JP2003307596A - 放射線像変換パネルの製造方法 - Google Patents

放射線像変換パネルの製造方法

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JP2003307596A
JP2003307596A JP2002114196A JP2002114196A JP2003307596A JP 2003307596 A JP2003307596 A JP 2003307596A JP 2002114196 A JP2002114196 A JP 2002114196A JP 2002114196 A JP2002114196 A JP 2002114196A JP 2003307596 A JP2003307596 A JP 2003307596A
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Katsuya Kishinami
勝也 岸波
Takafumi Yanagida
貴文 柳多
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鮮鋭度に優れた輝度ムラのない放射線像変換
パネルを提供することである。 【解決手段】 支持体上に下引き層が、その上に蛍光体
層が設けられてなる放射線像変換パネルの製造方法にお
いて、前記下引き層を設けた後、剥離力が2〜70g/
cmの合紙を設け、前記合紙を設けた後であって、前記
蛍光体層を設ける前に、前記合紙を15〜150°の剥
離角度で剥離する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に輝尽性蛍光体
を用いた放射線像変換パネルの製造方法に関する。
【発明が解決しようとする課題】X線画像のような放射
線画像は、病気診断などの分野で多く用いられている。
【0002】このX線画像を得る方法としては、被写体
を通過したX線を蛍光体層(蛍光スクリーン)に照射
し、これによって可視光を生じさせた後、この可視光を
通常の写真を撮る時と同様にしてハロゲン化銀写真感光
材料(以下、単に、感光材料とも言う)に照射させ、次
いで現像処理を施して可視銀画像を得る、所謂、放射線
写真方式が広く利用されている。しかしながら、近年、
ハロゲン化銀塩を有する感光材料による画像形成方法に
代わり、蛍光体層から直接画像を取り出す新たな方法が
提案されている。この方法として、被写体を透過した放
射線を蛍光体に吸収せしめ、この後、蛍光体を、例えば
光又は熱エネルギーで励起し、蛍光体が上記吸収により
蓄積している放射線エネルギーを蛍光として放射せし
め、この蛍光を検出して画像化する方法が知られてい
る。 具体的には、例えば米国特許第3,859,52
7号及び特開昭55−12144号公報などに記載され
ている輝尽性蛍光体を用いる放射線画像変換方法が知ら
れている。この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射線
像変換パネルを使用するもので、この放射線像変換パネ
ルの輝尽性蛍光体層に被写体を透過した放射線を当て、
被写体各部の放射線透過密度に対応する放射線エネルギ
ーを蓄積させ、その後、輝尽性蛍光体を可視光線、赤外
線などの電磁波(励起光)で時系列的に励起することに
より、輝尽性蛍光体中に蓄積されている放射線エネルギ
ーを輝尽発光として放出させ、この光の強弱による信号
を、例えば光電変換して電気信号を得、この信号をハロ
ゲン化銀写真感光材料などの記録材料やCRTなどの表
示装置上に可視像として再生するものである。上記の放
射線画像の再生方法は、従来の放射線写真フィルムと増
感紙との組合せによる放射線写真法と比較して、遥かに
少ない被曝線量で、かつ、情報量の豊富な放射線画像を
得ることが出来る。このような輝尽性蛍光体は、放射線
を照射した後、励起光を照射すると輝尽発光を示す蛍光
体であるが、実用的には、波長が600〜800nmの
範囲にある励起光によって、300〜500nmの波長
範囲の輝尽発光を示す蛍光体が一般的に利用される。
【0003】これらの輝尽性蛍光体を使用した放射線像
変換パネルは、放射線画像情報を蓄積した後、励起光の
走査によって蓄積エネルギーを放出するので、走査後
に、再度、放射線画像の蓄積を行うことが出来、繰り返
しての使用が可能である。つまり、従来の放射線写真法
では、一回の撮影ごとに放射線写真フィルムを消費する
のに対して、この放射線画像変換方法では、放射線像変
換パネルを繰り返して使用できるので、資源保護、経済
効率の面からも有利である。放射線像変換パネルを使用
した放射線画像変換方式の特性は、該パネルの輝尽性発
光輝度及びパネルの発光均一性に大きく左右され、特
に、これらの特性は輝尽性蛍光体の特性に大きく支配さ
れる。特公昭59−23400号公報は輝尽性蛍光体を
用いる放射線画像記録再生方法について記載されたもの
であるが、該公報には、放射線像変換パネルの下引き層
を励起光を吸収する着色剤で着色することにより、励起
光の広がりが抑えられ、鮮鋭度が向上することの開示が
有る。
【0004】又、下引き層を設けることは、蛍光体層と
支持体との接着を改善する効果もある。しかしながら、
蛍光体層の塗膜形成時の下塗り層の膨潤及び部分的溶解
等の為、それに続く乾燥・収縮によって蛍光体層にムラ
が出来たり、クラックが生じたりする現象があり、画質
を落とす問題がある。このような問題点に対処する為、
特公平4−44959号公報は、硬化剤(架橋剤)によ
って架橋された合成樹脂からなる下引き層を設けること
を提案している。尚、これにより、蛍光体層と支持体と
の密着性が改善されるのみならず、衝撃や曲げ等機械的
刺激が与えられた場合でも、蛍光体層が簡単にひび割れ
を起こし難く、剥離し難くなることも記載されている。
【0005】ところで、上記した通り、下引き層を設け
ることは極めて大きな特長を奏する。しかしながら、下
引き層は、その本来の目的・性質からして、僅かと謂え
ども、粘着性を持っている。この為、支持体上に下引き
層用の塗料を塗布して下引き層を設けた後、巻き取られ
るに際して、又は、その後のエージング時に下引き層塗
膜表面と支持体とが接着し、剥がれ難くなる。そして、
蛍光体層を下引き層上に設けるに際して、強制的に剥離
させる為、下引き層表面が粗くなってしまう。そして、
表面性が低下した下引き層上に蛍光体層を設けた放射線
像変換パネルによって像を得た場合、輝度ムラが大きな
ことが判って来た。
【0006】従って、本発明が解決しようとする課題
は、下引き層を有する放射線像変換パネルの輝度ムラを
小さくすることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記の課題に対する検討
を鋭意押し進めて行くうちに、下引き層の接着に起因し
た表面性の低下は、下引き層を設けた後、合紙を重ねて
おけば良いのではないかとの啓示を得るに至った。そこ
で、下引き層を設けた後、合紙を重ねるようにしたので
あるが、単に、合紙を重ねるのみでは、輝度ムラの大き
な改善を図ることは出来なかった。
【0008】そこで、更なる検討が鋭意押し進められて
行った結果、前記の課題は、支持体上に下引き層が、そ
の上に蛍光体層が設けられてなる放射線像変換パネルの
製造方法において、前記下引き層を設けた後、剥離力が
2〜70g/cmの合紙を設けることを特徴とする放射
線像変換パネルの製造方法によって解決されることが判
った。
【0009】本発明において、合紙を下引き層に重ねる
と言うだけでなく、剥離力が2〜70g/cmの合紙を
重ねるようにしたのは、剥離力が2g/cm未満のもの
では、合紙が剥がれてしまい、合紙を重ねて下引き層の
接着防止と言う目的が達成され難いからである。逆に、
剥離力が70g/cmを超えた大きなものでは、剥離に
際して、下引き層の表面性が低下し、合紙を重ねるよう
にした本来の目的が達成できなくなるからである。
【0010】尚、合紙は、剥離力が4g/cm以上のも
