JP2003232894A - 放射線像変換パネル及びその製造方法 - Google Patents

放射線像変換パネル及びその製造方法

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JP2003232894A
JP2003232894A JP2002035197A JP2002035197A JP2003232894A JP 2003232894 A JP2003232894 A JP 2003232894A JP 2002035197 A JP2002035197 A JP 2002035197A JP 2002035197 A JP2002035197 A JP 2002035197A JP 2003232894 A JP2003232894 A JP 2003232894A
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radiation image
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Katsuya Kishinami
勝也 岸波
Takafumi Yanagida
貴文 柳多
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、鮮鋭度に優れた輝度ムラの
ない放射線像変換パネルを提供することである。 【解決手段】 支持体に少なくとも着色下引き層、蛍光
体層をこの順に有する放射線像変換パネルにおいて、該
着色下引き層が、着色剤、合成樹脂溶液を予め混合・分
散した後、30秒経過後、720日経過迄の間に硬化剤
を混合して製造した塗布液を支持体上に塗布することに
よって得られたものであることを特徴とする放射線像変
換パネル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は輝尽性蛍光体を用い
た放射線像変換パネル及びその製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】X線画像のような放射線画像は、病気診
断用などの分野で多く用いられている。このX線画像を
得る方法としては、被写体を通過したX線を蛍光体層
(蛍光スクリーン)に照射し、これにより可視光を生じ
させた後、この可視光を通常の写真を撮るときと同様に
して、ハロゲン化銀写真感光材料(以下、単に感光材料
ともいう)に照射し、次いで現像処理を施して可視銀画
像を得る、いわゆる放射線写真方式が広く利用されてい
る。
【0003】しかしながら、近年では、ハロゲン化銀塩
を有する感光材料による画像形成方法に代わり、蛍光体
層から直接画像を取り出す新たな方法が提案されてい
る。
【0004】この方法としては被写体を透過した放射線
を蛍光体に吸収せしめ、しかる後この蛍光体を例えば光
又は熱エネルギーで励起することによりこの蛍光体が上
記吸収により蓄積している放射線エネルギーを蛍光とし
て放射せしめ、この蛍光を検出し画像化する方法があ
る。
【0005】具体的には、例えば、米国特許第3,85
9,527号及び特開昭55−12144号公報などに
記載されているような輝尽性蛍光体を用いる放射線画像
変換方法が知られている。
【0006】この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射
線像変換パネルを使用するもので、この放射線像変換パ
ネルの輝尽性蛍光体層に被写体を透過した放射線を当て
て、被写体各部の放射線透過密度に対応する放射線エネ
ルギーを蓄積させて、その後、輝尽性蛍光体を可視光
線、赤外線などの電磁波(励起光)で時系列的に励起す
ることにより、輝尽性蛍光体中に蓄積されている放射線
エネルギーを輝尽発光として放出させ、この光の強弱に
よる信号を、例えば、光電変換して、電気信号を得て、
この信号をハロゲン化銀写真感光材料などの記録材料、
CRTなどの表示装置上に可視像として再生するもので
ある。
【0007】上記の放射線画像の再生方法によれば、従
来の放射線写真フィルムと増感紙との組合せによる放射
線写真法と比較して、はるかに少ない被曝線量で、かつ
情報量の豊富な放射線画像を得ることができるという利
点を有している。
【0008】このように輝尽性蛍光体は、放射線を照射
した後、励起光を照射すると輝尽発光を示す蛍光体であ
るが、実用的には、波長が600〜800nmの範囲に
ある励起光によって、300〜500nmの波長範囲の
輝尽発光を示す蛍光体が一般的に利用される。
【0009】これらの輝尽性蛍光体を使用した放射線像
変換パネルは、放射線画像情報を蓄積した後、励起光の
走査によって蓄積エネルギーを放出するので、走査後に
再度放射線画像の蓄積を行うことができ、繰り返し使用
が可能である。つまり従来の放射線写真法では、一回の
撮影ごとに放射線写真フィルムを消費するのに対して、
この放射線画像変換方法では放射線像変換パネルを繰り
返し使用するので、資源保護、経済効率の面からも有利
である。
【0010】放射線像変換パネルを使用した放射線画像
変換方式の優劣は、該パネルの輝尽性発光輝度及びパネ
ルの発光均一性に大きく左右され、特に、これらの特性
は用いる輝尽性蛍光体の特性に大きく支配されているこ
とが知られている。
【0011】特公昭59−23400号は、輝尽性蛍光
体を用いる放射線画像記録再生方法について記載された
ものであるが、放射線像変換パネルの下引き層を励起光
を吸収する着色剤で着色することにより励起光の広がり
を抑え、鮮鋭度が向上することが開示されている。
【0012】又、蛍光体層と支持体の接着を改善するた
めに、下引き層を設けることがおこなわれているが、蛍
光体層の塗膜形成時の下塗り層の膨潤及び部分的溶解等
のため、それに続く乾燥・収縮により蛍光体層にムラが
できたりクラックが生じたりする現象があり、画質を落
とす問題があり、特公平4−44959号公報には、硬
化剤(架橋剤)によって架橋された合成樹脂からなる下
引き層を用いることによってこの問題が解決される旨記
載されている。又、蛍光体層と支持体との密着性を改善
すると共に、衝撃や、曲げ等機械的刺激が与えられた場
合でも蛍光体層が簡単にひび割れを起こしたり、剥離し
たり、又、これらの現象を防止するためにも効果がある
ことが記載されている。
【0013】従って、鮮鋭度や画像ムラ等の画質向上の
ためには、励起光を吸収する着色剤で着色し、且つ、硬
化剤によって架橋した合成樹脂からなる下引き層を用い
るのがよいが、下引き層塗布液として、着色剤及び硬化
剤(架橋剤)を含有する樹脂溶液を調液する際には、合
成樹脂に対する着色剤の分散性が悪いという問題があ
り、これに起因する着色ムラが下引き層にあるために、
発光の輝度ムラが生じることがわかり画質上問題であっ
た。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、鮮鋭度に優れた輝度ムラのない放射線像変換パネル
を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は以下
の手段によって達成される。
【0016】1.支持体に少なくとも着色下引き層、蛍
光体層をこの順に有する放射線像変換パネルにおいて、
該着色下引き層が、着色剤、合成樹脂溶液を予め混合・
分散した後、30秒経過後、720日経過迄の間に硬化
剤を混合して製造した塗布液を支持体上に塗布すること
によって得られたものであることを特徴とする放射線像
変換パネル。
【0017】2.上記放射線像変換パネルの蛍光体層の
蛍光体が、前記一般式(1)で表されるものであること
を特徴とする前記1に記載の放射線像変換パネル。
【0018】3.上記蛍光体層の蛍光体が前記一般式
(2)で表されるものであることを特徴とする前記1に
記載の放射線像変換パネル。
【0019】4.支持体に少なくとも着色下引き層、蛍
光体層をこの順に有する放射線像変換パネルの製造方法
において、該着色下引き層が、着色剤及び合成樹脂溶液
を予め混合・分散した後、30秒経過後、720日経過
迄の間に硬化剤を混合して製造した塗布液を支持体上に
塗布することによって形成されることを特徴とする放射
線像変換パネルの製造方法。
【0020】以下、本発明を詳細に説明する。下引き層
は、蛍光体層と支持体の接着性を向上させ、蛍光体層に
クラックが入ったり、剥離を起こしたりするのを防止す
る上で重要であり、これを更に着色剤で着色することに
よって、励起光の拡散を防ぎ、前記記載したように、放
射線像変換パネルを用いた、画像診断システムにおい
て、ムラのない、鮮鋭性の高い高画質な画像を得るため
には、支持体に少なくとも着色下引き層、蛍光体層をこ
の順に有する放射線像変換パネルにおいて、励起光を吸
収する着色剤で着色し、且つ、硬化剤によって架橋した
合成樹脂からなる下引き層を用い、この上に蛍光体層が
