JP2003240036A - 防振ブッシュ - Google Patents
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- F16F1/38—Springs made of rubber or other material having high internal friction, e.g. thermoplastic elastomers with a sleeve of elastic material between a rigid outer sleeve and a rigid inner sleeve or pin, i.e. bushing-type
- F16F1/387—Springs made of rubber or other material having high internal friction, e.g. thermoplastic elastomers with a sleeve of elastic material between a rigid outer sleeve and a rigid inner sleeve or pin, i.e. bushing-type comprising means for modifying the rigidity in particular directions
- F16F1/3873—Springs made of rubber or other material having high internal friction, e.g. thermoplastic elastomers with a sleeve of elastic material between a rigid outer sleeve and a rigid inner sleeve or pin, i.e. bushing-type comprising means for modifying the rigidity in particular directions having holes or openings
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Abstract
ね比を実現するために従来から採用されていたスリット
に起因する異音や微振動の問題を伴うことなく、それら
二つの軸直角方向でのばね比を有利に設定することの出
来る、新規な構造の防振ブッシュを提供することにあ
る。 【解決手段】 インナ軸部材12とアウタ筒部材14を
弾性連結する本体ゴム弾性体16に対して、軸方向に貫
通して延びるすぐり孔20a〜dを、径方向で対向位置
するようにして二対設けて、それら二対のすぐり孔20
a〜dによって本体ゴム弾性体16を周方向で応力的に
分断せしめて二対の分割ゴム弾性体30a〜dを形成す
ると共に、該二対のすぐり孔20a〜dの対向方向線2
2,24を相互に斜交させて、二対の分割ゴム弾性体3
0a〜dの周方向長さを相互に異ならせた。
Description
ンブッシュやエンジンロールマウント,メンバマウン
ト、或いは自動車以外の電動モータ支持マウントなどと
して用いられ得る、ゴム弾性体を利用した筒形の防振ブ
ッシュに係り、特に、本体ゴム弾性体において大荷重入
力時の異音発生原因となり易い、軸直角方向の振動入力
線上にスリットを設けることなく、軸直角方向二方向で
有効なばね比を実現することの出来る、新規な構造と防
振ブッシュに関するものである。
介装される防振装置の一種として、例えば特開平5−1
26185号公報等に開示されているように、インナ軸
部材と、該インナ軸部材の外周側に離隔配置されたアウ
タ筒部材を、それらの径方向対向面間に配された本体ゴ
ム弾性体で連結した構造の防振ブッシュが知られてお
り、各種の軸直角方向や軸方向,ねじり方向,こじり方
向などの複数の方向に入力される振動に対して防振効果
を得ることが可能であることから、例えば自動車用のサ
スペンションブッシュ等に採用されている。
ては、前記公報にも記載されているように、互いに直交
する二つの軸直角方向でのばね特性を異ならせて相対的
に調節したり、こじり方向のばね特性を調節する等の目
的で、筒状ゴム弾性体に対して、周方向に所定幅で広が
って軸方向に貫通するスリットを、軸直角方向の振動入
力線上に位置せしめて形成することが一般に行なわれて
いる。
と、スリットが位置せしめられた軸直角方向の振動入力
線上で大きな振動荷重が入力された際に、軸直角方向で
対向位置せしめられたスリットの内面同士が互いに当接
し、かかる当接面でずれ方向に相対変位せしめられるこ
とにより摩擦等に起因する異音や微振動が発生し易いと
いう不具合があったのである。
背景として為されたものであって、その解決課題とする
ところは、軸直角方向の振動入力線上に形成された前記
スリットに起因する異音や微振動の問題を伴うことな
く、互いに直交する二つの軸直角方向でのばね特性を互
いに異ならせて大きなばね比を有利に設定することの出
来る、新規な構造の防振ブッシュを提供することにあ
る。
された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各
態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の
組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至
は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることな
く、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの
記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づ
いて認識されるものであることが理解されるべきであ
る。
の第一の態様の特徴とするところは、インナ軸部材と、
該インナ軸部材の外周側に離隔配置されたアウタ筒部材
を、それらの径方向対向面間に配された本体ゴム弾性体
で連結した防振ブッシュにおいて、前記インナ軸部材と
前記アウタ筒部材の間を軸方向に貫通して延びるすぐり
孔を、該インナ軸部材を挟んで径方向で対向位置するよ
うにして各独立して二対設けて、それら二対のすぐり孔
によって前記本体ゴム弾性体を周方向で応力的に分断せ
