JP2002356675A - 輝尽性蛍光体、その製造方法、及び放射線画像変換パネル - Google Patents

輝尽性蛍光体、その製造方法、及び放射線画像変換パネル

Info

Publication number
JP2002356675A
JP2002356675A JP2001164171A JP2001164171A JP2002356675A JP 2002356675 A JP2002356675 A JP 2002356675A JP 2001164171 A JP2001164171 A JP 2001164171A JP 2001164171 A JP2001164171 A JP 2001164171A JP 2002356675 A JP2002356675 A JP 2002356675A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
stimulable phosphor
flow rate
hydrogen
oxygen
atmosphere
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001164171A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyuki Nabeta
博之 鍋田
Hideaki Wakamatsu
秀明 若松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2001164171A priority Critical patent/JP2002356675A/ja
Publication of JP2002356675A publication Critical patent/JP2002356675A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Conversion Of X-Rays Into Visible Images (AREA)
  • Luminescent Compositions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 輝度、消去特性、残像特性に優れた輝尽性蛍
光体を大量に合成する手段と、その輝尽性蛍光体を提供
すること。 【解決手段】 a)焼成炉内部に蛍光体前駆体を4〜1
000kg充填し、b)酸素0.1%未満、水素を0.
1〜10%含む雰囲気を、炉芯管容積に対し流量比率
0.01〜1.2%で流通し、600℃以上に加熱し、
c)酸素を0.1〜7%、水素を0.1〜10%含む雰
囲気を、炉芯管容積に対する流量比率0.01〜1.2
%で流通し、600℃以上で30分以上加熱し、d)
b)の雰囲気で、炉芯管容積に対し流量比率2.0〜1
0%で流通し、600℃以上で30分以上加熱し、e)
d)記載の雰囲気、流量比率で流通させ、蛍光体を10
0℃以下に冷却し取り出す各工程を経る焼成による輝尽
性蛍光体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は輝尽性蛍光体、その
輝尽性蛍光体の製造方法、及びその輝尽性蛍光体を用い
た放射線画像変換パネルに関するものである
【0002】
【従来の技術】従来の放射線写真法に代わる有効な診断
手段として、特開昭55−12145号などに記載の輝
尽性蛍光体を用いる放射線画像記録再生方法が知られて
いる。この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射線画像
変換パネルを利用するもので、被写体を透過した、或い
は被検体から発せられた放射線を輝尽性蛍光体に吸収さ
せ、可視光線、紫外線などの電磁波(励起光ともい
う。)で時系列的に輝尽性蛍光体を励起して、蓄積され
ている放射線エネルギーを蛍光として放射させ、この蛍
光を光電的に読み取って電気信号を得、得られた電気信
号に基づいて被写体或いは被検体の放射線画像を可視画
像として再生するものである。読み取り後の変換パネル
は、残存画像の消去が行われ、次の撮影に供される。
【0003】この方法によれば、放射線写真フィルムと
増感紙とを組み合わせて用いる放射線写真法に比して、
はるかに少ない被爆線量で情報量の豊富な放射線画像が
得られる利点がある。又、放射線写真法では撮影毎にフ
ィルムを消費するのに対して、放射線画像変換パネルは
繰り返し使用されるので、資源保護や経済効率の面から
有利である。
【0004】放射線画像変換パネルは、支持体とその表
面に設けられた輝尽性蛍光体層、又は自己支持性の輝尽
性蛍光体層のみからなり、輝尽性蛍光体層は通常輝尽性
蛍光体とこれを分散支持する結合材からなるものと、蒸
着法や焼結法によって形成される輝尽性蛍光体の凝集体
のみから構成されるものがある。又、該凝集体の間隙に
高分子物質が含浸されているものも知られている。更
に、輝尽性蛍光体層の支持体側とは反対側の表面には通
常、ポリマーフィルムや無機物の蒸着膜からなる保護膜
が設けられる。
【0005】輝尽性蛍光体としては、通常400〜90
0nmの範囲にある励起光によって波長300〜500
nmの範囲にある輝尽発光を示すものが一般的に利用さ
れ、特開昭55−12145号、同55−160078
号、同56−74175号、同56−116777号、
同57−23673号、同57−23675号、同58
−206678号、同59−27289号、同59−2
7980号、同59−56479号、同59−5648
0号等に記載の希土類元素付活アルカリ土類金属弗化ハ
ロゲン化物系蛍光体;特開昭59−75200号、同6
0−84381号、同60−106752号、同60−
166379号、同60−221483号、同60−2
28592号、同60−228593号、同61−23
679号、同61−120882号、同61−1208
83号、同61−120885号、同61−23548
6号、同61−235487号等に記載の2価のユーロ
ピウム付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光
体;特開昭55−12144号に記載の希土類元素付活
オキシハライド蛍光体;特開昭58−69281号に記
載のセリウム付活3価金属オキシハライド蛍光体;特開
昭60−70484号に記載のビスマス付活アルカリ金
属ハロゲン化物蛍光体;特開昭60−141783号、
同60−157100号に記載の2価のユーロピウム付
活アルカリ土類金属ハロ燐酸塩蛍光体;特開昭60−1
57099号に記載の2価のユーロピウム付活アルカリ
土類金属ハロホウ酸塩蛍光体;特開昭60−21735
4号に記載の2価のユーロピウム付活アルカリ土類金属
水素化ハロゲン化物蛍光体;特開昭61−21173
号、同61−21182号に記載のセリウム付活希土類
複合ハロゲン化物蛍光体;特開昭61−40390号に
記載のセリウム付活希土類ハロ燐酸塩蛍光体;特開昭6
0−78151号に記載の2価のユーロピウム付活ハロ
ゲン化セリウム・ルビジウム蛍光体;特開昭60−78
151号に記載の2価のユーロピウム付活複合ハロゲン
化物蛍光体、等が挙げられ、中でも、沃素を含有する2
