JP2003043601A - X線画像記録方法 - Google Patents

X線画像記録方法

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JP2003043601A
JP2003043601A JP2001236454A JP2001236454A JP2003043601A JP 2003043601 A JP2003043601 A JP 2003043601A JP 2001236454 A JP2001236454 A JP 2001236454A JP 2001236454 A JP2001236454 A JP 2001236454A JP 2003043601 A JP2003043601 A JP 2003043601A
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phosphor
silver halide
ray
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recording method
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JP2001236454A
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English (en)
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Noriyuki Mishina
紀之 三科
Akihiro Maezawa
明弘 前澤
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Konica Minolta Inc
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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)
  • Conversion Of X-Rays Into Visible Images (AREA)
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  • Radiography Using Non-Light Waves (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、X線を用いて撮影を行なう
医療用X線撮影で用いる感度、鮮鋭性に優れた放射線増
感スクリーンと、放射線写真感光材料とを組み合わせた
X線画像記録方法を提供することであり、特に熱現像に
より像形成が可能な放射線写真要素とのユニットを利用
したX線画像記録方法を提供すること。 【解決手段】 ハロゲン化銀感光性層を有するハロゲン
化銀写真感光材料の該ハロゲン化銀感光性層面と、結晶
子サイズが10〜100nmであり、X線散乱に対して
等方性を有する蛍光体粒子を含有する蛍光体層を有する
放射線増感スクリーンの該蛍光体層面とを密着させた写
真組体に、X線発生装置を光源として露光することによ
り画像を得ることを特徴とするX線画像記録方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は医療診断を目的とす
るX線画像記録方法に関し、特に低管電圧のX線を用い
て撮影を行なう医療用X線撮影で用いる感度、鮮鋭性に
優れた放射線増感スクリーンと、熱現像により像形成が
可能な放射線写真要素とのユニットを利用したX線画像
記録方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】医療診断を目的とするX線撮影等の医療
用放射線撮影、物質の非破壊検査を目的とする工業用放
射線撮影等に用いられる手段としては、放射線増感スク
リーン(増感紙)と放射線写真感光材料を組み合わせた
放射線写真法や、放射線エネルギーを吸収した後、可視
光や赤外線などの電磁波で励起することにより蓄積して
いた放射線エネルギーを蛍光の形で放出する蛍光体(以
下、輝尽性蛍光体)を用いた放射線画像変換方法が挙げ
られる。
【0003】放射線写真法は、放射線を放射線増感スク
リーンの蛍光体に照射して励起することにより可視光に
変換せしめて放射線写真フィルムに放射線画像を形成せ
しめて診断、検査するものである。
【0004】近年、医療用放射線画像の高画質化が要求
されている。特に、乳ガンの診断、特に初期段階の乳ガ
ンの診断には、X線撮影マンモ用スクリーン・フィルム
システムが有用である。即ち、X線撮影マンモ用スクリ
ーン・フィルムシステムは、ガンの初期段階における数
百μm或いはそれ以下の大きさの微小石灰化を検出する
ことが可能である。この検出性を向上するため、マンモ
用スクリーン・フィルムシステムの鮮鋭性の向上が図ら
れてきている。即ち、高い鮮鋭性を得るために、ハロゲ
ン化銀写真乳剤がフィルム支持体の片面のみに塗布され
ている、いわゆる片面フィルムを用い、ハロゲン化銀写
真乳剤が塗布されている面をX線管球とは反対側に配置
し、X線用増感スクリーンをハロゲン化銀写真乳剤面に
密着させて写真組体を形成し、それを撮影するシングル
バック法と言われる乳房X線写真組体を用いて撮影が行
われる。更に、ここで用いられる片面フィルムのフィル
ムコントラストを上げ、更に現像処理においてもできる
だけ現像処理時間を長くしたり、高コントラストが得ら
れる専用の現像液を用いることにより、フィルムのコン
トラストを上げて使用されることが一般的に行われてい
る。
【0005】ここで、コントラストを上げることは鮮鋭
性を上げることができる反面、粒状性の劣化を招くとい
う矛盾を抱えている。即ち、乳ガン診断には微小石灰化
の観察と同時に淡い陰影の1cm程度の直径である腫瘍
