JP2003270392A - 放射線画像変換パネルとその製造方法 - Google Patents

放射線画像変換パネルとその製造方法

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JP2003270392A
JP2003270392A JP2002073895A JP2002073895A JP2003270392A JP 2003270392 A JP2003270392 A JP 2003270392A JP 2002073895 A JP2002073895 A JP 2002073895A JP 2002073895 A JP2002073895 A JP 2002073895A JP 2003270392 A JP2003270392 A JP 2003270392A
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Akihiro Maezawa
明弘 前澤
Noriyuki Mishina
紀之 三科
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、輝度、粒状性及び鮮鋭性が
改良された放射線画像変換パネルとその製造方法を提供
することにある。 【解決手段】 支持体上に、少なくとも1層の蛍光体粒
子を含有する蛍光体層を有する放射線画像変換パネルに
おいて、不定形AOx粒子(Aは、Si、Ti、Al、
Zr、遷移元素及び希土類元素から選ばれる少なくとも
1種)を含有し、該蛍光体粒子に占める該不定形AOx
粒子の比率が、0.0005〜1.0質量%であること
を特徴とする放射線画像変換パネル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放射線画像変換パ
ネルとその製造方法に関し、詳しくは、輝度、粒状性及
び鮮鋭性が改良された放射線画像変換パネルとその製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】医療診断を目的とするX線撮影等の医療
用放射線撮影、物質の非破壊検査を目的とする工業用放
射線撮影等に用いられる手段としては、放射線増感画像
変換パネルと放射線写真感光材料を組み合わせた放射線
写真法や、放射線エネルギーを吸収した後、可視光や赤
外線などの電磁波で励起することにより蓄積していた放
射線エネルギーを蛍光の形で放出する輝尽性蛍光体を用
いた放射線画像変換方法が挙げられる。
【0003】放射線写真法は、放射線を放射線画像変換
パネルの蛍光体に照射して励起することにより可視光に
変換せしめて放射線写真フィルムに放射線画像を形成せ
しめて診断、検査するものである。
【0004】近年、乳ガンの診断、特に初期段階の乳ガ
ンの診断には、X線撮影マンモ用スクリーン・フィルム
システムが有用である。すなわち、X線撮影マンモ用ス
クリーン・フィルムシステムは、ガンの初期段階におけ
る数百μmあるいはそれ以下の大きさの微小石灰化を検
出することが可能である。この検出性を向上するため、
マンモ用スクリーン・フィルムシステムの鮮鋭性の向上
が図られてきている。すなわち、高い鮮鋭性を得るため
に、ハロゲン化銀写真乳剤がフィルム支持体の片面のみ
に塗布されている、いわゆる片面フィルムを用い、ハロ
ゲン化銀写真乳剤が塗布されている面をX線管球とは反
対側に配置し、X線用増感スクリーンをハロゲン化銀写
真乳剤面に密着させて写真組体を形成し、それを撮影す
るシングルバック法と言われる乳房X線写真組体を用い
て撮影が行われる。
【0005】ここで、コントラストを上げることは鮮鋭
性を上げることができる反面、粒状性の劣化を招くとい
う矛盾を抱えている。すなわち、乳ガン診断には微小石
灰化の観察と同時に淡い陰影の1cm程度の直径である
腫瘍も検出することが不可欠となる。鮮鋭性を上げると
一般的には粒状性の劣化に生じ、この結果、上記淡い陰
影の検出性が低下する。すなわち、マンモグラフィにお
いては、粒状性の劣化のない鮮鋭性の向上技術の開発が
望まれている。
【0006】上述のフィルムの高コントラスト化に伴う
粒状性の劣化に対し、例えば、X線量を多くあてること
により改善することは可能であるが、これには患者の被
曝の観点から自ずと限度がある。
【0007】一方、上記課題に対し、放射線画像変換パ
ネルに関しては、以下のような検討がなされている。
【0008】放射線画像変換パネルは、基本構造とし
て、支持体と、その片面に設けられた蛍光体層及び保護
層とからなるものである。蛍光体層は、蛍光体粒子とそ
れを分散状態で含有支持する結合剤とからなるものであ
り、この蛍光体粒子は、X線等の放射線によって励起さ
れたときに高輝度の発光を示す性質を有するものであ
る。従って、被写体を通過した放射線の量に応じて蛍光
体は高輝度の発光を示し、放射線画像変換パネルの蛍光
体層の表面に接するように重ね合わせて置かれた放射線
写真フィルムは、この蛍光体の発光によっても感光する
ため、比較的少ない放射線量で放射線フィルムの十分な
感光を達成することができる。
【0009】一般に、撮影系によって得られる画像の画
質(鮮鋭度、粒状度等)は、その系に組み込まれた放射
線画像変換パネルの特性に起因するところが大であり、
放射線画像変換パネルとしては画質の優れた画像を与え
るものであることが望まれている。
【0010】従来、放射線画像変換パネルにおいては、
希土類金属化合物を主とした蛍光体が、放射線画像変換
パネルを構成する主要な材料である。従来、蛍光体とし
てはGd22S:Tbなどが主として利用されてきた
が、その製造方法は希土類酸化物と硫黄化合物を混合
し、融剤を加えて焼成し、解砕する工程を繰り返すこと
