JP4254109B2 - 放射線画像変換パネル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、輝尽性蛍光体を用いた放射線画像変換パネルに関するものであり、詳しくは、鮮鋭性に優れた放射線画像変換パネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
X線画像のような放射線画像は、病気診断用などの分野で多く用いられている。従来から、このX線画像を得る方法としては、例えば、被写体を通過したX線を蛍光体層(蛍光スクリーン)に照射し、これにより可視光を生じさせた後、この可視光を通常の写真を撮るときと同様にして、ハロゲン化銀写真感光材料(以下、単に感光材料ともいう)に照射し、次いで現像処理を施して可視銀画像を得る、いわゆる放射線写真方式が広く利用されている。
【0003】
しかしながら、近年では、ハロゲン化銀塩を有する感光材料による画像形成方法に代わり、蛍光体層から直接画像を取り出す新たな方法が提案されている。
【0004】
この方法としては、被写体を透過した放射線を蛍光体に吸収せしめ、しかる後この蛍光体を、例えば、光又は熱エネルギーで励起することによりこの蛍光体が上記吸収により蓄積している放射線エネルギーを蛍光として放射せしめ、この蛍光を検出し画像化する方法がある。
【0005】
具体的には、例えば、米国特許第3,859,527号及び特開昭55−12144号公報などに記載されているような輝尽性蛍光体を用いる放射線画像変換方法が知られている。この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射線画像変換パネルを使用するもので、この放射線画像変換パネルの輝尽性蛍光体層に被写体を透過した放射線を当てて、被写体各部の放射線透過密度に対応する放射線エネルギーを蓄積させて、その後、輝尽性蛍光体を可視光線、赤外線などの電磁波(励起光)で時系列的に励起することにより、輝尽性蛍光体中に蓄積されている放射線エネルギーを輝尽発光として放出させ、この光の強弱による信号を、例えば、光電変換して電気信号を得て、この電気信号をハロゲン化銀写真感光材料などの記録材料、CRTなどの表示装置上に可視像として再生するものである。
【0006】
上記の放射線画像の再生方法によれば、従来の放射線写真フィルムと増感紙との組合せによる放射線写真法と比較して、はるかに少ない被曝線量で、かつ情報量の豊富な放射線画像を得ることができるという利点を有している。
【0007】
このように輝尽性蛍光体は、放射線を照射した後、励起光を照射すると輝尽発光を示す蛍光体であるが、実用的には、波長が400〜900nmの範囲にある励起光によって、300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す蛍光体が一般的に利用される。
【0008】
これらの輝尽性蛍光体を使用した放射線画像変換パネルは、放射線画像情報を蓄積した後、励起光の走査によって蓄積エネルギーを放出するので、走査後に再度放射線画像の蓄積を行うことができ、繰り返し使用が可能である。すなわち、従来の放射線写真法では、一回の撮影ごとに放射線写真フィルムを消費するのに対して、この放射線画像変換方法では放射線画像変換パネルを繰り返し使用するので、資源保護、経済効率の面からも有利である。
【0009】
放射線画像変換パネルを使用した放射線画像変換方式の優劣は、該パネルの輝尽性発光輝度(感度ともいう)及び得られる画像の鮮鋭性に大きく左右され、特に、これらの特性に対しては、用いる輝尽性蛍光体の特性が大きく影響を与えるとされている。特に、放射線画像変換パネルにおける鮮鋭度の低下は、パネルの表面から入射した励起光が、輝尽性蛍光体プレート内で拡散反射どによって広がることにより生じる。
【0010】
輝尽性蛍光体プレート内での励起光の広がりは、保護層や輝尽性蛍光体層内での拡散及び支持体と蛍光体層界面での反射に起因する。励起光は赤から赤外の長波長のコヒーレントな光である為に、積極的に散乱光や反射光を吸収しない限り、吸収される量は少なく、離れた場所まで伝搬し鮮鋭性を悪化する。
【0011】
輝尽性蛍光体層内の励起光の拡散の防止には、例えば、蛍光体層を青く着色する方法、保護層での励起光の拡散防止には保護層を青く着色する方法、蛍光体層を青く着色する方法、支持体と蛍光体層界面での励起光反射防止には接着層(下引き層)を青く着色する方法等が考えられる。これらの方法に関しては、例えば、特公昭59−23400号には、放射線画像変換パネルの支持体、下引き層、蛍光体層、中間層、保護層のいずれかを励起光を吸収する色で着色する方法が開示されており、また、特開昭60−200200号では蛍光体層と保護層間の接着剤層を着色する方法等に開示されているが、いずれの方法も励起光のみを吸収し、輝尽発光光を透過される目的の為、励起光吸収の色剤は青色系に限定され、十分な励起光吸収効果を得ることができないのが現状であり、励起光の広がりによる鮮鋭度の劣化を早急に改良する技術の開発が要望されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、鮮鋭性に優れた画像を与える放射線画像変換パネルを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は、下記の構成により達成することができた。
【0014】
