JP3820957B2 - 酸素導入希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体及び放射線画像変換パネル - Google Patents

酸素導入希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体及び放射線画像変換パネル Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は輝尽性蛍光体に関し、特に酸素導入希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体及びその輝尽性蛍光体を用いた放射線画像変換パネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
X線画像のような放射線画像は、病気診断用などの分野で多く用いられている。このX線画像を得る方法としては、被写体を通過したX線を蛍光体層(蛍光スクリーン)に照射し、これにより可視光を生じさせた後、この可視光を通常の写真を撮るときと同様にして、ハロゲン化銀写真感光材料(以下、単に感光材料ともいう)に照射し、次いで現像処理を施して可視銀画像を得る、いわゆる放射線写真方式が広く利用されている。
【0003】
しかしながら、近年では、ハロゲン化銀塩を有する感光材料による画像形成方法に代わり、蛍光体層から直接画像を取り出す新たな方法が提案されている。
【0004】
この方法としては被写体を透過した放射線を蛍光体に吸収せしめ、しかる後この蛍光体を例えば光又は熱エネルギーで励起することによりこの蛍光体が上記吸収により蓄積している放射線エネルギーを蛍光として放射せしめ、この蛍光を検出し画像化する方法がある。
【0005】
具体的には、例えば、米国特許第3,859,527号及び特開昭55−12144号公報などに記載されているような輝尽性蛍光体を用いる放射線画像変換方法が知られている。
【0006】
この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射線画像変換パネルを使用するもので、この放射線画像変換パネルの輝尽性蛍光体層に被写体を透過した放射線を当てて、被写体各部の放射線透過密度に対応する放射線エネルギーを蓄積させて、その後、輝尽性蛍光体を可視光線、赤外線などの電磁波(励起光)で時系列的に励起することにより、輝尽性蛍光体中に蓄積されている放射線エネルギーを輝尽発光として放出させ、この光の強弱による信号を、例えば、光電変換して、電気信号を得て、この信号をハロゲン化銀写真感光材料などの記録材料、CRTなどの表示装置上に可視像として再生するものである。
【0007】
上記の放射線画像の記録再生方法によれば、従来の放射線写真フィルムと増感紙との組合せによる放射線写真法と比較して、はるかに少ない被曝線量で、かつ情報量の豊富な放射線画像を得ることができるという利点を有している。
【0008】
このように輝尽性蛍光体は、放射線を照射した後、励起光を照射すると輝尽発光を示す蛍光体であるが、実用的には、波長が400〜900nmの範囲にある励起光によって、300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す蛍光体が一般的に利用される。
【0009】
これらの輝尽性蛍光体を使用した放射線画像変換パネルは、放射線画像情報を蓄積した後、励起光の走査によって蓄積エネルギーを放出するので、走査後に再度放射線画像の蓄積を行うことができ、繰り返し使用が可能である。つまり従来の放射線写真法では、一回の撮影ごとに放射線写真フィルムを消費するのに対して、この放射線画像変換方法では放射線画像変換パネルを繰り返し使用するので、資源保護、経済効率の面からも有利である。
【0010】
放射線変換パネルは、支持体とその表面に設けられた輝尽性蛍光体層、又は自己支持性の輝尽性蛍光体層のみからなり、輝尽性蛍光体層は通常輝尽性蛍光体とこれを分散支持する結合材からなるものと、蒸着法や焼結法によって形成される輝尽性蛍光体の凝集体のみから構成されるものがある。又、該凝集体の間隙に高分子物質が含浸されているものも知られている。更に、輝尽性蛍光体層の支持体側とは反対側の表面には通常、ポリマーフィルムや無機物の蒸着膜からなる保護膜が設けられる。
【0011】
放射線変換パネルに用いられる輝尽性蛍光体としては、特開昭55−12145号、同55−160078号、同56−74175号、同56−116777号、同57−23673号、同57−23675号、同58−206678号、同59−27289号、同59−27980号、同59−56479号、同59−56480号等に記載の希土類元素附活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体;特開昭59−75200号、同60−84381号、同60−106752号、同60−166379号、同60−221483号、同60−228592号、同60−228593号、同61−23679号、同61−120882号、同61−120883号、同61−120885号、同61−235486号、同61−235487号等に記載の2価のユーロピウム附活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体;特開昭55−12144号に記載の希土類元素附活オキシハライド蛍光体;特開昭58−69281号に記載のセリウム附活3価金属オキシハライド蛍光体;特開昭60−70484号に記載のビスマス附活アルカリ金属ハロゲン化物蛍光体;特開昭60