JP2004177314A - 放射線像変換パネル及びその製造方法 - Google Patents

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Noriyuki Mishina
紀之 三科
Takafumi Yanagida
貴文 柳多
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Abstract

【課題】鮮鋭性及び粒状性の高い、輝尽性蛍光体を含有する放射線像変換パネル及びその製造方法を得ること。
【解決手段】支持体上に、輝尽性蛍光体を含有する輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネルの製造方法において、該輝尽性蛍光体層に、平均粒子径が1.2μm以下の顔料を該輝尽性蛍光体に対して0.0002〜0.001質量%含有し、かつ平均粒子径が3.0μm以下の輝尽性蛍光体を含有することを特徴とする放射線像変換パネルの製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は輝尽性蛍光体を含有する放射線像変換パネル及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
X線画像のような放射線画像は、病気診断用等の分野で多く用いられている。このX線画像を得る方法としては、被写体を通過したX線を蛍光体層(蛍光スクリーン)に照射し、これにより可視光を生じさせた後、この可視光を通常の写真を撮るときと同様にして、ハロゲン化銀写真感光材料に照射し、次いで現像処理を施して可視銀画像を得る、いわゆる放射線写真方式が広く利用されている。
【0003】
しかしながら、近年では、ハロゲン化銀塩を有する感光材料による画像形成方法に代わり、蛍光体層から直接画像を取り出す新たな方法が提案されている。
【0004】
この方法としては被写体を透過した放射線を蛍光体に吸収せしめ、しかる後この蛍光体を、例えば光または熱エネルギーで励起することによりこの蛍光体が上記吸収により蓄積している放射線エネルギーを蛍光として放射せしめ、この蛍光を検出し画像化する方法がある。
【0005】
具体的には、例えば、米国特許第3,859,527号及び特開昭55−12144号等に記載されているような輝尽性蛍光体を用いる放射線画像変換方法が知られている。
【0006】
この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射線画像変換パネルを使用するもので、この放射線画像変換パネルの輝尽性蛍光体層に被写体を透過した放射線を当てて、被写体各部の放射線透過密度に対応する放射線エネルギーを蓄積させて、その後、輝尽性蛍光体を可視光線、赤外線等の電磁波(励起光)で時系列的に励起することにより、輝尽性蛍光体中に蓄積されている放射線エネルギーを輝尽発光として放出させ、この光の強弱による信号を、例えば、光電変換して電気信号を得て、この信号をハロゲン化銀写真感光材料等の記録材料、CRT等の表示装置上に可視像として再生するものである。
【0007】
上記の放射線画像の再生方法によれば、従来の放射線写真フィルムと増感紙との組合せによる放射線写真法と比較して、はるかに少ない被曝線量で、かつ情報量の豊富な放射線画像を得ることができるという利点を有している。
【0008】
このように輝尽性蛍光体は、放射線を照射した後、励起光を照射すると輝尽発光を示す蛍光体であるが、実用的には、波長が400〜900nmの範囲にある励起光によって、300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す蛍光体が一般的に利用される。
【0009】
これらの輝尽性蛍光体を使用した放射線画像変換パネルは、放射線画像情報を蓄積した後、励起光の走査によって蓄積エネルギーを放出するので、走査後に再度放射線画像の蓄積を行うことができ、繰り返し使用が可能である。つまり従来の放射線写真法では、一回の撮影ごとに放射線写真フィルムを消費するのに対して、この放射線画像変換方法では放射線画像変換パネルを繰り返し使用するので、資源保護、経済効率の面からも有利である。
【0010】
しかし、未だ輝度、粒状性や鮮鋭性について十分な性能が得られているとは言えない。特に、マンモグラフィーの撮影では、乳腺、間質組織、脂肪、血管、皮膚等X線吸収係数が近似している組織からなる乳房を撮影するため、画像としてはX線吸収差を大きくして組織を見えやすくする必要があるが、X線吸収差を大きくするにはX線の線質をより物質に吸収されやすくして撮影する必要があり、そのためには管電圧の低いX線で撮影することになる(X線の管電圧が低いほどX線吸収差が大きくなる)。よって、一般的な胸部撮影での管電圧80〜140kVpと比べ、マンモグラフィーの撮影では管電圧24〜32kVpと遥かに輝尽性蛍光体に吸収されやすいX線を用いている。しかし、放射線像変換パネルの発光については、管電圧が高いX線ほど輝度が高くなり、管電圧が低いX線ほど輝度が低くなるという性質があり、管電圧が低いマンモグラフィー撮影では、X線がパネル底部に届かずに表面の発光が支配的となってしまう。
【0011】
また、放射線画像変換パネルを使用した放射線画像変換方式は、輝尽性蛍光体層内での励起光の散乱が原因で鮮鋭性が劣化し、高鮮鋭性の画質が要求されるマンモグラフィーにおいては、十分な画質が得られないことが知られている。このため、輝尽性蛍光体層内の励起光の拡散防止として、例えば、蛍光体層中に青色の顔料を含有し、蛍光体層を青く着色する方法等が考えられるが、顔料の含有により、輝尽発光の吸収が高くなり輝度が低下するとともに粒状性が大幅に劣化し、十分な画質が得られない。また、同様に輝尽性蛍光体層の上層部と下層部の着色濃度を変化させて、深さ方向に対してグラデーション状の着色輝尽性蛍光体層を形成する方法等が開示されているが(例えば、特許文献1参照。)、構成が複雑な割には効果が小さく、また着色剤の粒径規定がないため、効果にばらつきがある。よって、輝度及び粒状性の劣化の少ない高鮮鋭性の放射線変換パネルの技術開発が強く要望されている。
【0012】
【特許文献1】
特開平8−122499号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、鮮鋭性及び粒状性の高い、輝尽性蛍光体を含有する放射線像変換パネル及びその製造方法を得ることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は以下の手段によって達成される。
【0015】
1.支持体上に、輝尽性蛍光体を含有する輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネルの製造方法において、該輝尽性蛍光体層に、平均粒子径が1.2μm以下の顔料を該輝尽性蛍光体に対して0.0002〜0.001質量%含有し、かつ平均粒子径が3.0μm以下の輝尽性蛍光体を含有することを特徴とする放射線像変換パネルの製造方法。
【0016】
2.輝尽性蛍光体が前記一般式(1)で表される蛍光体であることを特徴とする上記1に記載の放射線像変換パネルの製造方法。
【0017】
3.X線エネルギーが28kVp以下のX線に対して85〜93%の吸収量を示す蛍光体層を有することを特徴とする上記1または2に記載の放射線像変換パネルの製造方法。
【0018】