1.少なくとも支持体と輝尽性蛍光体層とを有する輝尽性蛍光体シートからなる放射線画像変換パネルにおいて、該支持体が厚さ100μm以上の透明支持体であり、該支持体を挟んで該輝尽性蛍光体層面とは反対側の面に、励起光吸収層を有し、かつ該支持体と該励起光吸収層との間に、該支持体に対し低い屈折率の低屈折率層を有することを特徴とする放射線画像変換パネル。
【0016】
2.前記支持体のヘイズ率が20%以上であり、かつ励起光波長における透過率が80%以上であることを特徴とする前記1項に記載の放射線画像変換パネル。
【0018】
3.前記励起光吸収層が黒色であることを特徴とする前記1又は2項に記載の放射線画像変換パネル。
【0020】
前述の如く、放射線画像変換パネルにおける鮮鋭度の低下は、主に、パネルの表面から入射した励起光が、輝尽性蛍光体プレート内での散乱により広がることにより生じる。
【0021】
本発明者らは、このような励起光の広がりによる鮮鋭度の劣化を改善することを目的として鋭意検討した結果、励起光の広がりの要因のうち、支持体と蛍光体層界面での励起光反射に起因する部分は、100μm以上の厚みを有する透明な支持体を使用し、支持体を挟んで輝尽性蛍光体層(以下、単に蛍光体層ともいう)とは反対側の面に励起光吸収層を設け、かつ該支持体と該励起光吸収層との間に、低屈折率層を有する構成とすることにより、効果的に防止できることを見いだしたものである。特に、本発明で規定する構成においては、励起光吸収層の着色剤としては、青色系着色剤に限定されず、より効果的な黒色系着色剤を使用することができる。
【0022】
本発明で規定する構成である支持体を透明化することにより、蛍光体と支持体の界面での反射が低減する効果に関しては明確ではないが、おそらくは支持体の光透過性が増加した分に比例し、支持体での反射が減る為と推測される。透過した励起光も100μm以上の厚い支持体の通過後に吸収される。また、支持体と励起光吸収層の界面で励起光の反射が発生したとしても、厚い支持体を介して蛍光体層側に戻るため、鮮鋭性に悪影響を及ぼす領域より遠方に反射される結果であると推測している。
【0023】
また、支持体と励起光吸収層の間に低屈折率層を設けることにより、屈折率差の関係で蛍光体側からの励起光は全て低屈折率層を介し励起光吸収層に到達するが、励起光吸収層界面での反射光の大部分は、低屈折率層と支持体の界面で反射され、再び蛍光体層に到達することがなくなるため、より効果的に本発明の効果を高めることができる。
【0024】
また、支持体のヘイズを20%以上とすることにより、低屈折率層から支持体へと透過した戻り励起光も、より遠方へ広範囲に亘り拡散されるようになるため、鮮鋭性に与える影響をより小さく抑えることができたものである。
【0025】
本発明で言う透明な支持体とは、励起光の透過率が50%以上のものであり、本発明の効果をより高める為には、透過率が80%以上のものが好ましい。
【0026】
以下、本発明の放射線画像変換パネルの各構成要素について説明する。
本発明の放射線画像変換パネルは、請求項1に係る発明では、支持体と輝尽性蛍光体層とを有する輝尽性蛍光体シートと、支持体を挟んで該輝尽性蛍光体層面とは反対側の面に励起光吸収層を設け、かつ該支持体と該励起光吸収層との間に、低屈折率層を有することが主な特徴である。
【0027】
(輝尽性蛍光体層)
輝尽性蛍光体層は、主に輝尽性蛍光体粒子と高分子樹脂より構成され、支持体上にコーターを用いて塗設、形成される。
【0028】
本発明に用いることのできる輝尽性蛍光体としては、波長が400〜900nmの範囲にある励起光によって、300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す蛍光体が一般的に使用される。
【0029】
以下に、本発明の放射線画像変換パネルで好ましく用いることのできる蛍光体の例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0030】
(1)特開昭55−12145号に記載されている(Ba1-X,M(II)X)FX:yA、(式中、M(II)はMg、Ca、Sr、ZnおよびCdのうちの少なくとも一つ、XはCl、Br、およびIのうち少なくとも一つ、AはEu、Tb、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、およびErのうちの少なくとも一つ、そしては、0≦x≦0.6、yは、0≦y≦0.2である)の組成式で表される希土類元素賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物蛍光体;また、この蛍光体には以下のような添加物が含まれていてもよい。
【0031】
a)特開昭56−74175号に記載されている、X′、BeX″、M(III)X′″3、式中、X′、X″、およびX′″はそれぞれCl、BrおよびIの少なくとも一種であり、M(III)は三価金属である
b)特開昭55−160078号に記載されているBeO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Al2O3、Y2O3、La2O3、In2O3、SiO2、TiO2、ZrO2、GeO2、SnO2、Nb2O5、Ta2O5およびThO2などの金属酸化物
c)特開昭56−116777号に記載されているZr、Sc
d)特開昭57−23673号に記載されているB
e)特開昭57−23675号に記載されているAs、Si
