JP2004285160A - 輝尽性蛍光体、その製造方法及び放射線画像変換パネル - Google Patents

輝尽性蛍光体、その製造方法及び放射線画像変換パネル Download PDF

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奈津紀 笠井
Takehiko Shoji
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Abstract

【課題】吸湿による性能劣化がなく、長期間、性能が良好な状態で使用することが出来、かつ画像特性の優れる放射線像変換パネルを得るための輝尽性蛍光体、その製造方法及び放射線像変換パネルの提供。
【解決手段】式(1)で表される輝尽性蛍光体の製造方法において、焼成後、弗素を有する化合物で輝尽性蛍光体中の蛍光体粒子を表面処理することを特徴とする輝尽性蛍光体の製造方法。
式(1)
(Ba1−x)FBryI1−yX:aM、bLn、cO
(式中、MはMg、Ca、Sr、Zn及びCdから選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属原子であり、MはLi、Na、K、Rb及びCsから選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属原子、XはCl、Br及びIからなる選ばれる少なくとも一種のハロゲン原子、LnはCe、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、Tm、Dy、Ho、Nd、Er及びYbから選ばれる少なくとも一種の希土類原子、x、y、a、b及びcは、それぞれ0≦x≦0.3、0≦y≦0.3、0≦a≦0.05、0<b≦0.2、0<c≦0.1である。)
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は輝尽性蛍光体(以下、単に蛍光体ともいう)、該輝尽性蛍光体の製造方法及び放射線画像(以下、放射線像ともいう)変換パネルに関し、更に詳しくは、特に吸湿による性能に劣化が少ない希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体、その製造方法及び該希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体を有する放射線画像変換パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
X線画像のような放射線像は病気診断用などに多く用いられている。このX線画像を得るために被写体を通過したX線を蛍光体層(蛍光スクリーン)に照射し、これにより可視光を生じさせてこの可視光を通常の写真をとるときと同じように銀塩を使用したフィルムに照射して現像した、いわゆる放射線写真が利用されている。しかし近年銀塩を塗布したフィルムを使用しないで蛍光体層から直接画像を取り出す方法が工夫されるようになった。
【0003】
この方法としては被写体を透過した放射線を蛍光体に吸収せしめ、しかる後この蛍光体を例えば光又は熱エネルギーで励起することによりこの蛍光体が上記吸収により蓄積している放射線エネルギーを蛍光として放射せしめ、この蛍光を検出し画像化する方法がある。具体的には、例えば米国特許第3,859,527号及び特開昭55−12144号公報などに記載されているような輝尽性蛍光体を用いる放射線像変換方法が知られている。
【0004】
この方法は輝尽性蛍光体を含有する放射線像変換パネルを使用するもので、この放射像変換パネルの輝尽性蛍光体層に被写体を透過した放射線を当てて被写体各部の放射線透密度に対応する放射線エネルギーを蓄積させて、その後に輝尽性蛍光体を可視光線、赤外線などの電磁波(励起光)で時系列的に励起することにより、該輝尽性蛍光体中に蓄積されている放射線エネルギーを輝尽発光として放出させ、この光の強弱による信号をたとえば光電変換し、電気信号を得て、この信号を感光フィルムなどの記録材料、CRTなどの表示装置上に可視像として再生するものである。
【0005】
上記の放射線像記録再生方法によれば、従来の放射線写真フィルムと増感紙との組合せを用いる放射線写真法による場合に比較して、はるかに少ない被爆線量で情報量の豊富な放射線像を得ることができるという利点がある。
【0006】
このように輝尽性蛍光体は、放射線を照射した後、励起光を照射すると輝尽発光を示す蛍光体であるが、実用上では、波長が400〜900nmの範囲にある励起光によって300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す蛍光体が一般的に利用される。
【0007】
従来より放射線像変換パネルに用いられてきた輝尽性蛍光体の例としては下記のものが一例として挙げられる。
【0008】
(1)特開昭55−12145号公報に記載されている(Ba1−X,M2+ )FX:yA(だし、M2+はMg、Ca、Sr、ZnおよびCdのうちの少なくとも一つ、XはCl、Br、およびIのうち少なくとも一つ、AはEu、Tb、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、およびErのうちの少なくとも一つ、そしてxは、0≦x≦0.6、yは、0≦y≦0.2である)の組成式で表される希土類元素賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物蛍光体;
また、この蛍光体には以下のような添加物が含まれていてもよい:
特開昭56−74175号公報に記載されている、X′、BeX″、MX″′(ただし、X′、X″、およびX″′はそれぞれCl、BrおよびIのうち少なくとも一種であり、Mは三価金属である);
特開昭55−160078号公報に記載されているBeO、BgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Al、Y、La、In、SiO、TiO、ZrO、GeO、SnO、Nb、TaおよびThOなどの金
属酸化物;
特開昭56−116777号公報に記載されているZr、Sc;
特開昭57−23673号公報に記載されているB;
特開昭57−23675号公報に記載されているAs、Si;
特開昭58−206678号公報に記載されているM・L(ただし、MはLi、Na、K、Rb、およびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;LはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga、In、およびTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属である);
特開昭59−27980号公報に記載されているテトラフルオロホウ酸化合物の焼成物;
特開昭59−27289号公報に記載されているヘキサフルオロケイ酸、ヘキサフルオロチタン酸およびヘキサフルオロジルコニム酸の一価もしくは二価金属の塩の成物;
特開昭59−56479号公報に記載されているNaX′(ただし、X′はCl、BrおよびIのうちの少なくとも一種である);
特開昭59−56480号公報に記載されているV、Cr、Mn、Fe、CoおよびNiなどの遷移金属;
特開昭59−75200号公報に記載されているMX′、M′X″、MX″′、A(ただし、MはLi、Na、K、Rb、およびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、M′はBeおよびMgからなる群より選ばれる少なくとも一種の二価金属であり;MはAl、Ga、In、およびTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり;Aは金属酸化物であり;X′、X″およびX″′はそれぞれF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである);