−141783号、同60−157100号に記載の2価のユーロピウム附活アルカリ土類金属ハロ燐酸塩蛍光体;特開昭60−157099号に記載の2価のユーロピウム附活アルカリ土類金属ハロほう酸塩蛍光体;特開昭60−217354号に記載の2価のユーロピウム附活アルカリ土類金属水素化ハロゲン化物蛍光体;特開昭61−21173号、同21182号に記載のセリウム附活希土類複合ハロゲン化物蛍光体;特開昭61−40390号に記載のセリウム附活希土類ハロ燐酸塩蛍光体;特開昭60−78151号に記載の2価のユーロピウム附活ハロゲン化セリウム・ルビジウム蛍光体;特開昭60−78151号に記載の2価のユーロピウム附活複合ハロゲン化物蛍光体、等が挙げられ、中でも、沃素を含有する2価のユーロピウム附活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体、沃素を含有する希土類元素附活オキシハロゲン化物蛍光体及び沃素を含有するビスマス附活アルカリ金属ハロゲン化物蛍光体系蛍光体等の輝尽性蛍光体が知られているが、依然、高輝度の輝尽性蛍光体が求められている。また、輝尽性蛍光体を利用する放射線画像変換方法の利用が進むにつれて、得られる放射線画像の画質の向上、たとえば、鮮鋭度の向上や粒状性の向上が更に求められるようになってきた。先に記した、輝尽性蛍光体の製造方法は、固相法、あるいは焼結法と呼ばれる方法であり、焼成後の粉砕が必須であり、感度、画像性能に影響する粒子形状の制御が困難であるという問題を有していた。放射線画像の画質の向上の手段の中で、輝尽性蛍光体の微粒子化と微粒子化された輝尽性蛍光体の粒径を揃えること、即ち、粒径分布を狭くすることは有効である。
【0012】
特開平9−291278号、特開平7−233369号等で開示されている液相からの輝尽性蛍光体の製造法は、蛍光体原料溶液の濃度を調整して微粒子状の輝尽性蛍光体前駆体を得る方法であり、粒径分布の揃った輝尽性蛍光体粉末の製造法として有効である。しかし、正確な診断のために更なる高画質画像を得ることができる放射線変換パネル、ひいてはその放射線変換パネルを実現するための輝尽性蛍光体への要求が高まっている。特に被爆線量を減少させつつ、有効な画像を得るために、高輝度の輝尽性蛍光体への要求が高い。
【0013】
また、上述の放射線画像記録再生方法の実施において放射線画像変換パネル自体は、放射線の照射および励起光の照射によっても殆ど変質することがないため、長期間にわたって繰り返し使用することができる。通常、パネルに蓄積された放射線エネルギーの読出し操作は、励起光としてレーザー光を用い、先ずこのレーザー光でパネルを走査してパネル中の輝尽性蛍光体を時系列的に励起することにより蓄積されている放射線エネルギーを蛍光として放出させ、次いでこの蛍光を光検出器で検出することにより行われている。実際の使用においてはレーザー光による走査だけではパネルに蓄積された放射線エネルギーは充分に放出し尽されない。従って、次の記録に備えるためには、パネルに残存する放射線エネルギーを放出させ、以前の記録による像を消去(消去処理)しなければならない。この消去処理を効率よく行うことは撮影ひいては診断の迅速化につながるため、種々改善の試みがなされている。たとえば特開昭56−11192号公報に開示されているように、パネルの読出し後、蛍光体の輝尽発光の励起波長領域の光をパネルに照射して残存する放射線エネルギーを消去する方法が提案されている。しかしながら、同じ量の光の照射を受けても輝尽性蛍光体によって残存放射線エネルギーの消去され易さ(消去特性)は異なるため、一定量の光でより多くの残存放射線エネルギーの放出が可能な、即ち消去され易い蛍光体を得ることが切望されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、発光輝度が高く、且つ消去特性の優れた輝尽性蛍光体を得ることであり、更にはそれらの輝尽性蛍光体を用いた放射線画像変換パネルを得ることである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記本発明の課題は、以下の構成により解決することができた。
【0016】
1.前記一般式(1)で表わされる酸素導入希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体において、該輝尽性蛍光体中のリンの含有量が50ppm以下であることを特徴とする酸素導入希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体。
【0017】
2.前記酸素導入希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体の前駆体中のリン含有量が50ppm以下であることを特徴とする1に記載の酸素導入希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体。
【0018】
3.前記輝尽性蛍光体中のリンの含有量が30ppm以下であることを特徴とする1又は2に記載の酸素導入希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体。
【0019】
4.前記輝尽性蛍光体の前駆体中のリン含有量が30ppm以下であることを特徴とする1、2又は3に記載の酸素導入希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体。
【0020】
