JP2005095915A - 円周多層盛溶接方法及び自動溶接装置 - Google Patents

円周多層盛溶接方法及び自動溶接装置 Download PDF

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Akiyoshi Imanaga
昭慈 今永
Mitsuaki Haneda
光明 羽田
Hiroo Koide
宏夫 小出
Hiroshi Tsujimura
浩 辻村
Masatoshi Inagaki
正寿 稲垣
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Abstract

【課題】
多層盛溶接及び溶接パス毎のビード継ぎが必要な厚板管材の開先継手に対して、非消耗性電極のパルスアーク溶接又は直流アーク溶接により欠陥のない平滑で良好な円周溶接ビードを得る。
【解決手段】
初層1パス目の溶接開始位置Xs1を予め教示したトーチ基準位置Xoと同じ位置に設定し、2パス目から最終層のNパス目までの各溶接開始位置を前記トーチ基準位置Xoより溶接線方向に特定角度α1ずつ又は特定距離L1ずつ前進又は後退させた位置に各々設定する。円周溶接のビード継ぎ部の終了側では、初層1パス目から最終層のNパス目までの各溶接終了位置を各溶接開始位置から溶接線方向に一周させた位置より始終端重ね長さCeだけ又は特定角度α2だけ前進させた位置に各々設定する。
【選択図】図6

Description

本発明は、多層盛溶接及び溶接パス毎のビード継ぎが必要な厚板管材の開先継手を非消耗性電極による溶接トーチでパルスアーク溶接又は直流アーク溶接を行う円周多層盛溶接方法及び自動溶接装置に関する。
容器や配管や案内管など円形又は楕円形の管材の開先継手の円周溶接を行う場合、溶接開始部と終了部とのビード継ぎ溶接が必要である。特に、厚板管材の開先継手では、多層盛の円周溶接及び溶接パス毎のビード継ぎ溶接が必要である。また、ステンレス材などの高級材料を溶接する場合には、高品質な溶接結果が求められ、一般に非消耗性のタングステンを電極にするパルスアーク溶接や直流アーク溶接が用いられている。このパルスアーク溶接や直流アーク溶接の場合においても、円周多層盛溶接及びビード継ぎに適した制御を行う必要がある。
従来からビード継ぎ溶接に関する制御方法が幾つか提案されている。例えば、特許文献1に記載の円周溶接方法では、溶接ワイヤを電極にするアーク溶接を用い、溶接開始の始端ビードと溶接終了の終端ビードとのラップ区間の溶接終端部で流す溶接電流を本溶接区間の溶接電流値より大きくして前記始端ビードを終端ビードに溶け込ませることが提案されている。
また、特許文献2に記載の溶接始終端処理方法では、円周方向に溶接が進行して溶接始端の手前の位置に到達した時に、溶接トーチの向きを溶接始端側に傾斜移動させると同時に電流を増加させて始端形状を滑らかに修正し、溶接トーチの向きを元に戻した後に定常作業により溶接終端を溶接始端に重ねることが提案されている。
また、特許文献3に記載の固定管の片面突き合せ溶接方法では、左半周と右半周の溶接を各々受け持つ2本の溶接トーチを配置し、溶接の開始時と終了時に各溶接トーチを傾動及び溶融プールを一体化させてビード始端継ぎ及びビード終端継ぎを行うことが提案されている。
また、特許文献4に記載の溶接方法及び溶接構造では、溶接ビードの終端位置で、溶接トーチの進行を一旦停止させ、少なくとも溶接進行方向の後方に生じている溶融プールの長さ分、溶接トーチを逆戻りさせ、その逆戻り終端位置でクレータ処理を施すことが提案されている。
また、特許文献5に記載のビード継ぎ重ね溶接の制御方法では、ビード継ぎの組合せを事前に決め、ビード継ぎ重ね溶接の開始側では、前記既存溶接のビード終端部の凹み始めた位置より小電流・電圧のアークを発生させると共に溶接トーチを走行させた後に、その小電流アークから定常溶接の高電流・高電圧のアークに移行させると共に溶接速度を一旦高速に切り換え、その後、高速から低速の定常速度に移行させてアーク溶接するようにし、また、前記既存溶接のビード始端部に対するビード継ぎ重ね溶接の終了側では、溶接トーチがそのビード始端境界位置に到達して特定距離走行後に、アーク溶接の電流・電圧を減少及び溶接トーチの走行を一時停止させ、その後、小電流のアークを持続した状態のままで溶接トーチを再び走行させて終点へ到達後にそのアーク溶接を終了することが提案されている。
一方、特許文献6に記載の多層盛溶接の制御方法及び多層盛溶接では、光学式センサで検出する検出データ群から抽出した未溶接面積より面積差分倍率を算出し、この面積差分倍率の特性に基づいて溶接速度と溶接電流又はワイヤ速度を増減制御すること、さらに、開先中心ずれに基づいてトーチ位置を修正制御することが提案されている。なお、溶接始終端のビード継ぎ溶接については、全く記載されていない。また、溶接トーチを左右に揺動させる制御についても記載されておらず不明である。
特開昭62−267073号公報 特開平3−42179号公報 特開平8−155638号公報 特開平10−099965号公報 特開平11−077305号公報 特開平10−216940号公報
上記特許文献1の場合には、融合不良のない溶接始終端ビードを得るための工夫がされている。しかしながら、始終端ビードのラップ区間で溶接電流を大きくしているため、溶融金属の増加(溶接ワイヤの増加)を伴い、溶接終端部のビード幅が広くなり、溶接外観が悪化する可能性がある。また、1パス仕上の円周溶接であるため、2パス以上の多層盛溶接にそのまま適用することができないものと推定される。
上記特許文献2の場合には、融合不良のない溶接始終端ビードを得るための制御に工夫がされており、一応の目的を達成し得る方法である。しかしながら、溶接始端部の手前の位置で溶接トーチの向きを前方に傾斜移動及び電流を増加させると、アーク長の変化及び溶融金属の増加による不具合が生じる可能性がある。また、溶接ワイヤを電極にするアーク溶接であるため、非消耗性のタングステンを電極にするアーク溶接又はパルスアーク溶接が必要な開先継手の円周多層盛溶接に適用することができない。
上記特許文献3の場合には、左半周と右半周の振分け溶接における始端部同士のビード継ぎと終端部同士のビード継ぎを良好に行うための制御に工夫がされている。しかしながら、2つの溶接トーチを溶接開始時と終了時に傾斜移動させて各々のアーク及び溶融プールを一体化させると、電磁場の発生によるアーク同士の干渉やスパッタの多発や多重の溶融金属によるビード盛上りなどの不具合が生じる可能性がある。また、2つの溶接トーチを駆動制御する2組の溶接台車が必要であり、装置の大型化及び複雑な制御を要するという課題がある。
上記特許文献4の場合には、溶接終端部の凹みを防止するための制御に工夫がされている。しかしながら、上記特許文献1,2と同様に1パス仕上の円周溶接であるため、2パス以上の多層盛溶接にそのまま適用することができないものと推定される。また、溶接ワイヤを電極にするアーク溶接であるため、非消耗性のタングステンを電極にする直流アーク溶接又はパルスアーク溶接が必要な開先継手の円周多層盛溶接に適用することができない。
上記特許文献5は、本発明者らが提案したビード継ぎ重ね溶接の制御方法であるが、溶接ワイヤを電極にするアーク溶接を対象にしており、非消耗性のタングステンを電極にするアーク溶接ではなかった。このため、上記特許文献2,4と同様に、非消耗性のタングステンを電極にする直流アーク溶接又はパルスアーク溶接が必要な開先継手の円周多層盛溶接に適用することができない。
また、上記特許文献6は、本発明者らが提案した多層盛溶接の制御方法及び多層盛装置であり、溶接条件の制御及びトーチ位置の制御に有効であるが、ビード継ぎ部の条件制御が考慮されていなかった。したがって、溶接パス毎に良好な溶接始終端のビード継ぎ部及び円周溶接部を得るための新たな制御技術が必要である。
本発明の目的は、多層盛溶接及び溶接パス毎のビード継ぎが必要な厚板管材の開先継手からなる溶接製品に対して、非消耗性電極のパルスアーク溶接又は直流アーク溶接により溶接パス毎に溶接開始部から定常溶接の円周部及び一周後の開始部と終端部とのビード継ぎ部まで欠陥のない平滑で良好な円周溶接ビードを得ることが可能な円周多層盛溶接方法及び自動溶接装置を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために、少なくとも2パス以上の多層盛溶接及び溶接パス毎のビード継ぎが必要な容器や配管や案内管など円形又は楕円形の厚板管材の開先継手を非消耗性電極による溶接トーチでパルスアーク溶接又は直流アーク溶接を行う円周多層盛溶接方法において、溶接前に前記円周多層盛溶接の基準となるトーチ基準位置を前記開先継手の所望の開先中心位置かこの位置近傍に設定し、初層1パス目の溶接開始位置を前記トーチ基準位置と同じ位置に設定し、初層後の2パス目から最終層Nパス目までの各溶接開始位置を前記トーチ基準位置より溶接線方向に第1の特定角度ずつ又は第1の特定距離ずつ前進又は後退させた溶接線位置に各々設定し、あるいは前記初層後の2パス目から最終層Nパス目までの各溶接開始位置を前記トーチ基準位置より前進又は後退させる方向に複数定めた特定角度か特定距離の位置に振分けて各々設定し、あるいは奇数番号の溶接パスに該当する第1の溶接開始位置を前記トーチ基準位置より溶接線方向に第1の特定角度だけ又は第1の特定距離だけ前進又は後退させた溶接線位置に設定し、偶数番号の溶接パスに該当する第2の溶接開始位置を前記第1の溶接開始位置と異なる正反対の溶接線位置に設定し、溶接パス毎に各々設定された前記各溶接開始位置かこの位置近傍、あるいは前記第1の溶接開始位置,前記第2の溶接開始位置かこの位置近傍よりアークを発生させて前記パルスアーク溶接又は直流アーク溶接を開始することを特徴とする円周多層盛溶接方法を提案する。
特に、前記アーク溶接の開始側では、該当する溶接パスの前記溶接開始位置かこの位置近傍に前記溶接トーチを相対移動及び停止させた後に、溶接トーチ先端より小電流のアークを発生させ、前記小電流のアップスロープ時間経過後に定常溶接のパルスアークのピーク電流・ベース電流又は直流アークの平均電流に到達させ、その後に、溶接線方向に所定速度で前記溶接トーチを走行させ又は母材の開先継手側を回転させ、あるいは前記溶接トーチを走行させ又は母材の開先継手側を回転させる前後に、前記アーク中及び溶融プール内にワイヤを送給しながら定常状態の円周溶接に移行させるようにするとよい。
