JP3705021B2 - 輝尽性蛍光体の製造方法及び放射線像変換パネル - Google Patents

輝尽性蛍光体の製造方法及び放射線像変換パネル Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は輝尽性蛍光体の製造方法及び放射線像変換パネルに関し、特に輝度、鮮鋭性及び安定性に優れた輝尽性蛍光体の製造方法及び放射線像変換パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の放射線写真法に替わる有効な手段として、特開昭55−12145号等に記載の輝尽性蛍光体を用いる放射線像記録再生方法が知られている。
【0003】
この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射線像変換パネル(以下、単にパネルとも云う)を利用するもので、被写体を透過或いは被写体から発せられた放射線を前記パネルの輝尽性蛍光体に吸収させ、その後、輝尽性蛍光体を可視光線、赤外線などの電磁波(輝尽励起光)で時系列的に励起することにより、前記輝尽性蛍光体に蓄積されている放射線エネルギーを輝尽発光として放出させ、この輝尽発光を電気的に読み取り、得られた電気信号に基づいて被写体或いは被検体の放射線像を可視像として再生して診断又は検査に供するものである。一方、読み取りを終えた前記パネルは、残存する画像の消去が行われた後、次の撮影に供せられる。
【0004】
この方法によれば、放射線写真フィルムと増感紙とを組み合わせて用いる放射線写真法に比して、はるかに少ない被爆線量で情報量の豊富な放射線画像が得られる利点がある。また、放射線写真法では撮影ごとにフィルムを消費するのに対して、放射線パネルは繰り返し使用されるので、資源保護や経済効果の面からも有利である。
【0005】
放射線像変換パネルは、支持体とその表面に設けられた輝尽性蛍光体層又は自己支持性の輝尽性蛍光体層のみからなり、輝尽性蛍光体層は通常輝尽性蛍光体とこれを分散支持する結合剤からなるものと、蒸着法や焼結法によって形成される輝尽性蛍光体の凝集体のみから構成されるものがある。また、該凝集体の間隙に高分子物質が含浸されているものも知られている。さらに、輝尽性蛍光体層の支持体側とは反対側の表面には通常、ポリマーフィルムや無機物の蒸着膜からなる保護層膜が設けられる。
【0006】
輝尽性蛍光体としては、波長400〜900nmの範囲にある励起光によって波長300〜500の範囲にある輝尽発光を示すものが一般的に使用され、特開昭55−12145号、同55−160078号、同56−74175号、同56−116777号、同57−23673号、同57−23675号、同58−206678号、同59−27289号、同59−27980号、同59−56479号、同59−56480号等に記載の希土類元素付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体;
特開昭59−75200号、同60−84381号、同60−106752号、同60−166379号、同60−221483号、同60−228592号、同60−228593号、同61−23679号、同61−120882号、同61−120883号、同61−120885号、同61−235486号、同61−235487号等に記載の2価のユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体;
特開昭59−12144号に記載の希土類元素付活オキシハライド蛍光体;特開昭58−69281号に記載のセリウム付活3価金属オキシハライド蛍光体;特開昭60−70484号に記載のビスマス付活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体;特開昭60−141783号、同60−157100号に記載の2価のユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロ燐酸塩蛍光体;
特開昭60−157099号に記載の2価のユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロ硼酸塩蛍光体;
特開昭60−217354号に記載の2価のユーロピウム付活アルカリ土類金属水素化ハロゲン化物蛍光体;
特開昭61−21173号、同61−21182号に記載のセリウム付活希土類複合ハロゲン化物蛍光体;
特開昭61−40390号に記載のセリウム付活希土類ハロ燐酸塩蛍光体; 特開昭60−78151号に記載の2価のユーロピウム付活ハロゲン化セリウム・ルビジウム蛍光体;