4.上記1〜3のいずれか1項に記載の放射線像変換パネルの製造方法により製造することを特徴とするを放射線像変換パネル。
【0019】
以下本発明を詳細に説明する。
マンモ撮影(マンモグラフィー)においては、乳房組織(筋肉、脂肪、乳腺等)のX線吸収差が小さいことから、撮影管電圧を低圧にして利用することが好ましい。低圧で撮影された画像はコントラストが高く、診断性能を大幅に向上させることが可能となる。しかし、撮影管電圧を低圧にすると被写体に吸収されるX線量が著しく増加し放射線像変換パネル(ディテクタ)に到達するX線量が減り、効率的に情報を取り出すことができないため画像性能(粒状性等)が低下する問題があった。
【0020】
本発明では上記問題点を解決すべく検討を行った結果、マンモ診断に効果の高い管電圧32kVp以下での撮影であっても、粒状性、鮮鋭性に優れた画像形成が可能な放射線像変換パネルを開発したものである。
【0021】
本発明者は鋭意研究の結果、輝尽性蛍光体層に平均粒子径が0.1〜1.2μmの顔料を、輝尽性蛍光体層中に含有される輝尽性蛍光体に対して0.0002〜0.001質量%含有し、かつ平均粒子径が3.0μm以下の輝尽性蛍光体を含有させることにより、鮮鋭性及び粒状性の高い放射線像変換パネルが得られることを見出した。
【0022】
また、本発明の効果をより発現するためには、上記輝尽性蛍光体が特定の組成であり、特定の低エネルギーのX線に対し一定の範囲の吸収量を示す輝尽性蛍光体層とすることが好ましい。
【0023】
(顔料)
本発明において輝尽性蛍光体層に用いる顔料について説明する。
【0024】
本発明においては、顔料の平均粒子径が0.1〜1.2μmであることが好ましい。0.1μm未満では顔料微粒子化の影響で粒子の存在状態が不安定となり凝集が発生するため安定製造の観点から好ましくなく、1.2μmを越える場合は励起光を散乱させるため粒状性や鮮鋭性の観点から好ましくない。
【0025】
顔料の平均粒子径は、顔料を水中に適当な界面活性剤を用いて分散し、光散乱法粒子径測定装置(例えば、堀場製作所製LA−910)を用いて求めることができる。
【0026】
本発明に係る顔料の添加方法として、顔料は溶液に予備分散された状態(以下、顔料分散液という)で添加されることが好ましい。添加のタイミングとしては、結合剤と溶剤の混合溶液に顔料分散液を添加混合した後、輝尽性蛍光体を添加分散し輝尽性蛍光体層形成用塗布液を調製することができる。また、結合剤と溶剤の混合溶液に輝尽性蛍光体を添加分散した後、顔料分散液を添加混合し輝尽性蛍光体層形成用塗布液を調製することも可能である。このときの添加量は、輝尽性蛍光体に対して0.0002〜0.001質量%となるように顔料分散液量を添加することが好ましい。
【0027】
顔料分散液の調製は、一般的な分散装置を用いて調製することができるが、特に分散液中にガラスビーズやジルコニアビーズ等のメディアを加えて混合分散することにより、平均粒子径が0.1〜0.2μmの顔料を含んだ安定した顔料分散液が得られる。混合分散に用いられるメディアは直径3mm以下のものが好ましく、更に好ましいのは直径1mm以下である。分散時間はメディアの種類、径及び比重等によっても異なるが、0.5〜5時間が好ましく、特に0.5〜3時間が好ましい。加えられたメディアを濾別することにより、最終的な顔料分散液が得られる。
【0028】
顔料分散液の固形分濃度は、取り扱い上の観点から30質量%以下が望ましく、特に20質量%以下が好ましい。
【0029】
本発明の放射線像変換パネルに使用される顔料は、輝尽性蛍光体の励起光波長領域における平均吸収率が、輝尽性蛍光体の輝尽発光波長領域における平均吸収率よりも大きいような吸収特性を有することが好ましい。
【0030】
従って、いかなる顔料を使用するかは放射線像変換パネルに使用する輝尽性蛍光体の種類によって決まる。以下に述べるように、500〜800nmの励起光によって300〜600nmの輝尽発光を示す輝尽性蛍光体を使用するのが実用上は望ましいが、このような輝尽性蛍光体に対しては、励起光波長領域における平均反射率が輝尽発光波長領域における平均反射率よりも小さくなり、かつ、両者の差ができるだけ大きくなるように、有機系または無機系顔料のいずれも使用することができる。例えば、特開昭47−30330号、同56−5552号記載のペリレン顔料、特開昭47−30331号等に記載のキナクリドン顔料、特開昭47−18543号記載のビスベンズイミダゾール顔料、特開昭47−18544号、同55−98754号、同55−126254号、同55−163543号に記載の芳香族多縮合環化合物、特公昭44−16373号、同48−30513号、特開昭56−321465号等に記載のアゾ顔料、特公昭50−7434号、特開昭47−37548号、同55−11715号、同56−1944号、同56−9752号、同56−2352号、同56−80050号等に記載のジスアゾ顔料、特公昭44−12671号、同40−2780号、同52−1667号、同46−30035号、同49−17535号、特開昭49−11136号、同49−99142号、同51−109841号、同57−148745号等に記載のフタロシアニン顔料等が挙げられる。
【0031】
また、これらの色材は市販されており、青色〜緑色の有機系顔料の例としては、ザボンファーストブルー3G(ヘキスト社製)、エストロールブリルブルーN−3RL(住友化学(株)製)、スミアクリルブルーF−GSL(住友化学(株)製)、D&CブルーNo1(ナショナル・アニリン社製)、スピリットブルー(保土谷化学(株)製)、オイルブルーNo603(オリエント(株)製)、キトンブルーA(チバ・ガイギー社製)、アイゼンカチロンブルーGLH(保土谷化学(株)製)、レイクブルーA、F、H(協和産業(株)製)、ローダリンブルー6GX(協和産業(株)製)、ブリモシアニン6GX(稲畑産業(株)製)、ブリルアシッドグリーン6BH(保土谷化学(株)製)、シアニンブルーBNRS(東洋インキ(株)製)、ライオノルブルーSL(東洋インキ(株)製)が挙げられる。青色〜緑色の無機系顔料の例としては、群青、コバルトブルー、セルリアンブルー、酸化クロム、TiO−ZnO−CoO−NiO系顔料が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。青色〜緑色の有機系顔料として、金属フタロシアニン系等の有機金属錯塩、中でも、銅フタロシアニン系有機金属錯塩が最も好ましい。
【0032】
次いで、輝尽性蛍光体層について説明する。
輝尽性蛍光体層は、一般に、輝尽性蛍光体とこれを分散保持する高分子樹脂とから構成される。また、輝尽性蛍光体層の支持体側とは反対側の表面には通常、ポリマーフィルムや無機物の蒸着膜からなる保護層膜が設けられる。
【0033】
本発明に係る輝尽性蛍光体層は、少なくとも輝尽性蛍光体、高分子樹脂及び上記顔料とを含有している。
【0034】
(輝尽性蛍光体)
本発明で用いることのできる輝尽性蛍光体(以下、単に蛍光体ともいう)としては、波長300〜600nmの波長範囲に輝尽発光するものが一般的に使用される。蛍光体の粒径は3μm以下であることが必要である。3μm以下の粒径を得るには製造条件を調整するまたは分級する方法がある。
【0035】
以下に、本発明の放射線像変換パネルで用いることのできる蛍光体の例を挙げる。
【0036】