しめて二対の分割ゴム弾性体を形成すると共に、該二対
のすぐり孔の対向方向線を斜交させることにより該イン
ナ軸部材を挟んで対向位置せしめられた二対の分割ゴム
弾性体の周方向長さを相互に異ならせて、それら二対の
分割ゴム弾性体がそれぞれ対向する両径方向のばね特性
を互いに異ならせたことにある。
ム弾性体における振動荷重の入力方向でインナ軸部材側
とアウタ筒部材側を絶縁する技術目的で採用されていた
スリットに代えて、ゴム弾性体における振動荷重の主に
圧縮/引張方向での受圧領域の大きさを調節するとい
う、スリットとは全く基本的技術思想の異なる二対のす
ぐり孔を採用し、ゴム弾性体において振動荷重が及ぼさ
れる本体ゴムの周方向長さをかかる二対のすぐり孔で規
定することによって軸直角方向ばね特性を調節するよう
にしたのであり、しかも、二対のすぐり孔の対向方向線
を斜行させて、互いに直交する二方向でそれぞれ振動荷
重を分担する各一対の分割ゴム弾性体における受圧領域
としての周方向長さを相互に異ならせたことによって、
それら直交する二つの軸直角方向のばね比を十分に確保
することも可能と為し得たのである。
ッシュにおいては、従来からの問題であった振動荷重の
入力に際してのスリットの潰れに起因する異音や微振動
の問題が完全に解消され得ると共に、互いに直交する二
つの軸直角方向のばね比も良好に調節設定することが出
来るのである。
ッシュにおいては、二対のすぐり孔が何れも振動荷重の
入力方向線を周方向に外れて形成されていることから、
すぐり孔に起因する本体ゴム弾性体における応力集中が
大きな問題となるようなこともないのであり、それ故、
従来の振動荷重の入力方向線上に形成されたスリットで
大きな問題となっていたスリットの周方向両端部におけ
る本体ゴム弾性体の歪みや応力の集中に起因する亀裂発
生の問題も効果的に回避され得て、良好な耐久性が実現
され得るのである。
ッシュにおいては、従来構造の防振ブッシュで問題とな
っていた異音や微振動、更には耐久性の問題を悉く解消
せしめることが出来ると共に、二対のすぐり孔の周方向
位置や形状等を調節することによって、互いに直交する
二つの軸直角方向におけるばね比を、容易に且つ十分に
広い範囲に亘ってチューニングすることが可能となるの
であって、極めて優れた実用性を備えているのである。
周方向で応力的に分断せしめる各すぐり孔は、各分割ゴ
ム弾性体における弾性変形が相互に直接に伝達されるこ
とを実質的に回避せしめ得る形態であれば良い。即ち、
かかるすぐり孔は、一般に、インナ軸部材やアウタ筒部
材によって拘束されない本体ゴム弾性体の径方向略中央
部分において軸方向に貫通して位置せしめられる形態を
もって形成されることとなり、より好ましくは、インナ
軸部材とアウタ筒部材の間に跨がる軸直角方向寸法をも
って、或いはインナ軸部材の外周面とアウタ筒部材の外
周面に被覆ゴム層を残すだけで実質的にインナ軸部材と
アウタ筒部材の間に略跨がる軸直角方向寸法をもって形
成されることとなる。
は、要求される防振特性や耐荷重特性,耐久性などに応
じて、ゴム材料等も考慮して適宜に設定されることとな
るが、設計条件として与えられる通常の振動荷重の作用
に際しては、すぐり孔が潰れて対向する内周面同士が当
接し合わないように、すぐり孔の断面の形状と大きさを
設定することが望ましい。
態様に係る防振ブッシュにおいて、前記すぐり孔の周方
向幅寸法を、前記二対の分割ゴム弾性体の何れの周方向
幅寸法よりも小さくしたことを、特徴とする。このよう
な本態様に従う構造とされた防振ブッシュにおいては、
本体ゴム弾性体の全体ボリュームを十分に確保しつつ、
二対のすぐり孔による軸直角方向のばね比のチューニン
グ効果を十分に得ることが可能となる。
は第二の態様に係る防振ブッシュにおいて、前記すぐり
孔の横断面形状を、前記インナ軸部材側よりも前記アウ
タ筒部材側の方が大きくなる周方向幅寸法を有する略涙
状の異形楕円形状をもって形成したことを、特徴とす
る。このような本態様においては、すぐり孔の横断面形
状(インナ軸部材およびアウタ筒部材の軸直角方向に広
がる面上での形状)が、エッジ部のない異形楕円形の内
周面形状をもって形成されることにより、荷重入力に伴
う本体ゴム弾性体の弾性変形に際しての本体ゴム弾性体
における応力集中が一層効果的に軽減乃至は回避され
て、防振ブッシュの耐久性と耐荷重性能の更なる向上が
図られ得る。また、アウタ筒部材側よりも周長が小さく
なるインナ軸部材側の方が、すぐり穴の周方向幅が小さ
くされることにより、分割ゴム弾性体において周長が小
さくなる内周部分の有効ボリュームを有利に確保するこ
とが可能となる。更にまた、インナ軸部材とアウタ筒部
材の間への周方向のねじり荷重の作用に際して、本体ゴ
ム弾性体の内周側よりも周方向の変形量が大きくなる外
周側においてすぐり穴の周方向幅寸法が大きくされてい
ることから、ねじり荷重の入力時にもすぐり穴の周方向
の潰れが有利に回避され得るのである。
至第三の何れかの態様に係る防振ブッシュにおいて、前
記二対の分割ゴム弾性体がそれぞれ対向する両軸直角方
向の動的ばね定数の比が1:2より小さくしたことを特
徴とする。このような本態様においては、各分割ゴム弾
性体のボリュームおよび本体ゴム弾性体全体のボリュー
ムをそれぞれ十分に確保して有効な耐荷重性能等を保持
しつつ、特別な別途のばね比の調節手段を必要とするこ
となく、二対のすぐり穴によって互いに直交する軸直角
方向のばね比を容易にチューニングすることが出来るの
である。なお、動的ばね定数の比が1:2より小さいと
は、互いに直交する二つの軸直角方向での動的ばね定数
のうち、何れか小さい方の動的ばね定数に対して、他方
の動的ばね定数の値が1/2より小さいことをいう。
至第四の何れかの態様に係る防振ブッシュにおいて、前
記二対の分割ゴム弾性体のうち周方向長さが小さい方の
一対の分割ゴム弾性体を、周方向長さが大きい方の一対
の分割ゴム弾性体に比して、軸方向長さを短くしたこと
を、特徴とする。このような本態様においては、周方向
長さが短くされて軸直角方向のばね特定が柔らかく設定
された一対の分割ゴム弾性体を、更に、軸方向長さを短
くすることによりそのばね特性を一層小さくし、以て、
互いに直交する軸直角方向二方向でのばね比をより大き
く設定することが可能となる。そして、本態様に従え
ば、互いに直交する軸直角方向二方向でのばね比を例え
ば1:2以上に設定することも可能となって、ばね特性
のチューニング自由度の向上が図られ得る。特に、本態
