JP2003262638A - 金属コロイド粒子 - Google Patents
金属コロイド粒子Info
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Abstract
的測定用標識剤及びタンパク質染色剤として好適な金属
コロイド粒子を提供することを目的とする。 【解決手段】 溶媒中にて塩化金酸を還元して金コロイ
ド粒子を生成せしめた後、該金コロイド粒子の存在下で
塩化白金酸を還元することによって、金コロイド粒子の
表面に白金を担持させてなる金属コロイド粒子、およ
び、当該金属コロイドによって標識された抗体または抗
原を用いる免疫学的測定法および測定キット。
Description
識剤及びタンパク質染色剤として好適な金属コロイド粒
子およびその製造方法に関し、さらに詳細には、該金属
コロイド粒子を用いた標識抗体または抗原、ならびに、
該標識抗体または抗原が組み込まれた免疫学的測定用キ
ットおよび免疫学的測定法に係る。
法(ICA法)は、その高い特異性に加え、簡易、迅速
を特徴とする臨床診断法として実用化されている。イム
ノクロマト法は、操作が煩雑で重厚な設備、機器などを
必要とせず、軽便な器具を使用した簡便な操作により、
目視だけでも被検出物の有無を判定できる点で好都合で
ある。
用いられているが、その検出感度は、一般に、細菌の場
合、105〜107CFU/mlである。細菌の検出感
度は遺伝子増幅法(PCR法)によれば103〜104
CFU/mlまで達成されている。しかしながら、遺伝
子増幅法は重厚な設備、機器および煩雑な操作が必要で
あり、しかも、検出までに数時間という長時間を要す
る。
測定法による検出も行われているが、その感度は、最も
高感度の酵素免疫定量法(ELISA法)でも104〜
10 5PFU/mlである。感染可能なウイルスの濃度
は103PFU/mlであるため、早期の診断感染予防
には、現行の10倍から100倍の感度を有する診断法
の開発が求められている。
法(ICA法)では、細菌やウイルスを特異的に検出す
るために、金コロイドで標識された抗体を用いることが
一般的である。しかしながら、この金コロイド標識を用
いたイムノクロマト法の感度は、上記感染症診断に要求
される感度を達成するためには必ずしも十分とは言え
ず、一層高感度な標識が求められている。タンパク質の
染色に従来使用されている白金コロイド粒子を抗体の標
識に用いることも考えられるが、イムノクロマト法にお
いては白金コロイド粒子の平均粒径が小さいために発色
が不充分であり、実用には適さないとされていた。
度で、免疫学的測定用標識剤及びタンパク質染色剤とし
て好適な金属コロイド粒子を提供することを目的とす
る。
の下に鋭意研究した結果、金コロイド粒子の表面に白金
微粒子を担持させることにより、金コロイドよりも一層
高感度で、免疫学的測定用標識剤及びタンパク質染色剤
として好適な金属コロイド粒子が得られることを見出
し、本発明を完成するに至った。
子の表面に白金を担持させてなる金属コロイド粒子が提
供される。本発明では、金コロイド粒子の表面が部分的
にまたは全体的に白金で被覆されている態様も包含さ
れ、したがって、上記「担持」の用語は、この白金で被
覆された態様も含むものである。
金コロイド粒子は、粒径が最大で32オングストローム
程度であったが、本発明の金属コロイド粒子は、金コロ
イド粒子の表面に白金を担持させた構成であるため、従
来の白金コロイド粒子よりも見かけ上大きな粒径を有す
る白金コロイド粒子として機能するため、視認性に優
れ、しかも、その表面は良好な白金活性を維持してい
る。
媒中にて塩化金酸を還元して金コロイド粒子を生成せし
め(以下「第1段還元」と記す)、しかる後、溶媒中に
て該金コロイド粒子の存在下で塩化第二白金酸(H
2[PtCl6](以下「塩化白金酸」と記す)を還元
する(以下「第2段還元」と記す)ことによって製造す
ることができる。とりわけ、還元剤を含む溶媒中にて塩
化金酸を還元して適当な粒径まで金コロイド粒子を生成
せしめた後、直ちに前記溶媒中に適量の塩化白金酸を添
加して還元させることにより、前記溶媒中の金コロイド
粒子の表面に白金または白金微粒子を担持させることが
好ましい。
びアスコルビン酸ナトリウムなどが好適に使用されるが
他の化合物を使用することを妨げない。
超純水や、イオン交換水を数回蒸留したものを使用する
ことが好ましい。また、第1段還元及び第2段還元の何
