JP4254037B2 - 放射線像変換パネルおよび放射線像撮影方法 - Google Patents

放射線像変換パネルおよび放射線像撮影方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射線像変換パネル、輝尽性蛍光体および放射線像撮影方法に関し、特に輝度や鮮鋭性に優れた放射線像変換パネル、輝尽性蛍光体および放射線像撮影方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の放射線写真法に替わる有効な手段として、特開昭55−12145号等に記載の輝尽性蛍光体を用いる放射線像記録再生方法が知られている。
【0003】
この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射線像変換パネル(以下、単にパネルとも云う)を利用するもので、被写体を透過或いは被写体から発せられた放射線を前記パネルの輝尽性蛍光体に吸収させ、その後、輝尽性蛍光体を可視光線、赤外線などの電磁波(輝尽励起光)で時系列的に励起することにより、前記輝尽性蛍光体に蓄積されている放射線エネルギーを輝尽発光として放出させ、この輝尽発光を電気的に読み取り、得られた電気信号に基づいて被写体或いは被検体の放射線像を可視像として再生して診断又は検査に供するものである。一方、読み取りを終えた前記パネルは、残存する画像の消去が行われた後、次の撮影に供せられる。
【0004】
この方法によれば、放射線写真フィルムと増感紙とを組み合わせて用いる放射線写真法に比して、はるかに少ない被爆線量で情報量の豊富な放射線画像が得られる利点がある。また、放射線写真法では撮影ごとにフィルムを消費するのに対して、放射線パネルは繰り返し使用されるので、資源保護や経済効果の面からも有利である。
【0005】
放射線像変換パネルは、支持体とその表面に設けられた輝尽性蛍光体層又は自己支持性の輝尽性蛍光体層からなり、輝尽性蛍光体層は通常輝尽性蛍光体とこれを分散支持する結合剤からなるものと、蒸着法や焼結法によって形成される輝尽性蛍光体の凝集体のみから構成されるものがある。また、該凝集体の間隙に高分子物質が含浸されているものも知られている。さらに、輝尽性蛍光体層の支持体側とは反対側の表面には通常、ポリマーフィルムや無機物の蒸着膜からなる保護層膜が設けられる。
【0006】
輝尽性蛍光体としては、波長400〜900nmの範囲にある励起光によって波長300〜500の範囲にある輝尽発光を示すものが一般的に使用され、特開昭55−12145号、同55−160078号、同56−74175号、同56−116777号、同57−23673号、同57−23675号、同58−206678号、同59−27289号、同59−27980号、同59−56479号、同59−56480号等に記載の希土類元素付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体;
特開昭59−75200号、同60−84381号、同60−106752号、同60−166379号、同60−221483号、同60−228592号、同60−228593号、同61−23679号、同61−120882号、同61−120883号、同61−120885号、同61−235486号、同61−235487号等に記載の2価のユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体;
特開昭59−12144号に記載の希土類元素付活オキシハライド蛍光体;特開昭58−69281号に記載のセリウム付活3価金属オキシハライド蛍光体;特開昭60−70484号に記載のビスマス付活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体;特開昭60−141783号、同60−157100号に記載の2価のユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロ燐酸塩蛍光体;
特開昭60−157099号に記載の2価のユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロ硼酸塩蛍光体;
特開昭60−217354号に記載の2価のユーロピウム付活アルカリ土類金属水素化ハロゲン化物蛍光体;
特開昭61−21173号、同61−21182号に記載のセリウム付活希土類複合ハロゲン化物蛍光体;
特開昭61−40390号に記載のセリウム付活希土類ハロ燐酸塩蛍光体;特開昭60−78151号に記載の2価のユーロピウム付活ハロゲン化セリウム・ルビジウム蛍光体;
特開昭60−78153号に記載の2価のユーロピウム付活ハロゲン蛍光体;特開平7−233369号に記載の液相から析出させた14面体希土類金属付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体;等が挙げられる。
【0007】