も検出することが不可欠となる。鮮鋭性を上げると一般
的には粒状性の劣化に生じ、この結果、上記淡い陰影の
検出性が低下する。即ち、マンモグラフィにおいては、
粒状性の劣化のない鮮鋭性の向上技術の開発が望まれて
いる。
【0006】上述のフィルムの高コントラスト化に伴う
粒状性の劣化に対し、例えば、X線量を多く当てること
により改善することは可能であるが、これには患者の被
曝の観点から自ずと限度がある。一方、ハロゲン化銀写
真感光材料自身の粒状性を向上することも行われている
が、マンモ用のハロゲン化銀写真感光材料(以降、単に
感光材料或いはフィルムとも言う)で用いられているハ
ロゲン化銀粒子のサイズはすでにかなり小さく、この方
法では限界に近い状態である。
【0007】一方、上記課題に対し、放射線増感スクリ
ーンに関しては、以下のような検討がなされている。
【0008】放射線増感スクリーンは、基本構造とし
て、支持体と、その片面に設けられた蛍光体層及び保護
層とからなるものである。蛍光体層は、蛍光体粒子とそ
れを分散状態で含有支持する結合剤とからなるものであ
り、この蛍光体粒子は、X線等の放射線によって励起さ
れたときに高輝度の発光を示す性質を有するものであ
る。従って、被写体を通過した放射線の量に応じて蛍光
体は高輝度の発光を示し、放射線増感スクリーンの蛍光
体層の表面に接するように重ね合わせて置かれた放射線
写真フィルムは、この蛍光体の発光によっても感光する
ため、比較的少ない放射線量で放射線フィルムの十分な
感光を達成することができる。
【0009】一般に、撮影系によって得られる画像の画
質(鮮鋭度、粒状度等)は、その系に組み込まれた放射
線増感スクリーンの特性に起因するところが大であり、
放射線増感スクリーンとしては画質の優れた画像を与え
るものであることが望まれている。例えば、画像の鮮鋭
度を高めることを目的として、蛍光体層を構成する蛍光
体の粒子径がスクリーン表面側(蛍光を取り出す側)で
大きく、支持体側で小さくなるように蛍光体粒子を配列
させた放射線増感スクリーン(傾斜粒径構造の増感スク
リーン)が提案されている。このような放射線増感スク
リーンを用いたシステムでは、フィルムに近い側の蛍光
体の粒子径が相対的に大きいから高感度とすることがで
き、換言すれば、蛍光体の粒子径分布がその厚み方向に
均一である従来の放射線増感スクリーンと同一感度とし
た場合に、鮮鋭度を高めることができる。更に、支持体
側の粒子径の小さな蛍光体粒子群が反射層的役割を果た
すために蛍光の反射、散乱光路を短くして放射線増感ス
クリーン表面から取り出すことができ、このことによっ
ても鮮鋭度が高められる。
【0010】一方、従来から印刷製版や医療の分野で
は、放射線写真フィルムに代表される画像形成材料の湿
式処理に伴う廃液が作業性の上で問題となっており、近
年では環境保全、省スペースの観点からも処理廃液の減
量が強く望まれている。
【0011】処理廃液を出さないための技術としては、
熱現像処理法を用いて写真画像を形成する熱現像感光材
料が挙げられる。例としては米国特許第3,152,9
04号、同第3,457,075号、及びD.モーガン
(Morgan)とB.シェリー(Shely)による
「熱によって処理される銀システム(Thermall
y Processed Silver System
s)」(イメージング・プロセッシーズ・アンド・マテ
リアルズ(Imaging Processes an
d Materials)Neblette 第8版、
スタージ(Sturge)、V.ウォールワース(Wa
lworth)、A.シェップ(Shepp)編集、第
2頁、1969年)に開示されている。
【0012】このような熱現像感光材料は、還元可能な
銀源(例えば有機銀塩)、触媒活性量の光触媒(例えば
ハロゲン化銀)、及び還元剤を通常(有機)バインダー
マトリックス中に分散した状態で含有している。熱現像
感光材料は常温で安定であるが、露光後高温に加熱した
場合に還元可能な銀源(酸化剤として機能する)と還元
剤との間の酸化還元反応を通じて銀を生成する。この酸
化還元反応は露光で発生した潜像の触媒作用によって促
進される。露光領域中の有機銀塩の反応によって生成し
た銀は黒色画像を提供し、これは非露光領域と対照をな
し、画像の形成がなされる。
【0013】このような熱現像感光材料を上記放射線増
感スクリーンと組み合わせた写真組体に、前記放射線写
真法に放射線画像を形成せしめる放射線写真法が知られ
ている(特願平11−28586号)。しかし、前記熱
現像感光材料は感度が乏しく、従来の放射線増感スクリ
ーンでは満足な画質が得られない。このため、輝尽性蛍
光体を用いたシステムによりデジタル化された画像情報
に従い、高出力レーザーにより露光されて用いられてい
るのが現状であるが、デジタル化に伴う画像劣化により
充分に満足した画像が得られないのが実状である。
【0014】又、放射線写真法においては、低管電圧領
域でX線撮影を行う方法が知られているが、この方法で
は一般的に使用される管電圧領域と異なり、軟X線を利
用して画像情報が形成される。上記方法では、用いる軟
X線の線質により、放射線増感スクリーンに到達する画
像情報が非常に少なく、充分な分解能を得られないた
め、得られる画質性能を満足することが難しくなってい
る。
【0015】従来、低管電圧領域で用いられる放射線増
感スクリーンの蛍光体としては、主にGd22S:Tb
などが利用され、その蛍光体を高充填させ、かつ薄膜化
された蛍光体層を有するパネルが利用されてきた。一
方、前記蛍光体を用いたパネルの蛍光体層は、蛍光体粒
子形状が揃っていないため、パネル内の蛍光体がランダ
ムに存在し、層内での入射X線及び発光が不規則に散乱
し、高周波領域における分解能を低下させる要因とな
り、満足できる画像情報が得られないのが現状である。
更に、蛍光体粒子形状が不均一のため、蛍光体層の高充