のが好ましい。又、50g/cm以下のものが好まし
い。
【0011】特に、前記の課題は、支持体上に下引き層
が、その上に蛍光体層が設けられてなる放射線像変換パ
ネルの製造方法において、前記下引き層を設けた後、剥
離力が2〜70g/cmの合紙を設け、前記合紙を設け
た後であって、前記蛍光体層を設ける前に、前記合紙を
15〜150°の剥離角度で剥離することを特徴とする
放射線像変換パネルの製造方法によって解決される。
【0012】ここで、15〜150°の剥離角度とした
のは、剥離を安定して行えるようにする為である。
【0013】尚、合紙の剥離に際して、その剥離角度は
25°以上であることが好ましい。又、120°以下で
あることが好ましい。
【0014】本発明における下引き層上に設けられる蛍
光体層の蛍光体は、特に、下記一般式(1)又は(2)
で表されるものである。
【0015】一般式(1) Ba(1−x)M2(x)FBr(y)(1−y)
aM1,bLn,cO (式中、M1はLi,Na,K,Rb及びCsから選ば
れる少なくとも1種のアルカリ金属、M2はBe,M
g,Sr及びCaから選ばれる少なくとも1種のアルカ
リ土類金属、LnはCe,Pr,Sm,Eu,Gd,T
b,Tm,Dy,Ho,Nd,Er及びYbから選ばれ
る少なくとも1種の希土類元素を表し、x,y,a,b
及びcは、0≦x≦0.3,0<y≦0.3,0≦a≦
0.05,0<b≦0.2,0≦c≦0.1の条件を満
たす値である。) 一般式(2) Ba(1−x)M2(x)FI:aM1,bLn,cO (式中、M1はLi,Na,K,Rb及びCsから選ば
れる少なくとも1種のアルカリ金属、M2はBe,M
g,Sr及びCaから選ばれる少なくとも1種のアルカ
リ土類金属、LnはCe,Pr,Sm,Eu,Gd,T
b,Tm,Dy,Ho,Nd,Er及びYbから選ばれ
る少なくとも1種の希土類元素を表し、x,a,b及び
cは、0≦x≦0.3,0≦a≦0.05,0<b≦
0.2,0≦c≦0.1の条件を満たす値である。) 本発明で用いられる合紙としては、上記特徴のものであ
れば良い。具体的には、ポリエチレンテレフタレートや
ポリプロピレン等のプラスチックフィルム、紙、金属な
どの中から適宜選択できる。尚、好ましいものとしては
プラスチックフィルムである。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明になる放射線像変換パネル
の製造方法は、支持体上に下引き層が、その上に蛍光体
層が設けられてなる放射線像変換パネルの製造方法にお
いて、前記下引き層を設けた後、剥離力が2〜70g/
cm(特に、4g/cm以上。50g/cm以下。)の
合紙を設ける方法である。特に、支持体上に下引き層
が、その上に蛍光体層が設けられてなる放射線像変換パ
ネルの製造方法において、前記下引き層を設けた後、剥
離力が2〜70g/cm(特に、4g/cm以上。50
g/cm以下。)の合紙を設け、前記合紙を設けた後で
あって、前記蛍光体層を設ける前に、前記合紙を15〜
150°(特に、25°以上。120°以下。)の剥離
角度で剥離する方法である。
【0017】本発明における下引き層上に設けられる蛍
光体層の蛍光体は、特に、上記一般式(1)又は(2)
で表されるものである。
【0018】以下、更に詳しく説明する。
【0019】本発明の放射線像変換パネルの支持体とし
ては、放射線像変換パネルの支持体として用いられて来
たものを用いることが出来る。合紙を設ける為に格別な
制約が加わるようなことは無い。
【0020】本発明で用いることが出来る支持体として
は、例えばガラス、ウール、コットン、紙、金属などの
種々の素材から作られたものを使用できる。中でも、情
報記録材料としての取扱い上、可撓性が有るシート或い
はロールに加工できるものは特に好ましい。この点か
ら、例えばセルロースアセテートフィルム、ポリエステ
ルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポ
リアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテー
トフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスティ
ックフィルム、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔な
どの金属シート、一般紙及び例えば写真用原紙、コート
紙、若しくはアート紙のような印刷用原紙、バライタ
紙、レジンコート紙、ベルギー特許第784,615号
に記載されているようなポリサッカライド等でサイジン
グされた紙、二酸化チタンなどの顔料を含むピグメント
紙、ポリビニルアルコールでサイジングした紙等の加工
紙が特に好ましい。
【0021】支持体の膜厚は、用いる支持体の材質等に
よって異なるが、一般的には、80〜1000μmであ
る。取扱い上の点から、更に好ましくは80〜500μ
mである。
【0022】支持体の表面は滑面であっても、下引き層
との接着力を向上させる目的でマット面としても良い。
支持体上には下引き層が設けられる。下引き層は、蛍光
体層と支持体との接着性を向上させ、蛍光体層にクラッ
クが入ったり、剥離を起こしたりするのを防止する上で
重要である。
【0023】更に、下引き層を着色剤(染料あるいは顔
料)で着色することによって、励起光を吸収し、励起光
の拡散を防ぐことが出来る。又、下引き層を構成する樹
脂は硬化剤によって架橋するものが好ましい。そして、
放射線像変換パネルを用いた画像診断システムにおい
て、ムラのない、鮮鋭性の高い高画質な画像を得ること
が出来る。
【0024】前記着色剤は樹脂溶液と予め混合・分散し
ておくのが好ましい。この混合・分散の後、硬化剤を添
加する。尚、必要に応じて更に分散する。このように調
整することによって、部分的な架橋反応が起こり難く、
着色剤の配向や、分散の偏りが起き難いものとなる。そ
して、このようにして調整された塗布液を支持体上に塗
布する。これにより、表面が非常に綺麗な着色下引き層
が得られる。
【0025】下引き層として必要な添加剤や溶剤など
は、着色剤や樹脂の分散状態に直接影響を与えないもの
なら当初から添加されていても良い。例えば、添加剤
が、硬化剤のように樹脂の架橋によって着色剤や樹脂の
分散或いは溶解状態に直接影響を与えるようならば、こ
れを添加するには混合・分散後、一定時間、例えば30
秒経過してから添加し、下引き層塗布液を調製するのが
よい。
【0026】本発明において、支持体は反射性支持体と
し、下引き層は輝尽発光成分を殆ど吸収せず、余分な励
起光成分を吸収する着色剤を含有させ、着色する形態が
好ましい。着色剤の添加量で感度、鮮鋭度、粒状性など
の特性が変わる。下引き層中の着色剤と樹脂との割合
(質量比)は、膜厚にもよるが、0.01:99.99
〜0.1:99.9である。好ましくは、0.03:9
9.97〜0.09:99.91である。下引き層の膜
厚は、乾燥膜厚で3〜50μmが好ましい。より好まし
くは、5〜40μmである。本発明において、下引き層
に用いられる樹脂としては、ゼラチン等の蛋白質、デキ
ストラン等のポリサッカライド、又はアラビアゴムのよ
うな天然高分子物質、及びポリビニルブチラール、ポリ
酢酸ビニル、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩
化ビニリデン、塩化ビニルコポリマー、ポリアクリル
(メタ)アクリレート、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリ
マー、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレー
ト、ポリビニルアルコール、線状ポリエステル等のよう
な合成高分子物質等を代表的なものとして挙げることが
出来る。特に、ポリエステルやポリウレタンは、支持
体、蛍光体層との相性、特性面、塗設のし易さ等から良