様においては、分割ゴム弾性体の軸方向長さを小さくす
ることによって、分割ゴム弾性体における受圧領域のボ
リュームを周方向で確保しつつ、軸方向長さを小さくす
ることによって、こじり方向の入力荷重に対する分割ゴ
ム弾性体の耐久性も有利に確保することが可能となるの
である。
至第五の何れかの態様に係る防振ブッシュであって、前
記二対の分割ゴム弾性体がそれぞれ対向する両径方向で
の投影において、前記すぐり孔の周方向中心線と前記ア
ウタ筒金具との交点が、何れも、前記インナ軸部材の外
径幅外に位置せしめられていることを、特徴とする。こ
のような本態様においては、二対の分割ゴム弾性体の一
方が対向位置せしめられた軸直角方向に荷重が及ぼされ
た際に、他方の対向位置せしめられた分割ゴム弾性体に
おける圧縮変形が軽減乃至は回避され得ることから、そ
れら二対の分割ゴム弾性体が対向位置せしめられた二つ
の軸直角方向で一層大きなばね比を有利に設定すること
が可能となる。
至第五の何れかの態様に係る防振ブッシュにおいて、前
記二対の分割ゴム弾性体がそれぞれ対向する両径方向
が、何れも振動入力方向とされるようにして、装着せし
めたことを特徴とする。このような本態様に従えば、例
えば自動車用のサスペンションブッシュにおいて、周方
向長さが短くされた一対の分割ゴム弾性体が車両前後方
向で対向位置し、且つ周方向長さが長くされた一対の分
割ゴム弾性体が車両左右方向で対向位置するように装着
することにより、車両左右方向の硬いばね特性に基づい
て良好な操縦安定性を得ると共に、車両前後方向の柔ら
かいばね特性に基づいて良好な乗り心地を得ることが可
能となるのであり、防振ブッシュにおいて異なる軸直角
方向に要求される異なる防振特性を有利に実現すること
が出来るのである。
至第七の何れかの態様に係る防振ブッシュにおいて、前
記インナ軸部材の外周面に前記本体ゴム弾性体を直接に
接着せしめると共に、該インナ軸部材の外周面における
該本体ゴム弾性体の固着面に開口して周方向に延びる溝
状の凹部を形成したことを、特徴とする。このような本
態様においては、インナ軸部材の外周面に形成した凹部
によって、アウタ筒金具の外径寸法を変えることなく本
体ゴム弾性体の軸直角方向での自由長を大きくすること
が可能となって、軸直角方向のばね定数の低減や、分割
ゴム弾性体における軸直角方向歪みの軽減等が図られ得
ると共に、軸方向では、かかる凹部に充填されたゴムが
実質的に弾性変形しない死にゴムとなることから、凹部
の大きさや形状等を調節することによって、防振ブッシ
ュにおける軸直角方向と軸方向のばね特性を相対的にチ
ューニングすることが可能となって、より一層大きな特
性チューニングの自由度が実現され得るのである。
至第八の何れかの態様に係る防振ブッシュにおいて、前
記インナ軸部材の外周面に前記本体ゴム弾性体を直接に
接着せしめると共に、該インナ軸部材の外周面における
該本体ゴム弾性体の接着面を軸方向両側から軸方向中央
に向かって漸次大径化する大径部によって形成したこと
を、特徴とする。このような本態様においては、軸直角
方向のばね特性を有利に確保しつつ、インナ軸部材とア
ウタ筒部材の中心軸が相互に傾斜せしめられるこじり方
向のばね定数の低減が図られ得るのであり、大径部の形
状を調節することによってこじり方向のばね特性を容易
にチューニングすることが可能となる。
態様に係る防振ブッシュにおいて、前記本体ゴム弾性体
の軸方向両端面に開口して軸方向内方に向かってそれぞ
れ前記大径部の漸次大径化する傾斜面上に所定深さで延
びる一対のスリット溝を、それぞれ周方向の全周に亘っ
て連続した環状をもって形成したことを、特徴とする。
このような本態様においては、こじり方向のばね定数の
一層の低減が図られ得ることとなり、スリット溝の深さ
や形状等を適当に調節することによって、こじり方向の
ばね特性のチューニング自由度も一層拡大され得る。な
お、スリット溝は、こじり方向のばね定数を効率的に低
減するために、軸直角方向において大径部の頂点付近に
位置するように形成することが望ましい。また、スリッ
ト溝の形状は特に限定されるものでなく、例えば軸直角
方向の溝幅寸法も、略一定の寸法で深さ方向の全体に亘
って形成されていても良いし、深さ方向で軸直角方向の
溝幅寸法を変化させて軸方向外方に向かって拡開する溝
形状としても良い。
第十の態様に係る防振ブッシュにおいて、前記本体ゴム
弾性体に対して、加硫成形後に軸直角方向の予圧縮が加
えられることにより、前記一対のスリット溝が潰されて
いることを、特徴とする。このような本態様において
は、スリット溝による軸直角方向のばね剛性の低下が抑
えられることとなり、軸直角方向のばね剛性を十分に確
保しつつ、スリット溝によるこじり方向のばね定数の低
減効果が有効に発揮され得る。
にするために、本発明の実施形態について、図面を参照
しつつ、詳細に説明する。
ッシュの第一の実施形態としての自動車用サスペンショ
ンブッシュ10が、示されている。このサスペンション
ブッシュ10は、インナ軸部材としての内筒金具12と
アウタ筒部材としての外筒金具14が、径方向に離隔配
置されていると共に、径方向対向面間に介装された本体
ゴム弾性体16によって弾性連結されており、全体とし
て厚肉の円筒形状を有している。そして、かかるサスペ
ンションブッシュ10は、図面上に明示はされていない
が、内筒金具が自動車の車体フレーム側に取り付けられ
る一方、外筒金具がサスペンションアーム側に取り付け
られることにより、サスペンションアームの車体フレー
ムへの取付部位に装着されて、サスペンションアームを
車体フレームに対して防振連結するようになっている。
なお、以下の説明中、図2の左右方向を中心軸方向とい
う。
トレートな円筒形状を有しており、鉄鋼の如き金属等か
らなる剛性材によって形成されている。また、内筒金具
12の外周面上には、径方向外方に離隔して、外筒金具
14が配設されている。この外筒金具14は、内筒金具
12と同様に剛性材で形成されており、内筒金具12よ
りも十分に大きな径寸法を有する薄肉のストレートな円
筒形状を有している。なお、特に本実施形態が対象とす
るサスペンションブッシュでは、一般に、内筒金具12
の外径寸法の1.5〜4倍の内径寸法を備えた外筒金具
14が好適に採用されるが、内外筒金具12,14の相
対的な径寸法は、要求される特性に応じて適宜に設定さ
れることとなり、限定されるものでない。また、特に本