また、前記アーク溶接の開始側では、該当する溶接パスの前記溶接開始位置かこの位置近傍に前記溶接トーチを相対移動及び停止させた後に、溶接トーチ先端より小電流のアークを発生させ、前記小電流のアップスロープ時間経過後に定常溶接のパルスアークのピーク電流・ベース電流又は直流アークの平均電流に到達させると同時かその後に、前記溶接トーチを溶接線左右方向に揺動させ、溶接線方向に所定速度で前記溶接トーチを走行させ又は母材の開先継手側を回転させる前後に、前記アーク中及び溶融プール内にワイヤを送給しながら定常状態の円周溶接に移行させるようにすることもできる。
また、本発明は、上記目的を達成するために、少なくとも2パス以上の多層盛溶接及び溶接パス毎のビード継ぎが必要な容器や配管や案内管など円形又は楕円形の厚板管材の開先継手を非消耗性電極による溶接トーチでパルスアーク溶接又は直流アーク溶接を行う円周多層盛溶接方法において、初層1パス目から最終層Nパス目までの各溶接終了位置は、円周多層盛溶接の基準となるトーチ基準位置を含み、このトーチ基準位置から溶接線方向に第1の特定角度ずつ又は第1の特定距離ずつ前進又は後退させた溶接線位置に各々設定された各溶接開始位置か、あるいは奇数パス目と偶数パス目とで前後異なる正反対の方向であって前記トーチ基準位置から第1の特定角度だけ又は第1の特定距離だけ前進又は後退させた溶接線位置に振分けて設定された第1の溶接開始位置,第2の溶接開始位置から溶接線方向に一周させた位置より第2の特定角度又は第2の特定距離だけ前進させた溶接線位置に設定し、あるいは初層1パス目から最終層Nパス目までの各溶接終了位置は、前記トーチ基準位置を含み、このトーチ基準位置より前進又は後退させる方向に複数定めた特定角度か特定距離の位置に振分けて各々設定した各溶接開始位置から溶接線方向に一周させた位置より第2の特定角度又は第2の特定距離だけ前進させた溶接線位置に設定し、定常状態の円周溶接中に前記溶接トーチが該当する溶接パスの前記溶接終了位置に到達した地点又はこの位置近傍で、あるいは前記溶接終了位置までの到達時間の経過後に、出力すべき溶接終了条件に移行し又は切り換えてビード継ぎ溶接することを特徴とする円周多層盛溶接方法を提案する。
特に、溶接パス毎のビード継ぎ部では、定常状態の円周溶接中に前記溶接トーチが該当する溶接パスの前記溶接終了位置に到達した地点かこの位置近傍で、あるいは前記溶接終了位置までの到達時間の経過後に、定常溶接のピーク電流・ベース電流又は平均電流をダウンスロープさせ、ワイヤの送給を停止し又は停止直後に引き戻し、溶接トーチの走行又は母材の回転を停止又は走行停止遅れ時間後に停止させ、ダウンスロープ時間経過後に小電流のアークを停止させるとよい。
また、溶接パス毎のビード継ぎ部では、定常状態の円周溶接中に前記溶接トーチが該当する溶接パスの前記溶接終了位置到達した地点かこの位置近傍で、あるいは前記溶接終了位置までの到達時間の経過後に、定常溶接のピーク電流・ベース電流又は平均電流をダウンスロープさせると同時か直後に、前記溶接トーチの左右揺動を停止又は前記左右揺動の幅を減少して停止させ、ワイヤの送給を停止し又は停止直後に引き戻し、溶接トーチの走行又は母材の回転を停止又は走行停止遅れ時間後に停止させ、ダウンスロープ時間経過後に小電流のアークを停止させるとすることもできる。
また、本発明は、上記目的を達成するために、少なくとも2パス以上の多層盛溶接及び溶接パス毎のビード継ぎが必要な容器や配管や案内管など円形又は楕円形の厚板管材の開先継手を非消耗性電極による溶接トーチでパルスアーク溶接又は直流アーク溶接を行う円周多層盛溶接方法において、定常溶接区間で出力すべき溶接パス毎のピーク電流/ベース電流又は平均電流,ピーク電圧又は平均電圧,ピーク時間/ベース時間又は停止時間/移動時間,ピークワイヤ/ベースワイヤの送り速度又は平均ワイヤの送り速度,ウィビング幅,溶接速度や回転速度などの溶接条件パラメータと、溶接開始部とビード継ぎの溶接終了部とで出力すべき溶接開始条件及び溶接終了条件と、溶接パス毎の左右/上下方向の各トーチ位置,溶接開始位置及び溶接終了位置と、溶接の制御や計算に用いる各定数及び基準データとを書き込み設定,引出し可能な溶接データファイル又はこの溶接データファイルに該当する溶接情報手段を設け、溶接前に初層1パス目の溶接開始位置に該当又は円周多層盛溶接の基準位置に該当するトーチ基準位置を前記開先継手の所望の開先中心位置かこの位置近傍に設定し、円周多層盛溶接を実行する時には、前記トーチ基準位置及び前記溶接データに基づいて溶接パス毎に溶接トーチを所定の溶接開始位置に移動させて溶接開始条件によるアーク溶接を開始させ、定常状態の該当パスの溶接条件及び円周溶接動作に移行させ、その後に溶接終了位置で溶接終了条件によるビード継ぎ溶接、このビード継ぎ終了後に終了処理する一連の制御動作を実行するようにしたことを特徴とする円周多層盛溶接方法を提案する。
特に、初層1パス目から最終層Nパス目までの各溶接開始位置は、前記トーチ基準位置を含む開先中心位置から溶接線方向に第1の特定角度ずつ又は第1の特定距離ずつ前進又は後退させた溶接線位置に各々設定し、あるいは奇数パス目と偶数パス目とで前後異なる正反対の方向であって前記トーチ基準位置から第1の特定角度だけ又は第1の特定距離だけ前進又は後退させた溶接線位置に振分けて設定し、あるいは前記トーチ基準位置を含むこのトーチ基準位置より前進又は後退させる方向に複数定めた特定角度か特定距離の位置に振分けて各々設定、あるいは溶接パス毎に不特定な角度だけ前進又は後退させた溶接線位置に各々設定し、初層1パス目から最終層Nパス目までの各溶接終了位置は、各々設定された前記各溶接開始位置から溶接線方向に一周させた位置より第2の特定角度又は第2の特定距離だけ前進させた溶接線位置に設定するようにするとよい。
また、上記の円周多層盛溶接方法において、前記開先継手の開先肩幅,深さ,ギャップ,溶接部のビード幅,左右方向の開先中心ずれ,上下方向の位置ずれをリアルタイムで検出する視覚センサ及び画像処理装置をさらに設け、溶接前にセンサ基準位置合せを前記トーチ基準位置かこのトーチ基準位置近傍で設定し、円周多層盛溶接を実行する時には、溶接動作中に前記画像処理装置から取得する各検出値をデータ処理及び各々平均化処理して使用し、溶接部のビード幅,深さ,開先肩幅の大きさに応じて溶接すべきビード高さが一定高さになるように溶着面積及び溶接速度を算出又は溶着面積及びワイヤ送り速度を算出して適応制御し、前記ギャップ又はビード幅又は開先肩幅の大きさに応じて前記溶接トーチを溶接線左右方向に揺動させるウィービング幅を適応制御し、前記開先中心ずれをなくす方向に左右トーチ位置を修正制御又は前記開先中心ずれと前記上下位置ずれの両方をなくす方向に左右トーチ位置及び上下トーチ位置を修正制御することもできる。
さらに、少なくとも最終層の溶接又は最終層の溶接及び最終層の前層の溶接を実行する時には、前記視覚センサ及び画像処理装置による検出動作を停止して、最後に検出及び制御した前層溶接又は指定パスの溶接で記録した各検出値をデータ処理及び各々平均化処理して再使用し、溶接部のビード幅,深さ,開先肩幅の大きさに応じて溶接すべきビード高さが一定高さになるように溶着面積及び溶接速度を算出又は溶着面積及びワイヤ送り速度を算出して適応制御し、前記ギャップ又はビード幅又は開先肩幅の大きさに応じて前記溶接トーチを溶接線左右方向に揺動させるウィービング幅を適応制御し、前記開先中心ずれをなくす方向に左右トーチ位置を修正制御又は前記開先中心ずれと前記上下位置ずれの両方をなくす方向に左右トーチ位置及び上下トーチ位置を修正制御するとよい。
本発明は、上記目的を達成するために、少なくとも2パス以上の多層盛溶接及び溶接パス毎のビード継ぎが必要な容器や配管や案内管など円形又は楕円形の厚板管材の開先継手に対して、非消耗性電極による溶接トーチと、パルスアーク又は直流アークの出力可能なTIG溶接電源と、前記開先継手の回転走行が制御可能な母材回転装置又は溶接トーチの回転走行が制御可能な溶接台車と、ワイヤ及び溶接トーチの上下左右位置の駆動制御可能な駆動装置と、パス毎の溶接開始から終了に至る一連の動作及び構成機器を統括管理する溶接制御装置とを用いて、円周多層盛溶接及びビード継ぎ溶接を行う自動溶接装置において、溶接前に前記円周多層盛溶接の基準となるトーチ基準位置を前記開先継手の所望の開先中心位置に教示する位置教示手段と、教示した前記トーチ基準位置を溶接座標原点と見なして処理し又は前記トーチ基準位置を加算処理して溶接パス毎の溶接開始位置及び溶接線一周後の溶接終了位置を算出決定する始終端位置算出手段と、事前に入力設定又は算出設定する溶接パス毎の定常溶接区間の溶接条件パラメータ,溶接開始部での溶接開始条件及びビード継ぎを含む溶接終了部での溶接終了条件を出力制御する条件出力制御手段と、溶接開始位置から溶接終了位置に至るまでの回転走行位置及びトーチ左右上下位置を検出及び表示する位置検出表示手段とを設けたことを特徴とする自動溶接装置を提案する。
また、上記の自動溶接装置において、前記開先継手の開先肩幅,深さ,ギャップ,溶接部のビード幅,左右方向の開先中心ずれ,上下方向の位置ずれをリアルタイムで検出する視覚センサ及び画像処理装置と、溶接前にセンサ基準位置合せを前記トーチ基準位置又は該トーチ基準位置近傍に設定するセンサ基準位置設定手段と、溶接中に前記ビード幅,深さ,開先肩幅の大きさに応じて溶接すべきビード高さが一定高さになるように溶着面積及び溶接速度を算出又は溶着面積及びワイヤ送り速度を算出して適応制御し、前記ギャップ又はビード幅又は開先肩幅の大きさに応じて前記溶接トーチを溶接線左右方向に揺動させるウィービング幅を算出して適応制御する条件制御手段と、前記左右方向の開先中心ずれをなくす方向に左右トーチ位置を修正制御する又は前記左右方向の開先中心ずれと上下方向の位置ずれの両方をなくす方向に左右トーチ位置及び上下トーチ位置を修正制御するトーチ位置制御処理手段とをさらに設けた自動溶接装置とすることもできる。
すなわち、本発明の円周多層盛溶接方法では、溶接前に円周多層盛溶接の基準となるトーチ基準位置を前記開先継手の所望の開先中心位置かこの位置近傍に教示すると、円周溶接すべき開先継手のトーチ基準位置を確実に決定することができる。また、初層1パス目の溶接開始位置を前記トーチ基準位置と同じ位置に設定し、初層後の2パス目から最終層のNパス目までの各溶接開始位置を前記トーチ基準位置より溶接線方向に第1の特定角度ずつ又は第1の特定距離ずつ前進又は後退させた溶接線位置に各々設定すると、溶接パス毎の溶接開始位置を一箇所に集中させないで各々分散することができる。また、前記初層後の2パス目から最終層Nパス目までの各溶接開始位置を前記トーチ基準位置より前進又は後退させる方向に複数定めた特定角度か特定距離の溶接線位置に振分けて各々設定しても、溶接パス毎の溶接開始位置を一箇所に集中させないで各々分散することができる。そして、各々設定された各溶接開始位置かこの位置近傍よりアークを発生させて前記パルスアーク溶接又は直流アーク溶接を開始すると、各々異なる溶接開始位置に良好な溶接始端ビードを適正に形成することができる。
