JPH10338874A - X線蛍光体及びこれを用いたx線増感紙 - Google Patents

X線蛍光体及びこれを用いたx線増感紙

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JPH10338874A
JPH10338874A JP16537797A JP16537797A JPH10338874A JP H10338874 A JPH10338874 A JP H10338874A JP 16537797 A JP16537797 A JP 16537797A JP 16537797 A JP16537797 A JP 16537797A JP H10338874 A JPH10338874 A JP H10338874A
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洋司 谷
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隆敏 南谷
Hiroyuki Minato
博之 湊
Yukinori Hisazumi
行徳 久積
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 X線蛍光体の発光効率を高くし、しかも残光
成分を弱くする。 【解決手段】 X線蛍光体は、LnMBDO4:R3+
一般式で表されるX線で刺激されて発光するX線蛍光体
であって、蛍光体原料が、Dで示される元素1グラム原
子に対して、LnとMとRとBで示される元素の総量を
1グラム原子とする比率で混合して焼成されている。た
だし、上記一般式において、LnはY、Gd、La及び
Luの少なくとも一種の元素であり、MはBe、Mg、
Ca、Sr、Ba、Zn、Cdの群より選ばれる少なく
とも一種の二価金属であり、Bはホウ素元素であり、D
はTa、Nbのいずれかまたは両方を含み、R3+は付活
剤であって、Tm、Gd、Ce、Pr、Sm、Eu、T
b、Dy及びYbまたは自己付活のいずれかである。さ
らに、R3+とMとBの含有量は、1グラム原子のDに対
して、順番に、1×10-5〜3×10-1、1×10-5
6×10-1、1×10-5〜5×10-1である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として、医療用
放射線撮影あるいは工業用放射線撮影に使用されるもの
で、X線で刺激されて発光するX線蛍光体と、このX線
蛍光体を塗布しているX線増感紙に関する。
【0002】
【従来技術】X線で刺激されて発光する蛍光体は、主と
して、X線増感紙に使用される。X線増感紙は、一般に
写真フィルムと組み合わせて使用され、医療用放射線撮
影における撮影系の感度を向上させる。かかるX線増感
紙に使用される蛍光体は、撮影に使用するX線量をでき
る限り弱くするために、X線の吸収量が多いこと、発光
効率が高いこと、残光成分が弱いこと等が要求される。
【0003】X線吸収量が多い蛍光体を塗布したX線増
感紙は、X線画像の粒状性がよく、医療用放射線撮影に
おける診断効率を向上させる。発光効率の高い蛍光体
は、少ないX線照射で使用でき、被検者の被曝線量が低
減する。又、残光成分が少ない蛍光体は、残像(残光ノ
イズ)による誤診を防止できる。
【0004】近年、被検者の被曝線量低減の要求によ
り、従来のCaWO4蛍光体に代わり、下記の蛍光体を
使用したより高感度なX線増感紙が実用化されている。 Gd22S:Tb BaFCl:Eu LaOBr:Tm YTaO4:Tm
【0005】しかし、BaFCl:Eu蛍光体と、La
OBr:Tm蛍光体は、X線吸収量が少ないために、X
線写真の粒状性が悪くなる欠点がある。また、平板状の
粒子形状であるために、X線により生成される光の散乱
が多く、X線画像の鮮鋭度が低下する欠点もある。
【0006】Gd22S:Tb蛍光体は、青色ないし緑
色領域で発光し、青色から緑色領域で感度を持つオルソ
フィルムと組み合わせて使用されるために、フィルムが
暗室で感光し易く、暗室ランプを暗くする必要があっ
て、作業性が悪い。
【0007】YTaO4:Tm蛍光体は、特開昭58−
22063号公報に記載される。この公報に記載される
YTaO4:Tm蛍光体は、残光成分が強く、連続撮影
時に残光によるノイズが発生し、このことが用途を制限