特開昭60−101173号公報に記載されているMX′(ただし、MはRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;X′はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである);
特開昭61−23679号公報に記載されているM′X′・M′X″(ただし、M′はBaSrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;X′およびX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲであって、かつX′≠X″である);および
特願昭60−106752号明細書に記載されているLnX″(ただし、LnはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである);
(2)特開昭60−84381号公報に記載されているM・aM:xEu2+(ただし、MはBa、SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XおよびX′はCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX≠X′であり;そしてaは0.1≦a≦0.0、xは0<x≦0.2である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロゲン化物蛍光体;
また、この蛍光体には以下のような添加物が含まれていてもよい;特開昭60−166379号公報に記載されているM X″(ただし、MはRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである);特開昭60−221483号公報に記載されているKX″、MgX″′、MX″″(ただし、MはSc、Y、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり;X″、X″′およびX″′はいずれもF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである);
特開昭60−228592号公報に記載されているB;
特開昭60−228593号公報に記載されているSiO、P等の酸化物;
特開昭61−120882号公報に記載されているLiX″、NaX″(ただし、X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである);
特開昭61−120883号公報に記載されているSiO;
特開昭61−120885号公報に記載されているSnX″(ただし、X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである);
特開昭61−235486号公報に記載されているCsX″、SnX″′(ただし、X″およびX″′はそれぞれF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである);および
特開昭61−235487号公報に記載されているCsX″、Ln3+(ただし、X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;LnはSc、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素である);
(3)特開昭55−12144号公報に記載されているLnOX:xA(ただし、LnはLa、Y、Gd、およびLuのうち少なくとも一つ;XはCl、Br、およびIのうち少なくとも一つ;AはCeおよびTbのうち少なくとも一つ;そして、xは、0<x<0.1である)の組成式で表される希土類元素賦活希土類オキシハライド蛍光体;
(4)特開昭58−69281号公報に記載されているMOX:xCe(ただし、MはPr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化金属であり;XはCl、Br、およびIのうち少なくとも一つであり;xは0<x<0.1である)の組成式で表されるセリウム賦活三価金属オキシハライド蛍光体;
(5)特願昭60−70484号明細書に記載されているMX:xBi(ただし、MはRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてxは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるビスマス賦活アルカリ金属ハロゲン化物蛍光体;
(6)特開昭60−141783号公報に記載されているM (POx:xEu2+(ただし、MはCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロリン酸塩蛍光体;
(7)特開昭60−157099号公報に記載されているM BOX:xEu2+(ただし、MはCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロホウ酸塩蛍光体;
(8)特開昭60−157100号公報に記載されているM POX:xEu2+(ただし、MはCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロリン酸塩蛍光体;
(9)特開昭60−217354号公報に記載されているMHX:xEu2+(ただし、MはCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属水素化ハロゲン化物蛍光体;
(10)特開昭61−21173号公報に記載されているLnX・aLn′X′:xCe3+(ただし、LnおよびLn′はそれぞれY、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;XおよびX′はそれぞれF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX≠X′であり;そしてaは0.1<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるセリウム賦活希土類複合ハロゲン化物蛍光体;
(11)特開昭61−21182号公報に記載されているLnX・aMX′:xCe3+(ただし、LnおよびLn′はそれぞれY、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;MはLi、Na、K、CsおよびRbからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;XおよびX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるセリウム賦活希土類複合ハロゲン化物系蛍光体;
(12)特開昭61−40390号公報に記載されているLnPO・aLnX:xCe3+(ただし、LnはY、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;XはF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0.1≦a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるセリウム賦活希土類ハロ燐酸塩蛍光体;