填化が困難となり、輝度などの画質性能を充分に満足で
きるレベルにはなく、早急な改良が要望されている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑
みて為されたものであり、その目的は、医療用X線撮
影、特に低管電圧のX線を用いて撮影を行なう医療用X
線撮影で用いる感度、鮮鋭性に優れた放射線増感スクリ
ーンと、放射線写真感光材料とを組み合わせたX線画像
記録方法を提供することであり、特に熱現像により像形
成が可能な放射線写真要素とのユニットを利用したX線
画像記録方法を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は以下
の構成により達成される。
【0018】1.ハロゲン化銀感光性層を有するハロゲ
ン化銀写真感光材料の該ハロゲン化銀感光性層面と、結
晶子サイズが10〜100nmであり、X線散乱に対し
て等方性を有する蛍光体粒子を含有する蛍光体層を有す
る放射線増感スクリーンの該蛍光体層面とを密着させた
写真組体に、X線発生装置を光源として露光することに
より画像を得ることを特徴とするX線画像記録方法。
【0019】2.前記蛍光体粒子の平均粒径が、0.1
〜5.0μmであることを特徴とする1記載のX線画像
記録方法。
【0020】3.前記蛍光体粒子の発光波長が、550
〜900nmであることを特徴とする1又は2記載のX
線画像記録方法。
【0021】4.前記ハロゲン化銀写真感光材料が、支
持体上に有機銀塩、感光性ハロゲン化銀、銀イオンのた
めの還元剤及びバインダーを有する熱現像感光材料であ
ることを特徴とする1〜3の何れか1項記載のX線画像
記録方法。
【0022】本発明者らは、放射線増感スクリーンを介
し、X線照射による画像形成における画質劣化要因の解
析を進めた結果、鮮鋭性劣化の要因の一つが、放射線増
感スクリーンの蛍光体層に含有される蛍光体粒子の特定
の形状や層内での分布の不均一性により、入射するX線
の散乱を誘発し、その結果、高周波領域における分解能
を低下させることであることを突き止め、このX線の蛍
光体層内での散乱は、特にX線エネルギー強度が低い低
管電圧で撮影した際に顕著に現れることが判明した。本
発明者らは、上記解析した現象を踏まえ鋭意検討を行っ
た結果、上記課題は、結晶子サイズが10〜100nm
で、X線散乱に対し等方性を有する蛍光体粒子を用いる
ことにより達成することができることを見出し、更に本
発明が目的とする熱現像により像形成が可能な放射線写
真要素とのユニットを採用した場合においても、その効
果をより一層発揮させることができることも見出し、本
発明に至った次第である。
【0023】以下、本発明の詳細について説明する。本
発明の放射線増感スクリーン(以降、単にスクリーンと
もいう)は、スクリーンフィルムシステム(以降、SF
システムともいう)で用いられ、ハロゲン化銀感光材料
と写真組体を形成している。
【0024】一般に、単純X線撮影ではX線を効率よく
捕獲するため、2枚のスクリーンを1枚の両面にハロゲ
ン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀感光材料の前後に配
置させている。実際には、スクリーンを添付したフィル
ムカセッテにハロゲン化銀感光材料を装填し、X線撮影
に用いられる。特に、高性能で高画質が要求される乳房
X線撮影に使用されるSFシステムでは、1枚のスクリ
ーンとハロゲン化銀乳剤層を片面に設けた片面ハロゲン
化銀感光材料が使用される。
【0025】このとき、X線をハロゲン化銀感光材料側
から照射すると、蛍光体層表面近傍からの散乱成分の少
ない蛍光を効率的に利用できるため、鮮鋭性の良い画像
を得ることができる。
【0026】本発明の放射線増感スクリーンにおいて
は、支持体上に結晶子サイズが10〜100nmで、X
線散乱に対し等方性を有する蛍光体粒子を含有する蛍光
体層を有することが特徴である。
【0027】本発明の放射線増感スクリーンは、主に、
支持体と、その片面に設けられた蛍光体層及び保護層と
からなるものである。蛍光体層は、蛍光体粒子とそれを
分散状態で含有支持する結合剤とからなるものであり、
この蛍光体粒子は、X線等の放射線によって励起された
ときに高輝度の発光を示す性質を有する。
【0028】特に、蛍光体は発光輝度が高く、比較的少
ない放射線量で放射線画像を形成せしめるため、被検体
の放射線被曝線量を低減できるが、放射線増感スクリー
ンの発光強度や画像の鮮鋭度、粒状度等は、蛍光体粒子
の大小、蛍光体の分散性、蛍光体の均一性、充填率等に
左右される。
【0029】はじめに、本発明に係る蛍光体粒子につい
て以下説明する。本発明に係る蛍光体粒子は、結晶子サ
イズが10〜100nmで、X線散乱に対し等方性を有
することが特徴である。
【0030】本発明でいうX線散乱に対する等方性と
は、蛍光体に照射されたX線において、蛍光体に吸収さ
れた以外の透過、或いは反射されたX線が、蛍光体粒子
を中心として、同心円上に散乱される特性をいう。
【0031】本発明において、蛍光体粒子の結晶形状
は、特に制限はないが、好ましくは、平板より立方体、
立方体より14面体、14面体より球体の順番である。
特に、球形蛍光体粒子を用いることにより、X線に対す
る等方性に優れ、かつ後述の充填効率が上がるため好ま
しい。
【0032】又、本発明においては、蛍光体粒子の平均
粒径は0.1〜5.0μmであることが好ましく、更に
好ましくは0.1〜3.0μmである。蛍光体の粒径の
測定は、蛍光体を水中に適当な界面活性剤を使用し分散
させ、光散乱法粒子径測定装置(例えば、掘場製作所製
LA−910)を使用して粒径を測定して求めることが
できる。
【0033】前記蛍光体粒子の発光波長は550〜90
0nmであることが好ましく、更に好ましくは550〜
700nm程度である。
【0034】又、本発明に係る蛍光体粒子は、粒径分布