しかし、未だ鮮鋭性や輝度について充分な性能が得られているとは言えない。特に、マンモグラフィーの撮影では、乳腺、間質組織、脂肪、血管、皮膚などX線吸収係数が近似している組織からなる乳房を撮影するため、画像としてはX線吸収差を大きくして組織を見えやすくする必要があるが、X線吸収差を大きくするにはX線の線質をより物質に吸収されやすくして撮影する必要があり、そのためには管電圧の低いX線で撮影することになる(X線の管電圧が低いほどX線吸収差が大きくなる)。よって、一般的な胸部撮影での管電圧80kV〜140kVと比べ、マンモグラフィーの撮影では管電圧25kV〜32kVと遙かに輝尽性蛍光体に吸収されやすいX線を用いている。しかし、放射線像変換プレートの発光については、管電圧が高いX線ほど輝度が高くなり、管電圧が低いX線ほど輝度が低くなるという性質があり、管電圧が低いマンモグラフィー撮影では、X線がプレート底部に届かずに表面の発光が支配的となってしまう。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、管電圧が低いX線を用いた撮影であっても、輝度や鮮鋭性が優れた輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換プレートおよび輝尽性蛍光体を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、以下の構成により達成することが出来た。
【0010】
1.支持体上に、輝尽性蛍光体を含有する輝尽性蛍光体層と、保護層とをこの順序で有する放射線像変換パネルにおいて、前記輝尽性蛍光体の密度が5.80g/cm 以上であり且つ前記輝尽性蛍光体層の密度が3.00g/cm以上であり、且つ輝尽性蛍光体層の厚さが200μm未満であることを特徴とする放射線像変換パネル。
【0012】
.前記輝尽性蛍光体層の密度が3.12g/cm3以上であることを特徴とする上記1に記載の放射線像変換パネル。
【0013】
.前記輝尽性蛍光体が下記一般式(1)で表わされる蛍光体であることを特徴とする上記1または2項に記載の放射線像変換パネル。
【0014】
一般式(1)
(Ba1-x2 x)FX:yEu2+
但し、M2はMg、Ca、Sr、ZnおよびCdからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属、
XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲン、
xおよびyは0≦x≦0.6および0<y≦0.2なる条件を満たす数字、
を表わす。
【0015】
.一般式(1)においてXがI(ヨウ素)であることを特徴とする上記記載の放射線像変換パネル。
【0016】
.前記輝尽性蛍光体が、ヨウ化バリウム水溶液を原料として作製され、前記ヨウ化バリウム水溶液のヨウ化バリウム濃度が3mol/L以上であることを特徴とする上記に記載の放射線像変換パネル。
【0019】
.前記輝尽性蛍光体層の充填率が60%以上であることを特徴とする上記1〜のいずれか1項に記載の放射線像変換パネル。
【0020】
.前記輝尽性蛍光体の平均粒径が5μm以下であることを特徴とする上記1〜のいずれか1項に記載の放射線像変換パネル。
【0021】
.前記輝尽性蛍光体層が、結合剤を含有し、該結合剤がスルホン酸基を含有するポリエステル樹脂若しくはポリウレタン樹脂であることを特徴とする上記1〜のいずれか1項に記載の放射線像変換パネル。
【0028】
.放射線像変換パネル上に被写体を介して放射線を照射する放射線像撮影方法において、前記放射線像変換パネルは、支持体上に、輝尽性蛍光体を含有する輝尽性蛍光体層と、保護層とをこの順序で有し、前記輝尽性蛍光体の密度が5.80g/cm 以上であり且つ前記輝尽性蛍光体層の密度が3.00g/cm以上であり、且つ輝尽性蛍光体層の厚さが200μm未満であることを特徴とする放射線像撮影方法。
【0029】
.前記放射線像変換パネルに放射線を照射することにより、乳房の放射線像を蓄積することを特徴とする上記に記載の放射線像撮影方法。
【0030】
.前記放射線の放射において、管電圧30kV以下で放射線を放射することを特徴とする上記または1に記載の放射線像撮影方法。
【0031】
以下、本発明について詳述する。
マンモ撮影(マンモグラフィー)においては、乳房組織(筋肉、脂肪、乳腺など)のX線吸収差が小さいことから、撮影管電圧を低圧にして利用することが好ましい。低圧で撮影された画像はコントラストが高く、診断性能を大幅に向上させることが可能となる。しかし、撮影管電圧を低圧にすると被写体に吸収されるX線量が著しく増加するためにディテクタに到達するX線量が減り、効率的に情報を取り出すことができないために画像性能(粒状性など)が低下する。特に管電圧25kV以下では従来のディテクタでは診断が出来ない状態となる問題があった。
【0032】
本発明では上記問題点を解決すべく検討を行った結果、マンモ診断に効果の高い管電圧30kV以下での撮影であっても、画質性能を高め、24kVでの撮影でも画像形成が可能なディテクタ(放射線像変換パネル)を開発したものである。
【0033】
本発明の輝尽性蛍光体は、その密度が5.45g/cm3以上、より好ましくは5.80g/cm3以上である。その中でも、上記一般式(1)からなる輝尽性蛍光体が好ましい。一般式(1)で表される輝尽性蛍光体の場合、I(ヨウ素)の含有率が高いものほどその密度を高くすることが出来る。また、輝尽性蛍光体が同じ組成である場合には、輝尽性蛍光体粒子の結晶系を変化させて格子間距離を短くすることによって密度を高くすることが可能である。一般式(1)で表される輝尽性蛍光体では、平板状<立方体<14面体<球体の結晶系の順番で密度が高くなる。
【0034】
