JP2002266929A - 流体封入式トーコレクトブッシュおよびそれを用いたサスペンション機構 - Google Patents

流体封入式トーコレクトブッシュおよびそれを用いたサスペンション機構

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JP2002266929A
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達哉 伊藤
Hiromasa Nakaura
啓全 中浦
Yukio Hayashi
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Yoshiyuki Mori
善之 森
Masahiro Izeki
政博 井関
Yuichi Kiyota
裕一 清田
Hidenori Murata
英紀 村田
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    • B60G2204/41Elastic mounts, e.g. bushings
    • B60G2204/4104Bushings having modified rigidity in particular directions
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    • B60G2204/41062Elastokinematic mounts hydromounts; interconnected mounts

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  • Vehicle Body Suspensions (AREA)
  • Combined Devices Of Dampers And Springs (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 サスペンション機構への装着状態下で発揮さ
れる乗心地と操縦安定性の両方の要求特性を、より高次
元で両立して達成することの出来る、新規な構造のトー
コレクトブッシュを提供することを、目的とする。 【解決手段】 内筒金具12を挟んだ径方向両側に、第
一の流体室92と第二の流体室94を形成すると共に、
それら両流体室92,94間を連通せしめるオリフィス
通路96を形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、自動車のサスペンションブッシ
ュの一種であるトーコレクトブッシュとそれを用いたサ
スペンション機構に係り、特に、トーションビーム式リ
ジットアクスル型のサスペンション機構に用いられて、
左右のトレーリングアームのボデー側への取付部位に装
着される新規な構造のトーコレクトブッシュと、かかる
トーコレクトブッシュを採用することによって実現され
る、車両の操縦安定性と乗心地を両立して高度に達成せ
しめ得る新規な構造のサスペンション機構に関するもの
である。
【0002】
【背景技術】従来から、自動車におけるトーションビー
ム式リジットアクスル型のサスペンション機構におい
て、トーションビーム(ツイストビームとも言う)で連
結された左右のトレーリングアームのボデー側への取付
部位に装着されるサスペンションブッシュの一種とし
て、特開平9−104212号公報や特開平11−24
7914号公報,特開平11−257396号公報,特
開2000−74117号公報等に開示されているよう
に、インナ軸金具の軸方向一方の端部において、軸方向
外方に傾いて径方向一方向で斜め外方に向かって突出す
るインナ側傾斜部を設けると共に、アウタ筒金具の軸方
向一方の端部において、軸方向外方に傾いて径方向一方
向で斜め外方に向かって突出し、インナ側傾斜部に対し
て略平行な対向面で離隔して対向位置するアウタ側傾斜
部を形成する一方、それらインナ軸金具とアウタ筒金具
の径方向対向面間に本体ゴム弾性体を介在せしめて両金
具を弾性連結せしめると共に、インナ側傾斜部とアウタ
側傾斜部の対向面間に介装されてそれらを弾性的に連結
するトーコレクトゴム弾性体を、かかる本体ゴム弾性体
と一体的に形成した構造のトーコレクトブッシュが、知
られている。かくの如き構造のトーコレクトブッシュ
は、その中心軸(インナ軸金具およびアウタ筒金具の中
心軸)が車両横方向となり、インナ側およびアウタ側の
傾斜部の突出する軸直角方向が車両前後方向となる状態
で自動車に装着されることとなり、その特性が、自動車
の走行時におけるトレーリングアーム、延いては車輪の
変位に大きな影響を及ぼすことから、目的とする車両の
乗心地や操縦安定性が発揮されるように、トーコレクト
ブッシュの特性がチューニングされる。
【0003】そして、このようなトーションビーム式サ
スペンション機構において目的とする特性は、車両の乗
心地と操縦安定性の高次元での両立であり、一般に、車
両の乗心地の向上のために、車両前後方向において、段