(13)特願昭60−78151号明細書に記載されているCsX:aRbX′:xEu2+(ただし、XおよびX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活ハロゲン化セシウム・ルビジウム蛍光体;および
(14)特願昭60−78153号明細書に記載されているM・aMX′:xEu2+(ただし、MはBa、SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;MはLi、RbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;XおよびX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0.1≦a≦20.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活複合ハロゲン化物蛍光体;を挙げることができる。
【0009】
上記の輝尽性蛍光体のうちで、ヨウ素を含有する二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体、ヨウ素を含有する二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体、ヨウ素を含有する希土類元素賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、およびヨウ素を含有するビスマス賦活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体は高輝度の輝尽発光を示す。
【0010】
これらの輝尽性蛍光体を使用した放射線像変換パネルは、放射線像情報を蓄積した後、励起光の走査によって蓄積エネルギーを放出するので、走査後に再度放射線像の蓄積を行うことができ繰り返し使用が可能である。つまり従来の放射線写真法では一回の撮影ごとに放射線写真フィルムを消費するのに対して、この放射線像変換方法では放射線像変換パネルを繰り返し使用するので、資源保護、経済効率の面からも有利である。
【0011】
そこで、放射線像変換パネルには得られる放射線像の画質を劣化させることなく長期間の使用に耐える性能を付与することが望ましい。
【0012】
しかし放射線像変換パネルの製造に用いられる輝尽性蛍光体は一般に吸湿性が大であり、通常の気候条件の室内に放置すると空気中の水分を吸収し、時間の経過とともに著しく劣化する。
【0013】
具体的には、たとえば輝尽性蛍光体を高湿度のもとに置くと、吸収した水分の増大にともなって前記蛍光体の放射線感度が低下する。また一般には輝尽性蛍光体に記録された放射線像の潜像は、放射線照射後の時間の経過にともなって退行するため、再生される放射線像信号の強度は放射線照射から励起光による走査までの時間が長いほど小さくなるという性質を有するが、輝尽性蛍光体が吸湿すると前記潜像退行の速さが速くなる。
【0014】
そのため、吸湿した輝尽性蛍光体を有する放射線像変換パネルを用いると、放射線像の読み取り時再生信号の再現性が低下する。
【0015】
輝尽性蛍光体の粒子は、一般的にはその輝尽性は、粒子径に依存することが知られており、特開昭55−163500号には、平均粒子径1〜30μmのものが好ましいとされている。又、前記蛍光体粒子サイズと感度、粒状性、鮮鋭性等の特性値の関係が特公平3−79680号に開示されている。
【0016】
これらの輝尽性蛍光体の粒子のサイズ及び形状を制御する試みが液相法で特開平7−233369号に開示され、ここでは、従来法として希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体の製造法は、原料化合物のアルカリ土類金属弗化物、弗化物以外のアルカリ土類金属ハロゲン化物、希土類元素のハロゲン化物、弗化アンモニウム等を一緒に乾式混合するか、或いは水系媒体中に懸濁させて混合した後、焼成し粉砕するのに対し、水溶液中で希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体を沈澱させる方法が開示されている。
【0017】
上記の水溶液中で希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体を沈澱させる液相法により粉砕による性能の劣化なしに、小粒径のそろった蛍光体粒子が得られるようになった。
【0018】
しかし感度が高く、小粒径化することによって水分による劣化が従来以上に問題となってきた。この劣化は焼成後蛍光体粒子が大気中にさらされた瞬間から始まっており、これを防止するためには焼成後蛍光体粒子を大気から遮断した環境に保存する方法等が考えられるが、蛍光体プレートの作成における全ての工程をこのような環境下で行うことは実際上困難である。
【0019】
従来、輝尽性蛍光体粒子の吸湿による前記の劣化現象を防止する為に、チタネート系カップリング剤による方法(例えば、特許文献1を参照)、シリコーンオイルによる方法等が提案されているが(例えば、特許文献2を参照)、どれも根本的な解決に至っていない。
【0020】
【特許文献1】
特公平2−278196号公報
【0021】
【特許文献2】
特公平5−52919号公報
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は吸湿による性能劣化がなく、長期間、性能が良好な状態で使用することが出来、かつ画像特性の優れる放射線像変換パネルを得るための輝尽性蛍光体、その製造方法及び放射線像変換パネルを提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は以下の構成により達成される。
【0024】
1.前記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体の製造方法において、焼成後、弗素を有する化合物で輝尽性蛍光体中の蛍光体粒子を表面処理することを特徴とする輝尽性蛍光体の製造方法。
【0025】
2.液相法によって作製された前記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体の製造方法であって、焼成後、弗素を有する化合物で輝尽性蛍光体中の蛍光体粒子を表面処理することを特徴とする輝尽性蛍光体の製造方法。
【0026】
3.前記1又は2に記載の輝尽性蛍光体の製造方法で得られることを特徴とする輝尽性蛍光体。
【0027】
4.前記弗素を含む化合物が、弗素含有重合体を弗素化溶剤で溶解したコーティング組成物から得られることを特徴とする前記3に記載の輝尽性蛍光体。
【0028】
5.前記弗素を含む化合物の量が輝尽性蛍光体に対して0.2〜20質量%であることを特徴とする前記3又は4に記載の輝尽性蛍光体。
【0029】
6.前記3〜5の何れか1項に記載の輝尽性蛍光体を有することを特徴とする放射線画像変換パネル。
【0030】
本発明を更に詳細に述べる。
本発明者らは、種々検討した結果、輝尽性蛍光体の吸湿による性能劣化は、吸湿による蛍光体の潮解と変質によって発生することを見いだした。しかし、感度劣化を防止するためには、潮解と変質の何れか一方のみを防止しても根本的な解決ではなく、吸湿による潮解と変質の両方を防止することが必要であることも見いだした。
【0031】
前記の潮解とは、蛍光体粒子が空気中の水蒸気を採って自分で水溶液を作る現象を言い、変質とは、潮解はしないが空気中の水蒸気により蛍光体自体の蛍光特性が変化することを言う。変質の機構については定かではないが、蛍光体粒子内部の変色等が考えられる。
【0032】
本発明の構成は、潮解と変質の両方の防止に効果がある。即ち、本発明の目的は、吸湿した輝尽性蛍光体の変質や潮解を防止するところにある。
【0033】