一般式(1)からなる輝尽性蛍光体前駆体の製造は、固相法及び液相法のいずれで行ってもよいが、液相法が好ましい。液相法の場合、特に、下記の二種の液相合成法により輝尽性蛍光体前駆体を得ることが好ましい。
【0035】
製造法1:
BaX2とEuのハロゲン化物を含み、一般式(1)のxが0でない場合には更に、M2のハロゲン化物を含み、それらが溶解したのち、BaX2濃度が2mol/L以上、好ましくは2.7mol/L以上の水溶液を調製する工程;
上記の水溶液を50℃以上溶解度未満、好ましくは80℃以上の温度に維持しながら、これに濃度5mol/L以上、好ましくは8mol/L以上の無機弗化物(弗化アンモニウムもしくはアルカリ金属の弗化物)の水溶液を添加して希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の沈澱物を得る工程;
上記の前駆体結晶沈澱物を水溶液から分離する工程;
そして、分離した前駆体結晶沈澱物を、焼成する工程を含む製造方法である。上記調整されるBaX2(好ましくはBaI2)水溶液濃度は、好ましくは3mol/L以上、5mol/L以下である。BaX2水溶液濃度を3mol/L以上とすることで、得られる蛍光体粒子の平均粒径を5μm以下に制御することができる。
【0036】
製造法2:
母液がハロゲン化アンモニウムとEuのハロゲン化物を含み、一般式(1)のxが0でない場合には更に、M2のハロゲン化物を含み、それらが溶解したのち、ハロゲン化アンモニウム濃度が3mol/L以上、好ましくは4mol/L以上の水溶液を調製する工程;
上記の水溶液を50℃以上溶解度未満、好ましくは80℃以上の温度に維持しながら、これに濃度5mol/L以上、好ましくは8mol/L以上の無機弗化物(弗化アンモニウムもしくはアルカリ金属の弗化物)の水溶液とBaX2の水溶液とを前者の弗素と後者のBaとの比率を一定に維持しながら連続的もしくは間欠的に添加して希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の沈澱物を得る工程;
上記の前駆体結晶沈澱物を水溶液から分離する工程;
そして、分離した前駆体結晶沈澱物を、焼成する工程を含む製造方法である。
【0037】
尚、Euのハロゲン化物の添加時期は問わず、添加開始時にあらかじめ反応母液等の中にあってもよく、また無機弗化物(弗化アンモニウムもしくはアルカリ金属の弗化物)の水溶液の添加時、及び無機弗化物(弗化アンモニウムもしくはアルカリ金属の弗化物)の水溶液とBaX2の水溶液の添加時に同時又は後で添加してもよい。
【0038】
尚又、上記において溶媒は水に限らず、アルコール類、エステル類等、水以外の溶媒を用いてもよい。
【0039】
本発明における輝尽性蛍光体の平均粒径とは、粒子(結晶)の電子顕微鏡写真より無作為に粒子200個を選び、球換算の体積粒子径で平均を求めたものである。
【0040】
尚、本発明に係る粒子(結晶)は単分散性のものが好ましく、平均粒径の分布(%)が20%以下のものが好ましく、特に15%以下のものが良い。分布とは、標準偏差を平均粒径で規格化し、%表示したものである。
【0041】
上記液相法による他、固相法によって蛍光体前駆体を得てもよいことは勿論であり、その固相法による製造方法については、上記に記載した特許公報類を参照することができる。尚、液相法については、特願平8−265525号の段落番号0050〜0059に記載の方法を参照できる。
【0042】
即ち、
(前駆体結晶の沈澱物の作製、輝尽性蛍光体作製)
最初に、水系媒体を用いて弗素化合物以外の原料化合物を溶解させる。すなわち、BaI2とEuのハロゲン化物、そして必要により更にM2のハロゲン化物を水系媒体中に入れ充分に混合し、溶解させて、それらが溶解した水溶液を調製する。このとき、BaI2は6水塩のものを使用すると、輝尽性蛍光体の結晶系を立方体、14面体、球体等密度の高いものにコントロールしやすい。
【0043】
BaI2濃度は、2mol/L以上となるように、BaI2濃度と水系溶媒との量比を調整しておく。このとき、所望により、少量の酸、アンモニア、アルコール、水溶性高分子ポリマー、水不溶性金属酸化物微粒子粉体などを添加してもよい。この水溶液(反応母液)は50℃に維持する。
【0044】
次に、この50℃に維持され、撹拌されている水溶液に、無機弗化物(弗化アンモニウム、アルカリ金属の弗化物など)の水溶液をポンプ付きのパイプなどを用いて注入する。この注入は、撹拌が特に激しく実施されている領域部分に行なうのが好ましい。この無機弗化物水溶液の反応母液への注入によって、前記の一般式(1)に該当する希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体前駆体結晶が沈澱する。
【0045】
その他、輝尽性蛍光体の結晶系を変化させる方法としては、BaF2等の種結晶を高濃度BaI2溶液下で置換(コンバージョン)により形成する方法、継続濃縮による(高濃度維持)による方法、成長速度を高めて結晶粒径を巨大化する方法等がある。
【0046】
次に、上記の蛍光体前駆体結晶を、濾過、遠心分離などによって溶液から分離し、メタノールなどによって充分に洗浄し、乾燥する。この乾燥蛍光体前駆体結晶に、アルミナ微粉末、シリカ微粉末などの焼結防止剤を添加、混合し、結晶表面に焼結防止剤微粉末を均一に付着させる。なお、焼成条件を選ぶことによって焼結防止剤の添加を省略することも可能である。
【0047】