5.前記輝尽性蛍光体の前駆体が液相にて製造されていることを特徴とする1〜4の何れか1項に記載の酸素導入希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体。
【0021】
6.前記1〜5の何れか1項に記載の酸素導入希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体を含むことを特徴とする放射線画像変換パネル。
【0022】
即ち、本発明者らは上記課題を鑑みて鋭意検討を行った結果、高輝度かつ、消去特性の良好な輝尽性蛍光体を得るために輝尽性蛍光体中のりん濃度を制御する必要があることを見出し、本発明に至ったものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の酸素導入希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体の製造方法の代表的な態様を以下に詳しく説明する。
【0024】
本発明において輝尽性蛍光体は前記一般式(1)で示される組成を有しているが、この他、微量のアルミニウム、ケイ素を含むことも可能である。
【0025】
本発明においては、輝尽性蛍光体中のリンの濃度は50ppm以下であることが必要であり、好ましくは30ppm以下である。上記組成とするためには蛍光体前駆体中のリンの含有量を50ppm以下とすることが好ましく、より好ましくは蛍光体前駆体中のリンの量は30ppmであることが好ましい。リンの含有量をゼロとすることは困難であるが、出きるだけ少ない範囲とすることが好ましいことがわかった。リンの含有量を本発明の範囲とすることにより、よりよい画像及び消去特性を提供することができる。輝尽性蛍光体及び蛍光体前駆体中のリンの量を制御するためには原材料であるハロゲン化バリウム中のリン濃度を制御する方法などを挙げることができる。
【0026】
輝尽性蛍光体及び蛍光体前駆体中のリンの含有量は誘導結合プラズマ発光分光法(以下ICP−AESと呼ぶ)を用いることができる。検体は以下の方法にて溶液化することが好ましい。リンの含有量を測定しようとする輝尽性蛍光体あるいは輝尽性蛍光体前駆体を一定量はかり取り、塩酸にて加熱、乾燥を繰り返した後、塩酸と水にて残さを溶解し、定容とする。この液体中のリンの濃度を測定することにより、輝尽性蛍光体、輝尽性蛍光体前駆体中のリンの含有量を知ることができる。ICP−AES測定に関しては分析波長は213.618nm、出力は1.3kWが好ましく用いられ、検量線法により定量する事が好ましい。
【0027】
本発明における輝尽性蛍光体の製造方法は特開平9−291277号に記載された粉末原料を混合し、加熱するいわゆる固相法を用いることも可能であるが、液相法を用いることが蛍光体の粒径制御の点からみて好ましい。液相法による輝尽性蛍光体前駆体製造については、特開平10−140148号に記載された前駆体製造方法、特開平10−14777号に記載された前駆体製造装置が好ましく利用できる。ここで輝尽性蛍光体前駆体とは、一般式(1)の物質が600℃以上の高温を経ていない状態を示し、輝尽性蛍光体前駆体は、輝尽発光性や瞬時発光性をほとんど示さない。
【0028】
(製造法1)
最初に、水系媒体中を用いて弗素化合物以外の原料化合物を溶解させる。すなわち、BaI2とLnのハロゲン化物、そして必要により更にM2のハロゲン化物、そして更にM1のハロゲン化物を水系媒体中に入れ充分に混合し、溶解させて、それらが溶解した水溶液を調製する。ただし、BaI2濃度が2mol/L以上となるように、BaI2濃度と水系溶媒との量比を調整しておく。このとき、所望により、少量の酸、アンモニア、アルコール、水溶性高分子ポリマー、水不溶性金属酸化物微粒子粉体などを添加してもよい。この水溶液(反応母液)は50℃に維持される。
【0029】
次に、この50℃に維持され、撹拌されている水溶液に、無機弗化物(弗化アンモニウム、アルカリ金属の弗化物など)の水溶液をポンプ付きのパイプなどを用いて注入する。この注入は、撹拌が特に激しく実施されている領域部分に行なうのが好ましい。この無機弗化物水溶液の反応母液への注入によって、前記の一般式(1)に該当する希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体前駆体結晶が沈澱する。
【0030】
本発明の一般式(1)で表される酸素導入希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体は、前記のように、ハロゲン化アンモニウム(NH4BrまたはNH4ClまたはNH4I)とLnのハロゲン化物とを含み、そして上記一般式(1)のxが0でない場合には更にM2のハロゲン化物を、そしてyが0でない場合には更にM1のハロゲン化物を含み、それらが溶解した後のハロゲン化アンモニウム濃度が3mol/L以上の水溶液を調製する工程;この水溶液を50℃の温度に維持しながら、これに無機弗化物の水溶液とBaI2の水溶液とを前者の弗素と後者のBaとの比率を一定に維持しながら連続的もしくは間欠的に添加して希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体前駆体結晶の沈澱物を得る工程;この前駆体結晶沈澱物を水溶液から分離する工程;そして分離した前駆体結晶沈澱物を焼結を避けながら焼成する工程からなる製造法(製造法2)を利用しても製造することができる。
【0031】
次に、この製造法を詳しく説明する。
(製造法2)
