JP2002274844A - 無機微粒子の製造方法、無機微粒子、希土類賦活フッ化ハロゲン化バリウム蛍光体、放射線像変換パネル - Google Patents

無機微粒子の製造方法、無機微粒子、希土類賦活フッ化ハロゲン化バリウム蛍光体、放射線像変換パネル

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JP2002274844A
JP2002274844A JP2001074391A JP2001074391A JP2002274844A JP 2002274844 A JP2002274844 A JP 2002274844A JP 2001074391 A JP2001074391 A JP 2001074391A JP 2001074391 A JP2001074391 A JP 2001074391A JP 2002274844 A JP2002274844 A JP 2002274844A
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宏志 松本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一定の形状を有し、粒径の小さい無機微粒子
の製造方法、該製造方法により得られる無機微粒子を提
供する。 【解決手段】 1種または2種以上の無機化合物を含有
する溶液に、実質的に該溶液に不溶な固形物を添加し、
前記溶液を結晶・沈殿化促進操作して結晶等を生成さ
せ、生成した結晶等を分離することを特徴とする無機微
粒子の製造方法である。前記溶液は、希土類元素を少な
くとも1種含むBaI2水溶液及びフッ化物水溶液の混
合状態となっており、Ba濃度3.0mol/リットル
以下、かつ、FとBaとのモル比が1以下であることが
好ましい。上記製造方法により製造される無機微粒子
は、下記式(I)で表され、立方体で、かつ体積平均粒
径が1〜10μmである。 BaFI:xLn・・・(I) (式中、Lnは、Ce、Pr、Sm、Eu、Tb、D
y、Ho、Nd、Er、Tm及びYbのうち少なくとも
1種を表し、xは0<x≦0.2の数値を表す)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無機微粒子の製造
方法、無機微粒子、希土類賦活フッ化ハロゲン化バリウ
ム蛍光体、放射線像変換パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、放射線写真撮影に用いられる
放射線像変換パネル用の蛍光体として、二価ユーロピウ
ム賦活フッ化ハロゲン化バリウム蛍光体(BaFX:E
2+;ただし、XはCl、Br及び/またはIである。
以下同様。)が知られている。この蛍光体は、X線、電
子線及び紫外線等の放射線で励起すると390nm付近
に発光極大を有する近赤外発光(瞬時発光)を示す。
【0003】また、この蛍光体に上記放射線を照射した
後、可視乃至赤外領域の電磁波(励起光)で励起すると
近紫外発光を示すこと、すなわち輝尽発光を示すことが
見出されており、特開昭55−12145号公報等に開
示されているように、該蛍光体は蛍光体の輝尽性を利用
する放射線像変換方法に用いられる放射線像変換パネル
用の蛍光体として非常に注目されている。そのうちで
も、二価ユーロピウム賦活フッ化沃化バリウム蛍光体
(BaFI:Eu2+)は発光波長が長波側にあるため
に、励起光として近紫外領域に発振波長を有する半導体
レーザー光を用い、それと組み合わせてこの蛍光体を用
いることが提案されている。
【0004】フッ化沃化バリウム(BaFI)は、上記
二価ユーロピウム賦活フッ化沃化バリウム蛍光体、ある
いは、二価ユーロピウム賦活沃素含有ハロゲン化バリウ
ム蛍光体製造のための原料(いわゆる『蛍光体生粉』)
として用いられている。
【0005】フッ化ハロゲン化バリウムを得るために、
バリウムの炭酸塩、硝酸塩及び硫酸塩からなる群より選
ばれる少なくとも一種の化合物に、塩化水素、臭化水素
及びフッ化水素からなる群より選ばれる少なくとも一種
の化合物を反応させてハロゲン化バリウムを生成させた
後、生成物にフッ化水素を反応させてフッ化ハロゲン化
バリウムを生成させる方法が知られている。しかしなが
ら、フッ化沃化バリウムはフッ化臭化バリウム等とは異
なり水に対する溶解度が高いために、単純に水性媒体中
でこれらの物質を反応させただけでは生成物を十分高い
収率で得ることができず、また不純物が混入しやすいと
いう問題がある。また、得られるフッ化沃化バリウムの
結晶は、放射線像変換パネルに利用することを考える
と、立方体形状で平均体積粒径が10μm以下のものが
好ましく、かかる要件をも満たす製造方法の開発が望ま
れている。
【0006】特開平7−233369号公報は、BaX
2と無機フッ化物(NH4F等)とを反応させ、希土類賦
活フッ化ハロゲン化バリウム(BaFX:Ln)を製造
する方法を開示している。特開平11−29324号公
報は、特開平7−233369号公報に記載の製造方法
をフッ化沃化バリウムの製造に適用した製造方法を開示
している。当該製造方法により得られるフッ化沃化バリ
ウムの結晶は、角状(立方体形状)の結晶ではあるが、
体積平均粒径(Dm)が10μm以上のものしか作製す
ることができず、この結晶を現行の放射線像変換パネル
に使用すると、粒状性が悪化してしまうことがあった。
【0007】特開平10−140148号公報に記載の
方法では、体積平均粒径の小さいフッ化沃化バリウム粒
子の作製は可能であるが、粒子形状が一定でないため、
放射線像変換パネルとしては励起光の散乱が制御でき
ず、画質劣化の原因となることがあった。
【0008】このように、一定の形状を有し、粒径の小
さい無機微粒子の製造方法は、上述のような蛍光体原料
粒子を得ようとする場合だけでなく、一般的な無機微粒
子を得る場合にも必要となることがある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上から、本発明は、
一定の形状を有し、粒径の小さい無機微粒子の製造方
法、該製造方法により得られる無機微粒子と提供するこ
とを目的とする。また、本発明は、少なくとも、上記製
造方法により得られる無機微粒子を原料として用いた希
土類賦活フッ化ハロゲン化バリウム蛍光体、及び該希土
類賦活フッ化ハロゲン化バリウム蛍光体を用い、画質特