蛍光体の吸湿特性は毛管凝集を初めとする多種の原因で発生すると考えられるが、一旦、水蒸気が水滴として蛍光体粒子間に発生すると、潮解により性能劣化が起こる。
【0034】
本発明における、弗素を有する化合物による蛍光体粒子の表面処理は、前述ような潮解の発生を防止する効果があると推定される。特に、疎水化処理された弗素を有する化合物を用いることにより、本発明の効果が得られる。
【0035】
平均粒径が数μm〜数十μmの蛍光体粒子に対して、適当量の弗素を有する化合物を混合するには、通常の如何なる方法も使用可能であるが、ターブラシェーカーミキサー(シンマルエンタープライゼス社製)のような混合装置を使用し、弗素を有する化合物を溶解した溶液に、蛍光体粒子を除々に添加していく方式で混合するのが、蛍光体粒子の均一被覆の観点から好ましい。
【0036】
本発明においては、弗素を有する化合物の量が蛍光体に対して、0.2〜20質量%であることが好ましく、20質量%を超えると感度の低下が発生し、0.2質量%未満では本発明の効果は見られなかった。
【0037】
本発明は、弗素を有する化合物で前記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体粒子表面を処理することを特徴としている。
【0038】
本発明においては、以下に挙げる弗素を有する化合物が好ましい。
本発明に好ましく用いられる含弗素重合体としては、共重合体のためのフルオロ脂肪族基含有不飽和エステルモノマーは、フルオロ脂肪族基含有不飽和エステルモノマーは、弗素によって少なくとも部分的に置換された脂肪族基、特に弗素によって少なくとも部分的に置換されたアルキル基を含有し、かつ、重合可能なエチレン系不飽和の炭素−炭素二重結合を有する化合物である。具体的には、フルオロ脂肪族基含有不飽和エステルモノマーとしては、以下のものが挙げられる。
【0039】
Rf−Q−O−C(=O)−C(R)=CH
Rfは直鎖、枝分かれまたは環式の炭素数2〜12の少なくとも部分的に弗素化された脂肪族基、例えば、少なくとも部分的に弗素化されたアルキル基であり、好ましくは完全に弗素化されたアルキル基であり、Rは水素原子またはCHであり、Qは低級アルキレン基、例えば、−CH−、−CHCH−、または、−SONR−低級アルキレン基、−SONR−CH−、−SONR−CHCH−であり、Rは水素原子または低級アルキル基、例えば、−CHまたは−Cである。
【0040】
Rfは好ましくはC〜Cのフルオロ脂肪族基であり、特に好ましくはC〜Cのフルオロ脂肪族基である。
【0041】
また、Rfの末端基は、完全に弗素化された−CF基であるときに、本発明の効果をより奏する点で好ましい。Qは低級アルキル基であり、好ましくは、−CH−または−CHCH−である。
【0042】
より具体的には、F(CFCHOC(=O)C(CH)=CH、C15−SON(C)COC(=O)C(CH)=CH、c−C11CHOC(=O)C(CH)=CH、C13OC(=O)CH=CH、(CFCF(CFOC(=O)CH=CH、H(CFCHOC(=O)CH=CH、F(CFOC(=O)CH=CH、F(CFCHOC(=O)CH=CHが挙げられる。これらのモノマーは、米国特許第2,803,615号および同第2,841,573号明細書に記載されるような従来の方法により製造することができる。
【0043】
また、末端二重結合を2つ有するパーフルオロエーテルを単独でラジカル重合させ、または、末端二重結合を2つ有するパーフルオロエーテルを、ラジカル共重合可能な他のモノマーとともにラジカル重合させて得られる重合体が挙げられる。
【0044】
このような重合体は、例えば、特開昭63−238111号公報および特開昭63−238115号公報に開示されている。
【0045】
即ち、末端に二重結合を2つ有するパーフルオロエーテル、例えば、CF=CF(CF)n−O−(CF)mCF=CF
(nは0〜5であり、mは0〜5であり、m+nは1〜6である。)
を単独でラジカル重合させ、または、末端二重結合を2つ有するパーフルオロエーテルと、ラジカル共重合可能な他のモノマーとともにラジカル重合させることにより、環化重合させて含弗素重合体が得られる。例えば、CF=CF−O−CFCF=CFをラジカル重合することにより、主鎖中に下記の如く、5員の環構造を有する含弗素重合体が得られる。
【0046】
【化1】
Figure 2004285160
【0047】
上記の末端二重結合を2つ有するパーフルオロエーテルとラジカル共重合可能な他のモノマーとしては、テトラフルオロエチレンのようなフルオロオレフィン、パーフルオロビニルエーテルのよなフルオロビニルエーテル、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、クロロトリエチレンなどが例示される。
【0048】
さらに、含弗素重合体としては、例えば、特公昭63−18964号公報に開示されているものが挙げられる。
【0049】
【化2】
Figure 2004285160
【0050】
詳細には、上記で表されるパーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール(PDD)のモノマー単位とテトラフルオロエチレンのモノマー単位を有する非晶性共重合体、または、上記のモノマー単位にさらに他のエチレン系不飽和モノマーのモノマー単位を有する非晶性三元重合体を挙げることができる。
【0051】
三元重合体のためのエチレン系不飽和モノマーとしては、例えば、エチレン、1−ブテンのようなオレフィン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンのようなビニル化合物、パーフルオロプロペンのようなパーフルオロ化合物を用いることができる。
【0052】
また、市販の含弗素重合体としては、旭ガラス株式会社製のサイトップCTX−805およびCTX109A(商品名)も用いることが好ましい。
【0053】
上記弗素重合体の溶剤としては、水素原子および弗素原子を含むエーテル、即ち、ヒドロフルオロエーテル(HFE)が挙げられる。有用なヒドロフルオロエーテルは以下の2種のものが挙げられる:
(1)HFEのエーテル結合されたアルキルもしくはアルキレン等のセグメントが、ペルフルオロ化されているか(例えば、ペルフルオロカーボン基)、または、弗素化されておらず(例えば、炭化水素基)、従って、部分弗素化されていない、分離型ヒドロフルオロエーテル、および、
(2)エーテル結合されたセグメントが弗素化されていないか(例えば、炭化水素基)、ペルフルオロ化されているか(例えば、ペルフルオロカーボンエーテル基)、または、部分弗素化されている(例えば、フルオロカーボンまたはヒドロフルオロカーボン基)、ω−ヒドロフルオロアルキルエーテル。
【0054】
分離型ヒドロフルオロカーボンエーテルは、モノ−、ジ−もしくはトリアルコキシ置換された、ペルフルオロアルカン、ペルフルオロシクロアルカン、ペルフルオロシクロアルキル含有ペルフルオロアルカン1またはペルフルオロシクロアルキレン含有ペルフルオロアルカン化合物の少なくとも1種を含むヒドロフルオロエーテルを含む。これらのHFEは、例えば、WO96/22356号明細書に記載されており、下記式1で表される化合物が好ましい。
【0055】
式1:Rf−(O−Rh)x
式1において、xは1〜3であり、好ましくは1であり、Rfは価数がxであるペーフルオロ化された、直鎖、分岐または環式の炭化水素基であり、その炭素数が6〜15であり、Rfは1個以上の鎖中に存在するヘテロ原子を含んでよく、そして全ての場合においてRfは末端にFS−基を含んでよく、各Rhは独立に1〜3個の炭素原子を有する直鎖、分岐のアルキル基であり、好ましくは1または2個の炭素原子を有し、さらに好ましくはメチル基である。上記HFEのうち、Rfがヘテロ原子を含まず、末端にFS−基を含まないものが好ましい。