れも、溶媒を沸騰させるか、または、溶媒に窒素ガスな
どの不活性気体を吹き込んで70℃付近に維持して、溶
媒から溶存酸素を除去した状態で行うことが好ましい。
前の金コロイド粒子の平均粒径は、好ましくは、30〜
100nm(ナノメートル)程度とされ、さらに好まし
くは、40〜80nm(ナノメートル)程度とされる。
金コロイド粒子の平均粒径が過小の場合、白金層が厚く
なり触媒活性が低下する。また、過大の場合には金コロ
イド粒子表面が安定化し、白金の担持が不可能となる。
径は、実用上、通常は、50〜150nmナノメートル
程度とされ、さらに好ましくは、60〜120nm(ナ
ノメートル)程度とされる。金属コロイド粒子の平均粒
径が過小の場合、抗体の標識が十分に行えなくなり抗体
の機能が失われ、また、過大の場合、メンブレンフィル
ターを目詰まりさせることになる。
属コロイド粒子のそれぞれの平均粒径は、いわゆる重力
的光散乱法により求められ、具体的には、各コロイド粒
子をゾル状態のままで14000〜5530000×g
(重力の大きさ)にて回転せしめた超遠心分離機にかけ
た際のコロイド粒子の沈降速度から求められる。なお、
このようにして求められた金粒子および白金粒子のそれ
ぞれの平均粒径は電子顕微鏡観察により直接測定された
金粒子および白金微粒子のそれぞれの平均粒径と実質的
に一致する。
びに担持される白金の量及び厚さは、第1段還元および
第2段還元のそれぞれにおける塩化金酸および塩化白金
酸の添加量、還元剤の濃度、還元時間などの各種条件を
変更することに適宜調節できる。還元剤の濃度は、第1
段還元及び第2段還元の何れにおいても、溶媒全量に対
して、0.02〜0.5重量/容量%(以下、特に断らな
い限り、「%」は「重量/容量%(w/v%)」を意味す
る)とすることが好ましい。
溶媒全量に対して、0.001〜0.05%とすることが
好ましい。第2段還元における塩化白金酸の添加量は、
第1段還元で添加した塩化金酸100重量部に対して、
100〜500重量部とすることが好ましい。還元時間
は、一般に、第1段還元及び第2段還元のそれぞれにお
いて、添加された全ての金コロイド及び白金コロイドが
還元される時間に設定することが好ましいが、これに限
定されるものではない。
コロイド粒子と同様に、タンパク質に吸着して集積する
ことにより黒色を呈するので、各種タンパク質の染色剤
として使用でき、また、通常の金コロイド粒子と同様
に、免疫学的測定用標識剤として用いることができる。
本発明の金属コロイド粒子は、表面に白金が存在するた
め、パーオキシダーゼ活性など、高い酸化還元触媒活性
を有する。したがって、酸化還元反応によって呈色する
発色剤と本発明の金属コロイド粒子とを併用することに
よって、タンパク質を高感度で検出できる。かかる発色
剤としては、硫酸銅などの銅(II)イオンや、3,
3’,5,5’−テトラメチルベンチジン(TMBZ)
などが好適である。本発明の金属コロイド粒子は、TM
BZの存在下では濃厚な青色に変色し、また、酸化銅や
硫酸銅などの銅(II)イオンの存在下ではさらに濃厚
な黒色を呈する。
抗原および抗体のそれぞれを標識することができ、イム
ノクロマト法やその他の各種免疫学的測定法に使用でき
る。また、このようにして標識された抗原および抗体
は、イムノクロマト法測定キットやその他の各種免疫学
的測定キットに組み込むことができる。
調製] (1)使用するガラス器具の全てを王水で洗浄した。 (2)390mlの超純水をフラスコに入れて沸騰さ
せ、この沸騰水に塩化金酸水溶液(水溶液1リットル当
たり金として1g、片山科学工業株式会社製)30ml
を加え、その後、1重量%クエン酸ナトリウム水溶液6
0mlを加え、6分45秒後に、塩化白金酸水溶液(水
溶液1リットル当たり白金として1g、和光純薬工業株
式会社製)30mlを加えた。塩化白金酸水溶液添加か
ら5分後に1重量%クエン酸ナトリウム水溶液60ml
を加え、4時間、還流を行い、白金微粒子被覆金コロイ
ド懸濁液を得た。 (3)得られた白金微粒子被覆金コロイド懸濁液1ml
を13800×gで25分間遠心分離を行い、遠心分離
後、上清を除き、残った沈殿に超純水を0.5ml加
え、攪拌後、超音波で沈殿を再懸濁せしめ、この懸濁液
を200mM炭酸カリウム水溶液でpH9.0に調整
し、これに超純水を加えて全量を100mlとして白金
微粒子被覆金コロイド再懸濁液を得た。この再懸濁液中
