JP6052798B2 - 自動溶接機の異常監視装置 - Google Patents
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Description
ところが、実際に自動溶接機や溶接ロボットを用いてアーク溶接を行う際には、対象ワークの設置誤差、対象ワークの加工誤差、溶接中における対象ワークの変形等によって、対象ワークの溶接箇所に対するトーチの位置(狙い位置)のずれが発生し、融合不良による溶接強度不足やビード形状不良等の溶接欠陥となる場合がある。
「溶接線倣い」はセンサにて溶接継ぎ手(対象ワーク)とトーチとの位置のずれを検出し、検出したずれ量を基にトーチ先端位置を補正し、トーチ先端位置を溶接線に対し自動追従させるものである。このようなセンサとしては、例えば、特許文献1に開示されている機械式センサであったり、特許文献2に開示されている光学・視覚センサであったり、また、特許文献3などに開示されているアーク溶接電流変化を用いたものが挙げられる。
また、アーク溶接電流の変化を用いる方式である「アーク倣い」は、機械式センサや光学・視覚センサによる「溶接線倣い」に比べて安価であって最も普及しているが、適用先がV型開先、レ型開先や水平隅肉等の典型的な溶接継手形状に限定されており、形状が複雑で非対称な開先、多層溶接における2層目以降の倣い、電流変化が現れにくいアルミ溶接等に、「アーク倣い」を適用させることは原理上困難である。
これら専用溶接装置の典型的な使用方法を以下に述べる。装置は対象ワークに設置された後、まずアーク放電を行わない状況下においてオペレータが実際の対象ワーク上でトーチ狙い位置、溶接速度、ウィービング動作パターン(振幅、周波数、端停止時間等)を目視で調整する。
このような専用機による溶接時のオペレータの負担軽減および自動化率を向上させるためには、オペレータに代わって自動的に溶接状態を監視する装置が有用である。
自動的に溶接状態を監視する装置としては、アークや溶接プールの画像を光学センサで撮像したり、集音マイクでアーク音を録音し分析するものがあるが、溶接電流と溶接電圧を用いて溶接状態を監視する方法がより一般的であり、例えば、特許文献4や特許文献5に開示されたものがある。
また、特許文献5には、溶接中の各溶接状態(電流・電圧)をリアルタイムで記録し、この記録データ信号と適正条件範囲記録器の保存データ信号を比較して健全でない溶接部を比較演算器で求める自己診断機能付自動溶接装置が開示されている。
すなわち、特許文献4は、アーク溶接の異常を判断する際の判断基準となる「基準値」が既知であることとなっているが、この「基準値」は、溶接電流、電圧、ガスの種類、ワイヤの種類、電源特性は元より、トーチと母材との間の距離(ワイヤ突出し長さ)やトーチの狙い角、母材(対象ワーク)の板厚及び材質、溶接電源ケーブルの長さや電源アース場所、溶接機の個体差の影響も受ける。
また、特許文献5は、アーク溶接の異常を判断する際の判断基準となる「基準値」と、実際の溶接状況を示す「計測値」との差分でアーク溶接の異常を判断するといった、シンプルかつ静的な方法であるが、中厚の板材の溶接で多用されるウィービング動作時においては、その動作パターンと開先形状に応じて溶接電流あるいは溶接電圧が周期的に変化するため、ウィービング動作の途中での局所的電流(電圧)変化をアーク溶接の異常と誤判定してしまう虞がある。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、アーク溶接の異常を判断する際の判断基準となる基準値を、正常に溶接が行われていると判断される状況下において逐次設定し、その基準値と現在行われている溶接作業下において設定された現在値とを比較して、アーク溶接の異常を判断し、その結果を警告として通達することができる自動溶接機の異常監視装置を提供することを目的とする。
本発明の自動溶接機の異常監視装置は、トーチの先端を溶接方向に沿うように一定溶接速度にて動作させ、溶接方向に対してトーチを揺動させるウィービング機構を備えた自動溶接機に備えられていて、溶接時の電流又は電圧を検出する検出部と、前記検出部で検出した電流又は電圧の波形から高周波ノイズ成分を除去するフィルタリング処理部と、前記フィルタリング処理部から出力された電流又は電圧の波形を基にアーク溶接の異常を判定する異常判定部と、を有する自動溶接機の異常監視装置であって、正常に溶接が行われていると判断される状況下において、前記検出部で検出された電流又は電圧の波形におけるウィービング動作の1周期分の波形を「基準波形」として記憶する基準波形記憶部と、溶接作業下において、前記検出部で検出された電流又は電圧の波形を「作業時波形」として記憶する作業時波形記憶部と、を有しており、前記異常判定部は、前記基準波形記憶部で記憶された「基準波形」と、前記作業時波形記憶部で記憶された「作業時波形」とを比較することで、アーク溶接の異常を判定するように構成されていることを特徴とする。