性に優れた放射線像変換パネルを提供することを目的と
する。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題は、以下に示す
本発明により解決される。すなわち、本発明は、 <1> 1種または2種以上の無機化合物を含有する溶
液に、実質的に該溶液に不溶な固形物を添加し、前記溶
液を結晶・沈殿化促進操作して結晶または沈殿物を生成
させ、生成した結晶または沈殿物を分離することを特徴
とする無機微粒子の製造方法である。
【0011】<2> 前記生成した結晶または沈殿物が
フッ化ハロゲン化バリウムであることを特徴とする<1
>に記載の無機微粒子の製造方法である。
【0012】<3> 前記溶液が、希土類元素を少なく
とも1種含有するBaI2水溶液及びフッ化物水溶液の
混合された状態となっており、Ba濃度3.0mol/
リットル以下であり、かつ、FとBaとのモル比(F/
Ba)が1以下であることを特徴とする<1>または<
2>に記載の無機微粒子の製造方法である。
【0013】<4> 前記フッ化物水溶液が、NH4
水溶液であることを特徴とする<3>に記載の無機微粒
子の製造方法である。
【0014】<5> <3>または<4>に記載の無機
微粒子の製造方法により製造される無機微粒子であっ
て、下記基本組成式(I)で表され、六面体形状で、か
つ体積平均粒径が1〜10μmであることを特徴とする
無機微粒子である。 BaFI:xLn・・・(I) (式中、Lnは、Ce、Pr、Sm、Eu、Tb、D
y、Ho、Nd、Er、Tm及びYbのうち少なくとも
1種を表し、xは0<x≦0.2の数値を表す)
【0015】<6> アスペクト比が0.5〜2である
ことを特徴とする<5>に記載の無機微粒子である。
【0016】<7> 少なくとも、<5>または<6>
に記載の無機微粒子を用いて製造されることを特徴とす
る希土類賦活フッ化ハロゲン化バリウム蛍光体である。 <8> 少なくとも、<5>または<6>に記載の無機
微粒子を用いて製造された希土類賦活フッ化ハロゲン化
バリウム蛍光体を蛍光体層に含有してなることを特徴と
する放射線像変換パネルである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 (A)無機微粒子の製造方法:本発明の無機微粒子の製
造方法は、結晶または沈殿物を得る液相中の反応であれ
ば、特に限定されずに適用することができる。まず、1
種または2種以上の無機化合物を含有する溶液を調製す
る。その後、実質的に該溶液に不溶な固形物(以下、単
に「固形物」ということがある)を添加する。「実質的
に該溶液に不溶な固形物」とは、前記溶液および溶液を
構成する溶媒に対し耐腐食性を有し、当該固形物を構成
する成分が前記溶液中に溶出しないものを意味し、さら
に、後述するように、前記溶液を結晶・沈殿化促進操作
しても、固形物自体は反応せず、従って、固形物を構成
する成分が前記溶液中に溶出しないものをいう。
【0018】固形物の形状としては、粉末状、角状、円
筒状、円盤状、球状、ひも状、シート状等、特に制限さ
れるものではなく、これら固形物を形成する成分が溶液
中に溶出しなければ、結晶・沈殿化促進操作後の形状が
原形をとどめていなくてもよい。固形物の粒径等の大き
さは、溶液の量等により適宜設定するのが好ましく、球
相当の体積平均粒径が0.1〜30mmであることが好
ましく、1〜10mmがより好ましい。固形物の添加量
も、溶液の量等により適宜設定するのが好ましく、5〜
100質量%とするのが好ましく、10〜50質量%と
するのがより好ましい。
【0019】使用する固形物としては、結晶・沈殿化促
進操作や使用する溶液等にもよるが、沸石、テフロン沸
石(ケムウェア社製)、テフロンラッシング、テフロン
ボール、テフロンパンチングシート、シリカゲル、PV
DF(ポリビニリデンフルオライド)ペレット、ガラス
ビーズ、テフロン製ジョイントシーラント(ゴアテック
ス社製)等が挙げられる。また、上記固形物以外にも、
化学的安定性の高いフッ素樹脂、特に、PTFE(ポリ
テトラフルオロエチレン(商品名:テフロン))やPV
DF(ポリビニリデンフルオライド)およびシリカ等の
材質からなる固形物を使用することができる。
【0020】前記溶液に前記固形物を添加した後、該溶
液を結晶・沈殿化促進操作して、結晶または沈殿物を生
成させる。結晶または沈殿物を得るための結晶・沈殿化
促進操作としては、濃縮法、沈殿法等が挙げられる。
【0021】濃縮法とは、溶液を減圧及び/または加熱
して結晶を析出させる方法で、例えば、前記溶液に塩化
ナトリウム水溶液を使用し、これを加熱等して過飽和状
態とし、塩化ナトリウムの結晶を析出させるような方法
をいう。沈殿法とは、溶液に溶解している物質に対して
溶解度の小さい物質が生成するような溶液(物質)を添
加して沈殿物を生成させる方法で、例えば、前記溶液に
バリウム塩水溶液を使用し、これに沈殿剤としての硫酸
化合物を添加し、必要に応じて加熱等して硫酸バリウム
の沈殿物を得るような方法をいう。また、賦活剤と蛍光
体原料とを共沈させて沈殿物を得る方法や、Y23とE
2Oとを塩酸で溶解した後、シュウ酸を添加し、シュ
ウ酸塩として共沈させてY22S:Eu蛍光体原料とな
る沈殿物を得る方法等も沈殿法であり、本発明の無機微
粒子の製造方法に適用することができる。結晶・沈殿化
促進操作には、減圧及び/または加熱等の処理や、吸引
または乾燥気体吹き付け等による液面蒸気除去処理等を
併用してもよい。
【0022】結晶・沈殿化促進操作により得られた結晶
または沈殿物は、ろ過(吸引ろ過、加圧ろ過)や遠心分
離等の公知の方法により、溶液から分離される。分離さ
れた結晶または沈殿物は、必要に応じて洗浄処理、乾燥
処理、分級処理等を行って、無機微粒子とされる。
【0023】上記本発明の無機微粒子の製造方法は、希
土類賦活フッ化沃化バリウム粒子の製造方法に好ましく
適用される。以下、本発明の無機微粒子の製造方法を希
土類賦活フッ化沃化バリウム粒子の製造方法に適用する
場合について説明する。
【0024】まず、賦活剤としての希土類元素を少なく
とも1種含有するBaI2水溶液とフッ化物水溶液とを
混合する。前記希土類元素としては、Ce、Pr、S
m、Eu、Gd、Tb、Dy、Pr、Ho、Nd、E
r、Tm、Ybが挙げられ、好ましくは、Eu、Ceで
ある。BaI2水溶液における賦活剤の含有量は、0.
