JP4207393B2 - 希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体の製造方法、放射線画像変換パネル及び放射線画像撮影方法 - Google Patents

希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体の製造方法、放射線画像変換パネル及び放射線画像撮影方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は輝尽性蛍光体の製造方法、その輝尽性蛍光体を用いた放射線画像変換パネル及び放射線画像撮影方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の放射線写真法に代わる有効な診断手段として、特開昭55−12145号などに記載の輝尽性蛍光体を用いる放射線画像記録再生方法が知られている。
【0003】
この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射線画像変換パネル(蓄積性蛍光体シートとも呼ばれる。)を利用するもので、被写体を透過した、あるいは被検体から発せられた放射線を輝尽性蛍光体に吸収させ、可視光線、紫外線などの電磁波(励起光という。)で時系列的に輝尽性蛍光体を励起して、蓄積されている放射線エネルギーを蛍光(輝尽発光光という。)として放射させ、この蛍光を光電的に読みとって電気信号を得、得られた電気信号に基づいて被写体あるいは被検体の放射線画像を可視画像として再生するものである。読み取り後の変換パネルは、残存画像の消去が行われ、次の撮影に供される。
【0004】
この方法によれば、放射線写真フィルムと増感紙とを組み合わせて用いる放射線写真法に比して、はるかに少ない被爆線量で情報量の豊富な放射線画像が得られる利点がある。又、放射線写真法では撮影毎にフィルムを消費するのに対して、放射線変換パネルは繰り返し使用されるので、資源保護や経済効率の面から有利である。
【0005】
放射線変換パネルは、支持体とその表面に設けられた輝尽性蛍光体層、又は自己支持性の輝尽性蛍光体層のみからなり、輝尽性蛍光体層は通常輝尽性蛍光体とこれを分散支持する結合材からなるものと、蒸着法や焼結法によって形成される輝尽性蛍光体の凝集体のみから構成されるものがある。又、該凝集体の間隙に高分子物質が含浸されているものも知られている。更に、輝尽性蛍光体層の支持体側とは反対側の表面には通常、ポリマーフィルムや無機物の蒸着膜からなる保護膜が設けられる。
【0006】
輝尽性蛍光体としては、通常400〜900nmの範囲にある励起光によって波長300〜500nmの範囲にある輝尽発光を示すものが一般的に利用され、特開昭55−12145号、同55−160078号、同56−74175号、同56−116777号、同57−23673号、同57−23675号、同58−206678号、同59−27289号、同59−27980号、同59−56479号、同59−56480号等に記載の希土類元素付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体;特開昭59−75200号、同60−84381号、同60−106752号、同60−166379号、同60−221483号、同60−228592号、同60−228593号、同61−23679号、同61−120882号、同61−120883号、同61−120885号、同61−235486号、同61−235487号等に記載の2価のユーロピウム付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体;特開昭55−12144号に記載の希土類元素付活オキシハロゲン化物蛍光体;特開昭58−69281号に記載のセリウム付活3価金属オキシハライド蛍光体;特開昭60−70484号に記載のビスマス付活アルカリ金属ハロゲン化物蛍光体;特開昭60−141783号、同60−157100号に記載の2価のユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロ燐酸塩蛍光体;特開昭60−157099号に記載の2価のユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロホウ酸塩蛍光体;特開昭60−217354号に記載の2価のユーロピウム付活アルカリ土類金属水素化ハロゲン化物蛍光体;特開昭61−21173号、同61−21182号に記載のセリウム付活希土類複合ハロゲン化物蛍光体;特開昭61−40390号に記載のセリウム付活希土類ハロ燐酸塩蛍光体;特開昭60−78151号に記載の2価のユーロピウム付活ハロゲン化セリウム・ルビジウム蛍光体;特開昭60−78151号に記載の2価のユーロピウム付活複合ハロゲン化物蛍光体、等が挙げられ、中でも、沃素を含有する2価のユーロピウム付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体、沃素を含有する希土類元素付活オキシハロゲン化物蛍光体及び沃素を含有するビスマス付活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体は高輝度の輝尽発光を示す。
【0007】
特開平9−291278号、特開平7−233369号等で開示されている液相からの輝尽性蛍光体の製造法は、蛍光体原料溶液の濃度を調整して微粒子状の輝尽性蛍光体前駆体を得る方法であり、粒径分布の揃った輝尽性蛍光体粉末の製造法として有効である。この方法で得られる輝尽性蛍光体前駆体は、高温での焼成により初めて輝尽発光性を獲得し、前駆体から輝尽性蛍光体が製造されるが、輝尽発光強度は十分なものでは無かった。低い輝尽発光強度は、輝尽性蛍光体から放射線画像変換プレートを製造したときに放射線画像プレートが低感度となってしまうため、同じ画質の放射線画像を得るための放射線量がより多く必要となる点で不利となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、輝尽発光強度を向上させること、即ち、輝尽性蛍光体の感度を高めることができ、且つ良好な鮮鋭性を有する希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体の製造方法、それを用いた放射線画像変換パネル及び放射線画像撮影方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1)一般式(1) Ba1-x2 xFI:aM1,bLn,cO
2:Be,Mg,Sr及びCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属
1:Li,Na,K,Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属
Ln:Ce,Pr,Sm,Eu,Gd,Tb,Tm及びYbからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素
x,a,b及びcは、それぞれ0≦x≦0.5,0≦a≦0.05,0<b≦0.2,0≦c≦0.1
で表わされる希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体を製造するための下記の工程を有する希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体の製造方法。
【0010】
