JP2003130995A - 放射線像変換パネル及びその製造方法 - Google Patents

放射線像変換パネル及びその製造方法

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JP2003130995A
JP2003130995A JP2001323315A JP2001323315A JP2003130995A JP 2003130995 A JP2003130995 A JP 2003130995A JP 2001323315 A JP2001323315 A JP 2001323315A JP 2001323315 A JP2001323315 A JP 2001323315A JP 2003130995 A JP2003130995 A JP 2003130995A
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phosphor
radiation image
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JP2001323315A
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Katsuya Kishinami
勝也 岸波
Takafumi Yanagida
貴文 柳多
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 輝度−鮮鋭度バランスで表される画像特性が
優れた放射線像変換パネル及びその製造方法を提供する
こと。 【解決手段】 支持体上に少なくとも複数の着色下引き
層、蛍光体を含有する蛍光体層をこの順に有する放射線
像変換パネルの製造方法において、該着色下引き層の着
色濃度が、蛍光体層側から徐々に高くなることを特徴と
する放射線像変換パネルの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放射線像変換パネ
ル、特に輝尽性蛍光体を用いる放射線像変換パネル及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の放射線写真法に代わる放射線像記
録再生方法として、例えば特開昭55−12145号に
記載されているような輝尽性蛍光体を用いる放射線像記
録再生方法が知られている。
【0003】この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射
線像変換パネル(蓄積性蛍光体シート)を利用するもの
で、被写体を透過した、あるいは被検体から発せられた
放射線をパネルの輝尽性蛍光体に吸収させ、その後に輝
尽性蛍光体を可視光線、紫外線等の電磁波(励起光)で
時系列的に励起することにより、輝尽性蛍光体中に蓄積
されている放射線エネルギーを蛍光(輝尽発光光)とし
て放出させ、この蛍光を光電的に読み取って電気信号を
得、次いで得られた電気信号に基づいて被写体あるいは
被検体の放射線画像を可視像として再生するものであ
る。読み取りを終えたパネルは、残存する画像の消去が
行われた後、次の撮影のために備えられる。すなわち、
放射線像変換パネルは繰り返し使用することができる。
上記の放射線像記録再生方法によれば、従来の放射線写
真フィルムと増感紙との組み合わせを用いる放射線写真
法による場合に比較して、はるかに少ない被爆線量で情
報量の豊富な放射線画像を得ることができるという利点
がある。
【0004】さらに、従来の放射線写真法では1回の撮
影毎に放射線写真フィルムを消費するのに対して、この
放射線像変換方法では放射線像変換パネルを繰り返し使
用するので、資源保護、経済効率の面からも有利であ
る。
【0005】輝尽性蛍光体は放射線を照射した後、励起
光を照射すると輝尽発光を示す蛍光体であるが、実用上
では波長が400〜900nmの範囲にある励起光によ
って300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す蛍
光体が一般的に利用される。
【0006】放射線像記録再生方法に用いられる放射線
像変換パネルは、基本構造として、支持体とその表面に
設けられた蛍光体層からなるものである。蛍光体層は、
通常は輝尽性蛍光体とこれを分散状態で含有支持する結
合剤とからなる。但し、蛍光体層としては、蒸着法や焼
結法によって形成される結合剤を含まないで輝尽性蛍光
体の凝集体のみから構成されるものが知られている。ま
た、輝尽性蛍光体の凝集体の間隙に高分子物質が含浸さ
れている輝尽性蛍光体を有する放射線像変換パネルも知
られている。
【0007】これらのいずれの蛍光体層でも、輝尽性蛍
光体はX線等の放射線を吸収した後励起光の照射を受け
ると輝尽発光を示す性質を有するものであるから、被写
体を透過したあるいは被検体から発せられた放射線は、
その放射線量に比例して放射線像変換パネルの蛍光体層
に吸収され、パネルには被写体あるいは被検体の放射線
像が放射線エネルギーの蓄積像として形成される。
【0008】この蓄積像は、上記励起光を照射すること
により輝尽発光光として放出させることができ、この輝
尽発光光を光電的に読み取って電気信号に変換すること
により放射線エネルギーの蓄積像を画像化することが可
能となる。
【0009】なお、蛍光体層の表面(支持体に面してい
ない側の表面)には通常、ポリマーフィルムあるいは無
機物の蒸着膜からなる保護層(保護フィルム)が設けら
れていて、蛍光体層を化学的な変質あるいは物理的な衝
撃から保護している。
【0010】従来、放射線像変換パネルに用いられてき
た輝尽性蛍光体の例としては下記のものが一例として挙
げられる。
【0011】(1)特開昭55−12145号に記載さ
れている(Ba1-x、M2+ x)FX:yA(但し、M2+
Mg、Ca、Sr、Zn及びCdのうちの少なくとも一
種、XはCl、Br及びIのうちの少なくとも一種、A
はEu、Tb、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、
Yb及びErのうち少なくとも一種、そしてxは0≦x
≦0.6、yは0≦y≦0.2である)の組成式で表わ
される希土類元素付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化
物蛍光体;また、この蛍光体には以下のような添加物が
含まれていてもよい;特開昭56−74175号に記載
されている、X′、BeX″、M3X″′3(ただし、
X′、X″、及びX″′はそれぞれCl、Br及びIの
うち少なくとも一種であり、M3は3価金属である);
特開昭55−160078号に記載されているBeO、
MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Al23
23、La23、In23、SiO2、TlO2、Zr
2、GeO2、SnO2、Nb25、Ta25及びTh
2等の金属酸化物;特開昭56−116777号に記
載されているZr、Sc;特開昭57−23673号に