としてより単分散であることが好ましい。蛍光体の粒径
分布の測定方法は、コールターカウンタ等の容積解析
法、顕微鏡を用いた影像解析法、重力及び遠心による沈
降法、カスケードインパクタ及びサイクロン等の慣性力
法、コゼニー・カルマン法及びヌードセン法等の表面積
解析法、BET法、X線回折を用いたウィルソン法及び
流動法等の吸着法、光回折法等の電磁波の散乱を利用し
た方法などがある。
【0035】蛍光体粒子の粒径分布は、その変動係数で
定義することができ、球換算直径で表した粒径分布の標
準偏差(粒径分布の標準偏差)及び上記方法で求めた平
均粒径値(粒径平均値)から下式によって算出される値
である。
【0036】粒径分布の変動係数(%)=(粒径分布の
標準偏差/平均粒径)×100によって定義されるもの
である。
【0037】本発明においては、上記変動係数が20%
以下であることが好ましく、更に好ましくは16%以下
である。
【0038】本発明で用いる蛍光体粒子の組成として
は、蛍光体粒子が、希土類元素のNd、Gd、Tb、D
y、Ho、Er、Tm及びYbから選ばれる少なくとも
1つを含有することが好ましく、又蛍光体粒子が希土類
元素Euを2〜20質量%含有することが好ましく、更
に、蛍光体粒子が希土類元素Gdを40〜80質量%含
有することが好ましい。
【0039】本発明の放射線増感スクリーンに用いられ
る好ましい蛍光体としては、以下に示すものが挙げられ
る。
【0040】テルビウム賦活希土類酸硫化物系蛍光体
〔Y22S:Tb、Gd22S:Tb、La22S:T
b、(Y,Gd)22S:Tb、(Y,Gd)O2S:
Tb,Tm等〕、テルビウム賦活希土類燐酸塩系蛍光体
(YPO4:Tb、GdPO4:Tb、LaPO4:Tb
等)、テルビウム賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光
体(LaOBr:Tb、LaOBr:Tb,Tm、La
OCl:Tb、LaOCl:Tb,Tm、LaOCl:
Tb,Tm、LaOBr:Tb、GdOBr:Tb、G
dOCl:Tb等)、ツリウム賦活希土類オキシハロゲ
ン化物系蛍光体(LaOBr:Tm、LaOCl:Tm
等)、硫酸バリウム系蛍光体〔BaSO4:Pb、Ba
SO4:Eu2+、(Ba,Sr)SO4:Eu2+等〕、2
価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属燐酸塩系蛍光体
〔Ba3(PO42:Eu2+、Ba3(PO42:Eu2+
等〕、2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属弗化ハ
ロゲン化物系蛍光体〔BaFCl:Eu2+、BaFB
r:Eu2+、BaFCl:Eu 2+,Tb、BaFBr:
Eu2+,Tb、BaF2・BaCl2・KCl:Eu2+
(Ba,Mg)F2・BaCl2・KCl:Eu2+等〕、
沃化物系蛍光体(CsI:Na、CsI:Tl、Na
I、KI:Tl等)、硫化物系蛍光体〔ZnS:Ag、
(Zn,Cd)S:Ag、(Zn,Cd)S:Cu、
(Zn,Cd)S:Cu,Al等〕、燐酸ハフニウム系
蛍光体(HfP27:Cu等)、タンタル酸塩系蛍光体
〔YTaO4、YTaO4:Tm、YTaO4:Nb、
(Y,Sr)TaO4-x:Nb、LuTaO4、LuTa
4:Nb、(Lu,Sr)TaO4-x:Nb、GdTa
4:Tm、Gd23・Ta25・B23:Tb等〕、
但し本発明に用いられる蛍光体はこれらに限定されるも
のではなく、放射線の照射によって可視又は近紫外領域
の発光を示す蛍光体であれば使用できる。
【0041】本発明に係る蛍光体粒子の作製方法とし
て、所望の特性を達成できれば如何なる方法でも良い
が、好ましい作製方法の一例を以下に示す。
【0042】本発明においては、希土類元素を含む水溶
液に尿素を添加して塩基性炭酸塩を析出させ、得られた
沈殿を固液分離し、500℃以上で焼成して得られた結
晶子サイズ10〜100nmの微粒子を用いることが好
ましい。
【0043】まず、希土類元素を含む水溶液を80℃以
上、0.5〜5時間加熱し、過酸化水素と尿素を添加し
て更に加熱することにより、希土類元素の塩基性炭酸塩
の粒子を析出する。
【0044】析出した希土類元素の塩基性炭酸塩を固液
分離することで希土類元素の塩基性炭酸塩の結晶子サイ
ズ10〜100nmの蛍光体前駆体粒子が得られる。こ
の塩基性炭酸塩の粒子を更に空気中もしくは酸化性雰囲
気中で焼成することで希土類元素酸化物で結晶子サイズ
10〜100nmの蛍光体粒子を得ることができる。
尚、結晶子サイズは、X線回折で得られた回折ピークの
測定可能なピークを10〜15選択して測定する「ウィ
ルソン法」を用い算出することができる希土類元素の塩
基性炭酸塩の析出反応条件について、更に詳しく説明す
る。
【0045】水溶性の希土類元素の塩としては硝酸塩が
好ましい。過酸化水素の添加量は希土類イオンの濃度に
対して1/100〜30/100で添加することが好ま
しく、尿素の添加量は希土類の3〜5倍程度の濃度にな
ることが好ましい。
【0046】得られた希土類塩基性炭酸塩を500℃以
上で焼成すると塩基性炭酸塩の形状を保った結晶子サイ
ズ10〜100nmの希土類元素の酸化物微粒子が得ら
れる。
【0047】本発明においては、蛍光体層中の蛍光体の
充填率が60%以上であることが好ましく、更に好まし
くは65%以上である。尚、蛍光体層の製造上、蛍光体
層の充填率の上限は、好ましくは100%以下、更に好
ましくは85%以下である。
【0048】本発明に係る蛍光体層において、蛍光体の
充填率を上げるには、請求項1で規定する平均粒径を有
する蛍光体を用い、更に、蛍光体の結晶系を充填効率の
高いものとする、即ち、平板よりも立方体、立方体より
も14面体、14面体よりも球体とすることにより充填
率を上げることができる。