BaI2とLnのハロゲン化物とを含み、そして一般式(1)のxが0でない場合には更に、M2のハロゲン化物を、そしてaが0でない場合には更にM1のハロゲン化物を含み、BaI2濃度が2.5mol/L以上の水溶液を調製する工程;
上記の水溶液を90℃以上99℃以下の温度に維持しながら、これに濃度5mol/L以上の無機弗化物水溶液を120分以上600分以下で添加した後、180分以上600分以下の熟成時間を経て、希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の沈澱物を得る工程;
上記の前駆体結晶の沈澱物を水溶液から分離する工程;
そして、分離した前駆体結晶の沈澱物を焼成する工程。
【0014】
)前記一般式(1)で表される希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体を製造するための下記の工程を有する希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体の製造方法。
【0015】
一般式(1)のxが0でない場合には更に、M2のハロゲン化物を、そしてaが0でない場合には更にM1のハロゲン化物を含み、BaI2濃度が2.5mol/L以上の水溶液を調製する工程;
上記の水溶液を90℃以上99℃以下の温度に維持しながら、これに濃度5mol/L以上の無機弗化物水溶液とLnのハロゲン化物の水溶液を120分以上600分以下で添加した後、180分以上600分以下の熟成時間を経て、希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の沈澱物を得る工程;
上記の前駆体結晶の沈澱物を水溶液から分離する工程;
そして、分離した前駆体結晶の沈澱物を焼成する工程。
【0019】
)前記無機弗化物は、弗化アンモニウムもしくはアルカリ金属の弗化物であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体の製造方法。
【0020】
)前記沈殿物を焼成する工程において、前記沈殿物の焼結を避けながら焼成することを特徴とする(1)乃至()のいずれか1項に記載の希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体の製造方法。
【0021】
)前記一般式(1)で表される希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体を製造するための下記の工程を有する希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体の製造方法。
【0022】
ハロゲン化アンモニウムを含み、そして一般式(1)のxが0でない場合には更に、M2のハロゲン化物を、そしてaが0でない場合には更にM1のハロゲン化物を含み、ハロゲン化アンモニウム濃度が3mol/L以上の水溶液を調製する工程;
上記の水溶液を90℃以上99℃以下の温度に維持しながら、これに濃度5mol/L以上の無機弗化物水溶液とBaI2の水溶液を120分以上600分以下で添加した後、180分以上600分以下の熟成時間を経て、希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の沈澱物を得る工程;
上記の沈澱物を水溶液から分離する工程;
そして、分離した沈澱物とLnのハロゲン化物を混合後、焼成する工程。
【0023】
)前記(1)乃至()いずれか1項に記載の希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体の製造方法により製造された希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体を20質量%以上80質量%以下の範囲で含有する蛍光体層を有することを特徴とする放射線画像変換パネル。
【0024】
)前記()に記載の放射線画像変換パネルにおいて、X線を照射するときに支持体側から蛍光体層にX線を照射する照射方法でかつ、読み取りを蛍光体層側から行う放射線画像撮影方法。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳述する。
【0026】
先ず、輝尽性蛍光体の製造方法について説明する。
尚、本発明において、輝尽性蛍光体前駆体とは、輝尽性発光性や瞬時発光性をほとんど示さない物質を言う。例えば、一般式(1)の物質が400℃以上の高温を経ていない状態を言う。
(前駆体結晶の沈澱物の作製、輝尽性蛍光体作製)
前駆体結晶の沈澱物の製造方法1、2について説明する。
【0027】
製造方法1:
BaI2を、そして必要により更にM2のハロゲン化物、そして更にM1のハロゲン化物を水系媒体中に入れ充分に混合し、溶解させて、それらが溶解した水溶液を調製する。ただし、BaI2濃度が2.5mol/L以上、好ましくは3.5mol/L以上、さらに好ましくは4.3mol/L以上となるように、BaI2濃度と水系溶媒との量比を調整しておく。このとき、所望により、少量の酸、アンモニア、アルコール、水溶性高分子ポリマー、水不溶性金属酸化物微粒子粉体などを添加してもよい。
【0028】
この水溶液を90℃以上99℃以下に維持しながら、これに濃度5mol/L以上の無機弗化物水溶液を120分以上600分以下で添加した後、180分以上600分以下の熟成時間を経て、希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の沈澱物を得る。
【0029】
無機弗化物(例えば、弗化アンモニウムもしくはアルカリ金属の弗化物)の濃度は5mol/L以上、好ましくは8mol/L以上、さらに好ましくは12mol/L以上である。無機弗化物の水溶液の添加はポンプ付きのパイプなどを用いて行う。
【0030】
尚、Lnのハロゲン化物の添加時期は問わず、添加開始時にあらかじめ母液中にあってもよく、無機弗化物と同時又は後で添加してもよい。また、焼成前の前駆体結晶沈澱物とLnのハロゲン化物を混合しても良い。
【0031】
製造方法2:
母液がハロゲン化アンモニウムを含み、一般式(1)のxが0でない場合には更に、M2のハロゲン化物を、そしてaが0でない場合には更にM1のハロゲン化物を含み、それらが溶解したのち、ハロゲン化アンモニウム濃度が3mol/L以上、好ましくは4mol/L以上の水溶液を調製する。
【0032】
上記の水溶液を90℃以上99℃以下の温度に維持しながら、これに濃度5mol/L以上の無機弗化物水溶液を120分以上600分以下で添加した後、180分以上600分以下の熟成時間を経て、希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の沈澱物を得る。
【0033】
無機弗化物(弗化アンモニウムもしくはアルカリ金属の弗化物)の濃度は5mol/L以上、好ましくは8mol/L以上、さらに好ましくは12mol/L以上である。無機弗化物の水溶液とBaI2の水溶液とを前者の弗素と後者のBaとの比率を一定に維持しながら連続的もしくは間欠的に添加して希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の沈澱物を得る。弗素とBa、あるいは弗素とBaとLnの添加量の比率を一定にすることにより、深さ方向に対して均一な元素組成を持つ結晶を得ることができ、前記結晶を焼成することにより性能のばらつきの少ない蛍光体を得ることができる。
【0034】