している。残光成分が弱く、しかもYTaO4:Tm蛍
光体の成長を備える蛍光体が開発されるなら、X線用と
して理想的な特性の蛍光体ができる。
【0008】ところで、特開平6−228543号公報
には、希土類タンタル酸塩蛍光体を焼成するフラックス
に、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ金属メタホウ酸塩、
及びストロンチウムハロゲン化物を使用して、蛍光体粒
子のサイズと、乾燥見掛け密度と、蛍光体のスピードを
制御することが記載される。
【0009】この公報に記載される蛍光体は、希土類元
素1モルの蛍光体原料に対して、TaとNbの蛍光体原
料の和を1モル添加混合して焼成して製造される。すな
わち、希土類元素と、Ta及びNbの混合比率を、蛍光
体原料において、1:1モルの割合で混合して製造して
いる。この方法で製造される、YTaO4:Tm蛍光体
は、残光成分が強く、連続撮影後に残光によるノイズが
発生する欠点を解消できない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、さらに優れ
た特性を有する、X線で刺激されて発光するX線蛍光体
を実現すべく開発されたもので、本発明の重要な目的
は、発光効率が高く、しかも残光成分の弱い、X線で刺
激されて発光するX線蛍光体とそのX線蛍光体を使用し
ているX線増感紙を提供するにある。
【0011】又、本発明の重要な目的は、被検者の被曝
線量が少なく、診断性の高いX線蛍光体とこの蛍光体を
使用したX線増感紙を提供するにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、希土類タン
タレート蛍光体、並びに希土類ニオベート蛍光体につい
て種々の研究を行った。その結果、本出願人が先に開発
して出願した、特願昭60−106636号の公報に記
載しているように、希土類タンタレートまたはニオベー
ト蛍光体は、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cdの
内、少なくとも一種の二価金属を特定の範囲で含有させ
ることにより、その残光特性を改良することができる。
さらに、特定量の二価金属を含有させて得られた蛍光体
は、顕著に改良された残光特性を有するのみならず、著
しく発光効率を向上させることも可能であった。
【0013】本発明者は、さらにこのX線蛍光体の特性
を改善することを目的として、鋭意研究した結果、X線
蛍光体の組成に、特定量のホウ素元素を含有させること
により、極めて優れた発光効率および残光特性を示す希
土類タンタレートまたはニオベート蛍光体を開発するこ
とに成功した。
【0014】本発明のX線蛍光体は、下記の一般式
(1)で表される蛍光体である。 LnMBDO4:R3+ (1) この一般式のX線蛍光体は、製造工程において混合され
る蛍光体原料を、Dで示される元素1グラム原子に対し
て、LnとMとRとBで示される元素の総量を1グラム
原子とする比率で混合し、混合した蛍光体原料を焼成し
て製造される。
【0015】本発明のX線蛍光体は、蛍光体原料に添加
されるホウ素元素および二価金属に相当する量だけ、L
nの添加量を少なくして、ホウ素と二価金属を、蛍光体
の結晶構造に入り易くして焼成している。
【0016】蛍光体の一般式でBで示されるホウ素は、
蛍光体原料としては、好ましくは、ホウ酸または酸化ホ
ウ素の状態で添加して焼成される。また、一般式におい
てMで示される二価金属は、好ましくは、炭酸塩または
酸化物の状態で原料に添加して焼成される。
【0017】前述の一般式(1)において、Ln、M、
B、D、R3+は、下記の元素である。 Ln…Y、Gd、La及びLnの少なくとも一種の元素 M……Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cdの群
より選ばれる少なくとも一種の二価金属 B……ホウ素 D……Ta、Nbのいずれかまたは両方を含む R3+…付活剤であって、Tm、Gd、Ce、Pr、S
m、Eu、Tb、Dy及びYbまたは自己付活のいずれ
かである。
【0018】さらに、本発明のX線蛍光体は、R3+とM
とBの含有量を、1グラム原子のDに対して、順番に、
1×10-5〜3×10-1、1×10-5〜6×10-1、1