【0056】
式1により表される代表的なヒドロフルオロエーテル化合物として以下の化合物例が挙げられる。
【0057】
【化3】
Figure 2004285160
【0058】
【化4】
Figure 2004285160
【0059】
【化5】
Figure 2004285160
【0060】
【化6】
Figure 2004285160
【0061】
上記の化合物中、「F」と記載されている環構造はペーフルオロ化されている。これらのHFE化合物は、単独で用いられてもまたは別のHFEとの混合物として用いられてもよい。
【0062】
他の有用なヒドロフルオロエーテルとしては、下記式2により示される一般構造で記載されるω−ヒドロフルオロアルキルエーテルも好ましく用いることができる。
【0063】
式2:X−Rf’−(O−Rf”)y−O−R”−H
上記化合物中、Xは弗素原子または水素原子であり、Rf’は1〜12個の炭素原子を有する二価のペーフルオロ化された有機基であり、Rf”は1〜6個の炭素原子を有する二価のペーフロオロ化された有機基であり、R”は1〜6個の炭素原子を有する二価の有機基であり、そして好ましくはペーフルオロ化されており、yは0〜4の整数であり、Xが弗素原子でかつyが0であるときには、R”は少なくとも1個のF原子を含み、但し、弗素化された炭素原子の総数は少なくとも6個である。
【0064】
式2により表される化合物の代表的な化合物例を以下に挙げる。
OC
HCOC
11OC
13OCF
13OCHF
c−C11CFOC
HCFO(CO)n(CFO)CF
O{C(CF)CFO}pCFHCF
OCFC(CFCF
HCFCFOCFC(CFCFOC
17OCFHCF
10OCFO(CF
10OCOCOCF
本発明のコーティング組成物およびコーティング方法に特に有用な溶剤は、Rf”’−OC(Rf”’は直鎖もしくは枝分かれの6〜15個の炭素原子を有するペーフルオロアルキル基である)を有する。好ましくは、Rf”’は6〜8個の炭素原子を有し、3−エトキシペルフルオロ(2−メチルヘキサン)(CFCF(CF)CF(OC)C)が最も好ましい。
【0065】
これらの溶剤は従来のPFC溶剤と同等の溶剤特性を有する。具体的には、3−エトキシペーフルオロ(2−メチルヘキサン)は、均一で薄い塗膜を形成する能力を決めるファクターとなる表面張力および粘度(25℃)が、それぞれ、1.4×10−2N/mおよび1.2×10−3Pa.sであり、また、含弗素重合体に対してPFCと同等の高い溶解度を有する。
【0066】
コーティング組成物は上記の含弗素環構造を有する重合体を室温(例えば、25℃)でヒドロフルオロエーテル(HFE)中に添加し、攪拌することにより容易に形成される。
【0067】
含弗素重合体組成物の溶液濃度は、含弗素重合体の種類にもよるが、通常、1〜20質量%である。
【0068】
本発明のコーティング方法によると、HFE(例えば、CFCF(CF)CF(OC)C)の優れた溶剤特性のために、このような薄い表面処理においても、均一な表面処理をすることができる。
【0069】
本発明の前記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体につて説明する。
前記一般式(1)において、MはMg、Ca、Sr、Zn及びCdから選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属原子、MはLi、Na、K、Rb及びCsから選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属原子、XはCl、Br及びIからなる選ばれる少なくとも一種のハロゲン原子、LnはCe、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、Tm、Dy、Ho、Nd、Er及びYbから選ばれる少なくとも一種の希土類元素、x、y、a、b及びcは、それぞれ0≦x≦0.3、0≦y≦0.3、0≦a≦0.05、0<b≦0.2、0<c≦0.1である。
【0070】
本発明の輝尽性蛍光体中の粒子の形状としては、板状粒子、球状粒子、6面体粒子、14面体粒子等どのような形状でも良い。
【0071】
本発明においては、液相合成法により製造された輝尽性蛍光体前駆体が好ましく使用できる。液相合成法では、反応溶液系の過飽和度を制御することにより、輝尽性蛍光体前駆体の形状や粒径を比較的容易に制御して製造することができる。例えば、特開平7−233369号に液相法による14面体型輝尽性蛍光体とその製造法が開示されている。本発明におけるアスペクト比の高い平板粒子も、液相合成法を利用して製造することが好ましい。
【0072】
液相法による輝尽性蛍光体前駆体の製造については、特願平8−265525号に記載された前駆体製造方法、同8−266718号に記載された前駆体製造装置が好ましく利用できる。
【0073】
本発明で輝尽性蛍光体前駆体とは、前記一般式(1)の物質が600℃以上の高温を経ていない(焼成されていない)状態を示し、輝尽性蛍光体前駆体は輝尽発光性や瞬時発光性を殆ど示さない。
【0074】
本発明では、以下の液相合成法により輝尽性蛍光体前駆体を得ることが好ましい。
【0075】
(前駆体製造法)
BaIとLnのハロゲン化物を含み、一般式(1)のaが0でない場合には、更にMのハロゲン化物を含み、それらが溶解した後、BaI濃度が1.6mol/L以上、好ましくは3.5mol/L以上の水溶液を調製する工程;上記水溶液を50℃以上、好ましくは80℃以上の温度に維持しながら、これらに濃度6mol/L以上、好ましくは8mol/L以上の無機弗化物(弗化アンモニウム又はアルカリ金属の弗化物)の水溶液を添加して、輝尽性蛍光体前駆体結晶の沈澱物を得る工程;そして、上記前駆体結晶沈澱物を水溶液から分離する工程を含むものである。
【0076】
前記輝尽性蛍光体前駆体は、焼成工程を経ることにより、輝尽発光性、瞬時発光性が初めて発現する。蛍光体前駆体から輝尽性蛍光体の製造は、以下に記すような焼成方法により行うことが好ましい。
【0077】
(焼成方法)
前記輝尽性蛍光体前駆体を、100ppm以上の酸素を含まない弱還元性雰囲気に晒しながら600℃以上に加熱する工程;
前記工程の後、600℃以上を保持しながら、少なくとも100ppm以上で、多くとも雰囲気全体に対する還元性成分の体積比よりも少ない体積比の酸素を雰囲気中に導入し、少なくとも1分間保持する工程;
そして、前記工程の後、600℃以上を保持しながら、雰囲気を1000ppm以上(好ましくは100ppm以上)の酸素を含まない弱還元性雰囲気に戻して少なくとも30分間保った後、1000ppm以上(好ましくは100ppm以上)の酸素を含まない弱還元性雰囲気を保持したまま100℃以下まで冷却する工程である。
【0078】
以下に本発明の輝尽性蛍光体の製造法について具体的に説明する。
(前駆体結晶の沈澱物の作製)
先ず、水系媒体中を用いて弗素化合物以外の原料化合物を溶解させる。即ち、BaX(BaBr、BaI)とLnのハロゲン化物、そして必要により更にMのハロゲン化物、そして更にMのハロゲン化物を水系媒体中に入れ、十分に混合し、溶解させて、それらが溶解した水溶液を調製する。ただし、BaX(BaBr、BaI)濃度が0.25mol/L以上になるように、BaX(BaBr、BaI)濃度と水系溶媒との量比を調整しておく。この時、所望により少量の酸、無機ハロゲン化物(アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等)、アンモニア、アルコール、水溶性高分子ポリマー、水不溶性金属酸化物微粒子粉体などを添加してもよい。この水溶液(反応母液)は50℃以上に維持される。