塗設される構成とするのがよい。しかしながら、単に、
励起光を吸収することのできる染料や顔料等の着色剤
を、合成樹脂溶液と混合し、溶解或いは分散して、引き
続き、硬化剤等添加剤を混合し調製した下引き層塗布液
を用いて、これを支持体上に塗布・乾燥し、下引き層を
形成しても均一な特性を有する下引き層は得られない。
【0021】本発明においては、前記着色剤を合成樹脂
溶液と予め混合・分散しておき、一定時間経過した後
に、硬化剤を添加し(必要なら更に分散する)塗布液を
調製することにより、これを用いて支持体上に塗布し形
成した着色下引き層面が非常に綺麗に出来上がることが
わかった。これは、着色剤を合成樹脂溶液に予め混合、
分散して一定時間おくことにより着色剤が合成樹脂にな
じみ、溶剤、硬化剤などの添加剤を添加させて調液を終
了させた後も安定で良好な塗布液になるからと考えられ
る。
【0022】何故一定時間経過した後、用いることで着
色剤が合成樹脂になじむのかということは、詳しくは不
明であるが、着色剤が例えば顔料の場合、顔料粒子表面
と、高分子物質である樹脂分子との吸着等の相互作用は
低分子物質の場合と異なり平衡に達するのがゆっくりで
あるため、顔料粒子が均一に樹脂中に分散するには時間
を要するものと考えられ、又、染料においても、溶媒和
した樹脂中へ染料が均一に拡散するにはある程度の時間
がかかるためであるということと推測される。
【0023】従って、均一に樹脂溶液中への着色剤の分
散が達成されないうちに、これを用いて硬化剤(架橋
剤)を混合し塗布液を調製すると、部分的に架橋反応が
起こり、これが起こった部分において、着色剤の配向
や、分散の偏りが固定されてしまうので、均一な下引き
層が得られないものと考えられる。従って、一定時間経
過後、即ち、着色剤を合成樹脂溶液に予め混合・分散し
てから30秒以上経過してから下引き層として塗布する
のがよい。
【0024】下引き層として必要な添加剤、溶剤等は、
着色剤そして樹脂の分散状態に直接影響を与えないもの
なら当初から添加されていてもよいが、例えば、添加剤
が、硬化剤の様に樹脂の架橋によって着色剤や樹脂の分
散或いは溶解状態に直接影響を与えるようならば、これ
を添加するには混合・分散後一定時間即ち30秒経過し
てから添加し下引き層塗布液を調製するのがよい。又、
調製された着色剤を含有する合成樹脂溶液については劣
化等がないよう720日を経過しないうちに用いるのが
よい。720日以上になると合成樹脂又は着色剤自体の
経時劣化が生じる。更によい範囲は3分から180日で
ある。これらの合成樹脂溶液と着色剤が混合・分散した
液に、予め、塗布液として必要な硬化剤以外の添加剤成
分が混合されてもよく、又、塗布液として必要な量の溶
剤などが予め混合されていてもよい。又、これらの添加
剤成分又は溶剤等は、勿論、硬化剤の様な樹脂や着色剤
の分散に影響を与える添加剤と共に一定時間経過後に最
終的に塗布液を構成するように添加されてもよい。
【0025】従って、本発明に係わる下引き層塗布液の
調製法によれば、着色剤を樹脂溶液に分散或いは溶解
し、着色剤を含有する樹脂溶液を調製した後、連続した
工程で連続的に硬化剤やその他の添加剤或いは溶剤類を
加えて下引き層塗布液を調製する場合には、着色剤と樹
脂溶液を混合・分散した後、例えば、プロペラミキサー
等で混合・分散し、これを停止させ分散を終了した後、
一定の時間、前記の通り少なくとも30秒間、前記平衡
が達成され、均一な分散となるに必要な滞留時間をとっ
てから塗布液を調製する必要がある。一方、工程的に連
続して行う必要のない製造プロセスをとる場合、例えば
着色剤と樹脂溶液を混合・分散した液を一旦、保管し、
必要とする量だけ取り出し、塗布液を調製する様な生産
形態をとる場合には好都合である。
【0026】本発明において、下引き層に用いる着色剤
として、顔料を用いたときに特に効果が大きい。
【0027】更に、本発明に係る下引き層について説明
する。本発明においては、支持体を反射性支持体とし、
下引き層には輝尽発光成分はほとんど吸収せず、余分な
励起光成分を吸収する着色剤を含有させ、着色する形態
が好ましい。このときの着色剤の添加量で感度、鮮鋭
度、粒状性などの特性は変わり、下引き層中の着色剤と
樹脂の質量比としては、膜厚にもよるが0.01:9
9.99〜0.1:99.9であり、0.03:99.
97〜0.09:99.91がより好ましい。又下引き
層の膜厚としては乾燥膜厚で3〜50μmが良いが、5
〜40μmが最も好ましい。
【0028】本発明において、下引き層に用いられる樹
脂の例としては、ゼラチン等の蛋白質、デキストラン等
のポリサッカライド、又はアラビアゴムのような天然高
分子物質;及びポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニ
ル、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ビニリ
デン、塩化ビニルコポリマー、ポリアクリル(メタ)ア
クリレート、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、ポリ
ウレタン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニ
ルアルコール、線状ポリエステル等のような合成高分子
物質等により代表される樹脂を挙げることができる。下
引き層を構成する樹脂としては色々なものが考えられる
が、ポリエステル、ポリウレタンが支持体、蛍光体層と
の相性、特性面、塗設のしやすさなどから良い。
【0029】これらの樹脂を適当な溶剤、例えば後述の
輝尽性蛍光体層塗布液の調製で用いる溶剤に添加し、溶
解して樹脂溶液として用いる。これと着色剤とを混合
し、分散することによって、着色剤と合成樹脂溶液とか
らなる着色剤の分散液或いは溶解液が得られる。合成樹
脂及び溶剤は、着色剤と混合・分散時、それぞれ合成樹
脂と溶剤を別々に混合してもよく、混合・分散機中で溶
液を形成するやり方でもよい。
【0030】本発明で用いる樹脂については溶液のかた
ちで入手できるものもあり、例えば好ましいポリエステ
ル系樹脂の場合、ポリエステル樹脂溶解品として、東洋
紡製バイロン30SS(固形分30%)、バイロン55
SS(固形分35%)等があり、そのまま樹脂溶液とし
て使用することができる。
【0031】又、着色剤は、輝尽性蛍光体層塗布液の調
製で用いるのと同様な溶剤及び適当な分散剤により予め
分散しておき、例えば銅フタロシアニンの場合には、こ
の分散液を樹脂溶液或いは樹脂に添加し、これを充分に
混合・分散する方法で混合しても良い。又、前述のよう
に、合成樹脂溶液と着色剤との混合・分散した液には、
その他、塗布液として必要な硬化剤以外の添加剤成分や
必要量の溶剤などが予め混合されていてもよい。
【0032】合成樹脂溶液と着色剤を混合・分散するこ
とで着色剤を分散或いは溶解した樹脂溶液を調製するに
は、例えば予め分散状態の着色剤と樹脂溶液を混合する
場合などにはプロペラミキサー等の攪拌機で充分な場合
もあり、着色剤の状態や種類又、樹脂の種類等によって
更に剪断力の強い分散機等を使用する必要がある場合も
あり、その場合には、ボールミル、サンドミル、アトラ
イター、三本ロールミル、高速インペラー分散機、Ka
dyミル、及び超音波分散機などの分散装置を用いて行
うことができる。
【0033】本発明の放射線像変換パネルに使用される
着色剤は、該パネルに使用される輝尽性蛍光体の励起光
波長領域における平均吸収率が、該輝尽性蛍光体の輝尽
発光波長領域における平均吸収率よりも大きい様な吸収
特性を有するものである。
【0034】従っていかなる着色剤を使用するかは放射
線像変換パネルに使用する輝尽性蛍光体の種類によって
決まる。以下に述べるように、500〜800nmの励
起光によって300〜600nmの輝尽発光を示す輝尽
性蛍光体を使用するのが実用上は望ましいが、この様な
輝尽性蛍光体に対しては、励起光波長領域における平均
反射率が輝尽発光波長領域における平均反射率よりも小
さくなり、且つ、両者の差ができるだけ大きくなるよう
に、有機系或いは無機系着色剤のいずれも使用すること
ができる。
【0035】青色〜緑色の有機系着色剤の例としては、
ザボンファーストブルー3G(ヘキスト社製)、エスト
ロールブリルブルーN−3RL(住友化学(株)製)、
スミアクリルブルーF−GSL(住友化学(株)製)、
D&CブルーNo1(ナショナル・アニリン社製)、ス
ピリットブルー(保土谷化学(株)製)、オイルブルー
No603(オリエント(株)製)、キトンブルーA
(チバ・ガイギー社製)、アイゼンカチロンブルーGL
H(保土谷化学(株)製)、レイクブルーA、F、H
(協和産業(株)製)、ローダリンブルー6GX(協和
産業(株)製)、ブリモシアニン6GX(稲畑産業