尚、Lnのハロゲン化物の添加時期は問わず、添加開始時にあらかじめ母液等の中にあってもよく、無機弗化物、及びBaI2の水溶液と同時又は後で添加してもよい。また、焼成前の前駆体結晶沈澱物とLnのハロゲン化物を混合しても良い。
【0035】
次に、上記の蛍光体前駆体結晶を、濾過、遠心分離などによって溶液から分離し、メタノールなどによって充分に洗浄し、乾燥する。
【0036】
付活剤の均一な還元反応を達成するためには焼結を避けながら行うことが好ましい。焼成時の焼結を避けるために、この乾燥蛍光体前駆体結晶に、アルミナ微粉末、シリカ微粉末などの焼結防止剤を添加、混合し、結晶表面に焼結防止剤微粉末を均一に付着させる。
【0037】
なお、焼成条件を選ぶことによって焼結防止剤の添加を省略することも可能である。
【0038】
次に、蛍光体前駆体の結晶を、石英ポート、アルミナルツボ、石英ルツボなどの耐熱性容器に充填し、電気炉の炉心に入れて焼成を行なう。焼成温度は400〜1300℃の範囲が適当であって、500〜1000℃の範囲が好ましい。焼成時間は蛍光体原料混合物の充填量、焼成温度および炉からの取出し温度などによっても異なるが、一般には0.5〜12時間が適当である。
【0039】
焼成雰囲気としては、窒素ガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気等の中性雰囲気、あるいは少量の水素ガスを含有する窒素ガス雰囲気、一酸化炭素を含有する二酸化炭素雰囲気などの弱還元性雰囲気、あるいは微量酸素導入雰囲気が利用される。
【0040】
上記の焼成によって本発明の希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体が得られる。得られた蛍光体は、例えば、BaFI:0.005Eu,BaFI:0.001Eu,Ba0.97Sr0.03FI:0.0001K,0.013Eu,BaFI:0.0002K,0.005Eu,Ba0.998Ca0.002FI:0.005Eu,BaFI:0.005Ce,Ba0.99Ca0.01FI:0.0002K,0.005Eu,BaFI:0.0001Ce,0.0001Tbである。
【0041】
(パネル作製、蛍光体層、塗布工程、支持体、保護層)
本発明の放射線画像変換パネルにおいて用いられる支持体としては各種高分子材料、ガラス、金属等が用いられる。特に情報記録材料としての取り扱い上可撓性のあるシートあるいはウェブに加工できるものが好適であり、この点からいえばセルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルム、アルミニウム、鉄、銅、クロム等の金属シートあるいは該金属酸化物の被覆層を有する金属シートが好ましい。
【0042】
また、これら支持体の層厚は用いる支持体の材質等によって異なるが、一般的には80μm〜1000μmであり、取り扱い上の点から、さらに好ましくは80μm〜500μmである。
【0043】
これらの支持体の表面は滑面であってもよいし、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的でマット面としてもよい。
【0044】
さらに、これら支持体は、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的で輝尽性蛍光体層が設けられる面に下引層を設けてもよい。
【0045】
本発明において輝尽性蛍光体層に用いられる結合剤の例としては、ゼラチン等の蛋白質、デキストラン等のポリサッカライド、またはアラビアゴムのような天然高分子物質;および、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ビニリデン・塩化ビニルコポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリレート、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアルコール、線状ポリエステルなどのような合成高分子物質などにより代表される結合剤を挙げることができる。
【0046】
このような結合剤の中で特に好ましいものは、ニトロセルロース、線状ポリエステル、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ニトロセルロースと線状ポリエステルとの混合物、ニトロセルロースとポリアルキル(メタ)アクリレートとの混合物およびポリウレタンとポリビニルブチラールとの混合物である。なお、これらの結合剤は架橋剤によって架橋されたものであってもよい。輝尽性蛍光体層は、例えば、次のような方法により下引層上に形成することができる。
【0047】
まず、希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体、上記黄変防止のための亜燐酸エステル等の化合物および結合剤を適当な溶剤に添加し、これらを充分に混合して結合剤溶液中に蛍光体粒子および該化合物の粒子が均一に分散した塗布液を調製する。
【0048】
一般に結合剤は輝尽性蛍光体1質量部に対して0.01乃至1質量部の範囲で使用される。しかしながら得られる放射線画像変換パネルの感度と鮮鋭性の点では結合剤は少ない方が好ましく、塗布の容易さとの兼合いから0.03乃至0.2質量部の範囲がより好ましい。
【0049】
塗布液における結合剤と輝尽性蛍光体との混合比(ただし、結合剤全部がエポキシ基含有化合物である場合には該化合物と蛍光体との比率に等しい)は、目的とする放射線画像変換パネルの特性、蛍光体の種類、エポキシ基含有化合物の添加量などによって異なる。
【0050】
輝尽性蛍光体層用塗布液の調製に用いられる溶剤の例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等の低級アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等の低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル、トリオール、キシロールなどの芳香族化合物、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどのハロゲン化炭化水素およびそれらの混合物などが挙げられる。
【0051】
なお、塗布液には、該塗布液中における蛍光体の分散性を向上させるための分散剤、また、形成後の輝尽性蛍光体層中における結合剤と蛍光体との間の結合力を向上させるための可塑剤などの種々の添加剤が混合されていてもよい。そのような目的に用いられる分散剤の例としては、フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などを挙げることができる。そして可塑剤の例としては、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸ジフェニルなどの燐酸エステル;フタル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチル等のフタル酸エステル;グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタリルブチルなどのグリコール酸エステル;そして、トリエチレングリコールとアジピン酸とのポリエステル、ジエチレングリコールとコハク酸とのポリエステルなどのポリエチレングリコールと脂肪族二塩基酸とのポリエステルなどを挙げることができる。