次に、蛍光体前駆体の結晶を、石英ポート、アルミナルツボ、石英ルツボなどの耐熱性容器に充填し、電気炉の炉心に入れて焼結を避けながら焼成を行なう。焼成温度は400〜1300℃の範囲が適当であって、500〜1000℃の範囲が好ましい。焼成時間は蛍光体原料混合物の充填量、焼成温度および炉からの取出し温度などによっても異なるが、一般には0.5〜12時間が適当である。
【0048】
焼成雰囲気としては、窒素ガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気等の中性雰囲気、あるいは少量の水素ガスを含有する窒素ガス雰囲気、一酸化炭素を含有する二酸化炭素雰囲気などの弱還元性雰囲気、あるいは微量酸素導入雰囲気が利用される。
【0049】
上記の焼成によって目的の希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体が得られる。
【0050】
本発明の一般式(1)で表される希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体は、前記のように、ハロゲン化アンモニウム(NH4BrまたはNH4ClまたはNH4I)とEuのハロゲン化物とを、そして上記一般式(1)のxが0でない場合には更にM2のハロゲン化物とを含み、それらが溶解した後のハロゲン化アンモニウム濃度が3mol/L以上の水溶液を調製する工程;この水溶液を50℃の温度に維持しながら、これに無機弗化物の水溶液とBaX2の水溶液とを前者の弗素と後者のBaとの比率を一定に維持しながら連続的もしくは間欠的に添加して希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体前駆体結晶の沈澱物を得る工程;この前駆体結晶沈澱物を水溶液から分離する工程;そして分離した前駆体結晶沈澱物を焼結を避けながら焼成する工程からなる製造法(製造法2)を利用しても製造することができる。
【0051】
次に、この製造法を説明する。
まず、水系媒体を用いてBaI2と弗素化合物とを除く原料化合物、そしてハロゲン化アンモニウム(NH4BrまたはNH4ClまたはNH4I)を溶解させる。すなわち、ハロゲン化アンモニウムとEuのハロゲン化物、そして必要により更にM2のハロゲン化物を水系媒体中に入れ充分に混合し、溶解させて、それらが溶解した水溶液を調製する。ただし、ハロゲン化アンモニウムの濃度が3mol/L以上の範囲に入るように、ハロゲン化アンモニウムと水との量比を調整しておく。このとき、所望により、少量の酸、アンモニウム、アルコール、水溶性高分子ポリマー、水不溶性の金属酸化物微粒子粉体などを添加してもよい。この水溶液(反応母液)は50℃に維持される。
【0052】
次に、この50℃に維持され、撹拌されている水溶液に、無機弗化物(弗化アンモニウム、アルカリ金属の弗化物など)の水溶液とBaI2の水溶液とを同時に、無機弗化物の弗素と後者のBaI2との比率を一定に維持するように調節しながら連続的もしくは間欠的に、ポンプ付きのパイプなどを用いて注入する。この注入は、撹拌が特に激しく実施されている領域部分に行なうのが好ましい。このように、蛍光体結晶生成中にBaイオンが過剰にならないように配慮して反応を進行させることによって、前記の一般式(1)に該当する希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系蛍光体前駆体結晶が沈澱する。
【0053】
次に、蛍光体前駆体結晶を、製造法1の場合と同様に、溶媒から分離し、乾燥し、次いで焼成を行なうことによって、目的の希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体が得られる。
【0054】
次に、上記特願平8−265525号等に記載の液相法で得た蛍光体前駆体の結晶を、石英ポート、アルミナルツボ、石英ルツボなどの耐熱性容器に充填し、電気炉の炉心に入れて、焼成を行うが、その際下記方法によって、焼結を避けながら焼成を行なうことが好ましい。一方、前記特許公報類に記載の固相法によって得られた蛍光体前駆体や、下記固相法により製造された蛍光体例
(1) BaF2 1モル(関東化学特級)
(2) BaI2 1モル(関東化学特級)
(3) EuF3 1/1000モル(フルウチ化学)
を自動乳鉢にて5分混合したものを所望量計量し、下記焼成(加熱)工程へ供する。尚、均一混合を目的とし、純水に溶解し、脱水乾燥し、乳鉢混合した後加熱工程へ供してもよい。
【0055】
[焼成(加熱)工程]
焼成温度は600〜1100℃の範囲が適当であって、600〜1000℃の範囲が好ましい。焼成時間は蛍光体原料混合物の充填量、焼成温度および炉からの取出し温度などによっても異なるが、一般には0.5〜12時間が適当である。
【0056】
焼成雰囲気としては、窒素ガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気等の中性雰囲気、あるいは少量の水素ガスを含有する窒素ガス雰囲気、一酸化炭素を含有する二酸化炭素雰囲気などの弱還元性雰囲気、あるいは微量酸素導入の酸化雰囲気が利用される。特に、弱還元性雰囲気が好ましく利用される。
【0057】
(焼成に用いる焼成加熱装置)
従来の電気炉やバーナー炉などの熱源を用いる。
【0058】
粉体に振動や流動を与える装置例としては、
1)電気炉内の撹拌・振蕩器を備え、試料皿あるいはボート中の試料粉体の重心を移動させる。