(株)製)、ブリルアシッドグリーン6BH(保土谷化
学(株)製)、シアニンブルーBNRS(東洋インキ
(株)製)、ライオノルブルーSL(東洋インキ(株)
製)が挙げられる。青色〜緑色の無機系着色剤の例とし
ては、群青、コバルトブルー、セルリアンブルー、酸化
クロム、TiO2−ZnO−CoO−NiO系顔料が挙
げられるが、本発明はこれらに限定されない。青色乃至
緑色の有機系着色剤として、金属フタロシアニン系等の
有機金属錯塩着色剤、中でも、銅フタロシアニン系有機
金属錯塩着色剤が最も好ましい。
【0036】本発明においては、前記のように、顔料等
の着色剤を合成樹脂溶液に混合・分散した後、一定時間
経過後に、硬化剤等を加え塗布液を調製する。一定時間
を経過した後、充分に着色剤が樹脂となじんで均一に分
散する平衡が達成された後に塗布液を形成しないと、こ
れを塗布した際に均一な濃度ムラのない塗膜が得られな
い。
【0037】蛍光体層と支持体との密着性を改善すると
共に、衝撃や、曲げ等の機械的刺激に対し蛍光体層が簡
単にひび割れたり、剥離を起こしたりしない様に、又、
蛍光体層の塗膜形成時に膨潤や部分的溶解を起こし、そ
れに続く乾燥・収縮によって蛍光体層にムラやクラック
が生じたりするのを防ぐため、下引き層は硬化剤(架橋
剤)によって架橋し、硬化する必要がある。
【0038】従って、本発明によれば下引き層の塗膜を
構成する樹脂の硬化剤については、一定時間(本発明に
おいては平衡の達成する時間として、30秒以上の時
間)経過した後に添加するのがよい。余り早い時間に硬
化剤を添加すると、樹脂溶液中で樹脂の架橋が一部起こ
ることによってムラが固定されるおそれがある。樹脂の
架橋や着色剤の分散或いは溶解状態に直接影響を与えな
い硬化剤以外の塗布液成分や溶剤については、着色剤と
同時に合成樹脂溶液に添加されてもよい。
【0039】本発明に用いられる前記の合成樹脂の硬化
剤として用いられる化合物は、特に制限はなく、例え
ば、イソシアネート及びその誘導体、メラミン及びその
誘導体、アミノ樹脂及びその誘導体等を挙げることがで
きるが、イソシアネート化合物を用いることが好まし
く、例えば、日本ポリウレタン社製のコロネートHX、
コロネート3041等が挙げられる。
【0040】次いで本発明に係わる下引き層の形成方法
について説明する。本発明に係る下引き層は、例えば、
以下に示す方法により支持体上に形成することができ
る。
【0041】まず、上記の樹脂を適当な溶剤、例えば後
述の輝尽性蛍光体層塗布液の調製で用いる溶剤に添加
し、場合によっては適当な分散剤を添加し、例えば、予
め分散しておいた色素(例えば銅フタロシアニン)の分
散液を添加し、これを充分に混合して着色剤を含有する
樹脂溶液を調製する。
【0042】次いで、該着色剤を含有する樹脂溶液を、
一定時間経過させた後に、硬化剤を添加し、その他必要
な他の添加剤成分、或いは溶剤等を加え、下引き層塗布
液が調製される。
【0043】従って、この様な着色剤を含有する樹脂溶
液は、これをストックしておき、これを前記、劣化が起
こらない期間内に、その都度塗布に必要な量の添加剤や
溶剤を加えて、下引き層塗布液を調製する様にすること
も可能である。
【0044】硬化剤の使用量は、目的とする放射線像変
換パネルの特性、輝尽性蛍光体層及び支持体に用いる材
料の種類、下引き層で用いる高分子樹脂の種類等により
異なるが、輝尽性蛍光体層の支持体に対する接着強度の
維持を考慮すれば、樹脂に対して50質量%以下の比率
で添加することが好ましく、特に5〜40質量%が好ま
しい。
【0045】下引き層の膜厚は、目的とする放射線像変
換パネルの特性、輝尽性蛍光体層及び支持体に用いる材
料の種類、下引き層で用いる高分子樹脂及び硬化剤の種
類等により異なるが、一般には3〜50μmであること
が好ましく、特に5〜40μmである。
【0046】本発明で用いることのできる支持体として
は、例えば、ガラス、ウール、コットン、紙、金属など
の種々の素材から作られたものを使用することができる
が、情報記録材料としての取り扱い上、可撓性のあるシ
ート或いはロールに加工できるものが好ましい。この点
から、例えば、セルロースアセテートフィルム、ポリエ
ステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィル
ム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリア
セテートフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラ
スティックフィルム、アルミニウム箔、アルミニウム合
金箔などの金属シート、一般紙及び例えば写真用原紙、
コート紙、若しくはアート紙のような印刷用原紙、バラ
イタ紙、レジンコート紙、ベルギー特許第784,61
5号に記載されているようなポリサッカライド等でサイ
ジングされた紙、二酸化チタンなどの顔料を含むピグメ
ント紙、ポリビニルアルコールでサイジングした紙等の
加工紙が特に好ましい。これら支持体の膜厚は、用いる
支持体の材質等によって異なるが、一般的には80〜1
000μmであり、取り扱い上の点から、更に好ましく
は80〜500μmである。これらの支持体の表面は滑
面であってもよいし、下引き層との接着力を向上させる
目的でマット面としてもよい。
【0047】本発明においては、上記支持体上に下引き
層を塗設した後、輝尽性蛍光体層を塗布する前に、下引
き層に硬化剤を含有させた場合において、層中の樹脂と
硬化剤との反応をより完遂させるため、40〜150℃
で2〜200時間の熱処理を行うことが好ましい。熱処
理方法としては、特に制限はなく、作製したシート状、
ロール状等の下引き層塗設済み試料が完全に収納でき、
かつ温度、湿度が制御できる恒温室であればいずれの方
法を用いても良い。熱処理条件としては40〜150℃
で2〜200時間であるが、好ましくは55〜100
℃、5〜150時間である。
【0048】支持体上に下引き層を形成した後、ロール
状で積層した形態、又はシート状で積層した形態で上記
加熱処理を行う際に、各積層試料間に、保護シートを挿
入し、加熱処理後に保護シートを取り除いた後、輝尽性
蛍光体層を塗設する。この方法を採ることにより、加熱
処理時の下引き層と支持体裏面とのブロッキングを効果
的に防止することができ好ましい。本発明で用いること
のできる保護シートとしては、用いる材料に特に制限は
なく、接着又は融着が防止でき、かつ保護シートと下引
き層又は、支持体裏面との接着力が極めて弱いものであ
れば良く、例えば、後述の保護フィルムとして用いる各
種樹脂フィルムを適宜選択して用いることができる。
又、保護シートには、加熱処理後の剥離を容易とするた
め、離型剤が塗布されていることが好ましい。
【0049】次いで、輝尽性蛍光体層について説明す
る。蛍光体層は、一般に、蛍光体とこれを分散保持する
高分子樹脂とから構成される。又、蛍光体層の支持体側
とは反対側の表面には通常、ポリマーフィルムや無機物
の蒸着膜からなる保護層膜が設けられる。
【0050】本発明に係る輝尽性蛍光体層は、少なくと
も輝尽性蛍光体と高分子樹脂とを含有している。
【0051】本発明で用いることのできる輝尽性蛍光体
(以下、単に蛍光体ともいう)としては、波長300〜
600nmの波長範囲に輝尽発光するものが一般的に使
用される。
【0052】以下に、本発明の放射線像変換パネルで用
いることのできる蛍光体の例を挙げる。
【0053】(1)特開昭55−12145号に記載さ
れている(Ba1-X,M(II)X)FX:yA、(式中、
M(II)はMg、Ca、Sr、Zn及びCdのうちの少
なくとも一つ、XはCl、Br、及びIのうち少なくと
も一つ、AはEu、Tb、Ce、Tm、Dy、Pr、H
o、Nd、Yb、及びErのうちの少なくとも一つ、そ
しては、0≦x≦0.6、yは、0≦y≦0.2であ
る)の組成式で表される希土類元素付活アルカリ土類金
属弗化ハロゲン化物蛍光体;又、この蛍光体には以下の
ような添加物が含まれていてもよい。
【0054】a)特開昭56−74175号に記載され
ている、X′、BeX″、M(III)X′′′3、式中、
X′、X″、及びX′′′はそれぞれCl、Br及びI
の少なくとも一種であり、M(III)は三価金属である b)特開昭55−160078号に記載されているBe
O、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Al2
3、Y23、La23、In23、SiO2、Ti
2、ZrO2、GeO2、SnO2、Nb25、Ta25
及びThO2などの金属酸化物 c)特開昭56−116777号に記載されているZ
r、Sc d)特開昭57−23673号に記載されているB e)特開昭57−23675号に記載されているAs、
Si f)特開昭58−206678号に記載されているM・