記載されているB;特開昭57−23675号に記載さ
れているAs、Si;特開昭58−206678号に記
載されているM・L(ただし、MはLi、Na、K、R
b、及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種の
アルカリ金属であり;LはSc、Y、La、Ce、P
r、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、E
r、Tm、Yb、Lu、Al、Ga、In、及びTlか
らなる群より選ばれる少なくとも一種の3価金属であ
る);特開昭59−27980号に記載されているテト
ラフルオロホウ酸化合物の焼成物;特開昭59−272
89号に記載されているヘキサフルオロケイ酸、ヘキサ
フルオロチタン酸及びヘキサフルオロジルコニム酸の1
価もしくは2価金属の塩の焼成物;特開昭59−564
79号に記載されているNaX′(ただし、X′はC
l、Br及びIのうちの少なくとも一種である);特開
昭59−56480号に記載されているV、Cr、M
n、Fe、Co及びNi等の遷移金属;特開昭59−7
5200号に記載されているM1X′、M2X″、M
3X″′、A(ただし、M1はLi、Na、K、Rb、及
びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカ
リ金属であり、M2はBe及びMgからなる群より選ば
れる少なくとも一種の2価金属であり;M3はAl、G
a、In、及びTlからなる群より選ばれる少なくとも
一種の3価金属であり;Aは金属酸化物であり;X′、
X″及びX″′はそれぞれF、Cl、Br及びIからな
る群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである);
特開昭60−101173号に記載されているM1X′
(ただし、M1はRb及びCsからなる群より選ばれる
少なくとも一種のアルカリ金属であり;X′はF、C
l、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種
のハロゲンである);特開昭61−23679号に記載
されているM2′X′2・M2′X″2(ただし、M2
は、Ba、Sr及びCaからなる群より選ばれる少なく
とも一種のアルカリ土類金属であり、X′及びX″はそ
れぞれCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なく
とも一種のハロゲンであって、かつX′≠X″であ
る);及び特開昭61−264084号に記載されてい
るLnX″3(ただし、LnはSc、Y、La、Ce、
Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、E
r、Tm、Yb及びLuからなる群より選ばれる少なく
とも一種の希土類元素であり;X″はF、Cl、Br及
びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲン
である)。
【0012】(2)特開昭60−84381号に記載さ
れているM22・aM22:xEu 2+(ただし、M2
びM2′はBa、Sr及びCaからなる群より選ばれる
少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、
Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハ
ロゲンであり;そしてaは0.1≦a≦0.0、xは0
<x≦0.2である)の組成式で表わされる2価ユーロ
ピウム付活アルカリ土類金属ハロゲン化物蛍光体;ま
た、この蛍光体には以下のような添加物が含まれていて
もよい;特開昭60−166379号に記載されている
1X″(ただし、M1はRb及びCsからなる群より選
ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;X″は
F、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくと
も一種のハロゲンである);特開昭60−221483
号に記載されているKX″、MgX″′2、M3X″″3
(ただし、M3はSc、Y、La、Gd及びLuからな
る群より選ばれる少なくとも一種の3価金属であり;
X″、X″′及びX″″はいずれもF、Cl、Br及び
Iからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンで
ある);特開昭60−228592号に記載されている
B;特開昭60−228593号に記載されているSi
2、P25等の酸化物;特開昭61−120882号
に記載されているLiX″、NaX″(ただし、X″は
F、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくと
も一種のハロゲンである);特開昭61−120883
号に記載されているSiO2;特開昭61−12088
5号に記載されているSnX″2(ただし、X″はF、
Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一
種のハロゲンである);特開昭61−235486号に
記載されているCsX″、SnX″′2(ただし、X″
及びX″′はそれぞれF、Cl、Br及びIからなる群
より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである);及
び、特開昭61−235487号に記載されているCs
X″、Ln3+(ただし、X″はF、Cl、Br及びIか
らなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであ
り;LnはSc、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、
Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる
群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素である)。
【0013】(3)特開昭55−12144号に記載さ
れているLnOX:xA、(式中、LnはLa、Y、G
d、及びLuのうち少なくとも一つ;XはCl、Br、
及びIのうち少なくとも一つ;AはCe及びTbのうち
少なくとも一つ;xは、0<x<0.1である)の組成
式で表される希土類元素付活希土類オキシハライド蛍光
体。
【0014】(4)特開昭58−69281号に記載さ
れているM(II)OX:xCe、(式中、M(II)はP
r、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、E
r、Tm、Yb、及びBiからなる群より選ばれる少な
くとも一種の酸化金属であり;XはCl、Br、及びI
のうち少なくとも一つであり;xは0<x<0.1であ
る)の組成式で表されるセリウム付活3価金属オキシハ
ライド蛍光体。