また、奇数番号の溶接パスに該当する第1の溶接開始位置を前記トーチ基準位置より溶接線方向に第1の特定角度だけ又は第1の特定距離だけ前進又は後退させた溶接線位置に設定し、偶数番号の溶接パスに該当する第2の溶接開始位置を前記第1の溶接開始位置と異なる正反対の溶接線位置に設定すると、溶接開始位置を2箇所以上に分散することができる。前記第2の溶接開始位置は、第1の溶接開始位置と反対方向にトーチ基準位置より第1の特定角度かこの特定角度と少し異なる角度だけ又は第1の特定距離かこの特定距離と少し異なる距離だけ移動させた位置に設定すればよい。そして、各々設定された前記第1の溶接開始位置,第2の溶接開始位置かこの位置近傍よりアークを発生させて前記パルスアーク溶接又は直流アーク溶接を開始すると、2箇所以上に分散した溶接開始位置に良好な溶接始端ビードを適正に形成することができる。
特に、アーク溶接の開始側では、該当する溶接パスの前記溶接開始位置かこの位置近傍に前記溶接トーチを相対移動及び停止させた後に、溶接トーチ先端より小電流のアークを発生させ、前記小電流のアップスロープ時間経過後に定常溶接のパルスアークのピーク電流・ベース電流又は直流アークの平均電流に到達させると、溶接ワイヤを電極にする従来のアーク溶接の電極消耗形態及び溶接状態と異なり、タングステンを主成分とする非消耗性の電極先端に安定なアークが形成し、アーク負荷の時間的緩和によって電極消耗を未然に防止できる。また、溶接スパッタの発生が全くなく、所望の大きさの溶融プールを適正に形成することができる。その後に、溶接線方向に所定速度で前記溶接トーチを走行させ又は母材の開先継手側を回転させ、あるいは前記溶接トーチを走行させ又は母材の開先継手側を回転させる前後に、前記アーク中及び溶融プール内にワイヤを送給しながら定常状態の円周溶接に移行させると、適正なワイヤ溶融及び溶融プールの形成によって余盛り高さの緩やかで良好な溶接始端ビード及び溶接欠陥のない定常状態の良好な円周溶接ビードを得ることができる。
また、アーク溶接の開始側では、該当する溶接パスの前記溶接開始位置かこの位置近傍に前記溶接トーチを相対移動及び停止させた後に、溶接トーチ先端より小電流のアークを発生させ、前記小電流のアップスロープ時間経過後に定常溶接のパルスアークのピーク電流・ベース電流又は直流アークの平均電流に到達させると同時かその後に、前記溶接トーチを溶接線左右方向に揺動(ウィービング動作)させ、溶接線方向に所定速度で前記溶接トーチを走行させ又は母材の開先継手側を回転させる前後に、前記アーク中及び溶融プール内にワイヤを送給しながら定常状態の円周溶接に移行させると、適正なワイヤ溶融及び溶融プールの形成だけでなく、ウィービング動作による溶融プール幅の広がりによって開先内の壁面まで確実に溶融でき、融合不良やアンダーカットなどの溶接欠陥のない良好な溶接始端ビード及び定常状態の良好な円周溶接ビードを得ることができる。このウィービング動作は、特に溶接部の開先幅が広くなる2パス目又は3パス目以降の溶接パスで開先壁面まで溶融が必要な時に使用するとよい。
また、本発明の円周多層盛溶接方法では、初層1パス目から最終層Nパス目までの各溶接終了位置は、円周多層盛溶接の基準となるトーチ基準位置を含む開先中心位置から溶接線方向に第1の特定角度ずつ又は第1の特定距離ずつ前進又は後退させた溶接線位置に各々設定された各溶接開始位置から、溶接線方向に一周させた位置より第2の特定角度又は第2の特定距離だけ前進させた位置に設定すると、溶接パス毎の溶接開始部と終端部とのビード継ぎ部を各々異なる適正な位置に分散することができる。そして、定常状態の円周溶接中に前記溶接トーチが該当する溶接パスの前記溶接終了位置に到達した地点又はこの位置近傍で、あるいは前記溶接終了位置までの到達時間の経過後に、出力すべき溶接終了条件に移行し又は切り換えてビード継ぎ溶接すると、溶接ワイヤを電極にする従来のアーク溶接と異なるビード継ぎの溶接制御を適正に行うことができるばかりでなく、円周溶接一周後の溶接始端ビードを適正に再溶融でき、前記ビード継ぎ部に溶接欠陥のない平滑で良好な終端重ねビードを確実に得ることができる。
また、初層1パス目から最終層Nパス目までの各溶接終了位置は、奇数パス目と偶数パス目とで前後異なる正反対の方向であって前記トーチ基準位置から第1の特定角度だけ又は第1の特定距離だけ前進又は後退させた溶接線位置に振分けて設定された第1の溶接開始位置,第2の溶接開始位置から、溶接線方向に一周させた位置より第2の特定角度又は第2の特定距離だけ前進させた溶接線位置に設定すると、溶接パス毎の溶接開始部と終端部とのビード継ぎ部を2箇所以上の適正な位置に分散することができる。そして、上述したように定常状態の円周溶接中に前記溶接トーチが該当する溶接パスの前記溶接終了位置に到達した地点又はこの位置近傍で、あるいは前記溶接終了位置までの到達時間の経過後に、出力すべき溶接終了条件に移行し又は切り換えてビード継ぎ溶接すると、円周溶接一周後の溶接始端ビードを適正に再溶融でき、前記ビード継ぎ部に溶接欠陥のない平滑で良好な終端重ねビードを確実に得ることができる。
また、初層1パス目から最終層Nパス目までの各溶接終了位置は、前記トーチ基準位置を含むと共に、このトーチ基準位置より前進又は後退させる方向に複数定めた特定角度か特定距離の位置に振分けて各々設定することもできる。そして、上述したように定常状態の円周溶接中に前記溶接トーチが該当する溶接パスの前記溶接終了位置に到達した地点又はこの位置近傍で、あるいは前記溶接終了位置までの到達時間の経過後に、出力すべき溶接終了条件に移行し又は切り換えてビード継ぎ溶接することにより、溶接開始部と終端部とのビード継ぎ部をパス毎に各々異なる適正な位置に分散できるばかりでなく、溶接始端ビードを適正に再溶融でき、前記ビード継ぎ部に溶接欠陥のない平滑で良好な終端重ねビードを確実に得ることができる。
特に、溶接パス毎のビード継ぎ部では、定常状態の円周溶接中に前記溶接トーチが該当する溶接パスの前記溶接終了位置に到達した地点かこの位置近傍で、あるいは前記溶接終了位置までの到達時間の経過後に、定常溶接のピーク電流・ベース電流又は平均電流をダウンスロープさせ、ワイヤの送給を停止し又は停止直後に引き戻し、溶接トーチの走行又は母材の回転を停止又は走行停止遅れ時間後に停止させ、ダウンスロープ時間経過後に小電流のアークを停止させると、前記溶接始端ビードを適正に再溶融した後に定常状態の大きさの溶融プールを徐々に縮小でき、溶接開始部と終端部とのビード継ぎ部に欠陥のない平滑で良好な終端重ねビードを得ることができる。また、ワイヤ停止直後の引き戻しによってワイヤ先端を溶融プールから引上げられ、ワイヤ凝着を未然防止することができる。前記アーク停止後に、シールドガスを停止し、溶接トーチを上昇回避するとよい。
また、溶接パス毎のビード継ぎ部では、定常状態の円周溶接中に前記溶接トーチが該当する溶接パスの前記溶接終了位置到達した地点かこの位置近傍で、あるいは前記溶接終了位置までの到達時間の経過後に、定常溶接のピーク電流・ベース電流又は平均電流をダウンスロープさせると同時か直後に、前記溶接トーチの左右揺動を停止又は前記左右揺動の幅を減少して停止させると、開先壁面に融合不良やアンダーカットなど溶接欠陥のない円周溶接ビードを確保した状態のまま、揺動停止のアークによって前記溶接始端ビードを適正に再溶融することができる。さらに、上述したようにワイヤの送給を停止し又は停止直後に引き戻し、溶接トーチの走行又は母材の回転を停止又は走行停止遅れ時間後に停止させ、ダウンスロープ時間経過後に小電流のアークを停止させると、両壁まで溶け込みを有するばかりでなく、溶接開始部と終端部とのビード継ぎ部に欠陥のない平滑で良好な終端重ねビードを得ることができる。
また、本発明の円周多層盛溶接方法では、定常溶接区間で出力すべき溶接パス毎のピーク電流/ベース電流又は平均電流,ピーク電圧又は平均電圧,ピーク時間/ベース時間又は停止時間/移動時間,ピークワイヤ/ベースワイヤの送り速度又は平均ワイヤの送り速度,ウィビング幅,溶接速度や回転速度などの溶接条件パラメータと、溶接開始部とビード継ぎの溶接終了部とで出力すべき溶接開始条件及び溶接終了条件と、溶接パス毎の左右/上下方向の各トーチ位置,溶接開始位置及び溶接終了位置と、溶接の制御や計算に用いる各定数及び基準データとを書込み設定,引出し可能な溶接データファイル又はこの溶接データファイルに該当する溶接情報手段を設けることにより、円周多層溶接で必要な溶接データの書き込み,引き出し及び出力が可能になる。また、溶接前に初層1パス目の溶接開始位置に該当又は円周多層盛溶接の基準位置に該当するトーチ基準位置を前記開先継手の所望の開先中心位置かこの位置近傍に設定することにより、円周溶接すべき開先継手のトーチ基準位置を確実に決定することができる。
さらに、円周多層盛溶接を実行する時には、前記トーチ基準位置及び前記溶接データに基づいて溶接パス毎に溶接トーチを所定の溶接開始位置に移動させて溶接開始条件によるアーク溶接を開始させ、定常状態の該当パスの溶接条件及び円周溶接動作に移行させ、その後に溶接終了位置で溶接終了条件によるビード継ぎ溶接、このビード継ぎ終了後に終了処理する一連の制御動作を実行することにより、溶接パス毎に溶接開始から定常溶接及び終了まで一連の制御を確実に行うことが可能になる。
初層1パス目から最終層Nパス目までの各溶接開始位置は、前記トーチ基準位置を含む開先中心位置から溶接線方向に第1の特定角度ずつ又は第1の特定距離ずつ前進又は後退させた溶接線位置に各々設定すればよい。また、奇数パス目と偶数パス目とで前後異なる正反対の方向であって前記トーチ基準位置から第1の特定角度だけ又は第1の特定距離だけ前進又は後退させた溶接線位置に振分けて設定することもできる。また、前記トーチ基準位置を含むこのトーチ基準位置より前進又は後退させる方向に複数定めた特定角度か特定距離の位置に各々設定することもできる。さらに、溶接パス毎に不特定な角度だけ前進又は後退させた溶接線位置に各々設定し、初層1パス目から最終層Nパス目までの各溶接終了位置は、各々設定された前記各溶接開始位置から溶接線方向に一周させた位置より第2の特定角度又は第2の特定距離だけ前進させた溶接線位置に設定することもできる。このように位置設定することにより、上述したように溶接パス毎の溶接開始位置を一箇所に集中させないで分散でき、この分散した位置に溶接始端ビードを形成することができる。
