスで1溶滴を移行させるため
    の直流パルス溶接波形が設定可能であって、パルス電流
    値または前記パルス電流を出力させるパルス電圧値とパ
    ルス時間の調整設定が可能であるとともに、ベース時間
    およびワイヤ送り速度の可変制御によってパルス溶接の
    平均電流,平均電圧の増減制御が可能なパルス溶接電源
    と、 前記センサから得られる断面形状画像を処理して開先中
    心の左右位置ずれ,上下位置ずれ,ギャップ幅,ビード
    幅,開先肩幅,開先深さ,角度および開先面積を検出す
    る画像処理装置と、 初層と充填層および仕上層の各溶接パスで使用する平均
    電流や平均電圧,溶接中の計算処理で使用する溶接デー
    タを格納するデータファイルと、溶接および検出動作中
    に前記画像処理装置から取得する検出データを処理する
    検出データ処理手段と、溶接トーチの左右位置ずれおよ
    び上下位置ずれの修正量,ワイヤ送り速度と溶接すべき
    溶着面積,溶接速度,ウィービングの幅や周波数などの
    条件パラメータの増減量をそれぞれ算出してトーチ位置
    の修正制御,溶接条件パラメータの適正制御を溶接台車
    およびパルス溶接電源に実行させる溶接処理手段とを有
    する溶接制御装置とからなる多層盛自動溶接装置。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の多層盛自動溶接装置に
    おいて、 前記センサは、開先部の断面形状画像を処理する画像処
    理装置と一対の光切断式センサであり、 少なくとも開先面を直角に切断する垂直方向にスリット
    光を照射するレーザ投光器と、干渉フィルタを介してス
    リット光の反射像を撮像する受光器とを有し、 溶接台車に搭載され左右および上下方向に移動可能な溶
    接トーチとは独立させて当該溶接トーチより先行する開
    先上面で断面形状画像の撮像可能な溶接台車本体の位置
    に搭載されていることを特徴とする多層盛自動溶接装
    置。
  7. 【請求項7】 請求項5または6に記載の多層盛自動溶
    接装置において、 溶接前に開先形状や溶接基準条件の入力情報に基づいて
    多層盛溶接のパス数やパス毎のトーチ位置および溶接条
    件を演算した結果を表示し、トーチ位置決めとセンサ座
    標の原点合わせの設定状況および結果を表示し、溶接中
    にリアルタイムで変化するトーチの現在位置,出力中の
    溶接条件,検出データの情報を表示し、装置異常や溶接
    異常が生じた時に警告を表示する画面表示手段を前記溶
    接制御装置に設けたことを特徴とする多層盛自動溶接装
    置。
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