【0015】(5)特開昭62−25189号に記載さ
れているM(I)X:xBi、(式中、M(I)はRb
及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアル
カリ金属であり;XはCl、Br及びIからなる群より
選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてxは
0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表され
るビスマス付活アルカリ金属ハロゲン化物蛍光体。
【0016】(6)特開昭60−141783号に記載
されているM(II)5(PO43X:xEu2+、(式
中、M(II)はCa、Sr及びBaからなる群より選ば
れる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;Xは
F、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくと
も一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の
数値である)の組成式で表される2価ユーロピウム付活
アルカリ土類金属ハロリン酸塩蛍光体。
【0017】(7)特開昭60−157099号に記載
されているM(II)2BO3X:xEu2+、(式中、M
(II)はCa、Sr及びBaからなる群より選ばれる少
なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、B
r及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロ
ゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)
の組成式で表される2価ユーロピウム付活アルカリ土類
金属ハロホウ酸塩蛍光体。
【0018】(8)特開昭60−157100号に記載
されているM(II)2(PO43X:xEu2+、(式
中、M(II)はCa、Sr及びBaからなる群より選ば
れる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはC
l、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種
のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値で
ある)の組成式で表される2価ユーロピウム付活アルカ
リ土類金属ハロリン酸塩蛍光体。
【0019】(9)特開昭60−217354号に記載
されているM(II)HX:xEu2+、(式中、M(II)
はCa、Sr及びBaからなる群より選ばれる少なくと
も一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、Br及び
Iからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンで
あり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成
式で表される2価ユーロピウム付活アルカリ土類金属水
素化ハロゲン化物蛍光体。
【0020】(10)特開昭61−21173号に記載
されているLnX3・aLn′X′3:xCe3+、(式
中、Ln及びLn′はそれぞれY、La、Gd及びLu
からなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素で
あり;X及びX′はそれぞれF、Cl、Br及びIから
なる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであっ
て、かつX≠X′であり;そしてaは0.1<a≦1
0.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲
の数値である)の組成式で表されるセリウム付活希土類
複合ハロゲン化物蛍光体。
【0021】(11)特開昭61−21182号に記載
されているLnX3・aM(I)X′3:xCe3+
(式中、LnはY、La、Gd及びLuからなる群より
選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;M(I)
はLi、Na、K、Cs及びRbからなる群より選ばれ
る少なくとも一種のアルカリ金属であり;X及びX′は
それぞれCl、Br及びIからなる群より選ばれる少な
くとも一種のハロゲンであり;そしてaは0<a≦1
0.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲
の数値である)の組成式で表されるセリウム付活希土類
複合ハロゲン化物系蛍光体。
【0022】(12)特開昭61−40390号に記載
されているLnPO4・aLnX3:xCe3+、(式中、
LnはY、La、Gd及びLuからなる群より選ばれる
少なくとも一種の希土類元素であり;XはF、Cl、B
r及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロ
ゲンであり;そしてaは0.1≦a≦10.0の範囲の
数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)
の組成式で表されるセリウム付活希土類ハロ燐酸塩蛍光
体。
【0023】(13)特開昭61−236888号に記
載されているCsX:aRbX′:xEu2+、(式中、
X及びX′はそれぞれCl、Br及びIからなる群より
選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは
0<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦
0.2の範囲の数値である)の組成式で表される2価ユ
ーロピウム付活ハロゲン化セシウム・ルビジウム蛍光
体。
【0024】(14)特開昭61−236890号に記
載されているM(II)X2・aM(I)X′:xE
2+、(式中、M(II)はBa、Sr及びCaからなる
群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であ
り;M(I)はLi、Rb及びCsからなる群より選ば
れる少なくとも一種のアルカリ金属であり;X及びX′
はそれぞれCl、Br及びIからなる群より選ばれる少
なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0.1≦a
≦20.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の
範囲の数値である)の組成式で表される2価ユーロピウ
ム付活複合ハロゲン化物蛍光体。
【0025】上記の輝尽性蛍光体のうちで、ヨウ素を含
有する2価ユーロピウム付活アルカリ土類金属弗化ハロ
ゲン化物系蛍光体、ヨウ素を含有する2価ユーロピウム