また、初層1パス目から最終層Nパス目までの各溶接終了位置は、各々設定された前記各溶接開始位置から溶接線方向に一周させた位置より第2の特定角度又は第2の特定距離だけ前進させた溶接線位置に設定することにより、上述したように溶接パス毎の溶接開始部と終端部とのビード継ぎ部を異なる適正な位置に分散でき、この分散した位置に溶接欠陥のない平滑で良好な終端重ねビードを形成することができる。
また、前記開先継手の開先肩幅,深さ,ギャップ,溶接部のビード幅,左右方向の開先中心ずれ,上下方向の位置ずれをリアルタイムで検出する視覚センサ及び画像処理装置をさらに設けると、溶接中の制御で必要な検出情報をリアルタイムで得ることができる。また、溶接前にセンサ基準位置合せを前記トーチ基準位置かこのトーチ基準位置近傍で設定することにより、トーチ基準位置とセンサ基準位置との原点合せを誤差なく設定することができる。
また、円周多層盛溶接を実行する時には、溶接動作中に前記画像処理装置から取得する各検出値をデータ処理及び各々平均化処理して使用し、溶接部のビード幅,深さ,開先肩幅の大きさに応じて溶接すべきビード高さが一定高さになるように溶着面積及び溶接速度を算出又は溶着面積及びワイヤ送り速度を算出して適応制御し、前記ギャップ又はビード幅又は開先肩幅の大きさに応じて前記溶接トーチを溶接線左右方向に揺動させるウィービング幅を適応制御することにより、ギャップや開先肩幅が変化する開先継手であっても、この変化に対応でき、ビード高さがほぼ一定で良好な円周溶接ビードを有する溶接結果を得ることができる。さらに、前記開先中心ずれをなくす方向に左右トーチ位置を修正制御又は前記開先中心ずれと前記上下位置ずれの両方をなくす方向に左右トーチ位置及び上下トーチ位置を修正制御することにより、溶接線の曲がりやずれがある開先継手であっても、左右トーチ位置を適正に制御又はこの左右トーチ位置と上下トーチ位置の両方を適正に制御でき、良好な溶接結果を得ることができる。また、円周多層盛溶接の自動化による溶接作業の工数低減,生産性の向上や省力化を図ることができる。
また、少なくとも最終層の溶接又は最終層の溶接及び最終層の前層の溶接を実行する時には、前記視覚センサ及び画像処理装置による検出動作を停止して、最後に検出及び制御した前層溶接又は指定パスの溶接で記録した各検出値をデータ処理及び各々平均化処理して再使用することにより、開先上部の溶融などで検出が困難な開先状態になっていても制御不可に陥ることなく、上述した溶接速度やウィービング幅の適応制御,トーチ位置の修正制御に対応でき、最終層の溶接まで良好な溶接結果を得ることができる。
また、本発明の自動溶接装置では、溶接前に前記円周多層盛溶接の基準となるトーチ基準位置を前記開先継手の所望の開先中心位置に教示する位置教示手段と、教示した前記トーチ基準位置を溶接座標原点と見なして処理し又は前記トーチ基準位置を加算処理して溶接パス毎の溶接開始位置及び溶接線一周後の溶接終了位置を算出決定する始終端位置算出手段と、事前に入力設定又は算出設定する溶接パス毎の定常溶接区間の溶接条件パラメータ,溶接開始部での溶接開始条件及びビード継ぎを含む溶接終了部での溶接終了条件を出力制御する条件出力制御手段と、溶接開始位置から溶接終了位置に至るまでの回転走行位置及びトーチ左右上下位置を検出及び表示する位置検出表示手段とを設けることにより、上述したように、溶接パス毎に溶接開始部から定常溶接の円周部及び一周後の開始部と終端部とのビード継ぎ部まで欠陥のない平滑で良好な円周溶接ビードを得ることができる。さらに、前記開先継手の開先肩幅,深さ,ギャップ,溶接部のビード幅,左右方向の開先中心ずれ,上下方向の位置ずれをリアルタイムで検出する視覚センサ及び画像処理装置と、溶接前にセンサ基準位置合せを前記トーチ基準位置又は該トーチ基準位置近傍に設定するセンサ基準位置設定手段と、溶接中に前記ビード幅,深さ,開先肩幅の大きさに応じて溶接すべきビード高さが一定高さになるように溶着面積及び溶接速度を算出又は溶着面積及びワイヤ送り速度を算出して適応制御し、前記ギャップ又はビード幅又は開先肩幅の大きさに応じて前記溶接トーチを溶接線左右方向に揺動させるウィービング幅を算出して適応制御する条件制御手段と、前記左右方向の開先中心ずれをなくす方向に左右トーチ位置を修正制御する又は前記左右方向の開先中心ずれと上下方向の位置ずれの両方をなくす方向に左右トーチ位置及び上下トーチ位置を修正制御するトーチ位置制御処理手段とを設けることにより、ギャップや開先肩幅が変化、溶接線の曲がりやずれがある開先継手であっても、溶接条件の適応制御,トーチ位置の修正制御によって対応でき、ビード継ぎ部を含む円周溶接ビードの良好な溶接結果を得ることができ、円周多層盛溶接の自動化による溶接作業の工数低減,生産性の向上や省力化を図ることができる。
本発明の円周多層盛溶接方法によれば、多層盛溶接及び溶接パス毎のビード継ぎが必要な容器や配管や案内管など円形又は楕円形の厚板管材の開先継手からなる溶接製品に対して、非消耗性電極のパルスアーク溶接又は直流アーク溶接の適正な制御により溶接パス毎に溶接開始部から定常溶接の円周部及び一周後の開始部と終端部とのビード継ぎ部まで欠陥のない平滑で良好な円周溶接ビードを得ることができる。また、ギャップや開先肩幅が変化、溶接線の曲がりやずれがある開先継手であっても、溶接条件の適応制御,トーチ位置の修正制御によって自動溶接することができ、溶接作業の工数低減,生産性の向上や省力化を図ることができる。
以下、本発明の内容を図1〜図13の実施例に基づいて説明する。
図1は、本発明の円周多層盛溶接方法に係わる自動溶接装置を示す構成図である。円周の開先継手1を有する一対の厚板管材(母材)6a,6bを回転装置9に設置し、所望の速度で回転できるようにしている。開先継手1の上部には、非消耗性の電極4を有する溶接トーチ3と溶接中に送給するワイヤ5とを配置している。この非消耗性の電極4は、例えばThO入りW,La入りW,Y入りWなど高融点材のタングステンを主成分とする市販品の溶接電極棒を用いればよい。また、溶接トーチ3の前方の開先継手1の上面位置に視覚センサ7aも配置している。溶接トーチ3とワイヤ5は、駆動装置
11により上下方向及び左右方向に任意位置に可動できるようにしている。TIG溶接電源12には、トーチケーブル17を経由して溶接トーチ3にシールドガスを供給するためのガスボンベ14と、冷却水を循環するための冷却水循環装置13とが接続されている。シールドガスはアーク溶接部及び非消耗性の電極を大気から保護するための不活性ガスであり、例えばArガスを使用している。Arがスの代わりにAr+H混合ガスやHeガスを使用することも可能である。また、TIG溶接電源12には、溶接トーチ3と開先継手1の間にアークを発生させ、所望の大きさの電流を出力給電できるように給電ケーブル15a,15bが接続されている。画像処理装置8は、センサ制御器7bを経由して視覚センサ7aによって撮像する開先断面画像を処理して、開先肩幅,開先深さ,ギャップ,ビード幅,左右方向開先中心ずれ,上下方向の位置ずれなどを検出できるようにしている。
溶接制御装置10は、溶接を実行する時に回転装置を回転制御し、駆動装置11を経由して溶接トーチ3及びワイヤ5を制御し、TIG溶接電源12の出力を制御し、視覚センサ7aと一対の画像処理装置8に指令して検出データを情報処理し、溶接パス毎の溶接条件パラメータ,溶接開始条件及び溶接終了条件を適応制御し、溶接トーチ3の左右上下位置を制御し、溶接の開始から終了に至る一連の動作及び構成機器を統括管理するものである。また、この溶接制御装置10には、溶接パス毎の定常溶接区間で出力すべき溶接条件パラメータ,溶接開始部とビード継ぎ部で出力すべき溶接開始条件及び溶接終了条件,溶接の制御や計算に用いる各定数及び補正データなどの書込み設定及び引出し可能な溶接データファイルを具備している。この溶接データファイルに該当する他の溶接情報手段であってもよい。この溶接データファイル又はこの溶接データファイルに該当する他の溶接情報手段に基づいて、溶接パス毎のパルスアーク溶接又は直流アーク溶接の制御を行うことができるようにしている。また、この溶接制御装置10には、溶接前に前記円周多層盛溶接の基準となるトーチ基準位置を前記開先継手の所望の開先中心位置に教示する位置教示手段,教示した前記トーチ基準位置を溶接座標原点と見なして処理し又は前記トーチ基準位置を加算処理して溶接パス毎の溶接開始位置及び溶接線一周後の溶接終了位置を算出決定する始終端位置算出手段,事前に入力設定又は算出設定する溶接パス毎の定常溶接区間の溶接条件パラメータ,溶接開始部での溶接開始条件及びビード継ぎを含む溶接終了部での溶接終了条件を出力制御する条件出力制御手段と、溶接開始位置から溶接終了位置に至るまでの回転走行位置及びトーチ左右上下位置を検出及び表示する位置検出表示手段とを有しており、溶接パス毎に溶接開始部から定常溶接の円周部及び一周後の開始部と終端部とのビード継ぎ部まで円周多層盛溶接を自動で行えるようにしている。さらに、視覚センサ7a及び画像処理装置8による検出データに基づいて、溶接トーチ3を溶接線左右方向に揺動させるウィービング動作及びウィービング幅の適応制御,溶接速度の適応制御,左右方向と上下方向のトーチ位置の修正制御を行うこともできるようにしている。ここでは厚板管材(母材)6a,6bを回転装置9によって回転させながらパルスアーク溶接又は直流アークの制御を行う実施例を示したが、前記厚板管材6a,6bの回転が困難な母材のアーク溶接を可能にするには、溶接トーチ3の方を回転走行させる溶接台車を用いるとよい。
図2は、本発明の円周多層盛溶接方法に係わる自動溶接を行う走行式溶接台車の一例を示す概略構成図である。横向き姿勢で円周溶接すべき別の管材6c,6dが上下に固定配置され、この開先継手1の円周とほぼ平行方向にレール19が取付けられている(下側又は上側の管材6dに設置)。このレール19上を溶接台車20が所望の速度で回転走行することができる。この溶接台車20には、非消耗性の電極4を有する溶接トーチ3、この溶接トーチ3を上下方向及び左右方向に駆動可能なトーチ駆動機構(省略),ワイヤ5とそのワイヤリール5b及びワイヤ送り機構(省略),視覚センサ7aなどを搭載している。また、省略してある溶接制御装置10は、前記溶接台車20を走行制御すると共に、この溶接台車を介して溶接トーチ3の上下左右位置,ワイヤ5送りやワイヤ位置を制御する。また、上述したようにTIG溶接電源12の出力を制御し、視覚センサ7aと一対の画像処理装置8に指令して検出データを情報処理し、溶接パス毎の溶接条件パラメータ,溶接開始条件及び溶接終了条件,溶接トーチ3の左右上下位置を制御し、溶接パス毎に溶接開始部から定常溶接の円周部及び一周後の開始部と終端部とのビード継ぎ部まで円周多層盛溶接を自動で行えるようにしている。さらに、視覚センサ7a及び画像処理装置8による検出データに基づいて、溶接トーチ3を溶接線左右方向に揺動させるウィービング動作及びウィービング幅の適応制御,溶接速度の適応制御,左右方向と上下方向のトーチ位置の修正制御を行うこともできるようにしている。