(1)特開昭55−12145号に記載されている(Ba1−X,M(II))FX:yA、(式中、M(II)はMg、Ca、Sr、Zn及びCdのうちの少なくとも一つ、XはCl、Br、及びIのうち少なくとも一つ、AはEu、Tb、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、及びErのうちの少なくとも一つ、そしては、0≦x≦0.6、yは、0≦y≦0.2である)の組成式で表される希土類元素賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物蛍光体;また、この蛍光体には以下のような添加物が含まれていてもよい。
【0037】
a)特開昭56−74175号に記載されている、X′、BeX″、M(III)X″′、式中、X′、X″、及びX″′はそれぞれCl、Br及びIの少なくとも一種であり、M(III)は三価金属である
b)特開昭55−160078号に記載されているBeO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Al、Y、La、In、SiO、TiO、ZrO、GeO、SnO、Nb、Ta及びThO等の金属酸化物
c)特開昭56−116777号に記載されているZr、Sc
d)特開昭57−23673号に記載されているB
e)特開昭57−23675号に記載されているAs、Si
f)特開昭58−206678号に記載されているM・L、式中、MはLi、Na、K、Rb、及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、LはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga、In、及びTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属である
g)特開昭59−27980号に記載されているテトラフルオロホウ酸化合物の焼成物;特開昭59−27289号に記載されているヘキサフルオロケイ酸、ヘキサフルオロチタン酸及びヘキサフルオロジルコニウム酸の一価もしくは二価金属の塩の焼成物;特開昭59−56479号に記載されているNaX′、式中、X′はCl、Br及びIのうちの少なくとも一種である
h)特開昭59−56480号に記載されているV、Cr、Mn、Fe、Co及びNi等の遷移金属;特開昭59−75200号に記載されているM(I)X′、M′(II)X″、M(III)X″′、A、式中、M(I)はLi、Na、K、Rb、及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、M′(II)はBe及びMgからなる群より選ばれる少なくとも一種の二価金属を表し、M(III)はAl、Ga、In、及びTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり、Aは金属酸化物であり、X′、X″、及びX″′はそれぞれF、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
i)特開昭60−101173号に記載されているM(I)X′、式中、M(I)はRb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、X′はF、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
j)特開昭61−23679号に記載されているM(II)′X′・M(II)′X″、式中、M(II)′はBa、Sr及びCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;X′及びX″はそれぞれCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX′≠X″である;更に、特開昭61−264084号明細書に記載されているLnX″、式中、LnはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;X″はF、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである。
【0038】
(2)特開昭60−84381号に記載されているM(II)X・aM(II)X′:xEu2+(式中、M(II)はBa、Sr及びCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;X及びX′はCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX≠X′であり;そしてaは0.1≦a≦10.0、xは0<x≦0.2である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロゲン化物蛍光体;また、この蛍光体には以下のような添加物が含まれていてもよい。
【0039】
a)特開昭60−166379号に記載されているM(I)X′、式中、M(I)はRb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;X′はF、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
b)特開昭60−221483号に記載されているKX″、MgX″′、M(III)X″″、式中、M(III)はSc、Y、La、Gd及びLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり;X″、X″′及びX″″はいずれもF、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
c)特開昭60−228592号に記載されているB、特開昭60−228593号に記載されているSiO、P等の酸化物、特開昭61−120882号に記載されているLiX″、NaX″、式中、X″はF、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
d)特開昭61−120883号に記載されているSiO;特開昭61−120885号に記載されているSnX″、式中、X″はF、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
e)特開昭61−235486号に記載されているCsX″、SnX″′、式中、X″及びX″′はそれぞれF、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである;更に、特開昭61−235487号に記載されているCsX″、Ln3+、式中、X″はF、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;LnはSc、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素である
(3)特開昭55−12144号に記載されているLnOX:xA(式中、LnはLa、Y、Gd、及びLuのうち少なくとも一つ;XはCl、Br、及びIのうち少なくとも一つ;AはCe及びTbのうち少なくとも一つ;xは、0<x<0.1である)の組成式で表される希土類元素賦活希土類オキシハライド蛍光体。
【0040】
(4)特開昭58−69281号に記載されているM(II)OX:xCe(式中、M(II)はPr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化金属であり;XはCl、Br、及びIのうち少なくとも一つであり;xは0<x<0.1である)の組成式で表されるセリウム賦活三価金属オキシハライド蛍光体。