×10-5〜5×10-1の範囲に特定する。
【0019】以上のX線蛍光体は、下記の組成式で表す
ことができる。 Ln1-x-y-zyzDO4-0.5y:xR3+ (1) この組成式において、x、y、zは下記の範囲に特定さ
れる。 1×10-5≦x≦3×10-1 1×10-5≦y≦6×10-1 1×10-5≦z≦5×10-1
【0020】X線蛍光体に含まれる二価金属Mと、付活
剤Rの量を特定するxとyは、多すぎても少なすぎても
発光効率が低下する。本発明の蛍光体は、母体自体が発
光するので、付活剤を全く含有させずに使用することも
可能である。
【0021】X線蛍光体に含有されるBは、特定の範囲
で含有させることにより、残光特性及び発光効率を改良
できる。ただ、多すぎても少なすぎてもバリウム残光特
性と発光効率の改善効果が低下する。ホウ素元素Bの含
有量を示す組成式のzは、一般的には前記の範囲に決定
されるが、より好ましくは、1×10-5≦z≦2×10
-1の範囲に特定される。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明のX線蛍光体は、下記の組
成式をしている。 Ln1-x-y-zyzDO4-0.5y:xR3+ (1) この組成式において、Ln、M、B、D、R3+は、下記
の元素で、x、y、zは下記の範囲に特定される。
【0023】Ln…Y、Gd、La及びLnの少なくと
も一種の元素 M……Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cdの群
より選ばれる少なくとも一種の二価金属 B……ホウ素 D……Ta、Nbのいずれかまたは両方を含む R3+…付活剤であって、Tm、Gd、Ce、Pr、S
m、Eu、Tb、Dy及びYbまたは自己付活のいずれ
かである。
【0024】1×10-5≦x≦3×10-1 1×10-5≦y≦6×10-1 1×10-5≦z≦5×10-1
【0025】この組成式のX線蛍光体は、原料の調合量
を調製し、緊密に混合、焼成した後、蛍光体を回収する
ことによって得られる。このX線蛍光体は、下記の製法
で、X線増感紙とすることができる。
【0026】本発明は、X線蛍光体と、このX線蛍光体
を使用したX線増感紙に係るものである。従って、以下
本発明のX線蛍光体の製法と、本発明のX線蛍光体を使
用したX線増感紙の製法とを記述する。
【0027】X線増感紙は基本的には紙自体とその上に
設けられた蛍光体層とから構成され、蛍光体層は上記組
成式(1)で表される母体の蛍光体を分散状態で含有支
持する結合剤から成るものである。蛍光体層は公知の様
に、次の様な方法により支持体上に形成することができ
る。
【0028】先ず、上記一般式(1)で表される母体の
蛍光体と結合剤とを溶剤に加え、これを混合して、結合
剤溶液中に、蛍光体粒子が均一に分散した塗布液を調製
する。蛍光体層の結合剤の例としては、ニトロセルロー
ス、ポリアルキル(メタ)アクリレート、線状ポリエス
テル及びそれらの混合物を挙げることができる。塗布液
調製用の溶剤の例としては、酢酸エチル、酢酸ブチル等
の低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、アセト
ン、メチルエチルケトン等のケトン、ジオキサン、エチ
レングリコールモノエチルエーテル等のエーテル及びそ
れらの混合物を挙げることができる。
【0029】塗布液における、結合剤と蛍光体との混合
比は、目的とする増感紙の特性、蛍光体の粒子サイズ等
によって異なるが、一般に、結合剤と蛍光体との混合比
は、1:8ないし1:40(重量比)から選ぶのが好ま
しい。
【0030】また、塗布液には、該塗布液中における蛍
光体粒子の分散性向上の為の分散剤や、形成後の、蛍光
体層中における、結合剤と蛍光体粒子との間の結合力向
上の為の可塑剤等の添加剤が混合されていてもよい。
【0031】上記のようにして調製された塗布液を、通
常の塗布手段、例えば、ドクターブレード、ロールコー
ター、ナイフコーター、等を用いて、支持体の表面に均
一に塗布することにより、塗布液の塗模を形成する。塗
膜形成後、塗膜を乾燥して、支持体上への蛍光体層の形
成を完了する。蛍光体層の膜厚は、目的とする増感紙の
特性、蛍光体の粒子サイズ、結合剤と蛍光体の混合比な
どによって異なるが、通常70μm〜700μmの範囲