0001〜0.6mol/リットルとするのが好まし
く、0.001〜0.1mol/リットルとするのがよ
り好ましい。
【0025】また、最終的に得られる希土類賦活フッ化
沃化バリウム粒子の特性調整等を目的として、アルカリ
金属を含む添加物(化合物)、Ba以外のアルカリ土類
金属を含む添加物(化合物)、少量の酸、アンモニア、
水溶性高分子ポリマー、水不溶性金属酸化物微粒子粉体
等を添加してもよい。
【0026】アルカリ金属を含む添加物(化合物)とし
ては、Li、Na、K、Rb、Cs等の塩(ハロゲン化
物塩、硝酸塩、亜硝酸塩、酢酸塩等)が挙げられ、得ら
れる粒子中の不純物低減の観点から、最終的に得られる
フッ化沃化バリウムに含まれるハロゲン元素(F,I)
を含むハロゲン化物塩が好ましい。アルカリ金属を含む
添加物の添加量は、最終組成に必要な量に合わせて調整
する。
【0027】Ba以外のアルカリ土類金属を含む添加物
(化合物)としては、CaやSr等の塩(ハロゲン化物
塩、硝酸塩、亜硝酸塩、酢酸塩等)が挙げられ、得られ
る粒子中の不純物低減の観点から、最終的に得られるフ
ッ化沃化バリウムに含まれるハロゲン元素を含むハロゲ
ン化物塩が好ましい。Ba以外のアルカリ土類金属を含
む添加物(化合物)の添加量は、最終組成に必要な量に
合わせて調整すればよいが、反応母液中20〜5000
ppm程度が好ましく、50〜2000ppm程度がよ
り好ましい。
【0028】また、フッ化物水溶液におけるフッ化物濃
度は、1〜10mol/リットルとするのが好ましい。
該フッ化物としては、フッ化アンモニウム(NH
4F)、アルカリ金属のフッ化物(LiF,NaF,K
F等)、アルカリ土類金属のフッ化物(MgF2,Ca
2,SrF2,BaF2等のスラリー状態としてもよ
い)等を使用することが好ましく、中でもフッ化アンモ
ニウム(NH4F)を使用することがより好ましい。
【0029】BaI2水溶液とフッ化物水溶液とを混合
した際に、Ba濃度が3.0mol/リットル以下とす
るのが好ましく、2.0〜2.6mol/リットルとす
るのがより好ましい。3.0mol/リットルを超える
と結晶化反応が起こるのが速すぎて、生成する粒子形状
が、後述するアスペクト比(0.5〜2.0、好ましく
は、0.8〜1.5)を有する六面体とならないことが
ある。また、FとBaとのモル比(F/Ba)が1以下
となるようにBaI2水溶液およびフッ化物水溶液を混
合するのが好ましい。F/Baが1を超えるとフッ化バ
リウム(BaF2)の析出が促進され、生成するBaF
I粒子に混入することがある。より好ましいF/Ba
は、0.4〜0.9である。
【0030】混合後、この溶液に実質的に不溶な固形物
を添加する。「実質的に不溶な固形物」の意義について
は、既述の通りであり、当該固形物としては、既述の固
形物の例の中でも、沸石、テフロン沸石(ケムウェア社
製)、テフロンラッシング、テフロンボール、テフロン
パンチングシート、シリカゲル、PVDF(ポリビニリ
デンフルオライド)ペレット、ガラスビーズ、テフロン
製ジョイントシーラント(ゴアテックス社製)等を使用
することが好ましい。なお、前記固形物は、希土類元素
を少なくとも1種含有するBaI2水溶液とフッ化物水
溶液とを混合する前に、いずれかの水溶液に添加してお
いてもよい。
【0031】上記固形物を添加した上で、結晶・沈殿化
促進操作を行うことにより、体積平均粒径が10μm以
下で六面体形状の無機微粒子からなる結晶または沈殿物
が得られる。当該固形物によるこのような形状選択性の
発現については、不明な点も多いが、固形物の細孔、固
形物表面の凹凸若しくは表面に存在する置換基等により
触媒作用のようなものが発揮されるためと考えられる。
ここで、本発明でいう六面体形状(以下、単に「六面
体」ということがある)とは、アスペクト比が0.5〜
2.0、好ましくは、0.8〜1.5の直方体状または
立方体状をいう。
【0032】無機微粒子が、フッ化ハロゲン化バリウム
系結晶の場合は、該結晶は、PbFCl(フッ化塩化
鉛)型の正方晶形に属する。この結晶形は、a軸とb軸
の原子配列は等価であるが、c軸は異なる。従って、こ
の系での結晶粒子のアスペクト比は、通常、a軸または
b軸に相当する辺の長さ(L’)に対するc軸に相当す
る辺の長さ(L)の比(L’/L)で表される。つま
り、アスペクト比が1に近い程、立方体であることを示
し、1より小さければ平板状、1より大きければ柱状と
なることを示す。前記LおよびL’は、電子顕微鏡等を
使用して容易に求めることができる。上記「アスペクト
比」は、例えば、電子顕微鏡写真(1000倍)の5c
m×5cmに存在するそれぞれの結晶粒子のアスペクト
比を算出し、それらを平均して求めるのが好ましい。
【0033】固形物を添加後、結晶・沈殿化促進操作と
しては、濃縮・沈殿法を用いるのが好ましく、また、ア
スピレーター等により、好ましくは100hPa〜90
0hPa、より好ましくは200hPa〜600hPa
の減圧状態とし、反応速度を上げることができる。10
0hPa未満では突沸により反応液を吸引してしまうこ
ととなり、900hPaを超えると減圧の効果がほとん
どなく反応速度が遅いこととなる。結晶・沈殿化促進操
作をする際の温度は、好ましくは20〜100℃、より
好ましくは40〜80℃とする。20℃未満では反応が
遅くなり、一方、100℃を超えると沸騰しやすくなり
生成粒子の形状が一定とならなくなることがある。
【0034】以上のようにして、得られた沈殿物は、反
応後の溶液から、ろ過、遠心分離等の公知の方法により