【0059】
2)試料皿あるいはボート中の試料粉体にガス流を吹きかけるか又は吹き込むことにより、試料粉体の重心移動を行う。
【0060】
3)回転式電気炉(ロータリーキルン)を用いること。
即ち、例えば、電気炉内にて反応器が回転もしくは半回転往復することにより、粉体を撹拌混合する。
【0061】
等を挙げることができる。
上記の1)〜3)を組みあわせてもよい。
【0062】
回転式電気炉を用いる場合の実施条件は、例えば下記が挙げられる。
回転数1rpm〜50rpm、好ましくは1〜20rpmであること。
【0063】
反応容器は石英製、SUS製等であること。
撹拌用回転翼等はあってもよいこと。
【0064】
混合粉砕用にレトルト内に直径0.5mm〜30mmのビーズ(石英、セラミック)またはボールを混在させてもよい。これらによって焼結進行を防止できる。
【0065】
焼成中粉体に振動又は流動を与えることが好ましい理由は次の通りである。
焼成中に粉体粒子が撹拌するため、焼成による熱や還元ガスなどの雰囲気ガスを粒子内部まで十分にかつ均一に到達でき、短時間で終了できる。蛍光体の構造、元素脱離、過度の焼結防止に有効である。
【0066】
上記焼成によって目的の輝尽性蛍光体が得られる。
上記の輝尽性蛍光体のうちで、ヨウ素を含有する二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体、ヨウ素を含有する二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体、ヨウ素を含有する希土類元素付活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、およびヨウ素を含有するビスマス付活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体は高輝度の輝尽発光を示す。
【0067】
(パネル作製、輝尽性蛍光体層、塗布工程、支持体、保護層)
本発明の放射線変換パネルの輝尽性蛍光体層は、その密度が3.00g/cm3以上、より好ましくは3.12g/cm3以上である。輝尽性蛍光体層の密度の上限は、好ましくは6.00g/cm3以下、より好ましくは5.00g/cm3以下である。輝尽性蛍光体層の密度を高くするには、輝尽性蛍光体の充填率(輝尽性蛍光体体積/輝尽性蛍光体層体積)を上げることである。特に、輝尽性蛍光体層中の輝尽性蛍光体の充填率が60%以上であることが好ましく、さらに好ましくは65%以上である。さらに輝尽性蛍光体自体に上述したような密度の高いものを用いれば、より輝尽性蛍光体層の充填率を高く出来ることは言うまでもない。尚、輝尽性蛍光体層の製造上、輝尽性蛍光体層の充填率の上限は、好ましくは100%以下、さらに好ましくは85%以下である。
【0068】
また、輝尽性蛍光体層の膜厚(層厚)は、200μm未満であることが好ましく、さらに好ましくは100μm未満である。
【0069】
輝尽性蛍光体層において輝尽性蛍光体の充填率を上げるには、輝尽性蛍光体の粒径を5μm以下の小さいものとする(好ましくは3μm未満、さらに好ましくは2μm未満、下限値としては、好ましくは0.01μm以上、さらに好ましくは0.05μm以上)、輝尽性蛍光体の結晶系を充填効率の高いものとする(平板<立方体<14面体<球体の順番で充填効率が上がる)、後述する輝尽性蛍光体の分散性が高い結合剤を選択する等によって達成することが可能である。
【0070】
本発明の放射線像変換パネルにおいて用いられる支持体としては各種高分子材料、ガラス、金属等が用いられる。特に情報記録材料としての取り扱い上から可撓性のあるシートあるいはウェブに加工できるものが好適であり、この点からいえばセルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルム、アルミニウム、鉄、銅、クロム等の金属シートあるいは該金属酸化物の被覆層を有する金属シートが好ましい。
【0071】
また、これら支持体の層厚は用いる支持体の材質等によって異なるが、一般的には3μm〜1000μmであり、取り扱い上の点から、さらに好ましくは80μm〜500μmである。
【0072】
これらの支持体の表面は滑面であってもよいし、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的でマット面としてもよい。
【0073】
さらに、これら支持体は、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的で輝尽性蛍光体層が設けられる面に下引層を設けてもよい。
【0074】
本発明において輝尽性蛍光体層に用いられる結合剤の例としては、ゼラチン等の蛋白質、デキストラン等のポリサッカライド、またはアラビアゴムのような天然高分子物質;および、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ビニリデン・塩化ビニルコポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリレート、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアルコール、線状ポリエステルなどのような合成高分子物質などにより代表される結合剤を挙げることができる。
【0075】