付活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体、ヨウ素を
含有する希土類元素付活希土類オキシハロゲン化物系蛍
光体、及びヨウ素を含有するビスマス付活アルカリ金属
ハロゲン化物系蛍光体は高輝度の輝尽発光を示す。
【0026】放射線像変換パネルを使用した放射線画像
変換方式の優劣は、パネルの輝尽性発光輝度(感度とも
いう)及び得られる粒状性や鮮鋭度に代表される画質に
大きく左右され、これらの特性の多くは用いる輝尽性蛍
光体の特性や蛍光体層の形態に大きく影響される。特に
輝度に優れ、且つ、鮮鋭性にも優れている放射線像変換
パネルとしては、まだ、満足すべきレベルとは言えない
現状である。
【0027】例えば、特公平4−75480号には粒子
径の違う蛍光体を混合し、鮮鋭度と粒状性を向上させる
手法が紹介されているが、ただ粒子径が異なるだけでは
鮮鋭度、粒状性のバランスのよい向上には不十分であっ
た。
【0028】放射線像変換パネルの発光輝度や画像の鮮
鋭度、粒状度等は、蛍光体粒子の大小、蛍光体の分散
性、蛍光体の均一性、充填率等に左右されるが、特に蛍
光体充填率が大きく影響する。充填率向上の手段として
は、特開平3−21898号にガラス転移点(以下、T
gともいう)30〜150℃の樹脂を使用し、輝尽性蛍
光体の充填率が70%以上の放射線像変換パネルが開示
されており、達成手段として蛍光体層(以下単に塗膜と
もいう)の圧縮が示されている。放射線像変換パネル
は、使用に際してフィルムやロールと室温条件下で摺擦
されるため、使用する結合剤樹脂のTgは30℃以上が
好ましいと考えられる。しかしTgの高い樹脂を結合剤
樹脂として使用すると、塗膜が乾燥途中で変形しにくく
なり充填率が高くなりにくい。また出来た塗膜を圧縮す
る場合、樹脂の軟化特性が悪いため蛍光体に負荷がかか
り発光体の結晶構造の破壊等による発光の低下が生じ
る。また、樹脂を軟化させるために圧縮温度を高くする
必要が有り生産性が悪化する等の問題があった。
【0029】また、特公平4−44719号には圧縮処
理により蛍光体層の充填率を向上させる方法が開示され
ているが、圧縮処理に用いるロールの材質に関する記載
は一切なく、単に加熱ロール間を通すだけでは、圧縮が
不十分であったり、蛍光体を破壊したりする問題が発生
することが判明した。
【0030】鮮鋭性あるいはコントラストの悪化を防止
するためには、保護フィルムを薄くし、保護フィルム内
部での励起光の伝搬距離を短くする方法が考えられる
が、その作用とは別に保護層の薄膜化による防湿性や耐
傷性の低下が問題となる。
【0031】また鮮鋭性及びコントラストの向上に関し
ては、特公昭59−23400号には放射線像変換パネ
ルの、支持体、下引き層、蛍光体層、中間層、保護層の
いずれかを励起光を吸収する色で着色する方法が示され
ているが、これら各層の着色部位やその着色度等によっ
ては、輝度−鮮鋭度バランスが逆に悪化する問題があっ
た。着色部位、着色度等を調整したとしてもそのバラン
スは不十分であった。
【0032】また、特開昭60−200200号では蛍
光体層と保護層間の接着剤層を着色する方法が開示され
ているが、これらの方法により鮮鋭性及びコントラスト
を高めると上記の画像ムラや線状ノイズがより顕著にな
ってくるという問題点があった。これらの鮮鋭性及びコ
ントラストの悪化や画像ムラや線状ノイズがひどい場合
は、医療診断用に使用される放射線像変換パネルにとっ
ては致命的な欠陥となるため、早急な改良が要望されて
いる。
【0033】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、輝度
−鮮鋭度バランスで表される画像特性が優れた放射線像
変換パネル及びその製造方法を提供することである。
【0034】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記手段により達成される。
【0035】1.支持体上に少なくとも複数の着色下引
き層、蛍光体を含有する蛍光体層をこの順に有する放射
線像変換パネルの製造方法において、該着色下引き層の
着色濃度が、蛍光体層側から徐々に高くなることを特徴
とする放射線像変換パネルの製造方法。
【0036】2.蛍光体が前記一般式(1)で表される
ことを特徴とする上記1に記載の放射線像変換パネルの
製造方法。
【0037】3.蛍光体が前記一般式(2)で表される
ことを特徴とする上記1に記載の放射線像変換パネルの
製造方法。
【0038】4.上記1〜3の何れか1項に記載の製造
方法で製造することを特徴とする放射線像変換パネル。
【0039】以下、本発明を詳細に説明する。本発明者
は鋭意研究の結果、支持体上に少なくとも複数の着色下
引き層、蛍光体を含有する蛍光体層をこの順に有し、着
色下引き層の着色濃度が、蛍光体層側から徐々に高くな
る放射線像変換パネルにより、輝度−鮮鋭度バランスで
表される画像特性が優れた放射線像変換パネルが得られ
ることを見出した。
【0040】また、本発明の効果をより発現するために
は、さらに、請求項2、3に記載するように特定の化学
式で表される蛍光体であることが好ましい。
【0041】(放射線像変換パネルの構成)本発明の放
射線像変換パネルは、基本構造として、支持体、複数の
着色下引き層とその表面に設けられた蛍光体層からなる
ものである。その他、必要により導電層、中間層、接着
剤層、保護層を設けることがある。
【0042】下引き層は、樹脂、着色剤を含有する。蛍
光体層は、通常は輝尽性蛍光体とこれを分散状態で含有
支持する結合剤とからなり、その他分散剤、可塑剤等の
添加剤を含有する。
【0043】(下引き層)本発明では、輝度−鮮鋭度バ
ランスで表される画像特性を向上させ、同時に支持体と
蛍光体層との接着性を向上させるため複数の着色した下
引き層を設ける。
【0044】下引き層には輝尽発光成分はほとんど吸収
せず、余分な励起光成分を吸収させる着色剤を含有させ
着色する。そしてこの着色濃度が、蛍光体層側から徐々
に高くなるようにすることで輝度−鮮鋭度バランスが優
れたものになる。
【0045】放射線を放射線像変換パネルに照射した
後、蛍光体層側からレーザー光等の励起光で読み取りを
行う。着色は励起光成分の吸収はあるが、輝尽発光成分
の吸収は少ないものなので、蛍光体層側の濃度が高いと
そこで励起光成分が吸収され、輝度(感度)が低くな
る。しかし、蛍光体層側から徐々に高くなるようにする
と、支持体の励起光成分の反射光も利用でき、輝度(感
度)も保てる。
【0046】着色濃度が徐々に高くなるようにする方法
としては、まず、支持体上に着色濃度の高い下引き層を
塗布、乾燥しておき、その後着色濃度の低い下引き層を
塗布、乾燥して積層する方法がよい。必要があればさら
に積層してもよい。
【0047】着色濃度の高い下引き層の色素と樹脂の質
量比は、膜厚にもよるが、0.05:99.95〜1:
99がよく、0.07:99.93〜0.5:99.5
が好ましい。また膜厚としては3〜50μmが好まし
く、5〜40μmがより好ましい。着色濃度の低い下引
き層の色素と樹脂の質量比は、膜厚にもよるが、0:1