分離される。分離後、必要に応じて公知の洗浄処理、乾
燥処理、分級処理等を行い、無機微粒子である希土類賦
活フッ化沃化バリウム粒子が製造される。なお、前記洗
浄処理は、2−プロパノール等のアルコール等の溶剤を
用いて行われる。前記乾燥処理は、風乾でもよいし、熱
風乾燥やオーブンによる強制乾燥、あるいは減圧乾燥で
あってもよい。
【0035】以上のようにして得られた希土類賦活フッ
化沃化バリウム粒子は、例えば、下記の基本組成式
(I)で表され、立方体形状を有し、体積平均粒径が1
〜10μm(好ましくは、2〜7μm)となっている。 BaFI:xLn・・・(I) (式中、Lnは、Ce、Pr、Sm、Eu、Tb、D
y、Ho、Nd、Er、Tm及びYbのうち少なくとも
1種を表し、xは0<x≦0.2の数値を表す) 従って、後述する希土類賦活フッ化ハロゲン化バリウム
蛍光体の製造方法により当該希土類賦活フッ化沃化バリ
ウム粒子から製造した前記蛍光体を、放射線像変換パネ
ルに使用すると、粒状性が向上し、励起光の散乱が制御
されるため画質劣化を軽減することができる。
【0036】(B)希土類賦活フッ化ハロゲン化バリウ
ム蛍光体:上記希土類賦活フッ化沃化バリウム粒子は、
例えば、下記の基本組成式(II)で表される輝尽性蛍
光体(希土類賦活フッ化ハロゲン化バリウム蛍光体)の
製造原料として用いることができる。 (Ba1-a,MII a)FX・bMI・cMIII・dA:xLn・・・(II) (式中、MIIは、Sr、Ca及びMgからなる群より選
択される少なくとも一種のアルカリ土類金属を表し、M
Iは、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群より選
択される少なくとも一種のアルカリ金属を表し、MIII
は、Al、Ga、In、Tl、Sc、Y、Cd及びLu
からなる群より選択される少なくとも一種の三価金属の
化合物(但し、Al23を除く)を表す。Xは、Cl、
Br及びIからなる群より選択される少なくとも一種の
ハロゲンを表し、Lnは、Ce、Pr、Sm、Eu、G
d、Tb、Dy、Ho、Nd、Er、Tm及びYbから
なる群より選択される少なくとも一種の希土類元素を表
す。Aは、Al23、SiO2及びZrO2からなる群よ
り選択される少なくとも一種の金属酸化物を表す。a、
b、c、d、及びxはそれぞれ、0≦a≦0.3、0≦
b≦2、0≦c≦2、0≦d≦0.5、及び0<x≦
0.2の範囲の数値を表す。)
【0037】また、前記輝尽性蛍光体の粒子の形状とし
ては、直方体型、正六面体型、正八面体型、これらの中
間多面体型、14面体型等があり、これらの中でも14
面体型が、放射線像変換パネルを製造したときに、蛍光
体層中で方向性の少ない配列し、励起光そして輝尽発光
光の好ましくない横方向への拡がりが低減され、得られ
る放射線再生画像の鮮鋭度が向上する点で好ましい。
【0038】以下、希土類賦活フッ化ハロゲン化バリウ
ム蛍光体の製造方法について説明する。希土類賦活フッ
化ハロゲン化バリウム蛍光体(以下、単に「蛍光体」と
いうことがある)は、例えば、以下に示す[蛍光体原
料]を用いて、[原料混合工程]、[焼成工程]、[冷
却工程]及び必要に応じて[その他の工程]等の各工程
を経る製造方法により製造される。ただし、当該製造方
法は、これに限定されるものではない。
【0039】[蛍光体原料]蛍光体原料は、上記本発明
の製造方法により製造される希土類賦活フッ化沃化バリ
ウムの結晶粒子を用いるほか、他の原料は特に制限され
るものではなく、公知のいずれの方法によって得たもの
であってもよい。前記蛍光体原料としては、下記原料
(1)〜(5)を挙げることができる。 (1)本発明の無機微粒子の製造方法により製造される
希土類賦活フッ化沃化バリウム。さらに必要に応じてB
aF2、BaCl2、BaBr2、BaI2、BaFBr、
BaFI及びBaFClからなる群より選ばれる少なく
とも一種のハロゲン化バリウム。 (2)CaF2、CaCl2、CaBr2、CaI2、Sr
2、SrCl2、SrBr2、SrI2、MgF2、Mg
Cl2、MgBr2及びMgI2からなる群より選ばれる
少なくとも一種のアルカリ土類金属ハロゲン化物。 (3)CsCl、CsBr、CsI、NaCl、NaB
r、NaI、KCl、KBr、KI、RbCl、RbB
r、RbI、RbF、CsF、NaF、KF、LiF、
LiCl、LiBr及びLiIからなる群より選ばれる
少なくとも一種のアルカリ金属のハロゲン化物。 (4)Al23、SiO2及びZrO2からなる群より選
ばれる少なくとも一種の金属酸化物。 (5)ハロゲン化物、酸化物、硝酸塩、硫酸塩等の希土
類元素化合物(Ce、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、
Dy、Pr、Ho、Nd、Er、Tm、Yb)からなる
群より選ばれる少なくとも一種の化合物。なお、当該
(5)の原料は必須ではなく、添加する場合は少量でよ
い。 所望により、さらにハロゲン化アンモニウム(NH
4X’,但し、X’はF、Cl、BrまたはIを表
す。)等をフラックスとして使用してもよい。
【0040】[原料混合工程]前記原料(1)〜(5)
のそれぞれの中から所望の原料を任意に選択し、所望の
組成比となるように化学量論的に秤量、混合して、蛍光
体原料混合物を調製する。
【0041】前記蛍光体原料混合物の調製方法として
は、公知の混合方法の中から適宜選択して行うことがで
き、例えば、下記(i)〜(iv)の方法により、蛍光