価のユーロピウム付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化
物系蛍光体、沃素を含有する希土類元素付活オキシハロ
ゲン化物蛍光体及び沃素を含有するビスマス付活アルカ
リ金属ハロゲン化物系蛍光体は高輝度の輝尽発光を示
す。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】輝尽性蛍光体を利用す
る放射線画像変換方法の利用が進むにつれて、得られる
放射線画像の画質の向上、例えば、鮮鋭度の向上や粒状
性の向上が更に求められるようになってきた。放射線画
像の画質の向上の手段の中で、輝尽性蛍光体の微粒子化
と微粒子化された輝尽性蛍光体の粒径を揃えること、即
ち、粒径分布を狭くすることは有効である。
【0007】特開平9−291278号、同7−233
369号等で開示されている液相からの輝尽性蛍光体の
製造法は、蛍光体原料溶液の濃度を調整して微粒子状の
輝尽性蛍光体前駆体を得る方法であり、粒径分布の揃っ
た輝尽性蛍光体粉末の製造法として有効である。この方
法で得られる輝尽性蛍光体前駆体は、高温での焼成によ
り初めて輝尽発光性を獲得し、前駆体から輝尽性蛍光体
が製造されるが、従来知られていた焼成方法で発現する
輝尽発光強度は十分なものでは無かった。低い輝尽発光
強度は、輝尽性蛍光体から放射線画像変換プレートを製
造したときに放射線画像変換プレートが低感度となって
しまうため、同じ画質の放射線画像を得るための放射線
量がより多く必要となる点で不利となる 従来の液相法前駆体の焼成方法についてここで説明す
る。従来の液相法で製造された希土類付活アルカリ土類
金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体では、以下
のような手順によって焼成が行われる。
【0008】特開平9−291278号では、まず、乾
燥させた前駆体結晶を秤量し、焼結防止剤としてアルミ
ナ超微粉末或いはシリカ超微粉末などの微粒子状酸化物
粉末を添加混合する。次いで、この混合物を石英ボー
ト、アルミナルツボ、石英ルツボなどの耐熱性容器に充
填し、電気炉の炉芯に入れて焼成を行う。この時の温度
は400〜1300℃で、焼成時間は0.5〜12時間
の範囲が適当である。焼成の雰囲気としては、窒素ガス
雰囲気、アルゴンガス雰囲気などの中性雰囲気、或いは
少量の水素ガスを含有する窒素ガス雰囲気などの弱還元
雰囲気、或いは微量酸素雰囲気が利用される。
【0009】上記の焼成方法は、原料粉体である前駆体
を直接焼成して輝尽性蛍光体を得る方法、いわゆる固相
法の場合と実質的に同じ焼成方法である。固相法による
輝尽性蛍光体製造の詳細は、特公平1−26640号、
特公昭63−55555号、同63−28955号など
の記載がある。固相法と上記焼成方法との違いは、化学
量論比で揃えて秤量混合した原料粉体を焼成する点だけ
である。
【0010】ところが、これら従来の焼成方法により得
られる輝尽性蛍光体の輝尽発光強度は十分なものではな
かった。
【0011】本発明は上記事情に鑑みて為されたもので
あり、その目的は、輝度、消去特性、残像特性に優れた
輝尽性蛍光体を大量に合成する手段を提供することであ
り、又、第2の目的は、輝度、消去特性、残像特性に優
れた輝尽性蛍光体を提供することである。そして第3の
目的は、この輝尽性蛍光体を採用した放射線画像変換パ
ネルを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は以下
の構成により達成される。
【0013】1.焼成により輝尽性蛍光体を製造する方
法であって、下記のa)〜e)の工程を経ることを特徴
とする輝尽性蛍光体の製造方法。 a)焼成前に焼成炉の炉芯管内部に輝尽性蛍光体前駆体
を4〜1000kg充填する工程; b)0.1%以上の酸素を含まず、0.1〜10%の水
素を含む雰囲気を、炉芯管容積に対する流量比率0.0
1〜1.2(%/min)で流通させながら、輝尽性蛍
光体前駆体を100℃以下から600℃以上に加熱する
工程; c)0.1〜7%の酸素と0.1〜10%の水素を含む
雰囲気を、炉芯管容積に対する流量比率0.01〜1.
2(%/min)で流通させながら、輝尽性蛍光体前駆
体を600℃以上で30分以上加熱する工程; d)c)に引き続いて、0.1%以上の酸素を含まず、
0.1〜10%の水素を含む雰囲気を、炉芯管容積に対
する流量比率2.0〜10(%/min)で流通させな
がら、輝尽性蛍光体前駆体を600℃以上で30分以上
加熱する工程; e)d)に引き続いて、0.1%以上の酸素を含まず、
0.1〜10%の水素を含む雰囲気を、炉芯管容積に対
する流量比率2.0〜10(%/min)で流通させな
がら、輝尽性蛍光体を100℃以下に冷却して取り出す
工程; 2.前記輝尽性蛍光体前駆体が液相法により製造された
ことを特徴とする1記載の輝尽性蛍光体の製造方法。
【0014】3.前記輝尽性蛍光体が、少なくともBa
原子、F原子、X原子、Ln原子及びO原子を含有する
ことを特徴とする1又は2記載の輝尽性蛍光体の製造方
法。(ただし、XはF,Cl,Br及びIの少なくとも
1つであり、LnはCe,Pr,Sm,Eu,Gd,T
b,Tm,Dy,Ho,Nd,Er及びYbの少なくと
も1つである。) 4.前記輝尽性蛍光体が、上記一般式(1)で表される
ことを特徴とする1〜3の何れか1項に記載の輝尽性蛍
光体の製造方法。
【0015】5.前記1〜4の何れか1項に記載の製造
方法によって得られたことを特徴とする輝尽性蛍光体。
【0016】6.前記5に記載の輝尽性蛍光体を含む蛍
光体層を有することを特徴とする放射線画像変換パネ
ル。
【0017】上記の製造方法によって得られる輝尽性蛍
光体は、微粒子でありながら高い輝尽発光強度を持ち、
該輝尽性蛍光体から高感度高画質の放射線画像変換プレ
ートが製造できる。
【0018】本発明の輝尽性蛍光体の製造方法の代表的
な態様を以下に詳しく説明する。液相法による輝尽性蛍
光体前駆体の製造については、特開平10−14014
8号に記載された前駆体製造方法、同10−14777
8号に記載された前駆体製造装置が好ましく利用でき
る。ここで輝尽性蛍光体前駆体とは、輝尽発光性や瞬時
発光性をほとんど示さない物質を言う。例えば、液相法
で輝尽性蛍光体の前駆体を製造する場合には、一般式
(1)で表される物質が600℃以上の高温を経ていな
い状態を言う。又、固相法における輝尽性蛍光体の前駆
体は、輝尽性蛍光体材料そのもの、又は輝尽性蛍光体材
料を混合したもの、又はこれらの物質が600℃以上の
高温を経ていない状態を言う。
【0019】以下、液相法による前駆体の製造方法を示
すが、本発明は、液相法により得られた前駆体の焼成に
限らず、固相法により輝尽性蛍光体を製造する際に、輝
尽性蛍光体材料を混合し焼成する場合にも適用できる。
特に好ましくは、液相法により前駆体を製造することで
あり、これにより、微粒子化され粒径分布の揃った輝尽
性蛍光体の輝尽発光強度を向上させることができる。
【0020】本発明では以下の液相合成法により上記一
般式(1)で表される輝尽性蛍光体の前駆体を得ること
が好ましい。
【0021】本発明に有用な前駆体の形成方法として