によって作製されていた。
【0011】しかしながら、上記製造方法にて調製され
た蛍光体は、粒子分布や形状が揃わない上、形成された
結晶は、粉砕時や冷却時に発生するクラックにより粒子
構造も崩れたものが多く存在するという問題点を有して
いた。
【0012】上述のような粒子構造が崩れた蛍光体を用
いて放射線画像変換パネルを作製すると、蛍光体粒子形
状が揃っていないため、パネル内での蛍光体分布状態が
不規則になり、粒状性や鮮鋭性の劣化を招く結果とな
る。更に、蛍光体粒子形状が不均一のため、蛍光体層の
高充填化が困難となり、輝度などの画質性能を充分に満
足できるレベルにはなく、早急な改良が要望されてい
る。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題を
鑑みてなされたものであり、その目的は、輝度、粒状性
及び鮮鋭性が改良された放射線画像変換パネルとその製
造方法に関するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、以
下の構成により達成された。
【0015】1.支持体上に、少なくとも1層の蛍光体
粒子を含有する蛍光体層を有する放射線画像変換パネル
において、不定形AOx粒子(Aは、Si、Ti、A
l、Zr、遷移元素及び希土類元素から選ばれる少なく
とも1種)を含有し、該蛍光体粒子に占める該不定形A
Ox粒子の比率が、0.0005〜1.0質量%である
ことを特徴とする放射線画像変換パネル。
【0016】2.支持体上に、少なくとも1層の蛍光体
粒子を含有する蛍光体層を有する放射線画像変換パネル
の製造方法において、該蛍光体粒子と不定形AOx粒子
(Aは、Si、Ti、Al、Zr、遷移元素及び希土類
元素から選ばれる少なくとも1種)とを混合、攪拌して
蛍光体層を形成せしめることを特徴とする放射線画像変
換パネルの製造方法。
【0017】3.前記蛍光体粒子に占める前記不定形A
Ox粒子の比率が、0.0005〜1.0質量%である
ことを特徴とする前記2項に記載の放射線画像変換パネ
ルの製造方法。
【0018】本発明者は、放射線画像変換パネルをX線
撮影にて画像形成を行うと、蛍光体層を構成する蛍光体
粒子の粒度分布、あるいは粒子形状に起因し、蛍光体層
に入射するX線が、層内で散乱を起こし、特に、X線の
層内散乱の影響はX線撮影管電圧にて特に顕著に現れ、
鮮鋭性特性では6lp/mm以上の高周波数側で影響が
大きいこと、その結果、画像のボケ、すなわち鮮鋭性の
低下を生じていることが判明した。そして、放射線画像
変換パネルでの輝度、粒状性及び鮮鋭性の改良手段につ
いて鋭意検討を進めた結果、支持体上に、少なくとも1
層の蛍光体粒子を含有する蛍光体層を有する放射線画像
変換パネルにおいて、不定形AOx粒子(Aは、Si、
Ti、Al、Zr、遷移元素及び希土類元素から選ばれ
る少なくとも1種)を含有し、該蛍光体粒子に占める該
不定形AOx粒子の比率が、0.0005〜1.0質量
%である放射線画像変換パネルとすることにより達成で
きることを見いだしたものである。
【0019】すなわち、メインとなる蛍光体粒子ととも
に、不定形AOx粒子を微量(0.0005〜1.0
%)混合、調製することにより、メインの蛍光体粒子の
粉砕工程での蛍光体粒子同士の摩擦や衝突による粒子破
壊や冷却時の亀裂の発生等を防止することができ、その
結果、蛍光体粒子の均一性が向上し、輝度の向上や粒状
性の改良がなされると共に、粒度分布も狭くなり、蛍光
体層中での蛍光体粒子の分散状態が均一化され、鮮鋭性
が向上するものである。
【0020】以下、本発明の詳細について説明する。本
発明においては、支持体上に、少なくとも1層の蛍光体
粒子を含有する蛍光体層を有する放射線画像変換パネル
において、不定形AOx粒子(Aは、Si、Ti、A
l、Zr、遷移元素及び希土類元素から選ばれる少なく
とも1種)を含有し、該蛍光体粒子に占める該不定形A
Ox粒子の比率が、0.0005〜1.0質量%である
ことが特徴である。蛍光体粒子に占める不定形AOx粒
子の比率が1.0質量%を越えると、本来輝度には寄与
しない不定形AOx粒子の比率が過剰となり、輝度の低
下を招く結果となり、逆に、0.0005質量%未満で
は、本発明の目的とする効果を発揮することができなく
なる。
【0021】本発明に係る不定形AOx粒子とは、S
i、Ti、Al、Zr、遷移元素、例えば、Sc、Y、
La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、T
b、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、あるいは希
土類元素、例えば、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、P
d、Os、Ir、Pt等から選ばれる少なくとも1つの
元素の酸化体である。
【0022】本発明に係る不定形AOx粒子の平均粒径
としては、0.01〜1.5μmであることがことが好
ましく、更には、蛍光体粒子の平均粒径に対し、1/1
00〜1/10であることが好ましい。本発明でいう不
定形AOx粒子の平均粒径は、不定形AOx粒子を水中
に適当な界面活性剤を使用して分散、光散乱法粒子測定
装置(例えば、堀場製作所LA−910)を使用して粒
径を測定し、その平均値より求めることができる。
【0023】本発明に係る不定形AOx粒子は、後述の
蛍光体粒子の製造方法に準じて得ることができる。
【0024】また、本発明でいう不定形AOx粒子と
は、本発明の放射線画像変換パネルに用いる蛍光体粒子
とは、少なくとも粒子形状あるいは平均粒径が異なる粒
子と定義することができ、本発明で規定する不定形AO