【0049】本発明において、蛍光体層中の蛍光体の充
填率測定は、放射線増感スクリーンの保護層を除去し、
有機溶剤等を使用して蛍光体層全体を剥離又は溶出し、
濾過及び乾燥した後、電気炉を使って600℃で1時間
焼成して表面の樹脂を除去した蛍光体の質量をM
(g)、溶出前の蛍光体層膜厚をP(cm)、溶出に使
用した蛍光体シート面積Q(cm2)、蛍光体比重をR
(g/cm3)としたとき、蛍光体充填率=〔M/(P
×Q×R)〕×100(%)によって算出して求めるこ
とができる。
【0050】本発明における放射線増感スクリーンの蛍
光体層には、蛍光染料もしくは蛍光顔料を用いることも
可能である。
【0051】蛍光体層は、前記蛍光体粒子と蛍光体染料
又は顔料を含有させる場合には、その粒子とを結合剤樹
脂を含有する有機溶剤溶液に分散させて分散液を調製し
た後、その分散液を支持体(支持体上に光反射層等の下
塗層が設けられている場合にはその下塗層)の上に直接
塗布し、次いで乾燥することにより形成することができ
る。
【0052】本発明の放射線増感スクリーンに使用でき
る結合剤としては、例えば、ポリウレタン、ポリエステ
ル、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重
合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニ
ル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロ
ニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラ
ール、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチ
レン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フ
ェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹
脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル系樹
脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。なかでもポ
リウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体、ポ
リビニルブチラール、ニトロセルロースを使用すること
が好ましい。これら結合剤の重量平均分子量は5,00
0〜200,000が特に好ましい。
【0053】中でも、本発明の放射線増感スクリーンで
より好ましく用いられる結合剤は、親水性極性基を有す
る樹脂を含有することができる。親水性極性基が蛍光体
表面に吸着することによって蛍光体粒子の分散性を良く
し、かつ蛍光体粒子の凝集を防止して塗布安定性、鮮鋭
性、粒状性を向上させる。
【0054】本発明の放射線増感スクリーンに好ましく
用いられる親水性極性基を有する樹脂のうち、特に好ま
しいのは−SO3M、−OSO3M、−COOM、−PO
(OM′)2及び−OPO(OM′)2(但し、M及び
M′は水素原子又はLi、K、Na等のアルカリ金属原
子)からなる親水性極性基(陰性官能基)を1種以上有
する樹脂である。
【0055】本発明における放射線増感スクリーンに用
いられる蛍光体層の膜厚は、20〜150μmであるこ
とが好ましく、更に好ましくは30〜120μmであ
る。
【0056】通常、放射線増感スクリーンには、後述す
る支持体に接する側と反対側の蛍光体層の表面を物理
的、化学的に保護するための保護膜が設けられる。この
ような保護膜は、本発明についても設置することが好ま
しい。保護膜の膜厚は一般に2〜20μmの範囲にあ
る。
【0057】保護層は、例えば、酢酸セルロース、ニト
ロセルロースなどのセルロース誘導体、或いはポリメチ
ールメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリカー
ボネート、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニルコ
ポリマーなどの合成高分子物質を適当な溶剤に溶解して
調製した溶液を蛍光体層の表面に塗布する方法により形
成することができる。これらの高分子物質は、単独でも
混合しても使用できる。又、保護層を塗布で形成する場
合は塗布の直前に架橋剤を添加することが望ましい。或
いはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミ
ドなどからなるプラスチックシートを接着剤を用いて接
着するなどの方法で形成することができる。
【0058】保護層としては、特に有機溶媒に可溶性の
弗素系樹脂を含む塗布膜により形成されることが好まし
い。弗素系樹脂とは、弗素を含むオレフィン(フルオロ
オレフィン)の重合体、若しくは弗素を含むオレフィン
を共重合体成分として含む共重合体をいう。弗素系樹脂
の塗布膜により形成された保護層は架橋されていてもよ
い。弗素系樹脂による保護層は、触手や感光材料などと
の接触で脂肪分、感光材料などから出る可塑剤などの汚
れが保護層内部に染み込みにくいので、拭き取りなどに
よって容易に汚れを除去することができる利点がある。
又、膜強度の改良等の目的で、弗素系樹脂と他の高分子
物質を混合してもよい。
【0059】又、保護層は蛍光体層上に形成された厚さ
10μm以下の合成樹脂層であることが好ましい。この
ような薄い保護層を用いることにより、特に放射線増感
スクリーンの場合は蛍光体からハロゲン化銀乳剤までの
距離が短くなるため、得られる放射線画像の鮮鋭度の向
上に寄与することになる。
【0060】本発明における放射線増感スクリーンに用
いられる支持体及び仮支持体としては、例えば、ガラ
ス、ウール、コットン、紙、金属などの種々の素材から