は、最初に、水系媒体中に弗素化合物以外の原料化合物
を溶解させる。原料化合物として、Baのハロゲン化物
(例えばBaBr2、BaI2)とLnのハロゲン化物
(例えばEuI3)、そして必要に応じてMのハロゲン
化物(例えばMgI2)、そして更にM1のハロゲン化物
(例えばRbI)を水系媒体中に入れ十分に混合し、溶
解させて水溶液を調製する。Baのハロゲン化物の濃度
を0.25(mol/リットル)以上、好ましくは1
(mol/リットル)以上、更に好ましくは1.35
(mol/リットル)以上、最も好ましくは3.0〜
4.5(mol/リットル)として水系媒体との量比を
調整しておく。つまり、BaI2水溶液と、M、M1水溶
液を混合した時に、全体の中のBaI2濃度が記載範囲
となるように予め濃く作っておく。又、Lnの濃度は
0.01〜10(mol/リットル)が好ましく、0.
05〜1(mol/リットル)が特に好ましい。この
時、所望により、少量の酸、他のハロゲン化物(例え
ば、NH4I、KI、NaI等)、アンモニア、アルコ
ール、水溶性高分子ポリマー、水不溶性金属酸化物微粒
子粉体等を添加してもよい。この水溶液を反応母液とい
う。反応母液を50℃以上の温度、好ましくは80℃以
上の温度に攪拌しながら維持する。
【0022】次に、この反応母液に、フッ素化合物(例
えばNH4F)の水溶液の濃度を5(mol/リット
ル)以上、好ましくは8(mol/リットル)以上、更
に好ましくは10〜13(mol/リット)として、ポ
ンプ付きのパイプなどを用いて注入する。この際、激し
く攪拌されている部分に液の注入を行うのが好ましい。
このフッ素化合物水溶液を反応母液に注入することによ
って、前記の一般式(1)に該当する輝尽性蛍光体の前
駆体結晶を沈殿として得る。
【0023】次に、上記の輝尽性蛍光体の前駆体結晶
を、濾過、遠心分離などによって溶液から分離し、メタ
ノール等有機溶媒で十分に洗浄し、乾燥する。この乾燥
された輝尽性蛍光体の前駆体結晶に、アルミナ微粉末或
いはシリカ微粉末等の焼結防止剤を添加、混合し、結晶
表面に焼結防止剤微粉末を均一に付着させる。尚、焼成
条件を選ぶことによって焼結防止剤の添加を省略するこ
とも可能である。
【0024】得られた蛍光体前駆体を使用して輝尽性蛍
光体を製造するには、特に下記a)〜e)の工程を経る
焼成方法を採用する。 a)焼成前に焼成炉の炉芯管内部に輝尽性蛍光体前駆体
を4〜1000kg充填する工程; b)0.1%以上の酸素を含まず、0.1〜10%の水
素を含む雰囲気を、炉芯管容積に対する流量比率0.0
1〜1.2(%/min)で流通させながら、輝尽性蛍
光体前駆体を100℃以下から600℃以上に加熱する
工程; c)0.1〜7%の酸素と0.1〜10%の水素を含む
雰囲気を、炉芯管容積に対する流量比率0.01〜1.
2(%/min)で流通させながら、輝尽性蛍光体前駆
体を600℃以上で30分以上加熱する工程; d)c)に引き続いて、0.1%以上の酸素を含まず、
0.1〜10%の水素を含む雰囲気を、炉芯管容積に対
する流量比率2.0〜10(%/min)で流通させな
がら、輝尽性蛍光体前駆体を600℃以上で30分以上
加熱する工程; e)d)に引き続いて、0.1%以上の酸素を含まず、
0.1〜10%の水素を含む雰囲気を、炉芯管容積に対
する流量比率2.0〜10(%/min)で流通させな
がら、輝尽性蛍光体を100℃以下に冷却して取り出す
工程;輝尽性蛍光体を製造するための前駆体結晶の焼成
は、先ず乾燥している蛍光体前駆体結晶を粉体化し、石
英ボート、アルミナルツボ、石英ルツボ等の耐熱性容器
に充填し、電気炉の炉芯(炉芯管)に入れて焼結を避け
ながら行う。但し、電気炉の炉芯は焼成中の雰囲気置換
が可能なものに限られる。又電気炉としては、ロータリ
ーキルン、流動床炉、振動流動床炉等の移動床式電気炉
を使用できる。
【0025】炉芯に充填された前駆体結晶粉体から、下
記に詳細を示す焼成方法により輝尽性蛍光体を製造する
ことが好ましい。
【0026】輝尽性蛍光体前駆体を炉芯に4〜1000
kg充填した後、炉芯内の雰囲気を0.1%以上の酸素
を含まず、0.1〜10%の水素を含む雰囲気に置換す
る。この雰囲気置換に先立って炉芯内部の大気を排出し
て真空にしても良い。真空吸引には回転式ポンプ等が利
用できる。炉芯を真空にした場合は雰囲気の置換効率が
高くなるという利点がある。真空を経由せずに雰囲気を
置換するいわゆる追い出し置換の場合は、炉芯の容量の
少なくとも3倍の体積の雰囲気を注入する必要がある。
この炉芯内は通常は常温であるが、100℃以下に設定
してある。
【0027】電気炉の炉芯内を上記雰囲気に置換した
後、600℃以上に加熱を行う。この時、炉芯内の混合
雰囲気は炉芯管容積に対する流量比率0.01〜1.2
(%/min)で流通させることが好ましい。更に好ま
しくは、0.1〜1.0(%/min)である。又、昇
温の速度は、炉芯管の材質や、電気炉の仕様等により異
なるが、1〜50℃/minが好ましい。
【0028】600℃以上に到達した後、少なくとも
0.1〜7%の酸素と0.1〜10%の水素を含む雰囲
気を炉芯内に導入し、少なくとも30分間保持する。こ
の時の温度は好ましくは600〜1300℃、より好ま
しくは700〜1000℃である。600℃以上とする
ことにより、良好な輝尽発光特性が得られ、700℃以
上で更に放射線画像の診断の実用上好ましい輝尽発光特
性を得ることができる。又、1300℃以下であれば、
焼結により大粒径化することを防止でき、特に1000
℃以下であれば、放射線画像の診断の実用上好ましい粒
径の輝尽性蛍光体を得ることができる。更に好ましく
は、820℃付近である。ここで雰囲気の置換は追い出
し置換により行い、新たに導入される雰囲気としては、
水素濃度が0.1〜10%、酸素濃度は水素濃度未満、
かつ残りの成分が窒素である混合ガスが好ましい。より
好ましくは、水素濃度は0.1〜3%、酸素濃度は水素
濃度に対して40〜80%、かつ残りの成分が窒素とい
う混合ガスである。特に、水素が1%、酸素0.6%、
かつ残りの成分が窒素の混合ガスである。水素濃度は、
0.1%以上とすることで還元力を得られ、発光特性を
向上させることができ、5%以下とすることで取り扱い
上好ましく、更に輝尽性蛍光体の結晶自体が還元されて
しまうことを防止できる。又、酸素濃度は、水素濃度に
対して約60%をピークに輝尽発光強度を著しく向上で
きる。
【0029】又、昇温中の雰囲気に酸素を混入させても
良く、この場合は水素/窒素混合ガスと酸素ガスの流量
比を操作することで雰囲気の混合比を制御できる。又酸
素の代替として大気をそのまま導入することもできる。
更に酸素/窒素混合ガスと水素/窒素混合ガスの流量比
を調節して用いることもできる。
【0030】所望の窒素、水素、酸素の混合比に置換さ
れるまでは、炉芯の容量の3倍以上の体積の新たな雰囲
気を導入することが好ましい。この時から少なくとも3
0分以上、好ましくは1〜5時間の間、600℃以上で
窒素、水素、酸素の混合雰囲気が保持される。
【0031】前記操作の後、再び炉芯内を0.1%以上
の酸素を含まず、0.1〜10%の水素を含む雰囲気に
置換する。炉芯内に残留した酸素を0.1%未満(好ま