【0079】
次に、この50℃以上に維持され、攪拌されている水溶液に、無機弗化物(弗化アンモニウム、アルカリ金属の弗化物など)の水溶液をポンプ付きのパイプ等を用いて注入する。この注入は、攪拌が特に激しく実施されている領域部分に行うのが好ましい。この無機弗化物水溶液の反応母液への注入によって、前記一般式(1)に該当する蛍光体前駆体結晶が沈殿する。
【0080】
次に、上記前駆体結晶を、濾過、遠心分離などによって溶液から分離し、メタノール等で充分に洗浄し、乾燥する。この乾燥蛍光体前駆体結晶に、アルミナ微粉末、シリカ微粉末などの焼結防止剤を添加、混合し、結晶表面に焼結防止剤微粉末を均一に付着させる。尚、焼成条件を選ぶことによって焼結防止剤の添加を省略することも可能である。
【0081】
(前駆体結晶の焼成)
蛍光体前駆体の結晶粉体を、石英ポート、アルミナ坩堝、石英坩堝などの耐熱性容器に充填し、電気炉の炉芯に入れて焼結を避けながら焼成を行なう。ただし、電気炉の炉芯は、焼成中の雰囲気置換が可能なものに限られる。又、電気炉としては、ロータリーキルン等の移動床式電気炉も好ましく使用できる。
【0082】
蛍光体前駆体を炉芯に充填した後、炉芯内の雰囲気を大気から1000ppm以上(好ましくは100ppm以上)の酸素を含まない弱還元性雰囲気に置換する。弱還元性雰囲気としては、水素濃度が5%以下の水素/窒素混合ガスが好ましく、より好ましくは水素濃度が0.1〜3%である。水素濃度を0.1%以上とすることで還元力が得られ、発光特性を向上させることができ、一方、5%以下とすることで取扱い上好ましく、更に輝尽性蛍光体の結晶自体が還元されてしまうことを防止できる。
【0083】
この雰囲気置換に先立って、炉芯内部の大気を排出して真空にしてもよい。真空吸引には回転式ポンプ等が利用できる。炉芯を真空にした場合、雰囲気の置換効率が高くなるという利点がある。真空を経由せずに雰囲気を置換する、いわゆる追出し置換の場合は、炉芯の容量の少なくとも3倍の体積の雰囲気を注入する必要がある。
【0084】
電気炉の炉芯内部を上記混合雰囲気に置換した後、600℃以上に加熱を行う。このように、600℃以上に加熱することにより、良好な発光特性を得ることができ好ましい。加熱開始以降、輝尽性蛍光体の取出し迄の間、炉芯内の混合雰囲気は、少なくとも0.1L/min以上の流量で流通させることが好ましい。
【0085】
これにより、炉芯内の雰囲気が置換されるので、炉芯内で生成される輝尽性蛍光体以外の反応生成物を排出することができる。
【0086】
特に、本発明の前記反応生成物は沃素を含有するので、沃素による輝尽性蛍光体の黄色化及びそれに伴う輝尽性蛍光体の劣化を防止できる。
【0087】
更に好ましくは1.0〜5.0L/minの流量である。又、昇温の速度は、炉芯の材質や前駆体結晶の充填量、電気炉の仕様等により異なるが、1〜50℃/minが好ましい。
【0088】
600℃以上に到達した後、雰囲気全体に対する還元性成分の体積比よりも少ない体積比の酸素を雰囲気中に導入し、少なくとも1分間保持する。この時の温度は、好ましくは600〜1300℃、より好ましくは700〜1000℃である。600℃以上とすることで良好な輝尽発光特性が得られ、700℃以上で更に放射線画像の診断の実用上好ましい輝尽発光特性を得ることができる。又、1300℃以下であれば、焼結により大粒径化することを防止でき、特に1000℃以下であれば、放射線画像の診断の実用上好ましい粒径の輝尽性蛍光体を得ることができる。更に好ましくは820℃付近である。
【0089】
ここで雰囲気の置換は追出し置換により行い、新たに導入される弱還元性雰囲気としては、水素濃度が5%以下、酸素濃度は水素濃度未満、かつ残りの成分が窒素である混合ガスが好ましい。より好ましくは、水素濃度は0.1〜3%、酸素濃度は水素濃度に対して40〜80%、かつ残りの成分が窒素である混合ガスである。特に、水素1%、酸素0.6%、かつ残りの成分が窒素の混合ガスが好ましい。
【0090】
水素濃度を0.1%以上とすることで還元力を得られ、発光特性を向上させることができ、5%以下とすることで取扱い上好ましく、更に輝尽性蛍光体の結晶自体が還元されてしまうことを防止できる。又、酸素濃度は、水素濃度に対して約60%をピークに輝尽発光強度を著しく向上できる。
【0091】
又、昇温中の雰囲気に酸素を混入させてもよく、この場合は、水素/窒素混合ガスと酸素ガスの流量比を操作することで、雰囲気の混合比を制御できる。又、酸素の代替として大気をそのまま導入することもできる。更に、酸素/窒素混合ガスと水素/窒素混合ガスの流量比を調節して用いることもできる。
【0092】
所望の窒素、水素、酸素の混合比に置換される迄は、炉芯の容量の3倍以上の体積の新たな雰囲気を導入する必要がある。この時から少なくとも1分以上、好ましくは1分〜1時間の間、600℃以上で窒素、水素、酸素の混合雰囲気が保持される。
【0093】
上記操作の後、再び炉芯内部を弱還元性雰囲気に置換する。炉芯内部に残留した酸素を1000ppm未満(好ましくは100ppm未満)まで追い出すためには、昇温の時と同じ弱還元性ガスを用いることが好ましい。置換効率を高めるために弱還元性ガスの流量を一時的に増加させてもよい。炉芯容量の10倍の体積の新たな弱還元性ガスを導入した時点で1000ppm未満(好ましくは100ppm未満)まで酸素が追い出される。この時から少なくとも30分以上、好ましくは30分〜12時間の間、600℃以上で1000ppm以上(好ましくは100ppm以上)の酸素を含まない弱還元性雰囲気が保持される。
【0094】
この保持時間を30分以上とすることにより、良好な輝尽発光特性を示す輝尽性蛍光体を得ることができ、又、12時間以下とすることにより、加熱による輝尽発光特性の低下を防止することができる。冷却は昇温の場合と同様に行われる。
【0095】
上記の焼成によって、目的の酸素導入希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体が得られる。
【0096】
(弗素を有する化合物による表面処理)
本発明者らは、種々検討した結果、弗素を有する化合物は輝尽性蛍光体の変色を防ぐ効果があり、輝尽性蛍光体の着色による感度の劣化防止を有することを見いだした。
【0097】
理由は定かではないが、弗素を有する化合物が輝尽性蛍光体の変色が顕著になるのは、蛍光体がヨウ素を含む場合であり、遊離したヨウ素による蛍光体の黄化を防止できると推定している。
【0098】
蛍光体粒子を上記弗素重合体を弗素化溶剤で溶解したコーティング剤を付着するにあたっては、公知の方法を使用することが出来る。
【0099】
例えば、ヘンシェルミキサーを用い蛍光体粒子を攪拌混合しながら、弗素重合体を含有するコーティング剤を摘下、噴霧する方法、スラリー状の蛍光体に弗素重合体を含有するコーティング剤を摘下しながら攪拌し、摘下終了後に蛍光体を沈殿させ濾過してから、蛍光体を乾燥させて、残留溶媒を除去するすらりー法、蛍光体を溶媒に分散させ、ここに弗素重合体含有コーティング剤を添加して攪拌後、溶媒を蒸発させる方法又は弗素重合体含有コーティング剤を輝尽性蛍光体用塗分散液に添加、攪拌して、表面処理することができる。
【0100】
また、弗素重合体含有コーティング剤の乾燥は蛍光体との反応確実するために、温度40〜160℃で10〜200分で表面処理行うのが好ましい。
【0101】
このような、蛍光体粒子の表面処理方法の一例としては、弗素重合体含有コーティング剤の分散液中、焼成直後の蛍光体粒子を液中で粉砕し、弗素重合体含有コーティング剤で表面処理を行った後、濾過乾燥する方法、弗素重合体含有コーティング剤を輝尽性蛍光体を添加しておく方法等の表面処理方法もある。
