JP2000268639A - 透明導電性基材とその製造方法および透明導電性基材の製造に用いられる透明導電層形成用塗液とその製造方法 - Google Patents

透明導電性基材とその製造方法および透明導電性基材の製造に用いられる透明導電層形成用塗液とその製造方法

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JP2000268639A
JP2000268639A JP11366343A JP36634399A JP2000268639A JP 2000268639 A JP2000268639 A JP 2000268639A JP 11366343 A JP11366343 A JP 11366343A JP 36634399 A JP36634399 A JP 36634399A JP 2000268639 A JP2000268639 A JP 2000268639A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐候性、耐紫外線性、導電性等に優れ、製造
コスト低減が図れる透明導電性基材と製造方法および透
明導電層形成用塗液と製造方法を提供する。 【解決手段】 透明基板およびこの透明基板上に順次形
成された透明導電層と透明コート層を備える透明導電性
基材であって、上記透明導電層が金および/または白金
と銀とで構成されかつ金および/または白金を50重量%
を超え95重量%の範囲で含有する平均粒径1〜100nmの
貴金属微粒子と、バインダーマトリックスとを主成分と
することを特徴とする。上記透明導電層形成用塗液は、
溶媒およびこの溶媒に分散されかつ銀微粒子の表面に金
若しくは白金単体または金と白金の複合体がコーティン
グされると共に金および/または白金を50重量%を超え
95重量%の範囲で含有する平均粒径1〜100nmの貴金属
コート銀微粒子を主成分とすることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明基板とこの上
に順次形成された透明導電層と透明コート層を備え、例
えばCRT等表示装置の前面板等に適用される透明導電
性基材に係り、特に、耐候性、耐紫外線性、導電性等に
優れしかも製造コストの低減が図れる透明導電性基材と
その製造方法および透明導電性基材の製造に用いられる
透明導電層形成用塗液とその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年のオフィスオートメーション(O
A)化によりオフィスに多くのOA機器が導入され、O
A機器のディスプレイと向き合って終日作業を行わねば
ならないという環境が最近珍しくない。
【0003】ところで、OA機器の一例としてコンピュ
ータの陰極線管(CRT)等に接して仕事を行う場合、
表示画面が見やすく、視覚疲労を感じさせないことの外
に、CRT表面の帯電によるほこりの付着や電撃ショッ
クがないこと等が要求されている。更に、これ等に加え
て最近では、CRTから発生する低周波電磁波の人体に
対する悪影響が懸念され、このような電磁波が外部に漏
洩しないことがCRTに対して望まれている。
【0004】そして、上記電磁波は偏向コイルやフライ
バックトランスから発生し、テレビジョンの大型化に伴
って益々大量の電磁波が周囲に漏洩する傾向にある。
【0005】ところで、磁界の漏洩は偏向コイルの形状
を変えるなどの工夫で大部分を防止することができる。
一方、電界の漏洩もCRTの前面ガラス表面に透明導電
層を形成することにより防止することが可能である。
【0006】このような電界の漏洩に対する防止方法
は、近年、帯電防止のために取られてきた対策と原理的
には同一である。しかし、上記透明導電層は、帯電防止
用に形成されていた導電層よりもはるかに高い導電性が
求められている。すなわち、帯電防止用には表面抵抗で
108Ω/□程度で十分とされているが、漏洩電界を防
ぐ(電界シールド)ためには、少なくとも106Ω/□
以下、好ましくは103Ω/□以下である低抵抗の透明
導電層を形成する必要がある。
【0007】そこで、上記要求に対処するため、従来よ
りいくつかの提案がなされているが、その中でも低コス
トでかつ低い表面抵抗を実現できる方法として、導電性
微粒子をアルキルシリケート等の無機バインダーと共に
溶媒中に分散した透明導電層形成用塗液を、CRTの前
面ガラスに塗布・乾燥後、200℃程度の温度で焼成す
る方法が知られている。
【0008】そして、この透明導電層形成用塗液を用い
た方法は、真空蒸着やスパッタ法等の他の透明導電層の
形成方法に比べてはるかに簡便であり、製造コストも低
く、CRTに処理可能な電界シールドとして極めて有利
な方法である。
【0009】この方法に用いられる上記透明導電層形成
用塗液として、導電性微粒子にインジウム錫酸化物(I
TO)を適用したものが知られている。しかし、得られ
る膜の表面抵抗が104〜106Ω/□と高いため、漏洩
電界を十分に遮蔽するには電界キャンセル用の補正回路
が必要となることから、その分、製造コストが割高とな
る問題があった。一方、上記導電性微粒子に金属粉を用
いた透明導電層形成用塗液では、ITOを用いた塗布液
に比べ、若干、膜の透過率が低くなるものの、102
103Ω/□という低抵抗膜が得られる。従って、上述
した補正回路が必要なくなるためコスト的に有利とな
り、今後主流になると思われる。
【0010】そして、上記透明導電層形成用塗液に適用
される金属微粒子としては、特開平8−77832号公
報や特開平9−55175号公報等に示されるように空
気中で酸化され難い、銀、金、白金、ロジウム、パラジ
ウム等の貴金属に限られている。これは、貴金属以外の
金属微粒子、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等が適用
された場合、大気雰囲気下でこれ等金属微粒子の表面に
酸化物皮膜が必ず形成されてしまい透明導電層として良
好な導電性が得られなくなるからである。
【0011】また、一方では表示画面を見易くするため
に、フェイスパネル表面に防眩処理を施して画面の反射
を抑えることも行われている。この防眩処理は、微細な
凹凸を設けて表面の拡散反射を増加させる方法によって
もなされるが、この方法を用いた場合、解像度が低下し
て画質が落ちるためあまり好ましい方法とはいえない。
従って、むしろ反射光が入射光に対して破壊的干渉を生
ずるように、透明皮膜の屈折率と膜厚とを制御する干渉
法によって防眩処理を行うことが好ましい。このような
干渉法により低反射効果を得るため、一般的には高屈折
率膜と低屈折率膜の光学的膜厚をそれぞれ1/4λと1
/4λ(λは波長)、あるいは1/2λと1/4λに設
定した二層構造膜が採用されており、前述のインジウム
錫酸化物(ITO)微粒子からなる膜もこの種の高屈折
率膜として用いられている。
【0012】尚、金属においては、光学定数(n−i
k,n:屈折率,i2=−1,k:消衰係数)を構成す
るパラメータの内、nの値は小さいがkの値がITO等
と比べ極端に大きいため、金属微粒子からなる透明導電
層を用いた場合でも、ITO(高屈折率膜)と同様に、
二層構造膜で光の干渉による反射防止効果が得られる。
【0013】ところで、従来の透明導電層形成用塗液に
適用される金属微粒子としては、上述したように銀、
金、白金、ロジウム、パラジウムなどの貴金属に限定さ
れているが、これ等の比抵抗を比較した場合、白金、ロ
ジウム、パラジウムの比抵抗は、それぞれ10.6、
5.1、10.8μΩ・cmで、銀、金の1.62、
2.2μΩ・cmに比べて高いため、表面抵抗の低い透
明導電層を形成するには銀微粒子や金微粒子を適用した
方が有利であった。
【0014】しかし、銀微粒子を適用した場合、硫化、
酸化、紫外線や食塩水による劣化が激しく耐候性に問題
があり、他方、金微粒子を適用した場合、上記耐候性の
問題はなくなるが白金微粒子、ロジウム微粒子、パラジ
ウム微粒子等が適用された場合と同様にコスト上の問題
を有していた。更に、金微粒子を適用した場合には、金
特有の光学特性により形成された透明導電層自体が可視
光線の一部を吸収するため、可視光線全域でフラットな
透過光線プロファイルが要求されるCRTなど表示装置
の表示面には適用できない問題点を有していた。
【0015】このような技術的背景の下、本発明者は、
上記銀若しくは金微粒子に代えて、銀微粒子表面に金若
しくは白金単体または金と白金の複合体をコーティング
した平均粒径1〜100nmの貴金属コート銀微粒子が
分散された透明導電層形成用塗液並びにこの塗布液を用
いて製造した透明導電性基材やこの基材が適用された表
示装置等を既に提案している(特願平9−309350
号、特願平9−309351号、特願平9−33240
0号および特願平9−332401号の各明細書参
照)。
【0016】そして、銀微粒子の表面に金若しくは白金
単体または金と白金の複合体をコーティングすると、貴
金属コート銀微粒子内部の銀が金若しくは白金単体また
は金と白金の複合体により保護されるため耐候性、耐薬
品性等の改善が図れる。
【0017】すなわち、透明導電性基材における上記透
明導電層は、貴金属コート銀微粒子が分散された透明導
電層形成用塗液を透明基板上に塗布し、次いで加熱処理
することにより形成される。そして、この加熱処理によ