しくは0.01%未満)まで追い出すためには、昇温の
時と同じ雰囲気ガスを用いることが好ましい。置換の効
率を高めるために、新たな雰囲気ガスの流量を増加させ
ることが好ましい。雰囲気ガスの流量は、炉芯管容積に
対する流量比率2.0〜10(%/min)が好まし
い。又、これにより炉芯内の雰囲気が置換されるので、
炉芯内で生成される輝尽性蛍光体以外の反応生成物を排
出することができる。特に、前記反応生成物にヨウ素が
含まれる場合には、ヨウ素による輝尽性蛍光体の黄色
化、及び黄色化に伴う輝尽性蛍光体の劣化を防止でき
る。少なくとも30分以上、好ましくは30分から12
時間の間、600℃以上で0.1%以上(好ましくは
0.01%以上)の酸素を含まない雰囲気が保持され
る。30分以上とすることにより、良好な輝尽発光特性
を示す輝尽性蛍光体を得ることができる。又、12時間
以下とすることにより、加熱による輝尽発光特性の低下
を防止することができる。
【0032】冷却は、0.1%以上の酸素を含まず、
0.1〜10%の水素を含む雰囲気を、炉芯管容積に対
する流量比率2.0〜10(%/min)で流通させな
がら行なうことが好ましい。炉芯管容積に対する流量比
率を2.0〜10(%/min)とすることで、炉芯内
で生成される輝尽性蛍光体以外の反応生成物を排出する
ことができる。特に、前記反応生成物にヨウ素が含まれ
る場合には、ヨウ素による輝尽性蛍光体の黄色化、及び
黄色化に伴う輝尽性蛍光体の劣化を防止できる。降温の
速度は、1〜50℃/minが好ましい。
【0033】冷却は少なくとも100℃まで行ない、そ
の後生成した蛍光体を取り出すことが好ましく、特に好
ましい取り出し温度は50℃以下である。 (パネル作製、蛍光体層、塗布工程、支持体、保護層)
本発明の放射線画像変換パネルに用いられる支持体とし
ては各種高分子材料、ガラス、金属等が用いられる。特
に情報記録材料としての取り扱い上可撓性のあるシート
或いはウェブに加工できるものが好適であり、この点か
らいえばセルロースアセテートフィルム、ポリエステル
フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリ
アミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテート
フィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチック
フィルム、アルミニウム、鉄、銅、クロム等の金属シー
ト或いは該金属酸化物の被覆層を有する金属シートが好
ましい。
【0034】又、これら支持体の厚みは用いる支持体の
材質等によって異なるが、一般的には80〜1000μ
mであり、取り扱い上の点から、更に好ましくは80〜
500μmである。
【0035】これらの支持体の表面は滑面であってもよ
いし、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的でマ
ット面としても良い。
【0036】更に、これら支持体は、輝尽性蛍光体層と
の接着性を向上させる目的で輝尽性蛍光体層が設けられ
る面に下引層を設けても良い。
【0037】本発明において輝尽性蛍光体層に用いられ
る結合剤の例としては、ゼラチン等の蛋白質、デキスト
ラン等のポリサッカライド、又はアラビアゴムのような
天然高分子物質;及び、ポリビニルブチラール、ポリ酢
酸ビニル、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化
ビニリデン・塩化ビニルコポリマー、ポリアルキル(メ
タ)アクリレート、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマ
ー、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレート、
ポリビニルアルコール、線状ポリエステル等のような合
成高分子物質等により代表される結合剤を挙げることが
できる。このような結合剤の中でも特に好ましいもの
は、ニトロセルロース、線状ポリエステル、ポリアルキ
ル(メタ)アクリレート、ニトロセルロースと線状ポリ
エステルとの混合物、ニトロセルロースとポリアルキル
(メタ)アクリレートとの混合物及びポリウレタンとポ
リビニルブチラールとの混合物である。尚、これらの結
合剤は架橋剤によって架橋されたものであっても良い。
【0038】輝尽性蛍光体層は、例えば、次のような方
法により下塗層上に形成することができる。まず、ヨウ
素含有輝尽性蛍光体、上記黄変防止のための亜燐酸エス
テル等の化合物及び結合剤を適当な溶剤に添加し、これ
らを十分に混合して結合剤溶液中に蛍光体粒子及び該化
合物の粒子が均一に分散した塗布液を調製する。
【0039】一般に結着剤は輝尽性蛍光体1質量部に対
して0.01〜1質量部の範囲で使用される。しかしな
がら得られる放射線画像変換パネルの感度と鮮鋭性の点
では結着剤は少ない方が好ましく、塗布の容易さとの兼
合いから0.03〜0.2質量部の範囲がより好まし
い。
【0040】塗布液における結合剤と輝尽性蛍光体との
混合比(ただし、結合剤全部がエポキシ基含有化合物で
ある場合には該化合物と蛍光体との比率に等しい)は、
目的とする放射線画像変換パネルの特性、蛍光体の種
類、エポキシ基含有化合物の添加量などによって異な
る。
【0041】一般には塗布液調製用の溶剤の例として
は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−
プロパノール、ブタノールなどの低級アルコール;メチ
レンクロライド、エチレンクロライド等のハロゲン化炭
化水素;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブ
チルケトン、シクロヘキサノン等のケトン;酢酸メチ
ル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の低級脂肪酸と低級アル
コールとのエステル;ジオキサン、エチレングリコール
エチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテ
ル等のエーテル;トリオール、キシロール等の芳香族化
合物;トルエン;そして、それらの混合物を挙げること
ができる。
【0042】尚、塗布液には、該塗布液中における蛍光
体の分散性を向上させるための分散剤、又、形成後の輝
尽性蛍光体層中における結合剤と蛍光体との間の結合力
を向上させるための可塑剤等の種々の添加剤が混合され
ていても良い。そのような目的に用いられる分散剤の例
としては、フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親油
性界面活性剤などを挙げることができる。又、可塑剤の
例としては、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐
酸ジフェニル等の燐酸エステル;フタル酸ジエチル、フ
タル酸ジブチル、フタル酸ジメトキシエチル等のフタル
酸エステル;グリコール酸エチルフタリルエチル、グリ
コール酸ブチルフタリルブチル等のグリコール酸エステ