特開昭60−78153号に記載の2価のユーロピウム付活ハロゲン蛍光体;特開平7−233369号に記載の液相から析出させた14面体希土類金属付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体等が挙げられ、なかでも、前記、特開平7−233369号に開示されているBaFX:Eu2+で表される14面体の結晶形を有する輝尽性蛍光体は鮮鋭性は優れているが輝度が低いという欠点があった。更に、14面体で形成されたものはF/X比率が高いために、像形成後の安定性及び耐湿性が悪いという欠点があった。
【0007】
また、BaFX:Eu2+輝尽性蛍光体では、F/X>1で形成されたBaFX:Eu2+輝尽性蛍光体はFリッチのため耐湿性で優れるが、Xの脱離したトラップが多く形成されるため像形成後の安定性が悪くなる。F/X<1で形成されたBaFX:Eu2+輝尽性蛍光体はXリッチのため、Fの脱離したトラップが多く形成されるためエネルギー準位が高く、像形成後の安定性は良いが耐湿性が劣る欠点がある。
【0008】
特開平7−233369号に開示されているBaFX:Eu2+の14面体結晶は、晶析時、結晶表面ではF≒Xであるが、焼成によってXが脱離して像形成後の安定性が悪くなる。このため、BaFX晶析後、BaX2を混ぜて焼成する試みもなされているが、確かに像形成後の安定性は改善されるが、X量が表面に多くなり耐湿性が劣ってしまう。
【0009】
従って、像形成後の安定性及び耐湿性に優れ、輝度、鮮鋭性に優れた輝尽性蛍光体、製造方法及びそれを用いた放射線像変換パネルが強く望まれていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、輝度及び鮮鋭性に優れ像形成後の安定性及び耐湿性に優れた輝尽性蛍光体の製造方法及び放射線像変換パネルを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、溶液中で晶析を行うことで、晶析時に形成されたBaFX:Eu2+前駆体中のF濃度を高くすることによって輝尽性蛍光体表面にF濃度を高めることで前記問題点を解決し得ることを見出し本発明に至った。
【0012】
上記課題は、下記により達成される。
【0013】
1.支持体上に輝尽性蛍光体層、保護層を有する放射線像変換パネルにおいて、前記輝尽性蛍光体層が1〜3体積%のBaF 2 を含有する下記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体を含有することを特徴とする放射線像変換パネル
【0014】
一般式(1)
BaFX:Eu2+
式中、Xは沃素原子、臭素原子又は塩素原子から選ばれる少なくとも1種の原子を表す。
【0015】
2.前記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体がX/Ba≦0.975であることを特徴とする前記1記載の輝尽性蛍光体。
【0016】
3.前記1又は2記載の輝尽性蛍光体の前駆体を3.0モル/リットル以上の沃化バリウム濃度で晶析することを特徴とする輝尽性蛍光体の製造方法。
【0017】
4.前記3記載の製造方法により得られた輝尽性蛍光体を用いたことを特徴とする放射線像変換パネル。
【0018】
以下、本発明を詳述する。
【0019】
本発明の一般式(1)で表される輝尽性蛍光体のBaF2の含有量は1〜3%である。BaF2の含有量が10%以上では輝尽性蛍光体の輝度、鮮鋭度が低く、1%以下では鮮鋭度が低下する。
【0020】
本発明の一般式(1)で表される輝尽性蛍光体がX/Ba≦0.975であることを特徴とするが、X/Baの値は、輝尽性蛍光体を硝酸で抽出し、ICP−MSで測定した値であり、この値がX/Ba≦0.975の場合安定性及び耐湿性が劣化する。
【0021】
本発明のBaF2を含有する輝尽性蛍光体の結晶構造は球形又は多面体でありことが好ましく、さらに好ましくは球形である。輝尽性蛍光体が球形または多面体であれば、充填率が向上し感度及び解像性が向上する。
【0022】
また、輝尽性蛍光体の粒径は0.1〜10μm以下で、より好ましくは0.5〜5.0μmである。
【0023】
なお、本発明において、輝尽性蛍光体は単分散性であることが好ましく、標準偏差を平均粒径で割って100を掛けた変動係数が20%以下、更に好ましくは15%以下である。ここで、平均粒径は、粒子の顕微鏡写真より無作為に選んだ200個について、球の体積に換算した体積粒子径で求めた平均値とする。
【0024】
本発明のBaF2を含有する輝尽性蛍光体に用いられる輝尽性蛍光体としては、ユーロピウム賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体が挙げられる。
【0025】
本発明のBaF2を含有するユーロピウム賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体は、溶媒中で弗素化合物以外の原料化合物BaI2を溶解し、それにBaF2、EuF2を加えた水溶液を用いて調製するが、BaI2濃度が3.0モル/リットル以下では、BaF2濃度が上昇し、BaFI濃度が低下するため平均粒径が低下し、輝度の低下を生ずる。