00〜0.5:99.5が好ましく、0.03:99.
97〜0.3:99.7がより好ましい。また膜厚は、
着色濃度の高い下引き層と同じくらいでよい。
【0048】〈樹脂〉本発明に係る下引き層は、溶剤に
溶解した樹脂を塗布、乾燥して形成する。樹脂として
は、具体的には、ゼラチン等の蛋白質、デキストラン等
のポリサッカライド、アラビアゴムのような天然高分子
物質、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ニトロ
セルロース、エチルセルロース、塩化ビニリデン、塩化
ヒ゛ニルコポリマー、ポリアクリル(メタ)アクリレー
ト、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタ
ン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアル
コール、線状ポリエステル等のような合成高分子等によ
り代表される樹脂を挙げることができる。好ましい樹脂
は、ポリエステル、ポリウレタンである。
【0049】これらの樹脂は架橋剤によって架橋された
ものであってもよい。架橋剤としてはイソシアネート及
びその誘導体が好ましい。
【0050】〈溶剤〉下引き層の作製に用いる溶剤とし
ては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n
−ブタノール等の低級アルコール、メチレンクロライ
ド、エチレンクロライド等の塩素原子含有炭化水素、ア
セトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン
等のケトン、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族
化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の低級
脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エ
チレングリコールモノエチルエステル、エチレングリコ
ールモノメチルエステル等のエーテル及びそれらの混合
物を挙げることができる。
【0051】〈着色剤〉本発明に係る下引き層は輝尽性
蛍光体の余分な励起光に起因する鮮鋭性の劣化を防止す
るため、余分な励起光を吸収する機能を有することが必
要である。ここで、励起光を吸収する方法を具体的に説
明すると、励起光を選択的に吸収する色素、顔料等の着
色剤を下引き層に含有させ、吸収させる。
【0052】色素や顔料等の着色剤としては、励起光の
励起波長及び放射線像変換パネルに用いる輝尽性蛍光体
の輝尽発光波長によって異なるが、青色〜緑色の有機系
もしくは無機系の着色剤が好ましく用いられる。
【0053】青色〜緑色の有機系着色剤の例としては、
ザボンファーストブルー3G(ヘキスト社製)、エスト
ロールブリルブルーN−3RL(住友化学(株)製)、
スミアクリルブルーF−GSL(住友化学(株)製)、
D&CブルーNo1(ナショナル・アニリン社製)、ス
ピリットブルー(保土谷化学(株)製)、オイルブルー
No603(オリエント(株)製)、キトンブルーA
(チバ・ガイギー社製)、アイゼンカチロンブルーGL
H(保土谷化学(株)製)、レイクブルーA、F、H
(協和産業(株)製)、ローダリンブルー6GX(協和
産業(株)製)、ブリモシアニン6GX(稲畑産業
(株)製)、ブリルアシッドグリーン6BH(保土谷化
学(株)製)、シアニンブルーBNRS(東洋インキ
(株)製)、ライオノルブルーSL(東洋インキ(株)
製)が挙げられる。青色〜緑色の無機系着色剤の例とし
ては、群青、コバルトブルー、セルリアンブルー、酸化
クロム、TiO2−ZnO−CoO−NiO系顔料が挙
げられるが、本発明はこれらに限定されない。
【0054】また、本発明に係る下引き層は、特に放射
線像変換パネルの輝度を良好に保つ観点から、下引き層
における輝尽励起光ピーク波長の反射吸光度/輝尽発光
ピーク波長の反射吸光度比が2以上であることが好まし
く、更に好ましくは2〜10であり、特に好ましくは2
〜8である。
【0055】ここで、下引き層の励起光ピーク波長にお
ける反射吸光度は、着色している部分を露出させ、分光
光度計(例えば、日立製作所社製U−3300)にて積
分球を使用して測定することができる。下引き層の測定
に際しては、蛍光体層を除去し、下引き層を露出させて
測定し、次いで、吸光度測定値の励起光ピーク波長にお
ける吸光度/輝尽発光ピーク波長の吸光度比を求める。
輝尽発光波長について複数のピークを持つ蛍光体を使用
する場合は最も発光強度の高いピークを選択し、そのピ
ーク波長を使用する。
【0056】(蛍光体層) 〈蛍光体〉次に、本発明の蛍光体層に用いられる蛍光体
について説明する。
【0057】本発明に好ましく用いられる希土類付活ア
ルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体の製造
方法の代表的な態様を以下に詳しく説明する。
【0058】液相法による輝尽性蛍光体前駆体製造につ
いては、公知の前駆体製造方法及び装置が好ましく利用
できる。ここで輝尽性蛍光体前駆体とは、前記一般式
(1)または(2)の物質が600℃以上の高温を経て
いない状態を示し、輝尽性蛍光体前駆体は輝尽発光性や
瞬時発光性を殆ど示さない。
【0059】本発明では以下の液相合成法により前駆体
を得ることが好ましい。前記一般式(1)または(2)
で示される希土類付活アルカリ土類金属弗化沃化物系輝
尽性蛍光体の製造は、粒子形状の制御が難しい固相法で
はなく、粒径の制御が容易である液相法により行うこと
が好ましい。特に、下記の2つの液相製造法により輝尽
性蛍光体を得ることが好ましい。
【0060】《液相製造法1》母液がBaI2とLnの
ハロゲン化物を含み、前記一般式(1)または(2)の
xが0でない場合にはさらにM2のハロゲン化物を、そ
して前記一般式(1)の場合はさらにM1のハロゲン化
物を含み、それらが溶解した後、BaI2濃度が2mo
l/L以上、好ましくは2.7mol/L以上の溶液を
調製する工程;上記溶液を50℃以上、好ましくは80
℃以上の温度に維持しながら、これに濃度5mol/L
以上、好ましくは8mol/L以上の無機弗化物(弗化
アンモニウムまたはアルカリ金属の弗化物)の溶液を添
加して、希土類付活アルカリ土類金属弗化沃化物系輝尽
性蛍光体前駆体結晶の沈澱物を得る工程;上記前駆体結
晶沈澱物を反応液から分離する工程;そして、分離した
前駆体結晶沈澱物を焼結を避けながら焼成する工程を含
む製造方法である。
【0061】《液相製造法2》母液がハロゲン化アンモ
ニウムとLnのハロゲン化物を含み、前記一般式(1)
または(2)のxが0でない場合にはさらにM2のハロ
ゲン化物を、前記一般式(1)の場合にはさらにM1
ハロゲン化物を含み、それが溶解した後、ハロゲン化ア
ンモニウム濃度が3mol/L以上、好ましくは4mo
l/L以上の溶液を調整する工程;上記溶液を50℃以
上、好ましくは80℃以上の温度に維持しながら、これ