り、各貴金属コート銀微粒子は、銀微粒子表面に金若し
くは白金単体または金と白金の複合体がコーティングさ
れたまま微粒子同士が結合して、金および/または白金
と銀から成る貴金属微粒子を各々構成するため、貴金属
微粒子内の銀が金若しくは白金単体または金と白金の複
合体により保護され、透明導電層内における貴金属微粒
子の耐候性、耐薬品性等の改善が図れる。
【0018】尚、本発明者は、上記金若しくは白金単体
または金と白金の複合体を銀微粒子表面にコーティング
する方法に代えて、金若しくは白金または金並びに白金
と銀とを合金化させて合金微粒子とし上述した耐候性等
の特性を改善させる方法も検討した。
【0019】しかし、微粒子調製に採用されている通常
の湿式法においては、上記合金微粒子を作製するための
原料溶液として塩化金酸塩あるいは塩化白金酸塩と銀塩
の水溶液を用いた場合、それらの混合時に難溶性の塩化
銀を生じる問題がある。
【0020】また、金塩、白金塩、銀塩としてシアン錯
塩を用いた場合には前記問題を生じないが、有毒なシア
ン化合物を取扱う必要があるという点で問題があり、金
あるいは白金と銀の合金微粒子の合成は容易でない。
【0021】そこで、本発明者は、後者の方法を採らず
に、貴金属コート銀微粒子を用いる前者の方法により上
述した従来における問題点の解決を図っている。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】ところで、貴金属コー
ト銀微粒子を用いる前者の方法においても、透明導電層
形成用塗液を透明基板上に塗布した後の加熱処理条件如
何によっては、金および/または白金で形成される貴金
属コート層の内部に銀の一部が拡散して合金化層を構成
し、その一部が表面に露出してしまうことがあった。
【0023】そして、この合金化層は、金および/また
は白金で形成される貴金属コート層に較べて化学的安定
性が劣るため、その分、耐候性、耐紫外線性、耐薬品性
等が若干低下してしまう問題があり、特に、上記合金化
層内の銀の比率が高くなるにつれて顕著であった。
【0024】本発明はこの様な問題に着目してなされた
もので、その課題とするところは、製造時における加熱
処理条件を任意に設定しても、耐候性、耐紫外線性等が
低下し難い透明導電性基材とその製造方法を提供するこ
とにある。
【0025】本発明の他の課題とするところは、耐候
性、耐紫外線性、導電性などに優れた透明導電性基材の
製造に適用される透明導電層形成用塗液とその製造方法
を提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】すなわち、請求項1に係
る発明は、透明基板、および、この透明基板上に順次形
成された透明導電層と透明コート層を備える透明導電性
基材を前提とし、上記透明導電層が、金および/または
白金と銀とで構成されかつ金および/または白金を50
重量%を超え95重量%の範囲で含有する平均粒径1〜
100nmの貴金属微粒子と、バインダーマトリックス
とを主成分とすることを特徴とし、請求項2に係る発明
は、請求項1記載の発明に係る透明導電性基材を前提と
し、上記透明導電層内に導電性酸化物微粒子が含まれて
いることを特徴とする。
【0027】また、請求項3に係る発明は、請求項2記
載の発明に係る透明導電性基材を前提とし、上記導電性
酸化物微粒子が、酸化錫、錫アンチモン酸化物またはイ
ンジウム錫酸化物から選択された1種以上の微粒子であ
ることを特徴とし、請求項4に係る発明は、請求項1〜
3のいずれかに記載の発明に係る透明導電性基材を前提
とし、透明導電層の上記バインダーマトリックスおよび
透明コート層が、酸化ケイ素を主成分としていることを
特徴とし、また、請求項5に係る発明は、請求項1〜4
のいずれかに記載の発明に係る透明導電性基材を前提と
し、上記透明導電層の表面抵抗が10〜3000Ω/□
であり、かつ、可視光線波長域(380〜780nm)
の5nmおきの各波長における上記透明基板を含まずか
つ透明導電層と透明コート層から成る透明2層膜だけの
透過率の標準偏差が0〜5%であることを特徴とするも
のである。
【0028】次に、請求項6〜10に係る発明は上記透
明導電性基材の製造方法を特定した発明に関する。
【0029】すなわち、請求項6に係る発明は、透明基
板、および、この透明基板上に順次形成された透明導電
層と透明コート層を備える透明導電性基材の製造方法を
前提とし、銀微粒子表面に金若しくは白金単体または金
と白金の複合体がコーティングされかつ金および/また
は白金を50重量%を超え95重量%の範囲で含有する
平均粒径1〜100nmの貴金属コート銀微粒子とこれ
を分散する溶媒とを主成分とする透明導電層形成用塗液
を上記透明基板上に塗布し、次いで透明コート層形成用
塗布液を塗布した後、加熱処理することを特徴とし、請
求項7に係る発明は、請求項6記載の発明に係る透明導
電性基材の製造方法を前提とし、上記透明導電層形成用
塗液内に、導電性酸化物微粒子が含まれていることを特
徴とし、請求項8に係る発明は、請求項7記載の発明に
係る透明導電性基材の製造方法を前提とし、上記導電性
酸化物微粒子が、酸化錫、錫アンチモン酸化物またはイ
ンジウム錫酸化物から選択された1種以上の微粒子であ
ることを特徴とする。
【0030】また、請求項9に係る発明は、請求項6〜
8のいずれかに記載の発明に係る透明導電性基材の製造
方法を前提とし、上記透明導電層形成用塗液内に、透明
導電層のバインダーマトリックスを構成する無機バイン
ダーが含まれていることを特徴とし、請求項10に係る
発明は、請求項6〜9のいずれかに記載の発明に係る透
明導電性基材の製造方法を前提とし、上記透明コート層
形成用塗布液、および、上記透明導電層形成用塗液の無
機バインダーがシリカゾルを主成分としていることを特
徴とするものである。
【0031】次に、請求項11〜14に係る発明は上記
透明導電性基材の製造に用いられる透明導電層形成用塗
液を特定した発明に関する。
【0032】すなわち、請求項11に係る発明は、透明
基板、および、この透明基板上に順次形成された透明導
電層と透明コート層を備える透明導電性基材の製造に用
いられる透明導電層形成用塗液を前提とし、溶媒、およ
び、この溶媒に分散されかつ銀微粒子の表面に金若しく
は白金単体または金と白金の複合体がコーティングされ
ると共に金および/または白金を50重量%を超え95
重量%の範囲で含有する平均粒径1〜100nmの貴金
属コート銀微粒子を主成分とすることを特徴とし、請求
項12に係る発明は、請求項11記載の発明に係る透明
導電層形成用塗液を前提とし、導電性酸化物微粒子が含
まれていることを特徴とし、請求項13に係る発明は、
請求項12記載の発明に係る透明導電層形成用塗液を前
提とし、上記導電性酸化物微粒子が、酸化錫、錫アンチ
モン酸化物またはインジウム錫酸化物から選択された1
種以上の微粒子であることを特徴とし、また、請求項1
4に係る発明は、請求項11〜13のいずれかに記載の
発明に係る透明導電層形成用塗液を前提とし、無機バイ
ンダーが含まれていることを特徴とするものである。
【0033】次に、請求項15に係る発明は上記透明導
電層形成用塗液の製造方法を特定した発明に関する。
【0034】すなわち、請求項15に係る発明は、透明
基板、および、この透明基板上に順次形成された透明導
電層と透明コート層を備える透明導電性基材の製造に用
いられる透明導電層形成用塗液の製造方法を前提とし、
銀微粒子のコロイド状分散液に還元剤とアルカリ金属の
金酸塩溶液および/または白金酸塩溶液を加えるか上記
還元剤とアルカリ金属の金酸塩および白金酸塩の混合溶
液を加えると共に、銀微粒子のコロイド状分散液とアル
カリ金属の金酸塩溶液および/または白金酸塩溶液、あ
るいは銀微粒子のコロイド状分散液とアルカリ金属の金
酸塩および白金酸塩の混合溶液の各配合割合を調整し
て、金および/または白金を50重量%を超え95重量
%の範囲で含有する貴金属コート銀微粒子のコロイド状
分散液を得る貴金属コート銀微粒子調製工程、上記貴金
属コート銀微粒子のコロイド状分散液における電解質濃
度を下げる脱塩処理と上記コロイド状分散液を濃縮する
濃縮処理を施して貴金属コート銀微粒子の分散濃縮液を
得る脱塩・濃縮工程、上記貴金属コート銀微粒子の分散
濃縮液に溶媒単独、あるいは導電性酸化物微粒子および
/または無機バインダーが含まれた溶媒を加えて透明導
電層形成用塗液を得る溶媒配合工程、の各工程を具備す
ることを特徴とするものである。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。
【0036】まず、本発明は、金若しくは白金が化学的
に安定で、耐候性、耐薬品性、耐酸化性等に優れている
ため、銀微粒子の表面に金若しくは白金単体または金と
白金の複合体をコーティングすればその化学的安定性を
高めることができるという考え方に基づいている。ま
た、上記透明導電層は、上述したように透明基板上に透
明導電層形成用塗液を塗布し、次いで加熱処理して形成
される。そして、透明導電層形成用塗液に含まれる貴金
属コート銀微粒子内における金および/または白金の含
有割合について50重量%を超え95重量%の範囲に設
定した場合、上記加熱処理条件如何によって貴金属コー
ト層の一部に合金化層が形成されても、得られる貴金属