ル;コハク酸ジイソデシル、アジピン酸ジオクチル等の
脂肪酸二塩基酸エステル;そして、トリエチレングリコ
ールとアジピン酸とのポリエステル、ジエチレングリコ
ールとコハク酸とのポリエステル等のポリエチレングリ
コールと脂肪酸二塩基酸とのポリエステルなどを挙げる
ことができる。
【0043】輝尽性蛍光体層用塗布液の調製は、ボール
ミル、サンドミル、アトライター、三本ロールミル、高
速インペラー分散機、Kadyミル、及び超音波分散機
等の分散装置を用いて行われる。
【0044】上記のようにして調製された塗布液を支持
体、又は支持体上の下塗層の表面に均一に塗布し、乾燥
することにより輝尽性蛍光体層が形成される。この塗布
操作は、通常の塗布手段、例えば、ドクターブレード、
ロールコーター、ナイフコーターなどを用いることによ
り行うことができる。前記塗布液を保護層上に塗布し、
乾燥した後に輝尽性蛍光体層と支持体とを接着してもよ
い。
【0045】次いで、形成された塗膜を徐々に加熱する
ことにより乾燥して、下塗層上への輝尽性蛍光体層の形
成を完了し、放射線画像変換パネルが得られる。
【0046】本発明の放射線画像変換パネルの輝尽性蛍
光体層の層厚は、目的とする放射線画像変換パネルの特
性、輝尽性蛍光体の種類、結合剤と輝尽性蛍光体との混
合比などによって異なるが、通常は10〜1000μm
の範囲から選ばれるのが好ましく、50〜500μmの
範囲から選ばれるのがより好ましい。
【0047】以上、ユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウ
ム等の輝尽性蛍光体の例について主に説明したが、ユー
ロピウム付活弗化臭化バリウム、その他の輝尽性蛍光体
も上記を参照し、製造することができる。
【0048】本発明によれば、輝尽発光強度を向上させ
ることができる。つまり、感度を向上させることができ
る。特に好ましくは、液相法により得られた前駆体を本
発明の方法により焼成することであり、これにより微粒
子化され粒径分布の揃った輝尽性蛍光体の輝尽発光強度
を向上させることができ、感度及び粒状性をともに向上
させることができる。
【0049】
【実施例】以下に、本発明を実施例により具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるも
のではない。
【0050】実施例1 (輝尽性蛍光体の製造)ユーロピウム付活弗化ヨウ化バ
リウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、Bal
2水溶液(4.0mol/リットル)25リットルとE
ul3水溶液(0.2mol/リットル)265mlを
反応器に入れた。この反応器中の反応母液を攪拌しなが
ら83℃で保温した。弗化アンモニウム水溶液(8mo
l/リットル)3.22リットルを反応母液中にローラ
ーポンプを用いて注入し、沈澱物を生成させた。注入終
了後も保温と攪拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行っ
た。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後
真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの
輝尽性蛍光体前駆体の結晶7.15kgを得た。焼成時
の焼結による粒子形状の変化、粒子間融着による粒子サ
イズ分布の変化を防止するために、アルミナの超微粒子
粉体を0.2質量%添加し、ミキサーで十分攪拌して、
結晶表面にアルミナの超微粒子粉体を均一に付着させ
た。
【0051】ユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの輝
尽性蛍光体前駆体の結晶粉体とアルミナ超微粒子の混合
物7kgを、150リットルの炉芯容積(内径300m
m)を持つバッチ式ロータリーキルンの石英製炉芯管に
充填し、99%窒素/1%水素混合ガスを10リットル
/minの流量で60分間流通させて雰囲気を置換し
た。十分に炉芯内雰囲気を置換した後、99%窒素/1
%水素混合ガスの流量を1リットル/minに減じ、2
rpmの速度で炉芯管を回転させながら、10℃/mi
nの昇温速度で820℃まで加熱した。
【0052】試料温度が820℃に到達してから60分
後に、導入するガスを98.4%窒素/1%水素/0.
6%酸素の混合ガスに替えて1リットル/minの流量
で3時間流通させながら820℃で保持した。その後、
導入するガスを再び99%窒素/1%水素混合ガスに替
えて流量を5リットル/minに増して820℃で2時
間保持した。その後、99%窒素/1%水素混合ガスの
流量を5リットル/minに保ったまま10℃/min
の降温速度で25℃まで冷却した後雰囲気を大気に戻
し、炉芯管の回転を止めて生成された酸素ドープ・ユー
ロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体粒子を
取り出した。次に上記蛍光体粒子を篩いにより分級し、
平均粒径2μmの粒子を得た。 (放射線画像変換パネルの製造)蛍光体層形成材料とし
て、上記で得た酸素ドープ・ユーロピウム付活弗化ヨウ
化バリウムの輝尽性蛍光体粒子427g、ポリウレタン
樹脂(住友バイエルウレタン社製、デスモラック412
5)15.8g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂2.
0gをメチルエチルケトン−トルエン(1:1)混合溶
媒に添加し、プロペラミキサーによって分散し、粘度2
5〜30Pa・sの塗布液を調製した。この塗布液をド
クターブレードを用いて下塗付きポリエチレンテレフタ
レートフィルム上に塗布した後、100℃で15分間乾
燥させて、厚さ200μmの蛍光体層を形成した。
【0053】次に、保護膜形成材料として、フッ素系樹
脂:フルオロオレフィン−ビニルエーテル共重合体(旭
硝子社製ルミフロンLF100)70g、架橋剤:イソ
シアネート(住友バイエルウレタン社製デスモジュール
Z4370)25g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂
5g、及びシリコーン樹脂微粉末(KMP−590、信
越化学工業社製、粒子径1〜2μm)10gをトルエン
−イソプロピルアルコール(1:1)混合溶媒に添加
し、塗布液を作った。この塗布液を上記のようにして予
め形成しておいた蛍光体層上にドクターブレードを用い
て塗布し、次に120℃で30分間熱処理して熱硬化さ
せるとともに乾燥し、厚さ10μmの保護膜を設けた。
【0054】以上の方法により、厚さ200μmの輝尽
性蛍光体層を有する放射線画像変換パネルを得た。
【0055】実施例2 実施例1における輝尽性蛍光体前駆体の合成を14回繰
り返して行ない、ユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム
の輝尽性蛍光体前駆体の結晶とアルミナ超微粒子の混合
物100kgを得た。ユーロピウム付活弗化ヨウ化バリ
ウムの輝尽性蛍光体前駆体の結晶粉体とアルミナ超微粒
子の混合物100kgを、785リットルの炉芯容積