x粒子を得る方法としては、特に制限はないが、例え
ば、蛍光体粒子の製造方法に準じて調製する方法として
は、水溶液中に不定形AOx粒子の組成となる元素の塩
(例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩)を添加して水溶液
を調製し、尿素等を添加して塩基性炭酸塩を析出させ
る。この際、析出させる時の温度を70℃以下、反応時
間を0.5時間以下の析出環境とすることにより、粒径
分布の良好で、平均粒径が比較的小さい不定形AOx粒
子を得ることができ、この塩基性炭酸塩粒子を蛍光体粒
子の形成と同様の方法で、500℃以上で焼成すること
により、目的とする不定形AOx粒子を得ることができ
る。
【0025】また、蛍光体粒子形成時に同時析出される
方法を用いても良く、例えば、Gd含有量の多い蛍光体
において、イットリウム(Y)、ガドリニウム(G
d)、ユーロピウム(Eu)からなる球状蛍光体粒子を
調製する場合に、水溶液中のGd含有率が96%以上と
することで、Gdの不定形粒子と蛍光体粒子とが同時に
析出する条件が得られる。希土類元素においては、特
に、組成比率を調整することで、不定形AOx粒子と蛍
光体粒子とを同時析出する条件を見いだすことができ、
容易に蛍光体粒子と混合することが可能となる。
【0026】その他には、水溶液中で不定形AOx粒子
の前駆体を析出させる方法においては、加熱、熟成など
の条件の他、析出させる際の溶液pH、添加する添加剤
として、尿素の他に、例えば、シュウ酸、マロン酸など
の蛍光体析出に用いられている化合物を用いることがで
き、それらの添加剤の添加速度、濃度、温度などを適宜
調整することにより得ることもできる。
【0027】次いで、本発明の放射線画像変換パネルの
各構成要素について説明する。 《蛍光体粒子》放射線画像変換パネルで用いられる蛍光
体粒子は、発光輝度が高く、比較的少ない放射線量で放
射線画像を形成せしめるため、被検体の放射線被曝線量
を低減できるが、放射線画像変換パネルの発光強度や画
像の鮮鋭度、粒状度等は、蛍光体粒子の大小、蛍光体の
分散性、蛍光体の均一性、充填率等に左右される。
【0028】本発明で用いることのできる蛍光体粒子と
しては、特に制限はなく、以下に示すものを挙げること
ができる。
【0029】テルビウム賦活希土類酸硫化物系蛍光体
〔Y22S:Tb、Gd22S:Tb、La22S:T
b、(Y,Gd)22S:Tb、(Y,Gd)O2S:
Tb,Tm等〕、テルビウム賦活希土類燐酸塩系蛍光体
(YPO4:Tb、GdPO4:Tb、LaPO4:Tb
等)、テルビウム賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光
体(LaOBr:Tb、LaOBr:Tb,Tm、La
OCl:Tb、LaOCl:Tb,Tm、LaOCl:
Tb,Tm、LaOBr:Tb、GdOBr:Tb、G
dOCl:Tb等)、ツリウム賦活希土類オキシハロゲ
ン化物系蛍光体(LaOBr:Tm、LaOCl:Tm
等)、硫酸バリウム系蛍光体〔BaSO4:Pb、Ba
SO4:Eu2+、(Ba,Sr)SO4:Eu2+等〕、2
価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属燐酸塩系蛍光体
〔Ba3(PO42:Eu2+、Ba3(PO42:Eu2+
等〕、2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属弗化ハ
ロゲン化物系蛍光体〔BaFCl:Eu2+、BaFB
r:Eu2+、BaFCl:Eu 2+,Tb、BaFBr:
Eu2+,Tb、BaF2・BaCl2・KCl:Eu2+
(Ba,Mg)F2・BaCl2・KCl:Eu2+等〕、
沃化物系蛍光体(CsI:Na、CsI:Tl、Na
I、KI:Tl等)、硫化物系蛍光体〔ZnS:Ag、
(Zn,Cd)S:Ag、(Zn,Cd)S:Cu、
(Zn,Cd)S:Cu,Al等〕、燐酸ハフニウム系
蛍光体(HfP27:Cu等)、タンタル酸塩系蛍光体
〔YTaO4、YTaO4:Tm、YTaO4:Nb、
(Y,Sr)TaO4-x:Nb、LuTaO4、LuTa
4:Nb、(Lu,Sr)TaO4-x:Nb、GdTa
4:Tm、Gd23・Ta25・B23:Tb等〕、
但し本発明に用いられる蛍光体はこれらに限定されるも
のではなく、放射線の照射によって可視又は近紫外領域
の発光を示す蛍光体であれば使用できる。
【0030】本発明においては、上記の蛍光体の中で
も、画像ボケの少ない高鮮鋭度の画像を得る観点から、
下記に示すような(A)〜(E)の各要件を満たすもの
が好ましい。
【0031】(A)蛍光体粒子が、下記一般式(1)で
表される組成を有すること。 一般式(1) (Gd,M)23 一般式(1)において、MはY、Nd、Tb、Dy、H
o、Er、Tm、Yb、Eu、La、Lu、Sm及びC
eからなる原子群から選択される少なくとも一つの原子
を表すが、中でも好ましく用いられる原子は、Y、E
u、Tb等である。更に、蛍光体粒子の発光特性を向上
させる観点から、Y、Euの蛍光体粒子中の含有量とし
ては、2質量%〜20質量%が好ましく、更に好ましく
は、5質量%〜10質量%である。また、Tbの蛍光体
粒子中の含有量としては、0.01質量%〜4質量%が
好ましい。
【0032】(B)放射線画像変換パネルのX線吸収量
(被験者の被爆線量の最大許容範囲以下にする)を向上
させ、且つ、輝度特性向上の観点から、蛍光体粒子が、
Gdを71質量%〜98質量%含有することが好まし
い。
【0033】(C)球状蛍光体粒子の粒径が0.1μm
〜5μmであることが好ましく、更に好ましくは、0.