実施形態では、内筒金具12の軸方向長さが外筒金具1
4の軸方向長さよりも大きくされており、内筒金具12
の軸方向両端部が外筒金具14の軸方向両側からそれぞ
れ突出せしめられている。
互いに略同一中心軸上に配設されており、これら内外筒
金具12,14の径方向対向面間に本体ゴム弾性体16
が配設されている。かかる本体ゴム弾性体16は、全体
として厚肉の円筒形状を有しており、本実施形態では、
内外筒金具12,14を備えた一体加硫成形品として形
成されることによって、その内周面が内筒金具12の外
周面に加硫接着されていると共に、その外周面が外筒金
具14の内周面に加硫接着されている。
全体としてブッシュ中心軸18回りの回転体形状とされ
ている。また、本体ゴム弾性体16は、軸方向両端面が
テーパ状面とされて、径方向内側から径方向外側に行く
に従って次第に軸方向長さが小さくされており、外周部
分に比して周長の小さい内周部分のゴムボリュームが軸
方向長さで確保されるようになっている。なお、本体ゴ
ム弾性体16の内外周面における内外筒金具12,14
への接着部位には、軸方向両側に湾曲して広がる形状の
所謂フィレットアールが付されており、接着面端部の耐
久性の向上が図られている。
合計4個のすぐり孔20a〜dが、周方向に相互に離隔
位置して、内外筒金具12,14間を略一定の断面形状
でブッシュ中心軸18と平行に延びるようにして貫通し
て形成されている。かかるすぐり孔20a〜dは、何れ
も同一形状とされており、その横断面(軸直角方向断
面)形状は、径方向内方端側の小径の円弧状部と径方向
外方端側の大径の円弧状部を相互に湾曲線で繋いだ、全
体として略涙状の異形楕円形状とされており、その周方
向幅寸法が内筒金具12側よりも外筒金具14側の方が
大きくされている。
および20cと20dが、互いに対を為すようにして、
ブッシュ中心軸18を挟んで対向位置せしめられてお
り、全体として二対のすぐり孔20a,20bと20
c,20dが形成されている。即ち、各対を為すぐり孔
20aと20bおよび20cと20dは、ブッシュ中心
軸18を通る各一つの直径線を対向線22,24とし
て、かかる対向線22,24上に設けられており、各す
ぐり孔20aと20bおよび20cと20dの各長軸、
換言すれは周方向中心線がそれら対向線22,24に一
致するように形成位置せしめられている。
直交することなく斜交せしめられており、本実施形態で
は、図1に示されているように、図中の上下方向で対向
位置せしめられた一対の交角:αが、図中の左右方向で
対向位置せしめられた一対の交角:βよりも小さくされ
ている。なお、これらの交角:α,βの大きさは、サス
ペンションブッシュ10の要求特性等に応じて適宜に決
定されるものであって限定されるものでないが、特に本
実施形態のサスペンションブッシュ10においては、α
=略75度,β=略105度に設定されている。
のすぐり孔20a〜dの相互間の主方向離隔距離が、交
互に大小異ならせられており、すぐり孔20aとすぐり
孔20bの周方向間およびすぐり孔20cとすぐり孔2
0dの周方向間に対して、すぐり孔20bとすぐり孔2
0cの周方向間およびすぐり孔20dとすぐり孔20a
の周方向間の方が大きく設定されている。
筒金具12の外周面と外筒金具14の内周面にそれぞれ
ゴム材料を回して本体ゴム弾性体16を一体成形する等
の目的で形成される薄肉の被覆ゴム層26,28を残し
て、実質的に内外筒金具12,14の径方向対向面間の
略全体に亘る径方向寸法をもって形成されている。これ
によって、本体ゴム弾性体16は、4つのすぐり孔20
a〜dによって周方向で4つの分割ゴム弾性体30a〜
dに実質的に分割されている。なお、本実施形態では、
各すぐり孔20a〜dの周方向幅寸法に比して、各分割
ゴム弾性体30a〜dの何れの周方向幅寸法も、十分に
大きく設定されている。因みに、すぐり孔20a〜dの
周方向幅寸法は、サスペンションブッシュ10の要求特
性等を考慮して適宜に設定されるものであって限定され
るものでないが、本実施形態のサスペンションブッシュ
では、一般にブッシュ中心軸18回りで5〜30度の周
方向幅寸法をもって形成されることが望ましい。
〜dの周方向幅寸法は、それを分割する4つのすぐり孔
20a〜20dの周方向間隔が前述の如く周方向で異な
らせられていることによって、周方向で交互に大小異な
らせられており、図1中の上下方向で対向位置せしめら
れた第一の分割ゴム弾性体30a,30cの周方向幅寸
法よりも、図1中の左右方向で対向位置せしめられた第
二の分割ゴム弾性体30b,30dの周方向幅寸法の方
が大きくされている。
体30a,30cが対向する軸直角方向(図1中の上下
方向)での投影寸法に関して、第一の分割ゴム弾性体3
0aおよび30cの各周方向両側に形成されたすぐり孔
20a,20bおよびすぐり孔20c,20dの各周方
向中心線としての径方向対向線22,24における外筒
金具14の内周面との交点間の距離:B1が、内筒金具
12の外径寸法:Dよりも大きく設定されている。ま
た、第二の分割ゴム弾性体30b,30dが対向する軸
直角方向(図1中の左右方向)での投影寸法に関して
も、第二の分割ゴム弾性体30bおよび30dの各周方
向両側に形成されたすぐり孔20b,20cおよびすぐ
り孔20d,20aの各周方向中心線としての径方向対
向線22,24における外筒金具14の内周面との交点
間の距離:B2が、内筒金具12の外径寸法:Dより大
きく設定されている。
a,30cが対向する軸直角方向(図1中の上下方向)
において内外筒金具12,14間に荷重が及ぼされた際
には、荷重入力方向で対向位置せしめれた第一の分割ゴ
ム弾性体30a,30cに対してそれぞれ有効な圧縮/
引張変形が生ぜしめられる一方、荷重入力方向に直交し
て対向位置せしめられた第二の分割ゴム弾性体30b,
30dに対して生ぜしめられる圧縮/引張変形が軽減乃
至は回避されて剪断変形が主体とされることにより、第
一の分割ゴム弾性体30a,30bのばね特性が支配的
となるようにされている。また一方、第二の分割ゴム弾
性体30b,30dが対向する軸直角方向(図1中の左
右方向)において内外筒金具12,14間に荷重が及ぼ
された際には、荷重入力方向で対向位置せしめれた第二
の分割ゴム弾性体30b,30dに対してそれぞれ有効
な圧縮/引張変形が生ぜしめられる一方、荷重入力方向
に直交して対向位置せしめられた第一の分割ゴム弾性体
30a,30cに対して生ぜしめられる圧縮/引張変形