図3は、図1に示した厚板管材6a,6bの開先継手1の一つであるU開先の多層盛溶接を示す断面図である。図3(1)は4層4パス溶接の場合、図3(2)はさらにパス数の多いN層Nパス溶接(例えばN=8パス,P=1 to N)の場合を示している。図中に記載の番号は溶接順位のパス番号である。また、記号のTは板厚、fは開先底部のルートフエイス、Dは管内径、h1,h2〜h(p)は積層溶接すべきパス毎のビード高さ
(例えば1〜3mm程度)を示している。また、●印はパス毎の溶接トーチ位置であり、例えば、初層1パス目の左右上下方向のトーチ位置はQ1(Y1,Z1)で示し、最終層Nパス目の左右上下方向のトーチ位置はQp(Yp,Zp)で示している。左右方向の各トーチ位置Y1〜Ypはほぼ開先中心位置であり、上下方向の各トーチ位置は、前層溶接までの各ビード高さを累計した累計高さ位置である。
図4は、図2に示した他の管材6c,6dの開先継手1における横向き姿勢の多層盛溶接を示す断面図である。同様に、図中に記載の番号は溶接順位のパス番号であり、また、●印はパス毎の溶接トーチ位置を示している。板厚T方向が上下方向のトーチ位置である。初層1パス目から充填層2,3パス目までが1層1パスの積層溶接であり、最終層のみ(4,5パス目の溶接)が溶接ビードの垂れ落ちを防止するべく上下振分けの1層2パス仕上げの溶接を行うようにしている。
ここでは、片面のU開先で説明したが、開先形状が異なるV開先,J開先でもよい。さらに両面のU開先,V開先,J開先に対しては外側と内側に分離する手法で積層溶接することが可能である。
図5は、溶接前に行うトーチ基準位置の設定方法を示す図である。図1に示した溶接制御装置10と一対の操作ボックス(省略)からの手動操作により溶接トーチ3及び母材
6a,6bを可動させて、溶接トーチ3の電極4先端を開先継手1内の所望の開先中心位置かこの位置近傍に合せて位置教示する。教示した○印の位置が円周多層盛溶接におけるトーチ基準位置(Xo,Yo,Zo)となる。このトーチ基準位置は、図3及び図4に示した各開先の多層盛溶接における初層1パス目のトーチ位置Q1(Y1,Z1)に該当する。
図6は、本発明の円周多層盛溶接方法に係わる溶接パス毎のトーチ位置の設定を示す説明図である。Xoは溶接線方向のトーチ基準位置(○印)であり、図5に示したように溶接前に管材の開先継手1(母材)の所望に開先中心位置かこの位置近傍に教示している。1w1〜1w4は溶接パス毎の溶接線であり、矢印の方向16に母材を回転させながら円周多層盛及びパス毎のビード継ぎ溶接を行う場合の一実施例である。なお、図2に示した溶接台車20を用いて円周多層盛及びパス毎のビード継ぎ溶接を行う場合には、溶接トーチ3を駆動する溶接台車20を回転走行させることになる。Xs1〜Xs4は溶接パス毎の溶接開始位置(●印)であり、Xe1〜Xe4は円周の溶接線を一周させた後の溶接終了位置(◆印)である。また、Ceは溶接パス毎の開始位置Xs1〜Xs4と終了位置
Xe1〜Xe4との距離を示す始終端重ね長さであり、例えば10〜20mm程度にするとよい。初層1パス目の開始位置Xs1は、トーチ基準位置Xoと同じ位置に設定している。また、初層後の2パス目からNパス目(N=4)までの各溶接開始位置Xs2〜Xs4は、特定角度α1ずつ前進させた位置にしている。この前進角度α1の値は、例えば10〜20度程度にするとよい。図3(1)及び(2)に示した多層盛溶接での最終パスは、N=4とN=8である。また、図4に示した多層盛溶接での最終パスは、N=5であり、パス毎(P=1 to N)の溶接開始位置及び溶接終了位置はXs1〜Xs(p),Xe1〜Xe(p)となる。
初層1パス目の溶接から最終層Nパス目の溶接(P=1 to N)まで各溶接開始位置Xs(p)は、下記の(1)式で求められる。角度α1ずつ後退させる場合には−α1を代入して算出すればよい。また、トーチ基準位置Xoより特定距離L1ずつ前進又は後退させるように溶接開始位置Xs(p)を算出して設定することも可能である。例えば特定距離L1ずつ前進させる場合の溶接開始位置はXs(p)=Xo+(N−1)*(360*L1/(π*Dw(p))の式で算出することができる。また、初層後の2パス目から最終層Nパス目までの各溶接開始位置Xs(p)を前記トーチ基準位置Xoより前進又は後退させる方向に複数定めた特定角度(α1,α2…αp)か特定距離(L1,L2…
Lp)の位置に振分けて各々設定することも可能である。
一方、パス毎の溶接終了位置Xe(p)は、数1より算出するパス毎の溶接開始位置
Xs(p)より円周の溶接線を一周させた位置より始終端重ね長さCeだけ前進させた位置であり、数2で求められる。なお、Dw(p)はパス毎(P=1 to N)の前層溶接の表面外径であり、溶接すべき開先継手の管内径をD、開先底部のルートフェイスをf、パス毎に積層すべき前層までの累計ビード高さHb(p−1)とすると、下記の数3で算出することができる。また、上述した2パス目から最終層Nパス目までの各溶接開始位置
Xs(p)を前記トーチ基準位置Xoより前進又は後退させる方向に複数定めた特定角度(α1,α2…αp)か特定距離(L1,L2…Lp)の位置に振分けた場合でも、各溶接開始位置Xs(p)より円周の溶接線を一周させた位置より始終端重ね長さCeだけ前進させた位置として算出できる。さらに、前記始終端重ね長さCeの代わりに特定角度
(第2の角度)θ2を代入してθ2だけ前進させる溶接終了位置Xe(p)を算出[Xe(p)=Xs(p)+360+θ2]して設定することも可能である。
溶接開始位置:Xs(p)=Xo+(N−1)*α1 …(数1)
溶接終了位置:Xe(p)=Xs(p)+360*[1+Ce/(π*Dw(p))]
…(数2)
前層溶接の表面外径:Dw(p)=D+2*(f+Hb(p−1)) …(数3)
このように算出決定することによりパス毎の溶接開始位置Xs(p)と溶接終了位置
Xe(p)とを正確に設定でき、溶接パス毎の開始位置及び終了位置とを一箇所に集中させないで各々分散することができる。また、各々分散した位置で溶接の開始部と終端部とのビード継ぎ溶接が行え、所望の溶接始端ビードが形成可能になる。なお、上述したパス毎の溶接開始位置Xs(p)及び溶接終了位置Xe(p)の算出は、始終端位置算出手段によって算出が可能であり、溶接制御装置10の内部の配備をすればよい。また、この算出結果を例えば溶接データファイル(又はこの溶接データファイルに該当する溶接情報手段)に記載保存し、溶接を実行する時に、この溶接データファイル又はこの溶接データファイルに該当する溶接情報手段を引出して使用するとよい。また、溶接開始位置から溶接終了位置に至るまでの回転走行位置及びトーチ左右上下位置の検出や表示は、位置検出表示手段によって容易にでき、前記溶接制御装置10に配備し、前記検出に必要な部品類の一部は使用する回転装置9又は溶接台車20に設ければよい。
図7は、図6に示したトーチ位置の設定方法と異なる設定方法を示す説明図であり、各記号は同じである。ここでは、奇数番号の溶接パス(P=1,3)に該当する第1の溶接開始位置(Xs1,Xs3)をトーチ基準位置Xo(○印)より溶接線方向に特定角度
α1だけ前進させた位置(●印)に設定している。これに対して、偶数番号の溶接パス
(P=2,4)に該当する第2の溶接開始位置(Xs2,Xs4)は、前記奇数番号の溶接開始位置と異なる正反対の方向に特定角度α1だけ後退させた位置(●印)に設定している。したがって、パス毎(P=1 to N)の溶接開始位置Xs(p)は、下記の(4)式及び(5)式で求められる。奇数番号の溶接開始位置をトーチ基準位置Xoより角度
α1だけ後退させた位置(X(p)=Xo−α1)にし、反対に偶数番号の溶接開始位置をトーチ基準位置Xoより角度α1だけ前進させた位置(X(p)=Xo+α1)に設定することもできる。また、角度α1の代わりに特定距離L2を代入し、この距離L2だけ前進又は後退させるように奇数番号に該当する第1の溶接開始位置と偶数番号に該当する第2の溶接開始位置とを区別して算出することも可能である。また、偶数番号に該当する第2の溶接開始位置を前記第1の溶接開始位置と異なる正反対の方向にトーチ基準位置
Xoより第2の角度α2だけ変化させる位置に設定することも可能である。一方、パス毎の溶接終了位置(Xe1〜Xe4)は、数4及び数5で算出した溶接開始位置Xs(p)より円周の溶接線を一周させた位置より始終端重ね長さCeだけ前進させた位置(◆印)であり、上述した数2及び数3式より算出できる。始終端重ね長さCeの代わりに第2の角度α2を代入し、この角度α2だけ前進させる溶接終了位置[Xe(p)=Xs(p)+360+α2]を算出して変更設定することも容易である。
奇数番号の溶接開始位置:Xs(p)=Xo+α1 …(数4)
偶数番号の溶接開始位置:Xs(p)=Xo−α1 …(数5)
このように算出決定することによりパス毎の溶接開始位置Xs(p)と溶接終了位置
Xe(p)とを正確に設定でき、溶接パス毎の開始位置及び終了位置とを一箇所に集中させないで2箇所以上に分散することができる。また、分散した2箇所以上の各位置で溶接の開始部と終端部とのビード継ぎ溶接が行え、所望の溶接始端ビードを形成することができる。
図8は、本発明の円周多層盛溶接方法の一実施例を示す条件制御ブロック線図である。図8(1)と(3)には、円周溶接の終了側と開始側とで制御するパルスアーク溶接の電流31波形,電圧32波形,溶接トーチ3を左右に揺動させるウィーブ幅33(ウィービング幅),ワイヤ5の送り速度34,溶接速度35(回転速度に該当)の溶接パラメータ,溶接開始条件及びビード継ぎの溶接終了条件を示している。また、図8(2)には、溶接開始側の始端ビード2s,定常溶接部の溶接ビード2,始端ビード2sとのビード継ぎをする溶接終端側の終端ビード2eの様子を示している。Xs(●印)は、図6及び図7で説明した溶接パス毎の溶接開始位置(Xs1〜Xs(p)に該当)であり、また、Xe(◆印)は溶接線一周後の溶接終了位置(Xe1〜Xe(p)に該当)である。Ceはパス毎の溶接開始位置Xsと溶接終了位置Xeとの距離を示す始終端重ね長さである。