L、式中、MはLi、Na、K、Rb、及びCsからな
る群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であ
り、LはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、S
m、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、L
u、Al、Ga、In、及びTlからなる群より選ばれ
る少なくとも一種の三価金属である g)特開昭59−27980号に記載されているテトラ
フルオロホウ酸化合物の焼成物;特開昭59−2728
9号に記載されているヘキサフルオロケイ酸、ヘキサフ
ルオロチタン酸及びヘキサフルオロジルコニウム酸の一
価もしくは二価金属の塩の焼成物;特開昭59−564
79号に記載されているNaX′、式中、X′はCl、
Br及びIのうちの少なくとも一種であるh)特開昭5
9−56480号に記載されているV、Cr、Mn、F
e、Co及びNiなどの遷移金属;特開昭59−752
00号に記載されているM(I)X′、M′(II)X″
2、M(III)X′′′3、A、式中、M(I)はLi、
Na、K、Rb、及びCsからなる群より選ばれる少な
くとも一種のアルカリ金属であり、M′(II)はBe及
びMgからなる群より選ばれる少なくとも一種の二価金
属を表し、M(III)はAl、Ga、In、及びTlか
らなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であ
り、Aは金属酸化物であり、X′、X″、及びX′′′
はそれぞれF、Cl、Br及びIからなる群より選ばれ
る少なくとも一種のハロゲンである i)特開昭60−101173号に記載されているM
(I)X′、式中、M(I)はRb及びCsからなる群
より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、
X′はF、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少
なくとも一種のハロゲンである j)特開昭61−23679号に記載されているM(I
I)′X′2・M(II)′X″2、式中、M(II)′はB
a、Sr及びCaからなる群より選ばれる少なくとも一
種のアルカリ土類金属であり;X′及びX″はそれぞれ
Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一
種のハロゲンであって、かつX′≠X″である;更に、
特開昭61−264084号明細書に記載されているL
nX″3、式中、LnはSc、Y、La、Ce、Pr、
Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、T
m、Yb及びLuからなる群より選ばれる少なくとも一
種の希土類元素であり;X″はF、Cl、Br及びIか
らなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであ
る。
【0055】(2)特開昭60−84381号に記載さ
れているM(II)X2・aM(II)X′2:xEu2+(式
中、M(II)はBa、Sr及びCaからなる群より選ば
れる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;X及び
X′はCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なく
とも一種のハロゲンであって、かつX≠X′であり;そ
してaは0.1≦a≦10.0、xは0<x≦0.2で
ある)の組成式で表される二価ユーロピウム付活アルカ
リ土類金属ハロゲン化物蛍光体;又、この蛍光体には以
下のような添加物が含まれていてもよい。
【0056】a)特開昭60−166379号に記載さ
れているM(I)X′、式中、M(I)はRb及びCs
からなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属
であり;X′はF、Cl、Br及びIからなる群より選
ばれる少なくとも一種のハロゲンである b)特開昭60−221483号に記載されているK
X″、MgX′′′2、M(III)X″″3、式中、M(I
II)はSc、Y、La、Gd及びLuからなる群より選
ばれる少なくとも一種の三価金属であり;X″、
X′′′及びX″″はいずれもF、Cl、Br及びIか
らなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである c)特開昭60−228592号に記載されているB、
特開昭60−228593号に記載されているSi
2、P25等の酸化物、特開昭61−120882号
に記載されているLiX″、NaX″、式中、X″は
F、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくと
も一種のハロゲンである d)特開昭61−120883号に記載されているSi
O;特開昭61−120885号に記載されているSn
X″2、式中、X″はF、Cl、Br及びIからなる群
より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである e)特開昭61−235486号に記載されているCs
X″、SnX′′′2、式中、X″及びX′′′はそれ
ぞれF、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少な
くとも一種のハロゲンである;更に、特開昭61−23
5487号に記載されているCsX″、Ln3+、式中、
X″はF、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少
なくとも一種のハロゲンであり;LnはSc、Y、C
e、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、E
r、Tm、Yb及びLuからなる群より選ばれる少なく
とも一種の希土類元素である (3)特開昭55−12144号に記載されているLn
OX:xA(式中、LnはLa、Y、Gd、及びLuの
うち少なくとも一つ;XはCl、Br、及びIのうち少
なくとも一つ;AはCe及びTbのうち少なくとも一
つ;xは、0<x<0.1である)の組成式で表される
希土類元素付活希土類オキシハライド蛍光体。
【0057】(4)特開昭58−69281号に記載さ
れているM(II)OX:xCe(式中、M(II)はP
r、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、E
r、Tm、Yb、及びBiからなる群より選ばれる少な
くとも一種の酸化金属であり;XはCl、Br、及びI
のうち少なくとも一つであり;xは0<x<0.1であ
る)の組成式で表されるセリウム付活三価金属オキシハ
ライド蛍光体。
【0058】(5)特開昭62−25189号に記載さ
れているM(I)X:xBi(式中、M(I)はRb及
びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカ
リ金属であり;XはCl、Br及びIからなる群より選
ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてxは0
<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される
ビスマス付活アルカリ金属ハロゲン化物蛍光体。
【0059】(6)特開昭60−141783号に記載
されているM(II)5(PO43X:xEu2+(式中、
M(II)はCa、Sr及びBaからなる群より選ばれる
少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはF、C
l、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種
のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値で
ある)の組成式で表される二価ユーロピウム付活アルカ
リ土類金属ハロリン酸塩蛍光体。
【0060】(7)特開昭60−157099号に記載
されているM(II)2BO3X:xEu2+(式中、M(I
I)はCa、Sr及びBaからなる群より選ばれる少な
くとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、Br
及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲ
ンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の
組成式で表される二価ユーロピウム付活アルカリ土類金