(内径400mm)を持つバッチ式ロータリーキルンの
石英製炉芯管に充填し、99%窒素/1%水素混合ガス
を30リットル/minの流量で2時間流通させて雰囲
気を置換した。十分に炉芯内雰囲気を置換した後、99
%窒素/1%水素混合ガスの流量を5リットル/min
に減じ、2rpmの速度で炉芯管を回転させながら、1
0℃/minの昇温速度で820℃まで加熱した。
【0056】試料温度が820℃に到達してから2時間
後に、導入するガスを98.4%窒素/1%水素/0.
6%酸素の混合ガスに替えて5リットル/minの流量
で5時間流通させながら820℃で保持した。その後、
導入するガスを再び99%窒素/1%水素混合ガスに替
えて流量を30リットル/minに増して820℃で
3.5時間保持した。その後、99%窒素/1%水素混
合ガスの流量を30リットル/minに保ったまま10
℃/minの降温速度で25℃まで冷却した後雰囲気を
大気に戻し、炉芯管の回転を止めて生成された酸素ドー
プ・ユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光
体粒子を取り出した。そして上記蛍光体粒子を篩いによ
り分級し、平均粒径2μmの粒子を得た。
【0057】得られた蛍光体粒子を用いて実施例1に記
載の方法により輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換
パネルを得た。
【0058】実施例3(比較例) 実施例1に記載の方法によりユーロピウム付活弗化ヨウ
化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体結晶を得た。
【0059】次に、実施例1の焼成処理において、「9
8.4%窒素/1%水素/0.6%酸素の混合ガスに替
えて1リットル/minの流量で3時間流通させながら
820℃で保持した」後の、99%窒素/1%水素混合
ガスの流量を、5リットル/minから1リットル/m
inに変更した他は実施例1と同じ方法により輝尽性蛍
光体粒子を得た。そして上記蛍光体粒子を篩いにより分
級し、平均粒径2μmの粒子を得た。
【0060】得られた蛍光体粒子を用いて実施例1に記
載の方法により輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換
パネルを得た。
【0061】実施例4(比較例) 実施例1に記載の方法によりユーロピウム付活弗化ヨウ
化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体結晶を得た。
【0062】次に、実施例1の焼成処理において、「ユ
ーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆
体の結晶粉体とアルミナ超微粒子の混合物」を7kgか
ら500gに変更し、「98.4%窒素/1%水素/
0.6%酸素の混合ガスに替えて1リットル/minの
流量で3時間流通させながら820℃で保持した」後
の、99%窒素/1%水素混合ガスの流量を、5リット
ル/minから1リットル/minに変更した他は実施
例1と同じ方法により輝尽性蛍光体粒子を得た。そして
上記蛍光体粒子を篩いにより分級し、平均粒径2μmの
粒子を得た。
【0063】得られた蛍光体粒子を用いて実施例1に記
載の方法により輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換
パネルを得た。
【0064】実施例5(比較例) 実施例1に記載の方法によりユーロピウム付活弗化ヨウ
化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体結晶を得た。
【0065】次に、実施例1の焼成処理において、「ユ
ーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆
体の結晶粉体とアルミナ超微粒子の混合物」を7kgか
ら500gに変更した他は実施例1と同じ方法により輝
尽性蛍光体粒子を得た。そして上記蛍光体粒子を篩いに
より分級し、平均粒径2μmの粒子を得た。
【0066】得られた蛍光体粒子を用いて実施例1に記
載の方法により輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換
パネルを得た。
【0067】実施例2〜5の全てにおいて、上記のよう
にして得られた放射線画像変換パネルは、輝尽性蛍光体
層の膜厚が200μmであった。
【0068】得られた放射線画像変換パネルの充填量、
酸素導入後の流量の詳細を以下の表1に示す。 ・放射線画像変換パネルの概要
【0069】
【表1】
【0070】※実施例2は炉芯管容積785リットル、
それ以外は炉芯管容積150リットルである。 〈評価〉得られた放射線画像変換パネルに対して、輝尽
発光量と消去特性の評価を以下のようにして行った。得
られた結果を以下の表2に示す。 1)輝尽発光量(PSL) 上記のように得られた放射線画像変換パネルに管電圧8
0kVp、200mRのX線を照射した後、該パネルを
He−Neレーザー光(633nm)4.0J/m2
走査して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を光
学フィルタ(B−410)を通して受光器(分光感度S
−5の光電子像倍管)で受光して輝尽発光量(PSL)
を測定した。下記表2に輝尽発光量(PSL)を相対値
で示した。輝尽発光量(PSL)は大きい方が好まし
い。 2)消去特性 上記1)の方法で測定した輝尽発光量(PSL)を初期
PSLとし、その測定対象とした放射線画像変換パネル
に対し、白色蛍光灯の光をシャープカット光学フィルタ
(SC−46)を通して400万Lux・秒照射して消
去操作を行なった。この消去操作を施したパネルについ
て、X線照射を行なわない以外は上記1)の方法と同じ
方法で再度輝尽発光量(PSL)を測定して、それを消
去後PSLとした。初期PSLに対する消去後PSLの
比(消去後PSL/初期PSL)を消去値として下記表
2に示す。この消去値は小さい方が好ましい。
【0071】
【表2】
【0072】表2から明らかなように、本発明の製造方
法により得られた輝尽性蛍光体を使用した放射線画像変
換パネルの特性は、輝尽発光量が大きく、初期PSLに
対する消去後PSLの比(消去値)が小さいことが分か
る。
【0073】
【発明の効果】本発明によれば、輝度、消去特性、残像
特性に優れた輝尽性蛍光体を大量に合成することがで
き、得られた輝尽性蛍光体を採用した放射線画像変換パ
ネルは良好な輝尽性蛍光体特性を示すなど、顕著に優れ
た効果を奏している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G083 AA03 BB01 DD02 EE03 EE04 4H001 CA04 CA08 CF02 XA09 XA12 XA17 XA20 XA30 XA35 XA38 XA48 XA53 XA56 YA03 YA08 YA11 YA19 YA37 YA55 YA58 YA59 YA60 YA62 YA63 YA64 YA65 YA66 YA67 YA68 YA69 YA70