い。これらの樹脂を適当な溶剤、例えば後述の輝尽性蛍
光体層塗布液の調製で用いる溶剤に添加し、溶解して樹
脂溶液として用いる。これと着色剤とを混合し、分散す
ることによって、着色剤と合成樹脂溶液とからなる着色
剤の分散液或いは溶解液が得られる。合成樹脂及び溶剤
は、着色剤と混合・分散時、合成樹脂と溶剤を別々に混
合しても良く、混合・分散機中で溶液を形成するやり方
でも良い。本発明で用いる樹脂は溶液の形態で入手でき
るものもあり、例えば好ましいポリエステル系樹脂の場
合、ポリエステル樹脂溶解品として、東洋紡製バイロン
30SS(固形分30%)、バイロン55SS(固形分
35%)等があり、そのまま樹脂溶液として使用するこ
とができる。着色剤は、輝尽性蛍光体層塗布液の調製で
用いるのと同様な溶剤及び適当な分散剤により予め分散
しておき、例えば銅フタロシアニンの場合には、この分
散液を樹脂溶液或いは樹脂に添加し、これを充分に混合
・分散する方法で混合しても良い。又、前述のように、
合成樹脂溶液と着色剤との混合・分散した液には、その
他、塗布液として必要な硬化剤以外の添加剤成分や必要
量の溶剤などが予め混合されていてもよい。合成樹脂溶
液と着色剤を混合・分散することで着色剤を分散或いは
溶解した樹脂溶液を調製するには、例えば予め分散状態
の着色剤と樹脂溶液を混合する場合などにはプロペラミ
キサー等の攪拌機で充分な場合もあり、着色剤の状態や
種類、樹脂の種類等によって更に剪断力の強い分散機等
を使用する必要がある場合もあり、その場合には、ボー
ルミル、サンドミル、アトライター、三本ロールミル、
高速インペラー分散機、Kadyミル、及び超音波分散
機などの分散装置を用いて行うことが出来る。本発明の
放射線像変換パネルに使用される着色剤は、該パネルに
使用される輝尽性蛍光体の励起光波長領域における平均
吸収率が、該輝尽性蛍光体の輝尽発光波長領域における
平均吸収率よりも大きい吸収特性を有するものである。
従って、如何なる着色剤を使用するかは、放射線像変
換パネルに使用する輝尽性蛍光体の種類によって決ま
る。以下に述べるように、500〜800nmの励起光
によって300〜600nmの輝尽発光を示す輝尽性蛍
光体を使用するのが実用上は望ましい。このような輝尽
性蛍光体に対しては、励起光波長領域における平均反射
率が輝尽発光波長領域における平均反射率よりも小さく
なり、かつ、両者の差ができるだけ大きくなるように、
有機系或いは無機系着色剤を使用することが出来る。青
色〜緑色の有機系着色剤の例としては、ザボンファース
トブルー3G(ヘキスト社製)、エストロールブリルブ
ルーN−3RL(住友化学(株)製)、スミアクリルブ
ルーF−GSL(住友化学(株)製)、D&CブルーN
o1(ナショナル・アニリン社製)、スピリットブルー
(保土谷化学(株)製)、オイルブルーNo603(オ
リエント(株)製)、キトンブルーA(チバ・ガイギー
社製)、アイゼンカチロンブルーGLH(保土谷化学
(株)製)、レイクブルーA、F、H(協和産業(株)
製)、ローダリンブルー6GX(協和産業(株)製)、
ブリモシアニン6GX(稲畑産業(株)製)、ブリルア
シッドグリーン6BH(保土谷化学(株)製)、シアニ
ンブルーBNRS(東洋インキ(株)製)、ライオノル
ブルーSL(東洋インキ(株)製)が挙げられる。
【0027】青色〜緑色の無機系着色剤の例としては、
群青、コバルトブルー、セルリアンブルー、酸化クロ
ム、TiO−ZnO−CoO−NiO系顔料が挙げら
れるが、本発明はこれらに限定されない。青色乃至緑色
の有機系着色剤として、金属フタロシアニン系等の有機
金属錯塩着色剤、中でも、銅フタロシアニン系有機金属
錯塩着色剤が最も好ましい。蛍光体層と支持体との密着
性を改善すると共に、衝撃や曲げ等の機械的刺激に対し
て蛍光体層がひび割れし難く、かつ、剥離を起こし難い
ように、更には蛍光体層の塗膜形成時に膨潤や部分的溶
解を起こし難く、続く乾燥・収縮によって蛍光体層にム
ラやクラックが生じ難くする為、下引き層は硬化剤(架
橋剤)によって架橋し、硬化させる方が良い。本発明で
用いられる樹脂の硬化剤としては、格別な制約は無い。
例えば、イソシアネート及びその誘導体、メラミン及び
その誘導体、アミノ樹脂及びその誘導体等を挙げること
が出来る。特に、イソシアネート化合物は好ましい。例
えば、日本ポリウレタン社製のコロネートHX、コロネ
ート3041等が挙げられる。下引き層は、以下に示す
方法により支持体上に形成される。先ず、上記の樹脂を
適当な溶剤、例えば後述の輝尽性蛍光体層塗布液の調製
で用いる溶剤に添加し、場合によっては適当な分散剤を
添加し、例えば、予め分散しておいた色素(例えば銅フ
タロシアニン)の分散液を添加し、これを充分に混合し
て着色剤を含有する樹脂溶液を調製する。次いで、該着
色剤を含有する樹脂溶液に、一定時間経過させた後で、
硬化剤を添加し、その他必要な他の添加剤成分、或いは
溶剤等を加え、下引き層塗布液が調製される。この様な
着色剤を含有する樹脂溶液は、これをストックしてお
き、これを劣化が起こらない期間内に、その都度塗布に
必要な量の添加剤や溶剤を加えて、下引き層塗布液を調
製することも可能である。硬化剤の量は、目的とする放
射線像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体層及び支持体に
用いる材料の種類、下引き層で用いる高分子樹脂の種類
等により異なるが、輝尽性蛍光体層の支持体に対する接
着強度の維持を考慮すれば、樹脂に対して50質量%以
下の比率で添加することが好ましく、特に5〜40質量
%が好ましい。下引き層の膜厚は、目的とする放射線像
変換パネルの特性、輝尽性蛍光体層及び支持体に用いる
材料の種類、下引き層で用いる高分子樹脂及び硬化剤の
種類等により異なるが、一般には3〜50μmであるこ
とが好ましい。特に、5〜40μmである。支持体上に
下引き層を形成した後、剥離力が2〜70g/cmの合
紙を下引き層表面に重ね、そしてロール状に巻き取る。
或いはシート状に積層する。
【0028】合紙は、剥離力が2〜70g/cm(特
に、4g/cm以上。50g/cm以下。)のものであ
れば良い。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)やポリプロピレン(PP)等のプラスチックフィル
ム、紙、金属などの中から適宜選択できる。特に、PE
TやPP等のプラスチックフィルムが用いられる。
【0029】ロール状に巻き取った後、加熱処理を行
い、下引き層の硬化剤を硬化させる。例えば、40〜1
50℃(特に好ましくは55〜100℃)で2〜200
時間(特に好ましくは5〜150時間)の熱処理を行
う。熱処理方法としては、特に制限はなく、作製したシ
ート状、ロール状等の下引き層塗設済み試料が完全に収
納でき、かつ、温度、湿度が制御できる恒温室であれば
如何なる方法を用いても良い。上記熱処理後、下引き層
上に設けられている合紙を剥離する。この剥離に際して
は、15〜150°(特に、25°以上。120°以
下。)の剥離角度で剥離する。
【0030】合紙を剥離した後、輝尽性蛍光体層を設け
る。
【0031】蛍光体層は、一般に、蛍光体とこれを分散
保持する樹脂とから構成される。又、蛍光体層の支持体
側とは反対側の表面には通常、ポリマーフィルムや無機
物の蒸着膜からなる保護層膜が設けられる。輝尽性蛍光
体層は、少なくとも輝尽性蛍光体と樹脂(高分子樹脂)
とを含有している。本発明で用いられる輝尽性蛍光体
(単に、蛍光体とも言う)としては、波長300〜60
0nmの波長範囲に輝尽発光するものが一般的に使用さ
れる。以下に、本発明の放射線像変換パネルで用いるこ
とが出来る蛍光体の例を挙げる。 (1)特開昭55−12145号に記載されている(B
1−X,M(II))FX:yA(式中、M(II)は
Mg,Ca,Sr,Zn及びCdのうちの少なくとも一
つ、XはCl,Br,及びIのうち少なくとも一つ、A
はEu,Tb,Ce,Tm,Dy,Pr,Ho,Nd,
Yb及びErのうちの少なくとも一つ、0≦x≦0.