【0052】
なおまた、輝尽性蛍光体層用塗布液中に、輝尽性蛍光体層蛍光体粒子の分散性を向上させる目的で、ステアリン酸、フタル酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などの分散剤を混合してもよい。また必要に応じて結合剤に対する可塑剤を添加してもよい。前記可塑剤の例としては、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチルなどのフタル酸エステル、コハク酸ジイソデシル、アジピン酸ジオクチル等の脂肪族二塩基酸エステル、グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタリルブチルなどのグリコール酸エステル等が挙げられる。
【0053】
上記のようにして調製された塗布液を、次に下引層の表面に均一に塗布することにより塗布液の塗膜を形成する。この塗布操作は、通常の塗布手段、例えば、ドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーターなどを用いることにより行なうことができる。
【0054】
次いで、形成された塗膜を徐々に加熱することにより乾燥して、下引層上への輝尽性蛍光体層の形成を完了する。輝尽性蛍光体層の層厚は、目的とする放射線画像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体の種類、結合剤と蛍光体との混合比などによって異なるが、通常は80μm乃至1000μmとする。ただし、この層厚は80乃至500μmとするのが好ましい。
【0055】
輝尽性蛍光体層用塗布液の調製は、ボールミル、サンドミル、アトライター、三本ロールミル、高速インペラー分散機、Kadyミル、および超音波分散機などの分散装置を用いて行なわれる。調製された塗布液をドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーターなどの塗布液を用いて支持体上に塗布し、乾燥することにより輝尽性蛍光体層が形成される。前記塗布液を保護層上に塗布し、乾燥した後に輝尽性蛍光体層と支持体とを接着してもよい。
【0056】
【実施例】
実施例1
ユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、BaI2水溶液(3.6mol/L)2780mlとEuI3水溶液(0.2mol/L)27mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を撹拌しながら93℃で保温した。
【0057】
弗化アンモニウム水溶液(8mol/L)322mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて添加時間130分で注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と撹拌を200分続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。
【0058】
焼成時の焼結により粒子形状の変化、粒子間融着による粒子サイズ分布の変化を防止するために、アルミナの超微粒子粉体を0.1質量%添加し、ミキサーで充分撹拌して、結晶表面にアルミナの超微粒子粉体を均一に付着させた。
【0059】
前記輝尽性蛍光体前駆体を10Lの炉心容積をもつバッチ式ロータリーキルンの石英製炉心管に充填し、93%窒素/5%水素/2%酸素の混合ガスを10L/minの流量で20分間流通させて雰囲気を置換した。十分に炉心内雰囲気を置換した後、上記混合ガスの流量を2L/minに減じ、2rpmの速度で炉心管を回転させながら10℃/minの昇温速度で830℃まで加熱した。試料温度が830℃に到達した後、試料温度を830℃に保ちながら93%窒素/5%水素の混合ガスを10L/minの流量で20分間流通させ、雰囲気を置換した。その後93%窒素/5%水素の混合ガスの流量を2L/minに減じ、90分間保持した。93%窒素/5%水素の混合ガスの流量を2L/minに保持したまま、10℃/minの降温速度で25℃まで冷却した後、雰囲気を大気に戻し、生成した酸素導入ユーロピウム付活弗化沃化バリウム蛍光体を取り出した。次に上記蛍光体粒子を分級することにより平均粒径5.5μmの粒子を得た。これをBFI−1とする。
【0060】
次に、BaI2水溶液(4.2mol/L)2380mlとEuI3水溶液(0.2mol/L)27mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を撹拌しながら83℃で保温した。弗化アンモニウム水溶液(13mol/L)200mlを反応母液中にローラーポンプを用いて添加時間30分で注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と撹拌を120分続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。アルミナの超微粒子粉体を0.2質量%添加し、ミキサーで充分撹拌して、結晶表面にアルミナの超微粒子粉体を均一に付着させた。
【0061】
前記輝尽性蛍光体前駆体を10Lの炉心容積をもつバッチ式ロータリーキルンの石英製炉心管に充填し、93%窒素/5%水素/2%酸素の混合ガスを10L/minの流量で20分間流通させて雰囲気を置換した。十分に炉心内雰囲気を置換した後、上記混合ガスの流量を2L/minに減じ、2rpmの速度で炉心管を回転させながら10℃/minの昇温速度で830℃まで加熱した。試料温度が830℃に到達した後、試料温度を830℃に保ちながら93%窒素/5%水素の混合ガスを10L/minの流量で20分間流通させ、雰囲気を置換した。その後93%窒素/5%水素の混合ガスの流量を2L/minに減じ、90分間保持した。93%窒素/5%水素の混合ガスの流量を2L/minに保持したまま、10℃/minの降温速度で25℃まで冷却した後、雰囲気を大気に戻し、生成した酸素導入ユーロピウム付活弗化沃化バリウム蛍光体を取り出した。次に上記蛍光体粒子を分級することにより平均粒径2.5μmの粒子を得た。これをBFI−2とする。
【0062】
放射線画像変換パネルの製造例を示す。
蛍光体層形成材料として、上記で得た蛍光体BFI−1 213g、蛍光体BFI−2 213g、ポリウレタン樹脂(住友バイエルウレタン社製、デスモラック4125)15.8g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂2.0gをメチルエチルケトン−トルエン(1:1)混合溶媒に添加し、プロペラミキサーによって分散し、粘度25〜30Pの塗布液を調製した。この塗布液をドクターブレードを用いて下塗付きポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布したのち、100℃で15分間乾燥させて、種々の厚さの蛍光体層を形成した。
【0063】
次に、保護膜形成材料として、フッ素系樹脂:フルオロオレフィン−ビニルエーテル共重合体(旭硝子社製ルミフロンLF100)70g、架橋剤:イソシアネート(住友バイエルウレタン社製デスモジュールZ4370)25g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂5g、およびシリコーン樹脂微粉末(KMP−590、信越化学工業社製、粒子径1〜2μm)10gをトルエン−イソプロピルアルコール(1:1)混合溶媒に添加し、塗布液を作った。この塗布液を上記のようにして予め形成しておいた蛍光体層上にドクターブレードを用いて塗布し、次に120℃で30分間熱処理して熱硬化させるとともに乾燥し、厚さ10μmの保護膜を設けた。以上の方法により、種々の厚さの輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネルを得た。