差乗越時等に及ぼされるハーシュネスの衝撃的振動に対
する低動ばね特性とその後のブルブル感振動に対する高
減衰特性がそれぞれ要求される一方、車両の操縦安定性
の向上のために、コーナリング荷重の入力時におけるサ
スペンション部材の車両前後方向での変位量を抑えて横
力ステアによるオーバステアを防止乃至は軽減すること
が重要とされる。
【0004】ところが、従来のトーコレクトブッシュで
は、その設計および特性評価に際して、専ら、中心軸方
向および軸直角方向でのばね特性と荷重−変位特性だけ
が考慮されていたに過ぎなかった。即ち、乗心地の設計
や評価を、軸直角方向でのばね特性の柔らかさに基づい
て行う一方、操縦安定性の設計や評価を、中心軸方向で
のばね特性の硬さと、中心軸方向への入力に伴う軸直角
方向の変位量(トーコレクト量)の抑制に基づいて行っ
ていたのである。
【0005】そのために、従来構造のトーコレクトブッ
シュにおいては、前記公報等にも記載されているよう
に、単に、インナ軸部材とアウタ筒部材の径方向対向面
間を弾性連結する本体ゴム弾性体に対して、車両前後方
向となる軸直角方向でインナ軸部材を挟んで対向位置す
る両側部分にそれぞれ軸方向に延びる一対のスリットを
形成することにより、車両前後方向のばね特性を柔らか
く設定する一方、車両横方向となる軸方向では、トーコ
レクトゴムで弾性連結されたインナ側傾斜部とアウタ側
傾斜部における互いに平行な傾斜面の傾斜角度を調節す
ることにより、中心軸方向でのばね特性の硬さと、中心
軸方向への入力に伴う軸直角方向の変位量(トーコレク
ト量)を調節していたに過ぎなかったのである。
【0006】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景として為されたものであって、その解決課題とす
るところは、サスペンション機構への装着状態下で発揮
される乗心地と操縦安定性の両方の要求特性を、より高
次元で両立して達成することの出来る、新規な構造のト
ーコレクトブッシュと、それを用いた新規な構造のサス
ペンション機構を提供することにある。
【0007】
【解決手段】以下、このような課題を解決するために為
された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各
態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の
組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至
は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることな
く、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの
記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づ
いて認識されるものであることが理解されるべきであ
る。
【0008】すなわち、本発明の第一の態様は、インナ
軸部材と、その外方に離隔配置されたアウタ筒部材を、
それらの径方向対向面間に介装された本体ゴム弾性体で
連結すると共に、該インナ軸部材の軸方向一方の端部に
おいて、軸方向外方に傾いて径方向斜め外方に向かって
突出するインナ側傾斜部を設ける一方、前記アウタ筒部
材の軸方向一方の端部において、軸方向外方に傾いて径
方向斜め外方に向かって突出し、該インナ側傾斜部に対
して離隔して対向位置せしめられたアウタ側傾斜部を設
けて、それらインナ側傾斜部とアウタ側傾斜部の対向面
間にトーコレクトゴム弾性体を介在せしめたトーコレク
トブッシュにおいて、前記本体ゴム弾性体と前記トーコ
レクトゴム弾性体を、互いに別体の加硫成形品にて構成
する一方、前記インナ軸部材と前記アウタ筒部材の径方
向対向面間で、該インナ軸部材を前記インナ側傾斜部が
突出する径方向に挟んだ両側に位置して、それぞれ前記
本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体
が封入された第一の流体室と第二の流体室を形成すると
共に、それら第一の流体室と第二の流体室を相互に連通
するオリフィス通路を設けたことを、特徴とする。
【0009】このような本態様に従う構造とされた流体
封入式トーコレクトブッシュにおいては、径方向の振動
入力時に本体ゴム弾性体の弾性変形に伴って第一の流体
室と第二の流体室の間に相対的な圧力変化が生ぜしめら
れて、それら両流体室間で、オリフィス通路を通じての
流体流動が惹起されることとなる。それ故、オリフィス
通路の通路長さや断面積等を適当に設定してチューニン
グすることにより、ハーシュネスの衝撃的振動やブルブ
ル感振動等の走行時に問題となる振動に対して、オリフ
ィス通路を流動せしめられる流体の共振作用に基づい
て、低動ばね効果や高減衰効果による優れた防振効果を
得ることが可能となるのであり、以て、車両の乗心地の
向上が図られ得るのである。
【0010】また、ここにおいて、流体の共振作用に基