から選ぶのが好ましい。
【0032】なお蛍光体層は、1層だけでもよいが、2
層以上でもよい。積層する場合、その内少なくとも1層
が、上記一般式(1)からなる蛍光体を含有する。
【0033】支持体としては、増感紙の支持体として公
知の各種の材料から任意に選ぶことができる。その様な
材料の例としてセルロースアセテート、ポリエステル、
ポリアミド、ポリカーボネイト等の、プラスチック物質
のフィルム、または、アルミニウム箔、アルミニウム合
金箔等の金属シート、二酸化チタン等を含有するビグメ
ント紙等を挙げる事ができる。
【0034】なお、プラスチックフィルムを使用する場
合、カーボンブラック等の光吸収性物質が練り込まれて
いてもよく、あるいは二酸化チタン等の光反射性物質が
練り込まれてもよい。前者は、高鮮鋭度タイプの増感紙
に適した支持体であり、後者は、高感度タイプの増感紙
に適した支持体である。
【0035】通常のX線増感紙は、支持体に接する反対
側の蛍光体層の表面に、蛍光体層を物理的および化学的
に保護するための透明な保護膜が設けられている。この
様な、透明保護膜は、本発明の蛍光体が使用された増感
紙についても設置することが好ましい。
【0036】透明保護膜は、例えば、酢酸セルロース、
ニトロセルロース等のセルロース誘導体、あるいはポリ
メチルメタクリレート、ポリカーボネイト、ポリ酢酸ビ
ニル等の透明な高分子物質を、適当な溶媒に溶解して調
製した溶液を、蛍光体層の表面に塗布することにより形
成することができる。あるいは、ポリエチレン、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリアミド等から別の形成した
透明な薄膜を蛍光体層の表面に適当な接着剤を用いて接
着する方法によっても形成出来る。
【0037】以下、本発明の蛍光体の実施例についてそ
の製造方法と共に説明する。
【実施例】
[実施例1]下記の蛍光体原料を混合する。 酸化イットリウム…………63.00g 酸化ホウ素……………………0.42g 炭酸ストロンチウム…………4.43g 五酸化タンタル…………132.57g 塩化リチウム……………100g
【0038】これ等の原料を充分に混合した後、アルミ
ナルツボに充填し、アルミナルツボを焼成炉に入れて、
1270℃で5時間焼成する。この焼成物をボールミル
で粉砕し、デカンテーションにより、純水で5回洗浄を
繰り返し吸引濾過する。
【0039】更に、これを120℃で15時間乾燥す
る。このようにして、下記の組成の組成式が得られた。 Y0.93Sr0.050.02TaO3.975
【0040】[比較例1]蛍光体原料に酸化ホウ素を添
加せず、組成式が下記の値になるように、蛍光体原料を
混合する以外、実施例1と同じようにしてX線蛍光体を
製作した。 Y0.95Sr0.05TaO3.975
【0041】実施例1で試作したX線蛍光体は、ホウ素
を含有しない比較例1のX線蛍光体に比較して、優れた
残光特性を示し、相対発光輝度が9%向上した。
【0042】次に、実施例1と比較例1の蛍光体を用い
て、以下のようにして、X線増感紙を作った。蛍光体粒
子と線状ポリエステル樹脂との混合物に、メチルエチル
ケトンを添加し、さらに硝化度11.5%のニトロセル
ロースを添加して蛍光体分散液を調製した。この分散液
にフタル酸ジエチル、フタル酸そしてメチルエチルケト
ンを添加したのち、ホモジナイザーを用いて充分に攪拌
混合し、結合剤と蛍光体の混合比が1:20(重量
比)、粘度30PS(25℃)の塗布液を調製した。
【0043】この塗布液を、ガラス板上に水平に置いた
二酸化チタンに練り込み、ボリエステルシート(支持
体、厚み200μm)の上にドクターブレードを用いて
均一に塗布した。そして塗布後に、塗膜が形成された支
持体を、乾燥器中で塗膜の乾燥を行い、支持体上を、乾
燥器中で塗膜の乾燥を行い、支持体上に膜厚180μm
の蛍光体層を形成した。そして、この蛍光体層の上に、
ポリエチレン透明フィルムをポリエステル系接着剤を用
いて接着し、透明保護膜(厚み10μm)を形成し、増
感紙を作った。
【0044】実施例1の蛍光体を使用した増感紙は、比
較例1のホウ素元素を含有しない従来の蛍光体を使用し
た増感紙に比べて、感度が8%向上し、さらに、残光に
よる感光もなくなった。
【0045】[実施例2]下記の蛍光体原料を混合する