微粒子の耐候性、耐紫外線性、耐薬品性等が低下し難い
といった発見に基づき本発明は完成されている。
【0037】すなわち、本発明は、透明基板、および、
この透明基板上に順次形成された透明導電層と透明コー
ト層を備える透明導電性基材において、上記透明導電層
が、金および/または白金と銀とで構成されかつ金およ
び/または白金を50重量%を超え95重量%の範囲で
含有する平均粒径1〜100nmの貴金属微粒子と、バ
インダーマトリックスとを主成分とすることを特徴とす
るものである。
【0038】そして、この透明導電性基材においては、
透明導電層内における貴金属微粒子の耐候性、耐紫外線
性、耐薬品性等が著しく改善される。例えば、銀微粒子
と酸化ケイ素を主成分とするバインダーマトリックスか
ら成る透明導電層を5%食塩水に浸漬すると、食塩水中
の塩素イオンと透明導電層の銀微粒子が反応して1時間
以内の短時間で著しく劣化し、透明導電層における膜の
剥離さえ生じる。これに対し、銀微粒子表面に金若しく
は白金単体または金と白金の複合体がコーティングされ
かつ金および/または白金を50重量%を超え95重量
%の範囲で含有する貴金属コート銀微粒子を主成分とす
る透明導電層形成用塗液を適用して形成された透明導電
層の場合には、24時間以上の浸漬でも透明導電層は全
く変化せず、優れた耐候性を示す。また、金並びに白金
は大気中で酸化しないことから、上記貴金属コート銀微
粒子により形成される金および/または白金を50重量
%を超え95重量%の範囲で含有する貴金属微粒子は紫
外線照射時の酸素ラジカル等に起因する酸化による電気
抵抗の劣化もない。従って、金および/または白金を5
0重量%を超え95重量%の範囲で含有する貴金属微粒
子が含まれる透明導電層の耐酸化性は、銀微粒子がその
まま適用された従来の透明導電層、あるいは、金および
/または白金の含有割合が50重量%以下の貴金属微粒
子が含まれる透明導電層よりも優れている。尚、本発明
において金および/または白金の含有割合が50重量%
を超えており、その分、貴金属微粒子内における銀の重
量割合は形式的に低下しているが、金、白金に較べて銀
の原子量は半分程度で、モル%で比較した場合の割合低
下はそれ程でもないため、貴金属微粒子の特性における
銀の寄与は依然として維持されている。
【0039】次に、白金の電気抵抗は、上述したように
銀、金に比べて若干高いことから、本発明において上記
透明導電層の表面抵抗を低くするためには、銀と白金で
構成される貴金属微粒子、あるいは、銀と白金並びに金
とで構成される貴金属微粒子に較べて、銀と金とで構成
される貴金属微粒子を適用した方が有利である。但し、
金若しくは白金単体または金と白金の複合体材料はその
大半が上記銀微粒子表面のコーティング層として適用さ
れているため、その一部が銀と合金化されたとしても銀
の良好な導電性を実用レベル以下となる程に損なうこと
もない。従って、本発明においては、銀と金とで構成さ
れる貴金属微粒子に限らず、銀と白金で構成される貴金
属微粒子、あるいは、銀と白金並びに金とで構成される
貴金属微粒子の適用も可能である。
【0040】尚、本明細書において透明導電層形成用塗
液内における銀と金等で構成された微粒子について貴金
属コート銀微粒子と表現し、透明導電層内における銀と
金等で構成された微粒子については貴金属微粒子と区別
して表現しているのは以下の理由による。すなわち、透
明導電層形成用塗液内おいては銀微粒子表面をコーティ
ングする貴金属コート層が金および/または白金のみに
よって構成されるのに対し、透明導電層内においては上
記加熱処理に基づく合金化層の形成により銀微粒子表面
をコーティングする貴金属コート層が金および/または
白金のみによって構成されているとは限らない場合が存
在するためである。従って、透明導電層内における銀と
金等で構成された微粒子については貴金属コート銀微粒
子と表現せずに金および/または白金と銀とで構成され
る貴金属微粒子と表現している。
【0041】ここで、上記貴金属コート銀微粒子は、そ
の平均粒径が1〜100nmであることを要する。1n
m未満の場合、この微粒子の製造は困難であり、更に、
塗布液中で凝集し易く実用的でない。また、100nm
を越えると、形成された透明導電層の可視光線透過率が
低くなり過ぎてしまい、仮に、膜厚を薄く設定して可視
光線透過率を高くした場合でも、表面抵抗が高くなり過
ぎてしまい実用的ではないからである。尚、ここでいう
平均粒径とは、透過電子顕微鏡(TEM)で観察される
微粒子の平均粒径を示している。
【0042】次に、上記貴金属コート銀微粒子におい
て、銀微粒子表面をコートする金若しくは白金単体また
は金、白金複合体の含有割合は、50重量%を超え95
重量%の範囲に設定することを要し、好ましくは、60
重量%〜90重量%に設定するとよい。金若しくは白金
単体または金、白金複合体のコーティング量が50重量
部%以下であると、加熱処理によってその一部の貴金属
コート銀微粒子が合金化された場合にコーティングの保
護効果が弱まって耐候性が若干悪くなる場合があり、逆
に、95重量%を越えるとコスト的に難があるからであ
る。
【0043】尚、透明導電層における膜透過率および膜
強度の向上を図る目的で、透明導電層内に酸化錫、錫ア
ンチモン酸化物またはインジウム錫酸化物から選択され
た1種以上の導電性酸化物微粒子を加えてもよい。この
場合、透明導電層内の貴金属微粒子と導電性酸化物微粒
子の配合比は、貴金属微粒子100重量部に対し導電性
酸化物微粒子1〜200重量部、好ましくは10〜10
0重量部の範囲に設定するとよい。導電性酸化物微粒子
の配合量が1重量部未満だと、導電性酸化物微粒子添加
の効果がみられず、逆に200重量部を越えると、透明
導電層の抵抗が高くなり過ぎてしまい実用的ではないか
らである。また、貴金属微粒子と同様、導電性酸化物微
粒子の平均粒径は1〜100nm程度が好ましい。
【0044】次に、上記透明導電層を形成するために用
いられる透明導電層形成用塗液は、以下のような方法で
製造することができる。
【0045】まず、既知の方法[例えば、Carey−Lea
法、Am.J.Sci.、37、47(1889)、Am.J.Sci.、38(188
9)]により銀微粒子のコロイド分散液を調製する。す
なわち、硝酸銀水溶液に、硫酸鉄(II)水溶液とクエン
酸ナトリウム水溶液の混合液を加えて反応させ、沈降物
を濾過・洗浄した後、純水を加えることにより簡単に銀
微粒子のコロイド分散液(Ag:0.1〜10重量%)
が調製される。この銀微粒子のコロイド分散液の調製方
法は平均粒径1〜100nmの銀微粒子が分散されたも
のであれば任意でありかつこれに限定されるものではな
い。得られた銀微粒子のコロイド分散液に還元剤を加
え、更にそこにアルカリ金属の金酸塩溶液若しくは白金
酸塩溶液を加えるか、あるいはアルカリ金属の白金酸塩
溶液と金酸塩溶液を別々に加えるか、アルカリ金属の白
金酸塩と金酸塩の混合溶液を加えることで上記銀微粒子
の表面に金若しくは白金単体または金と白金の複合体を
コーティングし、貴金属コート銀微粒子のコロイド状分
散液を得ることができる。
【0046】尚、この貴金属コート銀微粒子調製工程
で、必要により、銀微粒子のコロイド分散液、アルカリ
金属の金酸塩溶液、アルカリ金属の白金酸塩溶液、アル
カリ金属の金酸塩と白金酸塩の混合溶液の少なくともい
ずれか一つ、または、それぞれに少量の分散剤を加えて
もよい。
【0047】ここで、上記貴金属コート銀微粒子調製工
程において銀微粒子表面への金若しくは白金単体または
金、白金複合体のコーティング反応が起こるのは、金酸
塩、白金酸塩の還元により金、白金が生じる際に、既に
液中に微細な銀微粒子が多量に存在するためで、金、白
金が単独で核生成(均一核生成)するよりも、銀微粒子
を核としてその表面に成長する方がエネルギー的に有利
な条件で進行するからである。従って、金酸塩、白金酸
塩の還元により金、白金が生じる際、液中に微細な銀微
粒子が多量に存在することを前提としているため、貴金
属コート銀微粒子調製工程における金酸塩溶液若しくは
白金酸塩溶液、または、白金酸塩溶液と金酸塩溶液ある
いはこれ等混合溶液と還元剤の、上記銀微粒子のコロイ
ド分散液内への添加タイミングについては以下のように
するとよい。すなわち、金酸塩溶液若しくは白金酸塩溶
液、または、金酸塩溶液と白金酸塩溶液あるいはこれ等
混合溶液の添加と還元剤の添加を同時または上記溶液よ
り先に還元剤を添加するように調整することが好まし
い。すなわち、還元剤と金酸塩溶液若しくは白金酸塩溶
液、還元剤と金酸塩溶液並びに白金酸塩溶液、還元剤と
金酸塩並びに白金酸塩の混合溶液を混ぜた状態で銀微粒
子のコロイド分散液内に添加した場合には、金酸塩溶液
若しくは白金酸塩溶液、金酸塩溶液と白金酸塩溶液、金
酸塩と白金酸塩の混合溶液を上記還元剤に混ぜた段階で
金酸塩、白金酸塩の還元により金、白金が生じてしま
い、かつ、金、白金が単独で核生成(均一核生成)して
しまうため、金酸塩溶液、白金酸塩溶液等と還元剤とを
混ぜた後に銀微粒子のコロイド分散液に添加しても銀微
粒子表面への金若しくは白金単体または金、白金複合体
のコーティング反応が起こらなくなることがあるからで
ある。
【0048】尚、上記還元剤には、ヒドラジン(N
24)、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)等の水