づく効果は、チューニング周波数域の動的な振動荷重に
対して有効に発揮され得て、低動ばね効果等を発揮し得
るものであることから、コーナリングに際して入力され
る横力等に対するばね特性への悪影響が軽減乃至は回避
され得るのであり、その結果、操縦安定性が高度に維持
され得るのである。
【0011】しかも、トーコレクトゴム弾性体と本体ゴ
ム弾性体が別体で形成されていることにより、それら両
ゴム弾性体に対して、例えば材質を異ならせること等に
よって、互いに異なる特性を大きな自由度で設定するこ
とが可能となる。その結果、例えば、トーコレクトゴム
弾性体の硬度を本体ゴム弾性体の硬度よりも大きくする
ことが可能となり、流体封入式トーコレクトブッシュの
全体として、圧縮方向となる弾性主軸と剪断方向となる
弾性主軸とのばね定数の比(主軸ばね比)の値を大きく
設定することも可能となるのである。
【0012】そして、このような本体ゴム弾性体とトー
コレクトゴム弾性体の別体構造を採用したことにより、
主に乗心地に影響する車両前後方向に入力される振動荷
重に対して、本体ゴム弾性体の弾性変形と、それに伴う
流体の共振作用に基づいて発揮される防振効果を高度に
確保しつつ、主に操縦安定性に影響する車両横方向荷重
に対するトーコレクトゴムの弾性変形と、それに伴うト
ーコレクト作用に基づいて、優れた操縦安定性を得るこ
とが出来るのである。
【0013】また、トーコレクトゴム弾性体と本体ゴム
弾性体が別体で形成されていることから、流体封入式ト
ーコレクトブッシュ全体の特性チューニングの自由度が
大きく確保され得るのであり、その結果、例えば、異な
る車種やグレード間でトーコレクトゴム弾性体と本体ゴ
ム弾性体の何れか一方だけを異ならせて、他方を共通化
することによって、異なるチューニング特性を容易に実
現することも可能となる。
【0014】なお、オリフィス通路は、例えば、第一の
流体室と第二の流体室を仕切る本体ゴム弾性体からなる
隔壁部分を貫通して形成したり、インナ軸部材の外周面
に沿って周方向に延びる通路によって形成することも可
能であるが、好適には、アウタ筒部材の内周面に沿って
周方向に延びるように形成された通路によって構成され
ることとなり、それによって、オリフィス通路の通路長
さを有利に確保することが可能となって、オリフィス通
路のチューニング自由度が向上される。
【0015】また、第一の流体室や第二の流体室には、
インナ軸部材側とアウタ筒部材側の一方の側から他方の
側に向かって所定高さで突出して、突出先端面において
該他方の側に対して所定距離を隔てて対向位置するブロ
ック状のストッパ部が、必要に応じて形成され得る。こ
のようなストッパ部を採用すれば、インナ軸部材とアウ
タ筒部材の径方向での相対変位量の制限や、それに伴う
本体ゴム弾性体の耐久性の向上等が図られ得る。
【0016】なお、本発明におけるトーコレクトゴム
は、車両への装着状態下でインナ軸部材とアウタ筒部材
の間への軸方向荷重入力により圧縮変形せしめられてト
ーコレクト機能を発揮するものであり、インナ軸部材と
アウタ筒部材の間に荷重が入力されていない装着状態前
の状態下では、アウタ筒部材の絞り加工等による圧縮力
(予圧縮)がトーコレクトゴムに及ぼされている必要は
ない。
【0017】また、本発明の第二の態様は、前記第一の
態様に従う構造とされた流体封入式トーコレクトブッシ
ュにおいて、前記本体ゴム弾性体の材質と、前記トーコ
レクトゴム弾性体の材質を、相互に異ならせたことを、
特徴とする。このような本態様に従う構造とされた流体
封入式トーコレクトブッシュにおいては、本体ゴム弾性
体とトーコレクトゴム弾性体のばね特性をより大きなチ
ューニング自由度で設定することが出来るのであり、例
えば、トーコレクトゴム弾性体の硬度を本体ゴム弾性体
の硬度よりも大きくすることによって、流体封入式トー
コレクトブッシュの全体として、主軸ばね比の値を一層
大きく設定することも可能となる。
【0018】また、本体ゴム弾性体とトーコレクトゴム
弾性体の何れかを変更することによって、流体封入式ト
ーコレクトブッシュ全体の特性をチューニング変更する
ことも出来るのであり、例えば、異なる車種やグレード
間でトーコレクトゴム弾性体と本体ゴム弾性体の何れか
一方を異ならせて、他方を共通化することにより、流体
封入式トーコレクトブッシュ全体の特性を異ならせるこ
とも可能となる。
【0019】なお、本体ゴム弾性体とトーコレクトゴム
弾性体の材質としては、何れも、NR(天然ゴム),S
BR(スチレンブタジエンゴム),BR(ブタジエンゴ
ム)やIR(イソプレンゴム)等の単体、若しくは、ブ
レンドされた従来から公知の各種ゴム材料が好適に採用
され得ることとなり、これらを適当に組み合わせること
によって、要求される特性にチューニングすることが可
能である。
【0020】また、本発明の第三の態様は、前記第一又
は第二の態様に従う構造とされた流体封入式トーコレク
トブッシュにおいて、前記インナ軸部材を、前記本体ゴ
ム弾性体に加硫接着された第一のインナ軸部材と、前記