好ましくは、前記異常判定部は、前記「基準波形」から算出される溶接時の入熱量と、前記「作業時波形」から算出される溶接時の入熱量との差を逐次算出し、前記算出された差が所定値以上となった際に、アーク溶接に異常が発生したと判定するように構成されているとよい。
好ましくは、前記基準波形記憶部における「基準波形」の記憶開始を指令するトリガ部を有するとよい。
なお、本発明にかかる自動溶接機の異常監視装置の最も好ましい形態は、トーチの先端を溶接方向に沿うように一定溶接速度にて動作させ、溶接方向に対してトーチを揺動させるウィービング機構を備えた自動溶接機に備えられていて、溶接時の電流又は電圧を検出する検出部と、前記検出部で検出した電流又は電圧の波形から高周波ノイズ成分を除去するフィルタリング処理部と、前記フィルタリング処理部から出力された電流又は電圧の波形を基にアーク溶接の異常を判定する異常判定部と、を有する自動溶接機の異常監視装置であって、正常に溶接が行われていると判断される状況下において、前記検出部で検出された電流又は電圧の波形におけるウィービング動作の1周期分の波形を「基準波形」として記憶する基準波形記憶部と、溶接作業下において、前記検出部で検出された電流又は電圧の波形を「作業時波形」として記憶する作業時波形記憶部と、を有しており、前記異常判定部は、前記基準波形記憶部で記憶された「基準波形」と、前記作業時波形記憶部で記憶された「作業時波形」とを比較することで、アーク溶接の異常を判定するように構成されていて、前記異常判定部は、前記「基準波形」と前記「作業時波形」のウィービング動作の1周期分の波形とをそれぞれ複数の区間に分割し、当該分割された各区間毎に、比較対象量を溶接電流、溶接電圧、および入熱量の中から設定し、設定された前記比較対象量について前記「基準波形」と前記「作業時波形」の差を逐次算出し、前記算出された差が所定値以上となった際に、アーク溶接に異常が発生したと判定するように構成されていることを特徴とする。
まず、本発明の自動溶接機の異常監視装置を説明する前に、その異常監視装置に備えられている自動溶接機の概要について、図1に基づき説明する。
図1に示すように、自動溶接機1は、造船や橋梁など様々な形状の構造物を溶接する際に用いられるものである。本実施形態では、直線移動型の簡易自動溶接機を例に挙げて説明する。
この自動溶接機1には、トーチ13の先端(ノズル)を溶接方向に沿うように一定溶接速度にて動作させ、溶接方向に対してトーチ13をほぼ直角に揺動させるウィービング機構が備えられている。
以降の説明において、母材31の開先方向(溶接方向)をX軸とし、母材31の開先方向に対して垂直方向をZ軸とする。また、X軸回りにトーチ13を揺動させる軸をθ軸とする。
走行レール14には、トーチ13を溶接方向に走行させる駆動モータ15が備えられている。この駆動モータ15により、トーチ13は、母材31の開先方向に延びるX軸と、走行レール14(X軸)に対して垂直方向(上方向)に延びるZ軸に沿って移動すると共に、X軸回りに角度θでウィービング動作する。
制御装置16は、溶接の開始と停止を指令する電源(ON/OFF)スイッチと、溶接の速度を調整する溶接速度調整ダイアルと、トーチ13の狙い位置を調整するインチング操作スイッチと、トーチ13のウィービング動作を調整するウィービング調整ダイアルなどを有している。加えて、本実施形態の場合、後述する異常監視装置2に用いられる「基準波形」を取得する基準波形取得ボタン18と、異常監視装置2からアーク溶接が異常であると判定されたときに、オペレータなどにアーク溶接の異常警告を通達する警告灯17を有している。
ウィービング調整ダイアルは、トーチ13の右振り角、及び左振り角の角度θを調整するトーチ振り角調整ダイアルと、ウィービング動作の周波数を調整する周波数調整ダイアルと、ウィービング動作をしているトーチ13の先端が、母材31の端部(開先32の端)にて一定時間停止させる端部停止時間設定ダイアルとを有している。