すなわち、図8(2)(3)に示すように円周溶接の開始側では、シールドガス流出
(省略)の雰囲気内で溶接開始点Xs(●印)の位置かこの位置近傍より溶接トーチ3先端の非消耗性電極4と母材(開先継手1)との間に小電流Isのアーク18を発生させてパルスアーク溶接を開始する。この小電流Isのアップスロープ時間T2(例えば1〜2秒程度)経過後に定常溶接のパルスアークのピーク電流Ip/ベース電流Ibに到達させると同時かその後に、溶接トーチ3を溶接線左右方向に揺動(ウィーブ幅Uw)させる。この溶接トーチ3の揺動は、ピーク電流Ipの時間Tpとベース電流Ibの時間Tbとに同期させるとよい。この場合、揺動時間に該当するベース時間Tb中にトーチを左右揺動させ、停止時間に該当するピーク時間Tp中に開先壁面近傍で一時停止させる動作を繰り返すことになる。溶接開始位置Xsの直下の開先低部又は前層溶接のビード表面部を徐々に溶融して所望の大きさの溶融プールが形成できる。ワイヤ待ち時間T3(例えば2〜4秒程度)経過後に、アーク18中及び溶融プール内にワイヤ5を送給Wp,Wbし、走行待ち時間T5(例えば2〜5秒程度)の経過後に所定速度Vで母材(開先継手1)を回転走行させながら定常状態の円周溶接を行う(アーク溶接動作は図13を参照)。この走行待ち時間T5によって開先壁面まで溶融させることができる。ワイヤ送りは少なくとも安定な溶融プールが形成した後に開始すればよい。例えばワイヤ送りを回転走行の直前(T3<T5)か直後(T3>T5)に開始すると、余盛り高さ調整が可能な溶接始端ビード
2sを得ることができる。回転走行とワイヤ送りをほぼ同時にして溶接することも可能である。また、図示していないが、ワイヤ5を低速送りから短時間のアップスロープ後に定速送りに到達するようにしてもよい。
このように溶接条件を適正に制御することにより、溶接開始部の余盛り高さの緩やかな始端ビード2sが良好に形成できると共に、開先壁面に融合不良やアンダーカットのない滑らかで良好な円周溶接ビード2が形成できる。
一方、図8(1)(2)に示したように、溶接始端ビード2sとのビード継ぎが必要な溶接終了側では、溶接線一周後の溶接終了位置Xe(◆印)に溶接トーチが到達した地点又はこの位置近傍で、あるいは溶接終了位置Xeまでの到達時間の経過後に、ピーク電流Ip/ベース電流Ibをダウンスロープさせると同時か直後に、溶接トーチ3の左右揺動を停止又は揺動幅Uwを減少して停止させるとよい。ワイヤ送りWp,Wbも停止させる。溶接終了位置Xeまでの到達時間Tは、円周溶接長さ(Xe−Xs)の走行距離又は回転距離角度と溶接速度V(又は回転走行速度)との関係から概算可能である。前記ワイヤ送りの停止直後に、ワイヤ5先端を短時間T7又は所定長さだけ引き戻して溶融プールから引き上げるとよい。走行停止遅れ時間T8(例えば0〜2秒程度に設定)後に、母材の回転走行を停止させる。そして、ダウンスロープ時間T6(例えば1〜3秒程度)経過後に小電流Ieのアーク18を停止させる。その後に、省略してあるシールドガスを停止し、溶接トーチ3を上昇回避させるとよい。
このように溶接条件を制御することにより、ワイヤを電極にする従来のアーク溶接の溶融形態及び溶接ビード形状と異なり、溶接パス毎に溶接開始部から定常溶接の円周部及び一周後の開始部と終端部とのビード継ぎ部まで欠陥のない平滑で良好な円周溶接ビードを得ることができる。同時に、ワイヤ先端の母材溶着を未然に防止し、溶接トーチの外周部又は該溶接トーチ先端の電極と母材との接触を防止することもできる。また、溶接データファイルか他の溶接情報手段に基づいてパルスアーク溶接又は直流アーク溶接の制御を行うことにより、溶接パス毎に溶接開始から定常溶接及び終了まで一連の溶接動作及び制御を確実に実行することができる。
なお、図8(1)(3)に示したアップスロープ時間T2及びダウンスロープ時間T6における傾斜状の電流波形をパルス状の電流波形に変更してもよい。また、パルスアーク溶接の代わりに直流アーク溶接を用いて、平均電流と平均ワイヤ送りを出力させて円周溶接及び始終端のビード継ぎを良好に行うことも可能である。また、母材側を回転走行させる代わりに、図2に示した溶接トーチ3搭載の溶接台車20を回転走行させて、上述の円周多層盛溶接及びビード継ぎを行う場合も上述したように溶接条件を制御するとよい。
図9は、本発明の円周多層盛溶接方法の他の一実施例を示す条件制御ブロック線図である。図8との相違点は溶接トーチ3を溶接線左右方向に揺動させるウィービング動作をしない溶接制御の一例であり、名称や記号及び番号は同じである。図9に示す条件制御ブロック線図は、特に開先の底部幅が狭い領域での初層1パス目の溶接や2層目の溶接で使用するとよい。定常溶接時のピーク電流Ip/ベース電流Ib,ピーク電圧Ea,ピークワイヤWp/ベースワイヤWb,溶接速度Vなどの各値は、完全溶け込みが必要な初層溶接,浅い溶け込みでよい2層目溶接にそれぞれ適した溶接条件を予め設定して溶接時に出力させるとよい。
図9(2)(3)に示すように円周溶接の開始側では、シールドガス流出(省略)の雰囲気内で溶接開始点Xs(●印)の位置かこの位置近傍より溶接トーチ3先端の非消耗性電極4と母材(開先継手1)との間に小電流Isのアーク18を発生させてパルスアーク溶接を開始する。小電流Isのアップスロープ時間T2経過後に定常溶接のパルスアークのピーク電流Ip/ベース電流Ibに到達させる。アーク18直下に良好な溶融プールが形成できる。その後に、溶接線方向に所定速度Vで母材(開先継手1)を回転走行させ又は溶接台車20側の溶接トーチ3を走行させる。この前後に、アーク18中及び溶融プール内にワイヤを送給Wp,Wbしながら定常状態の円周溶接に移行させる。
このように溶接条件を適正に制御することにより、溶接開始部の余盛り高さの緩やかな始端ビード2sが良好に形成でき、融合不良やアンダーカットのない滑らかで良好な円周溶接ビード2が形成できる。
一方、溶接始端ビード2sとのビード継ぎが必要な溶接終了側では、図9(1)(2)に示したように、溶接線一周後の溶接終了位置Xe(◆印)に溶接トーチ3が到達した地点又はこの位置近傍で、あるいは溶接終了位置Xeまでの到達時間の経過後に、定常溶接のピーク電流Ip/ベース電流Ibダウンスロープさせ、ワイヤの送給を停止し又は停止直後に短時間T7引き戻して引上げるとよい。母材の回転走行又は溶接トーチ3の走行を停止か走行停止遅れ時間T8後に停止させる。ダウンスロープ時間T6の経過後に小電流Ieのアーク18を停止させるようにしている。その後に、省略してあるシールドガスを停止し、溶接トーチ3を上昇回避させるとよい。上述したようにパルスアーク溶接の代わりに直流アーク溶接を用いて、平均電流と平均ワイヤ送りを出力させて円周溶接及び始終端のビード継ぎを良好に行うことも可能である。
このように溶接条件を制御することにより、ワイヤを電極にする従来のアーク溶接の溶融形態及び溶接ビード形状と異なり、溶接パス毎に溶接開始部から定常溶接の円周部及び一周後の開始部と終端部とのビード継ぎ部まで欠陥のない平滑で良好な円周溶接ビードを得ることができる。特に、特に開先の底部幅が狭い領域での初層1パス目の溶接や2層目の溶接に適している。同時に、ワイヤ先端の母材溶着を未然に防止し、溶接トーチの外周部又は該溶接トーチ先端の電極と母材との接触を防止することもできる。
上述した溶接開始部で出力すべき溶接開始条件,ビード継ぎ部の溶接終了部で出力すべき溶接終了条件,定常溶接区間で出力すべきパス毎の溶接条件パラメータ,溶接の制御や計算に用いる各定数や基準データなどについては、例えば、書き込み設定,引出し可能な溶接データファイルに予め記載して保存,引出し使用すると便利である。また、この溶接データファイルに該当する他の溶接情報手段を利用してもよい。図10は定常溶接区間で出力すべきパス毎の溶接条件パラメータの一実施を示すデータ図である。図中の上段には、溶接対象の開先継手,開先寸法(板厚,開先角度,ルートフエイス,余盛り高さ),積層溶接すべき面積,溶接パス数の情報を示している。また、図中の中下段には、パス毎の溶接開始位置Xs(p),溶接終了位置Xe(p),左右及び上下方向のトーチ位置Y(p),Z(p),パス毎に出力すべき適正なピーク電流Ip/ベース電流Ib(p),ピーク電圧Ea(p),ピークワイヤWp/ベースワイヤWb(p),ピーク時間Tp/ベース時間Tb(p),溶接速度V(p)(又は回転走行速度でもよい),ウィーブ幅(ウィービング幅)Uw(p)など適正溶接条件を予め記載しており、多層盛溶接を実行する時に該当パスの各値を抽出設定して適正に出力できるようにしている。
図11は、図5に示したトーチ基準位置の設定後に行うセンサ基準位置の設定方法を示す検出図である。上述したトーチ基準位置(Xo,Yo,Zo)又はこの位置近傍に視覚センサ7aを相対移動させ、この視覚センサ7aと一対の画像処理装置8にセンサ基準位置の検出及び設定を行わせる。開先形状断面の線画像36,37を画像処理して検出した開先の肩幅中心位置及び低部中心位置をセンサ基準位置(Ys=0,Zs=0)にしている。このセンサ基準位置の検出設定により、溶接線の曲がりやずれがある開先継手であっても、円周溶接における開先部の左右方向の中心位置ずれと上下位置ずれ(ΔYs,ΔZs)とを溶接動作中にリアルタイムで検出することができる。
図12は、初層溶接以降の任意の充填溶接時に検出される開先部の開先形状寸法,開先中心の左右位置ずれ及び上下位置ずれを示す検出図である。視覚センサ7aと一対の画像処理装置8により開先形状断面の線画像36,37を画像処理し、開先上面部の開先肩幅Ws,段違いks,開先底部のビード幅Bs,開先底部までの深さHs,開先内の断面積As,初期設定のセンサ基準位置(Ys=0,Zs=0)との左右位置ずれ,上下位置ずれΔYs,ΔZsをリアルタイムで検出する。初層溶接時には、ビード幅Bsの代わりにギャップ幅Gsを検出すればよい。これらの検出データは、溶接制御装置10側で各々の値を分類し平均化処理している。また、平均化処理の検出データに基づいて、ウィービング幅の制御量と溶接速度の制御量,左右トーチ位置の修正量又は左右トーチ位置及び上下トーチ位置の両方の修正量をリアルタイムで計算処理して制御するようにしている。このように制御で必要な検出情報を取得してデータ処理及び計算処理することによって溶接条件の適応制御,トーチ位置の左右や上下の修正制御が可能になる。