トーコレクトゴム弾性体に加硫接着された第二のインナ
軸部材からなる分割構造として、それら第一のインナ軸
部材と第二のインナ軸部材が、装着状態下で相互に固定
されるようにしたことを、特徴とする。このような本態
様に従う構造とされた流体封入式トーコレクトブッシュ
においては、流体封入式トーコレクトブッシュを第一の
インナ軸部材を備えた本体ゴム弾性体の一体加硫成形品
と、第二のインナ軸部材を備えたトーコレクトゴム弾性
体の一体加硫成形品からなる分割構造体にすることが出
来ることから、流体封入式トーコレクトブッシュを構成
する各一体加硫成形品毎に製造することが可能となり、
分割構造体でない場合に比して、複雑な成形型を必要と
しないので、製造が容易となる。
【0021】また、本発明の第四の態様は、前記第三の
態様に従う構造とされた流体封入式トーコレクトブッシ
ュにおいて、前記第一のインナ軸部材と前記第二のイン
ナ軸部材の何れか一方を他方に対して外挿固定せしめた
ことを、特徴とする。このような本態様に従う構造とさ
れた流体封入式トーコレクトブッシュにおいては、第一
のインナ軸部材と第二のインナ軸部材を相互に確実に固
定することが出来ると共に、両インナ軸部材を相互に固
定することによって流体封入式トーコレクトブッシュの
車両への装着時におけるインナ軸部材の取付作業性が向
上される。
【0022】また、本発明の第五の態様は、前記第一乃
至第四の何れかの態様に従う構造とされた流体封入式ト
ーコレクトブッシュにおいて、前記本体ゴム弾性体の外
周面に金属スリーブを加硫接着して、該金属スリーブに
開口窓を設け、該本体ゴム弾性体において該開口窓を通
じて外周面に開口するポケット部を前記インナ軸部材を
径方向に挟んだ両側にそれぞれ形成すると共に、該金属
スリーブに前記アウタ筒部材を外嵌固定してそれらのポ
ケット部を流体密に覆蓋することにより、前記第一の流
体室と前記第二の流体室を形成したことを、特徴とす
る。このような本態様に従う構造とされた流体封入式ト
ーコレクトブッシュにおいては、本体ゴム弾性体に形成
されたポケット部をアウタ筒部材によって流体密に覆蓋
するという簡単な構造によって、第一の流体室と第二の
流体室を、優れた流体密性をもって形成することが出来
る。なお、金属スリーブとアウタ筒部材の嵌着面間に
は、シールゴム層を挟圧せしめることにより、第一及び
第二の流体室の流体密性を向上させることが望ましい。
また、かかるシールゴム層は、例えば金属スリーブの外
周面やアウタ筒部材の内周面に対して加硫接着されるこ
とによって有利に形成され得る。更にまた、金属スリー
ブに対して、各ポケット部が開口せしめられる二つの開
口窓を独立して形成すると共に、それらの開口窓間にま
たがって周方向に延びる周溝を形成して、該周溝をアウ
タ筒部材で覆蓋せしめることにより、かかる周溝内にお
いて、アウタ筒部材の内周面に沿って周方向に延びて第
一及び第二の流体室間を相互に連通するオリフィス通路
を形成するようにしても良い。
【0023】また、本発明の第六の態様は、前記第五の
態様に従う構造とされた流体封入式トーコレクトブッシ
ュにおいて、前記アウタ筒部材を、前記本体ゴム弾性体
を介して前記インナ軸部材に連結される円筒状部と、前
記トーコレクトゴム弾性体を介して前記インナ側傾斜部
に連結されるアウタ側傾斜部を備えた一体構造として、
該アウタ筒部材を該トーコレクトゴム弾性体に加硫接着
せしめると共に、かかるトーコレクトゴム弾性体の一体
加硫成形品における該アウタ筒部材の該円筒状部を、前
記本体ゴム弾性体の外周面に加硫接着された前記金属ス
リーブに外嵌固定せしめたことを、特徴とする。このよ
うな本態様に従う構造とされた流体封入式トーコレクト
ブッシュにおいては、トーコレクトゴム弾性体に加硫接
着されたアウタ筒部材を金属スリーブ外嵌固定すること
によって、トーコレクトゴム弾性体と本体ゴム弾性体
を、共にアウタ筒部材に対して容易に取り付けることが
出来るのであり、別体形成されたトーコレクトゴム弾性
体と本体ゴム弾性体を予め一体的に組付けることによ
り、流体封入式トーコレクトブッシュの車両への装着作
業性も向上され得ることとなる。
【0024】また、本発明の第七の態様は、インナ軸部
材と、その外方に離隔配置されたアウタ筒部材を、それ
らの径方向対向面間に介装された本体ゴム弾性体で連結
すると共に、該インナ軸部材の軸方向一方の端部におい
て、軸方向外方に傾いて径方向斜め外方に向かって突出
するインナ側傾斜部を設ける一方、前記アウタ筒部材の
軸方向一方の端部において、軸方向外方に傾いて径方向
斜め外方に向かって突出し、該インナ側傾斜部に対して
離隔して対向位置せしめられたアウタ側傾斜部を設け
て、それらインナ側傾斜部とアウタ側傾斜部の対向面間
にトーコレクトゴム弾性体を介在せしめたトーコレクト
ブッシュにおいて、前記インナ軸部材と前記アウタ筒部
材の径方向対向面間で、該インナ軸部材を前記インナ側
傾斜部が突出する径方向に挟んだ両側に位置して、それ
ぞれ前記本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて非圧