素化ホウ素化合物、ホルムアルデヒド等を用いることが
できるが、銀微粒子のコロイド分散液に加えられたとき
に銀超微粒子の凝集を起こさず、金酸塩、白金酸塩を
金、白金に還元できれば任意でありこれらに限定される
ものではない。
【0049】例えば、金酸カリウム[KAu(O
H)4]、および白金酸カリウム[K2Pt(OH)6
をヒドラジンあるいは水素化ホウ素ナトリウムで還元す
る場合の還元反応は、それぞれ以下の様に示される。
【0050】KAu(OH)4+3/4N24→Au+
KOH+3H2O+3/4N2↑ K2Pt(OH)6+N24→Pt+2KOH+4H2
+N2↑ KAu(OH)4+3/4NaBH4→Au+KOH+3
/4NaOH+3/4H3BO3+3/2H2↑ K2Pt(OH)6+NaBH4→Pt+2KOH+Na
OH+H3BO3+2H2↑ ここで、還元剤として上記水素化ホウ素ナトリウムを用
いた場合、上記反応式から確認できるように還元反応に
より生じる電解質の濃度が高くなるため、後述するよう
に微粒子が凝集し易く、還元剤としての添加量が限ら
れ、用いる銀微粒子のコロイド分散液における銀濃度を
高くできない不便さがある。
【0051】一方、還元剤として上記ヒドラジンを用い
た場合、上記反応式から確認できるように還元反応によ
り生じる電解質が少なく、還元剤としてより適してい
る。
【0052】尚、金、白金のコーティング原料として、
アルカリ金属の金酸塩、アルカリ金属の白金酸塩以外の
塩、例えば塩化金酸(HAuCl4)、塩化白金酸(H2
PtCl6)、または、塩化金酸塩(NaAuCl4、K
AuCl4等)、塩化白金酸塩(Na2PtCl6、K2
tCl6等)を用いた場合、ヒドラジンによる還元反応
は以下のように示される。
【0053】XAuCl4+3/4N24→Au+XC
l+3HCl+3/4N2↑ X2PtCl6+N24→Pt+2XCl+4HCl+N
2↑ (X=H,Na,K等) この様に塩化金酸等を適用した場合、上記金酸塩、白金
酸塩を用いた場合と比較して、還元反応による電解質濃
度が高くなるだけでなく塩素イオンを生じるため、これ
が銀微粒子と反応し、難溶性の塩化銀を生成してしまう
ことから、本発明に係る透明導電層形成用の原料に用い
ることは困難である。
【0054】以上のようにして得られた貴金属コート銀
微粒子のコロイド状分散液は、この後、透析、電気透
析、イオン交換、限外濾過等の脱塩処理方法により分散
液内の電解質濃度を下げることが好ましい。これは、電
解質濃度が高いとコロイドは電解質で一般に凝集してし
まうからであり、この現象は、Schulze−Hardy則として
も知られている。尚、同様の理由から、上記貴金属コー
ト銀微粒子のコロイド状分散液若しくは透明導電層形成
用塗液内に、酸化錫、錫アンチモン酸化物またはインジ
ウム錫酸化物から選択された導電性酸化物微粒子を配合
する場合、これ等導電性酸化物微粒子若しくはその分散
液についてもその脱塩を十分に行っておくことが望まし
い。
【0055】次に、脱塩処理された貴金属コート銀微粒
子のコロイド状分散液を濃縮処理して貴金属コート銀微
粒子の分散濃縮液を得、この貴金属コート銀微粒子の分
散濃縮液に、有機溶剤単独、あるいは導電性酸化物微粒
子および/または無機バインダーが含まれた有機溶剤を
添加して成分調整(微粒子濃度、水分濃度等)を行い、
透明導電層形成用塗液が得られる。尚、脱塩処理方式と
して限外濾過が適用された場合、この限外濾過は以下に
述べるように濃縮処理としても作用することから、脱塩
処理と濃縮処理を同時進行で行うことも可能である。従
って、貴金属コート銀微粒子が分散されたコロイド状分
散液の脱塩処理と濃縮処理については、適用する処理方
式によりその順序は任意に設定され、限外濾過等が適用
された場合には同時処理も可能である。
【0056】尚、透明導電層形成用塗液内の貴金属コー
ト銀微粒子おいて、銀微粒子表面に金若しくは白金単体
または金と白金の複合体がコーティングされていること
の根拠は、透過電子顕微鏡(TEM)による粒子観察と
成分分析(EDX:エネルギー分散型X線解析装置)に
て、金若しくは白金単体または金、白金複合体のコーテ
ィング前後で粒子径がほとんど変化してないこと、およ
び、金若しくは白金単体または金、白金複合体の分布が
各粒子に対して一様であること、更にはEXAFS(Ex
tended X-ray Absorption Fine Structure:広域X線吸
収微細構造)解析による金若しくは白金単体または金、
白金複合体の配位数から技術的に確認されている。
【0057】また、銀微粒子に対する金、白金複合体の
被覆形態については、金、白金複合体のコーティング工
程(すなわち貴金属コート銀微粒子調製工程)で金酸塩
の溶液と白金酸塩の溶液を適用するか、金酸塩と白金酸
塩の混合溶液を適用するかの違いにより、また、これ等
溶液の配合タイミングや適用する金酸塩と白金酸塩の濃
度の違い等により各種の形態が考えられる。すなわち、
これ等条件の違いにより銀微粒子の全表面若しくは一部
を金が被覆しかつその全体を白金が被覆していたり、こ
の逆で銀微粒子の全表面若しくは一部を白金が被覆しか
つその全体を金が被覆していたり、あるいは銀微粒子の
全表面を互いに重なることなく白金と金がそれぞれ単体
でまたは合金化された状態で被覆している形態等が考え
られる。
【0058】また、上記貴金属コート銀微粒子のコロイ
ド状分散液の濃縮処理は、減圧エバポレーター、限外濾
過等の常用の方法で行うことができる。また、透明導電
層形成用塗液中の水分濃度は、1〜50重量%好ましく
は5〜20重量%がよい。50重量%を超えると、透明
基板上にこの透明導電層形成用塗液を塗布した後、乾燥
中に、水の高い表面張力によりはじきを生じ易くなる場
合があるからである。
【0059】尚、透明導電層形成用塗液中に界面活性剤
を加えれば上記はじきの問題は解決可能である。しか
し、界面活性剤の配合による塗布欠陥が生じ易くなる別
の問題を生ずることがある。従って、透明導電層形成用
塗液中の水分濃度は1〜50重量%が好ましい。
【0060】また、上記有機溶剤としては特に制限はな
く、塗布方法や製膜条件により、適宜に選定される。例
えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブ
タノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール
等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン
(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シ
クロヘキサノン、イソホロン等のケトン系溶媒、プロピ
レングリコールメチルエーテル、プロピレングリコール
エチルエーテル等のグリコール誘導体、アセトニトリ
ル、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ジメチル
ホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DM
SO)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等が挙
げられるが、これらに限定されるものではない。
【0061】次に、この様にして得られた透明導電層形
成用塗液を用いて、透明基板、および、この透明基板上
に形成され平均粒径1〜100nmの貴金属微粒子とバ
インダーマトリックスを主成分とする透明導電層と、こ
の上に形成された透明コート層を備える透明導電性基材
を得ることができる。
【0062】そして、透明基板上に、透明導電層と透明
コート層とで構成される透明2層膜を形成するには以下
の方法でこれを行うことができる。すなわち、溶媒と平
均粒径1〜100nmの貴金属コート銀微粒子を主成分
とする透明導電層形成用塗液を、ガラス基板、プラスチ
ック基板等の透明基板上にスプレーコート、スピンコー
ト、ワイヤーバーコート、ドクターブレードコート等の
手法にて塗布し、必要に応じて乾燥した後、例えばシリ
カゾル等を主成分とする透明コート層形成用塗布液を上
述した手法によりオーバーコートする。
【0063】次に、オーバーコートした後、例えば50
〜350℃程度の温度で加熱処理を施しオーバーコート
した透明コート層の硬化を行って上記透明2層膜を形成
する。尚、50〜350℃程度の加熱処理では、貴金属
コート銀微粒子は金若しくは白金単体または金と白金の
複合体で保護されているため問題を生じないが、従来法
において適用されている銀微粒子であると200℃を超
えた場合に酸化拡散により表面抵抗値が上昇し膜の劣化
が生じる。
【0064】ここで、シリカゾル等を主成分とする透明
コート層形成用塗布液を上述した手法によりオーバーコ
ートした際、予め塗布された溶媒と貴金属コート銀微粒
子を主成分とする透明導電層形成用塗液により形成され
た貴金属コート銀微粒子層の間隙に、オーバーコートし
たシリカゾル液(このシリカゾル液は上記加熱処理によ
り酸化ケイ素を主成分とするバインダーマトリックスと
なる)がしみ込むことで、導電性の向上、強度の向上、
耐候性の一層の向上が同時に達成される。
【0065】更に、酸化ケイ素を主成分とするバインダ
ーマトリックス中に貴金属微粒子が分散された透明導電