【0041】
(5)特開昭62−25189号に記載されているM(I)X:xBi(式中、M(I)はRb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;XはCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてxは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるビスマス賦活アルカリ金属ハロゲン化物蛍光体。
【0042】
(6)特開昭60−141783号に記載されているM(II)(POX:xEu2+(式中、M(II)はCa、Sr及びBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはF、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロリン酸塩蛍光体。
【0043】
(7)特開昭60−157099号に記載されているM(II)BOX:xEu2+(式中、M(II)はCa、Sr及びBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロホウ酸塩蛍光体。
【0044】
(8)特開昭60−157100号に記載されているM(II)(POX:xEu2+(式中、M(II)はCa、Sr及びBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロリン酸塩蛍光体。
【0045】
(9)特開昭60−217354号に記載されているM(II)HX:xEu2+(式中、M(II)はCa、Sr及びBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属水素化ハロゲン化物蛍光体。
【0046】
(10)特開昭61−21173号に記載されているLnX・aLn′X′:xCe3+、(式中、Ln及びLn′はそれぞれY、La、Gd及びLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;X及びX′はそれぞれF、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX≠X′であり;そしてaは0.1<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるセリウム賦活希土類複合ハロゲン化物蛍光体。
【0047】
(11)特開昭61−21182号に記載されているLnX・aM(I)X′3:xCe3+、(式中、LnはY、La、Gd及びLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;M(I)はLi、Na、K、Cs及びRbからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;X及びX′はそれぞれCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるセリウム賦活希土類複合ハロゲン化物系蛍光体。
【0048】
(12)特開昭61−40390号に記載されているLnPO・aLnX:xCe3+、(式中、LnはY、La、Gd及びLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;XはF、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0.1≦a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるセリウム賦活希土類ハロ燐酸塩蛍光体。
【0049】
(13)特開昭61−236888号に記載されているCsX:aRbX′:xEu2+、(式中、X及びX′はそれぞれCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活ハロゲン化セシウム・ルビジウム蛍光体。
【0050】
(14)特開昭61−236890号に記載されているM(II)X・aM(I)X′:xEu2+、(式中、M(II)はBa、Sr及びCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;M(I)はLi、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;X及びX′はそれぞれCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0.1≦a≦20.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活複合ハロゲン化物蛍光体。
【0051】
本発明の輝尽性蛍光体は、その密度が5.45g/cm以上、より好ましくは5.80g/cm以上である。その中でも、上記一般式(1)からなる輝尽性蛍光体が好ましい。一般式(1)で表される輝尽性蛍光体の場合、I(ヨウ素)の含有率が高いものほどその密度を高くすることができる。また、輝尽性蛍光体が同じ組成である場合には、輝尽性蛍光体粒子の結晶系を変化させて格子間距離を短くすることによって密度を高くすることが可能である。一般式(1)で表される輝尽性蛍光体では、平板状<立方体<14面体<球体の結晶系の順番で密度が高くなる。一般式(1)で表される蛍光体の製造方法を、例を挙げて以下に詳しく説明する。
【0052】
製造方法としては、固相法及び液相法の何れで行ってもよいが、粒子形状の制御が難しい固相法ではなく、粒径の制御が容易である液相合成法により行うことが好ましい。特に、下記の液相合成法により蛍光体を得ることが好ましい。
【0053】
液相合成法による蛍光体の前駆体製造については、公知の前駆体製造方法及び装置が好ましく利用できる。ここで蛍光体前駆体とは、前記一般式(1)で表される蛍光体が600℃以上の高温を経ていない状態を示し、蛍光体前駆体は輝尽発光性や瞬時発光性をほとんど示さない。
【0054】
本発明では以下の液相合成法により前駆体を得ることが好ましい。
(製造法)
(1)BaIとEuのハロゲン化物を含み、前記一般式(1)のxが0でない場合には、更にM(II)のハロゲン化物を含み、それらが溶解した後、BaI濃度が3.3mol/L以上、好ましくは3.5mol/L以上の溶液を調製する工程;
(2)上記溶液を50℃以上、好ましくは80℃以上の温度に維持しながら、これに濃度5mol/L以上、好ましくは8mol/L以上の無機弗化物(弗化アンモニウムまたはアルカリ金属の弗化物)の溶液を添加して、希土類賦活アルカリ土類金属弗化沃化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の沈澱物を得る工程;
(3)上記無機弗化物を添加しつつ、または添加終了後、反応液から溶媒を除去する工程;
(4)上記前駆体結晶沈澱物を反応液から分離する工程;
(5)そして、分離した前駆体結晶沈澱物を焼結を避けながら焼成する工程
を含む製造方法である。
【0055】
なお、本発明に係る粒子(結晶)は、平均粒子径が3μm以下であることが必要である。粒径分布は変動係数が20%以下の単分散性のものが好ましく、平均粒子径は1〜3μmが好ましい。
【0056】