縮性流体が封入された第一の流体室と第二の流体室を形
成すると共に、それら第一及び第二の流体室において該
本体ゴム弾性体によって構成された軸方向の少なくとも
一方の弾性壁部を、前記インナ軸部材から前記アウタ筒
部材に向かって径方向線に対して傾斜して延びる傾斜壁
部を含んで形成し、更にそれら第一の流体室と第二の流
体室を相互に連通するオリフィス通路を設けたことを、
特徴とする。
【0025】このような本態様に従う構造とされた流体
封入式トーコレクトブッシュにおいては、前記第一の態
様に係る流体封入式トーコレクトブッシュと同様に、第
一の流体室と第二の流体室の間でオリフィス通路を通じ
て流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、ハーシ
ュネスの衝撃的振動やブルブル感振動等に対して優れた
防振効果を得ることが可能となり、車両乗り心地が向上
されると共に、コーナリング時に及ぼされる横力等に対
するばね特性に対しては有効なばね剛性が発揮されて、
良好なる操縦安定性を得ることが出来るのである。
【0026】そこにおいて、特に本態様の流体封入式ト
ーコレクトブッシュにおいては、流体室を画成する本体
ゴム弾性体によって構成された弾性壁部に傾斜部分が設
けられていることから、軸直角方向の振動入力時に流体
室に対する弾性壁部のピストン効果が有効に発揮され得
ると共に、弾性壁部の自由長を有利に確保することが出
来るのであり、それによって、軸直角方向荷重の入力時
における変形に伴う流体室の容積変化が効率的乃至は積
極的に生ぜしめられ得ることとなる。その結果、軸直角
方向の振動入力時に第一の流体室と第二の流体室の間で
オリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の流動量
が一層有利に確保され得て、かかる流体の共振作用に基
づいて発揮される防振効果が、より効果的に発揮され得
るのである。
【0027】さらに、本態様において、例えば、車両の
段差乗越時等に発生するハーシュネス等の動的荷重に対
するばね特性に関しては、本体ゴム弾性体の弾性変形に
伴って生ぜしめられるオリフィス通路を流動せしめられ
る流体の共振作用に基づく防振効果が支配的となって有
効に発揮され得るのであり、一方、車両コーナリング時
に発生する横力等の静的荷重に対するばね特性に関して
は、流体の共振作用が悪影響を及ぼすことなく、トーコ
レクトゴム弾性体のばね剛性が効果的に発揮され得るの
である。
【0028】なお、本態様におけるオリフィス通路の構
造や、第一及び第二の流体室における適当なストッパ構
造等は、本発明の第一の態様に係る流体封入式トーコレ
クトブッシュと同様な構造が、何れも有利に採用可能で
ある。
【0029】また、本発明の第八の態様は、前記第七の
態様に従う構造とされた流体封入式トーコレクトブッシ
ュにおいて、前記本体ゴム弾性体の外周面に金属スリー
ブを加硫接着して、該金属スリーブに開口窓を設け、該
本体ゴム弾性体において該開口窓を通じて外周面に開口
するポケット部を前記インナ軸部材を径方向に挟んだ両
側にそれぞれ形成すると共に、該金属スリーブに前記ア
ウタ筒部材を外嵌固定してそれらのポケット部を流体密
に覆蓋することにより、前記第一の流体室と前記第二の
流体室を形成したことを、特徴とする。このような本態
様に従う構造とされた流体封入式トーコレクトブッシュ
においては、本体ゴム弾性体に形成されたポケット部を
アウタ筒部材によって流体密に覆蓋するという簡単な構
造によって、第一の流体室と第二の流体室を、優れた流
体密性をもって形成することが出来る。なお、本態様に
おいては、前記第五の態様に係る流体封入式トーコレク
トブッシュと同様に、流体室の流体密性を向上させるた
めに、シールゴム層を、例えば、金属スリーブの外周面
やアウタ筒部材の内周面に対して加硫接着した構造等
が、有利に採用され得る。
【0030】また、本発明の第九の態様は、前記第七又
は第八の態様に従う構造とされた流体封入式トーコレク
トブッシュであって、前記金属スリーブにおいて、前記
開口窓を径方向で対向位置して二つ形成すると共に、そ
れらの開口窓間に跨がって周方向に延びる凹溝を外周面
に開口して形成せしめて、該凹溝内で前記アウタ筒部材
の内周面に沿って周方向に延びるようにして前記オリフ
ィス通路を形成したことを、特徴とする。このような本
態様に従う構造とされた流体封入式トーコレクトブッシ
ュにおいては、金属スリーブとアウタ筒部材の間にオリ
フィス通路が形成されることから、オリフィス通路を形
成する部材の剛性が向上されて、入力荷重によるオリフ
ィス通路の変形が防止されることによって、目的とする
流体の流動作用に基づく防振効果を安定して得ることが
可能となる。
【0031】ここにおいて、オリフィス通路を形成する
オリフィス部材を、金属スリーブやアウタ筒部材とは別
途採用することも可能であり、それによって、オリフィ
ス通路の設計自由度の向上等が図られ得る。具体的に
は、例えば、金属スリーブとアウタ筒部材の間に硬質ブ