【0026】
以下に、本発明のユーロピウム賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0027】
1、BaFBr:Eu2+
2、BaFBr:Eu2+
3、BaFI:Eu2+
4、BaFI:Eu2+
5、BaFCl:Eu2+
6、BaFCl:Eu2+
《輝尽性蛍光体BaFX:Eu2+の製造》
(製造法)
以下の工程を有する。
【0028】
1.BaX(ただし、Xは沃素原子、臭素原子又は塩素原子から選ばれる少なくとも1種)の2水塩の3.2モル/リットル水溶液を調製し、この水溶液に沃化ユーロピウムを2/1000モル添加調製する工程
2.上記水溶液を50℃、好ましくは80℃に調整し、この温度を維持しながら、これに5モル/リットルの無機弗化物(弗化アンモニウム又はアルカリ金属の弗化物)の水溶液を添加して希土類付活バリウム弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体(BaFX:Eu2+)の前駆体結晶の沈殿物を得る工程、及び
3.上記前駆体結晶沈殿物を水溶液から分離する工程
4.分離した前駆体結晶沈殿物を焼結を避けながら焼成し、BaFX:Eu2+を得る工程
を含む製造方法。
【0029】
以下、更に詳細に述べる。
【0030】
最初に、水系溶媒を用いて弗素化合物以外の原料化合物を溶解させる。即ち、BaX2とユーロピウムのハロゲン化物をBaX2の濃度が3.0モル/リットル以上となる量の水系溶媒中で十分に混合、溶解し水溶液を調製する。このとき少量の酸、アンモニア、アルコール、水溶性ポリマー、水不溶性金属酸化物微粒子粉体等を添加してもよい。この水溶液(反応母液)を一定の温度に維持する。
【0031】
次いで、一定の温度に維持されて攪拌されている該水溶液に、無機弗化物(NH4F)の水溶液をローラーポンプ等を用いて注入する。この注入は特に激しく攪拌されている領域に行うのが好ましい。この無機弗化物の注入により、前記一般式(1)で表される希土類付活バリウム弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体の前駆体(BaFX:Eu3+)結晶の沈殿物を得る。
【0032】
次に、上記輝尽性蛍光体の前駆体結晶を濾過、遠心分離等によって溶液から分離し、メタノール等により充分洗浄し、乾燥する。
【0033】
乾燥した輝尽性蛍光体の前駆体結晶にアルミナ微粉末、シリカ微粉末等の焼結防止剤を添加混合し、結晶表に焼結防止剤微粉末を均一に付着させる。なお、焼成条件を選ぶことによって焼結防止剤を用いないこともできる。
【0034】
次いで、輝尽性蛍光体の前駆体結晶を石英ボート、アルミナ坩堝、石英坩堝等の耐熱性容器に充填し、電気炉の炉心に入れて焼結を避けながら焼成を行う。焼成温度は750〜900℃程度、800〜850℃が好ましい。焼成時間は輝尽性蛍光体原料混合物の充填量、焼成温度及び炉からの取り出し温度等によって異なるが、一般には1〜12時間が適当である。焼成雰囲気としては、窒素ガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気等の中性雰囲気或いは少量の水素ガスを含有する窒素ガス雰囲気、一酸化炭素を含有する二酸化炭素雰囲気等の弱還元性雰囲気、或いは微量酸素導入雰囲気を利用できる。
【0035】
焼成過程において、結晶内に存在する付活剤の還元が起こり、発光中心が生成する、例えば、母体結晶にバリウム弗化物を用い、付活剤としてEuを添加した場合、結晶内でEu3++e-→Eu2+の還元反応が生じ、このEu2+が発光中心となる。
【0036】
上記の焼成条件で処理することにより、付活剤の還元量及び存在位置の最適化がなされ、この輝尽性蛍光体を用いた放射線像変換パネルの優れた特性が達成できる。即ち、上記の条件で焼成した輝尽性蛍光体は(102)面に対して(004)面の回折強度の増加が40%以上となる。このことは、バリウム弗化ハロゲン化物の単位格子のC軸に垂直な面に対して結晶成長することを意味し、この焼成により母体の結晶構造を壊さずに適切な付活剤の還元が可能となる。なお、母体結晶のハロゲンがBr又はClでも同様であり、この焼成によって目的の希土類付活バリウム弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体(BaFX:Eu2+)が得られる。
【0037】
上記の製造法において、Euのハロゲン化物の添加時期は問わず、添加開始時に予め反応母液等にあってもよく、また無機弗化物水溶液の添加時間及び無機弗化物水溶液とBaX水溶液の添加時に同時又は後で添加してもよい。
【0038】
《放射線像変換パネル》