6、0≦y≦0.2)の組成式で表される希土類元素付
活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物蛍光体 尚、この蛍光体には以下のような添加物が含まれていて
もよい。 a)特開昭56−74175号公報に記載されている
X,BeX,M(III)X(式中、XはCl,Br及
びIの少なくとも一種であり、M(III)は三価金属) b)特開昭55−160078号公報に記載されている
BeO,MgO,CaO,SrO,BaO,ZnO,A
,Y,La,In,SiO
,TiO,ZrO,GeO,SnO,Nb
,Ta 及びThOなどの金属酸化物 c)特開昭56−116777号公報に記載されている
Zr,Sc d)特開昭57−23673号公報に記載されているB e)特開昭57−23675号公報に記載されているA
s,Si f)特開昭58−206678号公報に記載されている
M・L(式中、MはLi,Na,K,Rb及びCsから
なる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であ
り、LはSc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,S
m,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,L
u,Al,Ga,In及びTlからなる群より選ばれる
少なくとも一種の三価金属) g)特開昭59−27980号公報に記載されているテ
トラフルオロホウ酸化合物の焼成物 特開昭59−27289号公報に記載されているヘキサ
フルオロケイ酸、ヘキサフルオロチタン酸及びヘキサフ
ルオロジルコニウム酸の一価もしくは二価金属の塩の焼
成物 特開昭59−56479号公報に記載されているNaX
(式中、XはCl,Br及びIのうちの少なくとも一
種) h)特開昭59−56480号公報に記載されている
V,Cr,Mn,Fe,Co及びNiなどの遷移金属 特開昭59−75200号に記載されているM(I)
X,M(II)X,M(III)X,A(式中、M
(I)はLi,Na,K,Rb及びCsからなる群より
選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属、M(II)はB
e及びMgからなる群より選ばれる少なくとも一種の二
価金属、M(III)はAl,Ga,In及びTlからな
る群より選ばれる少なくとも一種の三価金属、Aは金属
酸化物であり、XはF,Cl,Br及びIからなる群よ
り選ばれる少なくとも一種のハロゲン) i)特開昭60−101173号公報に記載されている
M(I)X(式中、M(I)はRb及びCsからなる群
より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、X
はF,Cl,Br及びIからなる群より選ばれる少なく
とも一種のハロゲン) j)特開昭61−23679号公報に記載されているM
(II)X・M(II)X’(式中、M(II)はBa,
Sr及びCaからなる群より選ばれる少なくとも一種の
アルカリ土類金属、X,X’はCl,Br及びIからな
る群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、
X≠X’) 特開昭61−264084号公報に記載されているLn
(式中、LnはSc,Y,La,Ce,Pr,N
d,Pm,Sm,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,T
m,Yb及びLuからなる群より選ばれる少なくとも一
種の希土類元素、XはF,Cl,Br及びIからなる群
より選ばれる少なくとも一種のハロゲン) (2)特開昭60−84381号公報に記載されている
M(II)X・aM(II)X’:xEu2+(式中、
M(II)はBa,Sr及びCaからなる群より選ばれる
少なくとも一種のアルカリ土類金属、X,X′はCl,
Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハ
ロゲンで、X≠X’、0.1≦a≦10.0,0<x≦
0.2)の組成式で表される二価ユーロピウム付活アル
カリ土類 金属ハロゲン化物蛍光体尚、この蛍光体には以下のよう
な添加物が含まれていても良い。
【0032】a)特開昭60−166379号公報に記
載されているM(I)X(式中、M(I)はRb及びC
sからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金
属、XはF,Cl,Br及びIからなる群より選ばれる
少なくとも一種のハロゲン) b)特開昭60−221483号公報に記載されている
KX,MgX,M(III)X(式中、M(III)はS
c,Y,La,Gd及びLuからなる群より選ばれる少
なくとも一種の三価金属、XはF,Cl,Br及びIか
らなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲン) c)特開昭60−228592号公報に記載されている
B 特開昭60−228593号公報に記載されているSi
,P等の酸化物 特開昭61−120882号公報に記載されているLi
X,NaX(式中、XはF,Cl,Br及びIからなる
群より選ばれる少なくとも一種のハロゲン) d)特開昭61−120883号公報に記載されている
SiO 特開昭61−120885号公報に記載されているSn
(式中、XはF,Cl,Br及びIからなる群より
選ばれる少なくとも一種のハロゲン) e)特開昭61−235486号公報に記載されている
CsX,SnX(式中、XはF,Cl,Br及びIか
らなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲン) 特開昭61−235487号公報に記載されているCs
X,Ln3+(式中、XはF,Cl,Br及びIからな
る群より選ばれる少なくとも一種のハロゲン、LnはS
c,Y,Ce,Pr,Nd,Sm,Gd,Tb,Dy,
Ho,Er,Tm,Yb及びLuからなる群より選ばれ
る少なくとも一種の希土類元素) (3)特開昭55−12144号公報に記載されている
LnOX:xA(式中、LnはLa,Y,Gd及びLu
のうち少なくとも一つ、XはCl,Br及びIのうち少
なくとも一つ、AはCe及びTbのうち少なくとも一
つ、0<x<0.1)の組成式で表される希土類元素付
活希土類オキシハライド蛍光体 (4)特開昭58−69281号公報に記載されている
M(II)OX:xCe(式中、M(II)はPr,Nd,
Pm,Sm,Eu,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Y
b及びBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の金
属、XはCl,Br及びIのうち少なくとも一つ、0<
x<0.1)の組成式で表されるセリウム付活三価金属
オキシハライド蛍光体 (5)特開昭62−25189号公報に記載されている
M(I)X:xBi(式中、M(I)はRb及びCsか
らなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属、
XはCl,Br及びIからなる群より選ばれる少なくと
も一種のハロゲン、0<x≦0.2)の組成式で表され
るビスマス付活アルカリ金属ハロゲン化物蛍光体 (6)特開昭60−141783号公報に記載されてい
るM(II)(POX:xEu2+(式中、M
(II)はCa,Sr及びBaからなる群より選ばれる少
なくとも一種のアルカリ土類金属、XはF,Cl,Br
及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲ
ン、0<x≦0.2)の組成式で表される二価ユーロピ
ウム付活アルカリ土類金属ハロリン酸塩蛍光体 (7)特開昭60−157099号公報に記載されてい
るM(II)BOX:xEu2+(式中、M(II)は
Ca,Sr及びBaからなる群より選ばれる少なくとも
一種のアルカリ土類金属、XはCl,Br及びIからな
る群より選ばれる少なくとも一種のハロゲン、0<x≦
0.2)の組成式で表される二価ユーロピウム付活アル
カリ土類金属ハロホウ酸塩蛍光体 (8)特開昭60−157100号公報に記載されてい
るM(II)(POX:xEu2+(式中、M
(II)はCa,Sr及びBaからなる群より選ばれる少
なくとも一種のアルカリ土類金属、XはCl,Br及び
Iからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲン、
0<x≦0.2)の組成式で表される二価ユーロピウム
付活アルカリ土類金属ハロリン酸塩蛍光体 (9)特開昭60−217354号公報に記載されてい
るM(II)HX:xEu2+(式中、M(II)はCa,
Sr及びBaからなる群より選ばれる少なくとも一種の
アルカリ土類金属、XはCl,Br及びIからなる群よ
り選ばれる少なくとも一種のハロゲン、0<x≦0.