属ハロホウ酸塩蛍光体。
【0061】(8)特開昭60−157100号に記載
されているM(II)2(PO43X:xEu2+(式中、
M(II)はCa、Sr及びBaからなる群より選ばれる
少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、
Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハ
ロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値であ
る)の組成式で表される二価ユーロピウム付活アルカリ
土類金属ハロリン酸塩蛍光体。
【0062】(9)特開昭60−217354号に記載
されているM(II)HX:xEu2+(式中、M(II)は
Ca、Sr及びBaからなる群より選ばれる少なくとも
一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、Br及びI
からなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであ
り;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式
で表される二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属水素
化ハロゲン化物蛍光体。
【0063】(10)特開昭61−21173号に記載
されているLnX3・aLn′X′3:xCe3+、(式
中、Ln及びLn′はそれぞれY、La、Gd及びLu
からなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素で
あり;X及びX′はそれぞれF、Cl、Br及びIから
なる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであっ
て、かつX≠X′であり;そしてaは0.1<a≦1
0.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲
の数値である)の組成式で表されるセリウム付活希土類
複合ハロゲン化物蛍光体。
【0064】(11)特開昭61−21182号に記載
されているLnX3・aM(I)X′3:xCe3+
(式中、LnはY、La、Gd及びLuからなる群より
選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;M(I)
はLi、Na、K、Cs及びRbからなる群より選ばれ
る少なくとも一種のアルカリ金属であり;X及びX′は
それぞれCl、Br及びIからなる群より選ばれる少な
くとも一種のハロゲンであり;そしてaは0<a≦1
0.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲
の数値である)の組成式で表されるセリウム付活希土類
複合ハロゲン化物系蛍光体。
【0065】(12)特開昭61−40390号に記載
されているLnPO4・aLnX3:xCe3+、(式中、
LnはY、La、Gd及びLuからなる群より選ばれる
少なくとも一種の希土類元素であり;XはF、Cl、B
r及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロ
ゲンであり;そしてaは0.1≦a≦10.0の範囲の
数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)
の組成式で表されるセリウム付活希土類ハロ燐酸塩蛍光
体。
【0066】(13)特開昭61−236888号に記
載されているCsX:aRbX′:xEu2+、(式中、
X及びX′はそれぞれCl、Br及びIからなる群より
選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは
0<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦
0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユ
ーロピウム付活ハロゲン化セシウム・ルビジウム蛍光
体。
【0067】(14)特開昭61−236890号に記
載されているM(II)X2・aM(I)X′:xE
2+、(式中、M(II)はBa、Sr及びCaからなる
群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であ
り;M(I)はLi、Rb及びCsからなる群より選ば
れる少なくとも一種のアルカリ金属であり;X及びX′
はそれぞれCl、Br及びIからなる群より選ばれる少
なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0.1≦a
≦20.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の
範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウ
ム付活複合ハロゲン化物蛍光体。
【0068】上記の蛍光体のうちで、ヨウ素を含有する
二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化
物系蛍光体、ヨウ素を含有する二価ユーロピウム付活ア
ルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体、ヨウ素を含有す
る希土類元素付活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、
及びヨウ素を含有するビスマス付活アルカリ金属ハロゲ
ン化物系蛍光体は、高輝度の輝尽発光を示すため好まし
い。
【0069】本発明においては、放射線像変換パネルの
蛍光体として上記一般式(1)或いは(2)で表される
ものを使用するのが好ましく、特に一般式(2)で表さ
れるものを使用するのが好ましい。式中、特にEu付活
BaFIが好ましい。一般式(1)或いは(2)で表さ
れる蛍光体の粒径としては、3〜15μm、好ましくは
4〜10μmである。
【0070】一般式(1)又は(2)で表される蛍光体
の製造方法を、例を挙げて以下に詳しく説明する。
【0071】製造方法としては、粒子形状の制御が難し
い固相法ではなく、粒径の制御が容易である液相合成法
により行うことが好ましい。特に、下記の液相合成法に
より蛍光体を得ることが好ましい。
【0072】液相合成法による蛍光体の前駆体製造につ
いては、公知の前駆体製造方法及び装置が好ましく利用
できる。ここで蛍光体前駆体とは、前記一般式(1)或
いは(2)で表される蛍光体が600℃以上の高温を経
ていない状態を示し、蛍光体前駆体は輝尽発光性や瞬時
発光性を殆ど示さない。
【0073】本発明では以下の液相合成法により前駆体
を得ることが好ましい。 (製造法) 1)BaI2とLnのハロゲン化物を含み、前記一般式
(1)のxが0でない場合には、更にM2のハロゲン化
物を、yが0でない場合はBaBr2を、そしてM1のハ
ロゲン化物を含み、それらが溶解した後、BaI2濃度
が3.3mol/L以上、好ましくは3.5mol/L
以上の溶液を調製する工程; 2)上記溶液を50℃以上、好ましくは80℃以上の温
度に維持しながら、これに濃度5mol/L以上、好ま
しくは8mol/L以上の無機弗化物(弗化アンモニウ
ム又はアルカリ金属の弗化物)の溶液を添加して、希土
類付活アルカリ土類金属弗化沃化物系輝尽性蛍光体前駆
体結晶の沈澱物を得る工程; 3)上記無機弗化物を添加しつつ、又は添加終了後、反
応液から溶媒を除去する工程; 4)上記前駆体結晶沈澱物を反応液から分離する工程; 5)そして、分離した前駆体結晶沈澱物を焼結を避けな
がら焼成する工程 を含む製造方法である。
【0074】尚、本発明に係る粒子(結晶)は、平均粒
径が1〜10μmで、かつ単分散性のものが好ましく、
平均粒径が1〜7μm、平均粒径の分布(%)が20%
以下のものがより好ましい。
【0075】本発明における平均粒径とは、粒子(結
晶)の電子顕微鏡写真より無作為に粒子200個を選
び、球換算の体積粒子径で平均を求めたものである。
【0076】以下に蛍光体の製造法の詳細について説明
する。 (前駆体結晶の沈澱物の作製、蛍光体の作製)最初に、
水系媒体を用いて弗素化合物以外の原料化合物を溶解さ
せる。即ち、BaI2とLnのハロゲン化物、そして必
要により更にM2のハロゲン化物、そして更にM1のハロ
ゲン化物を水系媒体中に入れ、充分に混合し、溶解さ
せ、それらが溶解した水溶液を調製する。ただし、Ba
2濃度が3.3mol/L以上、好ましくは3.5m
ol/L以上となるように、BaI2濃度と水系溶媒と
の量比を調整しておく。この時、バリウム濃度が低い