が軽減乃至は回避されて剪断変形が主体とされることに
より、第二の分割ゴム弾性体30b,30dのばね特性
が支配的となるようにされている。
cの対向方向と、第二の分割ゴム弾性体30b,30d
の対向方向の何れの軸直角方向での投影に関しても、投
影方向中心線を周方向に挟んだ両側に位置せしめられた
一対のすぐり孔20a,20bおよび20b,20cの
各径方向対向線22,24における内筒金具12の外周
面との交点間の距離:b1,b2は、何れも、内筒金具
12の外径寸法:Dよりも小さく設定されている。
aと20bおよび20cと20dが形成された本体ゴム
弾性体16の一体加硫成形品は、例えば、合計4つのす
ぐり孔20a〜dを形成するためのロッド状の中子等を
立設せしめた成形キャビティを有する成形型に予め接着
処理を施した内外筒金具12,14をセットして、かか
る成形キャビティに所定のゴム材料を射出充填し、加硫
処理を施すことによって形成されることとなるが、本体
ゴム弾性体16の加硫成形後、必要に応じて、外筒金具
14に対して八方絞り等の縮径加工が施される。これに
より、図1〜2に示されている如き、目的とするサスペ
ンションブッシュ10とされるのであり、加硫成形後に
縮径加工を施すことによって、加硫時の収縮等によって
本体ゴム弾性体16に発生する引張方向の内部応力を解
消し、また予圧縮を加えてばね定数や耐久性を含む本体
ゴム弾性体16の特性を調節するようにされる。
0は、周方向長さが小さい第一の分割ゴム弾性体30
a,30cの対向方向が車両前後方向となり、且つ周方
向長さが大きい第二の分割ゴム弾性体30b,30dの
対向方向が車両左右方向となるようにして、自動車に対
して装着されるようにされる。これにより、第一の分割
ゴム弾性体30a,30cの対向方向と、第二の分割ゴ
ム弾性体30b,30dの対向方向が、それぞれ、防振
すべき主たる振動荷重の入力方向とされることとなる。
なお、かかる装着時の周方向位置合わせを容易且つ確実
とするために、第一の分割ゴム弾性体30a,30cに
は、それぞれ、軸方向少なくとも一方の端面において、
周方向中央部分を示す位置決め用のマーク32が、ペイ
ントや浮出成形によって付されている。
ッシュ10では、車両前後方向での防振すべき振動入力
に際して主に圧縮/引張変形せしめられて動的ばね特性
に大きな影響を与える第一の分割ゴム弾性体30a,3
0cと、車両左右方向での防振すべき振動入力に際して
主に圧縮/引張変形せしめられて動的ばね特性に大きな
影響を与える第二の分割ゴム弾性体30b,30dと
が、二対のすぐり孔20a〜dによって互いに異なる周
方向長さとされて有効な受圧容積が異ならされているこ
とから、それら車両前後方向と左右方向の二つの軸直角
方向の動的ばね特性が相異ならせられているのであり、
それら二つの異なる軸直角方向で、それぞれ、異なる要
求特性が有利に実現可能となるのであり、具体的には、
車両前後方向では柔らかいばね特性に基づいて良好な乗
り心地を実現しつつ、車両左右方向のばね特性を硬くし
て操縦安定性の向上を図ることが出来るのである。
シュ10においては、防振すべき主たる振動が入力され
る何れの径方向においても、圧縮/引張変形せしめられ
る第一及び第二の分割ゴム弾性体30a〜dに対して従
来構造のような周方向に延びるスリットが形成されてお
らず、それら分割ゴム弾性体30a〜dが何れも中実の
ブロック構造とされていることから、大きな振動荷重の
入力に際しても従来のスリットに起因する異音や微振動
の発生が問題となるようなこともない。
〜dが、内周面において屈曲点のない滑らかな湾曲面形
状とされていることから、第一及び第二の分割ゴム弾性
体30a〜dにおける応力集中が軽減乃至は回避され得
ることとなり、それによって、一層優れた耐久性が発揮
され得るのである。
形態としての自動車用サスペンションブッシュ40が示
されている。なお、本実施形態において、第一の実施形
態と略同様な構造とされた部材および部位については、
図中に、第一の実施形態と同一の符号を付することによ
り、それらの詳細な説明を省略する。
ッシュ40は、第一の実施形態に比して、互いに直交す
る二つの防振すべき主たる振動入力方向(図3中、上下
方向と左右方向)での動的ばね定数の比を大きく設定す
ることを目的としたものであり、そのための第一の方策
として、第一の実施形態のサスペンションブッシュ(1
0)に比して、本実施形態のサスペンションブッシュ4
0においては、二つの径方向対向線22,24における
二つの交角:α,βの差が、第一の実施形態よりも大き
く設定されている。
いるように、本実施形態のサスペンションブッシュ40
においては、周方向幅寸法が小さくされた方の一対の分
割ゴム弾性体30a,30cが、周方向幅寸法が大きく
された方の一対の分割ゴム弾性体30b,30dに比し
て、軸方向両側面42,42が軸方向内方にそれぞれ入
り込んだ形状とされており、それによって、周方向幅寸
法が小さくされた方の一対の分割ゴム弾性体30a,3
0cの軸方向長さが、周値方向幅寸法が大きくされた方
の一対の分割ゴム弾性体30b,30dの軸方向長さに
比して、小さく設定されている。
ペンションブッシュ40においては、車両前後方向で対
向位置せしめられた一対の分割ゴム弾性体30a,30
cの受圧容積が周方向および軸方向で縮小されており、
かかる一対の分割ゴム弾性体30a,30cにおける受
圧容積が、他方の対を為す分割ゴム弾性体30b,30
dの受圧容積に対する比として、第一の実施形態のサス
ペンションブッシュ(10)よりも相対的に一層小さく
設定されているのであり、それによって、それら互いに
直交する二つの径方向でのばね比が一層大きくチューニ
ング可能とされている。
されたサスペンションブッシュ(10)であって、二つ
の径方向対向線22,24の交角をα=75度とし、且
つ各すぐり孔20a〜dの周方向開口角度を何れも15
度とした場合の一具体例について互いに直交する二つの
径方向(図1中の上下方向と左右方向)での動的ばね定
数の比を実測したところ、1:1.3程度であったのに
対して、本第二の実施形態に従う構造とされたサスペン
ションブッシュ(40)であって、二つの径方向対向線
22,24度交角をα=60度とし、且つ各すぐり孔2
0a〜dの周方向開口角度を何れも15度とすると共
に、第一の分割ゴム弾性体30a,30cに対して第二
の分割ゴム弾性体30b,30dの軸方向長さを略2.