【0102】
本発明においては、弗素重合体の量は20%以下であることが好ましく、より好ましくは、0.2〜2%である。
【0103】
(放射線画像変換パネルの作製)
本発明の放射線画像変換パネルに用いられる支持体としては、各種高分子材料、ガラス、金属等が用いられる。特に情報記録材料としての取扱い上、可撓性のあるシート又はウェブに加工できるものが好適であり、この点から言えば、セルロースアセテート、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、トリアセテート、ポリカーボネート等のプラスチックフィルム;アルミニウム、鉄、銅、クロム等の金属シート又は該金属酸化物の被覆層を有する金属シート等が好ましい。
【0104】
これら支持体の層厚は用いる支持体の材質等によって異なるが、一般的には80〜1000μmであり、取扱い上の点から更に好ましくは80〜500μmである。
【0105】
これら支持体の表面は滑面であってもよいし、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的でマット面としてもよい。更に、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的で輝尽性蛍光体層が設けられる面に下引層を設けてもよい。
【0106】
輝尽性蛍光体層に用いられる結合剤の例としては、ゼラチン等の蛋白質、デキストラン等のポリサッカライド、又はアラビアゴムのような天然高分子物質;ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ビニリデン・塩化ビニルコポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリレート、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアルコール、線状ポリエステル等のような合成高分子物質などにより代表される結合剤を挙げることができる。これらの中で特に好ましいものは、ニトロセルロース、線状ポリエステル、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ニトロセルロースと線状ポリエステルとの混合物、ニトロセルロースとポリアルキル(メタ)アクリレートとの混合物及びポリウレタンとポリビニルブチラールとの混合物である。尚、これらの結合剤は、架橋剤によって架橋されたものでよい。
【0107】
輝尽性蛍光体層は、例えば次のような方法により下塗層上に形成することができる。
【0108】
まず、本発明の沃素含有輝尽性蛍光体の黄変防止のために亜燐酸エステル等の化合物及び結合剤を適当な溶剤に添加し、これらを充分に混合して結合剤溶液中に蛍光体粒子及び該化合物の粒子が均一に分散した塗布液を調製する。
【0109】
一般に、結着剤は輝尽性蛍光体1質量部に対して0.01〜1質量部の範囲で使用される。しかしながら、得られる放射線画像変換パネルの感度と鮮鋭性の点では結着剤は少ない方が好ましく、塗布の容易さとの兼合いから0.03〜0.2質量部の範囲がより好ましい。
【0110】
塗布液における結合剤と輝尽性蛍光体との混合比(ただし、結合剤全部がエポキシ基含有化合物である場合には、該化合物と蛍光体との比率に等しい)は、目的とする放射線画像変換パネルの特性、蛍光体の種類、エポキシ基含有化合物の添加量などによって異なるが、一般には、結合塗布液調製用の溶剤例として、メタノール、エノタール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール等の低級アルコール;メチレンクロライド、エチレンクロライド等の塩素原子含有炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル;ジオキサン、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル;トルエン;そして、それらの混合物を挙げることができる。
【0111】
尚、塗布液には、該塗布液中における蛍光体粒子の分散性を向上させる目的で、ステアリン酸、フタル酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などの分散剤を混合してもよい。又、必要に応じて、結着剤に対する可塑剤を添加してもよい。そのような可塑剤の例としては、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル等のフタル酸エステル;琥珀酸酸ジイソデシル、アジピン酸ジオクチル等の脂肪族二塩基酸エステル;グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタリルブチル等のグリコール酸エステル等が挙げられる。
【0112】
上記のようにして調製された塗布液を、下塗層の表面に均一に塗布することにより塗布液の塗膜を形成する。この塗布操作は、通常の塗布手段、例えばドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーター等を用いて行うことができる。次いで、形成された塗膜を徐々に加熱することにより乾燥し、下塗層上への輝尽性蛍光体層の形成を完了する。
【0113】
輝尽性蛍光体層用塗布液の調製は、ボールミル、サンドミル、アトライター、三本ロールミル、高速インペラー分散機、Kadyミル、及び超音波分散機などの分散装置を用いて行われる。調製された塗布液を、ドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーター等の塗布装置を用いて支持体上に塗布・乾燥することにより輝尽性蛍光体層が形成される。前記塗布液を保護層上に塗布・乾燥した後に輝尽性蛍光体層と支持体とを接着してもよい。
【0114】
放射線画像変換パネルの輝尽性蛍光体層の膜厚は目的とする放射線画像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体の種類、結着剤と輝尽性蛍光体との混合比等によって異なるが、10〜1000μmの範囲から選ばれるのが好ましく、10〜500μmの範囲から選ばれるのがより好ましい。
【0115】
支持体上に蛍光体層が塗設された蛍光体シートは、所定の大きさに断裁する。断裁に当たっては、一般のどのような方法でも可能であるが、作業性、精度の面から化粧断裁機、打抜き機等が望ましい。
【0116】
所定の大きさに断裁された蛍光体シートは、一般には、防湿性保護フイルムで封止される。封止方法としては、例えば蛍光体シートを上下の防湿性保護フイルムの間に挟み周縁部をインパルスシーラで加熱・融着する方法や2本の加熱したローラー間で加圧・加熱するラミネート方式等が挙げられる。インパルスシーラで加熱・融着する方法においては、減圧環境下で加熱・融着することが、蛍光体シートの防湿性保護フイルム内での位置ずれ防止や大気中の湿気を排除する意味で、より好ましい。
【0117】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
【0118】
尚、特に断りない限り、実施例中の「%」は「質量%」を示す。
〈蛍光体P1(BaFI)の製造〉
平板状ユーロピウム賦活弗化沃化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、BaI水溶液(4.0mol/L)2500mlとEuI水溶液(0.2mol/L)26.5mlを反応器に入れた。反応器中の反応母液を攪拌しながら83℃で保温した。弗化アンモニウム水溶液(8mol/L)322mlを反応母液中にローラーポンプを用いて注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と攪拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行った。