次に、円周多層盛溶接で必要なウィービング動作の制御方法について説明する。図13は、アーク溶接中のウィービング幅とビード高さの制御方法を示す図である。充填層溶接(P=2 to N−1又はN−2)の時は、ビード幅Bsの検出値を平均化処理[Bs=(Bs1+Bs2+…+Bsa)/a]して用い、このビード幅Bsの大きさに比例させてウィービング幅Uwを広くする。初層1パス目(P=1)の溶接時は、基本的にウィービングを動作させないでよい。しかし、開先底部のギャップ幅が大きい場合には、溶け落ち防止や開先壁面の溶融促進を図るべくウィービングを動作させるとよい。例えばギャップ幅Gsの検出値を平均化処理[Gs=(Gs1+Gs2+…+Gsa)/a]して用い、このギャップ幅Gsが小さい(0≦Gs≦C1)時は、ウィービング幅Uwを0にしてウィービングを停止させ、ギャップ幅Gsが大きい(Gs>C1)時にはウィービング幅Uwを適正に増減制御するとよい。初層溶接のウィービング幅Uwは下記の数6及び数7で求められる。また、充填層溶接のウィービング幅Uwは数8で求められる。ただし、C1,C2はウィービングの幅定数である。
一方、最終層の仕上溶接(P=N)や仕上前の前層溶接(P=N−1)の時には、開先上部の溶融によって検出が困難になる可能性があるため、ここでは、視覚センサ7a及び画像処理装置による検出動作を停止して、最後に検出及び制御した前層溶接で記録(例えばPk=N−2のパス)した検出データを再使用する。また、最後に検出及び制御した前層溶接より前の指定パスの溶接(例えばPk=N−3)で記録した検出データを再使用することも可能である。開先肩幅Wsの検出値を平均化処理[Ws=(Ws1+Ws2+…+Wsa)/a]して用い、この開先肩幅Wsの大きさに比例させてウィービング幅
Uwを広くする。最終仕上層のウィービング幅Uwは数9で求められる。ただし、C3はウィービングの幅定数である。また、最終層の溶接が左右又は上下に振分ける2パス溶接の場合には、数9のウィービング幅をパス数で割った値(例えばUw=(Ws−C3)/2)にすればよい。さらに、溶接パス毎の揺動速度Vuは、図8で述べたベース時間Tb(又は左右停止時間)に関係しており、数10で求められる。
初層のウィービング幅(0≦Gs≦C1の時):Uw=0 …(数6)
初層のウィービング幅(Gs>C1の時):Uw=Gs−C1 …(数7)
充填層のウィービング幅:Uw=Bs−C2 …(数8)
仕上層のウィービング幅:Uw=Ws−C3 …(数9)
パス毎の揺動速度:Vu=Uw/Tb …(数10)
このように計算して制御することにより、ギャップGs又はビード幅Bs,開先肩幅
Wsが変化する開先継手であっても、溶接トーチを左右に揺動させるウィービング幅Uwを適正に制御でき、開先両壁部で生じ易いアンダーカットや溶融不良を防止して良好な溶接ビードを得ることができる。
次に、充填層(Pパス目)の溶接中のビード高さh(p)が一定になるように溶接すべき溶着面積S及び溶接速度Vを算出して適正に制御する方法について説明する。図12において、Hsは溶接されていない残存部分の開先深さを平均化処理[(Hs=Hs1+
Hs2…+Hsa)/a]した検出値であり、また、Hb(p−1)は前層溶接までに積層予定の累計ビード高さ、S(p)はPパス目の溶接で予定している基準溶着面積、Δhはビード高さずれである。このビード高さずれΔhは、残存部分の開先深さHsと板厚Tとルートフエイスfと前層溶接までの累計ビードHb(p−1)に関係しており、下記の数11より求められる。また、溶接すべき溶着面積Sは、該当溶接パス(Pパス目)の基準溶着面積S(p)とビード高さずれΔhに相当する部分の面積とを加算した値になり、数12より求められる。したがって、適応制御に必要な溶接速度Vは、数11及び数12で算出したビード高さずれΔh及び溶着面積Sと、該当溶接パス(Pパス目)でアーク
18中の溶接部分に送給すべき平均ワイヤ送り速度Wf(p)[平均値:Wf(p)=
(Wp*Tp+Wb*Tb)/(Tp+Tb)]とに関係しており、数13より求められる。ただし、C4は面積補正定数、C5はワイヤ溶着率係数、dはワイヤ径、θは開先角度である。また、溶接速度Vの代わりに平均ワイヤ送り速度Wf(p)の値を可変するように制御することも可能である。この場合には、溶接速度Vが一定でワイヤ送り速度Wf(p)の値が変化するように数13を変形して算出[例えばWf(p)=(4*S*V)/(10*d*d*π*C5)]できるようにすればよい。これらの算出式や定数を用いて計算及び制御する算出制御手段(省略)は溶接制御装置10の内部に配備すればよい。
ビード高さずれ:Δh=Hs−T+f+Hb(p−1) …(数11)
溶着面積:S=S(p)+C4*Δh*(Bs+Δh*tan(θ/2))…(数12)
溶接速度:V=(10*d*d*π*C5*Wf(p))/(4*S)…(数13)
上述したように最終層の仕上溶接(P=N)や仕上前の前層溶接(P=N−1)の時には、視覚センサ7a及び画像処理装置による検出動作を停止して、最後に検出及び制御した前層溶接で記録(例えばPk=N−2のパス)又は指定パスの溶接で記録(例えばPk=N−3のパス)した検出データ(平均化処理後の検出値)を再使用する。また、ビード高さずれΔhを算出する時には、上記累計ビード高さHb(p−1)の代わりに、再使用する検出データの前層溶接までの累計ビード高さHb(pk−1)を数11に代入すればよい。さらに、最終仕上層(1パス仕上の時P=N)で溶接すべき溶着面積Sは、下記の数14で概算することができる。最終仕上層の溶接速度Vは数14で算出した溶着面積Sを上記数13に代入して算出すればよい。ただし、hsは仕上ビード高さ、b1は仕上ビードの幅定数である。また、最終層を2パスに振分け溶接(P=N−1とN)する場合には、振分け時の仕上ビード高さhs2を用いて溶接すべき溶着面積Sを概算[例えばS=hs2*(Ws+b1)/3]すればよい。
仕上層の溶着面積:S=hs*(Ws+b1)*2/3 …(数14)
このように計算して制御することにより、残存部分の開先深さHsやビード幅Bsや開先肩幅Wsが変化する開先継手であっても、ビード高さずれΔhをなくすように溶着面積S及び溶接速度Vを又は溶着面積S及び平均ワイヤ送り速度Wf(p)を適正に算出して制御でき、積層ビード高さが均一で平滑な溶接ビードを得ることができる。また、センサによる検出が困難になり易い最終仕上層の溶接や仕上前の前層溶接であっても、最後に検出及び制御した前層溶接又は指定パスの溶接で記録した検出データを再使用することにより、制御不可に陥ることなく最終パスの溶接まで適正に制御でき、積層ビード高さが均一で平滑な溶接ビードを得ることが可能になる。
溶接パス毎の左右トーチ位置Y(ワイヤ位置も含む)の制御については、図11に示した開先中心ずれΔYsをなくす方向に位置修正することにより、トーチ位置及びワイヤ位置を適正な開先中心位置に制御することができる。また、溶接パス毎の上下トーチ位置
(ワイヤ位置も含む)の制御については、図11に示した上下方向の位置ずれΔZsをなくす方向に位置修正するとよい。このように前記開先中心ずれをなくす方向に左右トーチ位置を修正制御又は前記開先中心ずれと前記上下位置ずれの両方をなくす方向に左右トーチ位置及び上下トーチ位置を修正制御することにより、溶接線の曲がりやずれがある開先継手であっても、トーチ位置を適正な位置に修正制御でき、良好な溶接結果を得ることができる。
本発明により、円周多層盛溶接の自動化を実現でき、産業の発達に寄与するところは極めて大きい。
本発明の円周多層盛溶接方法に係わる自動溶接装置を示す構成図である。 本発明の円周多層盛溶接方法に係わる自動溶接を行う走行式溶接台車の一例を示す概略構成図である。 図1に示した厚板管材6a,6bの開先継手1の一つであるU開先の多層盛溶接を示す断面図である。 図2に示した他の管材6c,6dの開先継手1における横向き姿勢の多層盛溶接を示す断面図である。 溶接前に行うトーチ基準位置の設定方法を示す図である。 本発明の円周多層盛溶接方法に係わる溶接パス毎のトーチ位置の設定を示す説明図である。 図6に示したトーチ位置の設定方法と異なる設定方法を示す説明図である。 本発明の円周多層盛溶接方法の一実施例を示す条件制御ブロック線図である。 本発明の円周多層盛溶接方法の他の一実施例を示す条件制御ブロック線図である。 溶接パス毎の溶接条件パラメータの一実施例を示す溶接データ図である。 図5に示したトーチ基準位置の設定後に行うセンサ基準位置の設定方法を示す検出図である。 任意の充填溶接時に検出される開先部の開先形状寸法及び開先中心位置ずれを示す検出図である。 アーク溶接中のウィービング幅とビード高さの制御方法を示す図である。
符号の説明
1…開先継手、2…溶接ビード、2s…始端ビード、2e…終端ビード、3…溶接トーチ、4…非消耗性電極、5…ワイヤ、6a,6b,6c,6d…厚板管材、7a…視覚センサ、8…画像処理装置、9…回転装置、10…溶接制御装置、11…駆動装置、12…TIG溶接電源、13…冷却水循環装置、18…アーク、19…レール、20…溶接台車。

Claims (12)

  1. 少なくとも2パス以上の多層盛溶接及び溶接パス毎のビード継ぎが必要な容器,配管或いは案内管など円形又は楕円形の厚板管材の開先継手を非消耗性電極による溶接トーチでパルスアーク溶接又は直流アーク溶接を行う円周多層盛溶接方法において、
    溶接前に前記円周多層盛溶接の基準となるトーチ基準位置を前記開先継手の所望の開先中心位置かこの位置近傍に設定し、初層1パス目の溶接開始位置を前記トーチ基準位置と同じ位置に設定し、初層後の2パス目から最終層Nパス目までの各溶接開始位置を前記トーチ基準位置より溶接線方向に第1の特定角度ずつ又は第1の特定距離ずつ前進又は後退させた溶接線位置に各々設定し、あるいは前記初層後の2パス目から最終層Nパス目までの各溶接開始位置を前記トーチ基準位置より前進又は後退させる方向に複数定めた特定角度か特定距離の位置に振分けて各々設定し、あるいは奇数番号の溶接パスに該当する第1の溶接開始位置を前記トーチ基準位置より溶接線方向に第1の特定角度だけ又は第1の特定距離だけ前進又は後退させた溶接線位置に設定し、偶数番号の溶接パスに該当する第2の溶接開始位置を前記第1の溶接開始位置と異なる正反対の溶接線位置に設定し、溶接パス毎に各々設定された前記各溶接開始位置かこの位置近傍、あるいは前記第1の溶接開始位置,前記第2の溶接開始位置かこの位置近傍よりアークを発生させて前記パルスアーク溶接又は直流アーク溶接を開始することを特徴とする円周多層盛溶接方法。