に濃度5mol/L以上、好ましくは8mol/L以上
の無機弗化物(弗化アンモニウムまたはアルカリ金属の
弗化物)の水溶液とBaI2の水溶液とを前者の弗素と
後者のBaとの比率を一定に維持しながら連続的もしく
は間欠的に添加して希土類付活アルカリ土類金属弗化沃
化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の沈殿物を得る工程;上
記の前駆体結晶沈殿物を水溶液から分離する工程;そし
て、分離した前駆体結晶沈殿物を焼結を避けながら焼成
する工程を含む製造方法である。
【0062】尚、上記2つの製造方法で、Lnのハロゲ
ン化物の添加時期は特に問わず、添加開始時に予め反応
母液等にあってもよく、また無機弗化物(弗化アンモニ
ウムもしくはアルカリ金属の弗化物)水溶液の添加時、
及び無機弗化物(弗化アンモニウムもしくはアルカリ金
属の弗化物)の水溶液とBaI2の水溶液の添加時に同
時または後で添加してもよい。
【0063】本発明に係る粒子(結晶)は、平均粒径が
1〜10μmで、かつ単分散性のものが好ましく、平均
粒径が1〜5μm、平均粒径の分布が20%以下のもの
がより好ましく、特に平均粒径が1〜3μm、平均粒径
の分布が15%以下のものが好ましい。
【0064】本発明における平均粒径とは、粒子(結
晶)の電子顕微鏡写真より無作為に粒子200個を選
び、球換算の体積粒子径で平均を求めたものである。
【0065】以下に輝尽性蛍光体の上記製造法の詳細に
ついて説明する。 〈前駆体結晶、輝尽性蛍光体〉最初に、水系媒体を用い
て弗素化合物以外の原料化合物を溶解させる。即ち、B
aI2とLnのハロゲン化物、そして必要によりさらに
2のハロゲン化物、そしてさらにM1のハロゲン化物を
水系媒体中に入れ、充分に混合し、溶解させて、それら
が溶解した水溶液を調製する。ただし、BaI2濃度が
2mol/L以上となるように、BaI2濃度と水系溶
媒との量比を調整しておく。この時、所望により少量の
酸、アンモニア、アルコール、水溶性高分子ポリマー、
水不溶性金属酸化物微粒子粉体等を添加してもよい。こ
の水溶液(反応母液)は50℃に維持される。
【0066】次に、この50℃に維持され、撹拌されて
いる水溶液に、無機弗化物(弗化アンモニウムまたはア
ルカリ金属の弗化物等)の水溶液をポンプ付きのパイプ
等を用いて注入する。この注入は、撹拌が特に激しく実
施されている領域部分に行うのが好ましい。この無機弗
化物水溶液の反応母液への注入によって、前記一般式
(1)または(2)に該当する希土類付活アルカリ土類
金属弗化ハロゲン化物系蛍光体前駆体結晶が沈澱する。
【0067】次に、上記の蛍光体前駆体結晶を、濾過、
遠心分離等により溶液から分離し、メタノール等で充分
に洗浄し、乾燥する。この乾燥蛍光体前駆体結晶に、ア
ルミナ微粉末、シリカ微粉末等の焼結防止剤を添加、混
合し、結晶表面に焼結防止剤微粉末を均一に付着させ
る。尚、焼成条件を選ぶことにより焼結防止剤の添加を
省略することも可能である。
【0068】次に、蛍光体前駆体の結晶を、石英ポー
ト、アルミナ坩堝、石英坩堝等の耐熱性容器に充填し、
電気炉の炉心に入れて焼結を避けながら焼成を行う。焼
成温度は400〜1,300℃の範囲が適当であり、5
00〜1,000℃の範囲が好ましい。焼成時間は、蛍
光体原料混合物の充填量、焼成温度及び炉からの取出し
温度等によっても異なるが、一般には0.5〜12時間
が適当である。
【0069】焼成雰囲気としては、窒素ガス雰囲気、ア
ルゴンガス雰囲気等の中性雰囲気、あるいは少量の水素
ガスを含有する窒素ガス雰囲気、一酸化炭素を含有する
二酸化炭素雰囲気等の弱還元性雰囲気、あるいは微量酸
素導入雰囲気が利用される。
【0070】上記の焼成によって目的の希土類付活アル
カリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体が得られ
る。
【0071】〈結合剤〉蛍光体層に用いられる結合剤の
例としては、ゼラチン等の蛋白質、デキストラン等のポ
リサッカライド、またはアラビアゴムのような天然高分
子物質、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ニト
ロセルロース、エチルセルロース、塩化ビニリデン−塩
化ビニルコポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリレー
ト、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタ
ン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアル
コール、線状ポリエステル等のような、通常、層構成に
用いられる造膜性の合成高分子等により代表される結合
剤を挙げることができる。これらの中で特に好ましいも
のは、ニトロセルロース、線状ポリエステル、ポリアル
キル(メタ)アクリレート、ニトロセルロースと線状ポ
リエステルとの混合物、ニトロセルロースとポリアルキ
ル(メタ)アクリレートとの混合物及びポリウレタンと
ポリビニルブチラールとの混合物である。尚、これらの
結合剤は、架橋剤によって架橋されたものでもよい。
【0072】蛍光体層は、例えば次のような方法により
下引き層上に形成することができる。
【0073】まず、沃素含有輝尽性蛍光体、黄変防止の
ための亜燐酸エステル等の化合物及び結合剤を適当な溶
剤に添加し、これらを充分に混合して結合剤溶液中に蛍
光体粒子及び亜燐酸エステル等の化合物の粒子が均一に
分散した塗布液を調製する。
【0074】一般に、結合剤は輝尽性蛍光体1質量部に
対して0.01〜1質量部の範囲で使用される。しかし
ながら得られる放射線像変換パネルの輝度と鮮鋭性の点
では結合剤は少ない方が好ましく、塗布の容易さとの兼
ね合いから輝尽性蛍光体1質量部に対して0.03〜
0.2質量部がより好ましい。
【0075】〈溶剤〉蛍光体層塗布液の調製に用いられ
る溶剤の例としては、メタノール、エノタール、1−プ
ロパノール、2−プロパノール、ブタノール等の低級ア
ルコール;メチレンクロライド、エチレンクロライド等
の塩素原子含有炭化水素;アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン等のケトン;酢酸メチル、
酢酸エチル、酢酸ブチル等の低級脂肪酸と低級アルコー
ルとのエステル;ジオキサン、エチレングリコールエチ
ルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル等
のエーテル;トルエン;そして、それらの混合物を挙げ
ることができる。
【0076】〈添加剤〉尚、塗布液には塗布液中におけ
る蛍光体の分散性を向上させるための分散剤、また、形
成後の蛍光体層中における結合剤と蛍光体との結合力を
向上させるための可塑剤等、種々の添加剤を混合しても
よい。そのような目的に用いられる分散剤の例として
は、フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親油性界面