作られたものが使用され得るが、情報記録材料としての
取り扱い上可撓性のあるシート或いはロールに加工でき
るものが好ましい。この点から、例えばセルロースアセ
テートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレン
テレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイ
ミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポチカーボネ
ートフィルム等のプラスティックフィルム、アルミニウ
ム箔、アルミニウム合金箔などの金属シート、一般紙及
び例えば写真用原紙、コート紙、若しくはアート紙のよ
うな印刷用原紙、バライタ紙、レジンコート紙、ベルギ
ー特許784,615号に記載されているようなポリサ
ッカライド等でサイジングされた紙、二酸化チタンなど
の顔料を含むピグメント紙、ポリビニールアルコールで
サイジングした紙等の加工紙が特に好ましい。
【0061】蛍光体層は、上述した支持体上に、必要に
応じて下引層を施し、その上に蛍光体層塗布液を塗布、
乾燥して形成することも可能である。
【0062】蛍光体層塗布液には、該塗布液中における
蛍光体の分散性を向上させるための分散剤、又、形成後
の蛍光体層中における結合剤と蛍光体との間の結合力を
向上させるための可塑剤などの種々の添加剤が混合され
ていてもよい。そのような目的に用いられる分散剤の例
としては、フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親油
性界面活性剤などを挙げることができる。そして可塑剤
の例としては、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、
燐酸ジフェニルなどの燐酸エステル;フタル酸ジエチ
ル、フタル酸ジメトキシエチル等のフタル酸エステル;
グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチ
ルフタリルブチルなどのグリコール酸エステル;そし
て、トリエチレングリコールとアジピン酸とのポリエス
テル、ジエチレングリコールとコハク酸とのポリエステ
ルなどのポリエチレングリコールと脂肪族二塩基酸との
ポリエステルなどを挙げることができる。
【0063】上記のようにして調製された塗布液を、次
に支持体上の下塗層の表面に均一に塗布することにより
塗布液の塗膜を形成する。この塗布操作は、通常の塗布
手段、例えば、ドクターブレード、ロールコーター、ナ
イフコーターなどを用いることにより行なうことができ
る。次いで、形成された塗膜を徐々に加熱することによ
り乾燥して、下塗層上への蛍光体層の形成を完了する。
【0064】本発明で用いることのできるハロゲン化銀
写真感光材料としては、透明支持体の少なくとも一方の
面にハロゲン化銀感光性層を有するハロゲン化銀感光材
料、透明支持体の一方の面にのみハロゲン化銀感光性層
を有するハロゲン化銀感光材料或いは透明支持体を挟ん
で両面にハロゲン化銀感光性層を有するハロゲン化銀写
真感光材料の何れをも用いることができ、例えば、マン
モグラフィー用感光材料としては、CM−H(コニカ社
製)、UM−MA HC(富士写真フィルム社製)、M
in−R2000(イーストマン・コダック社製)など
を挙げることができる。
【0065】特に、本発明では、放射線写真要素(放射
線写真フィルムともいう)として支持体上に有機銀塩、
感光性ハロゲン化銀、銀イオンのための還元剤及びバイ
ンダーを有する熱現像感光材料と感度、鮮鋭性に優れた
本発明の放射線増感スクリーンとのユニットを採用した
場合においても優れた効果を奏する。
【0066】本発明の画像記録方法は、放射線を放射線
増感スクリーンの蛍光体に照射して励起することにより
可視光に変換せしめて放射線写真フィルムに放射線画像
を形成せしめて診断、検査する、SFシステムである。
【0067】SFシステムは放射線増感スクリーンと放
射線写真フィルムで構成される。一般に単純X線撮影で
はX線を効率良く捕獲するために、2枚の放射線増感ス
クリーンを1枚の両面乳剤放射線写真フィルムの前後に
配置する。
【0068】SFシステムを図1で説明する。図1はS
Fシステムの画像情報の流れを示す図である。SFシス
テムでは、被写体を通過したX線エネルギーが放射線増
感スクリーンの蛍光体によって一旦光に変換され、その
光によって放射線写真フィルムとして使用される素材の
ハロゲン化銀粒子が感光して潜像が形成される。そして
現像処理によってX線画像が形成される。画像診断に使
用された後は、放射線写真フィルム画像として画像がフ
ァイル等に保存される。即ち、SFシステムの1つの大
きな特徴は、X線の検知から表示、更に保存まで放射線
写真フィルムが一貫して使用されることである。
【0069】
【実施例】以下に、本発明を実施例を挙げて具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されるもの
ではない。
【0070】実施例1 《放射線増感スクリーンの作製》 〔蛍光体粒子の調製〕 (蛍光体粒子1の調製)イットリウムイオン、ガドリニ
ウムイオン、ユーロピウム濃度合計が0.05モル/リ
ットルで、Y/Gd/Euの水溶液中でのイオン含有量
比(モル比)が20/70/10の水溶液10Lを95
℃に加熱した。この水溶液に、過酸化水素濃度が0.0
1モル/リットルとなるように過酸化水素を添加し、尿
素を0.6モル/リットルとなるように添加し、95℃
で1時間加熱し、希土類元素として、Yが20質量%、
Gdが70質量%、Euが10質量%からなる塩基性炭
酸希土類化合物を調製した。
【0071】析出した上記希土類化合物をメンブランフ
ィルタにて分離し、700℃で2時間焼成して、結晶子