まず、水系媒体中を用いてBaI2と弗素化合物とを除く原料化合物、そしてハロゲン化アンモニウム(NH4BrまたはNH4ClまたはNH4I)を溶解させる。すなわち、ハロゲン化アンモニウムとLnのハロゲン化物、そして必要により更にM2のハロゲン化物、そして更にM1のハロゲン化物を水系媒体中に入れ充分に混合し、溶解させて、それらが溶解した水溶液を調製する。ただし、ハロゲン化アンモニウムの濃度が3mol/L以上の範囲に入るように、ハロゲン化アンモニウムと水との量比を調整しておく。このとき、所望により、少量の酸、アンモニウム、アルコール、水溶性高分子ポリマー、水不溶性の金属酸化物微粒子粉体などを添加してもよい。この水溶液(反応母液)は50℃に維持される。次に、この50℃に維持され、撹拌されている水溶液に、無機弗化物(弗化アンモニウム、アルカリ金属の弗化物など)の水溶液とBaI2の水溶液とを同時に、無機弗化物の弗素と後者のBaI2との比率を一定に維持するように調節しながら連続的もしくは間欠的に、ポンプ付きのパイプなどを用いて注入する。この注入は、撹拌が特に激しく実施されている領域部分に行なうのが好ましい。このように、蛍光体結晶生成中にBaイオンが過剰にならないように配慮して反応を進行させることによって、前記一般式(1)に該当する希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体前駆体結晶が沈澱する。
【0032】
上記の2製法により輝尽性前駆体結晶を得ることができる。
次に、上記の蛍光体前駆体結晶を、濾過、遠心分離などによって溶液から分離し、メタノールなどによって充分に洗浄し、乾燥する。この乾燥蛍光体前駆体結晶に、アルミナ微粉末、シリカ微粉末などの焼結防止剤を添加、混合し、結晶表面に焼結防止剤微粉末を均一に付着させる。なお、焼成条件を選ぶことによって焼結防止剤の添加を省略することも可能である。次に、蛍光体前駆体の結晶を、石英ポート、アルミナルツボ、石英ルツボなどの耐熱性容器に充填し、電気炉の炉心に入れて焼結を避けながら焼成を行なう。焼成温度は400〜1300℃の範囲が適当であって、500〜1000℃の範囲が好ましい。焼成時間は蛍光体原料混合物の充填量、焼成温度および炉からの取出し温度などによっても異なるが、一般には0.5〜12時間が適当である。
【0033】
焼成雰囲気としては、窒素ガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気等の中性雰囲気、あるいは少量の水素ガスを含有する窒素ガス雰囲気、一酸化炭素を含有する二酸化炭素雰囲気などの弱還元性雰囲気が利用される。本発明においては弱還元性雰囲気下での焼成が好ましい。
【0034】
また、焼成時、焼成炉内を微量酸素導入雰囲気とすることで、輝尽性蛍光体中の酸素量を制御することが可能である。特開2000−8034に記載のある方法により焼成を行うことも可能である。
【0035】
尚、本発明に係る粒子(結晶)は平均粒径が1〜10μmで、かつ単分散性のものが好ましく、平均粒径が1〜5μm、平均粒径の分布(%)が20%以下のものがより好ましく、特に平均粒径が1〜3μm、平均粒径の分布が15%以下のものが好ましい。本発明における平均粒径とは、粒子(結晶)の電子顕微鏡写真より無作為に粒子200個を選び、球換算の体積粒子径で平均を求めたものである。
【0036】
本発明の放射線画像変換パネルにおいて用いられる支持体としては各種高分子材料、ガラス、金属等が用いられる。特に情報記録材料としての取り扱い上可撓性のあるシートあるいはウェブに加工できるものが好適であり、この点からいえばセルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルム、アルミニウム、鉄、銅、クロム等の金属シートあるいは該金属酸化物の被覆層を有する金属シートが好ましい。
【0037】
また、これら支持体の層厚は用いる支持体の材質等によって異なるが、一般的には80μm〜1000μmであり、取り扱い上の点から、さらに好ましくは80μm〜500μmである。
【0038】
これらの支持体の表面は滑面であってもよいし、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的でマット面としてもよい。さらに、これら支持体は、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的で輝尽性蛍光体層が設けられる面に下引層を設本発明に係る下引層では、架橋剤により架橋できる高分子樹脂と架橋剤とを含有していることが好ましい。
【0039】
下引層で用いることのできる高分子樹脂としては、特に制限はないが、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。なかでもポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体、ポリビニールブチラール、ニトロセルロース等を挙げることができ、請求項2に係る発明では、下引層で用いる高分子樹脂の平均ガラス転移点温度(Tg)が25℃以上であることが特徴の1つであり、好ましくは25〜200℃のTgを有する高分子樹脂を用いることである。
【0040】
本発明に係る下引層で用いることのできる架橋剤としては、特に制限はなく、例えば、多官能イソシアネート及びその誘導体、メラミン及びその誘導体、アミノ樹脂及びその誘導体等を挙げることができるが、架橋剤として多官能イソシアネート化合物を用いることが好ましく、例えば、日本ポリウレタン社製のコロネートHX、コロネート3041等が挙げられる。
【0041】
本発明に係る下引層は、例えば、以下に示す方法により支持体上に形成することができる。
【0042】