活性剤等を挙げることができる。また、可塑剤の例とし
ては、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸ジフ
ェニル等の燐酸エステル;フタル酸ジエチル、フタル酸
ジメトキシエチル等のフタル酸エステル;グリコール酸
エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタリルブ
チル等のグリコール酸エステル;トリエチレングリコー
ルとアジピン酸とのポリエステル、ジエチレングリコー
ルとコハク酸とのポリエステル等のポリエチレングリコ
ールと脂肪族二塩基酸とのポリエステル等を挙げること
ができる。
【0077】蛍光体層用塗布液の調製は、ボールミル、
サンドミル、アトライター、三本ロールミル、高速イン
ペラー分散機、Kadyミル、及び超音波分散機等の分
散装置を用いて行われる。このようにして調製した塗布
液を、下引き層の表面に均一に塗布することにより塗膜
を形成する。この塗布操作は通常の塗布手段、例えばド
クターブレード、ロールコーター、ナイフコーター等を
用いて行うことができる。次いで、形成された塗膜を徐
々に加熱することにより乾燥し、下引き層上への蛍光体
層の形成を完了する。
【0078】蛍光体層の膜厚は目的とする放射線像変換
パネルの特性、輝尽蛍光体の種類、結合剤と蛍光体の混
合比等によって異なるが、10〜1000μmが好まし
く、10〜500μmがより好ましく、さらに150〜
300μmが最も好ましい。
【0079】(支持体)本発明の放射線像変換パネルに
用いられる支持体としては、各種高分子材料が用いられ
る。特に情報記録材料としての取扱い上、可撓性のある
シートまたはウェブに加工できるものが好適であり、こ
の点から言えばポリエステル、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリアミド、ポリイミド、トリアセチルセルロー
ス、ポリカーボネート等のプラスチックフィルムが好ま
しく、特にポリエチレンテレフタレートフィルムが好ま
しい。
【0080】支持体の製造方法は素材により異なるが、
例えば、本発明に好ましく用いられるポリエチレンテレ
フタレートフィルムは溶融延伸製膜方法により製造され
る。ポリエチレンテレフタレートを150℃で真空乾燥
した後、270℃にて溶融後、ダイから押し出し、冷却
ドラム上で急冷して未延伸フィルムを得る。この未延伸
フィルムを、ロール式縦延伸機を用いて85℃で3.4
倍の縦延伸を行い、続いてテンター式横延伸機を用いて
90℃で3.4倍の横延伸を行い、二軸延伸ポリエチレ
ンテレフタレートフィルムを得る。
【0081】これらの支持体の厚さは、用いる支持体の
材質等によって異なるが、一般的には10〜1000μ
mであり、本発明では取扱い上の点から50〜250μ
mが好ましい。
【0082】これらの支持体の表面は滑面であってもよ
いし、蛍光体層との接着性を向上させる目的でマット面
としてもよい。
【0083】これらの支持体は熱により収縮する性質が
あり、放射線像変換パネルを作製するために支持体上に
蛍光体層等を塗布乾燥する際に支持体の変形により蛍光
体層等の塗布性が劣化し、膜厚分布が悪くなり、塗布故
障が増加することがある。このため、本発明に用いられ
る支持体の熱収縮率はできるだけ小さいことが好まし
い。
【0084】
【実施例】以下本発明を実施例により具体的に説明する
が、本発明はこれらに限定されない。
【0085】 実施例1 (下引き層塗布液1) ポリエステル樹脂溶液(東洋紡(株)製バイロン20SS: 固形分30質量%) 190.58g β−銅フタロシアニン分散液(固形分35質量%、顔料分30質量%) 0.16g 硬化剤コロネートHX 8.9g 以上を混合し、プロペラミキサーで分散し、着色濃度の
高い下引き層塗布液1を調製した。
【0086】この下引き層塗布液1を発泡PET支持体
(東レ(株)製188E60L)上に塗布、100℃で
5分乾燥し、20μm厚の下引き層1を有する中間体1
を作製した。
【0087】 (下引き層塗布液2) ポリエステル樹脂溶液(東洋紡(株)製バイロン20SS: 固形分30質量%) 190.65g β−銅フタロシアニン分散液(固形分35質量%、顔料分30質量%) 0.08g 硬化剤コロネートHX(日本ポリウレタン社製) 8.9g 以上を混合し、プロペラミキサーで分散し、着色濃度の
低い下引き層塗布液2を調製した。
【0088】この下引き層塗布液2を上記中間体1上に
塗布、100℃で5分乾燥し、20μm厚の下引き層2
を有する中間体2を作製した。
【0089】(蛍光体シートの作製)次に、ユーロピウ
ム付活弗化沃化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成す
るために、BaI2水溶液(4.0mol/L)250
0mlとEuBr3水溶液(0.2mol/L)125
mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を撹拌
しながら70℃で保温した。弗化アンモニウム水溶液
(8mol/L)250mlを反応母液中にローラーポ
ンプを用いて注入し、沈殿物を生成させた。注入終了後
も保温と撹拌を2時間続けて沈殿物の熟成を行った。
【0090】次に沈殿物を濾別後、エタノールにより洗
浄した後、真空乾燥させてユーロピウム付活弗化沃化バ
リウムの結晶を得た。
【0091】焼成時の焼結により粒子形状の変化、粒子
間融着による粒子サイズ分布の変化を防止するためにア
ルミナの超微粒子粉体を0.1質量%添加し、ミキサー
で充分撹拌して結晶表面にアルミナの超微粒子粉体を均
一に付着させた。
【0092】これを石英ボートに充填してチューブ炉を
用いて水素ガス雰囲気中、850℃で2時間焼成してユ
ーロピウム付活弗化沃化バリウム蛍光体粒子を得た。
【0093】次に上記蛍光体粒子を分級することにより
平均粒径3μmの粒子を得た。蛍光体層形成材料とし
て、上記で得たユーロピウム付活弗化沃化バリウム蛍光
体427g、ポリエステル樹脂(東洋紡(株)製バイロ
ン530)18gをメチルエチルケトンとトルエン、シ
クロヘキサノンの混合溶媒に添加し、プロペラミキサー
によって分散し、固形分77質量%の塗布液を調製し
た。
【0094】この塗布液をドクターブレードを用いて、
上記中間体2上に塗布した後、100℃で15分間乾燥
し、240μmの蛍光体層を形成し、蛍光体シート1を
得た。
【0095】(保護フィルムの作製と封止)下記に示す
方法で、防湿性の保護フィルムを作製した。下記構成で
表されるアルミナ蒸着ポリエチレンテレフタレート樹脂
層を含む積層保護フィルムAを、蛍光体シート1の蛍光
体層側に被せ、減圧下で周縁部をインパルスシーラーを
用いて融着、封止した。
【0096】また、蛍光体シート1の支持体側の保護フ
ィルムとしては、キャスティングポリプロピレン(CP
P)30μm、アルミフィルム9μm、ポリエチレンテ
レフタレート(PET)188μmの構成よりなるドラ
イラミネートフィルムを用いた。接着剤層の厚みは1.