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焼成により輝尽性蛍光体を製造する方法
    であって、下記のa)〜e)の工程を経ることを特徴と
    する輝尽性蛍光体の製造方法。 a)焼成前に焼成炉の炉芯管内部に輝尽性蛍光体前駆体
    を4〜1000kg充填する工程; b)0.1%以上の酸素を含まず、0.1〜10%の水
    素を含む雰囲気を、炉芯管容積に対する流量比率0.0
    1〜1.2(%/min)で流通させながら、輝尽性蛍
    光体前駆体を100℃以下から600℃以上に加熱する
    工程; c)0.1〜7%の酸素と0.1〜10%の水素を含む
    雰囲気を、炉芯管容積に対する流量比率0.01〜1.
    2(%/min)で流通させながら、輝尽性蛍光体前駆
    体を600℃以上で30分以上加熱する工程; d)c)に引き続いて、0.1%以上の酸素を含まず、
    0.1〜10%の水素を含む雰囲気を、炉芯管容積に対
    する流量比率2.0〜10(%/min)で流通させな
    がら、輝尽性蛍光体前駆体を600℃以上で30分以上
    加熱する工程; e)d)に引き続いて、0.1%以上の酸素を含まず、
    0.1〜10%の水素を含む雰囲気を、炉芯管容積に対
    する流量比率2.0〜10(%/min)で流通させな
    がら、輝尽性蛍光体を100℃以下に冷却して取り出す
    工程;
  2. 【請求項2】 前記輝尽性蛍光体前駆体が液相法により
    製造されたことを特徴とする請求項1記載の輝尽性蛍光
    体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記輝尽性蛍光体が、少なくともBa原
    子、F原子、X原子、Ln原子及びO原子を含有するこ
    とを特徴とする請求項1又は2記載の輝尽性蛍光体の製
    造方法。(ただし、XはF,Cl,Br及びIの少なく
    とも1つであり、LnはCe,Pr,Sm,Eu,G
    d,Tb,Tm,Dy,Ho,Nd,Er及びYbの少
    なくとも1つである。)
  4. 【請求項4】 前記輝尽性蛍光体が、下記一般式(1)
    で表されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項
    に記載の輝尽性蛍光体の製造方法。 一般式(1) (Ba1-yy)FX:aM1,bLn,cO MはMg、Ca、Sr、Zn及びCdからなる群より選
    ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属、XはCl、
    Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハ
    ロゲン原子、M1はLi、Na、K、Rb及びCsから
    なる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属、L
    nはCe、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、Tm、D
    y、Ho、Nd、Er及びYbからなる群より選ばれる
    少なくとも一種の希土類元素を表す。y、a、b及びc
    は、それぞれ0≦y≦0.6、0≦a≦0.05、0<
    b≦0.2、0<c≦0.1である。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4の何れか1項に記載の製造
    方法によって得られたことを特徴とする輝尽性蛍光体。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の輝尽性蛍光体を含む蛍
    光体層を有することを特徴とする放射線画像変換パネ
    ル。
JP2001164171A 2001-05-31 2001-05-31 輝尽性蛍光体、その製造方法、及び放射線画像変換パネル Pending JP2002356675A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001164171A JP2002356675A (ja) 2001-05-31 2001-05-31 輝尽性蛍光体、その製造方法、及び放射線画像変換パネル