サイズが75nmで球状結晶の蛍光体粒子1を得た。 (蛍光体粒子2〜13の調製)上記蛍光体粒子1の調製
において、Y/Gd/Euの水溶液中でのイオン含有比
を変更し、表1に記載の希土類元素の含有量比(質量
%)とした以外は同様にして、結晶子サイズが75μm
で球状結晶の蛍光体粒子2〜13を調製した。 (蛍光体粒子14、15の調製)上記蛍光体粒子1の調
製において、反応温度及び反応時間を適宜変更した以外
は同様にして、結晶子サイズが120nm、200nm
の蛍光体粒子14、15を調製した。 (蛍光体粒子16、17の調製)上記蛍光体粒子1の調
製において、過酸化水素の添加量、尿素の添加量、反応
温度及び反応時間を適宜変更した以外は同様にして、結
晶形状として八面体である蛍光体粒子16、平板状形状
の蛍光体粒子17を調製した。 〔蛍光体層の形成〕 (蛍光体層形成用塗布液の調製) 蛍光体粒子(上記調製した蛍光体粒子1〜17) 98.5質量部 東洋紡製ポリエステル樹脂バイロン630 1.5質量部 有機溶媒:シクロヘキサノン 25.0質量部 上記の各添加物を混合した後、プロペラミキサーで分散
させて、粘度が25Pa・s(25℃)の蛍光体層形成
用塗布液1〜17を調製した。 (下塗層形成用塗布液の調製)下塗層形成用塗布液とし
て、軟質アクリル樹脂固形分90質量部、ニトロセルロ
ース50質量部をメチルエチルケトンに加え分散、混合
して粘度が3〜6Pa・s(25℃)の分散液を調製し
た。 (蛍光体層の塗布)カーボンブラックを練り込んだ厚さ
200μmのポリエチレンテレフタレート(支持体)を
ガラス板上に水平に置き、上記の下塗層形成用塗布液を
ドクターブレードを用いて支持体上に均一塗布した後、
25〜100℃に徐々に上昇させて塗布膜の乾燥を行
い、支持体上に下塗層を形成した(塗布膜の厚さ15μ
m)。この上に上記の蛍光体層形成用塗布液をドクター
ブレードを用いて膜厚100μmの厚みで均一に塗布乾
燥した。 (保護層の形成)片面にポリエステル系接着剤が塗布さ
れている厚さ8μmの透明ポリエチレンテレフタレート
フィルムを接着剤を下にして蛍光体層上に接着して保護
層を形成し、放射線増感スクリーン1〜17を作製し
た。
【0072】得られた放射線増感スクリーン1〜17の
詳細を以下の表1に示す。 《放射線増感スクリーンの評価》 (感度の測定)上記作製した各放射線増感スクリーンと
感光材料とからなる写真組体を形成し、シングルバック
法による感度の測定を行った。シングルバック法とは、
感光材料に対して放射線増感スクリーンをX線管から離
れた側(感光材料のバック面)に位置させて撮影する方
法である。
【0073】回転陽極X線管ロータノードDRX−B1
146B−Mo(東芝製)を三相電源28kVpで動作
させ、モリブデンターゲット管に1mmのベリリウム、
0.03mmのモリブデンを透過したX線を用い、各放
射線増感スクリーン及びハロゲン化銀写真感光材料とし
て、特願平11−196659号に記載の製造方法によ
り得られた熱現像感光材料からなる写真組体1〜17を
1.0秒で熱現像感光材料側から露光した。尚、X線管
と写真組体の距離は、66cmで行い、照射X線量調整
は、X線管と写真組体の距離を変化させて行った。次い
で、露光済み熱現像感光材料の熱現像処理を行った。
【0074】上記作製した各現像処理済み試料に形成さ
れた銀画像濃度を、濃度計PDA−65(コニカ社製)
を用いてビジュアルフィルターを選択して測定し、縦軸
濃度−横軸露光量(X線照射線量)からなるそれぞれ対
応する特性曲線1〜17を作製した。
【0075】次いで、上記特性曲線において、カブリ
(最小濃度)+1.00の濃度を得るに要するX線照射
線量の逆数を感度として定義し、写真組体1の感度を
1.00とし、それぞれの写真組体の感度を算出した。 (鮮鋭性の評価1)シングルバック法により、鮮鋭性の
評価を行った。
【0076】上記熱現像感光材料と放射線増感スクリー
ン1〜17とをそれぞれ組み合わせて、MTF測定用矩
形チャート(化成オプトニクス社製type9、スズ製
厚み40μm、空間周波数0〜10本)を熱現像感光材
料側に密着し、回転陽極X線管ロータノードDRX−B
1146B−Mo(東芝製)を三相電源28kVpで動
作させ、モリブデンターゲット管に1mmのベリリウ
ム、0.03mmのモリブデンを透過したX線を用いて
熱現像感光材料側から照射した。露光時間は1.0秒で
X線管と写真組体との距離は66cmで露光を行った。
【0077】次いで前記と同様の方法で現像処理を施し
た後、得られたチャート画像をマイクロデンシトメータ
ーPDM6(コニカ社製)を用いて走査による濃度測定
を行った。作製した濃度プロフィルの周波数ごとの矩形
波の山と谷の濃度を測定し、10本/mmの周波数にお
けるMTF値(%)を算出し、写真組体1のMTF値を
1.00とした相対値で表示した。尚、値が高いほど鮮
鋭度が優れていることを示している。 (鮮鋭性の評価2)両面に放射線増感スクリーンを配置
した写真組体の鮮鋭性評価を下記の方法で行った。
【0078】特開平6−118527号の実施例1記載
の方法に則り、鮮鋭性テストチャートを用いて鮮鋭性の
評価を行った。
【0079】X線管球としてマイクロフォーカスX線源
L6622−02(浜松ホトニクス社製)でタングステ
ンターゲットを用い、焦点径は40μmを選択し、撮影
管電圧は120kVpで、写真組体1〜17に、鮮鋭性
フンクテストチャートSMS5853(コニカメディカ
ル社製)を撮影した。尚、露光量はフンクテストチャー
トによりできる濃淡の平均濃度が0.80±0.02と
なるように各写真組体への露光量を適宜調整して行っ
た。現像処理は、前記感度測定で用いたのと同様の方法
にて行った。
【0080】以上により得られた現像済み試料につい
て、以下の基準に則り鮮鋭性の評価を行った。