の白金微粒子被覆金コロイドの平均粒径を、動的光散乱
式粒径分布測定装置LB−500((株)堀場製作所
製)によって測定したところ、90ナノメートル(n
m)であった。
製] 抗ヒトCRP(C反応性蛋白、C−reactive
protein)マウス単クローン抗体(株式会社日本
バイオテスト研究所製)の蛋白換算重量1μg(以下、
抗体の重量を示すとき、その蛋白換算重量を示す)と、
実施例1で得られた白金微粒子被覆金コロイド再懸濁液
1mlとを混合し、室温で2分間静置して、この抗体の
全量を該再懸濁液中の白金微粒子被覆金コロイド粒子
(以下「白金−金コロイド粒子」と記す)と結合させ
た。
%ウシ血清アルブミン(以下「BSA」と記す)水溶液
を加えて、上記抗体に結合せしめられた白金−金コロイ
ド粒子の表面をブロックした。この懸濁液を553×g
で25分間遠心分離して、白金−金コロイド粒子の表面
がBSAでブロックされた白金−金コロイド標識抗体を
沈殿せしめて集めた。この白金−金コロイド標識抗体
を、0.05%ツイーン(Tween)20および1%
BSAを含有する50mMトリス塩酸塩緩衝液(pH
7.4)に再懸濁して、精製白金−金コロイド標識抗体
懸濁液を得た。
ップの作成] 図1に示されるイムノクロマト法テストストリップを作
成した。すなわち、幅5mm、長さ36mmの細長い帯
状のニトロセルロース製メンブレンフィルターをクロマ
トグラフ媒体のクロマト展開用膜担体3として用意し
た。該膜担体のクロマト展開始点側の末端から7.5m
mの位置に、抗ヒトCRPマウス単クローン抗体6.3
mg/mlを含有した抗体液0.5μgをスポット状に
塗布して、これを室温で乾燥して捕捉部位31とした。
この捕捉部位31が発色を観察する判定ゾーンとされ
る。なお、この抗ヒトCRPマウス単クローン抗体は、
免疫反応において、抗原であるヒトCRPに対する結合
部位が、実施例2の白金−金コロイド標識抗体の調製に
使用された抗体とは異なる抗体をいう。 (2)また、5mm×15mmの帯状のガラス繊維不織
布に、実施例2で得られた精製白金−金コロイド標識抗
体懸濁液37.5lμlを含浸せしめ、これを室温で乾
燥させて精製白金−金コロイド粒子標識抗体含浸部材2
とした。
5、上記の精製白金−金コロイド標識抗体含浸部材2、
クロマト展開用膜担体3および吸収用部材4である帯状
の濾紙のそれぞれを、図1に示されるように、帯状の粘
着シート1の粘着面の所定位置に貼着してイムノクロマ
ト法テストストリップとした。すなわち、このクロマト
展開用膜担体3を粘着シート1の中程に貼着し、該膜担
体3のクロマト展開の開始点側(すなわち図1の左側、
以下「上流側」と記す、また、その逆の側、すなわち図
1の右側を、以下「下流側」と記す)の末端の上に、精
製白金−金コロイド粒子標識抗体含浸部材2の下流側末
端を重ね合わせて連接するとともに、この含浸部材2の
上流側部分を粘着シート1に貼着し、該含浸部材2の上
面に試料添加部材5の下流側部分を載置するとともに、
該試料添加部材5の上流側部分を粘着シート1に貼着し
た。さらに、膜担体3の下流側部分の上面に吸収用部材
4の上流側部分を載置するとともに、該吸収用部材4の
下流側部分を粘着シート1に貼着せしめて、イムノクロ
マト法テストストリップを得た。
たはシリコンコーティングした。 (2)99mlの超純水をフラスコに入れて沸騰させ、
この沸騰水に塩化金酸(片山科学工業株式会社製)水溶
液(水溶液1リットル当たり金として5.8g)1ml
を加え、さらにその1分後に、1重量%クエン酸ナトリ
ウム水溶液1.5mlを加え、5分間還流を行い、その
後、室温に放置して冷却し、懸濁液を得た。次いで、こ
の懸濁液を200mM炭酸カリウム水溶液でpH9.0
に調整し、これに超純水を加えて全量を100mlとし
て金コロイド懸濁液を得た。
の金コロイド懸濁液を用いた以外、実施例2と同様にし
て、金コロイド標識抗体を得た。
ップの作成] 白金−金コロイド標識抗体の代わりに比較例2の金コロ
イド標識抗体を使用した以外、実施例3と同様にして、
イムノクロマト法テストストリップを得た。
トストリップを使用して、抗原であるリコンビナントC
RPを測定した。すなわち、リコンビナントCRP(オ
リエンタル酵母工業株式会社製)を、0.25%ツイー
ン(Tween)20および0.25%BSAを含む
0.1mMリン酸緩衝液(pH7.4)と混合し、リコ
ンビナントCRPの濃度が15.6、31.3、62.