2)の組成式で表される二価ユーロピウム付活アルカリ
土類金属水素化ハロゲン化物蛍光体 (10)特開昭61−21173号公報に記載されてい
るLnX・aLn’X’:xCe3+(式中、Ln
及びLn’はY,La,Gd及びLuからなる群より選
ばれる少なくとも一種の希土類元素、X,X’はF,C
l,Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種
のハロゲンで、X≠X′であり、0.1<a≦10.
0,0<x≦0.2)の組成式で表されるセリウム付活
希土類複合ハロゲン化物蛍光体 (11)特開昭61−21182号公報に記載されてい
るLnX・aM(I)X’:xCe3+(式中、L
nはY,La,Gd及びLuからなる群より選ばれる少
なくとも一種の希土類元素、M(I)はLi,Na,
K,Cs及びRbからなる群より選ばれる少なくとも一
種のアルカリ金属、X,X’はCl,Br及びIからな
る群より選ばれる少なくとも一種のハロゲン、0<a≦
10.0,0<x≦0.2)の組成式で表されるセリウ
ム付活希土類複合ハロゲン化物系蛍光体 (12)特開昭61−40390号公報に記載されてい
るLnPO・aLnX:xCe3+(式中、Lnは
Y,La,Gd及びLuからなる群より選ばれる少なく
とも一種の希土類元素、XはF,Cl,Br及びIから
なる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲン、0.1
≦a≦10.0,0<x≦0.2)の組成式で表される
セリウム付活希土類ハロ燐酸塩蛍光体 (13)特開昭61−236888号公報に記載されて
いるCsX:aRbX’:xEu2+(式中、X,X’
はCl,Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも
一種のハロゲン、0<a≦10.0,0<x≦0.2)
の組成式で表される二価ユーロピウム付活ハロゲン化セ
シウム・ルビジウム蛍光体 (14)特開昭61−236890号公報に記載されて
いるM(II)X・aM(I)X’:xEu2+(式
中、M(II)はBa,Sr及びCaからなる群より選ば
れる少なくとも一種のアルカリ土類金属、M(I)はL
i,Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一
種のアルカリ金属、X,X’はCl,Br及びIからな
る群より選ばれる少なくとも一種のハロゲン、0.1≦
a≦20.0,0<x≦0.2)の組成式で表される二
価ユーロピウム付活複合ハロゲン化物蛍光体 上記の蛍光体の中で、ヨウ素を含有する二価ユーロピウ
ム付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体、ヨ
ウ素を含有する二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属
ハロゲン化物系蛍光体、ヨウ素を含有する希土類元素付
活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、及びヨウ素を含
有するビスマス付活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体
は、高輝度の輝尽発光を示すことから、好ましいもので
ある。本発明においては、放射線像変換パネルの蛍光体
として、請求項に記載の一般式(1)或いは(2)で表
されるものを使用するのが特に好ましい。中でも、一般
式(2)で表されるものを使用するのが好ましい。これ
らの式中、特に、Eu付活BaFIが好ましい。
【0033】請求項に記載の一般式(1)或いは(2)
で表される蛍光体の粒径としては、3〜15μm、特に
4〜10μmのものが好ましい。請求項に記載の一般式
(1),(2)で表される蛍光体の製造方法を以下に説
明する。製造方法としては、粒子形状の制御が難しい固
相法ではなく、粒径の制御が容易である液相合成法によ
り行うことが好ましい。特に、下記の液相合成法により
蛍光体を得ることが好ましい。液相合成法による蛍光体
の前駆体製造については、公知の前駆体製造方法及び装
置が好ましく利用できる。ここで、蛍光体前駆体とは、
請求項に記載の一般式(1)或いは(2)で表される蛍
光体が600℃以上の高温を経ていない状態を示し、蛍
光体前駆体は輝尽発光性や瞬時発光性を殆ど示さない。
本発明では以下の液相合成法により前駆体を得ることが
好ましい。 (製造法) 1)BaIとLnのハロゲン化物とを含み、前記一般
式(1)のxが0でない場合には、更にM2のハロゲン
化物を、yが0でない場合はBaBrを、そしてM1
のハロゲン化物を含み、それらが溶解した後、BaI
濃度が3.3mol/L以上、好ましくは3.5mol
/L以上の溶液を調製する工程; 2)上記溶液を50℃以上、好ましくは80℃以上の温
度に維持しながら、これに濃度5mol/L以上、好ま
しくは8mol/L以上の無機弗化物(弗化アンモニウ
ム又はアルカリ金属の弗化物)の溶液を添加して、希土
類付活アルカリ土類金属弗化沃化物系輝尽性蛍光体前駆
体結晶の沈澱物を得る工程; 3)上記無機弗化物を添加しつつ、又は添加終了後、反
応液から溶媒を除去する工程; 4)上記前駆体結晶沈澱物を反応液から分離する工程; 5)分離した前駆体結晶沈澱物を焼結を避けながら焼成
する工程を含む。 本発明に係る粒子(結晶)は、平均粒径が1〜10μm
で、かつ、単分散性のものが好ましく、平均粒径が1〜
7μm、平均粒径の分布(%)が20%以下のものがよ
り好ましい。
【0034】本発明における平均粒径とは、粒子(結
晶)の電子顕微鏡写真より無作為に粒子200個を選
び、球換算の体積粒子径で平均を求めたものである。以
下に蛍光体の製造法について説明する。 (前駆体結晶の沈澱物の作製、蛍光体の作製)最初に、
水系媒体を用いて弗素化合物以外の原料化合物を溶解さ
せる。即ち、BaIとLnのハロゲン化物、そして必
要により更にM2のハロゲン化物、そして更にM1のハ
ロゲン化物を水系媒体中に入れ、充分に混合し、溶解さ
せ、それらが溶解した水溶液を調製する。尚、BaI
濃度が3.3mol/L以上、好ましくは3.5mol
/L以上となるように、BaI濃度と水系溶媒との量
比を調整しておく。この時、バリウム濃度が低いと、所
望の組成の前駆体が得られ難いか、得られても粒子が肥
大化する。よって、バリウム濃度は適切に選択する必要
がある。本発明者らの検討の結果、3.3mol/L以
上で微細な前駆体粒子を形成できることが判った。この
時、所望により少量の酸、アンモニア、アルコール、水
溶性高分子ポリマー、水不溶性金属酸化物微粒子粉体な
どを添加してもよい。BaIの溶解度が著しく低下し
ない範囲で低級アルコール(メタノール、エタノール
等)を適当量添加しておくのも好ましい態様である。こ
の水溶液(反応母液)は50℃に維持される。次に、5
0℃に維持され、撹拌されている水溶液に、無機弗化物
(弗化アンモニウム、アルカリ金属の弗化物など)の水
溶液をポンプ付きのパイプ等を用いて注入する。この注
入は、撹拌が特に激しく実施されている領域部分に行う
のが好ましい。この無機弗化物水溶液の反応母液への注
入によって、前記一般式(1)に該当する蛍光体前駆体
結晶が沈澱する。次に、反応液から溶媒を除去する。溶
媒を除去する時期は特に問わない。無機弗化物溶液の添
加開始から固液分離する迄の間であれば何時でも良い。
最も好ましいのは無機弗化物溶液を添加し終えた直後か
ら除去を始める態様である。溶媒の除去量は、除去前と
除去後の質量比で2%以上が好ましい。これ以下では結
晶が好ましい組成に成りきらない場合がある。その為、
除去量は2%以上が好ましく、5%以上がより好まし
い。又、除去し過ぎても、反応溶液の粘度が過剰に上昇
する等、ハンドリングの面で不都合が生じる場合があ
る。その為、溶媒の除去量は、除去前と除去後の質量比
で50%以下が好ましい。溶媒の除去に要する時間は、
生産性に大きく影響するばかりでなく、粒子の形状、粒
径分布も溶媒の除去方法に影響されるので、除去方法は