まず、上記記載の高分子樹脂と架橋剤を適当な溶剤、例えば後述の輝尽性蛍光層塗布液の調製で用いる溶剤に添加し、これを充分に混合して下引層塗布液を調製する。
【0043】
架橋剤の使用量は、目的とする放射線画像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体層及び支持体に用いる材料の種類、下引層で用いる高分子樹脂の種類等により異なるが、輝尽性蛍光体層の支持体に対する接着強度の維持を考慮すれば、高分子樹脂に対して、50質量%以下の比率で添加することが好ましく、特には、15〜50質量%であることが好ましい。
【0044】
下引層の膜厚は、目的とする放射線画像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体層及び支持体に用いる材料の種類、下引層で用いる高分子樹脂及び架橋剤の種類等により異なるが、一般には3〜50μmであることが好ましく、特には、5〜40μmであることが好ましい。
けてもよい。
【0045】
本発明に係る下引層では、架橋剤により架橋できる高分子樹脂と架橋剤とを含有していることが好ましい。
【0046】
下引層で用いることのできる高分子樹脂としては、特に制限はないが、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。なかでもポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体、ポリビニールブチラール、ニトロセルロース等を挙げることができ、請求項2に係る発明では、下引層で用いる高分子樹脂の平均ガラス転移点温度(Tg)が25℃以上であることが特徴の1つであり、好ましくは25〜200℃のTgを有する高分子樹脂を用いることである。
【0047】
本発明に係る下引層で用いることのできる架橋剤としては、特に制限はなく、例えば、多官能イソシアネート及びその誘導体、メラミン及びその誘導体、アミノ樹脂及びその誘導体等を挙げることができるが、架橋剤として多官能イソシアネート化合物を用いることが好ましく、例えば、日本ポリウレタン社製のコロネートHX、コロネート3041等が挙げられる。
【0048】
本発明に係る下引層は、例えば、以下に示す方法により支持体上に形成することができる。
【0049】
まず、上記記載の高分子樹脂と架橋剤を適当な溶剤、例えば後述の輝尽性蛍光層塗布液の調製で用いる溶剤に添加し、これを充分に混合して下引層塗布液を調製する。
【0050】
架橋剤の使用量は、目的とする放射線画像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体層及び支持体に用いる材料の種類、下引層で用いる高分子樹脂の種類等により異なるが、輝尽性蛍光体層の支持体に対する接着強度の維持を考慮すれば、高分子樹脂に対して、50質量%以下の比率で添加することが好ましく、特には、15〜50質量%であることが好ましい。
【0051】
下引層の膜厚は、目的とする放射線画像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体層及び支持体に用いる材料の種類、下引層で用いる高分子樹脂及び架橋剤の種類等により異なるが、一般には3〜50μmであることが好ましく、特には、5〜40μmであることが好ましい。
【0052】
本発明において輝尽性蛍光体層に用いられる結合剤の例としては、ゼラチン等の蛋白質、デキストラン等のポリサッカライド、またはアラビアゴムのような天然高分子物質;および、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ビニリデン・塩化ビニルコポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリレート、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアルコール、線状ポリエステルなどのような合成高分子物質などにより代表される結合剤を挙げることができる。このような結合剤の中で特に好ましいものは、ニトロセルロース、線状ポリエステル、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ニトロセルロースと線状ポリエステルとの混合物、ニトロセルロースとポリアルキル(メタ)アクリレートとの混合物およびポリウレタンとポリビニルブチラールとの混合物である。なお、これらの結合剤は架橋剤によって架橋されたものであってもよい。
【0053】
輝尽性蛍光体層は、例えば、次のような方法により下引層上に形成することができる。まず、ヨウ素含有輝尽性蛍光体、上記黄変防止のための亜燐酸エステル等の化合物および結合剤を適当な溶剤に添加し、これらを充分に混合して結合剤溶液中に蛍光体粒子および該化合物の粒子が均一に分散した塗布液を調製する。
【0054】
本発明に用いられる結着剤としては、例えばゼラチンの如き蛋白質、デキストランの如きポリサッカライドまたはアラビアゴム、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ビニルデン・塩化ビニルコポリマー、ポリメチルメタクリレート、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアルコール等のような通常層構成に用いられる造膜性の結着剤が使用される。一般に結着剤は輝尽性蛍光体1質量部に対して0.01乃至1質量部の範囲で使用される。しかしながら得られる放射線画像変換パネルの感度と鮮鋭性の点では結着剤は少ない方が好ましく、塗布の容易さとの兼合いから0.03乃至0.2質量部の範囲がより好ましい。