f)特開昭58−206678号に記載されているM・L、式中、MはLi、Na、K、Rb、およびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、LはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga、In、およびTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属である
g)特開昭59−27980号に記載されているテトラフルオロホウ酸化合物の焼成物;特開昭59−27289号に記載されているヘキサフルオロケイ酸、ヘキサフルオロチタン酸およびヘキサフルオロジルコニウム酸の一価もしくは二価金属の塩の焼成物;特開昭59−56479号に記載されているNaX′、式中、X′はCl、BrおよびIのうちの少なくとも一種である
h)特開昭59−56480号に記載されているV、Cr、Mn、Fe、CoおよびNiなどの遷移金属;特開昭59−75200号に記載されているM(I)X′、M′(II)X″2、M(III)X′″3、A、式中、M(I)はLi、Na、K、Rb、およびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、M′(II)はBeおよびMgからなる群より選ばれる少なくとも一種の二価金属を表し、M(III)はAl、Ga、In、およびTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり、Aは金属酸化物であり、X′、X″、およびX′″はそれぞれF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
i)特開昭60−101173号に記載されているM(I)X′、式中、M(I)はRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、X′はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
j)特開昭61−23679号に記載されているM(II)′X′2・M(II)′X″2、式中、M(II)′はBa、SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;X′およびX″はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX′≠X″である;更に、特開昭61−264084号明細書に記載されているLnX″3、式中、LnはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである。
【0032】
(2)特開昭60−84381号に記載されているM(II)X2・aM(II)X′2:xEu2+(式中、M(II)はBa、SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XおよびX′はCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX≠X′であり;そしてaは0.1≦a≦10.0、xは0<x≦0.2である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロゲン化物蛍光体;また、この蛍光体には以下のような添加物が含まれていてもよい。
【0033】
a)特開昭60−166379号に記載されているM(I)X′、式中、M(I)はRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;X′はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
b)特開昭60−221483号に記載されているKX″、MgX′″2、M(III)X″″3、式中、M(III)はSc、Y、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり;X″、X′″およびX″″はいずれもF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
c)特開昭60−228592号に記載されているB、特開昭60−228593号に記載されているSiO2、P2O5等の酸化物、特開昭61−120882号に記載されているLiX″、NaX″、式中、X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
d)特開昭61−120883号に記載されているSiO;特開昭61−120885号に記載されているSnX″2、式中、X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
e)特開昭61−235486号に記載されているCsX″、SnX′″2、式中、X″およびX′″はそれぞれF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである;更に、特開昭61−235487号に記載されているCsX″、Ln3+、式中、X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;LnはSc、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素である。
【0034】
(3)特開昭55−12144号に記載されているLnOX:xA(式中、LnはLa、Y、Gd、およびLuのうち少なくとも一つ;XはCl、Br、およびIのうち少なくとも一つ;AはCeおよびTbのうち少なくとも一つ;xは、0<x<0.1である)の組成式で表される希土類元素賦活希土類オキシハライド蛍光体。