ロック状のオリフィス部材を固定的に配設し、このオリ
フィス部材に形成した凹溝を金属スリーブやアウタ筒部
材で覆蓋することによってオリフィス通路を形成した構
造等が、好適に採用され得る。
【0032】また、本発明の第十の態様は、前記第八又
は第九の態様に従う構造とされた流体封入式トーコレク
トブッシュにおいて、前記金属スリーブに対して、前記
アウタ側傾斜部を一体形成したことを、特徴とする。こ
のような本態様に従う横造とされた流体封入式トーコレ
クトブッシュにおいては、本体ゴム弾性体とコンプレツ
ションゴム弾性体を一体的に形成することが出来る。
【0033】また、本発明の第十一の態様は、前記第七
乃至第九の何れかの態様に従う構造とされた流体封入式
トーコレクトブッシュにおいて、前記本体ゴム弾性体と
前記トーコレクトゴム弾性体を別体形成して、それら本
体ゴム弾性体の材質と前記トーコレクトゴム弾性体の材
質を、相互に異ならせたことを、特徴とする。このよう
な本態様に従う構造とされた流体封入式トーコレクトブ
ッシュにおいては、互いに異なる特性を大きな自由度で
設定することが可能となる。その結果、例えば、トーコ
レクトゴム弾性体の硬度を本体ゴム弾性体の硬度よりも
大きく設定することが可能となり、流体封入式トーコレ
クトブッシュの全体として、圧縮方向となる弾性主軸と
剪断方向となる弾性主軸とのばね定数の比(主軸ばね
比)の値を一層大きく設定することも可能となるのであ
る。
【0034】そして、このような本体ゴム弾性体とトー
コレクトゴム弾性体の別体構造を採用したことにより、
主に乗心地に影響する車両前後方向に入力される振動荷
重に対して、本体ゴム弾性体の弾性変形と、それに伴う
流体の共振作用に基づいて発揮される防振効果を高度に
確保しつつ、主に操縦安定性に影響する車両横方向荷重
に対する、トーコレクトゴム弾性体の弾性変形と、それ
に伴うトーコレクト作用に基づいて、優れた操縦安定性
を得ることも可能となる。
【0035】また、トーコレクトゴム弾性体と本体ゴム
弾性体が別体で形成されていることにより、本体ゴム弾
性体とトーコレクトゴム弾性体のばね特性を、各別に設
定,変更することが出来ることから、流体封入式トーコ
レクトブッシュ全体の特性チューニングの自由度が大き
く確保され得るのである。その結果、例えば、異なる車
種やグレード間で本体ゴム弾性体とトーコレクトゴム弾
性体の何れか一方だけを異ならせて、他方を共通化する
ことによって、異なるチューニング特性を容易に実現す
ることも可能となる。
【0036】なお、本態様において、好適には、本発明
の前記第一乃至第六の何れかに記載の態様が、組み合わ
せられることによって有利に採用され得ることとなり、
それによって、トーコレクトゴム弾性体と本体ゴム弾性
体を別体で有利に形成することが可能となる。
【0037】また、本発明の第十二の態様は、前記第七
乃至第十一の何れかの態様に従う構造とされた流体封入
式トーコレクトブッシュにおいて、前記第一の流体室又
は前記第二の流体室における軸方向両側の弾性壁部を、
前記インナ軸部材から前記アウタ筒部材に向かって径方
向外方に行くに従って次第に軸方向外方に延び出させ
て、径方向の中間部分の傾斜角度が最も大きくなる略S
字形の湾曲断面形状としたことを、特徴とする。このよ
うな本態様に従う構造とされた流体封入式トーコレクト
ブッシュにおいては、流体室の容積を確保しつつ、弾性
壁部の自由長を一層有利に確保することが出来るのであ
り、それによって、流体室に対する弾性壁部のピストン
効果が向上され得て、弾性壁部の弾性変形に伴う圧力変
化が効率的に生ぜしめられ得る。また、本態様は、特に
前記第八の態様と組み合わせて好適に採用されることと
なり、それによって、ポケット部を径方向外方に拡開形
成することができることから、ポケット部を形成する本
体ゴム弾性体の加硫成形型の構造が簡略化されると共
に、良好な型抜作業性も実現され得る。
【0038】また、本発明の第十三の態様は、前記第一
乃至第十二の何れかの態様に従う構造とされた流体封入
式トーコレクトブッシュにおいて、前記インナ側傾斜部
と前記アウタ側傾斜部の対向面間に位置して、それら各
傾斜部の対向面からそれぞれ離隔して広がる中間拘束部
材を配設すると共に、該中間拘束部材を前記トーコレク
トゴムに加硫接着せしめたことを、特徴とする。このよ
うな本態様に従う構造とされた流体封入式トーコレクト
ブッシュにおいては、インナ側傾斜部とアウタ側傾斜部
の対向面間に中間拘束部材を配設してトーコレクトゴム
弾性体に加硫接着せしめたことにより、トーコレクトゴ
ム弾性体それ自体において、柔かい剪断方向、即ち、イ
ンナ側及びアウタ側の各傾斜部の突出方向でのばね特性
を維持しながら、圧縮方向、即ち、インナ側及びアウタ
側の各傾斜部の対向方向のばね特性が硬く設定されるの
である。その結果、流体封入式トーコレクトブッシュ全
体としての主軸ばね比の値をより大きく設定することが
可能となる。
【0039】なお、本態様において、トーコレクトゴム
弾性体で連結されるインナ側傾斜部とアウタ側傾斜部の