層の上記光学定数(n−ik)において、屈折率nはさ
ほど大きくないが消衰係数kが大きいため、上記透明導
電層と透明コート層の透明2層膜構造により、透明2層
膜の反射率を大幅に低下できる。そして、図1に示すよ
うに、ITO微粒子(比較例2)や銀微粒子(比較例
1)が適用された場合と比較しても、金と銀とで構成さ
れる貴金属微粒子(実施例1)を用いた場合、可視光線
の短波長域(380〜500nm)で反射率が改善され
る。また、透明2層膜の透過光線プロファイルも、金と
銀とで構成される貴金属微粒子を適用することにより、
図2に示すように可視光線の短波長域で改善される。例
えば、可視光線波長域(380〜780nm)の5nm
おきの各波長での透明基板を含まない透明2層膜だけの
透過率について、その標準偏差を比較すると、銀微粒子
(比較例1)を用いた場合7%程度あるが、金および/
または白金と銀とで構成される貴金属微粒子を適用した
場合(実施例1〜9)、1〜3%程度の小さな値とな
り、非常にフラットな透過プロファイルが得られてい
る。これら透明2層膜の反射、透過特性が改善される理
由については未だ明らかでないが、銀微粒子に金若しく
は白金単体または金と白金の複合体がコーティングされ
若しくは含まれたことによる金属微粒子の表面プラズモ
ンの変化が考えられる。
【0066】ここで、上記シリカゾルとしては、オルト
アルキルシリケートに水や酸触媒を加えて加水分解し、
脱水縮重合を進ませた重合物、あるいは既に4〜5量体
まで加水分解縮重合を進ませた市販のアルキルシリケー
ト溶液を、さらに加水分解と脱水縮重合を進行させた重
合物等を利用することができる。尚、脱水縮重合が進行
すると、溶液粘度が上昇して最終的には固化してしまう
ので、脱水縮重合の度合いについては、ガラス基板やプ
ラスチック基板などの透明基板上に塗布可能な上限粘度
以下のところに調整する。但し、脱水縮重合の度合いは
上記上限粘度以下のレベルであれば特に指定されない
が、膜強度、耐候性等を考慮すると重量平均分子量で5
00から3000程度が好ましい。そして、アルキルシ
リケート加水分解重合物は、透明2層膜の加熱焼成時に
脱水縮重合反応がほぼ完結して、硬いシリケート膜(酸
化ケイ素を主成分とする膜)になる。尚、上記シリカゾ
ルに、弗化マグネシウム微粒子、アルミナゾル、チタニ
アゾル、ジルコニアゾル等を加え、透明コート層の屈折
率を調節して透明2層膜の反射率を変えることも可能で
ある。
【0067】また、溶媒とこの溶媒に分散された平均粒
径1〜100nmの貴金属コート銀微粒子に加え、透明
導電層のバインダーマトリックスを構成する無機バイン
ダー成分としてのシリカゾル液を配合させて上記透明導
電層形成用塗液を構成してもよい。この場合において
も、シリカゾル液が含まれた透明導電層形成用塗液を塗
布し、必要に応じて乾燥させた後に透明コート層形成用
塗布液を上述した手法によりオーバーコートすること
で、透明導電層と透明コート層から成る同様の上記透明
2層膜が得られる。尚、透明導電層形成用塗液内に導電
性酸化物微粒子を配合する場合と同様の理由から、透明
導電層形成用塗液内に配合する上記シリカゾル液につい
てもその脱塩を十分に行っておくことが望ましい。
【0068】以上説明したように本発明に係る透明導電
性基材は、従来の透明導電性基材に較べ優れた反射防止
効果と透過光線プロファイルを有し、かつ、良好な耐候
性、耐紫外線性と高い電界シールド効果を有するため、
例えば、上述したCRT、プラズマディスプレイパネル
(PDP)、蛍光表示管(VFD)、フィールドエミッ
ションディスプレイ(FED)、エレクトロルミネッセ
ンスディスプレイ(ELD)、液晶ディスプレイ(LC
D)等表示装置における前面板等に適用することが可能
となる。
【0069】
【実施例】以下、本発明の実施例を具体的に説明するが
本発明はこれら実施例に限定されるものではない。ま
た、本文中の『%』は、透過率、反射率、ヘーズ値の
(%)を除いて『重量%』を示し、また『部』は『重量
部』を示している。
【0070】[実施例1]前述のCarey−Lea法により銀
微粒子のコロイド分散液を調製した。具体的には、9%
硝酸銀水溶液33gに、23%硫酸鉄(II)水溶液39
gと37.5%クエン酸ナトリウム水溶液48gの混合
液を加えた後、沈降物をろ過・洗浄した後、純水を加え
て、銀微粒子のコロイド分散液(Ag:0.15%)を
調製した。この銀微粒子のコロイド分散液110gに、
ヒドラジン1水和物(N24・H2O)の1%水溶液
8.0gを加えて攪拌しながら、金酸カリウム[KAu
(OH)4]水溶液(Au:0.075%)480gと
1%高分子分散剤水溶液0.27gの混合液を加え、金
単体がコーティングされた貴金属コート銀微粒子のコロ
イド分散液を得た。
【0071】この貴金属コート銀微粒子のコロイド分散
液をイオン交換樹脂(三菱化学社製商品名ダイヤイオン
SK1B,SA20AP)で脱塩した後、限外ろ過によ
り濃縮した液に、エタノール(EA)を加え、貴金属コ
ート銀微粒子が含まれた透明導電層形成用塗液(Ag:
0.141%、Au:0.309%、水:12.1%、
EA:87.45%)を得た。
【0072】この透明導電層形成用塗液を透過電子顕微
鏡で観察した結果、貴金属コート銀微粒子の平均粒径
は、8.2nmであった。また、貴金属コート銀微粒子
内における金の含有割合は、上記透明導電層形成用塗液
の組成比から68.7重量%であった。
【0073】次に、貴金属コート銀微粒子が含まれた透
明導電層形成用塗液を、40℃に加熱されたガラス基板
(厚さ3mmのソーダライムガラス)上に、スピンコー
ト(130rpm,60秒間)した後、続けて、シリカ
ゾル液をスピンコート(150rpm,60秒間)し、
さらに、210℃、20分間硬化させて、銀と金から成
る貴金属微粒子を含有する透明導電層と、酸化ケイ素を
主成分とするシリケート膜から成る透明コート層とで構
成された透明2層膜付きのガラス基板、すなわち、実施
例1に係る透明導電性基材を得た。
【0074】ここで、上記シリカゾル液は、メチルシリ
ケート51(コルコート社製商品名)を19.6部、エ
タノール57.8部、1%硝酸水溶液7.9部、純水1
4.7部を用いて、SiO2 (酸化ケイ素)固形分濃度
が10%で、重量平均分子量が2850のものを調製
し、最終的に、SiO2 固形分濃度が0.75%となる
ようにイソプロピルアルコール(IPA)とn−ブタノ
ール(NBA)の混合物(IPA/NBA=3/1)に
より希釈して得ている。
【0075】そして、ガラス基板上に形成された透明2
層膜の膜特性(表面抵抗、可視光線透過率、透過率の標
準偏差、ヘーズ値、ボトム反射率/ボトム波長)を以下
の表1に示す。尚、上記ボトム反射率とは透明導電性基
材の反射プロファイルにおいて極小の反射率をいい、ボ
トム波長とは反射率が極小における波長を意味してい
る。また、製造された実施例1に係る透明導電性基材の
反射プロファイルを図1と図3に、また、透過プロファ
イルを図2と図4に合わせて示す。
【0076】尚、表1において可視光線波長域(380
〜780nm)の5nmおきの各波長における透明基板
(ガラス基板)を含まない透明2層膜だけの透過率は、
以下の様にして求められている。すなわち、 透明基板を含まない透明2層膜だけの透過率(%)=
[(透明基板ごと測定した透過率)/(透明基板の透過
率)]×100 ここで、本明細書においては、特に言及しない限り、透
過率としては、透明基板ごと(すなわち透明基板を含む
透明2層膜のことで上記透明導電性基材を意味する)測
定した値を用いている。
【0077】また、透明2層膜の表面抵抗は、三菱化学
(株)製の表面抵抗計ロレスタAP(MCP−T400)
を用い測定した。ヘーズ値と可視光線透過率は、透明基
板ごと、村上色彩技術研究所製のヘーズメーター(HR
−200)を用いて測定した。反射率、及び反射・透過
プロファイルは、日立製作所(株)製の分光光度計(U−
4000)を用いて測定した。また、貴金属コート銀微
粒子の粒径は日本電子製の透過電子顕微鏡で評価してい
る。
【0078】[実施例2]実施例1で調製した貴金属コ
ート銀微粒子のコロイド分散液を用い、限外ろ過により
濃縮した液のエタノール希釈割合を変えた以外は実施例
1と同様の処理を行って平均粒径8.2nmの貴金属コ
ート銀微粒子が分散した実施例2に係る透明導電層形成
用塗液(Ag:0.1%、Au:0.219%、水:
8.6%、EA:91.0%)を得た。
【0079】尚、貴金属コート銀微粒子内における金の
含有割合は、上記透明導電層形成用塗液の組成比から6
8.7重量%であった。
【0080】そして、この透明導電層形成用塗液を用い
た以外は、実施例1と同様に行い、銀と金から成る貴金
属微粒子を含有する透明導電層と、酸化ケイ素を主成分
とするシリケート膜から成る透明コート層とで構成され
た透明2層膜付きのガラス基板、すなわち、実施例2に
係る透明導電性基材を得た。
【0081】そして、ガラス基板上に形成された透明2
層膜の膜特性を以下の表1に示す。また、製造された実
施例2に係る透明導電性基材の反射プロファイルを図5
に、また、透過プロファイルを図6に示す。
【0082】[実施例3]実施例1と同様の方法で調製
した銀微粒子のコロイド分散液83gを用い、かつ、ヒ
ドラジン1水和物(N24・H2O)の1%水溶液9.