適切に選択する必要がある。一般的に、溶媒の除去に際
しては、溶液を加熱し、溶媒を蒸発する方法が選択され
る。本発明においても、この方法は有用である。溶媒の
除去により、意図した組成の前駆体を得ることが出来
る。更に、生産性を上げる為、又、粒子形状を適切に保
つ為、他の溶媒除去方法を併用することが好ましい。併
用する溶媒の除去方法は特に問わない。逆浸透膜などの
分離膜を用いる方法を選択することも可能である。生産
性の面から、以下の除去方法を選択することが好まし
い。 1.乾燥気体を通気 反応容器を密閉型とし、少なくとも2箇所以上の気体が
通過できる孔を設け、そこから乾燥気体を通気する。気
体の種類は任意に選ぶことが出来る。安全性の面から、
空気あるいは窒素が好ましい。通気する気体の飽和水蒸
気量に依存して溶媒が気体に同伴、除去される。反応容
器の空隙部分に通気する方法の他、液相中に気体を気泡
として噴出させ、気泡中に溶媒を吸収させる方法も又有
効である。 2.減圧 減圧にすることで溶媒の蒸気圧は低下する。蒸気圧降下
により効率的に溶媒を除去することが出来る。減圧度と
しては溶媒の種類により適宜選択することが出来る。溶
媒が水の場合、86450Pa以下が好ましい。 3.液膜 蒸発面積を拡大することにより溶媒の除去を効率的に行
うことが出来る。一定容積の反応容器を用いて加熱、攪
拌し、反応を行わせる場合、加熱方法としては、加熱手
段を液体中に浸漬するか、容器の外側に加熱手段を装着
する方法が一般的である。該方法によると、伝熱面積は
液体と加熱手段が接触する部分に限定され、溶媒除去に
伴い伝熱面積が減少する。よって、溶媒除去に要する時
間が長くなる。これを防ぐ為、ポンプ又は攪拌機を用い
て反応容器の壁面に散布し、伝熱面積を増大させる方法
が有効である。このように反応容器壁面に液体を散布
し、液膜を形成する方法は“濡れ壁”として知られてい
る。濡れ壁の形成方法としては、ポンプを用いる方法の
他、特開平6−335627号公報、同11−2355
22号公報に記載の攪拌機を用いる方法が挙げられる。
これらの方法は単独のみならず、組み合わせて用いても
構わない。液膜を形成する方法と容器内を減圧にする方
法の組合せ、液膜を形成する方法と乾燥気体を通気する
方法の組合せ等が有効である。特に前者が好ましく、特
開平6−335627号公報に記載の方法が好ましく用
いられる。次に、上記の蛍光体前駆体結晶を、濾過、遠
心分離などにより溶液から分離し、メタノール等で充分
に洗浄し、乾燥する。この乾燥蛍光体前駆体結晶にアル
ミナ微粉末、シリカ微粉末などの焼結防止剤を添加・混
合し、結晶表面に焼結防止剤微粉末を均一に付着させ
る。尚、焼成条件を選ぶことにより焼結防止剤の添加を
省略することも可能である。
【0035】次に、蛍光体前駆体の結晶を石英ボート、
アルミナ坩堝、石英坩堝などの耐熱性容器に充填し、電
気炉の炉心に入れて焼結を避けながら焼成を行う。焼成
温度は400〜1300℃の範囲が適当であり、500
〜1000℃の範囲が特に好ましい。焼成時間は、蛍光
体原料混合物の充填量、焼成温度及び炉からの取出し温
度などによっても異なるが、一般には0.5〜12時間
が適当である。焼成雰囲気としては、窒素ガス雰囲気、
アルゴンガス雰囲気等の中性雰囲気、又は少量の水素ガ
スを含有する窒素ガス雰囲気、一酸化炭素を含有する二
酸化炭素雰囲気などの弱還元性雰囲気、或いは微量酸素
導入雰囲気が利用される。
【0036】焼成方法については、特開2000−80
34号公報に記載の方法が好ましく用いられる。上記の
焼成によって目的の蛍光体が得られる。
【0037】放射線像変換パネルに使用される蛍光体
は、樹脂(高分子樹脂)に分散された形態で蛍光体層中
に含有されている。蛍光体層で用いることのできる高分
子樹脂としては、前記下引き層で用いる樹脂と同じもの
を挙げることが出来る。例えば、ポリウレタン、ポリエ
ステル、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化
ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アク
リロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブ
チラール、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、
スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹
脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミ
ン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹
脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。中でも、ポ
リウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体、ポ
リビニルブチラール、ニトロセルロース等を好ましいも
のとして挙げることが出来る。これ等の中でも、ガラス
転移温度(Tg)が25℃未満の樹脂を用いることが好
ましい。特に、Tgが−50〜20℃の樹脂が更に好ま
しい。蛍光体層塗布液は、適当な有機溶媒中に高分子樹
脂と蛍光体粒子とを添加し、例えばディスパーザーやボ
ールミル等を使用して、攪拌・混合して、高分子樹脂中
に蛍光体が均一に分散するように調製する。
【0038】蛍光体層塗布液の調製に用いられる溶剤と
しては、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノ
ール、2−プロパノール、ブタノールなどの低級アルコ
ール、メチレンクロライド、エチレンクロライド等の塩
素原子含有炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、
メチルイソブチルケトンなどのケトン、トルエン、ベン
ゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、キシレンな
どの芳香族化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチ
ルなどの低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジ
オキサン、エチレングリコールモノエチルエステル、エ
チレングリコールモノメチルエステルなどのエーテル及
びそれらの混合物を挙げることが出来る。蛍光体層塗布
液には、必要に応じて、塗布液中における蛍光体の分散
性を向上させるための分散剤、又、パネル形成後の蛍光
体層中における高分子樹脂と蛍光体との間の結合力を向
上させる為の可塑剤など種々の添加剤が混合されても良
い。分散剤の例としては、フタル酸、ステアリン酸、カ
プロン酸、親油性界面活性剤などを挙げることができ
る。可塑剤の例としては、燐酸トリフェニル、燐酸トリ
クレジル、燐酸ジフェニルなどの燐酸エステル、フタル
酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチルなどのフタル酸
エステル、グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコ
ール酸ブチルフタルブチルなどのグリコール酸エステ
ル、トリエチレングリコールとアジピン酸とのポリエス
テル、ジエチレングリコールと琥珀酸とのポリエステル
などのポリエチレングリコールと脂肪族二塩基酸とのポ
リエステルなどを挙げることが出来る。蛍光体層は、例
えば次のような方法により下引き層上に形成できる。
【0039】先ず、沃素含有輝尽性蛍光体、黄変防止の
為の亜燐酸エステル等の化合物及び結合剤(樹脂)を適
当な溶剤に添加し、これらを充分に混合して結合剤溶液
中に蛍光体粒子及び該化合物の粒子が均一に分散した塗
布液を調製する。尚、一般に、結合剤(樹脂)は蛍光体
99質量部に対して1〜99質量部の範囲で使用され