と、所望の組成の前駆体が得られないか、得られても粒
子が肥大化する。よって、バリウム濃度は適切に選択す
る必要があり、本発明者らの検討の結果、3.3mol
/L以上で微細な前駆体粒子を形成することができるこ
とが判った。この時、所望により少量の酸、アンモニ
ア、アルコール、水溶性高分子ポリマー、水不溶性金属
酸化物微粒子粉体などを添加してもよい。BaI2の溶
解度が著しく低下しない範囲で低級アルコール(メタノ
ール、エタノール等)を適当量添加しておくのも好まし
い態様である。この水溶液(反応母液)は50℃に維持
される。
【0077】次に、この50℃に維持され、撹拌されて
いる水溶液に、無機弗化物(弗化アンモニウム、アルカ
リ金属の弗化物など)の水溶液をポンプ付きのパイプ等
を用いて注入する。この注入は、撹拌が特に激しく実施
されている領域部分に行うのが好ましい。この無機弗化
物水溶液の反応母液への注入によって、前記一般式
(1)に該当する蛍光体前駆体結晶が沈澱する。
【0078】次に反応液から溶媒を除去する。溶媒を除
去する時期は特に問わない。無機弗化物溶液の添加開始
から、固液分離する迄の間であれば何時でもよい。最も
好ましいのは無機弗化物溶液を添加し終えた直後から除
去を始める態様である。
【0079】溶媒の除去量は、除去前と除去後の質量比
で2%以上が好ましい。これ以下では結晶が好ましい組
成に成りきらない場合がある。そのため除去量は2%以
上が好ましく、5%以上がより好ましい。又、除去し過
ぎても、反応溶液の粘度が過剰に上昇するなど、ハンド
リングの面で不都合が生じる場合がある。そのため、溶
媒の除去量は、除去前と除去後の質量比で50%以下が
好ましい。
【0080】溶媒の除去に要する時間は、生産性に大き
く影響するばかりでなく、粒子の形状、粒径分布も溶媒
の除去方法に影響されるので、除去方法は適切に選択す
る必要がある。一般的に、溶媒の除去に際しては、溶液
を加熱し、溶媒を蒸発する方法が選択される。本発明に
おいても、この方法は有用である。溶媒の除去により、
意図した組成の前駆体を得ることができる。
【0081】更に、生産性を上げるため、又、粒子形状
を適切に保つため、他の溶媒除去方法を併用することが
好ましい。併用する溶媒の除去方法は特に問わない。逆
浸透膜などの分離膜を用いる方法を選択することも可能
である。本発明では生産性の面から、以下の除去方法を
選択することが好ましい。 1.乾燥気体を通気 反応容器を密閉型とし、少なくとも2箇所以上の気体が
通過できる孔を設け、そこから乾燥気体を通気する。気
体の種類は任意に選ぶことができる。安全性の面から、
空気、窒素が好ましい。通気する気体の飽和水蒸気量に
依存して溶媒が気体に同伴、除去される。反応容器の空
隙部分に通気する方法の他、液相中に気体を気泡として
噴出させ、気泡中に溶媒を吸収させる方法も又有効であ
る。 2.減圧 減圧にすることで溶媒の蒸気圧は低下する。蒸気圧降下
により効率的に溶媒を除去することができる。減圧度と
しては溶媒の種類により適宜選択することができる。溶
媒が水の場合、86,450Pa以下が好ましい。 3.液膜 蒸発面積を拡大することにより溶媒の除去を効率的に行
うことができる。本発明のように、一定容積の反応容器
を用いて加熱、攪拌し、反応を行わせる場合、加熱方法
としては、加熱手段を液体中に浸漬するか、容器の外側
に加熱手段を装着する方法が一般的である。該方法によ
ると、伝熱面積は液体と加熱手段が接触する部分に限定
され、溶媒除去に伴い伝熱面積が減少し、よって、溶媒
除去に要する時間が長くなる。これを防ぐため、ポンプ
又は攪拌機を用いて反応容器の壁面に散布し、伝熱面積
を増大させる方法が有効である。
【0082】このように反応容器壁面に液体を散布し、
液膜を形成する方法は“濡れ壁”として知られている。
濡れ壁の形成方法としては、ポンプを用いる方法の他、
特開平6−335627号、同11−235522号に
記載の攪拌機を用いる方法が挙げられる。
【0083】これらの方法は単独のみならず、組み合わ
せて用いても構わない。液膜を形成する方法と容器内を
減圧にする方法の組合せ、液膜を形成する方法と乾燥気
体を通気する方法の組合せ等が有効である。特に前者が
好ましく、特開平6−335627号に記載の方法が好
ましく用いられる。
【0084】次に、上記の蛍光体前駆体結晶を、濾過、
遠心分離などにより溶液から分離し、メタノール等で充
分に洗浄し、乾燥する。この乾燥蛍光体前駆体結晶に、
アルミナ微粉末、シリカ微粉末などの焼結防止剤を添
加、混合し、結晶表面に焼結防止剤微粉末を均一に付着
させる。尚、焼成条件を選ぶことにより焼結防止剤の添
加を省略することも可能である。
【0085】次に、蛍光体前駆体の結晶を、石英ボー
ト、アルミナ坩堝、石英坩堝などの耐熱性容器に充填
し、電気炉の炉心に入れて焼結を避けながら焼成を行
う。焼成温度は400〜1,300℃の範囲が適当であ
り、500〜1,000℃の範囲が好ましい。焼成時間
は、蛍光体原料混合物の充填量、焼成温度及び炉からの
取出し温度などによっても異なるが、一般には0.5〜
12時間が適当である。
【0086】焼成雰囲気としては、窒素ガス雰囲気、ア
ルゴンガス雰囲気等の中性雰囲気、又は少量の水素ガス
を含有する窒素ガス雰囲気、一酸化炭素を含有する二酸
化炭素雰囲気などの弱還元性雰囲気、或いは微量酸素導
入雰囲気が利用される。焼成方法については、特開20
00−8034号に記載の方法が好ましく用いられる。
上記の焼成によって目的の蛍光体が得られる。
【0087】放射線像変換パネルに使用される蛍光体
は、高分子樹脂に分散された形態で蛍光体層中に含有さ
れている。蛍光体層で用いることのできる高分子樹脂と
しては、前記下引き層で用いる樹脂と同じものを挙げる
ことができ、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、塩
化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、
塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−ア
クリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリ
ル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、
セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−
ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノー
ル樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェ
ノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホル
ムアミド樹脂等が挙げられる。中でもポリウレタン、ポ
リエステル、塩化ビニル系共重合体、ポリビニルブチラ
ール、ニトロセルロース等を挙げることができ、平均ガ
ラス転移点温度(Tg)が25℃未満の高分子樹脂を用
いることが好ましく、Tgが−50〜20℃の高分子樹
脂だと更に好ましい。
【0088】蛍光体層塗布液は、適当な有機溶媒中に高
分子樹脂と蛍光体粒子とを添加し、例えば、ディスパー
ザーやボールミル等を使用して、攪拌、混合して、高分
子樹脂中に蛍光体が均一に分散するようにして調製す
る。
【0089】蛍光体層塗布液の調製に用いられる溶剤と
しては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパ
ノール、2−プロパノール、ブタノールなどの低級アル
コール、メチレンクロライド、エチレンクロライドなど
の塩素原子含有炭化水素、アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトンなどのケトン、トルエン、
ベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、キシレ
ンなどの芳香族化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸
ブチルなどの低級脂肪酸と低級アルコールとのエステ
ル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエステ
ル、エチレングリコールモノメチルエステルなどのエー
テル及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0090】尚、蛍光体層塗布液には、必要に応じて、
塗布液中における蛍光体の分散性を向上させるための分
散剤、又はパネル形成後の蛍光体層中における高分子樹
脂と蛍光体との間の結合力を向上させるための可塑剤な