体原料混合物を調製してもよい。 (i)前記蛍光体原料(1)〜(5)を秤量し、単に混
合する調製方法。 (ii)前記蛍光体原料(1)〜(4)を秤量、混合
し、この混合物を100℃以上の温度で数時間加熱した
後、得られた熱処理物に前記蛍光体原料(5)を混合す
る調製方法。 (iii)前記蛍光体原料(1)〜(5)を混合し、こ
の混合物を100℃以上の温度で数時間加熱して調製す
る調製方法。 (iv)前記蛍光体原料(1)〜(4)を懸濁液の状態
で混合し、この懸濁液を加温下で、好ましくは50〜2
00℃の下で減圧乾燥、真空乾燥、噴霧乾燥等により乾
燥した後、得られた乾燥物に前記蛍光体原料(5)を混
合する調製方法。
【0042】また、前記調製方法(iv)の変法とし
て、前記蛍光体原料(1)〜(5)を懸濁液の状態で混
合し、この懸濁液を乾燥する調製方法(iv−2)、前
記蛍光体原料(1)及び(5)を含有する懸濁液を、加
温、好ましくは50〜200℃に加温した後または前記
加温下で減圧乾燥、真空乾燥、噴霧乾燥等により乾燥し
た後、得られた混合物中に前記蛍光体原料(2)〜
(4)を添加混合する調製方法(iv−3)、或いは、
焼成を二回以上行い調製する場合には、前記蛍光体原料
(1)及び(2)を懸濁液の状態で混合し、前記蛍光体
原料(3)〜(4)を一次焼成後に添加した後、この懸
濁液を加温下で、好ましくは50〜200℃の下で減圧
乾燥、真空乾燥、噴霧乾燥等により乾燥し、得られた乾
燥物に前記蛍光体原料(5)を混合する調製方法(iv
−4)、等も好適に挙げることができる。
【0043】また、特開平7−233369号公報及び
特開平10−195431号公報に記載の、粒子形状と
粒子アスペクト比を制御した14面体型の希土類賦活ア
ルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体の製
造方法、即ち、前記蛍光体原料混合物の調製方法(i)
〜(iv−4)に加えて、さらに、蛍光体原料の混合に
際して、剪断力を付与しうる手段を利用した調製方法
(v)、各蛍光体原料の添加、混合のタイミング等の種
々条件を制御しうる手段を利用した調製方法(vi)に
より調製することもできる。
【0044】前記調製方法(v)及び(vi)での混合
に用いる混合装置としては、公知の混合装置の中から適
宜選択して行うことができ、例えば、各種ミキサー、V
型ブレンダー、ボールミル、ロッドミル等を挙げること
ができる。
【0045】蛍光体の製造の際、輝尽発光量、消去性能
等をさらに改良する目的で、下記のような種々添加成分
を添加することもできる。例えば、特開昭57−236
73号公報に記載のB、特開昭57−23675号公報
に記載のAs、特開昭59−27980号公報に記載の
テトラフルオロホウ酸化合物、特開昭59−47289
号公報に記載のヘキサフルオロ化合物、特開昭59−5
6480号公報に記載のV,Cr,Mn,Fe,Co,
Ni等の遷移金属、または特開昭59−75200号公
報に記載のBeX”2(但し、X”は、F、Cl、Br
及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲ
ン原子を表す)を挙げることができる。
【0046】前記添加成分を添加する場合、該添加成分
は蛍光体原料を秤量、混合する際または焼成前に添加
し、混合される。
【0047】[焼成工程]蛍光体原料混合物は、石英ボ
ート、アルミナルツボ、石英ルツボ、炉芯管等の耐熱性
容器に充填し、電気炉の炉芯に入れて焼成を行う。焼成
の温度としては、600〜1000℃の温度範囲で行う
ことが好ましく、より好ましくは700〜850℃の温
度範囲で行うことである。焼成の温度が600℃未満で
は、母体結晶中での賦活剤元素の拡散や輝尽中心の源と
なるF+の生成が不十分となることがあり、1000℃
を超えると、母体結晶が溶融してしまうことがある。
【0048】前記焼成時の焼成時間としては、蛍光体原
料混合物の充填量、焼成温度または炉からの取出温度等
によっても異なるが、一般に、0.5〜6時間が好まし
く、1〜3時間がより好ましい。前記焼成時の焼成時間
が、0.5時間未満では、母体結晶中での賦活剤元素の
拡散や輝尽中心の源となるF+の生成が不十分となるこ
とがあり、6時間を超えて焼成を行っても、蛍光体にお
けるそれ以上の特性上の変化は少なく、生産性を低下さ
せることになる場合がある。
【0049】前記焼成時における炉心管内の雰囲気とし
ては、中性または僅かに酸化性の雰囲気ガスを用いた雰
囲気とすることが好ましい。前記中性の雰囲気ガスとし
ては、例えば、He、Ne、Ar、N2等の不活性ガス
が挙げられる。前記僅かに酸化性の雰囲気ガスは、単位
体積当りの中性ガス中に100〜100000ppm、
好ましくは150〜50000ppmの酸素を含有する
弱酸化性の雰囲気ガスを指し、例えば、He、Ne、A
r、N2等の不活性ガスに前記濃度の酸素を含有する弱
酸化性の雰囲気ガスが挙げられる。
【0050】さらに、焼成工程における、上述のように
蛍光体原料混合物を一定温度下で焼成した後の過程とし
て、後述の冷却工程に移行する前に、徐冷する過程を設
けることも好ましい。前記徐冷は、蛍光体原料混合物を
焼成した直後に行ってもよいが、さらに一定温度に維持
しつつ、雰囲気の除去、置換を行いながら一定時間経過
した後に行うことが好ましい。
【0051】徐冷は、開始から所定の温度に達するまで
緩やかな温度勾配に制御して温度を下げる。特に、徐冷
は、輝尽性蛍光体の発光特性を向上させる点から、0.