3μm〜2μmである。ここで、蛍光体粒子の粒径測定
は蛍光体を水中に適当な界面活性剤を使用して分散、光
散乱法粒子測定装置(例えば堀場製作所LA−910)
を使用して粒径を測定して求めることができる。
【0034】(D)蛍光体粒子の発光特性を向上させな
がら、且つ、結晶子サイズの増加と粒子形状の乱れを抑
制する観点から、球状蛍光体粒子の結晶子サイズが30
0nm〜750nmであることが好ましい。ここでいう
結晶子サイズは、X線回折で得られた回折ピークの測定
可能なピークを10〜15選択して測定する「ウィルソ
ン法」を用い算出した。結晶子サイズ算出方法について
は共立出版株式会社版:機器分析実技シリーズ、X線分
析法に記載される方法を用いることが出来る。
【0035】(E)相対輝度が向上し、好ましい結晶形
態、結晶サイズを有する球状蛍光体粒子を得るために
は、焼成温度が500℃以上に設定することが好まし
く、更に好ましくは、700℃以上であり、特に好まし
くは、焼成温度900℃〜1300℃である。
【0036】《蛍光体粒子の結晶形態》本発明に係る蛍
光体粒子の結晶形態としては、平板結晶、立方体結晶、
14面体結晶、球体結晶といろいろな結晶形態をとりう
るが、蛍光体層において蛍光体の充填率を上げるには、
中でも球体結晶が好ましく用いられる。
【0037】(球状蛍光体粒子)蛍光体粒子としては、
単一の結晶でもよく、複数の微粒子の集合体でもよい
が、本発明に係る蛍光体粒子としては、球体結晶または
球状粒子が好ましく用いられる。但し、球状粒子は、必
ずしも球体結晶の集合体ではなくてもよく、その他の結
晶形態をとる粒子の集合体が結果的に球状粒子を形成す
る場合も含む。
【0038】球状蛍光体粒子の球状とは、走査型電子顕
微鏡を用いて撮影した蛍光体粒子の撮影写真(粒子の写
真として50〜100個の粒子を観察)から、球体結晶
または球状粒子の長径(a)と短径(b)(各々、平均
値である)を求め、前記長径と短径の比:(a)/
(b)が0.98〜1.00の範囲にはいるものであ
る。
【0039】本発明に係る球状蛍光体粒子は、単一結晶
でもよく、単一結晶の凝集体でも、また、その他の形態
の結晶の凝集体でもよいが、最終的な粒子形態が球状で
あることが必要である。
【0040】本発明においては、球状とそれ以外の多面
体との明確な境界を明確にするため、例えば、多面体結
晶の場合には、多面体の最長の径と最短の径との比が上
記記載の範囲にはいるものも本発明においては球状の範
疇に入るもののと定義する。
【0041】更に、14面体以上の多面体でも上記記載
の範囲に入るものは、実質的に球状であると定義する。
【0042】また、蛍光体粒子中での結晶の充填効率を
高めるためには、結晶形が、平板<立方体<14面体<
球体の順番で充填効率が上がるため、球体結晶が特に好
ましく用いられる。
【0043】また、本発明に係る蛍光体粒子は、粒径分
布としてより単分散であることが好ましい。蛍光体の粒
径分布の測定方法は、コールターカウンタ等の容積解析
法、顕微鏡を用いた影像解析法、重力及び遠心による沈
降法、カスケードインパクタ及びサイクロン等の慣性力
法、コゼニー・カルマン法及びヌードセン法等の表面積
解析法、BET法、X線回折を用いたウィルソン法及び
流動法等の吸着法、光回折法等の電磁波の散乱を利用し
た方法などがある。
【0044】蛍光体粒子の粒径分布は、その変動係数で
定義することができ、球換算直径で表した粒径分布の標
準偏差(粒径分布の標準偏差)及び上記方法で求めた平
均粒径値(粒径平均値)から下式によって算出される値
である。
【0045】粒径分布の変動係数(%)=(粒径分布の
標準偏差/平均粒径)×100 によって定義されるものである。
【0046】本発明においては、上記変動係数が20%
以下であることが好ましく、さらに好ましくは16%以
下である。
【0047】《球状蛍光体粒子の製造方法》次に、本発
明に係る球状蛍光体粒子の製造方法を具体的に説明す
る。
【0048】(製造例1)希土類元素の塩を含む水溶液
(希土類の塩としては塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等)に尿
素を添加して塩基性炭酸塩を析出させ、得られた沈殿を
固液分離し、500℃以上で焼成し、球状微粒子上の蛍
光体粒子を得る。
【0049】(製造例2)希土類元素を含む水溶液を8
0℃以上、0.5〜5時間加熱し、過酸化水素と尿素を
添加してさらに加熱する事により、希土類元素の塩基性
炭酸塩の球状粒子を析出させ、次いで、析出した希土類
元素の塩基性炭酸塩を固液分離することで希土類元素の
塩基性炭酸塩の球状粒子が得る。
【0050】この塩基性炭酸塩の球状粒子をさらに空気
中もしくは酸化性雰囲気中で焼成することで希土類元素
酸化物の球状粒子を得ることができる。
【0051】上記の製造例1、製造例2に用いられる希
土類元素の水溶液から、希土類元素の塩基性炭酸塩の析
出反応条件についてさらに詳しく説明する。
【0052】本発明に用いられる水溶性の希土類元素の
塩としては硝酸塩が好ましい。製造例1、製造例2で用
いられる尿素の添加量は、希土類元素の3〜5倍程度の
濃度になることが好ましい。また、過酸化水素を用いる
場合、過酸化水素の添加量は希土類イオンの濃度に対し
て1/100〜30/100で添加が好ましい。
【0053】得られた希土類元素の塩基性炭酸塩を空気
中または酸化性雰囲気下中で焼成することにより塩基性
炭酸塩の形状を保ったままで球状の希土類元素の酸化物
粒子を得ることが出来るが、前記焼成の温度は500℃
以上が好ましい。
【0054】また、前記希土類元素を含む水溶液に尿素
系化合物を用いて塩基性炭酸塩を作製するが、ここで、
尿素系化合物としては、尿素、尿素の塩(例えば、硝酸
塩、円酸塩等)、N,N’−ジアセチル尿素、N,N’
−ジベンゾイル尿素、N,N−ジベンゾイル尿素、ベン