本発明における平均粒子径とは、粒子(結晶)の電子顕微鏡写真より無作為に粒子200個を選び、球換算の体積粒子径で平均を求めたものである。
【0057】
以下に蛍光体の製造法の詳細について説明する。
(前駆体結晶の沈澱物の作製、蛍光体の作製)
最初に、水系媒体を用いて弗素化合物以外の原料化合物を溶解させる。即ち、BaIとEuのハロゲン化物、そして必要により更にM(II)のハロゲン化物を水系媒体中に入れ、充分に混合し、溶解させ、それらが溶解した水溶液を調製する。ただし、BaI濃度が3.3mol/L以上、好ましくは3.5mol/L以上となるように、BaI濃度と水系溶媒との量比を調整しておく。この時、バリウム濃度が低いと、所望の組成の前駆体が得られないか、得られても粒子が肥大化する。よって、バリウム濃度は適切に選択する必要があり、本発明者らの検討の結果、3.3mol/L以上で微細な前駆体粒子を形成することができることが判った。この時、所望により少量の酸、アンモニア、アルコール、水溶性高分子ポリマー、水不溶性金属酸化物微粒子粉体等を添加してもよい。BaIの溶解度が著しく低下しない範囲で低級アルコール(メタノール、エタノール等)を適当量添加しておくのも好ましい態様である。この水溶液(反応母液)は50℃に維持される。
【0058】
次に、この50℃に維持され、撹拌されている水溶液に、無機弗化物(弗化アンモニウム、アルカリ金属の弗化物等)の水溶液をポンプ付きのパイプ等を用いて注入する。この注入は、撹拌が特に激しく実施されている領域部分に行うのが好ましい。この無機弗化物水溶液の反応母液への注入によって、前記一般式(1)に該当する蛍光体前駆体結晶が沈澱する。
【0059】
次に反応液から溶媒を除去する。溶媒を除去する時期は特に問わない。無機弗化物溶液の添加開始から、固液分離する迄の間であれば何時でもよい。最も好ましいのは無機弗化物溶液を添加し終えた直後から除去を始める態様である。
【0060】
溶媒の除去量は、除去前と除去後の質量比で2%以上が好ましい。これ以下では結晶が好ましい組成になりきらない場合がある。そのため除去量は2%以上が好ましく、5%以上がより好ましい。また、除去し過ぎても、反応溶液の粘度が過剰に上昇する等、ハンドリングの面で不都合が生じる場合がある。そのため、溶媒の除去量は、除去前と除去後の質量比で50%以下が好ましい。
【0061】
溶媒の除去に要する時間は、生産性に大きく影響するばかりでなく、粒子の形状、粒径分布も溶媒の除去方法に影響されるので、除去方法は適切に選択する必要がある。一般的に、溶媒の除去に際しては、溶液を加熱し、溶媒を蒸発する方法が選択される。本発明においても、この方法は有用である。溶媒の除去により、意図した組成の前駆体を得ることができる。
【0062】
更に、生産性を上げるため、また、粒子形状を適切に保つため、他の溶媒除去方法を併用することが好ましい。併用する溶媒の除去方法は特に問わない。逆浸透膜等の分離膜を用いる方法を選択することも可能である。本発明では生産性の面から、以下の除去方法を選択することが好ましい。
【0063】
(1)乾燥気体を通気
反応容器を密閉型とし、少なくとも2箇所以上の気体が通過できる孔を設け、そこから乾燥気体を通気する。気体の種類は任意に選ぶことができる。安全性の面から、空気、窒素が好ましい。通気する気体の飽和水蒸気量に依存して溶媒が気体に同伴、除去される。反応容器の空隙部分に通気する方法の他、液相中に気体を気泡として噴出させ、気泡中に溶媒を吸収させる方法もまた有効である。
【0064】
(2)減圧
減圧にすることで溶媒の蒸気圧は低下する。蒸気圧降下により効率的に溶媒を除去することができる。減圧度としては溶媒の種類により適宜選択することができる。溶媒が水の場合、86,450Pa以下が好ましい。
【0065】
(3)液膜
蒸発面積を拡大することにより溶媒の除去を効率的に行うことができる。本発明のように、一定容積の反応容器を用いて加熱、攪拌し、反応を行わせる場合、加熱方法としては、加熱手段を液体中に浸漬するか、容器の外側に加熱手段を装着する方法が一般的である。この方法によると、伝熱面積は液体と加熱手段が接触する部分に限定され、溶媒除去に伴い伝熱面積が減少し、よって、溶媒除去に要する時間が長くなる。これを防ぐため、ポンプまたは攪拌機を用いて反応容器の壁面に散布し、伝熱面積を増大させる方法が有効である。
【0066】
このように反応容器壁面に液体を散布し、液膜を形成する方法は“濡れ壁”として知られている。濡れ壁の形成方法としては、ポンプを用いる方法の他、特開平6−335627号、同11−235522号に記載の攪拌機を用いる方法が挙げられる。
【0067】
これらの方法は単独のみならず、組み合わせて用いても構わない。液膜を形成する方法と容器内を減圧にする方法の組合せ、液膜を形成する方法と乾燥気体を通気する方法の組合せ等が有効である。特に前者が好ましく、特開平6−335627号に記載の方法が好ましく用いられる。
【0068】
次に、上記の蛍光体前駆体結晶を、濾過、遠心分離等により溶液から分離し、メタノール等で充分に洗浄し、乾燥する。この乾燥蛍光体前駆体結晶に、アルミナ微粉末、シリカ微粉末等の焼結防止剤を添加、混合し、結晶表面に焼結防止剤微粉末を均一に付着させる。なお、焼成条件を選ぶことにより焼結防止剤の添加を省略することも可能である。
【0069】
次に、蛍光体前駆体の結晶を、石英ボート、アルミナ坩堝、石英坩堝等の耐熱性容器に充填し、電気炉の炉心に入れて焼結を避けながら焼成を行う。焼成温度は400〜1,300℃の範囲が適当であり、500〜1,000℃の範囲が好ましい。焼成時間は、蛍光体原料混合物の充填量、焼成温度及び炉からの取出し温度等によっても異なるが、一般には0.5〜12時間が適当である。
【0070】
焼成雰囲気としては、窒素ガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気等の中性雰囲気、または少量の水素ガスを含有する窒素ガス雰囲気、一酸化炭素を含有する二酸化炭素雰囲気等の弱還元性雰囲気、または微量酸素導入雰囲気が利用される。焼成方法については、特開2000−8034に記載の方法が好ましく用いられる。上記の焼成によって目的の蛍光体が得られる。
【0071】
放射線像変換パネルに使用される蛍光体は、高分子樹脂に分散された形態で蛍光体層中に含有されている。蛍光体層で用いることのできる高分子樹脂としては、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。中でもポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体、ポリビニルブチラール、ニトロセルロース等を挙げることができ、平均ガラス転移点温度(Tg)が25℃未満の高分子樹脂を用いることが好ましく、Tgが−50〜20℃の高分子樹脂だと更に好ましい。
【0072】
輝尽性蛍光体層塗布液は、適当な有機溶媒中に上記顔料、高分子樹脂及び蛍光体粒子とを添加し、例えば、ディスパーザーやボールミル等を使用して、攪拌、混合して、高分子樹脂中に蛍光体が均一に分散するようにして調製する。
【0073】