  2. 請求項1において、前記アーク溶接の開始側では、該当する溶接パスの前記溶接開始位置かこの位置近傍に前記溶接トーチを相対移動及び停止させた後に、溶接トーチ先端より小電流のアークを発生させ、前記小電流のアップスロープ時間経過後に定常溶接のパルスアークのピーク電流・ベース電流又は直流アークの平均電流に到達させ、その後に、溶接線方向に所定速度で前記溶接トーチを走行させ又は母材の開先継手側を回転させ、あるいは前記溶接トーチを走行させ又は母材の開先継手側を回転させる前後に、前記アーク中及び溶融プール内にワイヤを送給しながら定常状態の円周溶接に移行させるようにしたことを特徴とする円周多層盛溶接方法。
  3. 請求項1において、前記アーク溶接の開始側では、該当する溶接パスの前記溶接開始位置かこの位置近傍に前記溶接トーチを相対移動及び停止させた後に、溶接トーチ先端より小電流のアークを発生させ、前記小電流のアップスロープ時間経過後に定常溶接のパルスアークのピーク電流・ベース電流又は直流アークの平均電流に到達させると同時かその後に、前記溶接トーチを溶接線左右方向に揺動させ、溶接線方向に所定速度で前記溶接トーチを走行させ又は母材の開先継手側を回転させる前後に、前記アーク中及び溶融プール内にワイヤを送給しながら定常状態の円周溶接に移行させるようにしたことを特徴とする円周多層盛溶接方法。
  4. 少なくとも2パス以上の多層盛溶接及び溶接パス毎のビード継ぎが必要な容器や配管や案内管など円形又は楕円形の厚板管材の開先継手を非消耗性電極による溶接トーチでパルスアーク溶接又は直流アーク溶接を行う円周多層盛溶接方法において、
    初層1パス目から最終層Nパス目までの各溶接終了位置は、円周多層盛溶接の基準となるトーチ基準位置を含み、このトーチ基準位置から溶接線方向に第1の特定角度ずつ又は第1の特定距離ずつ前進又は後退させた溶接線位置に各々設定された各溶接開始位置か、あるいは奇数パス目と偶数パス目とで前後異なる正反対の方向であって前記トーチ基準位置から第1の特定角度だけ又は第1の特定距離だけ前進又は後退させた溶接線位置に振分けて設定された第1の溶接開始位置,第2の溶接開始位置から溶接線方向に一周させた位置より第2の特定角度又は第2の特定距離だけ前進させた溶接線位置に設定し、あるいは初層1パス目から最終層Nパス目までの各溶接終了位置は、前記トーチ基準位置を含み、このトーチ基準位置より前進又は後退させる方向に複数定めた特定角度か特定距離の位置に振分けて各々設定した各溶接開始位置から溶接線方向に一周させた位置より第2の特定角度又は第2の特定距離だけ前進させた溶接線位置に設定し、定常状態の円周溶接中に前記溶接トーチが該当する溶接パスの前記溶接終了位置に到達した地点又はこの位置近傍で、あるいは前記溶接終了位置までの到達時間の経過後に、出力すべき溶接終了条件に移行し又は切り換えてビード継ぎ溶接することを特徴とする円周多層盛溶接方法。
  5. 請求項4において、溶接パス毎のビード継ぎ部では、定常状態の円周溶接中に前記溶接トーチが該当する溶接パスの前記溶接終了位置に到達した地点かこの位置近傍で、あるいは前記溶接終了位置までの到達時間の経過後に、定常溶接のピーク電流・ベース電流又は平均電流をダウンスロープさせ、ワイヤの送給を停止し又は停止直後に引き戻し、溶接トーチの走行又は母材の回転を停止又は走行停止遅れ時間後に停止させ、ダウンスロープ時間経過後に小電流のアークを停止させることを特徴とする円周多層盛溶接方法。
  6. 請求項4において、溶接パス毎のビード継ぎ部では、定常状態の円周溶接中に前記溶接トーチが該当する溶接パスの前記溶接終了位置到達した地点かこの位置近傍で、あるいは前記溶接終了位置までの到達時間の経過後に、定常溶接のピーク電流・ベース電流又は平均電流をダウンスロープさせると同時か直後に、前記溶接トーチの左右揺動を停止又は前記左右揺動の幅を減少して停止させ、ワイヤの送給を停止し又は停止直後に引き戻し、溶接トーチの走行又は母材の回転を停止又は走行停止遅れ時間後に停止させ、ダウンスロープ時間経過後に小電流のアークを停止させることを特徴とする円周多層盛溶接方法。
  7. 少なくとも2パス以上の多層盛溶接及び溶接パス毎のビード継ぎが必要な容器や配管や案内管など円形又は楕円形の厚板管材の開先継手を非消耗性電極による溶接トーチでパルスアーク溶接又は直流アーク溶接を行う円周多層盛溶接方法において、
    定常溶接区間で出力すべき溶接パス毎のピーク電流/ベース電流又は平均電流,ピーク電圧又は平均電圧,ピーク時間/ベース時間又は停止時間/移動時間,ピークワイヤ/ベースワイヤの送り速度又は平均ワイヤの送り速度,ウィビング幅,溶接速度や回転速度などの溶接条件パラメータと、溶接開始部とビード継ぎの溶接終了部とで出力すべき溶接開始条件及び溶接終了条件と、溶接パス毎の左右/上下方向の各トーチ位置,溶接開始位置及び溶接終了位置と、溶接の制御や計算に用いる各定数及び基準データとを書き込み設定,引出し可能な溶接データファイル又はこの溶接データファイルに該当する溶接情報手段を設け、溶接前に初層1パス目の溶接開始位置に該当又は円周多層盛溶接の基準位置に該当するトーチ基準位置を前記開先継手の所望の開先中心位置かこの位置近傍に設定し、円周多層盛溶接を実行する時には、前記トーチ基準位置及び前記溶接データに基づいて溶接パス毎に溶接トーチを所定の溶接開始位置に移動させて溶接開始条件によるアーク溶接を開始させ、定常状態の該当パスの溶接条件及び円周溶接動作に移行させ、その後に溶接終了位置で溶接終了条件によるビード継ぎ溶接、このビード継ぎ終了後に終了処理する一連の制御動作を実行するようにしたことを特徴とする円周多層盛溶接方法。
  8. 請求項7において、初層1パス目から最終層Nパス目までの各溶接開始位置は、前記トーチ基準位置を含む開先中心位置から溶接線方向に第1の特定角度ずつ又は第1の特定距離ずつ前進又は後退させた溶接線位置に各々設定し、あるいは奇数パス目と偶数パス目とで前後異なる正反対の方向であって前記トーチ基準位置から第1の特定角度だけ又は第1の特定距離だけ前進又は後退させた溶接線位置に振分けて設定し、あるいは前記トーチ基準位置を含むこのトーチ基準位置より前進又は後退させる方向に複数定めた特定角度か特定距離の位置に振分けて各々設定し、あるいは溶接パス毎に不特定な角度だけ前進又は後退させた溶接線位置に各々設定し、初層1パス目から最終層Nパス目までの各溶接終了位置は、各々設定された前記各溶接開始位置から溶接線方向に一周させた位置より第2の特定角度又は第2の特定距離だけ前進させた溶接線位置に設定するようにしたことを特徴とする円周多層盛溶接方法。
  9. 請求項7,8において、前記開先継手の開先肩幅,深さ,ギャップ,溶接部のビード幅,左右方向の開先中心ずれ,上下方向の位置ずれをリアルタイムで検出する視覚センサ及び画像処理装置をさらに設け、溶接前にセンサ基準位置合せを前記トーチ基準位置かこのトーチ基準位置近傍で設定し、円周多層盛溶接を実行する時には、溶接動作中に前記画像処理装置から取得する各検出値をデータ処理及び各々平均化処理して使用し、溶接部のビード幅,深さ,開先肩幅の大きさに応じて溶接すべきビード高さが一定高さになるように溶着面積及び溶接速度を算出又は溶着面積及びワイヤ送り速度を算出して適応制御し、前記ギャップ又はビード幅又は開先肩幅の大きさに応じて前記溶接トーチを溶接線左右方向に揺動させるウィービング幅を適応制御し、前記開先中心ずれをなくす方向に左右トーチ位置を修正制御又は前記開先中心ずれと前記上下位置ずれの両方をなくす方向に左右トーチ位置及び上下トーチ位置を修正制御することを特徴とする円周多層盛溶接方法。
  10. 請求項9において、少なくとも最終層の溶接又は最終層の溶接及び最終層の前層の溶接を実行する時には、前記視覚センサ及び画像処理装置による検出動作を停止して、最後に検出及び制御した前層溶接又は指定パスの溶接で記録した各検出値をデータ処理及び各々平均化処理して再使用し、溶接部のビード幅,深さ,開先肩幅の大きさに応じて溶接すべきビード高さが一定高さになるように溶着面積及び溶接速度を算出又は溶着面積及びワイヤ送り速度を算出して適応制御し、前記ギャップ又はビード幅又は開先肩幅の大きさに応じて前記溶接トーチを溶接線左右方向に揺動させるウィービング幅を適応制御し、前記開先中心ずれをなくす方向に左右トーチ位置を修正制御又は前記開先中心ずれと前記上下位置ずれの両方をなくす方向に左右トーチ位置及び上下トーチ位置を修正制御することを特徴とする円周多層盛溶接方法。
  11. 少なくとも2パス以上の多層盛溶接及び溶接パス毎のビード継ぎが必要な容器や配管や案内管など円形又は楕円形の厚板管材の開先継手に対して、非消耗性電極による溶接トーチと、パルスアーク又は直流アークの出力可能なTIG溶接電源と、前記開先継手の回転走行が制御可能な母材回転装置又は溶接トーチの回転走行が制御可能な溶接台車と、ワイヤ及び溶接トーチの上下左右位置の駆動制御可能な駆動装置と、パス毎の溶接開始から終了に至る一連の動作及び構成機器を統括管理する溶接制御装置とを用いて、円周多層盛溶接及びビード継ぎ溶接を行う自動溶接装置において、
    溶接前に前記円周多層盛溶接の基準となるトーチ基準位置を前記開先継手の所望の開先中心位置に教示する位置教示手段と、教示した前記トーチ基準位置を溶接座標原点と見なして処理し又は前記トーチ基準位置を加算処理して溶接パス毎の溶接開始位置及び溶接線一周後の溶接終了位置を算出決定する始終端位置算出手段と、事前に入力設定又は算出設定する溶接パス毎の定常溶接区間の溶接条件パラメータ、溶接開始部での溶接開始条件及びビード継ぎを含む溶接終了部での溶接終了条件を出力制御する条件出力制御手段と、溶接開始位置から溶接終了位置に至るまでの回転走行位置及びトーチ左右上下位置を検出及び表示する位置検出表示手段とを設けたことを特徴とする自動溶接装置。
  12. 請求項11において、前記開先継手の開先肩幅,深さ,ギャップ,溶接部のビード幅,左右方向の開先中心ずれ,上下方向の位置ずれをリアルタイムで検出する視覚センサ及び画像処理装置と、溶接前にセンサ基準位置合せを前記トーチ基準位置又は該トーチ基準位置近傍に設定するセンサ基準位置設定手段と、溶接中に前記ビード幅,深さ,開先肩幅の大きさに応じて溶接すべきビード高さが一定高さになるように溶着面積及び溶接速度を算出又は溶着面積及びワイヤ送り速度を算出して適応制御し、前記ギャップ又はビード幅又は開先肩幅の大きさに応じて前記溶接トーチを溶接線左右方向に揺動させるウィービング幅を算出して適応制御する条件制御手段と、前記左右方向の開先中心ずれをなくす方向に左右トーチ位置を修正制御する又は前記左右方向の開先中心ずれと上下方向の位置ずれの両方をなくす方向に左右トーチ位置及び上下トーチ位置を修正制御するトーチ位置制御処理手段とをさらに設けたことを特徴とする自動溶接装置。
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