【0035】
(4)特開昭58−69281号に記載されているM(II)OX:xCe(式中、M(II)はPr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化金属であり;XはCl、Br、およびIのうち少なくとも一つであり;xは0<x<0.1である)の組成式で表されるセリウム賦活三価金属オキシハライド蛍光体。
【0036】
(5)特開昭62−25189号明細書に記載されているM(I)X:xBi(式中、M(I)はRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてxは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるビスマス賦活アルカリ金属ハロゲン化物蛍光体。
【0037】
(6)特開昭60−141783号に記載されているM(II)5(PO4)3X:xEu2+(式中、M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロリン酸塩蛍光体。
【0038】
(7)特開昭60−157099号に記載されているM(II)2BO3X:xEu2+(式中、M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロホウ酸塩蛍光体。
【0039】
(8)特開昭60−157100号に記載されているM(II)2(PO4)3X:xEu2+(式中、M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロリン酸塩蛍光体。
【0040】
(9)特開昭60−217354号に記載されているM(II)HX:xEu2+(式中、M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属水素化ハロゲン化物蛍光体。
【0041】
(10)特開昭61−21173号に記載されているLnX3・aLn′X′3:xCe3+、(式中、LnおよびLn′はそれぞれY、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;XおよびX′はそれぞれF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX≠X′であり;そしてaは0.1<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるセリウム賦活希土類複合ハロゲン化物蛍光体。
【0042】
(11)特開昭61−21182号に記載されているLnX3・aM(I)X′3:xCe3+、(式中、LnはY、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;M(I)はLi、Na、K、CsおよびRbからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;XおよびX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるセリウム賦活希土類複合ハロゲン化物系蛍光体。
【0043】
(12)特開昭61−40390号に記載されているLnPO4・aLnX3:xCe3+、(式中、LnはY、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;XはF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0.1≦a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるセリウム賦活希土類ハロ燐酸塩蛍光体。
【0044】
(13)特開昭61−236888号明細書に記載されているCsX:aRbX′:xEu2+、(式中、XおよびX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活ハロゲン化セシウム・ルビジウム蛍光体。
【0045】
(14)特開昭61−236890号に記載されているM(II)X2・aM(I)X′:xEu2+、(式中、M(II)はBa、SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;M(I)はLi、RbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;XおよびX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0.1≦a≦20.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活複合ハロゲン化物蛍光体。
【0046】
上記の輝尽性蛍光体のうちで、輝尽性蛍光体粒子がヨウ素を含有していることが好ましく、例えば、ヨウ素を含有する二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体、ヨウ素を含有する二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体、ヨウ素を含有する希土類元素賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、及びヨウ素を含有するビスマス賦活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体は、高輝度の輝尽発光を示すため好ましく、中でも、高輝度の輝尽発光を示す観点から、ヨウ素を含有する二価ユウロピウム賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体(Eu賦活BaFI)が特に好ましく用いられる。