このような結合剤の中で好ましいものは、ニトロセルロース、線状ポリエステル、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ニトロセルロースと線状ポリエステルとの混合物、ニトロセルロースとポリアルキル(メタ)アクリレートとの混合物およびポリウレタンとポリビニルブチラールとの混合物である。なお、これらの結合剤は架橋剤によって架橋されたものであってもよい。
【0076】
また、輝尽性蛍光体の分散性を高め、充填率を高めることが出来る結合剤として好ましく用いられるものは、スルホン酸基を有するポリエステル樹脂若しくはポリウレタン樹脂である。
【0077】
輝尽性蛍光体層は、例えば、次のような方法により下引層上に形成することができる。
【0078】
まず、ヨウ素含有輝尽性蛍光体、上記黄変防止のための亜燐酸エステル等の化合物および結合剤を適当な溶剤に添加し、これらを充分に混合して結合剤溶液中に蛍光体粒子および該化合物の粒子が均一に分散した塗布液を調製する。
【0079】
本発明に用いられる結合剤としては、例えばゼラチンの如き蛋白質、デキストランの如きポリサッカライドまたはアラビアゴム、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ビニルデン・塩化ビニルコポリマー、ポリメチルメタクリレート、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアルコール等のような通常層構成に用いられる造膜性の結合剤が使用される。一般に結合剤は輝尽性蛍光体1質量部に対して0.01乃至1質量部の範囲で使用される。しかしながら得られる放射線画像変換パネルの感度と鮮鋭性の点では結着剤は少ない方が好ましく、塗布の容易さとの兼合いから0.03乃至0.2質量部の範囲がより好ましい。
【0080】
塗布液における結合剤と輝尽性蛍光体との混合比(ただし、結合剤全部がエポキシ基含有化合物である場合には該化合物と蛍光体との比率に等しい)は、目的とする放射線像変換パネルの特性、蛍光体の種類、エポキシ基含有化合物の添加量などによって異なるが、一般には結合塗布液調製用の溶剤の例としては、メタノール、エノタール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノールなどの低級アルコール;メチレンクロライド、エチレンクロライドなどの塩素原子含有炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサンなどのケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル;ジオキサン、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル;トルエン;トリオール、キシロールなどの芳香族化合物、そして、それらの混合物を挙げることができる。これら結合塗布液調整用の溶剤は、少ない方が輝尽性蛍光体層の密度を高める上で好ましい。具体的には、塗布液中の溶剤量は25質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。また、塗布後の乾燥をゆっくり行い、緻密な膜とするには、シクロヘキサンのような高沸点溶媒を塗布液の溶剤として用いることが好ましく、溶剤を混合系溶剤とする場合は、高沸点溶媒の比率を40質量%以上、好ましくは50%質量以上とすることである。
【0081】
塗布液には、該塗布液中における蛍光体の分散性を向上させるための分散剤、また、形成後の輝尽性蛍光体層中における結合剤と蛍光体との間の結合力を向上させるための可塑剤などの種々の添加剤が混合されていてもよい。そのような目的に用いられる分散剤の例としては、フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などを挙げることができる。そして可塑剤の例としては、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸ジフェニルなどの燐酸エステル;フタル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチル等のフタル酸エステル;グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタリルブチルなどのグリコール酸エステル;そして、トリエチレングリコールとアジピン酸とのポリエステル、ジエチレングリコールとコハク酸とのポリエステルなどのポリエチレングリコールと脂肪族二塩基酸とのポリエステルなどを挙げることができる。
【0082】
なお、輝尽性蛍光体層用塗布液中に、輝尽性蛍光体層蛍光体粒子の分散性を向上させる目的で、ステアリン酸、フタル酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などの分散剤を混合してもよい。また必要に応じて結合剤に対する可塑剤を添加してもよい。前記可塑剤の例としては、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチルなどのフタル酸エステル、コハク酸ジイソデシル、アジピン酸ジオクチル等の脂肪族二塩基酸エステル、グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタリルブチルなどのグリコール酸エステル等が挙げられる。