ど種々の添加剤が混合されてもよい。
【0091】分散剤の例としては、フタル酸、ステアリ
ン酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などを挙げること
ができる。又、可塑剤の例としては、燐酸トリフェニ
ル、燐酸トリクレジル、燐酸ジフェニルなどの燐酸エス
テル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチルな
どのフタル酸エステル、グリコール酸エチルフタリルエ
チル、グリコール酸ブチルフタルブチルなどのグリコー
ル酸エステル、トリエチレングリコールとアジピン酸と
のポリエステル、ジエチレングリコールと琥珀酸とのポ
リエステルなどのポリエチレングリコールと脂肪族二塩
基酸とのポリエステルなどを挙げることができる。
【0092】蛍光体層は、例えば次のような方法により
下引き層上に形成することができる。まず、沃素含有輝
尽性蛍光体、黄変防止のための亜燐酸エステル等の化合
物及び結合剤を適当な溶剤に添加し、これらを充分に混
合して結合剤溶液中に蛍光体粒子及び該化合物の粒子が
均一に分散した塗布液を調製する。
【0093】一般に、結着剤は蛍光体99質量部に対し
て1〜99質量部の範囲で使用される。しかしながら得
られる放射線変換パネルの感度、鮮鋭性と下引き層との
相性から蛍光体と結合剤の比は97:3〜90:10
(質量部)の範囲が好ましい。
【0094】蛍光体層の塗布液の固形分としては75質
量%以上が好ましい。更に好ましくは77質量%以上で
ある。
【0095】蛍光体層用塗布液の調製は、ボールミル、
サンドミル、アトライター、三本ロールミル、高速イン
ペラー分散機、Kadyミル、及び超音波分散機などの
分散装置を用いて行われる。調製された塗布液をドクタ
ーブレード、ロールコーター、ナイフコーター等の塗布
装置を用いて下引き層上に塗布し、乾燥することにより
蛍光体層が形成される。
【0096】上記のような素材で調製した塗布液を下引
き層の表面に均一に塗布することにより塗布液の塗膜を
形成する。この塗布操作は通常の塗布手段、例えばドク
ターブレード、ロールコーター、ナイフコーター等を用
いて行うことができる。次いで、形成された塗膜を徐々
に加熱することにより乾燥し、下引き層上への蛍光体層
の形成を完了する。
【0097】放射線像変換パネルの蛍光体層の膜厚は、
目的とする放射線像変換パネルの特性、蛍光体の種類、
結着剤と蛍光体との混合比等によって異なるが、10〜
1000μmの範囲から選ばれるのが好ましく、10〜
500μmの範囲から選ばれるのがより好ましい。
【0098】支持体と蛍光体層の結合を強化するため、
前記下引き層を設けることは本発明の特徴の1つであ
り、その他に、感度、画質(例えば、鮮鋭性、粒状性)
を向上する目的で、二酸化チタンなどの光反射性物質か
らなる光反射層、若しくはカーボンブラックなどの光吸
収物質からなる光吸収層などが、必要に応じて設けられ
てよく、又、放射線像変換パネルには、蛍光体層の表面
を物理的、化学的に保護するための保護膜を設けること
が好ましく、それらの構成は目的、用途などに応じて適
宜選択することができる。
【0099】放射線像変換パネルに設ける保護層として
は、ポリエステルフィルム、ポリメタクリレートフィル
ム、ニトロセルロースフィルム、セルロースアセテート
フィルム等が使用できるが、ポリエチレンテレフタレー
トフィルムやポリエチレンナフタレートフィルム等の延
伸加工されたフィルムが、透明性、強さの面で保護層と
して好ましく、更には、これらのポリエチレンテレフタ
レートフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルム
上に金属酸化物、窒化珪素などの薄膜を蒸着した蒸着フ
ィルムが防湿性の面からより好ましい。
【0100】当該保護層で用いるフィルムは、必要とさ
れる防湿性に合わせて、樹脂フィルムや樹脂フィルムに
金属酸化物などを蒸着した蒸着フィルムを複数枚積層す
ることで最適な防湿性とすることができ、蛍光体の吸湿
劣化防止を考慮して、透湿度は少なくとも50g/m2
・day以下であることが好ましい。樹脂フィルムの積
層方法としては、特に制限はなく、公知のいずれの方法
を用いても良い。
【0101】又、積層された樹脂フィルム間に励起光吸
収層を設けることによって、励起光吸収層が物理的な衝
撃や化学的な変質から保護され安定したプレート性能が
長期間維持でき好ましい。又、励起光吸収層は複数箇所
設けてもよいし、積層する為の接着剤層に色剤を含有し
て、励起光吸収層としても良い。
【0102】保護層は、蛍光体層に接着層を介して密着
していても良いが、蛍光体面を被覆するように設けられ
た構造(以下、封止又は封止構造ともいう)であること
がより好ましい。蛍光体面を封止するに当たっては、公
知のいずれの方法でもよいが、防湿性保護フィルムの蛍
光体面に接する側の最外層樹脂層を熱融着性を有する樹
脂フィルムとすることは、防湿性保護フィルムが融着可
能となり放射線像変換パネルの封止作業が効率化される
点で、好ましい形態の1つである。尚、上記熱融着性を
有する樹脂フィルムとは、一般に使用されるインパルス
シーラーで融着可能な樹脂フィルムのことであり、例え
ば、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)やポリプ
ロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィ
ルム等を挙げることができるが、本発明はこれに限定さ
れるものではない。
【0103】更には、放射線像変換パネルの上下に防湿
性保護フィルムを配置し、その周縁が前記パネルの周縁
より外側にある領域で、上下の防湿性保護フィルムをイ
ンパルスシーラー等で加熱、融着して封止構造とするこ
とで、前記パネルの外周部からの水分進入も阻止でき好
ましい。又、支持体面側の防湿性保護フィルムを1層以
上のアルミフィルムをラミネートしてなる積層フィルム
とすることで、より確実に水分の進入を低減でき、又こ
の封止方法は作業的にも容易であり好ましい。上記イン
パルスシーラーで加熱融着する方法においては、減圧環
境下で加熱融着することが、放射線像変換パネルの防湿
性保護フィルム内での位置ずれ防止や大気中の湿気を排
除する意味でより好ましい。
【0104】防湿性保護フィルムの蛍光体面が接する側
の熱融着性を有する最外層の樹脂層と蛍光体面は、接着
していても接着していなくてもかまわない。ここでいう
接着していない状態とは、微視的には蛍光体面と防湿性
保護フィルムとが点接触していても、光学的、力学的に
は殆ど蛍光体面と防湿性保護フィルムは不連続体として
扱える状態のことである。
【0105】支持体上に蛍光体層が塗設された蛍光体シ
ートは、所定の大きさに断裁される。断裁に当たって
は、一般のどのような方法でも可能であるが、作業性、
精度の面から化粧断裁機、打ち抜き機等が望ましい。
【0106】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0107】実施例1 放射線像変換パネルの製造 (蛍光体層と下引き層の形成)まず下引き層塗布液を次
のようにして調製した。ポリエステル樹脂溶解品(東洋
紡バイロン55SS:固形分35%)90kgに着色剤
としてβ−銅フタロシアニン分散品100g(固形分3
5%、顔料分30%)を同時添加により30分間プロペ
ラミキサーを用い混合・分散した。添加終了後、プロペ
ラミキサーの攪拌を止め、その後15秒間放置した後、
更に攪拌を開始し、同時に硬化剤としてコロネートHX
(日本ポリウレタン社製)を5kg、及び、MEK、ト
ルエン、シクロヘキサノンからなる溶剤を混合し下引き
層塗布液を調製した。
【0108】次いで、この塗布液を発泡PET、188
E60L(東レ)にドクターブレードを用いて塗布、1
00℃で5分乾燥し、50μm厚の下引き層を形成し、
支持体1とした。
【0109】又、別に、前記着色剤の樹脂分散液をプロ
ペラミキサーの攪拌を停止後40秒間、時間を経過させ
た後、前記同様に、コロネートHX及び前記同様の溶剤
を混合し下引き層塗布液を調製し、やはり前記同様の発
泡PET支持体上に50μm厚の下引き層を形成し支持
体2とした。
【0110】更に、前記同様に着色剤の樹脂分散液を調
製後、分散液をその状態でストック容器に移し保管し
た。分散液調製後(即ちプロペラミキサー停止後)、表
1に示す時間(期間)経過したものを用いて、同様にし
て硬化剤、溶剤を混合した下引き層塗布液を調製し、そ
れぞれ同じ発泡PET支持体上に下引き層を形成し、支
持体3〜6を作製した。
【0111】次にユウロピウム付活弗化沃化バリウムの
蛍光体前駆体を合成するために、BaI2水溶液(4.
0mol/L)2500mlとEuBr3水溶液(0.