【0047】
本発明の放射線画像変換パネルに用いられる支持体は、光透過率の観点から、励起光波長での光透過率が50%以上のであれば、各種高分子材料、ガラス、適宜用いられるが、請求項2に係る発明においては、励起光波長での光透過率が80%以上であることが好ましい。
【0048】
(支持体)
本発明で用いることのできる支持体としては、情報記録材料としての取り扱い上、可撓性のあるシート或いはウェブに加工できるものが好適であり、この点からいえば、例えば、セルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルム、またはこれらの積層体フィルムが好ましい。
【0049】
本発明に係る支持体においては、ヘイズ率が20%以上であることが好ましく、より好ましくは20〜60%であり、また励起光波長における透過率が80%以上であることが好ましく、より好ましくは80〜99%である。
【0050】
又、本発明に係る支持体の膜厚は、100μm以上あれば、本発明の効果が得られるが、取り扱い易さの観点からは、100〜500μmであることが好ましい。
【0051】
これらの支持体の表面は、滑面であっても良く、あるいは下引き層や輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的でマット面としてもよい。
【0052】
更に、これら支持体は、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的で、輝尽性蛍光体層が設けられる面に下引き層を設けてもよい。
【0053】
(結合剤)
本発明において、輝尽性蛍光体層、あるいは下引き層に用いられる結合剤の例としては、ゼラチン等の蛋白質、デキストラン等のポリサッカライド、又はアラビアゴムのような天然高分子物質;及び、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ビニリデン・塩化ビニルコポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリレート、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアルコール、線状ポリエステルなどのような合成高分子物質などにより代表される結合剤を挙げることができる。
【0054】
上記結合剤の中で特に好ましいものは、ニトロセルロース、線状ポリエステル、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ニトロセルロースと線状ポリエステルとの混合物、ニトロセルロースとポリアルキル(メタ)アクリレートとの混合物およびポリウレタンとポリビニルブチラールとの混合物である。なお、これらの結合剤は、架橋剤によって架橋されたものであってもよい。
【0055】
(輝尽性蛍光体層の塗設)
輝尽性蛍光体層は、例えば、以下に記載の方法に従って、下引き層上に形成することができる。
【0056】
はじめに、輝尽性蛍光体粒子及び結合剤に適当な溶剤を添加し、これらを充分に混合して結合剤溶液中に蛍光体粒子が均一に分散した塗布液を調製する。
【0057】
一般に、結合剤は、輝尽性蛍光体1質量部に対して0.01乃至1質量部の範囲で使用される。しかしながら、得られる放射線画像変換パネルの感度と鮮鋭性の観点からは結合剤は少ない方が好ましく、塗布の容易さとの兼合いから0.03乃至0.2質量部の範囲がより好ましい。
【0058】
輝尽性蛍光体層用塗布液の調製に用いられる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等の低級アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等の低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル、トリオール、キシロールなどの芳香族化合物、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどのハロゲン化炭化水素およびそれらの混合物などが挙げられる。
【0059】
なお、塗布液には、該塗布液中における蛍光体の分散性を向上させるための分散剤、また、形成後の輝尽性蛍光体層中における結合剤と蛍光体との間の結合力を向上させるための可塑剤などの種々の添加剤が混合されていてもよい。そのような目的に用いられる分散剤の例としては、フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などを挙げることができる。そして可塑剤の例としては、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸ジフェニルなどの燐酸エステル;フタル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチル等のフタル酸エステル;グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタリルブチルなどのグリコール酸エステル;そして、トリエチレングリコールとアジピン酸とのポリエステル、ジエチレングリコールとコハク酸とのポリエステルなどのポリエチレングリコールと脂肪族二塩基酸とのポリエステルなどを挙げることができる。