【0064】
実施例2
ユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、BaI2水溶液(4.2mol/L)2380mlとEuI3水溶液(0.2mol/L)27mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を撹拌しながら93℃で保温した。弗化アンモニウム水溶液(13mol/L)200mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて添加時間130分で注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と撹拌を200分続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。実施例1と同様に焼成を行い次に蛍光体粒子を分級することにより平均粒径6.5μmの粒子を得た。
【0065】
実施例1に記載の蛍光体BFI−1の変わりに上記の結晶により得られた蛍光体と蛍光体BFI−2を用いた以外は、実施例1に記載の方法によりパネルを作製した。
【0066】
実施例3
ユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、BaI2水溶液(4.2mol/L)2380mlとEuI3水溶液(0.2mol/L)27mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を撹拌しながら93℃で保温した。弗化アンモニウム水溶液(13mol/L)200mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて添加時間240分で注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と撹拌を200分続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。実施例1と同様に焼成を行い次に蛍光体粒子を分級することにより平均粒径8μmの粒子を得た。
【0067】
実施例1に記載の蛍光体BFI−1の変わりに上記の結晶により得られた蛍光体と蛍光体BFI−2を用いた以外は、実施例1に記載の方法によりパネルを作製した。
【0068】
実施例4
ユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、BaI2水溶液(4.2mol/L)2380mlとEuI3水溶液(0.2mol/L)27mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を撹拌しながら93℃で保温した。弗化アンモニウム水溶液(13mol/L)200mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて添加時間240分で注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と撹拌を240分続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。実施例1と同様に焼成を行い次に蛍光体粒子を分級することにより平均粒径8.5μmの粒子を得た。
【0069】
実施例1に記載の蛍光体BFI−1の変わりに上記の結晶により得られた蛍光体と蛍光体BFI−2を用いた以外は、実施例1に記載の方法によりパネルを作製した。
【0070】
実施例5
ユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、BaI2水溶液(4.2mol/L)2380mlとEuI3水溶液(0.2mol/L)27mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を撹拌しながら93℃で保温した。弗化アンモニウム水溶液(13mol/L)200mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて添加時間500分で注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と撹拌を500分続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。実施例1と同様に焼成を行い次に蛍光体粒子を分級することにより平均粒径9.5μmの粒子を得た。
【0071】
実施例1に記載の蛍光体BFI−1の変わりに上記の結晶により得られた蛍光体と蛍光体BFI−2を用いた以外は、実施例1に記載の方法によりパネルを作製した。
【0072】
参考
NH4I水溶液(4.5mol/L)2500mlとEuI3水溶液(0.2mol/L)27mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を撹拌しながら93℃で保温した。弗化アンモニウム水溶液(13mol/L)200mlとBaI2水溶液(4.2mol/L)2380mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて流量制御を行ないながら添加時間130分で注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と撹拌を200分続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。実施例1と同様に焼成を行い次に蛍光体粒子を分級することにより平均粒径6.3μmの粒子を得た。
【0073】
実施例1に記載の蛍光体BFI−1の変わりに上記の結晶により得られた蛍光体と蛍光体BFI−2を用いた以外は、実施例1に記載の方法によりパネルを作製した。
【0074】
実施例7
ユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、BaI2水溶液(4.2mol/L)2380mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を撹拌しながら93℃で保温した。弗化アンモニウム水溶液(13mol/L)200mlとEuI3水溶液(0.2mol/L)27mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて流量制御を行ないながら添加時間130分で注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と撹拌を200分続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。実施例1と同様に焼成を行い次に蛍光体粒子を分級することにより平均粒径6.4μmの粒子を得た。
【0075】
実施例1に記載の蛍光体BFI−1の変わりに上記の結晶により得られた蛍光体と蛍光体BFI−2を用いた以外は、実施例1に記載の方法によりパネルを作製した。
【0076】
参考