輝尽性蛍光体層塗布液の調製に用いられる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール等の低級アルコール、メチレンクロライド、エチレンクロライド等の塩素原子含有炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、キシレン等の芳香族化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエステル、エチレングリコールモノメチルエステル等のエーテル及びそれらの混合物を挙げることができる。これら輝尽性蛍光体層形成用塗布液調整用の溶剤は、少ない方が輝尽性蛍光体層の密度を高める上で好ましい。具体的には、塗布液中の溶剤量は25質量%以下、より好ましくは23質量%以下である。また、塗布後の乾燥をゆっくり行い、緻密な膜とするには、シクロヘキサンのような高沸点溶媒を塗布液の溶剤として用いることが好ましく、溶剤を混合系溶剤とする場合は、高沸点溶媒の比率を40質量%以上、好ましくは50質量%以上とすることが好ましい。
【0074】
なお、輝尽性蛍光体層形成用塗布液には、必要に応じて、塗布液中における蛍光体の分散性を向上させるための分散剤、またはパネル形成後の蛍光体層中における高分子樹脂と蛍光体との間の結合力を向上させるための可塑剤等種々の添加剤が混合されてもよい。
【0075】
分散剤の例としては、フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親油性界面活性剤等を挙げることができる。また、可塑剤の例としては、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸ジフェニル等の燐酸エステル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチル等のフタル酸エステル、グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタルブチル等のグリコール酸エステル、トリエチレングリコールとアジピン酸とのポリエステル、ジエチレングリコールと琥珀酸とのポリエステル等のポリエチレングリコールと脂肪族二塩基酸とのポリエステル等を挙げることができる。
【0076】
蛍光体層は、例えば次のような方法により支持体上に形成することができる。まず、輝尽性蛍光体、黄変防止のための亜燐酸エステル等の化合物及び結合剤を適当な溶媒に添加し、これらを充分に混合して結合剤溶液中に蛍光体粒子及び化合物の粒子が均一に分散した輝尽性蛍光体層形成用塗布液を調製する。
【0077】
一般に、結合剤は蛍光体99質量部に対して1〜99質量部の範囲で使用される。しかしながら得られる放射線変換パネルの感度、鮮鋭性から蛍光体と結合剤の比は97:3〜90:10(質量部)の範囲が好ましい。
【0078】
蛍光体層の塗布液の固形分としては75質量%以上が好ましい。更に好ましくは77質量%以上である。
【0079】
輝尽性蛍光体層形成用塗布液の調製は、ボールミル、サンドミル、アトライター、三本ロールミル、高速インペラー分散機、Kadyミル、及び超音波分散機等の分散装置を用いて行われる。
【0080】
上記のように調製した輝尽性蛍光体層形成用塗布液を支持体の表面に均一に塗布することにより塗布液の塗膜を形成する。この塗布操作は通常の塗布手段、例えばドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーター等を用いて行うことができる。次いで、形成された塗膜を徐々に加熱することにより乾燥し、蛍光体層の形成を完了する。
【0081】
放射線像変換パネルの蛍光体層の膜厚は、目的とする放射線像変換パネルの特性、蛍光体の種類、結合剤と蛍光体との混合比等によって異なるが、10〜1000μmの範囲から選ばれるのが好ましく、10〜500μmの範囲から選ばれるのがより好ましい。
【0082】
本発明の輝尽性蛍光体層はX線エネルギーが28kVp以下のX線に対して、85〜93%のX線吸収量を示す蛍光体層を有することが好ましい。85%未満であると放射線像変換パネルのX線吸収量が小さく充分な輝度が得られない。またX線吸収量が93%を超える場合は、パネルを透過したX線をフォトタイマーにて検知し、X線露光量を自動調整して撮影するオート撮影において、X線透過量が小さくなり被験者の被曝量が大きくなるため望ましくない。マンモ診断に効果の高い管電圧28kVp以下の撮影においては、輝尽性蛍光体の種類、輝尽性蛍光体層の充填率、厚さ、保護層の構成等を適宜調整することにより、X線の吸収量を本発明の範囲に調整することができる。なお、X線の吸収量の測定方法は実施例の項にて説明する。
【0083】
(下引き層)
本発明においては、支持体と蛍光体層の結合を強化するため、下引き層を設けてもよい。下引き層を設けることにより蛍光体層と支持体との密着性が改善すると共に、衝撃や、曲げ等の機械的刺激に対する蛍光体層のひび割れ、剥離等を防止することができる。また蛍光体層の塗膜形成時に、輝尽性蛍光体層形成用塗布液に含有される溶剤により、膨潤や部分的溶解を生じ、それに続く乾燥・収縮による蛍光体層のムラやクラックの発生を防止するため、下引き層は硬化剤(架橋剤)によって架橋し、硬化することが好ましい。硬化剤を下引き層の塗膜を構成する樹脂へ添加するタイミングは特に問わないが、製造面から、塗布直前に硬化剤を添加し、塗布液を調整することが好ましい。硬化剤を樹脂へ添加し放置することにより、樹脂溶液中で樹脂の架橋が一部起こり、塗布液の粘度が増加するためである。
【0084】
硬化剤として用いられる化合物は、特に制限はなく、例えば、イソシアネート及びその誘導体、メラミン及びその誘導体、アミノ樹脂及びその誘導体等を挙げることができるが、イソシアネート化合物を用いることが好ましく、例えば、日本ポリウレタン社製のコロネートHX、コロネート3041等が挙げられる。
硬化剤の使用量は、放射線像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体層及び支持体に用いる材料の種類、下引き層で用いる高分子樹脂の種類等により異なるが、輝尽性蛍光体層の支持体に対する接着強度の維持を考慮すれば、樹脂に対して50質量%以下の比率で添加することが好ましく、特に5〜40質量%が好ましい。
【0085】
下引き層の膜厚は、放射線像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体層及び支持体に用いる材料の種類、下引き層で用いる高分子樹脂及び硬化剤の種類等により異なるが、一般には3〜50μmであることが好ましく、特に5〜40μmである。
【0086】
下引き層に用いられる樹脂の例としては、ゼラチン等の蛋白質、デキストラン等のポリサッカライド、またはアラビアゴムのような天然高分子物質;及びポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ビニリデン、塩化ビニルコポリマー、ポリアクリル(メタ)アクリレート、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアルコール、線状ポリエステル等のような合成高分子物質等により代表される樹脂を挙げることができる。支持体、蛍光体層との相性、特性面、塗設時のハンドリング等の点から、ポリエステル系もしくはポリウレタン系樹脂を用いることが特に好ましい。
これらの樹脂を適当な溶剤、例えば前記輝尽性蛍光体層形成用塗布液の調製で用いる溶剤に添加し、溶解して樹脂溶液として用いる。
本発明で用いる樹脂については、既に溶剤に溶解させ樹脂溶液として市販されているものもあり、樹脂溶液として使用することができる。例えばポリエステル系樹脂の場合、バイロン30ss(東洋紡績(株)製;固形分濃度30質量%)、バイロン55ss(東洋紡績(株)製;固形分濃度35質量%)等が挙げられる。またこれらに前記溶剤、添加剤等を混合し、樹脂溶液として用いることもできる。