【0083】
上記のようにして調製された塗布液を、次に支持体上の下塗層の表面に均一に塗布することにより塗布液の塗膜を形成する。この塗布操作は、通常の塗布手段、例えば、ドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーターなどを用いることにより行なうことができる。
【0084】
次いで、形成された塗膜を徐々に加熱することにより乾燥して、下塗層上への輝尽性蛍光体層の形成を完了する。輝尽性蛍光体層の層厚は、目的とする放射線像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体の種類、結合剤と蛍光体との混合比などによって異なるが、通常は10μm乃至1mmとする(乾燥後の層厚)。特に、マンモグラフィーに用いる場合には、充填率を高めた塗布膜であって、その層厚を200μm以下、より好ましくは100μm以下とすることである。
【0085】
輝尽性蛍光体層用塗布液の調製は、ボールミル、サンドミル、アトライター、三本ロールミル、高速インペラー分散機、Kadyミル、および超音波分散機などの分散装置を用いて行なわれる。調製された塗布液をドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーターなどの塗布液を用いて支持体上に塗布し、乾燥することにより輝尽性蛍光体層が形成される。前記塗布液を保護層上に塗布し、乾燥した後に輝尽性蛍光体層と支持体とを接着してもよい。
【0086】
【実施例】
本発明を実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
【0087】
実施例1
《BaFI:Eu2+の調製》
表1に示すヨウ化バリウム2水塩またはヨウ化バリウム6水塩を溶解して、表1に示す濃度の水溶液を調製した。この水溶液中にヨウ化ユーロピウムを2/1000モル(2×10-3モル)添加し、80℃に調整して溶解する。この溶液にNH4Fの5モル/リットル水溶液を10ml/minの添加速度で200ml添加してBaFI:Eu2+前駆体を析出させる。
【0088】
この前駆体を80℃で1時間熟成後、1μmのメンブランフィルターを用いて吸引濾過を行い、沈殿物を濾別後、エタノールを用いて洗浄し、BaFI:Eu3+前駆体を得た。
【0089】
得られたBaFI:Eu3+前駆体を80℃のオーブンにて2時間乾燥後、電気炉にて1%のH2−N2混合ガス中で850℃で3時間過熱し、輝尽性蛍光体BaFI:Eu2+を作製した。尚、試料1、試料2および比較試料1〜3の輝尽性蛍光体は平板結晶であった。また、試料3〜6の輝尽性蛍光体は略立方体結晶であり、試料3の輝尽性蛍光体と、試料6の輝尽性蛍光体をX線解析で測定したところ、試料6の方が格子間距離で3%短いことがわかった。各輝尽性蛍光体の粒径は表1の通りである。
【0090】
また、試料3〜6の輝尽性蛍光体は、試料1,2および比較試料1〜3のものと比べて焼結度合が低く、50μm2のステンレス製篩を用いて篩分けをしても50%以上が篩目を通った。
《輝尽性蛍光体の密度の測定》
規定量の粉体をピクノメータの中に入れ、さらにこの中に四塩化炭素を入れて、超音波脱泡、減圧脱泡を行った後、質量を測定した(ピクノメータ法)。
《放射線像変換パネルの調製》
上記得られた各輝尽性蛍光体BaFI:Eu2+を用い、輝尽性蛍光体とポリエステル樹脂の容量%85:15で固形分濃度80質量%の輝尽性蛍光体塗料を作製し、ポリエチレンテレフタレート上にナイフコーターを用いて塗布、乾燥後、適性な大きさに裁断した後、50μmのGLEE(凸版(株)製)を用いて融着封止し、放射線像変換パネル試料1〜6および放射線像変換パネル比較試料1〜3を調製した。
《輝尽性蛍光体層の密度の測定》
上記作製した放射線変換パネルの一定面積を切り出し、輝尽性蛍光体層の層厚を測定して体積を計算した。その後、前記切り出した放射線変換パネルを溶剤に浸漬して輝尽性蛍光体層膨潤させ、剥離し、該剥離した層を再度乾燥させて質量を測定した。得られた体積と質量から輝尽性蛍光体層の密度を測定した。
《放射線像変換パネルの評価》
〈輝度の評価〉
放射線像変換パネルに管電圧80kVpのX線を照射した後、パネルを200mWの半導体レーザー(780nm)で走査して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を光電子増倍管(浜松ホトニクス社製光電子増倍管R1305)を用いて受光し、その強度を測定し試料1を1.00とした相対値で表した。
〈鮮鋭性の評価〉
鮮鋭性は放射線像変換パネルにMTF測定用矩形波チャート(コニカメディカル〔株〕製)を通して管電圧80kVpのX線を照射した後、パネルを200mWの半導体レーザー(780nm)で走査して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を、上記と同じ受光器で受光して電気信号に変換し、アナログ/デジタル変換して磁気テープにより記録した。記録した磁気テープをコンピューターで分析して磁気テープに記録されているX線像の変調伝達関数(MTF)で表した。MTFは空間周波数2サイクル(1p)/mmMTF%で示した。
【0091】
【表1】
Figure 0004254037
【0092】