5倍に設定した場合の一具体例について互いに直交する
二つの径方向(図3中の上下方向と左右方向)での動的
ばね定数の比を実測したところ、1:1.9程度である
ことが確認された。
施形態としての自動車用サスペンションブッシュ50が
示されている。なお、本実施形態においても、第一の実
施形態と略同様な構造とされた部材および部位について
は、図中に、第一の実施形態と同一の符号を付すること
により、それらの詳細な説明を省略する。
ッシュ50は、第一の実施形態に比して、軸直角方向の
動的ばね定数と軸方向の動的ばね定数の比を大きく設定
することを目的としたものであり、そのための方策とし
て、第一の実施形態のサスペンションブッシュ(10)
とは、異なる形状の内筒金具12が採用されている。
ートな厚肉の略円筒形状を有する点で第一の実施形態の
ものと基本的に同じであるが、軸方向中央部分におい
て、外周面に開口して周方向の全周に亘って延びる凹部
としての周方向溝52が形成されている。特に本実施形
態では、かかる周方向溝52が、略一定の深さ寸法で軸
方向に所定幅で広がると共に、軸方向両側壁面が、開口
部側に向かって軸方向両側に拡開するテーパ面54,5
4とされており、略一定の断面形状で周方向に連続して
延びるように形成されている。また、周方向溝52にお
ける略一定深さの底面は、本体ゴム弾性体16において
最も軸方向長さの小さい部分と略同じ軸方向長さで、略
同じ軸方向位置に形成されている。更にまた、周方向溝
52における開口部は、本体ゴム弾性体16において最
も軸方向長さの大きい内周部分と略同じ軸方向長さで、
略同じ軸方向位置に形成されている。
ッシュ50においては、第一の実施形態のサスペンショ
ンブッシュ(10)に比して、第一及び第二の分割ゴム
弾性体30a〜dの径方向寸法が、外筒金具14の外径
寸法を変更することなく、周方向溝52の深さ分だけ大
きくされて、径方向自由長が有利に確保され得るのであ
り、それによって、径方向のばね特性が柔らかい設定さ
れ得ることとなる。一方、軸方向の荷重入力に際して
は、かかる周方向溝52がブラインド部分となって、該
周方向溝52に充填されたゴム弾性体が所謂死にゴムと
なってしまうことから、本実施形態のサスペンションブ
ッシュ50の軸方向におけるばね特性は、第一の実施形
態に係るサスペンションブッシュ(10)と略同じに発
揮されることとなる。
シュ50においては、第一の実施形態のサスペンション
ブッシュ(10)に比して、軸方向のばね特性を有効に
確保しつつ、各種径方向の動的ばね定数を小さくチュー
ニング設定することが可能となるのであり、ばね特性の
チューニング自由度の向上が図られ得るのである。
されたサスペンションブッシュ(10)であって、二つ
の径方向対向線22,24の交角をα=75度とし、且
つ各すぐり孔20a〜dの周方向開口角度を何れも15
度とした場合の一具体例に比して、内筒金具12に対し
て周方向溝52を、本体ゴム弾性体16の径方向寸法の
略1/4の深さで形成することによって、軸方向の動的
ばね定数を略同じに確保しつつ、径方向の動的ばね定数
を、略80%程度まで小さく設定可能であることが確認
された。
施形態としての自動車用サスペンションブッシュ60が
示されている。なお、本実施形態においても、第一の実
施形態と略同様な構造とされた部材および部位について
は、図中に、第一の実施形態と同一の符号を付すること
により、それらの詳細な説明を省略する。
ッシュ60は、第一の実施形態に比して、軸直角方向の
動的ばね定数乃至はばね剛性を有効に確保しつつ、内外
筒金具12,14の両中心軸が相互に傾斜せしめられる
こじり方向の動的ばね定数乃至はばね剛性を小さく設定
することを目的としたものであり、そのための方策とし
て、第一の実施形態のサスペンションブッシュ(10)
とは、異なる形状の内筒金具12が採用されている。
ートな厚肉の略円筒形状を有する点で第一の実施形態の
ものと基本的に同じであるが、軸方向中央部分におい
て、径方向外方に突出する大径部62が一体形成されて
いる。この大径部62は、軸方向中央部分が最大外径部
64とされており、かかる最大外径部64が軸方向に所
定長さで延びる略円筒形状の大径外周面66を備えてい
る。また、最大外径部の軸方向両側は、それぞれ軸方向
外方に向かって外径寸法が次第に小さくなる変化外径部
68とされており、これら一対の変化外径部68,68
がテーパ筒形状を有するテーパ外周面70,70を備え
ている。これにより、大径部62の外周面は、全体とし
て、最大外径部64の大径外周面66が、軸方向両側に
おいてテーパ外周面70,70によって、内筒金具12
のストレートな外周面に対してそれぞれ段差部を持たな
いで連続して接続された形状とされている。なお、これ
ら大径外周面66とテーパ外周面70,70で形成され
た大径部62の外周面は、内筒金具12のストレートな
外周面との接続部位を含むその全体において、折曲点の
ない滑らかな形状とされていることが望ましい。また、
このような内筒金具12は、鍛造や切削、或いはバルジ
加工等で形成することが可能であり、内筒金具12の中
心孔74は、軸方向の全長に亘って必ずしも一定である
必要はない。
ける大径部62の軸方向長さ(最大外径部64と一対の
変化外径部68,68を含む全体の軸方向長さ)が、外
筒金具14の軸方向長さと略同じか僅かに短くされてお
り、内外筒金具12,14の径方向対向面間を弾性連結
する本体ゴム弾性体16が、かかる大径部62の大径外
周面64と一対のテーパ外周面70,70に対して加硫
接着されて直接に固着されている。要するに、本体ゴム
弾性体16における内外筒金具12,14を実質的に連