以外、実施例1と同様にして下記の組成式のX線蛍光体
を試作した。 Y0.9Cd0.050.05TaO3.975
【0046】酸化イットリウム…………60.97g ホウ酸…………………………1.85g 炭酸カドミウム………………5.17g 五酸化タンタル…………132.57g
【0047】[比較例2]蛍光体原料にホウ酸を添加せ
ず、組成式が下記の値になるように、蛍光体原料を混合
する以外、実施例1と同じようにしてX線蛍光体を製作
した。 Y0.95Cd0.05TaO3.975
【0048】実施例2で試作したX線蛍光体は、ホウ素
を含有しない比較例2のX線蛍光体に比較して、残光成
分が弱く、相対輝度が10%向上した。
【0049】さらに、実施例2と比較例2のX線蛍光体
を使用して実施例1と同じようにして、X線増感紙を試
作した。試作したX線増感紙の写真感度と相対鮮鋭度
を、実施例1の蛍光体と同じようにして測定した。その
結果、実施例2の蛍光体を使用したX線増感紙は、比較
例2の蛍光体を使用したX線増感紙に対して、感度が9
%向上し、残光特性も優れていることが確認された。
【0050】[実施例3]酸化イットリウム60.63
g、酸化ツリウム0.58g、炭酸カルシウム3.00
g、酸化ホウ素1.04g、五酸化タンタル132.5
7gを秤量し、その他の方法は実施例1と同様の方法で
製造し、下記の組成式のX線蛍光体を得た。 Y0.895Ca0.050.05TaO3.975:0.005Tm3+
【0051】[比較例3]蛍光体原料に酸化ホウ素を混
合せず、組成式が下記の値になるように、蛍光体原料を
調合する以外、実施例3と同じようにしてX線蛍光体を
製作した。 Y0.945Ca0.05TaO3.975:0.005Tm3+
【0052】実施例3で試作したX線蛍光体は、ホウ素
を含有しない比較例3のX線蛍光体に比較して、優れた
残光特性を示し、相対輝度が8%向上した。
【0053】さらに、実施例3と比較例3のX線蛍光体
を使用して実施例1と同じようにして、X線増感紙を試
作した。試作したX線増感紙は、実施例3の蛍光体を使
用したX線増感紙が、比較例3の蛍光体を使用したX線
増感紙に比較して、感度が8%向上した。
【0054】[実施例4]酸化イットリウム62.66
g、酸化ツリウム0.58g、炭酸バリウム5.92
g、酸化ホウ素0.42g、五酸化タンタル132.5
7gを秤量し、その他の方法は実施例1と同様の方法
で、下記の組成式のX線蛍光体を試作した。 Y0.925Ba0.050.02TaO3.975:0.005Tm3+
【0055】[比較例4]蛍光体原料に酸化ホウ素を混
合せず、組成式が下記の値になるように、蛍光体原料を
調合する以外、実施例4と同じようにしてX線蛍光体を
製作した。 Y0.945Ba0.05TaO3.975:0.005Tm3+
【0056】実施例4で試作したX線蛍光体は、ホウ素
を含有しない比較例4のX線蛍光体に比較して、優れた
残光特性を示し、相対輝度が7%向上した。
【0057】さらに、実施例4と比較例4のX線蛍光体
を使用して、実施例1と同じようにして、X線増感紙を
試作した。試作したX線増感紙は、実施例4の蛍光体を
使用したX線増感紙が、比較例4の蛍光体を使用したX
線増感紙に比較して、感度が6%向上した。
【0058】
【表1】
【0059】
【発明の効果】本発明のX線蛍光体は、二価金属に加え
て、ホウ素を正確な量で結晶構造に含ませるために、一
般式で示されるLnの添加量を、二価金属とホウ素の添
加量に相当して少なく調整している。蛍光体の製造工程
において、フラックスとしてホウ素を添加して焼成され
る蛍光体は開発されている。しかしながら、ホウ素をフ
ラックスに添加して焼成されたX線蛍光体は、結晶構造
に正確に調整された量でホウ素元素を含ませることがで
きない。それは、一般式でLnで示される、希土類元素
と、Ta及びNbの混合比率を、1:1モルの割合とす
るので、焼成工程において、蛍光体の結晶構造に、ホウ
素元素の入りやすい領域ができないからである。このた
め、ホウ素をフラックスとして添加して焼成された、Y
TaO4:Tm蛍光体は、好ましい発光特性を実現でき
ない。
【0060】これに対して、本発明のX線蛍光体は、ホ
ウ素を正確な添加量として結晶構造に含ませることがで
きるので、優れたX線吸収特性と発光効率を有すること
に加えて、顕著に改良された残光特性を示す。また、各