0gと金酸カリウム水溶液(Au:0.075%)54
0gを用いると共に、実施例1と同様の処理を行って平
均粒径8.4nmの貴金属コート銀微粒子が分散した透
明導電層形成用塗液(Ag:0.093%、Au:0.
307%、水:10.7%、EA:88.9%)を得
た。
【0083】尚、貴金属コート銀微粒子内における金の
含有割合は、上記透明導電層形成用塗液の組成比から7
6.8重量%であった。
【0084】そして、この透明導電層形成用塗液を用い
た以外は、実施例1と同様に行い、銀と金から成る貴金
属微粒子を含有する透明導電層と、酸化ケイ素を主成分
とするシリケート膜から成る透明コート層とで構成され
た透明2層膜付きのガラス基板、すなわち、実施例3に
係る透明導電性基材を得た。
【0085】ガラス基板上に形成された透明2層膜の膜
特性を以下の表1に示す。また、実施例3に係る透明導
電性基材の反射プロファイルを図7に、透過プロファイ
ルを図8に示す。
【0086】[実施例4]実施例1と同様の方法で調製
した銀微粒子のコロイド分散液62gを用い、かつ、ヒ
ドラジン1水和物(N24・H2O)の1%水溶液9.
0gと金酸カリウム水溶液(Au:0.075%)54
0gを用いると共に、実施例1と同様の処理を行って平
均粒径8.6nmの貴金属コート銀微粒子が分散した透
明導電層形成用塗液(Ag:0.074%、Au:0.
326%、水:10.7%、EA:88.9%)を得
た。
【0087】尚、貴金属コート銀微粒子内における金の
含有割合は、上記透明導電層形成用塗液の組成比から8
1.5重量%であった。
【0088】そして、この透明導電層形成用塗液を用い
た以外は、実施例1と同様に行い、銀と金から成る貴金
属微粒子を含有する透明導電層と、酸化ケイ素を主成分
とするシリケート膜から成る透明コート層とで構成され
た透明2層膜付きのガラス基板、すなわち、実施例4に
係る透明導電性基材を得た。
【0089】ガラス基板上に形成された透明2層膜の膜
特性を以下の表1に示す。
【0090】[実施例5]実施例1と同様の方法で平均
粒径8.2nmの貴金属コート銀微粒子が分散した溶液
を得た。
【0091】次に、この溶液内に、平均粒径0.03μ
mのインジウム錫酸化物(ITO)微粒子(住友金属鉱
山社製、商品名SUFP−HX)を用いかつイオン交換
により十分に脱塩して得られたITO分散液を加えて、
最終的に貴金属コート銀微粒子とITO微粒子が分散し
た透明導電層形成用塗液(Ag:0.113%、Au:
0.247%、ITO:0.036%、水:10.8
%、EA:88.0%)を得た。
【0092】尚、貴金属コート銀微粒子内における金の
含有割合は、上記透明導電層形成用塗液の組成比から6
8.6重量%であった。
【0093】そして、この透明導電層形成用塗液を用い
た以外は、実施例1と同様に行い、銀と金から成る貴金
属微粒子とITO微粒子を含有する透明導電層と、酸化
ケイ素を主成分とするシリケート膜から成る透明コート
層とで構成された透明2層膜付きのガラス基板、すなわ
ち、実施例5に係る透明導電性基材を得た。
【0094】ガラス基板上に形成された透明2層膜の膜
特性を以下の表1に示す。また、製造された実施例5に
係る透明導電性基材の反射プロファイルを図9に、透過
プロファイルを図10に示す。
【0095】[実施例6]実施例1と同様の方法で平均
粒径8.2nmの貴金属コート銀微粒子が分散した溶液
を得た。
【0096】次に、この溶液内に、平均粒径0.01μ
mのアンチモン錫酸化物(ATO)微粒子(石原産業社
製、商品名SN−100P)を用いかつイオン交換によ
り十分に脱塩して得られたATO分散液を加えて、最終
的に貴金属コート銀微粒子とATO微粒子が分散した透
明導電層形成用塗液(Ag:0.113%、Au:0.
247%、ATO:0.072%、水:11.6%、E
A:87.9%)を得た。
【0097】尚、貴金属コート銀微粒子内における金の
含有割合は、上記透明導電層形成用塗液の組成比から6
8.6重量%であった。
【0098】そして、この透明導電層形成用塗液を用い
た以外は、実施例1と同様に行い、銀と金から成る貴金
属微粒子とATO微粒子を含有する透明導電層と、酸化
ケイ素を主成分とするシリケート膜から成る透明コート
層とで構成された透明2層膜付きのガラス基板、すなわ
ち、実施例6に係る透明導電性基材を得た。
【0099】ガラス基板上に形成された透明2層膜の膜
特性を以下の表1に示す。
【0100】[実施例7]実施例1と同様の方法で貴金
属コート銀微粒子の分散濃縮液を得、これに無機バイン
ダーとしてのテトラメチルシリケートの4量体(コルコ
ート社製商品名メチルシリケート51)を含んだ溶液を
加えて、平均粒径8.2nmの貴金属コート銀微粒子が
分散した透明導電層形成用塗液(Ag:0.113%、
Au:0.247%、SiO2 :0.018%、水:1
0.0%、EA:89.6%)を得た。
【0101】尚、貴金属コート銀微粒子内における金の
含有割合は、上記透明導電層形成用塗液の組成比から6
8.6重量%であった。
【0102】そして、この透明導電層形成用塗液を用い
た以外は、実施例1と同様に行い、銀と金から成る貴金
属微粒子を含有する透明導電層と、酸化ケイ素を主成分
とするシリケート膜から成る透明コート層とで構成され
た透明2層膜付きのガラス基板、すなわち、実施例7に
係る透明導電性基材を得た。
【0103】ガラス基板上に形成された透明2層膜の膜
特性を以下の表1に示す。
【0104】[実施例8]実施例1と同様の方法で調製
した銀微粒子のコロイド分散液(Ag:0.45%)を
用いこの銀微粒子のコロイド分散液83gにヒドラジン
1水和物(N24・H2O)の1%水溶液15gを加え
て攪拌しながら、白金(IV)酸カリウム[K2Pt(O
H)6]水溶液(Pt:0.075%)600gを加
え、白金単体がコーティングされた貴金属コート銀微粒
子のコロイド分散液を得た。
【0105】この貴金属コート銀微粒子のコロイド分散
液を限外濾過により濃縮した後、この濃縮液に純水を加
えて再び限外濾過により濃縮する工程を繰返して得た脱
塩された濃縮液に、エタノール(EA)、ジアセトンア
ルコール(DAA)を加えて、平均粒径7.9nmの貴
金属コート銀微粒子が分散した透明導電層形成用塗液
(Ag:0.245%、Pt:0.295%、水:8.
2%、EA:86.2%、DAA:5.0%)を得た。
【0106】尚、貴金属コート銀微粒子内における白金
の含有割合は、上記透明導電層形成用塗液の組成比から
54.6重量%であった。
【0107】そして、この透明導電層形成用塗液を用い
た以外は、実施例1と同様に行い、銀と白金から成る貴
金属微粒子を含有する透明導電層と、酸化ケイ素を主成
分とするシリケート膜から成る透明コート層とで構成さ
れた透明2層膜付きのガラス基板、すなわち、実施例8
に係る透明導電性基材を得た。
【0108】ガラス基板上に形成された透明2層膜の膜
特性を以下の表1に示す。
【0109】[実施例9]実施例1と同様の方法で調製
した銀微粒子のコロイド分散液28gを用い、かつ、ヒ
ドラジン1水和物(N24・H2O)の1%水溶液2.