結する部分の軸方向寸法が、内筒金具12の最大外部部
64の軸方向寸法よりも十分に大きく設定されており、
テーパ外周面70,70と外筒金具14の径方向対向面
間にも本体ゴム弾性体16が直接に介在せしめられてい
る。
示されている如き加硫成形品において、内外筒金具1
2,14間を周方向に延びる一対の環状のスリット溝7
2,72が、軸方向両端面に開口して形成されている。
このスリット溝72は、本体ゴム弾性体16のテーパ外
周面70の径方向外方に位置して軸方向に延びて形成さ
れており、軸方向底部が大径外周面66上にまでは至ら
ない深さ寸法とされている。なお、スリット溝72の深
さ寸法(内外筒金具12,14の軸方向での寸法)は、
要求されるこじり特性を考慮しつつ、内外筒金具12,
14間に及ぼされる軸方向加重やこじり方向加重に対し
て本体ゴム弾性体16の耐久強度が十分に発揮されるよ
うに適宜に設定されるものであって特に限定されるもの
でないが、こじり方向のばね定数の低減効果を有利に得
るために、一般に本体ゴム弾性体16の実質的な軸方向
長さ(内外筒金具12,14を径方向で連結する部分の
中で最も小さい部分の軸方向寸法)の1/6程度を目安
として、各一方のスリット溝72の深さ寸法が設定され
ることとなる。
口幅寸法が周方向と深さ方向の何れにおいても略一定と
されており、内筒金具12の外周面から径方向外方に僅
かに離隔した位置を内筒金具12の中心軸回りで周方向
に円環形状に延びるように形成されている。特に、本実
施形態では、かかるスリット溝72が、本体ゴム弾性体
16の径方向において、外筒金具14よりも内筒金具1
2に近い位置に形成されており、径方向においてスリッ
ト溝72の内周側壁面が内筒金具12の大径外周面66
と略同じ位置となるように、スリット溝72の径方向寸
法が設定されている。
予め接着処理を施した内外筒金具12,14をセットし
た成形型の成形キャビティにゴム材料を射出充填し、加
硫処理を施すことにより、内外筒金具12,14を備え
た一体加硫成形品76として形成されることとなるが、
その後、外筒金具14に対して八方絞り等の縮径加工が
施されることにより、本体ゴム弾性体16に対して径方
向の予圧縮が加えられている。即ち、図3に示されてい
るように、本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品76に
おいては、一対のスリット溝72,72が、所定幅で開
口する周溝とされているが、かかる一体加硫成形品76
の外筒金具14に縮径加工を施すことによって本体ゴム
弾性体16が径方向に圧縮変形せしめられる結果、図8
〜9に示されているように、一対のスリット溝72,7
2が、何れも径方向に押しつぶされており、各スリット
溝72の内周側壁面と外周側壁面が互いに密着状態で重
ね合わされて実質的にスリット溝72,72の全体が消
失せしめられている。
ッシュ60は、軸直角方向では、一対のスリット溝7
2,72が実質的に潰れており、内外筒金具12,14
間で軸直角方向に入力される荷重が、本体ゴム弾性体1
6を介して、一対のスリット溝72,72による影響を
殆ど受けることなく伝達されることとなり、有効な軸直
角方向のばね剛性が発揮され得ることとなる。一方、こ
じり方向では、こじり中心が位置せしめられる軸方向中
央部分よりも、こじり変位に際しての内外筒金具12,
14の相対変位量が軸方向中央部分よりも大きくなる軸
方向両側部分において、内外筒金具12,14の径方向
対向面間距離ひいては本体ゴム弾性体16の径方向厚さ
寸法が大きく設定されていることに加えて、本体ゴム弾
性体16の弾性変形(歪量乃至は応力)が最も大きくな
る軸方向両端部分にそれぞれスリット溝72,72が形
成されて引張応力が分断軽減されるようになっているこ
とから、十分に柔らかい動的ばね特性乃至はばね剛性が
発揮され得ることとなる。
シュ60においては、第一の実施形態のサスペンション
ブッシュ(10)と同様に、二対のすぐり孔20a〜d
による軸直角方向でのばね比のチューニング効果等が有
効に発揮され得ることに加えて、大径部62の形状や大
きさ等を適当に調節することによって、こじり方向のば
ね特性を独立的に、或いは軸方向や軸直角方向とのばね
比を考慮して、チューニングすることもできるのであ
る。
きたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、
かかる実施形態や前記解決手段等における具体的な記載
によって何等限定的に解釈されるものでない。
いた内筒金具12の周方向溝52を、周方向に不連続と
して、第一の分割ゴム弾性体30a,30cの形成部位
にだけ形成することにより、第一の分割ゴム弾性体30
a,30cの径方向ばね特性を、第二の分割ゴム弾性体
30b,30dの径方向ばね特性に比して、より柔らか
く設定することも可能である。また、かかる周方向溝5
2を周方向の全周に亘って連続して形成する場合でも、
その深さ寸法や軸方向幅寸法を周方向で異ならせること
によって、互いに異なる径方向でのばね特性を相対的に
チューニングすることが可能である。
筒金具12の大径部62の形状や大きさを周方向に変化
させることにより、こじり方向のばね特性を周方向に変
化させて設定することも可能である。更にまた、大径部
62の具体的形状は、要求される防振特性等を考慮して
適宜に設定されるものであり、例えば、円筒形状の大径
外周面66の軸方向長さを変更したり、テーパ外周面の
傾斜角度を変更したり、或いは大径部62の外周面の全
体を球面形状としたりすることによって、特にこじり方
向の特性を変更設定することが可能である。また、かか