【0055】
塗布液における結合剤と輝尽性蛍光体との混合比(ただし、結合剤全部がエポキシ基含有化合物である場合には該化合物と蛍光体との比率に等しい)は、目的とする放射線画像変換パネルの特性、蛍光体の種類、エポキシ基含有化合物の添加量などによって異なるが、一般には結合塗布液調製用の溶剤の例としては、メタノール、エノタール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノールなどの低級アルコール;メチレンクロライド、エチレンクロライドなどの塩素原子含有炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル;ジオキサン、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル;トルエン;そして、それらの混合物を挙げることができる。
【0056】
なお、塗布液には、該塗布液中における蛍光体の分散性を向上させるための分散剤、また、形成後の輝尽性蛍光体層中における結合剤と蛍光体との間の結合力を向上させるための可塑剤などの種々の添加剤が混合されていてもよい。そのような目的に用いられる分散剤の例としては、フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などを挙げることができる。そして可塑剤の例としては、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸ジフェニルなどの燐酸エステル;フタル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチル等のフタル酸エステル;グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタリルブチルなどのグリコール酸エステル;そして、トリエチレングリコールとアジピン酸とのポリエステル、ジエチレングリコールとコハク酸とのポリエステルなどのポリエチレングリコールと脂肪族二塩基酸とのポリエステルなどを挙げることができる。
【0057】
上記のようにして調製された塗布液を、次に下引層の表面に均一に塗布することにより塗布液の塗膜を形成する。この塗布操作は、通常の塗布手段、例えば、ドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーターなどを用いることにより行なうことができる。
【0058】
次いで、形成された塗膜を徐々に加熱することにより乾燥して、下引層上への輝尽性蛍光体層の形成を完了する。輝尽性蛍光体層の層厚は、目的とする放射線画像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体の種類、結合剤と蛍光体との混合比などによって異なるが、通常は20μm乃至1mmとする。ただし、この層厚は50乃至500μmとするのが好ましい。
【0059】
輝尽性蛍光体層用塗布液の調製は、ボールミル、サンドミル、アトライター、三本ロールミル、高速インペラー分散機、Kadyミル、および超音波分散機などの分散装置を用いて行なわれる。調製された塗布液をドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーターなどの塗布液を用いて支持体上に塗布し、乾燥することにより輝尽性蛍光体層が形成される。前記塗布液を保護層上に塗布し、乾燥した後に輝尽性蛍光体層と支持体とを接着してもよい。
【0060】
本発明の放射線画像変換パネルの輝尽性蛍光体層の膜厚は目的とする放射線画像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体の種類、結着剤と輝尽性蛍光体との混合比等によって異なるが、10μm〜1000μmの範囲から選ばれるのが好ましく、10μm〜500μmの範囲から選ばれるのがより好ましい。
【0061】
以上、ユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム等の輝尽性蛍光体の例について主に説明したが、ユーロピウム付活弗化臭化バリウムその他の一般式(1)で表される輝尽性蛍光体の製造についても、上記を参照すればよい。
【0062】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を例証する。
【0063】
実施例1
(蛍光体前駆体、蛍光体の調製)
ユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、BaI2水溶液(4mol/L)2500mlとEuI3水溶液(0.2mol/L)26.5mlを反応器に入れた。尚ここで使用したBaI2中のリンの含有率は50ppmであった。更に、水溶液中に6mol/LのHNO3を72.9ml添加した。この反応器中の反応母液を撹拌しながら83℃で保温した。弗化アンモニウム水溶液(8mol/L)322mlを反応母液中にローラーポンプを用いて注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温燒結により粒子形状の変化、粒子間融着による粒子サイズ分布の変化を防止するために、アルミナの超微粒子粉体を1質量%添加し、ミキサーで充分撹拌して、結晶表面にアルミナの超微粒子粉体を均一に付着させた。これを石英ボートに充填して、チューブ炉を用いて水素ガス雰囲気中、850℃で2時間焼成してユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム蛍光体粒子を得た。次に上記蛍光体粒子を分級することにより平均粒径5μmの粒子を得た。尚、輝尽性蛍光体の平均粒径は走査型電子顕微鏡写真より計測した。