る。しかしながら、得られる放射線変換パネルの感度、
鮮鋭性と下引き層との相性から、蛍光体と結合剤の比は
97:3〜90:10(質量部)の範囲が好ましい。蛍
光体層の塗布液の固形分としては75質量%以上が好ま
しい。更に好ましくは77質量%以上である。
【0040】蛍光体層用塗布液の調製は、ボールミル、
サンドミル、アトライター、三本ロールミル、高速イン
ペラー分散機、Kadyミル、及び超音波分散機などの
分散装置を用いて行われる。調製された塗布液をドクタ
ーブレード、ロールコーター、ナイフコーター等の塗布
装置を用いて下引き層上に塗布・乾燥することにより、
蛍光体層が形成される。上記のような素材で調製した塗
布液を下引き層の表面に均一に塗布することにより塗布
液の塗膜を形成する。この塗布操作は通常の塗布手段、
例えばドクターブレード、ロールコーター、ナイフコー
ター等を用いて行うことが出来る。
【0041】次いで、形成された塗膜を徐々に加熱する
ことにより乾燥し、下引き層上への蛍光体層の形成を完
了する。
【0042】放射線像変換パネルの蛍光体層の膜厚は、
目的とする放射線像変換パネルの特性、蛍光体の種類、
結着剤と蛍光体との混合比等によって異なるが、10〜
1000μmの範囲から選ばれるのが好ましく、10〜
500μmの範囲から選ばれるのがより好ましい。支持
体と蛍光体層の結合を強化する為、下引き層を設けるこ
とは本発明の特徴の一つであるが、その他に、感度、画
質(例えば、鮮鋭性、粒状性)を向上させる目的で、二
酸化チタンなどの光反射性物質からなる光反射層、若し
くはカーボンブラックなどの光吸収物質からなる光吸収
層などが必要に応じて設けられて良い。又、放射線像変
換パネルには、蛍光体層の表面を物理的、化学的に保護
する為の保護膜を設けることが好ましく、それらの構成
は目的、用途などに応じて適宜選択できる。
【0043】放射線像変換パネルに設ける保護層として
は、ポリエステルフィルム、ポリメタクリレートフィル
ム、ニトロセルロースフィルム、セルロースアセテート
フィルム等が使用できる。中でも、ポリエチレンテレフ
タレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルム
等の延伸加工されたフィルムが、透明性、強さの面で保
護層として好ましい。更には、これらのポリエチレンテ
レフタレートフィルムやポリエチレンテレフタレートフ
ィルム上に金属酸化物、窒化珪素などの薄膜を蒸着した
蒸着フィルムが防湿性の面からより好ましい。
【0044】当該保護層で用いるフィルムは、必要とさ
れる防湿性に合わせて、樹脂フィルムや樹脂フィルムに
金属酸化物などを蒸着した蒸着フィルムを複数枚積層す
ることで最適な防湿性とすることがで出来る。蛍光体の
吸湿劣化防止を考慮して、透湿度は少なくとも50g/
・day以下であることが好ましい。樹脂フィルム
の積層方法としては、特に制限はなく、公知のいずれの
方法を用いても良い。
【0045】又、積層された樹脂フィルム間に励起光吸
収層を設けることによって、励起光吸収層が物理的な衝
撃や化学的な変質から保護され、安定したプレート性能
が長期間維持できる。又、励起光吸収層は複数箇所設け
ても良い。尚、積層する為の接着剤層に色剤を含有させ
て、励起光吸収層としても良い。保護層は、蛍光体層に
接着層を介して密着していても良いが、蛍光体面を被覆
するように設けられた構造(以下、封止又は封止構造と
も言う)であるのが好ましい。蛍光体面を封止するに当
たっては、公知のいずれの方法でも良いが、防湿性保護
フィルムの蛍光体面に接する側の最外層樹脂層を熱融着
性を有する樹脂フィルムとすることは、防湿性保護フィ
ルムが融着可能となり、放射線像変換パネルの封止作業
が効率化される点で、好ましい形態の1つである。尚、
上記熱融着性を有する樹脂フィルムとは、一般に使用さ
れるインパルスシーラーで融着可能な樹脂フィルムのこ
とであり、例えば、エチレン酢酸ビニルコポリマー(E
VA)やポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレ
ン(PE)フィルム等を挙げることが出来るが、本発明
はこれに限定されるものでは無い。更には、放射線像変
換パネルの上下に防湿性保護フィルムを配置し、その周
縁が前記パネルの周縁より外側にある領域で、上下の防
湿性保護フィルムをインパルスシーラー等で加熱・融着
して封止構造とする形態のものは、前記パネルの外周部
からの水分進入も阻止でき、好ましい。又、支持体面側
の防湿性保護フィルムを1層以上のアルミフィルムをラ
ミネートしてなる積層フィルムとする形態のものは、よ
り確実に水分の進入を低減でき、又、この封止方法は作
業的にも容易であり、好ましい。上記インパルスシーラ
ーで加熱融着する方法においては、減圧環境下で加熱融
着することが、放射線像変換パネルの防湿性保護フィル
ム内での位置ずれ防止や大気中の湿気を排除する意味
で、より好ましい。防湿性保護フィルムの蛍光体面が接
する側の熱融着性を有する最外層の樹脂層と蛍光体面
は、接着していても接着していなくても良い。ここで言
う接着していない状態とは、微視的には蛍光体面と防湿
性保護フィルムとが点接触していても、光学的、力学的
には殆ど蛍光体面と防湿性保護フィルムは不連続体とし
て扱える状態のことである。支持体上に蛍光体層が塗設
された蛍光体シートは、所定の大きさに断裁される。断
裁に当たっては、一般のどのような方法でも可能である
が、作業性、精度の面から化粧断裁機、打ち抜き機等が
望ましい。以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】(下引き層−合紙の重合・剥離−蛍光体層)
先ず、下引き層塗布液を次のようにして調製した。ポリ
エステル樹脂溶解品(東洋紡バイロン55SS:固形分
35%)90kgに着色剤としてβ−銅フタロシアニン
分散品100g(固形分35%、顔料分30%)を同時
添加により30分間プロペラミキサーを用いて混合・分
散した。添加終了後、プロペラミキサーの攪拌を止め、
その後15秒間放置した後、更に攪拌を開始し、同時に
硬化剤としてコロネートHX(日本ポリウレタン社製)
を5kg、及びメチルエチルケトン、トルエン、シクロ
ヘキサノンからなる溶剤を混合し、下引き層塗布液を調
製した。
【0046】次いで、この下引き層塗布液を188E6
0L(東レ製の発泡PETフィルム)にドクターブレー
ドを用いて塗布し、100℃で5分間乾燥し、50μm
厚の下引き層を形成した。
【0047】この下引き層を形成した後、剥離角度45
°においての剥離力が2g/cmのPET製合紙(PA
NAC製のHT25SCBA)を下引き層上に重ね合わ
せ、合紙が重ねられた状態でロール状に巻き取った。
【0048】又、ユウロピウム付活弗化沃化バリウムの
蛍光体前駆体を合成する為に、BaI水溶液(4.0
mol/L)2500mlとEuBr水溶液(0.2
mol/L)125mlを反応器に入れた。この反応器
中の反応母液を撹拌しながら70℃で保温した。弗化ア
ンモニウム水溶液(8mol/L)250mlを反応母
液中にローラーポンプを用いて注入し、沈殿物を生成さ
せた。注入終了後も保温と撹拌を2時間続けて沈殿物の
熟成を行った。次に、沈殿物を濾別後、エタノールによ
り洗浄した後、真空乾燥させてユーロピウム付活弗化沃
化バリウムの結晶を得た。焼成時の焼結により粒子形状
の変化、粒子間融着による粒子サイズ分布の変化を防止
するためにアルミナの超微粒子粉体を0.1質量%添加
し、ミキサーで充分撹拌して結晶表面にアルミナの超微
粒子粉体を均一に付着させた。
【0049】これを石英ボートに充填してチューブ炉を
用いて水素ガス雰囲気中、850℃で2時間焼成してユ
ーロピウム付活弗化沃化バリウム蛍光体粒子を得た。そ
して、上記蛍光体粒子を分級することにより平均粒径3
μmの粒子を得た。
【0050】蛍光体層形成材料として上記で得たユウロ
ピウム付活弗化沃化バリウム蛍光体427g、ポリエス
テル樹脂(東洋紡バイロン530)18gをメチルエチ
ルケトンとトルエン、シクロヘキサノンの混合溶媒に添