このように、制御装置16では、溶接条件に基づいてアーク溶接を制御しながら、トーチ13の狙い位置やウィービング動作を調整する。そしてこのような状況下で、ワイヤ送給装置11から溶接ワイヤ30をトーチ13に供給して、溶接ヘッド12を走行レール14上で母材31の溶接方向に沿わせながら自動溶接を行う指令を出す。
そこで、これらの異常を未然乃至は迅速に察知するために、オペレータは常にアーク溶接の監視を目視で行う必要があり、この長時間にわたる監視作業はオペレータへの大きな負荷であり、生産効率の低下の要因ともなっている。
異常監視装置2は、溶接電源装置の電流又は電圧を検出し、その検出された電流又は電圧の波形を基にアーク溶接の異常を判定して、その判定結果を制御装置16に出力するものである。
図3に示すように、フィルタリング処理部4は、検出部3で検出した溶接電流と溶接電圧の時系列波形を平滑化(移動平均処理)して、時系列波形の高周波ノイズ成分を除去する。除去された時系列波形は、作業時波形記憶部6に送られる。
例えば、ウィービング動作の1周期分の電流波形を「作業時電流波形」I(t)とし、ウィービング動作の1周期分の電圧波形を「作業時電圧波形」V(t)とする。作業時電流波形I(t)と作業時電圧波形V(t)は、異常判定部7でのアーク溶接の異常判定に用いられるために記憶される。このとき、作業時波形記憶部6では、正常に溶接が行われていると判断されたときのウィービング動作1周期分の波形が抽出されて、基準波形記憶部5に送られる。
具体的には、基準波形記憶部5は制御装置16を用いて自動溶接機1の溶接条件の設定やトーチ13のウィービング動作の調整を終えた後、正常に溶接が行われていると判断された電流又は電圧の波形のウィービング動作の1周期分を抽出する。例えば、図3に示すように、基準波形記憶部5は、正常溶接時における調整直後のウィービング動作1周期分(トーチ13の先端が母材31の開先32の一方側(左)端部と他方側(右)端部との間を往復する)の波形を抽出する。その後、基準波形記憶部5は、抽出した波形を「基準波形」として記憶する。ここで、抽出された正常溶接時の電流波形I(t)を「基準電流波形」Ib(t)とする。また、抽出された正常溶接時の電圧波形V(t)を「基準電圧波形」Vb(t)とする。
トリガ部8は、制御装置16又は異常監視装置2に備えられているスイッチ(ボタン)の操作入力があった場合、また溶接開始後の条件調整が完了したことを検知した場合、また溶接中に溶接条件が変更され、その溶接条件の変更が完了した事を検知した場合、のいずれかの状況下になったときに、基準波形記憶部5に「基準電流波形」Ib(t)及び「基準電圧波形」Vb(t)の記憶開始を指令する。
異常判定部7は、基準波形記憶部5で記憶された「基準波形」(基準電流波形Ib(t),基準電圧波形Vb(t))と、現在のウィービング左端信号及びウィービング右端信号を基に作業時波形記憶部6で記憶された「作業時波形」(作業時電流波形I(t),作業時電圧波形V(t))と、を比較することでアーク溶接の異常を判定し、その判定結果をオペレータに警告として通達する。
図4(a)に示すように、本実施形態のウィービング機構は、開先32の形状が左右非対称であるため、X軸方向側面視で、トーチ13の振れ角が左右非対称となっている。詳しくは、トーチ13の先端が垂下した状態から開先32の右端部までの右振り角θrと、トーチ13の先端が垂下した状態から開先32の左端部までの左振り角θlとが異なっている(θr<θl)。それゆえ、ウィービング信号が左右端それぞれ設定されている。
図5において実線で示される波形は、ウィービング動作時の「基準電流波形」Ib(t)である。この「基準電流波形」Ib(t)において、0秒〜TS秒の間(区間1)、溶接電流が増加していることがわかる。この波形の0秒〜TS秒の間では、トーチ13が開先32の左端部で停止しており、溶接ワイヤ30の溶込み不足を防止している。そして、溶接電流が増加した後のTS秒〜TR秒の間(区間2)とTR秒〜TW秒の間(区間3)は、溶接電流が徐々に減少していることがわかる。なお、区間2は、トーチ13が開先32の左端部で停止後から開先32の右端部に到達するまでの時間であり、区間3は、トーチ13が開先32の右端部から開先32の左端部に到達するまでの時間である。すなわち、トーチ13が開先32の左端部と右端部との間を往復する時間(ウィービング動作の1周期分)は、TW秒かかることとなる。