5、125および250pg(ピコグラム)/mlの供
試液を調製した。これらの供試液100μlを、上記の
イムノクロマト法テストストリップの試料添加部材5上
に滴下して膜担体3に展開せしめ、15分後に捕捉部位
31の発色の濃度を肉眼で観察した。ブランクは0.2
5%ツイーン(Tween)20および0.25%BS
Aを含む0.1mMリン酸緩衝液(pH7.4)とし
た。結果を表1に示す。発色濃度の判定は、下記4段階
基準に従った。
ド粒子で標識された抗体を使用した場合には、抗原であ
るリコンビナントCRPを15.6pg/mlまで測定
できるのに対し、金コロイド粒子で標識された抗体を使
用した場合には抗原であるリコンビナントCRPを25
0pg/mlまでしか測定できないことが判る。したが
って、本発明の白金−金コロイド粒子は、従来の金コロ
イド粒子よりも約16倍の感度を有する。
ト法による測定] 試験例1における展開後のイムノクロマト法テストスト
リップの捕捉部位31に3,3’,5,5’−テトラメ
チルベンチジン(TMBZ)(ペルオキシダーゼ用発色
キットST(株式会社タウンズ製))を1μl加え、1
0分間静置後に青色の発色の濃度を肉眼で観察した。発
色の濃度の判定は、下記5段階基準に従った。
標識された抗体とTMBZを併用した場合には、抗原で
あるリコンビナントCRPを3.91pg/mlまで測
定できることが示された。したがって、本発明の白金−
金コロイド粒子に発色剤を併用することによって、従来
の金コロイド粒子の約60倍以上も感度を向上できる。
質染色剤および免疫学的測定用標識剤として有用であ
り、特に、イムノクロマト法の標識剤として用いた場
合、従来の金コロイドの10倍以上の感度が得られる。
さらに、本発明の金属コロイド粒子は、白金同様の酸化
還元触媒活性を有するので、酸化還元反応によって呈色
する発色剤と併用することにより、従来の金コロイドの
60倍以上の感度が得られる。
リップの平面図、bはaで示されたクロマト法テストス
トリップの縦断面図。
Claims (11)
- 【請求項1】 金コロイド粒子の表面に白金を担持させ
てなる金属コロイド粒子。 - 【請求項2】 金属コロイド粒子の平均粒径が50〜1
50ナノメートルである請求項1に記載の金属コロイド
粒子。 - 【請求項3】 金コロイド粒子の平均粒径が30〜10
0ナノメートルである請求項1記載の金属コロイド粒
子。 - 【請求項4】 溶媒中にて塩化金酸を還元して金コロイ
ド粒子を生成せしめた後、該金コロイド粒子の存在下で
塩化白金酸を還元することを特徴とする金属コロイド粒
子の製造方法。 - 【請求項5】 請求項1に記載の金属コロイド粒子を含
有するタンパク質染色剤。 - 【請求項6】 請求項1に記載の金属コロイド粒子を含
有する免疫学的測定用標識剤。 - 【請求項7】 請求項1に記載の金属コロイド粒子によ
って標識された抗体または抗原。 - 【請求項8】 請求項7に記載の抗体または抗原を備え
る免疫学的測定用キット。 - 【請求項9】 請求項7に記載の抗体または抗原を使用
することを特徴とする免疫学的測定法。 - 【請求項10】 免疫学的測定がイムノクロマト法に基
づくものである請求項8に記載の免疫学的測定用キッ
ト。 - 【請求項11】 免疫学的測定法がイムノクロマト法で
ある請求項9に記載の免疫学的測定法。
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