加、プロペラミキサーによって分散し、固形分77%の
塗布液を調製した。
【0051】この蛍光体層用塗布液をドクターブレード
を用いて塗布するに先だって、前記ロール状に巻かれて
いる下引済支持体を巻き解く。この巻解時に、下引き層
に重ねられている合紙を剥離角度45°で剥離した。
【0052】そして、合紙が剥離された後、蛍光体層用
塗布液をドクターブレードを用いて塗布、100℃で1
5分間乾燥させ、厚さ240μmの蛍光体層を設けた。
【0053】(防湿性保護フィルムの作製と封止)下記
に示す方法で、防湿性保護フィルムを作製した。下記構
成で表されるアルミナ蒸着ポリエチレンテレフタレート
樹脂層を含む積層保護フィルムAを蛍光体層側に被せ、
減圧下で周縁部をインパルスシーラーを用いて融着、封
止した。又、蛍光体シートの支持体面側の保護フィルム
としては、キャステングポリプロピレン(CPP)30
μm、アルミフィルム9μm、ポリエチレンテレフタレ
ート(PET)188μmの構成よりなるドライラミネ
ートフィルムを用いた。又、接着剤層の厚みは1.5μ
mで2液反応型のウレタン系接着剤を使用した。 積層保護フィルムA:VMPET12///VMPET
12///PET///CPP20 積層保護フィルムAにおいて、VMPETは、アルミナ
蒸着したポリエチレンテレフタレート(市販品:東洋メ
タライジング社製)を表し、PETはポリエチレンテレ
フタレート、CPPはキャステングポリプロピレンを表
す。又、上記「///」は、ドライラミネーション接着
層における2液反応型のウレタン系接着剤層の厚みが
3.0μmであることを表し、各樹脂フィルムの後に表
示した数字は、各フィルムの膜厚(μm)を表す。 以上のようにして輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換
パネルを得た。
【0054】又、下記の表−1に示される特徴の合紙を
用い、又、表−1に示す剥離角度で剥離した以外は上記
と同様に行った。
【0055】 表−1 剥離力(g/cm) 剥離角度(°) 実施例1 2 45 実施例2 10 45 実施例3 20 45 実施例4 70 45 実施例5 10 15 実施例6 10 30 実施例7 10 100 実施例8 10 150 比較例1 1 45 比較例2 90 45 *剥離力は、5cm(長さ)×3cm(幅)のサンプル
を用意し、上記の剥離角度で1cm/sの速度で合紙を
引き剥がし、その際の幅1cm当たりの剥離力を求めた
ものである。
【0056】(放射線像変換パネルの特性(輝度ムラ)
評価)得られた410mm×410mmの大きさの放射
線像変換パネルに管電圧80kVpのX線を蛍光体層と
は逆の支持体側から均一に照射した後、該パネルをHe
−Neレーザー光(633nm)で走査して励起し、図
1に示す如く、放射線像変換パネル上に等間隔に並んだ
36の測定点において、蛍光体層から放射される輝尽発
光を受光器(分光感度S−5の光電子像倍管)で受光
し、その強度を測定し、各測定点間の強度のバラツキか
ら輝度ムラを評価した。各パネルの輝度は、基準のパネ
ルとしてFUJI ST−5Nプレートを用い、決めら
れた領域(5cm×5cm)における決められた一点の
輝尽発光強度を1としたときの各プレートの各測定点に
おける相対発光強度を算出したもので、輝度ムラは、各
パネルの各測定点における輝度の最大値と最小値の幅を
25点の測定点の強度の平均値で割り、%で表したもの
である。その結果を表−2に示す。
【0057】 *輝度ムラは6%以内であれば実用上許容される。
【0058】
【発明の効果】鮮鋭度に優れた輝度ムラの小さな放射線
像変換パネルが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】放射線像変換パネル上に等間隔に並んだ36の
測定点を示す図
フロントページの続き Fターム(参考) 2G083 AA03 BB01 CC08 DD02 DD11 DD16 EE02 EE03 4H001 CA08 XA04 XA09 XA12 XA20 XA35 XA38 XA53 XA56 YA03 YA08 YA11 YA19 YA37 YA55 YA58 YA59 YA60 YA62 YA63 YA64 YA65 YA66 YA67 YA68 YA69 YA70

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に下引き層が、その上に蛍光体
    層が設けられてなる放射線像変換パネルの製造方法にお
    いて、 前記下引き層を設けた後、剥離力が2〜70g/cmの
    合紙を設けることを特徴とする放射線像変換パネルの製
    造方法。
  2. 【請求項2】 支持体上に下引き層が、その上に蛍光体
    層が設けられてなる放射線像変換パネルの製造方法にお
    いて、 前記下引き層を設けた後、剥離力が2〜70g/cmの
    合紙を設け、 前記合紙を設けた後であって、前記蛍光体層を設ける前
    に、前記合紙を15〜150°の剥離角度で剥離するこ
    とを特徴とする放射線像変換パネルの製造方法。
  3. 【請求項3】 蛍光体層の蛍光体が、下記一般式(1)
    で表されるものであることを特徴とする請求項1又は請
    求項2の放射線像変換パネルの製造方法。 一般式(1) Ba(1−x)M2(x)FBr(y)(1−y)
    aM1,bLn,cO (式中、M1はLi,Na,K,Rb及びCsから選ば
    れる少なくとも1種のアルカリ金属、M2はBe,M
    g,Sr及びCaから選ばれる少なくとも1種のアルカ
    リ土類金属、LnはCe,Pr,Sm,Eu,Gd,T
    b,Tm,Dy,Ho,Nd,Er及びYbから選ばれ
    る少なくとも1種の希土類元素を表し、x,y,a,b
    及びcは、0≦x≦0.3,0<y≦0.3,0≦a≦
    0.05,0<b≦0.2,0≦c≦0.1の条件を満
    たす値である。)
  4. 【請求項4】 蛍光体層の蛍光体が、下記一般式(2)
    で表されるものであることを特徴とする請求項1又は請
    求項2の放射線像変換パネルの製造方法。 一般式(2) Ba(1−x)M2(x)FI:aM1,bLn,cO (式中、M1はLi,Na,K,Rb及びCsから選ば
    れる少なくとも1種のアルカリ金属、M2はBe,M
    g,Sr及びCaから選ばれる少なくとも1種のアルカ
    リ土類金属、LnはCe,Pr,Sm,Eu,Gd,T
    b,Tm,Dy,Ho,Nd,Er及びYbから選ばれ
    る少なくとも1種の希土類元素を表し、x,a,b及び
    cは、0≦x≦0.3,0≦a≦0.05,0<b≦
    0.2,0≦c≦0.1の条件を満たす値である。)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006054532A1 (ja) * 2004-11-22 2006-05-26 Konica Minolta Medical & Graphic, Inc. 希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体の製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006054532A1 (ja) * 2004-11-22 2006-05-26 Konica Minolta Medical & Graphic, Inc. 希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体の製造方法
JPWO2006054532A1 (ja) * 2004-11-22 2008-05-29 コニカミノルタエムジー株式会社 希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体の製造方法

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