5gと、金酸塩[KAu(OH)4]水溶液(Au:
0.075%)60gおよび白金酸カリウム[K2Pt
(OH)6]水溶液(Pt:0.075%)60gの混
合溶液を用いて、金と白金の複合体がコーティングされ
た平均粒径8.3nmの貴金属コート銀微粒子を分散し
た透明導電層形成用塗液(Ag:0.182%、Au:
0.194%、Pt:0.194%、水:7.7%、E
A:91.7%)を得た。
【0110】尚、貴金属コート銀微粒子内における金お
よび白金の含有割合は、上記透明導電層形成用塗液の組
成比から68.1重量%であった。
【0111】そして、この透明導電層形成用塗液を用い
た以外は、実施例8と同様に行い、銀と金と白金から成
る貴金属微粒子を含有する透明導電層と、酸化ケイ素を
主成分とするシリケート膜から成る透明コート層とで構
成された透明2層膜付きのガラス基板、すなわち、実施
例9に係る透明導電性基材を得た。
【0112】そして、ガラス基板上に形成された透明2
層膜の膜特性を以下の表1に示す。また、製造された実
施例9に係る透明導電性基材の反射プロファイルを図1
1に、また、透過プロファイルを図12に示す。
【0113】[比較例1]実施例1と同様の方法で調製
した銀微粒子のコロイド分散液(Ag:0.45%)を
用い、貴金属コーティングせずに、平均粒径6.9nm
の銀微粒子が分散した透明導電層形成用塗液(Ag:
0.3%、水:4.0%、EA:90.7%、DAA:
5.0%)を得た。
【0114】そして、この透明導電層形成用塗液を用
い、SiO2 (酸化ケイ素)固形分濃度が0.7%のシ
リカゾル液をスピンコート(130rpm,60秒間)
し、さらに、180℃、20分間硬化させた以外は、実
施例1と同様に行い、銀微粒子を含有する透明導電層
と、酸化ケイ素を主成分とするシリケート膜から成る透
明コート層とで構成された透明2層膜付きのガラス基
板、すなわち、比較例1に係る透明導電性基材を得た。
【0115】ガラス基板上に形成された透明2層膜の膜
特性を以下の表1に示す。また、製造された比較例1に
係る透明導電性基材の反射プロファイルを図1に、透過
プロファイルを図2に示す。
【0116】[比較例2]平均粒径30nmのITO微
粒子が溶剤に分散された透明導電層形成用塗液(住友金
属鉱山社製、商品名SDA−104、ITO:2%)を
40℃に加熱されたガラス基板(厚さ3mmのソーダラ
イムガラス)上に、スピンコート(150rpm,60
秒間)した後、続けて、SiO2 (酸化ケイ素)固形分
濃度が1.0%となるように希釈したシリカゾル液をス
ピンコート(150rpm,60秒間)し、さらに、1
80℃、30分間硬化させて、ITO微粒子を含有する
透明導電層と、酸化ケイ素を主成分とするシリケート膜
から成る透明コート層とで構成された透明2層膜付きの
ガラス基板、すなわち比較例2に係る透明導電性基材を
得た。
【0117】そして、ガラス基板上に形成された透明2
層膜の膜特性を以下の表1に示す。また、製造された比
較例2に係る透明導電性基材の反射プロファイルを図1
に示す。
【0118】[比較例3]実施例1と同様の方法で調製
した銀微粒子のコロイド分散液(Ag:0.45%)を
用い、この銀微粒子のコロイド分散液15gに、0.5
%ヒドラジン水溶液0.5gを加えて攪拌しながら、金
酸カリウム[KAu(OH)4 ]水溶液(Au:0.0
5%)15gと2%高分子分散剤水溶液0.3gの混合
液を加え、金単体がコーティングされた貴金属コート銀
微粒子のコロイド分散液を得た。
【0119】この貴金属コート銀微粒子のコロイド分散
液をイオン交換樹脂(三菱化学社製商品名ダイヤイオン
SK1B,SA20AP)で脱塩した後、限外ろ過によ
り濃縮した液に、エタノール(EA)、ジアセトンアル
コール(DAA)を加え、平均粒径6.8nmの貴金属
コート銀微粒子が含まれた比較例3に係る透明導電層形
成用塗液(Ag:0.24%、Au:0.028%、
水:3.7%、EA:91.0%、DAA:5.0%)
を得た。
【0120】尚、貴金属コート銀微粒子内における金の
含有割合は、上記透明導電層形成用塗液の組成比から1
0.4重量%であった。
【0121】そして、この透明導電層形成用塗液を用
い、SiO2 (酸化ケイ素)固形分濃度が0.65%の
シリカゾル液をスピンコート(130rpm,60秒
間)し、さらに、180℃、20分間硬化させた以外
は、実施例1と同様に行い、銀と金から成る貴金属微粒
子を含有する透明導電層と、酸化ケイ素を主成分とする
シリケート膜から成る透明コート層とで構成された透明
2層膜付きのガラス基板、すなわち、比較例3に係る透
明導電性基材を得た。
【0122】ガラス基板上に形成された透明2層膜の膜
特性を以下の表1に示す。また、比較例3に係る透明導
電性基材の反射プロファイルを図13に、透過プロファ
イルを図14に示す。
【0123】
【表1】 『耐候性試験』実施例1〜9に係る透明導電性基材と比
較例1、3に係る透明導電性基材を、5%食塩水に浸漬
し、透明基板(ガラス基板)上に設けた透明2層膜の表
面抵抗値、膜の外観を調べた。この結果を以下の表2に
示す。
【0124】
【表2】 『耐紫外線試験』実施例1〜9に係る透明導電性基材と
比較例1、比較例3に係る透明導電性基材に、コールド
ミラーと赤外線カットフィルターが付設されたメタルハ
ライドランプ(アイグラフィックス株社製)を用い、8
0W/cmの条件で紫外線を5時間照射し、透明基板
(ガラス基板)上に設けられた透明2層膜の表面抵抗
値、膜の外観を調べた。透明導電性基材は、紫外線ラン
プから20cmの位置にセットし、紫外線照射中に基板
温度は、60〜65℃まで上昇していた。
【0125】この結果を以下の表3に示す。
【0126】
【表3】 『評 価』 1.表1に示された結果から以下のことが確認されされ
る。
【0127】(1)まず、比較例2に係る透明2層膜の表
面抵抗16000(Ω/□)に比べて各実施例に係る透
明2層膜の表面抵抗(Ω/□)が著しく改善されてお
り、また、比較例1に係る透明2層膜の980表面抵抗
(Ω/□)に比べて実施例1〜7に係る透明2層膜の表
面抵抗(Ω/□)が改善されている。
【0128】(2)また、各実施例に係る透過率の標準偏
差の値も比較例1(6.67)、比較例3(2.72)
に比べて改善されている。 2.図1〜図14に示されたプロファイルから以下のこ
とが確認される。
【0129】(1)図1に示された実施例1に係る透明導
電性基材の反射プロファイルと、同じく図1に示された
比較例1、2に係る透明導電性基材の反射プロファイル
並びに図13に示された比較例3に係る透明導電性基材
の反射プロファイルとの比較から明らかなように実施例
1に係る透明導電性基材では比較例1〜3に比べ可視光
線波長域における反射特性が改善されており、また、図
2に示された実施例1に係る透明導電性基材の透過プロ
ファイルと、同じく図2に示された比較例1に係る透明
導電性基材の透過プロファイル並びに図14に示された
比較例3に係る透明導電性基材の透過プロファイルとの
比較から明らかなように実施例1に係る透明導電性基材
では比較例1と3に比べ非常にフラットな透過プロファ
イルになっている。
【0130】すなわち、実施例1に係る透明導電性基材
では可視光線波長域における反射特性と透過光線プロフ
ァイルが改善されていることが確認される。
【0131】(2)同様に、図1に示された比較例1、2
に係る透明導電性基材の反射プロファイル並びに図13
に示された比較例3に係る透明導電性基材の反射プロフ
ァイルと、図5、図7および図9に示された実施例2、
3および5に係る透明導電性基材の反射プロファイルと
の比較から明らかなように実施例2、3および5に係る
透明導電性基材では比較例1〜3に比べ可視光線波長域
における反射特性が改善されており、また、図2に示さ
れた比較例1に係る透明導電性基材の透過プロファイル
並びに図14に示された比較例3に係る透明導電性基材
の透過プロファイルと、図6、図8、図10および図1
2に示された実施例2、3、5および9に係る透明導電
性基材の透過プロファイルとの比較から明らかなように
実施例2、3、5および9に係る透明導電性基材で比較
例1と3に比べ非常にフラットな透過プロファイルにな
っている。
【0132】すなわち、実施例2、3および5に係る透
明導電性基材でも可視光線波長域における反射特性と透
過光線プロファイルが改善され、実施例9に係る透明導
電性基材では透過光線プロファイルが改善されているこ
とが確認される。 3.表2に示された結果から、比較例1、3に係る透明
2層膜に較べて各実施例に係る透明2層膜の耐候性も著
しく改善されていることが確認される。 4.更に、表3に示された結果から、比較例1および比
較例3に係る透明2層膜に較べて各実施例に係る透明2
層膜の耐紫外線性も著しく改善されていることが確認さ
れる。
【0133】そして、この事は、各実施例に係る透明2
層膜の耐候性が従来に比べて著しく改善されていること
を示している。 5.尚、実施例1〜9においては、金酸塩と白金酸塩と
して金酸カリウムおよび白金酸カリウムを適用して貴金
属コート銀微粒子を調製しているが、これ等金酸カリウ
ムおよび白金酸カリウムに代えて金酸ナトリウムおよび
白金酸ナトリウムを適用した実験も行っている。そし
て、金酸ナトリウムおよび白金酸ナトリウムを適用して
得られた貴金属コート銀微粒子についても実施例1〜9
と同様の評価試験を行い、かつ、同様の評価が得られる
ことを確認している。
【0134】
【発明の効果】請求項1〜5記載の発明に係る透明導電
性基材によれば、透明基板上に順次形成された透明導電
層と透明コート層から成る透明2層膜の上記透明導電層