一方、図5において破線で示される波形は、ウィービング動作時の「基準電圧波形」Vb(t)である。なお、本実施形態の溶接電源は、定電圧特性のものを用いており、正常溶接時においての溶接電圧はほぼ一定となっている。
まず、区間1(0秒〜TS秒の間)では、開先32の左端部で溶込み不足が発生するため、溶接時の入熱量W(電流×電圧)を用いてアーク溶接の異常判定を行う。
異常判定部7は、「基準波形」から算出される溶接時の入熱量Wb(=ΣIb(t)×Vb(t))と、「作業時波形」から算出される現在の溶接時の入熱量W(=ΣI(t)×V(t))との差ΔW(=W−Wb)を逐次算出し、算出された差ΔWが所定値(閾値)以上となった際に、アーク溶接に異常が発生したと判定する。本実施形態の所定値については、入熱量の差の上限値ΔWHigh(>0)と入熱量の差の下限値ΔWLow(<0)が設定されている。
次に、区間2(TS秒〜TR秒の間)では、溶接ワイヤ30の送り量の変化(溶接ワイヤ30の狙いずれ)によって、トーチ13の先端と母材31との間の距離が変化する可能性があるため、トーチ13の先端と母材31との間の距離に相当する溶接電流に着目して、アーク溶接の異常判定を行う。
さらに、区間3(TR秒〜TW秒の間)では、溶融池と溶接ワイヤ30の先端とが接触して短絡してしまう可能性が高いため、溶接電圧に着目してアーク溶接の異常判定を行う。
このようにして、異常判定部7において現在行われているアーク溶接が異常であると判定されると、異常判定部7は、オペレータにトーチ13の狙い位置の再調整を促す警告信号と、一定時間経過しても再調整が行われない場合に自動溶接機1を停止させる停止信号とを制御装置16に出力する。
具体的には、異常判定部7は、アーク溶接が異常であると判定すると、アーク溶接の再調整作業を促す警告信号(警告閾値)とアーク溶接を自動的に停止する停止信号(停止閾値)を設定する。例えば、溶接時の入熱量の差ΔWの閾値として、警告閾値(ΔWLow〜ΔWHigh)と停止閾値(ΔW’Low〜ΔW’High)を設定する(ただし、ΔW’Low<ΔWLow、ΔWHigh<ΔW’High)。
次に、本発明の自動溶接機1の異常監視装置2を用いて、アーク溶接の異常を判定する方法について、説明する。
詳しくは、自動溶接機1の走行レール14(X軸レール)を、母材31に対して平行に設置する。そして、走行レール14の駆動軸(X軸)と走行レール14に対して垂直方向の駆動軸(Z軸)とをインチング操作ボタンで動作させて、トーチ13が溶接開始位置(開先32の中心)になるように、トーチ13の狙い位置を設定する。
アーク溶接が開始される(図3の時刻T1までの間)と、異常監視装置2は、溶接電流が流れていることを確認して、検出部3にて溶接電流と溶接電圧の検出を開始する。検出された溶接電流と溶接電圧の波形は、フィルタリング処理部4にて、平滑化(移動平均処理)されて、その波形の高周波ノイズ成分が除去される。
そして、制御装置16から「調整中」の信号がOFFのまま(ボタンやダイアルが操作されていない状態)で一定時間(図3の時刻T1から時刻T2までの間)経過したり、溶接電圧がほぼ一定になると、異常監視装置2のトリガ部8は、オペレータによる自動溶接機1の調整作業が完了したとみなし、基準波形記憶部5に「基準波形」を記憶するように開始の指令を出力する。なお、オペレータが、制御装置16に設けられた基準波形取得ボタン18を押すことで、トリガ部8を動作させ、基準波形記憶部5で「基準波形」を記憶するようにしてもよい。
このように記憶された「基準波形」と「作業時波形」とを用いて、異常判定部7にてアーク溶接の異常判定を行う(図3の時刻T3以降)。
異常判定部7では、基準波形記憶部5で記憶された「基準波形」と、作業時波形記憶部6で記憶された「作業時波形」との差を用いたり、「基準波形」における溶接時の入熱量と、「作業時波形」における溶接時の入熱量との差を用いて、「基準波形」と「作業時波形」とを比較することで、アーク溶接の異常を判定する。
以上述べたように、本発明の自動溶接機1の異常監視装置2は、アーク溶接の異常を判断する際の判断基準となる基準値を、正常に溶接が行われていると判断される状況下において逐次設定し、その基準値と現在行われている溶接作業下において設定された現在値とを比較して、アーク溶接の異常を判断し、その結果を警告として通達することができる。
また、本発明の異常監視装置2は、アーク電流および電圧を溶接電源からサンプリングできる手段を備えることが可能であり、この手段を備えた異常監視装置2は市販されている自動溶接機に容易に追加する事が可能である。