2mol/L)125mlを反応器に入れた。この反応
器中の反応母液を撹拌しながら70度で保温した。弗化
アンモニウム水溶液(8mol/L)250mlを反応
母液中にローラーポンプを用いて注入し、沈殿物を生成
させた。注入終了後も保温と撹拌を2時間続けて沈殿物
の熟成を行った。
【0112】次に沈殿物を濾別後、エタノールにより洗
浄した後、真空乾燥させてユーロピウム付活弗化沃化バ
リウムの結晶を得た。
【0113】焼成時の焼結により粒子形状の変化、粒子
間融着による粒子サイズ分布の変化を防止するためにア
ルミナの超微粒子粉体を0.1質量%添加し、ミキサー
で充分撹拌して結晶表面にアルミナの超微粒子粉体を均
一に付着させた。
【0114】これを石英ボートに充填してチューブ炉を
用いて水素ガス雰囲気中、850℃で2時間焼成してユ
ーロピウム付活弗化沃化バリウム蛍光体粒子を得た。
【0115】次に上記蛍光体粒子を分級することにより
平均粒径3μmの粒子を得た。蛍光体層形成材料として
上記で得たユウロピウム付活弗化沃化バリウム蛍光体4
27g、ポリエステル樹脂(東洋紡バイロン530)1
8gをメチルエチルケトンとトルエン、シクロヘキサノ
ンの混合溶媒に添加、プロペラミキサーによって分散
し、固形分77%の塗布液を調製した。
【0116】この塗布液をドクターブレードを用いて、
上記下引き層を有する支持体1〜6上に塗布した後、1
00℃で15分間乾燥させて、それぞれに240μmの
蛍光体層を形成させ蛍光体シート1〜6を作製した。
【0117】(防湿性保護フィルムの作製と封止)下記
に示す方法で、防湿性保護フィルムを作製した。下記構
成で表されるアルミナ蒸着ポリエチレンテレフタレート
樹脂層を含む積層保護フィルムAを、それぞれ蛍光体シ
ート1〜6の蛍光体層側にかぶせ、減圧下で周縁部をイ
ンパルスシーラーを用いて融着、封止した。又、蛍光体
シートの支持体面側の保護フィルムとしては、キャステ
ングポリプロピレン(CPP)30μm、アルミフィル
ム9μm、ポリエチレンテレフタレート(PET)18
8μmの構成よりなるドライラミネートフィルムを用い
た。又、接着剤層の厚みは1.5μmで2液反応型のウ
レタン系接着剤を使用した。 積層保護フィルムA:VMPET12///VMPET
12///PET///CPP20 積層保護フィルムAにおいて、VMPETは、アルミナ
蒸着したポリエチレンテレフタレート(市販品:東洋メ
タライジング社製)を表し、PETはポリエチレンテレ
フタレート、CPPはキャステングポリプロピレンを表
す。又、上記「///」は、ドライラミネーション接着
層における2液反応型のウレタン系接着剤層の厚みが
3.0μmであることを表し、各樹脂フィルムの後に表
示した数字は、各フィルムの膜厚(μm)を表す。
【0118】以上のようにして形成された輝尽性蛍光体
層を有する放射線像変換パネル1〜6を得た。
【0119】(放射線像変換パネルの特性評価) 輝度ムラの評価 得られた放射線像変換パネルをそれぞれ410mm×4
10mmに断裁し、該放射線像変換パネルに管電圧80
kVpのX線を蛍光体層とは逆の支持体側から均一に照
射した後、該パネルをHe−Neレーザー光(633n
m)で走査して励起し、図1のように、放射線像変換パ
ネル上に等間隔に並んだ36の測定点において、蛍光体
層から放射される輝尽発光を受光器(分光感度S−5の
光電子像倍管)で受光してその強度を測定し各測定点間
の強度のバラツキから輝度ムラを評価した。
【0120】各パネルの輝度は、基準のパネルとしてF
UJI ST−5Nプレートを用い、決められた領域
(5cm×5cm)における決められた一点の輝尽発光
強度を1としたときの各プレートの各測定点における相
対発光強度を算出したもので、輝度ムラは、各パネルの
各測定点における輝度の最大値と最小値の幅を25点の
測定点の強度の平均値で割りこれを%で表したものであ
る。実用上は、輝度ムラが6%以内であれば許容範囲で
ある。
【0121】
【表1】
【0122】以上の様に、下引き層として、着色剤と合
成樹脂溶液を分散した後、直ちに使用したものは、輝度
のバラツキが大きく、輝度ムラを生じることがわかる。
それに対し、本発明の様に一定時間をおいて使用したも
のは輝度ムラが少なく、良好な特性を示す。又、長期に
亘りストックしたものは又、輝度ムラが生じていること
がわかる。
【0123】
【発明の効果】鮮鋭度に優れた輝度ムラのない放射線像
変換パネルが得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】放射線像変換パネル上に等間隔に並んだ36の
測定点を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G083 AA03 BB01 CC04 CC08 DD02 DD15 DD16 EE02 EE03 4G076 AA02 AA18 AB04 BA13 BA43 BC01 BC02 CA02 CA26 DA15 DA30 4H001 CA04 CA08 XA04 XA09 XA12 XA20 XA35 XA38 XA53 XA56 YA00 YA03 YA11 YA19 YA37 YA55

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体に少なくとも着色下引き層、蛍光
    体層をこの順に有する放射線像変換パネルにおいて、該
    着色下引き層が、着色剤、合成樹脂溶液を予め混合・分
    散した後、30秒経過後、720日経過迄の間に硬化剤
    を混合して製造した塗布液を支持体上に塗布することに
    よって得られたものであることを特徴とする放射線像変
    換パネル。
  2. 【請求項2】 上記放射線像変換パネルの蛍光体層の蛍
    光体が、下記一般式(1)で表されるものであることを
    特徴とする請求項1に記載の放射線像変換パネル。 一般式(1) Ba1-x2 xFBry1-y:aM1,bLn,cO (式中,M1はLi、Na、K、Rb及びCsから選ば
    れる少なくとも1種のアルカリ金属、M2はBe、M
    g、Sr及びCaから選ばれる少なくとも1種のアルカ
    リ土類金属、LnはCe、Pr、Sm、Eu、Gd、T
    b、Tm、Dy、Ho、Nd、Er及びYbから選ばれ
    る少なくとも1種の希土類元素を表し、x、y、a、b
    及びcは、それぞれ0≦x≦0.3、0<y≦0.3、
    0≦a≦0.05、0<b≦0.2、0≦c≦0.1で
    ある。)
  3. 【請求項3】 上記蛍光体層の蛍光体が下記一般式
    (2)で表されるものであることを特徴とする請求項1
    に記載の放射線像変換パネル。 一般式(2) Ba1-x2 xFI:aM1,bLn,cO (式中,M1はLi、Na、K、Rb及びCsから選ば
    れる少なくとも1種のアルカリ金属、M2はBe、M
    g、Sr及びCaから選ばれる少なくとも1種のアルカ
    リ土類金属、LnはCe、Pr、Sm、Eu、Gd、T
    b、Tm、Dy、Ho、Nd、Er及びYbから選ばれ
    る少なくとも1種の希土類元素を表し、x、a、b及び
    cは、それぞれ0≦x≦0.3、0≦a≦0.05、0
    <b≦0.2、0≦c≦0.1である。)
  4. 【請求項4】 支持体に少なくとも着色下引き層、蛍光
    体層をこの順に有する放射線像変換パネルの製造方法に
    おいて、該着色下引き層が、着色剤及び合成樹脂溶液を
    予め混合、分散した後、30秒経過後、720日経過迄
    の間に硬化剤を混合して製造した塗布液を支持体上に塗
    布することによって形成されることを特徴とする放射線
    像変換パネルの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006054532A1 (ja) * 2004-11-22 2006-05-26 Konica Minolta Medical & Graphic, Inc. 希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体の製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006054532A1 (ja) * 2004-11-22 2006-05-26 Konica Minolta Medical & Graphic, Inc. 希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体の製造方法
JPWO2006054532A1 (ja) * 2004-11-22 2008-05-29 コニカミノルタエムジー株式会社 希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体の製造方法

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