が、金および/または白金と銀とで構成されかつ金およ
び/または白金を50重量%を超え95重量%の範囲で
含有する平均粒径1〜100nmの貴金属微粒子と、バ
インダーマトリックスとを主成分としているため、従来
の透明導電性基材に較べ優れた反射防止効果と透過光線
プロファイルを有し、かつ、良好な耐候性、耐紫外線性
と高い電界シールド効果を有している。
【0135】また、請求項6〜10記載の発明に係る透
明導電性基材の製造方法によれば、銀微粒子表面に金若
しくは白金単体または金と白金の複合体がコーティング
されかつ金および/または白金を50重量%を超え95
重量%の範囲で含有する平均粒径1〜100nmの貴金
属コート銀微粒子とこれを分散する溶媒とを主成分とす
る透明導電層形成用塗液を上記透明基板上に塗布し、次
いで透明コート層形成用塗布液を塗布した後、加熱処理
しているため、請求項1〜5に係る透明導電性基材を低
コストでかつ簡便に製造できる効果を有している。
【0136】次に、請求項11〜14記載の発明に係る
透明導電層形成用塗液によれば、溶媒、および、この溶
媒に分散されかつ銀微粒子の表面に金若しくは白金単体
または金と白金の複合体がコーティングされると共に金
および/または白金を50重量%を超え95重量%の範
囲で含有する平均粒径1〜100nmの貴金属コート銀
微粒子を主成分としているため、従来の透明導電層形成
用塗液が適用された透明導電層と比較して、良好な反射
防止機能と電界シールド機能を有しかつ可視光線域での
透過光線プロファイルと耐候性、耐紫外線性も良好な透
明導電層を形成できる効果を有する。
【0137】また、請求項15記載の発明に係る透明導
電層形成用塗液の製造方法によれば、請求項11〜14
に係る透明導電層形成用塗液を低コストかつ簡便に製造
できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1および比較例1〜2に係る透明導電性
基材の反射プロファイルを示すグラフ図。
【図2】実施例1および比較例1に係る透明導電性基材
の透過プロファイルを示すグラフ図。
【図3】実施例1に係る透明導電性基材の反射プロファ
イルを示すグラフ図。
【図4】実施例1に係る透明導電性基材とこの基材の構
成部材であるガラス基板の透過プロファイルを示すグラ
フ図。
【図5】実施例2に係る透明導電性基材の反射プロファ
イルを示すグラフ図。
【図6】実施例2に係る透明導電性基材とこの基材の構
成部材であるガラス基板の透過プロファイルを示すグラ
フ図。
【図7】実施例3に係る透明導電性基材の反射プロファ
イルを示すグラフ図。
【図8】実施例3に係る透明導電性基材とこの基材の構
成部材であるガラス基板の透過プロファイルを示すグラ
フ図。
【図9】実施例5に係る透明導電性基材の反射プロファ
イルを示すグラフ図。
【図10】実施例5に係る透明導電性基材とこの基材の
構成部材であるガラス基板の透過プロファイルを示すグ
ラフ図。
【図11】実施例9に係る透明導電性基材の反射プロフ
ァイルを示すグラフ図。
【図12】実施例9に係る透明導電性基材とこの基材の
構成部材であるガラス基板の透過プロファイルを示すグ
ラフ図。
【図13】比較例3に係る透明導電性基材の反射プロフ
ァイルを示すグラフ図。
【図14】比較例3に係る透明導電性基材とこの基材の
構成部材であるガラス基板の透過プロファイルを示すグ
ラフ図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01B 5/00 H01J 29/88 13/00 503 G02B 1/10 A H01J 29/88 Z

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明基板、および、この透明基板上に順次
    形成された透明導電層と透明コート層を備える透明導電
    性基材において、 上記透明導電層が、金および/または白金と銀とで構成
    されかつ金および/または白金を50重量%を超え95
    重量%の範囲で含有する平均粒径1〜100nmの貴金
    属微粒子と、バインダーマトリックスとを主成分とする
    ことを特徴とする透明導電性基材。
  2. 【請求項2】上記透明導電層内に導電性酸化物微粒子が
    含まれていることを特徴とする請求項1記載の透明導電
    性基材。
  3. 【請求項3】上記導電性酸化物微粒子が、酸化錫、錫ア
    ンチモン酸化物またはインジウム錫酸化物から選択され
    た1種以上の微粒子であることを特徴とする請求項2記
    載の透明導電性基材。
  4. 【請求項4】透明導電層の上記バインダーマトリックス
    および透明コート層が、酸化ケイ素を主成分としている
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の透明
    導電性基材。
  5. 【請求項5】上記透明導電層の表面抵抗が10〜300
    0Ω/□であり、かつ、可視光線波長域(380〜78
    0nm)の5nmおきの各波長における上記透明基板を
    含まずかつ透明導電層と透明コート層から成る透明2層
    膜だけの透過率の標準偏差が0〜5%であることを特徴
    とする請求項1〜4のいずれかに記載の透明導電性基
    材。
  6. 【請求項6】透明基板、および、この透明基板上に順次
    形成された透明導電層と透明コート層を備える透明導電
    性基材の製造方法において、 銀微粒子表面に金若しくは白金単体または金と白金の複
    合体がコーティングされかつ金および/または白金を5
    0重量%を超え95重量%の範囲で含有する平均粒径1
    〜100nmの貴金属コート銀微粒子とこれを分散する
    溶媒とを主成分とする透明導電層形成用塗液を上記透明
    基板上に塗布し、次いで透明コート層形成用塗布液を塗
    布した後、加熱処理することを特徴とする透明導電性基
    材の製造方法。
  7. 【請求項7】上記透明導電層形成用塗液内に、導電性酸
    化物微粒子が含まれていることを特徴とする請求項6記
    載の透明導電性基材の製造方法。
  8. 【請求項8】上記導電性酸化物微粒子が、酸化錫、錫ア
    ンチモン酸化物またはインジウム錫酸化物から選択され
    た1種以上の微粒子であることを特徴とする請求項7記
    載の透明導電性基材の製造方法。
  9. 【請求項9】上記透明導電層形成用塗液内に、透明導電
    層のバインダーマトリックスを構成する無機バインダー
    が含まれていることを特徴とする請求項6〜8のいずれ
    かに記載の透明導電性基材の製造方法。
  10. 【請求項10】上記透明コート層形成用塗布液、およ
    び、上記透明導電層形成用塗液の無機バインダーがシリ
    カゾルを主成分としていることを特徴とする請求項6〜
    9のいずれかに記載の透明導電性基材の製造方法。
  11. 【請求項11】透明基板、および、この透明基板上に順
    次形成された透明導電層と透明コート層を備える透明導
    電性基材の製造に用いられる透明導電層形成用塗液にお
    いて、 溶媒、および、この溶媒に分散されかつ銀微粒子の表面
    に金若しくは白金単体または金と白金の複合体がコーテ
    ィングされると共に金および/または白金を50重量%
    を超え95重量%の範囲で含有する平均粒径1〜100
    nmの貴金属コート銀微粒子を主成分とすることを特徴
    とする透明導電層形成用塗液。
  12. 【請求項12】導電性酸化物微粒子が含まれていること
    を特徴とする請求項11記載の透明導電層形成用塗液。
  13. 【請求項13】上記導電性酸化物微粒子が、酸化錫、錫
    アンチモン酸化物またはインジウム錫酸化物から選択さ
    れた1種以上の微粒子であることを特徴とする請求項1
    2記載の透明導電層形成用塗液。
  14. 【請求項14】無機バインダーが含まれていることを特
    徴とする請求項11〜13のいずれかに記載の透明導電
    層形成用塗液。
  15. 【請求項15】透明基板、および、この透明基板上に順
    次形成された透明導電層と透明コート層を備える透明導
    電性基材の製造に用いられる透明導電層形成用塗液の製
    造方法において、 銀微粒子のコロイド状分散液に還元剤とアルカリ金属の
    金酸塩溶液および/または白金酸塩溶液を加えるか上記
    還元剤とアルカリ金属の金酸塩および白金酸塩の混合溶
    液を加えると共に、銀微粒子のコロイド状分散液とアル
    カリ金属の金酸塩溶液および/または白金酸塩溶液、あ
    るいは銀微粒子のコロイド状分散液とアルカリ金属の金
    酸塩および白金酸塩の混合溶液の各配合割合を調整し
    て、金および/または白金を50重量%を超え95重量
    %の範囲で含有する貴金属コート銀微粒子のコロイド状
    分散液を得る貴金属コート銀微粒子調製工程、 上記貴金属コート銀微粒子のコロイド状分散液における
    電解質濃度を下げる脱塩処理と上記コロイド状分散液を
    濃縮する濃縮処理を施して貴金属コート銀微粒子の分散
    濃縮液を得る脱塩・濃縮工程、 上記貴金属コート銀微粒子の分散濃縮液に溶媒単独、あ
    るいは導電性酸化物微粒子および/または無機バインダ
    ーが含まれた溶媒を加えて透明導電層形成用塗液を得る
    溶媒配合工程、 の各工程を具備することを特徴とする透明導電層形成用
    塗液の製造方法。
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