【0060】
上記のようにして調製された塗布液を、次に下引き層の表面に均一に塗布することにより塗布液の塗膜を形成する。この塗布操作は、通常の塗布手段、例えば、ドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーターなどを用いることにより行なうことができる。
【0061】
次いで、形成された塗膜を徐々に加熱することにより乾燥して、下引き層上への輝尽性蛍光体層の塗設を完了する。輝尽性蛍光体層用塗布液の調製は、ボールミル、サンドミル、アトライター、三本ロールミル、高速インペラー分散機、Kadyミル、および超音波分散機などの分散装置を用いて行なわれる。調製された塗布液をドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーターなどの塗布液を用いて支持体上に塗布し、乾燥することにより輝尽性蛍光体層が形成される。
【0062】
本発明の放射線画像変換パネルの輝尽性蛍光体層の膜厚は目的とする放射線画像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体の種類、結合剤と輝尽性蛍光体との混合比等によって異なるが、10μm〜1000μmの範囲から選ばれるのが好ましく、10μm〜500μmの範囲から選ばれるのがより好ましい。
【0063】
(励起光吸収層及び防湿性保護フィルム)
本発明においては、請求項1に係る発明では、蛍光体シートの支持体を挟んで輝尽性蛍光体層面とは反対側の面に励起光吸収層を設け、かつ該支持体と該励起光吸収層との間に、低屈折率層を有することが特徴であり、また、蛍光体シートの全表面を被覆する防湿性保護フィルム(以下、単に保護フィルムともいう)の支持体面側の樹脂層が励起光を吸収する着色剤を含有しているか、又は励起光吸収層を有していることが好ましい。
【0064】
はじめに、蛍光体シートの支持体の裏に設ける励起光吸収層について説明する。
【0065】
上記の励起光吸収層は、塗布により形成した着色樹脂層であってもよく、樹脂の素材としてはポリエステル系、ポリウレタン系、アクリル系、ポリビニルブチラール系、エポキシ系樹脂より構成されていることが望ましい。
【0066】
本発明に係る励起光吸収層において、いかなる着色剤を用いるかは放射線画像変換パネルに用いる輝尽性蛍光体の種類によって決まるが、放射線画像変換パネル用の輝尽性蛍光体としては、通常、波長が400〜900nmの範囲にある励起光によって300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す蛍光体が用いられる。このため、励起光吸収層に用いる着色剤としては通常、青色〜緑色の有機系もしくは無機系の着色剤が用いられるが、請求項3に係る発明においては、着色剤が黒色であることが好ましい。
【0067】
本発明で用いることのできる着色剤としては、例えば、特開昭47−30330号、同56−5552号公報記載のペリレン顔料、特開昭47−30331号公報等に記載のキナクリドン顔料、特開昭47−18543号公報記載のビスベンズイミダゾール顔料、特開昭47−18544号、同55−98754号、同55−126254号、同55−163543号公報に記載の芳香族多縮合環化合物、特公昭44−16373号、同48−30513号、特開昭56−321465号公報等に記載のアゾ顔料、特公昭50−7434号、特開昭47−37548号、同55−11715号、同56−1944号、同56−9752号、同56−2352号、同56−80050号公報等に記載のジスアゾ顔料、特公昭44−12671号、同40−2780号、同52−1667号、同46−30035号、同49−17535号、特開昭49−11136号、同49−99142号、同51−109841号、同57−148745号公報等に記載のフタロシアニン顔料、あるいはカーボンブラック等が挙げられる。
【0068】
本発明に係る保護フィルムを作製するための材料としては、具体的には、ポリエステルフィルム、ポリメタクリレートフィルム、ニトロセルロースフィルム、セルロースアセテートフィルム等が使用できるが、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルム等の延伸加工されたフィルムが、透明性、強さの面で保護フィルムとして好ましく、中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましく用いられる。
【0069】
本発明に係る支持体においては、本発明に記載の効果を良好に保つ観点から、励起光波長における光透過率が80%〜95%であることが好ましく、更に好ましくは、光透過率が95%〜99%である。ここで、光透過率は、下記式に従って求められる。
【0070】
光透過率(%)=(透過光/入射光)×100
本発明に係る支持体のヘイズ率について説明する。
【0071】
本発明に記載の効果、特に鮮鋭性を向上し、輝度ムラを解消する観点から、支持体のヘイズ率が20%以上になるように調整することが必要であるが、好ましくは20%〜60%であり、更に好ましくは30%〜40%である。上記記載の支持体のヘイズ率は、ASTMD−1003に規定された方法を用いて測定される。
【0072】
本発明に係る支持体のヘイズ率は、使用する樹脂フィルムのヘイズ率を参照して調整することができる。また、各種のヘイズ率の樹脂フィルムは工業的に入手可能であり、これらを積層することにより、ヘイズ率の調整が可能である。
【0073】