ゼンスルホニル尿素、p−トルエンスルホニル尿素、ト
リメチル尿素、テトラエチル尿素、テトラメチル尿素、
トリフェニル尿素、テトラフェニル尿素、N−ベンゾイ
ル尿素、メチルイソ尿素、エチルイソ尿素等が好ましく
用いられるが、特に好ましく用いられるのは、尿素であ
る。
【0055】尚、球状蛍光体粒子形成に関しては上述の
尿素を用いた塩基性炭酸塩を用いる他、蓚酸塩、有機燐
酸塩、マロン酸塩、グリコール酸塩、セバシン酸塩、カ
コジル酸塩及び種々のベンゼンスルホン酸の誘導体の
塩、アミノポリ酢酸塩(EDTA、DCTA、HEDT
A、DE、ME、NTA、IMDA)アセチルアセトナ
ート、アルコキシド、シクロオクタテトラエン錯体、シ
クロペンタジエン錯体等を用いて析出したものを用いる
ことが出来る。
【0056】また、本発明に係る球状蛍光体は、母体励
起タイプの蛍光体である場合は、母体結晶の完全性に敏
感であり結晶性を高めることが好ましい、その為、焼成
処理時の反応速度、結晶構造、生成物の分解が重要とな
る。
【0057】更に、蛍光体としての輝度特性向上の観点
から、発光中心の分布、発光イオンの原子価の選択が重
要であり、例えば、本発明に係る球状蛍光体粒子の焼成
時において、用いる希土類元素の中で賦活剤としてEu
3+のように還元されやすいイオンを導入する時は酸化性
雰囲気、Eu2+、Tb3+、Ce3+、Pr3+のように酸化
されやすいイオンを導入するときは還元性雰囲気で焼成
することが好ましい。
【0058】上記記載した蛍光体粒子の製造方法に準ず
ることにより、本発明に係る不定形AOx粒子の調製す
ることができる。
【0059】本発明においては、上記方法で調製された
蛍光体粒子と不定形AOx粒子とを本発明で規定する比
率で混合、調製することが特徴であるが、本発明におい
ては、不定形AOx粒子と蛍光体粒子との混合は、塗布
液による蛍光体層形成前までに混合されていればよく、
塗布液を調製する際に、蛍光体粒子を樹脂及び溶剤と混
合、分散して塗布液として完成させるまでの任意の時期
に添加すれば、本発明の目的効果を得ることができる。
【0060】具体的には、1)蛍光体粒子形成時に、不
定形AOx粒子を混合して調製する方法、2)蛍光体塗
布液調製時に、蛍光体粒子、不定形AOx粒子、樹脂、
溶剤等を同時に混合して調製する方法、3)蛍光体粒
子、樹脂、溶剤等を混合、調製した後に、不定形AOx
粒子を添加、混合、分散して調製する方法等により調製
することにより、同様の効果を得ることができる。
【0061】《蛍光体層》ついで、本発明に係る蛍光体
層について説明する。
【0062】本発明においては、蛍光体層中の蛍光体の
充填率が60%以上であることが好ましく、さらに好ま
しくは65%以上である。尚、蛍光体層の製造上、蛍光
体層の充填率の上限は、好ましくは100%以下、さら
に好ましくは85%以下である。ここで、蛍光体層中の
蛍光体の充填率測定は、放射線画像変換パネルの保護層
を除去し、有機溶剤等を使用して蛍光体層全体を剥離ま
たは溶出し、濾過及び乾燥した後、電気炉を使って60
0℃で1時間焼成して表面の樹脂を除去した蛍光体の質
量をM(g)、溶出前の蛍光体層膜厚をP(cm)、溶
出に使用した蛍光体シート面積をQ(cm2)、蛍光体
比重をR(g/cm3)としたとき、 蛍光体充填率=〔M/(P×Q×R)〕×100(%) によって算出して求めることができる。
【0063】蛍光体層に用いられる結合剤の例として
は、ゼラチン等の蛋白質、デキストラン等のポリサッカ
ライド、またはアラビアゴムのような天然高分子物質;
および、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ニト
ロセルロース、エチルセルロース、塩化ビニリデン・塩
化ビニルコポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリレー
ト、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタ
ン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアル
コール、線状ポリエステルなどのような合成高分子物質
などにより代表される結合剤を挙げることができる。
【0064】このような結合剤の中で好ましいものは、
ニトロセルロース、線状ポリエステル、ポリアルキル
(メタ)アクリレート、ニトロセルロースと線状ポリエ
ステルとの混合物、ニトロセルロースとポリアルキル
(メタ)アクリレートとの混合物およびポリウレタンと
ポリビニルブチラールとの混合物である。なお、これら
の結合剤は架橋剤によって架橋されたものであってもよ
い。
【0065】また、蛍光体の分散性を高め、充填率を高
めることが出来る結合剤として好ましく用いられるもの
は、スルホン酸基を有するポリエステル樹脂若しくはポ
リウレタン樹脂である。
【0066】また、蛍光体層を形成する塗布液における
結合剤と蛍光体との混合比(但し、結合剤全部がエポキ
シ基含有化合物である場合には該化合物と蛍光体との比
率に等しい)は、目的とする放射線画像変換パネルの特
性、蛍光体の種類、エポキシ基含有化合物の添加量など
によって異なるが、一般には、結合剤は蛍光体1質量部
に対して0.01質量部〜1質量部の範囲で使用される
ことが好ましく、更に、塗布の容易さとの兼合いから
0.03質量部〜0.2質量部の範囲が好ましく用いら
れる。
【0067】本発明に係る蛍光体層塗布液の溶剤として
は、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノー
ル、2−プロパノール、n−ブタノールなどの低級アル
コール;メチレンクロライド、エチレンクロライドなど
の塩素原子含有炭化水素;アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサンなどのケ
トン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの低級
脂肪酸と低級アルコールとのエステル;ジオキサン、エ
チレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール
モノメチルエーテルなどのエーテル;トルエン;トリオ
ール、キシロールなどの芳香族化合物、そして、それら
の混合物を挙げることができる。
【0068】これら塗布液調製用の溶剤は、少ない方が
蛍光体層の比重を高める上で好ましく、具体的には、塗
布液中の溶剤量は25質量%以下、より好ましくは20
質量%以下である。また、塗布後の乾燥をゆっくり行
い、緻密な膜とするには、シクロヘキサンのような高沸
点溶媒を塗布液の溶剤として用いることが好ましく、溶
剤を混合系溶剤とする場合は、高沸点溶媒の比率を40
質量%以上、好ましくは50質量%以上とすることであ
る。
【0069】塗布液には、塗布液中での蛍光体の分散性
を向上させるための分散剤、また、形成後の蛍光体層中
における結合剤と蛍光体との間の結合力を向上させるた
めの可塑剤などの種々の添加剤が混合されていてもよ
い。そのような目的に用いられる分散剤の例としては、
フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親油性界面活性
剤などを挙げることができる。また、可塑剤の例として
は、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸ジフェ
ニルなどの燐酸エステル;フタル酸ジエチル、フタル酸
ジメトキシエチル等のフタル酸エステル;グリコール酸
エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタリルブ
チルなどのグリコール酸エステル;そして、トリエチレ
ングリコールとアジピン酸とのポリエステル、ジエチレ
ングリコールとコハク酸とのポリエステルなどのポリエ
チレングリコールと脂肪族二塩基酸とのポリエステルな
どを挙げることができる。
【0070】蛍光体層用塗布液の調製は、ボールミル、
サンドミル、アトライター、三本ロールミル、高速イン
ペラー分散機、Kadyミル、および超音波分散機など
の分散装置を用いて行なわれる。調製された塗布液をド
クターブレード、ロールコーター、ナイフコーターなど
の塗布液を用いて支持体上に塗布し、乾燥することによ
り蛍光体層が形成される。前記塗布液を保護層上に塗布
し、乾燥した後に蛍光体層と支持体とを接着してもよ
い。
【0071】蛍光体層の膜厚は、目的とする放射線画像
変換パネルの特性、蛍光体の種類、結合剤と蛍光体との
混合比などによって異なるが、通常は乾燥膜厚として1
0μm〜1mmである。特に、マンモグラフィーに用い
る場合には、充填率を高めた塗布膜であって、その膜厚
を200μm以下、より好ましくは100μm以下とす
ることである。
【0072】《保護層》通常、放射線画像変換パネルに
は、後述する支持体に接する側と反対側の蛍光体層又は
輝尽性蛍光体層の表面を物理的、化学的に保護するため
の保護膜が設けられる。このような保護膜は、本発明に
ついても設置することが好ましい。保護膜の膜厚は一般
に2〜20μmの範囲にある。
【0073】保護層は、例えば、酢酸セルロース、ニト
ロセルロースなどのセルロース誘導体、或いはポリメチ
ールメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリカー
ボネート、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニルコ
ポリマーなどの合成高分子物質を適当な溶剤に溶解して
調製した溶液を蛍光体層又は輝尽性蛍光体層の表面に塗
布する方法により形成することができる。これらの高分
子物質は、単独でも混合しても使用できる。また、保護
層を塗布で形成する場合は塗布の直前に架橋剤を添加す
ることが望ましい。或いはポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリ塩
化ビニリデン、ポリアミドなどからなるプラスチックシ
ートを接着剤を用いて接着するなどの方法で形成するこ
とができる。
【0074】本発明で用いられる保護層としては、特に
有機溶媒に可溶性の弗素系樹脂を含む塗布膜により形成
されることが好ましい。弗素系樹脂とは、弗素を含むオ
レフィン(フルオロオレフィン)の重合体、若しくは弗
素を含むオレフィンを共重合体成分として含む共重合体
をいう。弗素系樹脂の塗布膜により形成された保護層は
架橋されていてもよい。弗素系樹脂による保護層は、触
手や感光材料などとの接触で脂肪分、感光材料などから
出る可塑剤などの汚れが保護層内部に染み込みにくいの
で、拭き取りなどによって容易に汚れを除去することが
できる利点がある。また、膜強度の改良等の目的で、弗
素系樹脂と他の高分子物質を混合してもよい。
【0075】また、保護層は蛍光体層上に形成された厚
さ10μm以下の合成樹脂層であることが好ましい。こ
のような薄い保護層を用いることにより、特に放射線画
像変換パネルの場合は蛍光体からハロゲン化銀乳剤まで
の距離が短くなるため、得られる放射線画像の鮮鋭度の
向上に寄与することになる。
【0076】《支持体》本発明の放射線画像変換パネル
において用いられる支持体としては各種高分子材料、ガ
ラス、金属等が用いられる。特に、情報記録材料として
の取り扱い上から、可撓性のあるシートあるいはウェブ
に加工できるものが好適であり、この点からいえば、セ
ルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、
ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィ
ルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、
ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルム、
アルミニウム、鉄、銅、クロム等の金属シートあるいは
該金属酸化物の被覆層を有する金属シートが好ましい。
【0077】また、これら支持体の膜厚は、用いる支持
体の材質等によって異なるが、一般的には3〜1000
μmであり、取り扱い上の点から、さらに好ましくは8
0〜500μmである。これらの支持体の表面は、滑面
であってもよいし、蛍光体層との接着性を向上させる目
的でマット面としてもよい。
【0078】さらに、これら支持体は、蛍光体層との接
着性を向上させる目的で蛍光体層が設けられる面に下引
層を設けてもよい。
【0079】また、支持体の反射性を挙げ、放射線画像
変換パネルの輝度を向上させる観点からは、支持体は気
泡を含有するポリエチレンテレフタレートが好ましく用
いられる。ここで、前記の気泡を含有するポリエチレン
テレフタレートは、特開平3−76727号及び特開平
6−226894号に記載の手法にてポリエチレンテレ
フタレート中に気泡を含有させて蛍光に対する反射能を
高め、放射線画像変換パネルの輝度が向上した支持体が
作製することができる。また、市販品としては、東レ
(株)社製E60L等の気泡を含有するポリエチレンテ
レフタレートがある。また、前記気泡を含有するポリエ
チレンテレフタレート支持体の厚みは、一般的には80
〜1000μmであり、取り扱い上の点から、好ましく
は50〜500μmである。
【0080】これらの支持体の表面は滑面であってもよ
いし、反射層や、光吸収層及び蛍光体層との接着性を向
上させる目的でマット面としてもよい。
【0081】《放射線画像変換パネルの製造方法》本発
明の放射線画像変換パネルの製造方法について説明す
る。
【0082】放射線画像変換パネルの製造法は、以下の
主に2種が考えられる。第1の製造法の蛍光体層は、結
合剤溶液中に蛍光体を均一に分散せしめた蛍光体塗料を
支持体上に塗布、乾燥することにより製造できる。ま
た、第2の製造法の蛍光体層となるシートは、蛍光体塗
料を蛍光体シート形成用仮支持体上または仮支持体上に
設けられた保護膜上に塗布し、乾燥した後、仮支持体か
ら剥離することで製造できる。保護層自体を仮支持体と
して、そのまま最終製品に使用することもできる。第2
の製造法では、仮支持体上または仮支持体上に設けられ
た保護膜上に蛍光体塗料を塗布し乾燥した後、仮支持体
から剥離して蛍光体層となるシートとする。従って仮支
持体の表面は、予め剥離剤を塗布しておき、形成された
蛍光体シートが仮支持体から剥離し易い状態にしておく
のが好ましい。
【0083】また、本発明に係る蛍光体層は圧縮しても
よい。蛍光体層を圧縮することによって蛍光体の充填密
度を更に向上させ、更に鮮鋭性、粒状性を向上させるこ
とができる。圧縮の方法としてはプレス機やカレンダー
ロール等が挙げられる。
【0084】第1の製造法の場合、蛍光体層及び支持体
をそのまま圧縮する。第2の製造法の場合、蛍光体シー
トを支持体上に載せ、結合剤の軟化温度または融点以上
の温度で圧縮しながら該シートを支持体上に接着する。
【0085】このようにして、蛍光体シートを支持体上
に予め固定することなく圧着する方法を利用することに
よりシートを薄く押し広げることができる。
【0086】支持体上に蛍光体層が塗設された蛍光体シ
ートを所定の大きさに断裁する。断裁にあたっては、一
般のどのような方法でも可能であるが、作業性、精度の
面から化粧断裁機、打ち抜き機等が望ましい。
【0087】
【実施例】以下に、本発明を実施例により説明するが、
本発明はこれらに限定されない。
【0088】実施例1 《蛍光体粒子の調製》イットリウムイオン、ガドリニウ
ムイオン、ユーロピウムイオン濃度合計が0.05モル
/リットルで、Y/Gd/Euの水溶液中でのイオン含
有量比(モル比)が20/70/10の水溶液10リッ
トルを95℃に加熱した。この水溶液に、過酸化水素濃
度が0.01モル/リットルとなるように過酸化水素を
添加し、尿素を0.6モル/リットルとなるように添加
し、95℃で1時間加熱し、希土類元素として、Yが2
0質量%、Gdが71質量%、Euが9質量%からなる
塩基性炭酸希土類化合物を調製した。
【0089】析出した上記希土類化合物をメンブランフ
ィルタにて分離し、700℃で2時間焼成して、粒径1
μmの球状の蛍光体粒子を得た。
【0090】《不定形AOx粒子1の調製》イットリウ
ムイオン濃度が0.05モル/リットルの硝酸イットリ
ウム水溶液10リットルを95℃に加熱した。この水溶
液に、過酸化水素濃度が0.01モル/リットルとなる
ように過酸化水素を添加し、尿素を0.6モル/リット
ルとなるように添加し、95℃で1時間加熱し、塩基性
炭酸イットリウム化合物を調製した。
【0091】析出した上記塩基性炭酸イットリウム化合
物をメンブランフィルタにて分離し、700℃で2時間
焼成して、粒径1μmの酸化イットリウム粒子である不
定形AOx粒子1を調製した。
【0092】《不定形AOx粒子2〜6の調製》上記不
定形AOx粒子1の調製において、Aに該当する原子と
して、Y(イットリウム)を、Eu、Gd、Ce、N
d、Feにそれぞれ変更した以外は同様にして、不定形
AOx粒子2〜6を調製した。
【0093】《蛍光体層の形成》 (蛍光体層形成用塗布液の調製)上記調製した蛍光体粒
子と不定形AOx粒子とを表1に記載の混合比となるよ
うに混合、攪拌して蛍光体層形成用塗布液1〜12を調
製した。なお、蛍光体粒子と不定形AOx粒子の総添加
量は、98.5質量部となるように調整した。