2〜5℃/minの降温速度で、前記焼成終了時の温度
より20〜200℃低い温度となるまで行うことが好ま
しい。
【0052】[冷却工程]冷却工程における冷却は、放
置により温度低下させる方法でも、冷却機を用いて温度
制御しながら強制的に温度低下させる方法のいずれであ
ってもよい。但し、冷却時間を短縮し、十分な特性を有
する輝尽性蛍光体を安定に製造しうる点で、所望の温度
に制御して冷却する方法が好ましい。
【0053】[その他の工程]また、焼成後の輝尽性蛍
光体に対し、必要に応じて、さらに洗浄及び乾燥を行う
処理・乾燥工程、篩分工程等の一般的な各種工程を設け
ることもできる。
【0054】上記焼成によって粉末状の希土類賦活フッ
化ハロゲン化バリウム蛍光体が得られる。なお、得られ
た粉末状の蛍光体については、必要に応じて、さらに、
洗浄、乾燥、ふるい分け等の蛍光体の製造における各種
の一般的な操作を行ってもよい。
【0055】(C)放射線像変換パネル:以上のように
して得られた希土類賦活フッ化ハロゲン化バリウム蛍光
体は、放射線像変換パネルの蛍光体層に含有される輝尽
性蛍光体として利用することができる。以下、かかる放
射線像変換パネルについて説明する。放射線像変換パネ
ルは、基本的には支持体と、その上に設けられた蛍光体
層とから構成されるものであり、蛍光体層は、輝尽性蛍
光体を分散状態で含有支持する結合剤からなるものであ
る。蛍光体層は、例えば、次のような方法により支持体
上に形成することができる。
【0056】まず、前記フッ化ハロゲン化バリウム蛍光
体の粒子と結合剤とを適当な溶剤に加え、これを充分に
混合して、結合剤溶液中に蛍光体粒子が均一に分散した
塗布液を調製する。
【0057】蛍光体層の結合剤の例としては、ゼラチン
等の蛋白質、デキストラン等のポリサッカライド、また
はアラビアゴムのような天然高分子物質;及び、ポリビ
ニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、
エチルセルロース、塩化ビニリデン・塩化ビニルコポリ
マー、ポリアルキル(メタ)アクリレート、塩化ビニル
・酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、セルロースア
セテートブチレート、ポリビニルアルコール、線状ポリ
エステル等のような合成高分子物質等により代表される
結合剤を挙げることができる。このような結合剤のなか
で特に好ましいものは、ニトロセルロース、ポリウレタ
ン、線状ポリエステル、ポリアルキル(メタ)アクリレ
ート、ニトロセルロースと線状ポリエステルとの混合物
及びニトロセルロースとポリアルキル(メタ)アクリレ
ートとの混合物である。なお、これらの結合剤は架橋剤
によって架橋されたものであってもよい。
【0058】塗布液調製用の溶剤の例としては、メタノ
ール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール
等の低級アルコール;メチレンクロライド、エチレンク
ロライド等の塩素原子含有炭化水素;アセトン、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;酢
酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の低級脂肪酸と低
級アルコールとのエステル;ジオキサン、エチレングリ
コールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメ
チルエーテル等のエーテル;そして、それらの混合物を
挙げることができる。
【0059】塗布液における結合剤と蛍光体との混合比
は、目的とする放射線像変換パネルの特性、蛍光体の種
類等によって異なるが、一般には1:1乃至1:100
(重量比)の範囲から選ばれ、そして特に1:8乃至
1:40(重量比)の範囲から選ぶのが好ましい。
【0060】なお、塗布液には、該塗布液中における蛍
光体粒子の分散性を向上させるための分散剤、また、形
成後の蛍光体層中における結合剤と蛍光体粒子との間の
結合力を向上させるための可塑剤等の種々の添加剤が混
合されていてもよい。そのような目的に用いられる分散
剤の例としては、フタル酸、ステアリン酸、カプロン
酸、親油性界面活性剤等を挙げることができる。そして
可塑剤の例としては、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレ
ジル、燐酸ジフェニル等の燐酸エステル;フタル酸ジエ
チル、フタル酸ジメトキシエチル等のフタル酸エステ
ル:グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール酸
ブチルフタリルブチル等のグリコール酸エステル;そし
て、トリエチレングリコールとアジピン酸とのポリエス
テル、ジエチレングリコールとコハク酸とのポリエステ
ル等のポリエチレングリコールと脂肪族二塩基酸とのポ
リエステル等を挙げることができる。
【0061】上記のようにして調製された蛍光体粒子と
結合剤とを含有する塗布液を、次に、支持体の表面に均
一に塗布することにより塗布液の塗膜を形成する。この
塗布操作は、通常の塗布手段、例えばドクターブレー
ド、ロールコーター、ナイフコーター等を用いることに
より行うことができる。
【0062】塗膜形成後、塗膜を乾燥して支持体上への
蛍光体層の形成を完了する。蛍光体層の層厚は、目的と
する放射線像変換パネルの特性、蛍光体の種類、結合剤
と蛍光体との混合比等によって異なるが、通常は20μ
m乃至lmmとする。ただし、この層厚は50乃至50
0μmとするのが好ましい。
【0063】また、蛍光体層は、必ずしも上記のように
支持体上に塗布液を直接塗布して形成する必要はなく、
例えば、別に、ガラス板、金属板、プラスチックシート
等のシート(仮支持体)上に塗布液を塗布し乾燥するこ
とにより蛍光体層を形成した後、剥がし取り、これを支
持体上に押圧するか、あるいは接着剤を用いる等して支
持体と蛍光体層とを接合してもよい。
【0064】なお、蛍光体層は一層だけでもよいが、二
層以上積層してもよい。積層する場合にはそのうちの少
なくとも一層が、前記フッ化ハロゲン化バリウム蛍光体
を含有する層であればよい。また、単層及び積層のいず
れの場合においても、前記フッ化ハロゲン化バリウム蛍
光体とともに別種の輝尽性蛍光体を併用することができ
る。
【0065】支持体は、従来の放射線写真法における増
感紙の支持体として用いられている各種の材料あるいは
放射線像変換パネルの支持体として公知の各種の材料か
ら任意に選ぶことができる。そのような材料の例として
は、セルロースアセテート、ポリエステル、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、トリアセ
テート、ポリカーボネート等のプラスチックフィルム、
アルミニウム箔、アルミニウム合金箔等の金属シート、
通常の紙、バライタ紙、レジンコート紙、二酸化チタン
等の顔料を含有するピグメント紙、ポリビニルアルコー
ル等をサイジングした紙等を挙げることができる。ただ
し、放射線像変換パネルの情報記録材料としての特性及
び取扱い等を考慮した場合、特に好ましい支持体の材料
はプラスチックフィルムである。このプラスチックフィ
ルムにはカーボンブラック等の光吸収性物質が練り込ま
れていてもよく、あるいは二酸化チタン等の光反射性物