NH4I水溶液(4.5mol/L)2500mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を撹拌しながら93℃で保温した。NH4F水溶液(13mol/L)200mlとBaI2水溶液(4.2mol/L)2380ml及びEuI3水溶液(0.2mol/L)27mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて流量制御を行ないながら添加時間130分で注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と撹拌を200分続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。実施例1と同様に焼成を行い次に蛍光体粒子を分級することにより平均粒径6.6μmの粒子を得た。
【0077】
実施例1に記載の蛍光体BFI−1の変わりに上記の結晶により得られた蛍光体と蛍光体BFI−2を用いた以外は、実施例1に記載の方法によりパネルを作製した。
【0078】
実施例9
BaI2水溶液(4.2mol/L)2380mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を撹拌しながら93℃で保温した。NH4F水溶液(13mol/L)200mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて流量制御を行ないながら添加時間130分で注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と撹拌を200分続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させて弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。上記の結晶530.40gとEuI3・2H2O 2.13gを混合後、石英ポートに充填して、チューブ炉を用いて水素ガス雰囲気中、850℃で2時間焼成してユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム蛍光体粒子を得た。実施例1と同様に焼成を行い次に蛍光体粒子を分級することにより平均粒径6.5μmの粒子を得た。
【0079】
実施例1に記載の蛍光体BFI−1の変わりに上記の結晶により得られた蛍光体と蛍光体BFI−2を用いた以外は、実施例1に記載の方法によりパネルを作製した。
【0080】
比較例1
ユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、BaI2水溶液(0.8mol/L)2800mlとEuI3水溶液(0.2mol/L)6mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を撹拌しながら93℃で保温した。弗化アンモニウム水溶液(8mol/L)72mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて流量制御を行ないながら添加時間240分で注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と撹拌を240分続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。実施例1と同様に焼成を行い次に蛍光体粒子を分級することにより平均粒径1.2μmの粒子を得た。
【0081】
実施例1に記載の蛍光体BFI−1の変わりに上記の結晶により得られた蛍光体と蛍光体BFI−2を用いた以外は、実施例1に記載の方法によりパネルを作製した。
【0082】
比較例2
ユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、BaI2水溶液(3.6mol/L)2780mlとEuI3水溶液(0.2mol/L)27mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を撹拌しながら93℃で保温した。弗化アンモニウム水溶液(4mol/L)644mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて流量制御を行ないながら添加時間240分で注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と撹拌を240分続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。実施例1と同様に焼成を行い次に蛍光体粒子を分級することにより平均粒径3.8μmの粒子を得た。
【0083】
実施例1に記載の蛍光体BFI−1の変わりに上記の結晶により得られた蛍光体と蛍光体BFI−2を用いた以外は、実施例1に記載の方法によりパネルを作製した。
【0084】
比較例3
ユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、BaI2水溶液(4.2mol/L)2380mlとEuI3水溶液(0.2mol/L)27mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を撹拌しながら45℃で保温した。弗化アンモニウム水溶液(13mol/L)200mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて流量制御を行ないながら添加時間240分で注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と撹拌を240分続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。実施例1と同様に焼成を行い次に蛍光体粒子を分級することにより平均粒径1.5μmの粒子を得た。
【0085】
実施例1に記載の蛍光体BFI−1の変わりに上記の結晶により得られた蛍光体と蛍光体BFI−2を用いた以外は、実施例1に記載の方法によりパネルを作製した。
【0086】
比較例4
ユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、BaI2水溶液(4.2mol/L)2380mlとEuI3水溶液(0.2mol/L)27mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を撹拌しながら45℃で保温した。弗化アンモニウム水溶液(13mol/L)200mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて流量制御を行ないながら添加時間30分で注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と撹拌を240分続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。実施例1と同様に焼成を行い次に蛍光体粒子を分級することにより平均粒径1μmの粒子を得た。
【0087】
実施例1に記載の蛍光体BFI−1の変わりに上記の結晶により得られた蛍光体と蛍光体BFI−2を用いた以外は、実施例1に記載の方法によりパネルを作製した。
【0088】
比較例5
ユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、BaI2水溶液(4.2mol/L)2380mlとEuI3水溶液(0.2mol/L)27mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を撹拌しながら45℃で保温した。弗化アンモニウム水溶液(13mol/L)200mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて流量制御を行ないながら添加時間240分で注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と撹拌を30分続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。実施例1と同様に焼成を行い次に蛍光体粒子を分級することにより平均粒径1.1μmの粒子を得た。
【0089】
実施例1に記載の蛍光体BFI−1の変わりに上記の結晶により得られた蛍光体と蛍光体BFI−2を用いた以外は、実施例1に記載の方法によりパネルを作製した。
【0090】
比較例6
NH4I水溶液(4.5mol/L)2500mlとEuI3水溶液(0.2mol/L)6mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を撹拌しながら93℃で保温した。弗化アンモニウム水溶液(13mol/L)44mlとBaI2水溶液(0.8mol/L)2800mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて流量制御を行ないながら添加時間240分で注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と撹拌を240分続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。実施例1と同様に焼成を行い次に蛍光体粒子を分級することにより平均粒径2.1μmの粒子を得た。
【0091】
実施例1に記載の蛍光体BFI−1の変わりに上記の結晶により得られた蛍光体と蛍光体BFI−2を用いた以外は、実施例1に記載の方法によりパネルを作製した。
【0092】
比較例7
ユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、BaI2水溶液(0.8mol/L)2800mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を撹拌しながら93℃で保温した。弗化アンモニウム水溶液(13mol/L)44mlとEuI3水溶液(0.2mol/L)6mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて流量制御を行ないながら添加時間240分で注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と撹拌を240分続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。実施例1と同様に焼成を行い次に蛍光体粒子を分級することにより平均粒径2.2μmの粒子を得た。
【0093】
実施例1に記載の蛍光体BFI−1の変わりに上記の結晶により得られた蛍光体と蛍光体BFI−2を用いた以外は、実施例1に記載の方法によりパネルを作製した。
【0094】
比較例8
NH4I水溶液(4.5mol/L)2500mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を撹拌しながら93℃で保温した。NH4F水溶液(13mol/L)44mlとBaI2水溶液(0.8mol/L)2800ml及びEuI3水溶液(0.2mol/L)6mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて流量制御を行ないながら添加時間240分で注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と撹拌を240分続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。実施例1と同様に焼成を行い次に蛍光体粒子を分級することにより平均粒径2.4μmの粒子を得た。
【0095】
実施例1に記載の蛍光体BFI−1の変わりに上記の結晶により得られた蛍光体と蛍光体BFI−2を用いた以外は、実施例1に記載の方法によりパネルを作製した。
【0096】
比較例9
NH4I水溶液(4.5mol/L)2500mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を撹拌しながら93℃で保温した。NH4F水溶液(13mol/L)44mlとBaI2水溶液(0.8mol/L)2800ml及びEuI3水溶液(0.2mol/L)6mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて流量制御を行ないながら添加時間240分で注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と撹拌を240分続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。実施例1と同様に焼成を行い次に蛍光体粒子を分級することにより平均粒径2.5μmの粒子を得た。
【0097】
実施例1に記載の蛍光体BFI−1の変わりに上記の結晶により得られた蛍光体と蛍光体BFI−2を用いた以外は、実施例1に記載の方法によりパネルを作製した。
【0098】
比較例10
ユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、BaI2水溶液(0.8mol/L)2800mlとEuBr3水溶液(0.2mol/L)6mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を撹拌しながら93℃で保温した。弗化アンモニウム水溶液(8mol/L)72mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて流量制御を行ないながら添加時間240分で注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と撹拌を240分続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。実施例1と同様に焼成を行い次に蛍光体粒子を分級することにより平均粒径2.2μmの粒子を得た。
【0099】
実施例1に記載の蛍光体BFI−1の変わりに上記の結晶により得られた蛍光体と蛍光体BFI−2を用いた以外は、実施例1に記載の方法によりパネルを作製した。
【0100】
比較例11
ユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、BaI2水溶液(1.8mol/L)2500mlとEuBr3水溶液(0.2mol/L)12mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を撹拌しながら93℃で保温した。弗化アンモニウム水溶液(8mol/L)145mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて流量制御を行ないながら添加時間240分で注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と撹拌を240分続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。実施例1と同様に焼成を行い次に蛍光体粒子を分級することにより平均粒径3.5μmの粒子を得た。