本発明の放射線像変換パネルの支持体は、各種高分子材料、硝子、金属等が用いられる。特に可撓性のシート或いはウエーブに加工できるものが好ましい。例えばセルロースアセテート、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、トリアセテート、ポリカーボネート等のプラスチックフィルム、アルミニウム、鉄、銅、クロム等の金属シート、或いは該金属酸化物、金属硫化物の被服層を有する金属シートが好ましい。
【0039】
支持体の厚さは材料にもよるが、80〜1000μm程度、更には80〜500μmが取り扱いの点から好ましい、また、支持体表面は滑面でもよし、輝尽性蛍光体との接着性を向上させる目的でマット面としてもよい。更に、接着性の向上のために、輝尽性蛍光体層を設けられる面に下引層を設けてもよい。
【0040】
輝尽性蛍光体層を分散する結合剤の例としては、ゼラチン等の蛋白質、デキストリン等のポリサッカライド、アラビアゴム等の天然高分子物質、ポリビニールブチラール、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ビニリデン、塩化ビニルコポリマー、ポリアクリル(メタ)アクリレート、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアルコール、線状ポリエステル等のような合成高分子物質を挙げることができ、特に好ましいものとしては、ニトロセルロース、線状ポリエステル、ポリアクリル(メタ)アクリレート、線状ポリエステルとニトロセルロースの混合物、ニトロセルロースとポリアクリル(メタ)アクリレートの混合物及びポリウレタンとポリビニールブチラールの混合物である。これらの結合剤が架橋剤によって架橋されていてもよい。
【0041】
結合剤は一般に輝尽性蛍光体1重量部に対して0.01〜1重量部で用いられるが、輝度と鮮鋭性の点から少ない方が好ましく、塗布の容易さとの兼ね合いから0.03〜0.2重量部で用いるのが好ましい。
【0042】
《輝尽性蛍光体層》
輝尽性蛍光体層は次のような方法によって形成する。
【0043】
輝尽性蛍光体、必要に応じて黄変防止のための亞燐酸エステル等の化合物及び結合剤を適当な溶媒に添加し、ボールミル、サンドミル、アトライター、3本ロールミル、高速インライン分散機、Kadyミル又は超音波分散機等の分散装置を用いて充分に混合して均一な塗布液を調製する。
【0044】
塗布液の調製に用いられる溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール等の低級アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエステル、エチレングリコールモノメチルエステル等のエーテル及びトリオール、キシロール等の芳香族化合物、メチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素及びそれらの混合物等が挙げられる。
【0045】
塗布液には輝尽性蛍光体粒子の分散性を向上させるための分散剤、形成された輝尽性蛍光体層中で結合剤と輝尽性蛍光体粒子の結合力を向上させるための可塑剤等、種々の添加剤を添加してもよい。
【0046】
用いられる分散剤としてはフタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などを挙げることができる。
【0047】
また可塑剤としては燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸ジフェニル等の燐酸エステル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチル等のフタル酸エステル、グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタルブチル等のグリコール酸エステル、そしてトリエチレングリコールとアジピン酸とのポリエステル、ジエチレングリコールと琥珀酸とのポリエステル等のポリエチレングリコールと脂肪族一塩基酸とのポリエステル等を挙げることができる。
【0048】
上記のようにして調製された輝尽性蛍光体と結合剤とを含有する塗布液をドクターブレード、ロールコータ、ナイフコーター等通常の塗布手段を用いて均一に塗布し、塗膜を形成する。
【0049】
次いで、形成された塗膜を徐々に加熱して乾燥させ、輝尽性蛍光体層とする。
【0050】
輝尽性蛍光体層の膜厚は、放射線像変換パネルに付与する特性、輝尽性蛍光体の種類、結合剤と輝尽性蛍光体との量比等によって異なるが、20〜1000μmが好ましく、より好ましくは50〜500μmである。
【0051】
【実施例】
本発明を実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
【0052】
実施例1
《BaFI:Eu2+の調製》