質が練り込まれていてもよい。前者は高鮮鋭度タイプの
放射線像変換パネルに適した支持体であり、後者は高感
度タイプの放射線像変換パネルに適した支持体である。
【0066】公知の放射線像変換パネルにおいては、支
持体と蛍光体層との結合を強化するため、あるいは放射
線像変換パネルとしての感度もしくは画質(鮮鋭度、粒
状位)を向上させるために、蛍光体層が設けられる側の
支持体表面にゼラチン等の高分子物質を塗布して接着性
付与層としたり、あるいは二酸化チタン等の光反射性物
質からなる光反射層、もしくはカーボンブラック等の光
吸収性物質からなる光吸収層を設けることも行われてい
る。
【0067】さらに、特開昭58−200200号公報
に記載されているように、得られる画像の鮮鋭度を向上
させる目的で、支持体の蛍光体層側の表面(支持体の蛍
光体層側の表面に接着性付与層、光反射層あるいは光吸
収層等が設けられている場合には、その表面を意味す
る)には、微細な凹凸が均質に形成されていてもよい。
【0068】通常の放射線像変換パネルにおいては、支
持体に接する側とは反対側の蛍光体層の表面に、蛍光体
層を物理的及び化学的に保護するための透明な保護層が
設けられている。透明な保護層は、例えば、酢酸セルロ
ース、ニトロセルロース等のセルロース誘導体;あるい
はポリメチルメタクリレート、ポリビニルブチラール、
ポリビニルホルマール、ポリカーボネート、ポリ酢酸ビ
ニル、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー等の合成高分
子物質のような透明な高分子物質を、適当な溶媒に溶解
して調製した溶液を蛍光体層の表面に塗布する方法によ
り形成することができる。あるいはポリエチレンテレフ
タレート、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリア
ミド等から別に形成した透明な薄膜を蛍光体層の表面に
適当な接着剤を用いて接着する等の方法によっても形成
することができる。このようにして形成する透明保護膜
の膜厚は、約3乃至20μmとするのが望ましい。
【0069】なお、特開昭55−163500号公報、
特開昭57−96300号公報等に記載されているよう
に、放射線像変換パネルは着色剤によって着色されてい
てもよく、着色によって得られる画像の鮮鋭度を向上さ
せることができる。また特開昭55−146447号公
報に記載されているように、同様の目的でその蛍光体層
中に白色粉体が分散されていてもよい。
【0070】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明するが、本発明
はこれらの実施例に何ら限定をされるものではない。
【0071】(実施例1)300mlのセパラブルビー
カー中に4mol/リットルのBaI2水溶液150m
lを添加し、さらに、0.1mol/リットルのEuI
3溶液3ml及び水47mlを加え、撹拌しながら、6
mol/リットルのNH4F水溶液を50ml添加して
混合溶液を調製し、80℃に保持した。
【0072】調製した混合溶液に、固形物としてテフロ
ン(登録商標)沸石(ケムウエア社製:boiling
stone、材質や形状等の詳細は表1に示す)50
gを加え、セパラブルビーカー内をアスピレーターで排
気しながら2時間撹拌し反応させて、無機微粒子である
BaFI:Eu粒子(希土類賦活フッ化ヨウ化バリウム
粒子)の沈殿物を調製した。なお、本反応では、排気し
すぎると突沸するため、排気チューブ部に隙間を設け、
533hPa(40cmHg)の減圧条件として反応を
行った。
【0073】反応後、テフロン沸石を開口1mmのステ
ンレスメッシュで分離し、さらに、ろ紙を用いて吸引ろ
過により沈殿物を分離した。分離後の沈殿物にIPA
(イソプロピルアルコール)300mlを均一に散布し
てこれを洗浄し、150℃、2時間真空乾燥させて、B
aFI:Eu粒子を83g得た。
【0074】得られたBaFI:Eu粒子について、以
下のようにして、形状の観察、アスペクト比の測定
及び体積平均粒径の測定を行った。
【0075】形状の観察: BaFI:Eu粒子の形状の観察は、走査型電子顕微鏡
(JSM−5400LV,日本電子社製)を用いて、該
走査型電子顕微鏡により撮影された写真により行った。
該写真から、BaFI:Eu粒子の形状は、立方体であ
ることが観察された。
【0076】アスペクト比の測定: BaFI:Eu粒子のアスペクト比は、BaFI:Eu
粒子のそれぞれについて、a軸またはb軸に相当する辺
の長さ(L’)およびc軸に相当する辺の長さ(L)を
上記走査型電子顕微鏡(1000倍)により撮影された
写真(範囲:5cm×5cm)から求め、その比(L’
/L)をとり、これらの比の平均を算出して求めた。本
実施例では、BaFI:Eu粒子のアスペクト比は1で
あり、上記形状の観察で観察されたのと同様に、前記B
aFI:Eu粒子は立方体形状を有していることがわか
った。
【0077】体積平均粒径の測定:体積平均粒径の測
定は、レーザ回折式粒子サイズ分布測定装置(LA−5
00,堀場製作所製)により、体積基準モードにて行っ
た。得られたBaFI:Eu粒子の体積平均粒径は、
6.5μmであった。
【0078】特開平7−233369号公報の実施例1
に記載の方法により、14面体BaFBr:Eu粒子
(体積平均粒径が5μm程度)を調製した。このBaF
Br:Eu粒子と上記BaFI:Eu粒子とを、Brと
Iとの組成比(モル比)が85:15となるように、ミ
キサーで十分に混合し、混合物を調製した。このとき、
焼成時の焼結防止のためのアルミナ微粒子を0.5wt
%添加した。
【0079】調製した混合物100gを石英製ボートに
入れ、石英チューブ炉芯管を有する焼成炉を用いて焼成
した。焼成は、焼成温度850℃、焼成時間2時間、微
量酸素雰囲気中にて行った。焼成後、炉芯管をヒーター
部から引き出し、真空排気しながら室温まで冷却した。
冷却後、メタノールを100g加え、3時間撹拌後、目
開き20μmのナイロンメッシュを通してほぐし、分級
処理を行った。メッシュ通過品をろ紙により固液分離
し、温風乾燥して輝尽性蛍光体である希土類賦活フッ化
ハロゲン化バリウム蛍光体(BaF(Br
0.850.15):Eu粒子)を得た。
【0080】次に放射線変換パネルの製造過程を示す。
上記フッ化ハロゲン化バリウム蛍光体356g、ポリウ
レタン樹脂(住友バイエルウレタン(株)製、デスモラ
ック4125)15.8g、ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂2.0gを、溶媒としてのメチルエチルケトンに
添加し、プロペラミキサーによって分散し、粘度3.0
Pa・sの塗布液を調製した。この塗布液をドクターブ
レードを用いて下塗り付ポリエチレンテレフタレートフ
ィルム上に塗布した後、100℃で15分間乾燥させ
て、層厚200μmの蛍光体層を形成した。
【0081】次に、保護膜形成材料として、フッ素系樹
脂としてのフルオロオレフィン刧ビニルエーテル共重合
体(旭硝子(株)製ルミフロンLF100)70g、架
橋材としてのイソシアネート(住友バイエルウレタン
(株)製デスモジュールZ4370)25g、ビスフェ
ノールA型エポキシ樹脂5g、シリコーン樹脂微粉末
(KMP刧590、信越化学工業(株)製、体積平均粒
径1.2μm)10g、をトルエン刧イソプロピルアル
コール(1:1)混合溶媒に添加し、塗布液を調製し