【0119】
次に沈澱物を濾別後、メタノールで洗浄後、真空乾燥させてユーロピウム賦活弗化沃化バリウムの結晶を得た。焼成時の焼結による粒子形状の変化、粒子間融着による粒子サイズ分布の変化を防止するために、アルミナの超微粒子粉体を1%添加し、ミキサーで充分撹拌して、結晶表面にアルミナの超微粒子粉体を均一に付着させた。
【0120】
ユーロピウム賦活弗化沃化バリウムの結晶粉体とアルミナ超微粒子の混合物を、10Lの炉芯容積を持つバッチ式ロータリーキルンの石英製炉芯管に充填し、窒素/水素(99/1容量%)混合ガスを10L/minの流量で20分間流通させて雰囲気を置換した。充分に炉芯内雰囲気を置換した後、窒素/水素(99/1容量%)混合ガスの流量を2L/minに減じ、2rpmの速度で炉芯管を回転させながら、10℃/minの昇温速度で820℃まで加熱した。
【0121】
試料温度が820℃に到達した後、温度を820℃に保ちながら窒素/水素/酸素(98.4/1/0.6容量%)混合ガスを10L/minの流量で20分間流通させて雰囲気を置換した。その後、窒素/水素/酸素(98.4/1/0.6容量%)混合ガスの流量を2L/minに減じ、20分間保持した。
【0122】
次に窒素/水素(99/1容量%)混合ガスを10L/minの流量で20分間流通させて雰囲気を置換した。充分に炉芯内雰囲気を置換した後、窒素/水素(99/1容量%)混合ガスの流量を2L/minに減じ、60分間保持した。
【0123】
その後、窒素/水素(99/1容量%)混合ガスの流量を2L/minに保ったまま、10℃/minの降温速度で25℃まで冷却した後、雰囲気を大気に戻し、生成された酸素ドープ・ユーロピウム賦活弗化沃化バリウム蛍光体粒子P1を取り出した。
【0124】
〈蛍光体P2(BaFBr)の製造〉
BaFの粉体175.3g、BaBrの粉体391.1g、EuFの粉体0.418gを秤量し、自動乳鉢で10分間粉砕・混合した。混合物を10Lの炉芯容積を持つバッチ式ロータリーキルンの石英製炉芯管に充填し、窒素/水素(99/1容量%)混合ガスを10L/minの流量で20分間流通させて雰囲気を置換した。充分に炉芯内雰囲気を置換した後、窒素/水素(99/1容量%)混合ガスの流量を2L/minに減じ、2rpmの速度で炉芯管を回転させながら、10℃/minの昇温速度で820℃まで加熱した。820℃で2時間保持した後、10℃/minの降温速度で室温まで冷却した後、生成された蛍光体P2を取り出した。
【0125】
〈蛍光体の表面処理〉
次に、得られた蛍光体に対し、表1に示すような弗素を有する化合物種、使用量により蛍光体粒子の表面処理を施した。尚、弗素を有する化合物による表面処理は、ヘンシェルミキサーを用い、メチルパーフルオロイソブチルエーテルとメチルパーフルオロブチルエーテルの混合溶剤(住友スリーエム社製)150mlに粉砕した蛍光体粒子300gを入れ攪拌混合しながら表1に示す弗素重合体を含有する化合物を滴下して、攪拌混合して、蛍光体粒子の表面処理を行った。
【0126】
〈放射線画像変換パネルの製造〉
蛍光体層形成材料として、上記で得たユーロピウム賦活弗化沃化バリウム蛍光体427g、ポリウレタン樹脂(住友バイエルウレタン社製:デスモラック4125)15.8g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂2.0gをメチルエチルケトン−トルエン(1:1)混合溶媒に添加し、プロペラミキサーによって分散し、粘度25〜30Pa・sの塗布液を調製した。
【0127】
この塗布液を、ドクターブレードを用いて下塗付きポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布した後、100℃で15分間乾燥させて厚さ230μmの蛍光体層を形成した。この塗布サンプルを10cm×10cmの正方形に断裁することで放射線画像変換パネル試料1〜10(パネル試料1〜10)を作製した。
【0128】
各試料について、以下のように耐湿性、感度(輝度)を評価した。結果を表1に示す。
【0129】
《耐湿性》
作製したパネル試料を30℃・80%RH(相対湿度)の環境下に2日間放置し、初期感度と劣化後感度を算出した。表中の値は各10サンプルの平均値である。初期感度と劣化後感度の差が小さいほど耐湿性に優れる。
【0130】
尚、感度の測定は、放射線画像変換パネルに管電圧80kVpのX線を照射した後、パネルをHe−Neレーザー光(633nm)で操作して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を受光器(分光感度S−5の光電子像倍管)で受光して、その強度を測定することで行った。
【0131】
表中の初期感度と劣化後感度は、蛍光体粒子P1に表面処理をしていない状態(パネル試料1)の感度を1とした場合の相対感度である。
【0132】
【表1】
Figure 2004285160
【0133】
表1から判るように、本発明の試料は、吸湿による感度劣化の少ない放射線画像変換パネルを得ることができた。
【0134】
【発明の効果】
本発明による輝尽性蛍光体、その製造方法及び放射線像変換パネルは、吸湿による性能劣化がなく、長期間、性能が良好な状態で使用することが出来、かつ画像特性に優れた効果を有する。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体の製造方法において、焼成後、弗素を有する化合物で輝尽性蛍光体中の蛍光体粒子を表面処理することを特徴とする輝尽性蛍光体の製造方法。
    一般式(1)
    (Ba1−x)FBryI1−yX:aM、bLn、cO
    (式中、MはMg、Ca、Sr、Zn及びCdから選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属原子であり、MはLi、Na、K、Rb及びCsから選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属原子、XはCl、Br及びIからなる選ばれる少なくとも一種のハロゲン原子、LnはCe、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、Tm、Dy、Ho、Nd、Er及びYbから選ばれる少なくとも一種の希土類原子、x、y、a、b及びcは、それぞれ0≦x≦0.3、0≦y≦0.3、0≦a≦0.05、0<b≦0.2、0<c≦0.1である。)
  2. 液相法によって作製された前記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体の製造方法であって、焼成後、弗素を有する化合物で輝尽性蛍光体中の蛍光体粒子を表面処理することを特徴とする輝尽性蛍光体の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の輝尽性蛍光体の製造方法で得られることを特徴とする輝尽性蛍光体。
  4. 前記弗素を含む化合物が、弗素含有重合体を弗素化溶剤で溶解したコーティング組成物から得られることを特徴とする請求項3に記載の輝尽性蛍光体。
  5. 前記弗素を含む化合物の量が輝尽性蛍光体に対して0.2〜20質量%であることを特徴とする請求項3又は4に記載の輝尽性蛍光体。
  6. 請求項3〜5の何れか1項に記載の輝尽性蛍光体を有することを特徴とする放射線画像変換パネル。
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