【0094】 蛍光体粒子 表1に記載の不定形AOx粒子を除いた含有率となる量 不定形AOx粒子1〜6(表1に記載の種類) 表1に記載の含有率となる量 東洋紡製ポリエステル樹脂バイロン630 1.5質量部 有機溶媒:シクロヘキサノン 25.0質量部 上記の各添加物を混合した後、プロペラミキサーで分散
させて、粘度が25mPa・s(25℃)の蛍光体層形
成用塗布液1〜12を調製した。
【0095】(下塗層形成用塗布液の調製)下塗層形成
用塗布液として、軟質アクリル樹脂固形分90質量部、
ニトロセルロース50質量部をメチルエチルケトンに加
え分散、混合して粘度が3〜6mPa・s(25℃)の
分散液を調製した。
【0096】(蛍光体層の塗布)カーボンブラックを練
り込んだ厚さ200μmのポリエチレンテレフタレート
(支持体)をガラス板上に水平に置き、上記の下塗層形
成用塗布液をドクターブレードを用いて支持体上に均一
塗布した後、25℃から100℃に徐々に上昇させて塗
布膜の乾燥を行い、支持体上に下塗層を形成した(塗布
膜の厚さ15μm)。この上に上記の蛍光体層形成用塗
布液をドクターブレードを用いて膜厚240μmの厚み
で均一に塗布乾燥した。
【0097】(保護層の形成)片面にポリエステル系接
着剤が塗布されている厚さ8μmの透明ポリエチレンテ
レフタレートフィルムを接着剤を下にして蛍光体層上に
接着して保護層を形成し、放射線画像変換パネル1〜1
2を作製した。
【0098】《放射線画像変換パネルの評価》以上のよ
うにして作製した各放射線画像変換パネルについて、下
記に記載の方法に従って、輝度、粒状性及び鮮鋭性の評
価を行った。
【0099】(輝度の測定)輝度評価は、X線−プレー
ト−受光系の組み合わせで形成され、受光系は発光をオ
プティカルファイバーで発光を受光系フォトマルチプラ
イアーR1305(浜松ホトニクス製光電子像倍管)に
伝達し、得られた信号値よりベースノイズとシグナルピ
ークより信号値(シグナルピーク:S−N:ベースノイ
ズ)を測定、放射線画像変換パネル試料2の信号値を
1.0として、その他の放射線画像変換パネル試料の輝
度を相対輝度で表示した。
【0100】(粒状性)粒状性評価は、X線−プレート
−受光系の組み合わせで形成され、受光系は発光をオプ
ティカルファイバーで発光を受光系フォトマルチプライ
アーR1305(浜松ホトニクス製光電子像倍管)に伝
達し、その画像をレーザー書き込み式のフィルムプリン
タを用いて出力し、その画像粒状度(ざらつき感)を下
記の基準に則り、目視により4段階評価を行なった。
【0101】 4:ざらつき感なく均一なベタ画像である 3:僅かに粒状感があるものの、ほぼ均一なベタ画像で
ある 2:粒状感があり、均一感が損なわれている 1:目視で明らかにざらついており、均一感がない (鮮鋭性の評価)鮮鋭性評価は、X線MTFチャート
(極光製No.1)の空間周波数6lp/mmでの鉛ス
リット部での信号差を6lp/mmでの分解能として評
価した。ここで、放射線画像変換パネル試料2の信号差
を100として表し、その他の放射線画像変換パネル試
料については、その相対値として表示した。
【0102】以上により得られた結果を、表1に示す。
【0103】
【表1】
【0104】表1の結果より明らかなように、不定形A
Ox粒子を、蛍光体粒子に対し、0.0005〜1.0
質量%含有する蛍光体層を有する本発明の放射線画像変
換パネルは、比較品に対し輝度、粒状性並びに鮮鋭性に
優れていることが分かる。
【0105】
【発明の効果】本発明により、輝度、粒状性及び鮮鋭性
が改良された放射線画像変換パネルとその製造方法を提
供することができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01T 1/20 G01T 1/20 K Fターム(参考) 2G083 AA02 BB01 CC02 DD06 DD12 EE02 EE03 2G088 EE01 FF02 GG16 GG25 JJ37 LL12 2H016 AA03 4H001 CA01 CA08

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、少なくとも1層の蛍光体粒
    子を含有する蛍光体層を有する放射線画像変換パネルに
    おいて、不定形AOx粒子(Aは、Si、Ti、Al、
    Zr、遷移元素及び希土類元素から選ばれる少なくとも
    1種)を含有し、該蛍光体粒子に占める該不定形AOx
    粒子の比率が、0.0005〜1.0質量%であること
    を特徴とする放射線画像変換パネル。
  2. 【請求項2】 支持体上に、少なくとも1層の蛍光体粒
    子を含有する蛍光体層を有する放射線画像変換パネルの
    製造方法において、該蛍光体粒子と不定形AOx粒子
    (Aは、Si、Ti、Al、Zr、遷移元素及び希土類
    元素から選ばれる少なくとも1種)とを混合、攪拌して
    蛍光体層を形成せしめることを特徴とする放射線画像変
    換パネルの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記蛍光体粒子に占める前記不定形AO
    x粒子の比率が、0.0005〜1.0質量%であるこ
    とを特徴とする請求項2に記載の放射線画像変換パネル
    の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008303238A (ja) * 2007-06-05 2008-12-18 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd ニトロセルロース溶液およびその製造方法、蛍光体スラリーおよびその製造方法、蛍光体被膜、蛍光ランプ

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