本発明においては、輝尽性蛍光体の吸湿劣化を防止する観点から、本発明に係る保護フィルムは防湿性を付与されていることが好ましく、具体的には保護フィルムの透湿度が50g/m2・day以下であることが好ましく、更に好ましくは10g/m2・day以下であり、特に好ましくは1g/m2・day以下である。上記記載の保護フィルムの透湿度はJIS Z 0208により規定された方法を参照して測定することが出来る。
【0074】
保護フィルムの透湿度を上記記載の範囲に調整し、保護フィルムの防湿性を向上させる観点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルム上に金属酸化物、窒化珪素などの薄膜を蒸着した蒸着フィルムの使用が好ましい。
【0075】
また、本発明に係る保護フィルムは必要とされる防湿性にあわせて、樹脂フィルムや樹脂フィルムに金属酸化物などを蒸着した蒸着フィルムを複数枚積層することで最適な防湿性を付与することが出来るが、樹脂フィルムの積層方法としては、従来公知の方法を適用することが出来る。
【0076】
本発明においては、積層された樹脂フィルム間に上記記載の励起光吸収層を設けることによって、励起光吸収層が物理的な衝撃や化学的な変質から保護することが出来る。
【0077】
以上から、励起光吸収層は、積層された樹脂フィルム間に複数箇所に設けてもよいし、積層する為の接着剤層に色剤を含有し励起光吸収層として使用することもできる。
【0078】
保護フィルムを用いて蛍光体プレートを封止するにあたっては従来公知の如何なる方法も適用することが出来るが、保護フィルムの蛍光体シートに接する側の最外層が熱融着性を有する樹脂を含有することで保護フィルムが融着可能となり、蛍光体シートの周縁部における封止作業を効率化し、且つ、輝尽性蛍光体の吸湿による特性の劣化を極めて効果的に防止することができる。
【0079】
好ましくは、蛍光体シートの上下に保護フィルムを配置し、その周縁が前記蛍光体シートの周縁より外側にある領域で該上下の保護フィルムが融着している封止構造とすることで蛍光体シートの外周部からの水分進入も阻止できる。更に好ましくは、上記記載の封止に用いる個所のみ上記記載の熱融着性を有する樹脂を含有する層を前記の保護フィルムが有することである。
【0080】
また、支持体面側の保護フィルムが1層以上のアルミフィルムをラミネートしてなる積層防湿フィルムとすることで、より確実に水分の進入を低減できる。またこの封止方法は作業的にも容易である。また、この場合、保護フィルムの輝尽性蛍光体層に接する側の最外層の熱融着性を有する樹脂層と蛍光体面は実質的に接着していないことが好ましい。
【0081】
『防湿性保護フィルムと輝尽性蛍光体層とが実質的に接着せず』とは、輝尽性蛍光体層と保護フィルムが、光学的に一体化していない状態のことを意味する。より具体的には、微視的に輝尽性蛍光体層と保護フィルムとが点接触していたとしても、光学的、力学的には殆ど輝尽性蛍光体層と保護フィルムとは不連続体として扱える状態であるということを意味する。
【0082】
上記記載の封止構造において、輝尽性蛍光体層と防湿性保護層は、微視的な点で各所で接触していると考えられるが、この接触面積が、蛍光体層面積の10%以下の場合、本発明においては実質的に接着していないと定義する。
【0083】
熱融着性フィルムとは、一般に使用されるインパルスシーラーで融着可能な樹脂フィルムのことで、たとえばエチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)やポリプロペレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム等があげられるが本発明はこれらに限定されない。
【0084】
(低屈折率層)
本発明においては、蛍光体シートの支持体と励起光吸収層を有する支持体面側の保護層との間に低屈折率層を設けることを特徴の一つとする。本発明に係る低屈折率層は、支持体と保護フィルムとの間に塗布方式あるいは蒸着法により薄膜を形成しても良いが、本発明においては、空気、窒素、アルゴンなどの気体層や真空層など屈折率が実質的に1である層とすることが好ましく、鮮鋭性の低下を防止する効果が高く特に好ましい。本発明に係る低屈折率層の厚さは、0.05μmから3mmまでが実用的である。
【0085】
(放射線画像変換パネルの作製)
支持体上に蛍光体層が塗設された蛍光体シートを所定の大きさに断裁する。断裁にあたっては一般のどのような方法でも可能であるが、作業性、精度の面から化粧断裁機、打ち抜き機等が望ましい。
【0086】
所定の大きさに断裁された蛍光体シートを防湿性保護フィルムで封止するには既知のいかなる方法も使用できるが、例をあげると蛍光体シートを上下の防湿性保護フィルムの間に挟み周縁部をインパルスシーラーで加熱融着する方法、や2本の加熱したローラー間で加圧加熱するラミネート方式等が挙げられる。
【0087】
上記インパルスシーラーで加熱融着する方法においては、減圧環境下で加熱融着することが、蛍光体シートの防湿性保護フィルム内での位置ずれ防止や大気中の湿気を排除する意味でより好ましい。
【0088】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0089】
実施例1
ユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、BaI2水溶液(3.6mol/L)2780mlとEuI3水溶液(0.2mol/L)27mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を撹拌しながら83℃で保温した。弗化アンモニウム水溶液(8mol/L)322mlを反応母液中にローラーポンプを用いて注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と撹拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、エタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。焼成時の焼結により粒子形状の変化、粒子間融着による粒子サイズ分布の変化を防止するために、アルミナの超微粒子粉体を0.2質量%添加し、ミキサーで充分撹拌して、結晶表面にアルミナの超微粒子粉体を均一に付着させた。これを石英ボートに充填して、チューブ炉を用いて水素ガス雰囲気中、850℃で2時間焼成してユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウム蛍光体粒子を得た。次に上記蛍光体粒子を分級することにより平均粒径7μmの粒子を得た。
【0090】
蛍光体層形成材料として、上記で得たユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウム蛍光体427g、ポリウレタン樹脂(住友バイエルウレタン社製、デスモラック4125)15.8g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂2.0gをメチルエチルケトン−トルエン(1:1)混合溶媒に添加し、プロペラミキサーによって分散し、粘度2.5〜4.0Pa・sの塗布液を調製した。この塗布液をドクターブレードを用いて支持体上に塗布したのち、100℃で15分間乾燥させて、270μmの厚さの蛍光体層を形成した。上記で使用した支持体の詳細を表1に示す。
【0091】
(積層保護フィルムの作製)
〈蛍光体層面側の保護フィルム〉
蛍光体シートの蛍光体面側の保護フィルムは下記(A)で示された構成のものを使用した。
【0092】
(A)VMPET12/VMPET12/PET12/CPP30
PET:ポリエチレンテレフタレート
CPP:熱融着性フィルム(キャスティングポリプロピレン)
VMPET:アルミナ蒸着PET(市販品:東洋メタライジング社製)
各樹脂フィルムの後ろの数字はフィルムの膜厚(μm)を示す。
【0093】
上記「/」は接着層を意味する。使用したドライラミ用の接着剤は2液反応型のウレタン系接着剤である。
【0094】
〈支持体面側の保護フィルム〉
蛍光体シートの支持体面側の保護フィルムは、表1に記載の構成からなるものを使用した。なお、表1に記載の各層の後ろの数字は各々の膜厚(μm)を示し、「/」は接着層を意味する。
【0095】
(蛍光体シートの封止)
表1に記載のヘイズと光透過率を有する支持体を使用して作製した塗布サンプルを20cm×20cmの正方形に断裁し、表1に記載の支持体面側保護層との組み合わせで、減圧下で周縁部をインパルスシーラを用いて融着することで封止した。図1に本発明の放射線画像変換パネルの断面図を示す。尚、融着部から蛍光体シート周縁部までの距離は1mmとなるように融着して各放射線画像変換パネルを作製した。融着に使用したインパルスシーラーのヒーターは8mm幅のものを使用した。
【0096】
《放射線画像変換パネルの評価》
上記作製した各放射線画像変換パネルを用いて、下記の方法に従って鮮鋭性の評価を行った。
【0097】
(鮮鋭性の評価)
鮮鋭性については、変調伝達関数(MTF)を求め評価した。
【0098】
各放射線画像変換パネルにCTFチャートを貼りつけた後、80kVpのX線を10mR(被写体までの距離;1.5m)照射した後、蛍光体層Aを有する面側から半導体レーザ光(690nm、パネル上でのパワー40mW)を照射して、直径100μmφの半導体レーザ光でCTFチャートを走査しながら読みとって求めた。表1の記載の値は、0.5lp/mmにおける比較例1のMTF値を100とし、各パネルについて相対値で求めたものである。
【0099】
以上により得られた結果を、表1に示す。
【0100】
【表1】
【0101】
表1より明らかなように、本発明の構成からなる放射線画像変換パネルは、比較例に対して、鮮鋭性に優れていることが分かる。
【0102】
【発明の効果】
本発明により、鮮鋭性に優れた画像を与える放射線画像変換パネルを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の放射線画像変換パネルの断面図である。
【符号の説明】
11 蛍光体
12 支持体
13 積層保護フィルム
14 アルミラミネートフィルム
Claims (3)
- 少なくとも支持体と輝尽性蛍光体層とを有する輝尽性蛍光体シートからなる放射線画像変換パネルにおいて、該支持体が厚さ100μm以上の透明支持体であり、該支持体を挟んで該輝尽性蛍光体層面とは反対側の面に、励起光吸収層を有し、かつ該支持体と該励起光吸収層との間に、該支持体に対し低い屈折率の低屈折率層を有することを特徴とする放射線画像変換パネル。
- 前記支持体のヘイズ率が20%以上であり、かつ励起光波長における透過率が80%以上であることを特徴とする請求項1記載の放射線画像変換パネル。
- 前記励起光吸収層が黒色であることを特徴とする請求項1又は2に記載の放射線画像変換パネル。
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