表1から、本発明の放射線像変換パネル試料は、比較試料に比して輝度、鮮鋭性に優れていることが分かる。このように輝度および鮮鋭性に優れているためマンモグラフィーの撮影に適していると言える。
【0093】
実施例2
以下の点を除き、実施例1と同様に、試料を作製した。
【0094】
蛍光体は3.95mol/Lの90℃ヨウ化バリウム溶液に、90℃に加熱したNH4Fを添加し、加熱時に母液濃度を一定に保つように蒸発量を調整して作製した。
【0095】
蛍光体粒径はNH4F濃度を2ミクロンでは16mol/L、3ミクロンでは12mol/L、5ミクロンでは5mol/Lに調整し添加を行い作製した。
【0096】
得られた蛍光体97質量部に対しポリエステル樹脂(東洋紡製:バイロン300)を3質量部、溶剤としてのシクロヘキサノンを充填率60%では100質量部、充填率65%では80質量部と溶剤量を調整し塗料を作製した。
【0097】
得られた塗料を持ち手ナイフコーターにて所定の膜厚、乾燥条件で以下のサンプルを作製した。
【0098】
評価については、マンモ専用にMoフィルタ、Mo管球を用いて撮影を行った。マンモ撮影装置は東芝製mammmolexにて評価した(SID=600)。読み取りにはコニカ製Regius150高精細モードにて読み取りを行い画像および信号値を得た。得られた画像および信号値をもとに以下の関係式を得て、評価した結果を表2に示す。
【0099】
画像パラメータP
P=粒状度*コントラスト
粒状度=1−E^{(−4/π)*(α/(1−α))*(L/d*η)}
E=自然対数exp
α=充填率
L=膜厚
d=粒径
η=1粒子あたりの変換係数
※以下ではη=0.01で近似した
コントラスト=E^{(A/100)*(L/1000)*((1−α)/α)*θ}
A=管電圧
L=膜厚
α=充填率
θ=変位係数
※θ=30で近似した
表2および表3において、上記パラメータPにて0.2以上が好ましいマンモグラフィー用の画像である。
【0100】
【表2】
Figure 0004254037
【0101】
【表3】
Figure 0004254037
【0102】
【発明の効果】
管電圧が低いX線を用いた撮影であっても、輝度や鮮鋭性が優れた輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換プレートおよび輝尽性蛍光体を提供することが出来た。

Claims (11)

  1. 支持体上に、輝尽性蛍光体を含有する輝尽性蛍光体層と、保護層とをこの順序で有する放射線像変換パネルにおいて、前記輝尽性蛍光体の密度が5.80g/cm 以上であり且つ前記輝尽性蛍光体層の密度が3.00g/cm以上であり、且つ輝尽性蛍光体層の厚さが200μm未満であることを特徴とする放射線像変換パネル。
  2. 前記輝尽性蛍光体層の密度が3.12g/cm以上であることを特徴とする請求項1に記載の放射線像変換パネル。
  3. 前記輝尽性蛍光体が下記一般式(1)で表わされる蛍光体であることを特徴とする請求項1または2項に記載の放射線像変換パネル。
    一般式(1)
    (Ba1−x )FX:yEu2+
    但し、MはMg、Ca、Sr、ZnおよびCdからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属、
    XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲン、xおよびyは0≦x≦0.6および0<y≦0.2なる条件を満たす数字、
    を表わす。
  4. 一般式(1)においてXがI(ヨウ素)であることを特徴とする請求項3記載の放射線像変換パネル。
  5. 前記輝尽性蛍光体が、ヨウ化バリウム水溶液を原料として作製され、前記ヨウ化バリウム水溶液のヨウ化バリウム濃度が3mol/L以上であることを特徴とする請求項4に記載の放射線像変換パネル。
  6. 前記輝尽性蛍光体層の充填率が60%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の放射線像変換パネル。
  7. 前記輝尽性蛍光体の平均粒径が5μm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の放射線像変換パネル。
  8. 前記輝尽性蛍光体層が、結合剤を含有し、該結合剤がスルホン酸基を含有するポリエステル樹脂若しくはポリウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の放射線像変換パネル。
  9. 放射線像変換パネル上に被写体を介して放射線を照射する放射線像撮影方法において、前記放射線像変換パネルは、支持体上に、輝尽性蛍光体を含有する輝尽性蛍光体層と、保護層とをこの順序で有し、前記輝尽性蛍光体の密度が5.80g/cm 以上であり且つ前記輝尽性蛍光体層の密度が3.00g/cm 以上であり、且つ輝尽性蛍光体層の厚さが200μm未満であることを特徴とする放射線像撮影方法。
  10. 前記放射線像変換パネルに放射線を照射することにより、乳房の放射線像を蓄積することを特徴とする請求項9に記載の放射線像撮影方法。
  11. 前記放射線の放射において、管電圧30kV以下で放射線を放射することを特徴とする請求項9または10に記載の放射線像撮影方法。
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