【0087】
(支持体)
本発明で用いることのできる支持体としては、例えば、ガラス、ウール、コットン、紙、金属等の種々の素材から作られたものを使用することができるが、情報記録材料としての取り扱い上、可撓性のあるシートまたはロールに加工できるものが好ましい。この点から、例えば、セルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスティックフィルム、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔等の金属シート、一般紙及び例えば写真用原紙、コート紙、若しくはアート紙のような印刷用原紙、バライタ紙、レジンコート紙、ベルギー特許第784,615号に記載されているようなポリサッカライド等でサイジングされた紙、二酸化チタン等の顔料を含むピグメント紙、ポリビニルアルコールでサイジングした紙等の加工紙が特に好ましい。これら支持体の膜厚は、用いる支持体の材質等によって異なるが、一般的には80〜1000μmであり、取り扱い上の点から、更に好ましくは80〜500μmである。これらの支持体の表面は滑面であってもよいし、下引き層との接着力を向上させる目的でマット面としてもよい。
【0088】
その他、感度、画質(例えば、鮮鋭性、粒状性)を向上する目的で、二酸化チタン等の光反射性物質からなる光反射層、若しくはカーボンブラック等の光吸収物質からなる光吸収層等が、必要に応じて設けることができる。
【0089】
(保護層)
本発明の放射線像変換パネルには、蛍光体層の表面を物理的、化学的に保護するための保護層膜を設けることが好ましく、それらの構成は目的、用途等に応じて適宜選択することができる。
【0090】
放射線像変換パネルに設ける保護層としては、ポリエステルフィルム、ポリメタクリレートフィルム、ニトロセルロースフィルム、セルロースアセテートフィルム等が使用できるが、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルム等の延伸加工されたフィルムが、透明性、強さの面で保護層として好ましく、更には、これらのポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルム上に金属酸化物、窒化珪素等の薄膜を蒸着した蒸着フィルムが防湿性の面からより好ましい。
【0091】
保護層で用いるフィルムは、必要とされる防湿性に合わせて、樹脂フィルムや樹脂フィルムに金属酸化物等を蒸着した蒸着フィルムを複数枚積層することで最適な防湿性とすることができ、蛍光体の吸湿劣化防止を考慮して、透湿度は少なくとも50g/m・day以下であることが好ましい。樹脂フィルムの積層方法としては、特に制限はなく、公知のいずれの方法を用いてもよい。
【0092】
また、積層された樹脂フィルム間に励起光吸収層を設けることによって、プレートが物理的な衝撃や化学的な変質から保護され安定したプレート性能が長期間維持でき好ましい。また、励起光吸収層は複数箇所設けてもよいし、積層するための接着剤層に色剤を含有して、励起光吸収層としてもよい。
【0093】
保護層は、蛍光体層に接着層を介して密着していてもよいが、蛍光体面を被覆するように設けられた構造(以下、封止または封止構造ともいう)であることがより好ましい。蛍光体面を封止するに当たっては、公知のいずれの方法でもよいが、防湿性保護フィルムの蛍光体面に接する側の最外層樹脂層を熱融着性を有する樹脂フィルムとすることは、防湿性保護フィルムが融着可能となり放射線像変換パネルの封止作業が効率化される点で、好ましい形態の1つである。なお、上記熱融着性を有する樹脂フィルムとは、一般に使用されるインパルスシーラーで融着可能な樹脂フィルムのことであり、例えば、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)やポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム等を挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0094】
更には、放射線像変換パネルの上下に防湿性保護フィルムを配置し、その周縁が前記パネルの周縁より外側にある領域で、上下の防湿性保護フィルムをインパルスシーラー等で加熱、融着して封止構造とすることで、前記パネルの外周部からの水分侵入も阻止でき好ましい。また、支持体面側の防湿性保護フィルムを1層以上のアルミフィルムをラミネートしてなる積層フィルムとすることで、より確実に水分の進入を低減でき、またこの封止方法は作業的にも容易であり好ましい。上記インパルスシーラーで加熱融着する方法においては、減圧環境下で加熱融着することが、放射線像変換パネルの防湿性保護フィルム内での位置ずれ防止や大気中の湿気を排除する意味でより好ましい。
【0095】
防湿性保護フィルムの蛍光体面が接する側の熱融着性を有する最外層の樹脂層と蛍光体面は、接着していても接着していなくてもかまわない、ここでいう接着していない状態とは、微視的には蛍光体面と防湿性保護フィルムとが点接触していても、光学的、力学的にはほとんど蛍光体面と防湿性保護フィルムは不連続体として扱える状態のことである。
【0096】
支持体上に蛍光体層が塗設された蛍光体シートは、所定の大きさに断裁される。断裁に当たっては、一般のどのような方法でも可能であるが、作業性、精度の面から化粧断裁機、打ち抜き機等が望ましい。
【0097】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0098】
実施例1
放射線像変換パネルの製造
(下引き層の形成)
まず下引き層塗布液を次のようにして調製した。ポリエステル樹脂溶解品(東洋紡バイロン55SS:固形分35%)90質量%に硬化剤としてコロネートHX(日本ポリウレタン社製)を5質量%、及び、MEK、トルエン、シクロヘキサノンからなる溶剤を混合し下引き層塗布液を調製した。
【0099】
次いで、この塗布液を発泡PET、188E60L(東レ社製)にドクターブレードを用いて塗布、100℃で5分乾燥し、50μm厚の下引き層を形成し、65℃で120時間熱硬化させた支持体を作製した。
【0100】
(顔料分散液の作製)
顔料分散液として、青色顔料(大日精化(株)製:ε型−銅フタロシアニンブルー)15質量%、分散樹脂(アクリル系樹脂)50質量%、メチルエチルケトン/トルエン混合溶媒35質量%の比率で混合した溶液に、1mmのジルコニアビーズを充填させ、ミキサーにて2時間分散を行った。分散後、100μmのメンブランフィルターにてジルコニアビーズを濾別し、平均粒子径0.4μmの青色顔料を含有する顔料分散液を得た。
【0101】
また、分散時間を0.2〜1.5時間と変化させ、異なる平均粒子径0.7〜1.6μmの青色顔料を含有する顔料分散液を調製した。
【0102】
(蛍光体層の形成)
次にユウロピウム賦活弗化沃化バリウムの蛍光体前駆体を合成するために、BaI水溶液(4.0mol/L)2500mlとEuBr水溶液(0.2mol/L)125mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を攪拌しながら70℃で保温した。弗化アンモニウム水溶液(8mol/L)250mlを反応母液中にローラーポンプを用いて注入し、沈殿物を生成させた。注入終了後も保温と攪拌を2時間続けて沈殿物の熟成を行った。