対向面や、それらインナ側及びアウタ側の各対向面と中
間拘束部材の対向面は、必ずしも相互に平行である必要
はなく、弾性主軸方向やねじり方向,こじり方向等の各
種方向で要求されるばね特性を考慮して、例えば、中間
拘束部材の肉厚寸法を部分的に乃至は次第に変化させる
こと等によって、かかる対向面間の距離、換言すれば、
トーコレクトゴム弾性体の肉厚寸法を、部分的に乃至は
次第に異ならせて設定することも可能である。
【0040】また、中間拘束部材の大きさ等も、求めら
れる要求特性に応じて設定されるものであって、特に限
定されるものではないが、好ましくは、インナ側傾斜部
およびアウタ側傾斜部の各対向面の面積の半分以上に設
定されることとなり、より好ましくは、インナ側傾斜部
とアウタ側傾斜部の対向面間の実質的に全体に亘って配
設される。このように中間拘束部材の大きさを十分に確
保することによって、流体封入式トーコレクトブッシュ
における主軸ばね比を一層有利に確保することが可能と
なる。
【0041】更にまた、中間拘束部材の突出方向の長さ
は、トーコレクトゴム弾性体の長さの半分以上あること
が望ましく、トーコレクトゴム弾性体を貫通する長さで
あっても良い。また、中間拘束部材は、トーコレクトゴ
ム弾性体の加硫成形型へのセッティング作業性を向上さ
せるために、その一部をトーコレクトゴム弾性体に埋設
せしめて、部分的に外部空間に突出させることが有効で
あるが、その全体が、トーコレクトゴム弾性体に埋設配
置されていても良い。
【0042】また、中間拘束部材の材質としては、少な
くともトーコレクトゴム弾性体よりは高い剛性を有する
剛性材が用いられ、具体的には、合成樹脂材,金属等が
好適に用いられる。更に、中間拘束部材には、その両側
に配設されるトーコレクトゴム弾性体を相互に接続する
ために、板厚方向に貫通した連通孔を設けることも可能
であり、それによって、中間拘束部材によって分断状態
とされた両側のトーコレクトゴム弾性体の加硫時の圧力
の均分化や、接着力の向上等が図られ得る。加えて、中
間拘束部材を、トーコレクトゴム弾性体内に複数個配設
することも可能である。
【0043】また、本発明は、左右のトレーリングアー
ムをトーションビームで連結したサスペンション部材
を、自動車のボデーに対して揺動可能に防振連結せしめ
たサスペンション機構において、前記サスペンション部
材における車両前方側の左右両側部分に対して、前記第
一乃至第十三の何れかの態様に従う構造とされた流体封
入式トーコレクトブッシュをそれぞれ装着せしめて、そ
れらの流体封入式トーコレクトブッシュを介して、該サ
スペンション部材を前記ボデーに防振連結すると共に、
かかる左右両側の流体封入式トーコレクトブッシュの中
心軸を車両左右方向に向けて配設して、前記第一の流体
室と前記第二の流体室を車両前後方向で対向位置せしめ
たサスペンション機構も、特徴とする。
【0044】このような本発明に従う構造とされたサス
ペンション機構においては、各流体封入式トーコレクト
ブッシュにおける前述の如き特性に基づいて、例えば、
車両段差乗越時等に発生する車両前後方向の振動に対し
て、第一及び第二の流体室を相互に連通するオリフィス
通路を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、低
動ばね効果や高減衰効果が発揮され得ることから、車両
の乗心地の向上が一層有利に達成され得るのである。
【0045】ここにおいて、各流体封入式トーコレクト
ブッシュは、各ポケット部が形成された径方向を車両前
後方向に、且つ、インナ側およびアウタ側の傾斜部を車
両中央側に位置せしめて配設することが望ましく、それ
によって、効率的に各流体室に圧力変動を生ぜしめるこ
とが可能となり、オリフィス通路を流動せしめられる流
体量が有利に確保されることとなる。その結果、オリフ
ィス通路を流動せしめられる流体の共振作用に基づく低
動ばね効果や高減衰効果を、より効率的に得ることが可
能となる。
【0046】また、本態様のサスペンション機構におい
ては、各流体封入式トーコレクトブッシュにおいて、車
両前後方向の防振性能を流体流動作用に基づいて高度に
確保しつつ、主軸ばね比を大きく設定すること等が可能
となるのであり、そのような特性に基づいて、車両コー
ナリング時におけるサスペンション部材の外力による変
位を、車両横方向に近い方向に向わせて横力ステアを有
利に抑えることが出来るのであり、それによって、良好
なる車両の操縦安定性を、車両の乗心地を確保しつつ達
成することが可能となるのである。
【0047】
【発明の実施形態】以下、本発明を更に具体的に明らか
にするために、本発明の実施形態について、図面を参照
しつつ、詳細に説明する。
【0048】先ず、前記解決手段の欄に記載された本発
明の第一乃至第六の何れかの態様に係る一実施形態とし
ての流体封入式トーコレクトブッシュ10について、本
発明の第一の実施形態として、図1〜5を参照しつつ、
説明する。。この流体封入式トーコレクトブッシュ10
は、インナ軸部材としての内筒金具12とアウタ筒部材