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001164171A JP2002356675A (ja) 2001-05-31 2001-05-31 輝尽性蛍光体、その製造方法、及び放射線画像変換パネル

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002356675A true JP2002356675A (ja) 2002-12-13

Family

ID=19007026

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001164171A Pending JP2002356675A (ja) 2001-05-31 2001-05-31 輝尽性蛍光体、その製造方法、及び放射線画像変換パネル

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002356675A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006008767A (ja) * 2004-05-21 2006-01-12 Konica Minolta Holdings Inc 蛍光体の製造方法
JPWO2006082715A1 (ja) * 2005-02-04 2008-06-26 コニカミノルタエムジー株式会社 希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体の前駆体の製造方法、希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体及び放射線画像変換パネル

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006008767A (ja) * 2004-05-21 2006-01-12 Konica Minolta Holdings Inc 蛍光体の製造方法
JPWO2006082715A1 (ja) * 2005-02-04 2008-06-26 コニカミノルタエムジー株式会社 希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体の前駆体の製造方法、希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体及び放射線画像変換パネル

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH07233369A (ja) 14面体型希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体、その製造法、および放射線像変換パネル
US5952666A (en) Radiation image conversion panel
JP3804217B2 (ja) 希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体の製造方法
US6638447B2 (en) Preparation method of rare earth activated alkaline earth metal fluorohalide stimulable phosphor and radiographic image conversion panel
WO2006095613A1 (ja) 希土類賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物輝尽性蛍光体及びそれを用いた放射線画像変換パネル
US6168730B1 (en) Stimulable phosphor, preparation method thereof and radiation image conversion panel
JPWO2006054532A1 (ja) 希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体の製造方法
JP3783464B2 (ja) 輝尽性蛍光体の製造方法
JP2002356675A (ja) 輝尽性蛍光体、その製造方法、及び放射線画像変換パネル
JP3796868B2 (ja) 希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体の製造方法
JP4165029B2 (ja) 希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体の製造方法
JP3832045B2 (ja) 希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体又はその前駆体の製造装置
WO2006082715A1 (ja) 希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体の前駆体の製造方法、希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体及び放射線画像変換パネル
JP3879217B2 (ja) 希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体の製造方法
JP4228550B2 (ja) 希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体の製造方法
JP2004018839A (ja) 希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体、及び放射線像変換パネル
JP3959984B2 (ja) 酸素導入希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体とその製造方法及び放射線画像変換パネル
JP3777700B2 (ja) 希土類付活バリウム弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体及びそれを用いる放射線画像変換パネル
JP4207393B2 (ja) 希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体の製造方法、放射線画像変換パネル及び放射線画像撮影方法
JP2002161271A (ja) 輝尽性蛍光体、輝尽性蛍光体の製造方法及び放射線画像変換パネル
JP4349379B2 (ja) 希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体の製造方法
JP2001181621A (ja) 希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体及びその製造方法並びに放射線画像変換パネル
JP2002309246A (ja) 輝尽性蛍光体、その製造方法及び放射線画像変換パネル
JP2005171078A (ja) 希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体の製造方法、希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体前駆体、希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体及び放射線像変換パネル
JPH10239499A (ja) 放射線画像変換パネル、それに用いる輝尽性蛍光体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060307

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070814

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071012

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20071120