【0081】 ランクA:ルーペで10LP/mmまで識別できる ランクB:ルーペで8LP/mmまで識別できる ランクC:ルーペで6LP/mmまで識別できる ランクD:ルーペで5LP/mmまで識別できる ランクE:ルーペで4LP/mmまで識別できる 上記ランクでは、Aが最も優れ、Eが最も劣っているこ
とを示し、ランクA〜Cの範囲が実用上問題のないレベ
ルと判断した。
【0082】以上により得られた各評価結果を、表1に
示す。
【0083】
【表1】
【0084】表1の結果より明らかなように、結晶子サ
イズが10〜100nmで、X線散乱に対し等方性を有
する、即ち、球形の蛍光体粒子を含有する蛍光体層を有
する放射線増感スクリーンを用いた場合、感度が乏しい
熱現像感光材料に対しても十分な感度と鮮鋭性が得られ
ることが判る。更に、蛍光体の組成として、希土類元素
を含有している放射線増感スクリーンは、その効果がよ
り一層発揮されていることが判る。
【0085】ここで、本発明のX線画像記録方法と、以
下に示す他のX線画像記録方法をシステムとして大別
し、画質と環境適性の面で相対的に比較し、以下の表2
に示す。 《システム大別》 ・本発明のスクリーンと熱現像感光材料:実施例1の写
真組体1〜13使用 ・従来のスクリーンと熱現像感光材料:実施例1の写真
組体16使用 ・従来のスクリーンと液現像感光材料:実施例1のスク
リーン16と、液体現像処理タイプの感光材料LP−6
33(コニカ社製)使用 ・輝尽性蛍光体システム:輝尽性蛍光体を含有する放射
線画像変換パネルを使用 《システムの評価》 (画質)画質は感度(粒状性)と鮮鋭性の観点から判断
した。
【0086】 ◎・・・診断上、十分な特性を有する ○・・・問題なく診断が可能である △・・・診断が困難である ×・・・診断上、非常に困難である (環境適性)環境適性は、廃液について以下の点で判断
した。
【0087】 ○・・・画像出力時の廃液がフリーである ×・・・画像出力時に廃液を伴う
【0088】
【表2】
【0089】表2から明らかなように、本発明のX線画
像記録方法である、感度、鮮鋭性に優れた放射線増感ス
クリーンと、放射線写真感光材料、特に熱現像感光材料
とを組み合わせた写真組体を利用したシステムは、他の
システムに対して画質、環境適性共に優れていることが
判る。
【0090】
【発明の効果】本発明によれば、X線を用いて撮影を行
なう医療用X線撮影で用いる感度、鮮鋭性に優れた放射
線増感スクリーンと、放射線写真感光材料とを組み合わ
せたX線画像記録を採用することによって、良好な画質
と、環境適性を確保できるという顕著に優れた効果を奏
する。特に、放射線写真感光材料が感度の乏しい熱現像
感光材料であってもこの効果は充分であり、実用に適し
た満足な画質が得られるのみならず、液体現像処理に対
応したハロゲン化銀写真感光材料にはない環境適性の面
でも顕著である。
【図面の簡単な説明】
【図1】SFシステムの画像情報の流れを示す図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G083 AA02 BB03 CC02 DD11 DD13 DD17 EE02 EE03 2H013 AA30 2H016 AA03 2H123 AB00 AB03 AB23 AB28 CB00 CB03 EA01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハロゲン化銀感光性層を有するハロゲン
    化銀写真感光材料の該ハロゲン化銀感光性層面と、結晶
    子サイズが10〜100nmであり、X線散乱に対して
    等方性を有する蛍光体粒子を含有する蛍光体層を有する
    放射線増感スクリーンの該蛍光体層面とを密着させた写
    真組体に、X線発生装置を光源として露光することによ
    り画像を得ることを特徴とするX線画像記録方法。
  2. 【請求項2】 前記蛍光体粒子の平均粒径が、0.1〜
    5.0μmであることを特徴とする請求項1記載のX線
    画像記録方法。
  3. 【請求項3】 前記蛍光体粒子の発光波長が、550〜
    900nmであることを特徴とする請求項1又は2記載
    のX線画像記録方法。
  4. 【請求項4】 前記ハロゲン化銀写真感光材料が、支持
    体上に有機銀塩、感光性ハロゲン化銀、銀イオンのため
    の還元剤及びバインダーを有する熱現像感光材料である
    ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載のX線
    画像記録方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1571490A1 (en) * 2004-03-04 2005-09-07 Fuji Photo Film Co., Ltd. Photosensitive thermal development recording material, its case, and developing method and production process of photosensitive thermal recording material

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1571490A1 (en) * 2004-03-04 2005-09-07 Fuji Photo Film Co., Ltd. Photosensitive thermal development recording material, its case, and developing method and production process of photosensitive thermal recording material

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