【0103】
次に沈殿物を濾別後、エタノールにより洗浄した後、真空乾燥させてユーロピウム賦活弗化沃化バリウムの結晶を得た。
【0104】
焼成時の焼結により粒子形状の変化、粒子間融着による粒子サイズ分布の変化を防止するためにアルミナの超微粒子粉体を0.1質量%添加し、ミキサーで充分攪拌して結晶表面にアルミナの超微粒子粉体を均一に付着させた。
【0105】
これを石英ボートに充填してチューブ炉を用いて水素ガス雰囲気中、850℃で2時間焼成してユーロピウム賦活弗化沃化バリウム蛍光体粒子を得た。
【0106】
次に上記蛍光体粒子を分級することにより平均粒径3、4、5、6μmの粒子を得た。蛍光体層形成材料として、上記で得たユウロピウム賦活弗化沃化バリウム蛍光体を77体積%、ポリエステル樹脂(東洋紡バイロン630)を15体積%、メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノンの混合溶媒を8体積%に調製した塗布液に、平均粒径0.4、0.7、1.2、1.6μmの青色顔料を含有する顔料分散液を添加し、プロペラミキサーによって分散し、粘度が30Pa・s(25℃)の蛍光体層塗布液を調製した。
【0107】
表1記載の顔料平均粒径、顔料濃度、蛍光平均体粒径を組み合わせ、X線吸収量が表1記載の値になるように、この蛍光体層塗布液をナイフコーターを用いて、上記下引き層を有する支持体上に塗布した後、90℃で20分間乾燥させて、蛍光体シート1〜11を作製した。
【0108】
(防湿性保護フィルムの作製と封止)
下記に示す方法で、防湿性保護フィルムを作製した。下記構成で表されるアルミナ蒸着ポリエチレンテレフタレート樹脂層を含む積層保護フィルムAを、それぞれ蛍光体シート1〜11の蛍光体層側にかぶせ、減圧下で周縁部をインパルスシーラーを用いて融着、封止した。また、蛍光体シートの支持体面側の保護フィルムとしては、キャステングポリプロピレン(CPP)30μm、アルミフィルム9μm、ポリエチレンテレフタレート(PET)188μmの構成よりなるドライラミネートフィルムを用いた。また、接着剤層の厚みは1.5μmで2液反応型のウレタン系接着剤を使用した。
【0109】
積層保護フィルムA:VMPET12///VMPET12///PET///CPP20
積層保護フィルムAにおいて、VMPETは、アルミナ蒸着したポリエチレンテレフタレート(市販品:東洋メタライジング社製)を表し、PETはポリエチレンテレフタレート、CPPはキャステングポリプロピレンを表す。また、上記「///」は、ドライラミネーション接着層における2液反応型のウレタン系接着剤層の厚みが3.0μmであることを表し、各樹脂フィルムの後に表示した数字は、各フィルムの膜厚(μm)を表す。
【0110】
以上のようにして、輝尽性蛍光体層を有する蛍光体シート1〜11からそれぞれ放射線像変換パネル1〜11を得た。
【0111】
(放射線像変換パネルの特性評価)
得られた放射線像変換パネル1〜11について、以下の方法でX線吸収量測定、及び画質特性として、鮮鋭性(MTF)及び粒状性を測定した。測定値は放射線像変換パネル1のデータを100とした相対値で表した。また、鮮鋭性(MTF)及び粒状性を総合して総合画像評価を行った。その結果を表1に示す。
【0112】
(X線吸収量の測定)
28kVpで運転されるモリブデン・ターゲット管から生じたX線を、厚さ0.03mmのモリブデンフィルターに透過させ、64mA・secの条件にてX線照射を行い、ターゲット管のモリブデン・アノードから105cmの位置に配した電離型線量計(東洋メディック製:アイオネックスドーズマスター2590B)を用いて到達X線量:Bを測定した。
【0113】
次いで、ターゲット管のモリブデン・アノードから100cmの位置に放射線像変換パネルを配し、上記と同様な条件にてX線照射を行い、放射線像変換パネルを透過したX線量:Dを、電離型線量計を用いて測定し、以下の算出式にてX線吸収量を求めた。
【0114】
X線吸収量(%)=(D/B)×100
(鮮鋭性)
鮮鋭性は、放射線像変換パネルにMTF測定用矩形波チャートtype.No.9(極光(株)製)を通して管電圧28kVpのX線を照射した後、パネルを100mWの半導体レーザー(680nm)で走査して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を、光電子倍増管(浜松ホトニクス製:光電子倍増管R1305)を用いて受光し電気信号に変換し、アナログ/デジタル変換して磁気テープにより記録した。記録した磁気テープをコンピューターで分析して磁気テープに記録されているX線像の変調伝達関数(MTF)値を求めた。MTFは空間周波数2サイクル(lp)/mmMTF%で示した。鮮鋭性は高いほど良好であることを示す。
【0115】
(粒状性)
粒状性は、放射線像変換パネル全面に、管電圧28kVpのX線を照射し、パネルを100mWの半導体レーザー(680nm)で走査して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を上記と同じ受光器で受光して電気信号に変換し、アナログ/デジタル変換して磁気テープにより記録した。記録した磁気テープをコンピューターで分析して、磁気テープに記録されているX線平面像のRMS粒状性を求めた。粒状性は値が小さいほど良好であることを示す。
【0116】
【表1】
Figure 2004177314
【0117】
表1から、輝尽性蛍光体層に、平均粒径が0.1〜1.2μmの顔料を輝尽性蛍光体量に対して0.0002〜0.001質量%含有し、かつ平均粒径が3.0μm以下の輝尽性蛍光体を含有する放射線像変換パネルは、これ以外のものに比べ、鮮鋭性及び粒状性が高いことが分かる。
【0118】
【発明の効果】
鮮鋭性及び粒状性の高い、輝尽性蛍光体を含有する放射線像変換パネル及びその製造方法が得られた。

Claims (4)

  1. 支持体上に、輝尽性蛍光体を含有する輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネルの製造方法において、該輝尽性蛍光体層に、平均粒子径が1.2μm以下の顔料を該輝尽性蛍光体に対して0.0002〜0.001質量%含有し、かつ平均粒子径が3.0μm以下の輝尽性蛍光体を含有することを特徴とする放射線像変換パネルの製造方法。
  2. 輝尽性蛍光体が下記一般式(1)で表される蛍光体であることを特徴とする請求項1に記載の放射線像変換パネルの製造方法。
    一般式(1) (Ba1−X,M(II))FX:yEu2+
    式中、M(II)はMg、Ca、Sr、Zn及びCdからなる群より選ばれるアルカリ土類金属、XはCl、Br及びIからなる群より選ばれるハロゲン、xは0≦x≦0.6、yは0≦y≦0.2である数字を表す。
  3. X線エネルギーが28kVp以下のX線に対して85〜93%の吸収量を示す蛍光体層を有することを特徴とする請求項1または2に記載の放射線像変換パネルの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射線像変換パネルの製造方法により製造することを特徴とするを放射線像変換パネル。
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