た。この塗布液を上記のようにして予め形成しておいた
蛍光体層状にドクターブレードを用いて塗布し、次に、
120℃で30分間熱処理して熱硬化させるとともに乾
燥し、厚さ10μmの保護層を設けて、厚さ200μm
の輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネルを作製し
た。
【0082】(実施例2〜7)実施例1のテフロン沸石
の代わりに、表1に示す物質をそれぞれ使用した以外
は、実施例1と同様にして、無機微粒子を調製した。ま
た、実施例1と同様にして、蛍光体を調製した。前記無
機微粒子については、実施例1と同様に、形状の観察、
アスペクト比の測定及び体積平均粒径の測定を行った。
これらの結果を表2に示す。なお、実施例3により得ら
れた無機微粒子であるBaFI:Eu粒子の電子顕微鏡
写真(1000倍)を図1に示す。図1よりいずれの粒
子(結晶)も10μm以下であり、立方体形状となって
いることが確認された。また、それぞれの実施例で得ら
れた蛍光体を用い、実施例1と同様な条件で、放射線像
変換パネルを作製した。
【0083】(比較例1)セパラブルビーカーの代わり
に通常のビーカーを使用し、実施例1と同様にして混合
溶液を調製した。該混合溶液に固形物を加えずに、自然
蒸発(5時間)、により無機微粒子(BaFI:Eu粒
子)の沈殿物を調製した。実施例1と同様にして、沈殿
物を混合溶液から分離し、洗浄および乾燥して、無機微
粒子を調製した。また、実施例1と同様にして、蛍光体
を調製した。前記無機微粒子については、実施例1と同
様に、形状の観察、アスペクト比の測定及び体積平均粒
径の測定を行った。これらの結果を表2に示す。また、
それぞれの実施例で得られた蛍光体を用い、実施例1と
同様な条件で、放射線像変換パネルを作製した。
【0084】(比較例2)固形物を加えなかった以外は
実施例1と同様にして、無機微粒子を調製した。また、
実施例1と同様にして、蛍光体を調製した。前記無機微
粒子については、実施例1と同様に、形状の観察、アス
ペクト比の測定及び体積平均粒径の測定を行った。これ
らの結果を表2に示す。また、それぞれの実施例で得ら
れた蛍光体を用い、実施例1と同様な条件で、放射線像
変換パネルを作製した。
【0085】実施例1〜7及び比較例1、2で作製した
放射線像変換パネルについて、以下のようにして、画質
評価を行った。まず、それぞれの放射線像変換パネル上
に形成されている蛍光体層側からX線照射(管電圧:8
0kVp、線量:2.58×10-7(C/kg)(=1
mR))を行い、その後、660nmのレーザ光を照射
し、画像情報を読み取った。読み取った画像情報の画質
について、DQE(検出量子効率)を求め、比較例1の
値を100として、実施例1〜7及び比較例2を相対値
で比較することで評価した。結果を表2に示す。
【0086】なお、DQEは、「生涯テキスト1 診療
画像学I p.103〜104」(社団法人 日本放射
線技師会編(1991) マグブロス出版)に記載の計
算方法で算出した。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】実施例1〜7では、無機微粒子(希土類賦
活沃化フッ化バリウム粒子)の製造の際に、固形物を添
加しているため、立方体形状で、体積平均粒径が10μ
m以下の無機微粒子を調製することができた。また、該
無機微粒子を利用して作製した放射線像変換パネルの画
質特性(相対DQE)は、比較例1および2に比べ、優
れていた。
【0090】
【発明の効果】本発明の無機微粒子の製造方法によれ
ば、一定の形状を有し、粒径の小さい無機微粒子を製造
することができる。また、該無機微粒子を使用した希土
類賦活フッ化ハロゲン化バリウム蛍光体から製造される
放射線像変換パネルは、画質特性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例3で得られた本発明の無機微粒子の電
子顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C01F 11/22 C01F 11/22 C09K 11/00 C09K 11/00 E 11/08 11/08 A 11/61 CPF 11/61 CPF G01T 1/00 G01T 1/00 B G21K 4/00 G21K 4/00 M Fターム(参考) 2G083 AA03 BB01 DD02 DD11 EE02 4G076 AA04 AA05 AA06 AA07 BB04 BC02 BE11 BE12 CA21 DA11 4H001 CA02 CA08 CF01 XA09 XA53 XA56 YA58 YA59 YA60 YA62 YA63 YA65 YA66 YA67 YA68 YA69 YA70

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1種または2種以上の無機化合物を含有
    する溶液に、実質的に該溶液に不溶な固形物を添加し、
    前記溶液を結晶・沈殿化促進操作して結晶または沈殿物
    を生成させ、生成した結晶または沈殿物を分離すること
    を特徴とする無機微粒子の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記生成した結晶または沈殿物がフッ化
    ハロゲン化バリウムであることを特徴とする請求項1に
    記載の無機微粒子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記溶液が、希土類元素を少なくとも1
    種含有するBaI2水溶液及びフッ化物水溶液の混合さ
    れた状態となっており、Ba濃度3.0mol/リット
    ル以下であり、かつ、FとBaとのモル比(F/Ba)
    が1以下であることを特徴とする請求項1または2に記
    載の無機微粒子の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記フッ化物水溶液が、NH4F水溶液
    であることを特徴とする請求項3に記載の無機微粒子の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項3または4に記載の無機微粒子の
    製造方法により製造される無機微粒子であって、下記基
    本組成式(I)で表され、六面体形状で、かつ体積平均
    粒径が1〜10μmであることを特徴とする無機微粒
    子。 BaFI:xLn・・・(I) (式中、Lnは、Ce、Pr、Sm、Eu、Tb、D
    y、Ho、Nd、Er、Tm及びYbのうち少なくとも
    1種を表し、xは0<x≦0.2の数値を表す)
  6. 【請求項6】 アスペクト比が0.5〜2であることを
    特徴とする請求項5に記載の無機微粒子。
  7. 【請求項7】 少なくとも、請求項5または6に記載の
    無機微粒子を用いて製造されることを特徴とする希土類
    賦活フッ化ハロゲン化バリウム蛍光体。
  8. 【請求項8】 少なくとも、請求項5または6に記載の
    無機微粒子を用いて製造された希土類賦活フッ化ハロゲ
    ン化バリウム蛍光体を蛍光体層に含有してなることを特
    徴とする放射線像変換パネル。
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