る第四の実施形態において、外筒金具14の軸方向両端
部分を中央部分よりも大きく縮径加工して、外筒金具1
4の軸方向両端部分の内周面を、内筒金具12の変化外
径部68と略対応したテーパ状面としても良く、それに
よって、こじり方向のばね特性、或いは軸直角方向や軸
方向とこじり方向のばね比のチューニング自由度が一層
大きく確保され得る。
車用のサスペンションブッシュに適用した場合の具体例
を示したが、本発明は、その他、自動車用、或いは自動
車以外の例えばモータ等の駆動手段の防振支持機構な
ど、各種装置に用いられる防振装置としての防振ブッシ
ュに対して、広い範囲で適用可能であることは、勿論で
ある。
業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加
えた態様において実施され得るものであり、また、その
ような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何
れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言
うまでもないところである。
に従う構造とされた防振ブッシュにおいては、従来構造
のインナ軸部材側とアウタ筒部材側を絶縁する技術目的
で採用されていたスリットに代えて、ゴム弾性体におけ
る振動荷重の受圧領域の大きさを調節するという全く新
規な技術思想に基づく二対のすぐり孔を採用して、ゴム
弾性体において振動荷重が及ぼされる本体ゴムの周方向
長さをかかる二対のすぐり孔で規定することによって軸
直角方向ばね特性を調節するようにしたのであり、それ
故、従来構造のスリットを採用した防振ブッシュで問題
となっていた異音や微振動、更には耐久性の問題を悉く
解消せしめ得ると共に、二対のすぐり孔の周方向位置や
形状等を調節することによって、互いに直交する二つの
軸直角方向におけるばね比を、容易に且つ十分に広い範
囲に亘ってチューニングすることが出来るのである。
ペンションブッシュを示す軸方向端面図である。
ペンションブッシュを示す軸方向端面図である。
ペンションブッシュを示す軸方向端面図である。
ペンションブッシュを示す軸方向端面図である。
成する一体加硫成形品を示す、図9に対応する縦断面図
である。
Claims (11)
- 【請求項1】 インナ軸部材と、該インナ軸部材の外周
側に離隔配置されたアウタ筒部材を、それらの径方向対
向面間に配された本体ゴム弾性体で連結した防振ブッシ
ュにおいて、 前記インナ軸部材と前記アウタ筒部材の間を軸方向に貫
通して延びるすぐり孔を、該インナ軸部材を挟んで径方
向で対向位置するようにして各独立して二対設けて、そ
れら二対のすぐり孔によって前記本体ゴム弾性体を周方
向で応力的に分断せしめて二対の分割ゴム弾性体を形成
すると共に、該二対のすぐり孔の対向方向線を斜交させ
ることにより該インナ軸部材を挟んで対向位置せしめら
れた二対の分割ゴム弾性体の周方向長さを相互に異なら
せて、それら二対の分割ゴム弾性体がそれぞれ対向する
両径方向のばね特性を互いに異ならせたことを特徴とす
る防振ブッシュ。 - 【請求項2】 前記すぐり孔の周方向幅寸法を、前記二
対の分割ゴム弾性体の何れの周方向幅寸法よりも小さく
した請求項1に記載の防振ブッシュ。 - 【請求項3】 前記すぐり孔の横断面形状を、前記イン
ナ軸部材側よりも前記アウタ筒部材側の方が大きくなる
周方向幅寸法を有する略涙状の異形楕円形状をもって形
成した請求項1又は2に記載の防振ブッシュ。 - 【請求項4】 前記二対の分割ゴム弾性体がそれぞれ対
向する両軸直角方向の動的ばね定数の比が1:2より小
さい請求項1乃至3の何れかに記載の防振ブッシュ。 - 【請求項5】 前記二対の分割ゴム弾性体のうち周方向
長さが小さい方の一対の分割ゴム弾性体を、周方向長さ
が大きい方の一対の分割ゴム弾性体に比して、軸方向長
さを短くした請求項1乃至4の何れかに記載の防振ブッ
シュ。 - 【請求項6】 前記二対の分割ゴム弾性体がそれぞれ対
向する両径方向での投影において、前記すぐり孔の周方
向中心線と前記アウタ筒金具との交点が、何れも、前記
インナ軸部材の外径幅外に位置せしめられている請求項
1乃至5の何れかに記載の防振ブッシュ。 - 【請求項7】 前記二対の分割ゴム弾性体がそれぞれ対
向する両径方向が、何れも振動入力方向とされる請求項
1乃至6の何れかに記載の防振ブッシュ。 - 【請求項8】 前記インナ軸部材の外周面に前記本体ゴ
ム弾性体を直接に接着せしめると共に、該インナ軸部材
の外周面における該本体ゴム弾性体の固着面に開口して
周方向に延びる溝状の凹部を形成した請求項1乃至7の
何れかに記載の防振ブッシュ。 - 【請求項9】 前記インナ軸部材の外周面に前記本体ゴ
ム弾性体を直接に接着せしめると共に、該インナ軸部材
の外周面における該本体ゴム弾性体の接着面を軸方向両
側から軸方向中央に向かって漸次大径化する大径部によ
って形成した請求項1乃至7の何れかに記載の防振ブッ
シュ。 - 【請求項10】 前記本体ゴム弾性体の軸方向両端面に
開口して軸方向内方に向かってそれぞれ前記大径部の漸
次大径化する傾斜面上に所定深さで延びる一対のスリッ
ト溝を、それぞれ周方向の全周に亘って連続した環状を
もって形成した請求項9に記載の防振ブッシュ。 - 【請求項11】 前記本体ゴム弾性体に対して、加硫成
形後に軸直角方向の予圧縮が加えられることにより、前
記一対のスリット溝が潰されている請求項10に記載の
防振ブッシュ。
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