【0064】
《放射線画像変換パネルの作製》
〔下引層の形成〕
以下に記載の下引層塗布液を、ドクターブレードを用いて、厚さ188μmの発泡ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製 188E60L)に塗布し、100℃で5分間乾燥させて、乾燥膜厚30μmの下引層を塗設した。
【0065】
(下引層塗布液)
ポリエステル樹脂溶解品(東洋紡社製 バイロン55SS、固形分35%)288.2gに、β−銅フタロシアニン分散品0.34g(固形分35%、顔料分30%)及び硬化剤としてポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業社製 コロネートHX)11.22gを混ぜ、プロペラミキサーで分散して下引層塗布液を調製した。
【0066】
〔蛍光体層の形成〕
(蛍光体層塗布液の調製)
上記調製したユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム蛍光体粒子300gと、ポリエステル樹脂(東洋紡社製 バイロン530、固形分30%、溶剤:メチルエチルケトン/トルエン=5/5)52.63gとを、メチルエチルケトン0.13g、トルエン0.13g及びシクロヘキサノン41.84gの混合溶剤に添加、プロペラミキサーによって分散して蛍光体層塗布液を調製した。なお、蛍光体層塗布液中におけるシクロヘキサンの溶剤比率は、53質量%である。
【0067】
(蛍光体層1の形成、蛍光体シート1の作製)
上記調製した蛍光体層塗布液を、ドクターブレードを用いて、上記形成した下引層上に、膜厚が180μmとなるように塗布したのち、100℃で15分間乾燥させて蛍光体層1を形成して、蛍光体シート1を作製した。
【0068】
〔防湿性保護フィルムの作製〕
上記作製した蛍光体シート1の蛍光体層塗設面側の保護フィルムとして下記構成(A)のものを使用した。
【0069】
構成(A)
NY15///VMPET12///VMPET12///PET12///CPP20
NY:ナイロン
PET:ポリエチレンテレフタレート
CPP:キャステングポリプロピレン
VMPET:アルミナ蒸着PET(市販品:東洋メタライジング社製)
各樹脂フィルムの後ろに記載の数字は、樹脂層の膜厚(μm)を示す。
【0070】
上記「///」は、ドライラミネーション接着層で、該接着層の厚みが3.0μmであることを意味する。使用したドライラミネーション用の接着剤は、2液反応型のウレタン系接着剤を用いた。
【0071】
また、蛍光体シート1の支持体裏面側の保護フィルムは、CPP30μm/アルミフィルム9μm/ポリエチレンテレフタレート188μmの構成のドライラミネートフィルムとした。また、この場合の接着剤層の厚みは1.5μmで2液反応型のウレタン系接着剤を使用した。
【0072】
〔放射線画像変換パネルの作製〕
前記作製した蛍光体シート1を、各々一辺が20cmの正方形に断裁した後、上記作製した防湿性保護フィルムを用いて、減圧下で周縁部をインパルスシーラーを用いて融着、封止して、放射線画像変換パネルを作製した。尚、融着部から蛍光体シート周縁部までの距離は1mmとなるように融着した。融着に使用したインパルスシーラーのヒーターは3mm幅のものを使用した。
【0073】
実施例2
実施例1においてリン含有率50ppmのBaI2の代わりにリン含有率35ppmのBaI2を用いたこと以外は実施例1と同様にして輝尽性蛍光体粒子及び放射線画像変換パネルを得た。
【0074】
実施例3
実施例1においてリン含有率50ppmのBaI2の代わりにリン含有21ppmのBaI2を用いたこと以外は実施例1と同様にして輝尽性蛍光体粒子及び放射線画像変換パネルを得た。
【0075】
実施例4
実施例1においてリン含有率50ppmのBaI2の代わりにリン含有率10ppmのBaI2を用いたこと以外は実施例1と同様にして輝尽性蛍光体粒子及び放射線画像変換パネルを得た。
【0076】
実施例5
BaF2の粉体175.3g、実施例1で用いたBaI2の粉体391.1g、EuF3の粉体0.418g、Ba(NO32の粉体9.97gを秤量し、自動乳鉢で10分間粉砕混合した。これを石英ボートに充填して、チューブ炉を用いて水素ガス雰囲気中、850℃で2時間焼成してユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム蛍光体粒子を得た。次に上記蛍光体粒子を粉砕、分級することにより平均粒径5μmの粒子を得た。実施例1に記載の方法により放射線画像変換パネルを得た。
【0077】
比較例1
実施例1においてリン含有率50ppmのBaI2の代わりにリン含有率72ppmのBaI2を用いたこと以外は実施例1と同様にして輝尽性蛍光体粒子及び放射線画像変換パネルを得た。
【0078】
比較例2
実施例1においてリン含有率50ppmのBaI2の代わりにリン含有率85ppmのBaI2を用いたこと以外は実施例1と同様にして輝尽性蛍光体粒子及び放射線画像変換パネルを得た。
【0079】
比較例3
実施例5において比較例1のBaI2を用いたこと以外は実施例5と同様にして輝尽性蛍光体粒子及び放射線画像変換パネルを得た。
【0080】
(輝尽性蛍光体中のリンの濃度の評価)
輝尽性蛍光体中のリンの濃度の評価は以下の方法にて行った。
【0081】