5μmで2液反応型のウレタン系接着剤を使用した。
【0097】積層保護フィルムA:VMPET12//
/VMPET12///PET///CPP20 VMPETは、アルミナ蒸着したポリエチレンテレフタ
レート(市販品:東洋メタライジング社製)を表し、P
ETはポリエチレンテレフタレート、CPPはキャステ
ィングポリプロピレンを表す。また、上記「///」
は、ドライラミネーション接着層における2液反応型の
ウレタン系接着剤層の厚みが3.0μmであることを表
し、各樹脂フィルムの後に表示した数字は各フィルムの
膜厚(μm)を表す。
【0098】以上の方法により下引き層、蛍光体層を有
する放射線像変換パネル1を得た。次に、放射線像変換
パネル1の作製において、下引き層塗布液1、2を表1
に示すように変更した以外は、同様にして放射線像変換
パネル2、3を得た。
【0099】また、放射線像変換パネル1の作製におい
て、下引き層塗布液1を表1に示すように変更し、下引
き層塗布液2を削除した以外は、同様にして放射線像変
換パネル4、5を得た。
【0100】これらの放射線像変換パネル1〜5につい
て、下記方法で輝度及び鮮鋭度を評価した。その結果を
表1に示す。
【0101】(輝度)輝度は、放射線像変換パネルに管
電圧80kVpのX線を照射した後、放射線像変換パネ
ルをHe−Neレーザー光(633nm)で励起し、蛍
光体層から放射される輝尽発光を受光器(分光感度S−
5の光電子像倍管)で受光してその強度を測定した。表
中の輝度は蛍光体面全体の平均値であり、放射線像変換
パネル1の輝度を1.00とした場合の相対値である。
【0102】(鮮鋭度)鮮鋭度は、放射線像変換パネル
に鉛製のMTFチャートを通して管電圧80kVpのX
線を照射した後、放射線像変換パネルをHe−Neレー
ザー光(633nm)で励起し、蛍光体層から放射され
る輝尽発光を上記と同じ受光器で受光して電気信号に変
換し、これをアナログ/デジタル変換して磁気テープに
記録し、磁気テープをコンピューターで分析して磁気テ
ープに記録されているX線像の変調伝達関数(MTF)
を調べた。表1には空間周波数2本/mmにおけるMT
F値(%)が示されている。MTF値が高いほど鮮鋭性
がよい。鮮鋭度は30%以上が好ましい。
【0103】
【表1】
【0104】
【発明の効果】本発明により、輝度−鮮鋭度バランスで
表される画像特性が優れた放射線像変換パネル及びその
製造方法を提供することができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 2G083 AA03 BB01 CC08 DD02 DD12 EE02 EE03 4H001 CA04 CA08 XA04 XA09 XA12 XA20 XA35 XA38 XA53 XA56 YA03 YA08 YA11 YA19 YA37 YA58 YA59 YA60 YA62 YA63 YA64 YA65 YA66 YA67 YA68 YA69

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に少なくとも複数の着色下引き
    層、蛍光体を含有する蛍光体層をこの順に有する放射線
    像変換パネルの製造方法において、該着色下引き層の着
    色濃度が、蛍光体層側から徐々に高くなることを特徴と
    する放射線像変換パネルの製造方法。
  2. 【請求項2】 蛍光体が下記一般式(1)で表されるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の放射線像変換パネルの
    製造方法。 一般式(1) Ba(1-x)2(x)FBr(y)(1-y):aM1,bLn,c
    O (式中、M1はLi、Na、K、Rb及びCsからなる
    群より選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属、M2
    Be、Mg、Sr及びCaから選ばれる少なくとも1種
    のアルカリ土類金属、LnはCe、Pr、Sm、Eu、
    Gd、Tb、Tm、Dy、Ho、Nd、Er及びYbか
    ら選ばれる少なくとも1種の希土類元素を表し、x、
    y、a、b及びcは、それぞれ0≦x≦0.3、0<y
    ≦0.3、0≦a≦0.05、0<b≦0.2、0≦c
    ≦0.1である。)
  3. 【請求項3】 蛍光体が下記一般式(2)で表されるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の放射線像変換パネルの
    製造方法。 一般式(2) Ba(1-x)2(x)FI:aM1,bLn,cO (式中、M1はLi、Na、K、Rb及びCsからなる
    群より選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属、M2
    Be、Mg、Sr及びCaから選ばれる少なくとも1種
    のアルカリ土類金属、LnはCe、Pr、Sm、Eu、
    Gd、Tb、Tm、Dy、Ho、Nd、Er及びYbか
    ら選ばれる少なくとも1種の希土類元素を表し、x、
    a、b及びcは、それぞれ0≦x≦0.3、0≦a≦
    0.05、0<b≦0.2、0≦c≦0.1である。)
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れか1項に記載の製造
    方法で製造することを特徴とする放射線像変換パネル。
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