沃化バリウム2水塩を溶解して3.2モル/リットルの水溶液を調製する。この水溶液中に沃化ユーロピウム2/1000モル(2×10-2モル)添加し、80℃に調整して溶解する。この溶液にNH4Fの5モル/リットル水溶液を10ml/minの添加速度で200ml添加してBaFI:Eu2+前駆体を析出させる。
【0053】
この前駆体を80℃で1時間熟成後、1μmのメンブランフィルターを用いて吸引濾過を行い、沈殿物を濾別後、エタノールを用いて洗浄し、BaFI:Eu3+前駆体を得た。
【0054】
得られたBaFI:Eu3+前駆体を80℃のオーブンにて2時間乾燥後、電気炉にて1%のH2−N2混合ガス中で850℃で3時間過熱し、輝尽性蛍光体BaFI:Eu2+を作製した。
【0055】
得られた輝尽性蛍光体BaFI:Eu2+は、BaF2含有量10%、BaI2濃度3%、平均粒径4μmであった。
【0056】
《放射線像変換パネル1の調製》
得られた輝尽性蛍光体BaFI:Eu2+を用い、輝尽性蛍光体とポリエステル樹脂の容量%85:15で固形分濃度80重量%の輝尽性蛍光体塗料を作製し、ポリエチレンテレフタレート上にナイフコーターを用いて塗布、乾燥後、適性な大きさに裁断した後、50μmのGLEE(凸版(株)製)を用いて融着封止し、放射線像変換パネル試料1を調製した。
【0057】
なお、輝尽性蛍光体のX/Baの値は、輝尽性蛍光体を硝酸溶出し、ICP−MS(セイコー電子工業(株)製)を用いて測定した。
【0058】
《放射線像変換パネル試料2〜8及び比較試料1、2の調製》
BaCl2、BaF量を表1記載の如く変えた以外は実施例1と同様にして試料2〜8及び比較試料1、2を作製した。
【0059】
《放射線像変換パネルの評価》
〈輝度の評価〉
放射線像変換パネルに管電圧80kVpのX線を照射した後、パネルを200mWの半導体レーザー(780nm)で走査して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を光電子像倍管(浜松ホトニクス社製光電子増倍管R1305)を用いて受光し、その強度を測定し試料4を1.0とした相対値で表した。
【0060】
〈鮮鋭度の評価〉
鮮鋭性は放射線像変換パネルにMTF測定用矩形波チャート(コニカメディカル〔株〕製)通して管電圧80kVpのX線を照射した後、パネルを200mWの半導体レーザー(780nm)で走査して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を、上記と同じ受光器で受光して電気信号に変換し、アナログ/デジタル変換して磁気テープにより記録した。記録した磁気テープをコンピューターで分析して磁気テープに記録されているX線像の変調伝達関数(MTF)で表した。MTFは空間周波数2サイクル(1p)/mmMTF%で示した。
【0061】
〈安定性の評価〉
安定性の評価として、輝度の評価と同様にして像形成し2時間後の各試料パネルの輝度で表した。従って、値の大きいほど安定性が優れていることを示す。
【0062】
〈耐湿性の評価〉
耐湿性の評価として、試料パネルを40℃、95%RHで1ケ月保存した後の各試料パネルを輝度の評価と同様にして測定し、輝度の値で表した。従って、値の大きいほど耐湿性が優れていることを示す。
【0063】
〈焼結度の評価〉
50μm2のステンレス製篩を用いて篩分けをし、50%以上が篩目を通った焼結物を未焼結とし、篩目上に残った焼結物を焼結とした。
【0064】
これらの結果をまとめて表1に示した。
【0065】
【表1】
Figure 0003705021
【0066】
表1から、本発明の放射線像変換パネルが比較に比して輝度、鮮鋭性に優れ、像形成後の安定性、耐湿性に優れていることが分かる。
【0067】
【発明の効果】
本発明による輝尽性蛍光体の製造方法及び放射線像変換パネルは輝度、鮮鋭性に優れ、像形成後の安定性、耐湿性に優れた効果が得られる。

Claims (4)

  1. 支持体上に輝尽性蛍光体層、保護層を有する放射線像変換パネルにおいて、前記輝尽性蛍光体層が1〜3体積%のBaF 2 を含有する下記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体を含有することを特徴とする放射線像変換パネル。
    一般式(1)
    BaFX:Eu2+
    式中、Xは沃素原子、臭素原子又は塩素原子から選ばれる少なくとも1種の原子を表す。
  2. 前記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体がX/Ba≦0.975であることを特徴とする請求項1記載の放射線像変換パネル。
  3. 請求項1又は2記載の輝尽性蛍光体の前駆体を3.0モル/リットル以上の沃化バリウム濃度で晶析することを特徴とする輝尽性蛍光体の製造方法。
  4. 請求項3記載の製造方法により得られた輝尽性蛍光体を用いたことを特徴とする放射線像変換パネル。
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