試料2gを100mlテフロン(R)製の加熱が可能なビーカーに入れ、塩酸(関東化学社製ELグレード)を20ml加え、加熱をおこない、水分がなくなるまで乾燥した。さらに塩酸添加及び加熱乾燥を2回繰り返した。
【0082】
次に上記の塩酸を5ml及び超純水を用いて試料を溶解し全体を50mlとした。得られた溶液をICP発光分析装置(セイコー電子社製、SPS4000)を使用して分析をおこなった。分析波長および出力は213.618nm、出力1.3kWを用いた。
【0083】
標準液には原子吸光分析用試薬(関東化学社製)を用いて検量線法によりリン含有量を求めた。
【0084】
(放射線画像変換パネルの評価)
各放射線画像変換パネルについて、以下に示す方法に従って輝度の測定を行った。
【0085】
各放射線画像変換パネルについて、管電圧80kVpのX線を蛍光体シート支持体の裏面側から照射した後、パネルをHe−Neレーザー光(633nm)で操作して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を受光器(分光感度S−5の光電子像倍管)で受光して、その強度を測定して、これを輝度と定義し、放射線変換パネル1の輝度を100とした、相対値で表示した。
【0086】
消去特性
消去特性の評価は、以下の方法によって行った。
【0087】
各放射線画像変換パネルに管電圧80kVpのX線を100mR照射した後、照射エネルギー4.3J/m2の半導体レーザー光(波長:660nm)を照射し、励起させ、蛍光体粒子から放射された輝尽発光光を光学フィルター(B−410)を通して光電子像倍管で受光することにより初期輝尽発光量を測定した。続いて、UVカットフィルターが装着された白色蛍光灯を用いて、5000luxで70秒間照射することにより消去操作を行った。消去操作後の各蛍光体粒子について、それぞれ初期輝尽発光量の測定と同様にして消去後の輝尽発光量を測定した。消去特性は、以下の式により得られる消去値により評価した。消去値の値が小さいほど消去特性が良好であることを示す。
【0088】
消去値=(消去後の輝尽発光量/初期輝尽発光量)
結果を下記表1にまとめて示す。
【0089】
【表1】
Figure 0003820957
【0090】
リン含有量を本発明の範囲とすることにより、発光輝度が高く、消去特性の良好な輝尽性蛍光体を用いた放射線画像変換パネルを得ることができた。
【0091】
【発明の効果】
輝尽性蛍光体中のリンの含有量を特定の低い範囲とすることにより、発光輝度が高く、且つ消去特性の優れた放射線画像変換パネルを得ることができた。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表わされる酸素導入希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体において、該輝尽性蛍光体中のリンの含有量が50ppm以下であることを特徴とする酸素導入希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体。
    一般式(1) Ba(1-x)2 xFBry(1-y):aM1,bLn,cO
    〔式中、M1:Li,Na,K,Rb,Csからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属、
    2:Be,Mg,Sr及びCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属、
    Ln:Ce,Pr,Sm,Eu,Gd,Tb,Tm,Dy,Ho,Nd,Er及びYbからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素、
    x,y,a,b及びcは、それぞれ0≦x≦0.3,0<y≦0.3,0≦a≦0.05,0<b≦0.2,0<c≦0.1を表す。〕
  2. 前記酸素導入希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体の前駆体中のリン含有量が50ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載の酸素導入希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体。
  3. 前記輝尽性蛍光体中のリンの含有量が30ppm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の酸素導入希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体。
  4. 前記輝尽性蛍光体の前駆体中のリン含有量が30ppm以下であることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の酸素導入希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体。
  5. 前記輝尽性蛍光体の前駆体が液相にて製造されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の酸素導入希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の酸素導入希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体を含むことを特徴とする放射線画像変換パネル。
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