例えば、本実施形態では、本発明の特徴である異常監視装置2を備えた自動溶接機1として直線移動型の簡易自動溶接機を例に挙げて説明したが、この簡易自動溶接機は一つの例であり、自動溶接が行えるウィービング動作が可能な溶接機であれば特に限定しない。例えば、トーチ13をウィービング動作させる多関節の溶接ロボットであってもよい。
特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
2 異常監視装置
3 検出部
4 フィルタリング処理部
5 基準波形記憶部
6 作業時波形記憶部
7 異常判定部
8 トリガ部
10 溶接電源装置
11 ワイヤ送給装置
12 溶接ヘッド
13 トーチ
14 走行レール
15 駆動モータ
16 制御装置
17 警告灯
18 基準波形取得ボタン
30 溶接ワイヤ(溶接電極)
31 対象ワーク(母材)
32 開先
Claims (6)
- トーチの先端を溶接方向に沿うように一定溶接速度にて動作させ、溶接方向に対してトーチを揺動させるウィービング機構を備えた自動溶接機に備えられていて、溶接時の電流又は電圧を検出する検出部と、前記検出部で検出した電流又は電圧の波形から高周波ノイズ成分を除去するフィルタリング処理部と、前記フィルタリング処理部から出力された電流又は電圧の波形を基にアーク溶接の異常を判定する異常判定部と、を有する自動溶接機の異常監視装置であって、
正常に溶接が行われていると判断される状況下において、前記検出部で検出された電流又は電圧の波形におけるウィービング動作の1周期分の波形を「基準波形」として記憶する基準波形記憶部と、
溶接作業下において、前記検出部で検出された電流又は電圧の波形を「作業時波形」として記憶する作業時波形記憶部と、を有しており、
前記異常判定部は、前記基準波形記憶部で記憶された「基準波形」と、前記作業時波形記憶部で記憶された「作業時波形」とを比較することで、アーク溶接の異常を判定するように構成されていて、
前記異常判定部は、前記「基準波形」と前記「作業時波形」のウィービング動作の1周期分の波形とをそれぞれ複数の区間に分割し、当該分割された各区間毎に、比較対象量を溶接電流、溶接電圧、および入熱量の中から設定し、設定された前記比較対象量について前記「基準波形」と前記「作業時波形」の差を逐次算出し、前記算出された差が所定値以上となった際に、アーク溶接に異常が発生したと判定するように構成されている
ことを特徴とする自動溶接機の異常監視装置。 - 前記異常判定部は、前記「基準波形」と前記「作業時波形」との差を逐次算出し、当該算出された差が所定値以上となった際に、アーク溶接に異常が発生したと判定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の自動溶接機の異常監視装置。
- 前記異常判定部は、前記「基準波形」から算出される溶接時の入熱量と、前記「作業時波形」から算出される溶接時の入熱量との差を逐次算出し、前記算出された差が所定値以上となった際に、アーク溶接に異常が発生したと判定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の自動溶接機の異常監視装置。
- 前記異常判定部は、
前記逐次算出した「基準波形」と「作業時波形」との差、又は前記「基準波形」から算出される溶接時の入熱量と「作業時波形」から算出される溶接時の入熱量との差が、別に設定されている所定値以上となった際に、
アーク溶接を自動的に停止させる自動停止機能が備えられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自動溶接機の異常監視装置。 - 前記基準波形記憶部における「基準波形」の記憶開始を指令するトリガ部を有することを特徴とする請求項1に記載の自動溶接機の異常監視装置。
- 前記トリガ部は、
前記異常監視装置に備えられているスイッチの操作入力があった場合、
溶接開始後の条件調整が完了したことを検知した場合、
溶接中に溶接条件が変更され、その溶接条件の変更が完了した事を検知した場合、
のいずれかの状況下になったときに、前記基準波形記憶部に「基準波形」の記憶開始を指令することを特徴とする請求項5に記載の自動溶接機の異常監視装置。
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