元素の含有量を特定の範囲に調整することにより、従来
の蛍光体に比べて高輝度の発光を実現できる。
【0061】このように、ホウ素を含有する本発明の蛍
光体は、発光効率が高く、このX線蛍光体を使用したX
線増感紙の写真感度は著しく向上する。さらに発光効率
の高い蛍光体は一定感度を得るのに蛍光体層の厚さを薄
くできるために鮮鋭度を高めることができ、しかも、こ
の蛍光体は、残光を極減し、残光による弊害を防止でき
る優れた特長も備える。したがって、本発明の蛍光体が
使用されたX線増感紙は残光によるノイズの少ない画質
の優れた画像を定常的に得ることができ、また、X線画
像の感度を向上させることも可能であり、被検者の被曝
線量が低減できる。
【0062】本発明の特徴を図1、図2を参照して詳述
する。図1において、曲線Aは、組成式Ln1-x-y-zy
zDO4-0.5y:xR3+において、LnがY、MがS
r、DがTa、y=0.05、z=0.05の場合、す
なわち、Y0.9Sr0.050.05TaO3.975なる蛍光体の
残光特性を示す。比較用として、z=0の場合、すなわ
ち、Y0.95Sr0.05TaO3.975なる蛍光体の残光特性
を曲線Bで示す。この図の縦軸は相対残光量(log
[一定時間経過後の発光量/X線刺激時の発光量])、
横軸は残光の減衰時間を示している。図1によれば、本
発明の方法で製造した蛍光体は、z=0とするY0.95
0.05TaO3.975の蛍光体に比べて、特に残光特性が
優れていることが明らかである。
【0063】次に、本発明の蛍光体Y0.95-zSr0.05
zTaO3.975において、Bの含有量が発光特性に及ぼす
影響を図2に基づいて説明する。この図の縦軸はX線刺
激で発光させた場合の明るさ(相対値)、横軸は蛍光体
中に含まれるホウ素量の値を示している。図2によれ
ば、上記組成式において、ホウ素を示すzの値が1×1
-3≦z≦1×10-1で発光効率の向上が顕著である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明と比較用のX線蛍光体の残光特性を示す
グラフ
【図2】ホウ素量を変化させたX線蛍光体の相対輝度を
示すグラフ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 湊 博之 徳島県阿南市上中町岡491番地100 日亜化 学工業株式会社内 (72)発明者 久積 行徳 徳島県阿南市上中町岡491番地100 日亜化 学工業株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の(1)の一般式で表されるX線で
    刺激されて発光するX線蛍光体であって、 LnMBDO4:R3+ (1) 蛍光体原料が、Dで示される元素1グラム原子に対し
    て、LnとMとRとBで示される元素の総量を1グラム
    原子とする比率で混合して焼成されて得られたことを特
    徴とするX線蛍光体。ただし、(1)の一般式におい
    て、 LnはY、Gd、La及びLuの少なくとも一種の元素
    であり、 MはBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cdの群よ
    り選ばれる少なくとも一種の二価金属であり、 Bはホウ素元素であり、 DはTa、Nbのいずれかまたは両方を含み、 R3+は付活剤であって、Tm、Gd、Ce、Pr、S
    m、Eu、Tb、 Dy及びYbまたは自己付活のいずれかであり、R3+
    MとBの含有量は、1グラム原子のDに対して、順番
    に、1×10-5〜3×10-1、1×10-5〜6×1
    -1、1×10-5〜5×10-1である。
  2. 【請求項2】 一般式におけるBが、蛍光体原料にホウ
    酸または酸化ホウ素の状態で添加され、Mが、炭酸塩ま
    たは酸化物の状態で添加して焼成されてなる請求項1に
    記載されるX線蛍光体。
  3. 【請求項3】 支持体と、この支持体上に設けられた蛍
    光体層とから構成されているX線増感紙であって、上記
    蛍光体層が、請求項1に記載されるX線蛍光体を含むこ
    とを特徴とするX線増感紙。
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