【0101】
実施例1に記載の蛍光体BFI−1の変わりに上記の結晶により得られた蛍光体と蛍光体BFI−2を用いた以外は、実施例1に記載の方法によりパネルを作製した。
【0102】
(放射線画像変換パネルの評価)
感度については、放射線画像変換パネルに支持体層側より管電圧80kVpのX線を照射した後、パネルをHe−Neレーザー光(633nm)で操作して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を受光器(分光感度S−5の光電子像倍管)で受光してその強度を測定した。下記の表1において感度は比較例11の感度を1としたときの相対値で示されている。
【0103】
鮮鋭度については、放射線画像変換パネルに鉛製のMTFチャートを通して支持体層側より管電圧80kVpのX線を照射した後パネルHe−Neレーザー光で操作して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を上記と同じ受光器で受光して電気信号に変換し、これをアナログ/デジタル変換して磁気テープに記録し、磁気テープをコンピューターで分析して磁気テープに記録されているX線像の変調伝達関数(MTF)を調べた。下記の表には空間周波数2サイクル/mmにおけるMTF値(%)が示されている。
【0104】
評価した結果を表1に示す。
【0105】
【表1】
Figure 0004207393
【0106】
本発明の希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体を用いた輝尽性蛍光体パネルは高い相対感度を示し、鮮鋭度も高く、優れた性能を示すことが判る。
【0107】
【発明の効果】
希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体の製造方法として、高温状態で反応し、更に高温状態で長時間熟成させることにより粒径が大きく揃った輝尽性蛍光体の前駆体結晶を得ることができ、それを焼成することにより、優れた輝尽性蛍光体が得られることが判った。

Claims (7)

  1. 一般式(1) Ba1−x FI:aM,bLn,cO
    :Be,Mg,Sr及びCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属
    :Li,Na,K,Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属
    Ln:Ce,Pr,Sm,Eu,Gd,Tb,Tm及びYbからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素
    x,a,b及びcは、それぞれ0≦x≦0.5,0≦a≦0.05,0<b≦0.2,0≦c≦0.1
    で表わされる希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体を製造するための下記の工程を有する希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体の製造方法。
    BaIとLnのハロゲン化物とを含み、そして一般式(1)のxが0でない場合には更に、Mのハロゲン化物を、そしてaが0でない場合には更にMのハロゲン化物を含み、BaI濃度が2.5mol/L以上の水溶液を調製する工程;
    上記の水溶液を90℃以上99℃以下の温度に維持しながら、これに濃度5mol/L以上の無機弗化物水溶液を120分以上600分以下で添加した後、180分以上600分以下の熟成時間を経て、希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の沈澱物を得る工程;
    上記の前駆体結晶の沈澱物を水溶液から分離する工程;
    そして、分離した前駆体結晶の沈澱物を焼成する工程。
  2. 請求項1に記載の一般式(1)で表される希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体を製造するための下記の工程を有する希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体の製造方法。
    前記一般式(1)のxが0でない場合には更に、Mのハロゲン化物を、そしてaが0でない場合には更にMのハロゲン化物を含み、BaI濃度が2.5mol/L以上の水溶液を調製する工程;
    上記の水溶液を90℃以上99℃以下の温度に維持しながら、これに濃度5mol/L以上の無機弗化物水溶液とLnのハロゲン化物の水溶液を120分以上600分以下で添加した後、180分以上600分以下の熟成時間を経て、希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の沈澱物を得る工程;
    上記の前駆体結晶の沈澱物を水溶液から分離する工程;
    そして、分離した前駆体結晶の沈澱物を焼成する工程。
  3. 前記無機弗化物は、弗化アンモニウムもしくはアルカリ金属の弗化物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体の製造方法。
  4. 前記沈殿物を焼成する工程において、前記沈殿物の焼結を避けながら焼成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体の製造方法。
  5. 請求項1に記載の一般式(1)で表される希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体を製造するための下記の工程を有する希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体の製造方法。
    ハロゲン化アンモニウムを含み、そして前記一般式(1)のxが0でない場合には更に、Mのハロゲン化物を、そしてaが0でない場合には更にMのハロゲン化物を含み、ハロゲン化アンモニウム濃度が3mol/L以上の水溶液を調製する工程;
    上記の水溶液を90℃以上99℃以下の温度に維持しながら、これに濃度5mol/L以上の無機弗化物水溶液とBaIの水溶液を120分以上600分以下で添加した後、180分以上600分以下の熟成時間を経て、希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の沈澱物を得る工程;
    上記の沈澱物を水溶液から分離する工程;
    そして、分離した沈澱物とLnのハロゲン化物を混合後、焼成する工程。
  6. 請求項1乃至5いずれか1項に記載の希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体の製造方法により製造された希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体を20質量%以上80質量%以下の範囲で含有する蛍光体層を有することを特徴とする放射線画像変換パネル。
  7. 請求項6に記載の放射線画像変換パネルにおいて、X線を照射するときに支持体側から蛍光体層にX線を照射する照射方法でかつ、読み取りを蛍光体層側から行う放射線画像撮影方法。
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