としての外筒金具14が、互いに径方向に離隔して配置
されていると共に、それら内外筒金具間12,14に本
体ゴム弾性体16が介装されて、両金具12,14が弾
性的に連結された構造を有している。
【0049】より詳細には、内筒金具12は、軸方向に
ストレートに延びる厚肉小径の円筒形状を有しており、
その軸方向の略中央部分で二つに分割されることによっ
て、第一の内筒金具18および第二の内筒金具20とさ
れている。そして、第一の内筒金具18の外周面上に本
体ゴム弾性体16が配設されている。要するに、本実施
形態では、同一中心軸上に位置せしめられた互いに略同
じ内外径寸法を有する二つの内筒金具18,20が、各
軸方向一方の端面で互いに重ね合わせられることによ
り、一つの内筒金具12が構成されているのである。
【0050】なお、第一及び第二の内筒金具18,20
の各軸方向両端部分の内周側角部には、軸方向外方に行
くに従って、径方向外方に拡開するテーパ傾斜面が形成
されている。これにより、第一及び第二の内筒金具1
8,20の各中心軸が互いに径方向にずれていたとして
も、内筒金具12をボデーに固定するためのロッド等
が、両内筒金具18,20の中心孔19,21に対して
容易に内挿され得るようになっている。
【0051】また、第二の内筒金具20の軸方向の略中
央部分には、略湾曲板形状の固定プレート22が固着さ
れており、内筒金具12の軸方向一方(図1中左方)の
端部近くに位置せしめられるようになっている。この固
定プレート22は、プレス金具等の剛性材で形成されて
おり、略扇形の湾曲板形状を有している。また、扇形の
中央部分には、円弧形状の嵌着用切欠24が設けられて
いる。そして、嵌着用切欠24に対して内筒金具12
(第二の内筒金具20)が挿通され、嵌着用切欠24が
内筒金具12に溶着されることによって、固定プレート
22が内筒金具12に固着されている。
【0052】そこにおいて、固定プレート22は、内筒
金具12から離れるに従って幅広となる略扇形形状を有
しており、内筒金具12の中心軸26に対して、径方向
一方(図1,2中の上方)の側に向って軸方向外方に傾
斜して突出せしめられており、かかる固定プレート22
の傾斜外面が、中心軸26に対して略一定の傾斜角度で
斜め外方に延び出す傾斜面(70)とされている。更
に、固定プレート22は、その中心部分の幅寸法(図2
中の左右方向寸法)が、内筒金具12の外径寸法と外筒
金具14の内径寸法の略中間程度とされていると共に、
その突出先端部の最も大きな幅寸法が、外筒金具14の
内径寸法に略近い大きさとされている。なお、固定プレ
ート22の突出先端面(外周面)は、内筒金具12の中
心軸26を略中心とする円弧形状とされている。
【0053】また、第一の内筒金具18の軸方向中央部
分には、径方向外方に突出する一対のストッパ部28,
28が、径方向で対向位置して一体形成されている。こ
れら一対のストッパ部28,28は、それぞれ、径方向
外方に突出する略矩形ブロック形状を有している。ま
た、各ストッパ部28の幅寸法(図5中の左右方向の寸
法)は、第一の内筒金具18の外径寸法と略同一とされ
ていると共に、各ストッパ部28の軸方向寸法は、第一
の内筒金具18の軸方向寸法よりも充分に小さくされて
いる。更に、各ストッパ部28の突出高さは、外筒金具
14まで至らない大きさとされていると共に、その突出
先端面が周方向に湾曲されており、その曲率半径は外筒
金具14の内周面の曲率半径と略同じとなっている。
【0054】また、第一の内筒金具18の径方向外方に
は、薄肉の大径円筒形状を有する金属スリーブ30が所
定距離を隔てて、且つ、同心軸上に配設されている。こ
の金属スリーブ30の軸方向長さは第一の内筒金具18
の軸方向長さよりも小さくされており、第一の内筒金具
18の軸方向両端部が、金属スリーブ30から軸方向外
方に突出されている。更に、金属スリーブ30の軸方向
中央部分には、第一の周溝32が形成されている。
【0055】この第一の周溝32は、金属スリーブ30
の外周面に開口した幅広、且つ、浅底の凹溝形状とされ
ており、略一定の断面積で金属スリーブ30の全周に亘
って形成されている。また、第一の周溝32の幅方向
(金属スリーブ30の軸方向)の長さは、金属スリーブ
30の軸方向長さよりも小さくされており、それによっ
て、金属スリーブ30の軸方向両端部分には、それぞれ
大径の嵌着リング部33,33が形成されている。更
に、第一の周溝32の深さ寸法は、金属スリーブ30の
厚さ寸法と略同じとされていると共に、該第一の周溝3
2の軸方向中央部分だけが深底とされて、第二の周溝3
4が形成されている。
【0056】この第二の周溝34は、第一の周溝32の
底面に開口した幅狭、且つ、深底の凹溝形状とされてお
り、略一定の断面積で第一の周溝32の全周に亘って形
成されている。また、第二の周溝34の幅方向(金属ス
リーブ30の軸方向)の寸法は、第一の周溝32の幅寸
法の略1/2とされている。更に、第二の周溝34の深
さ寸法は、第一の周溝32の深さ寸法よりも大きく、本
実施形態では、金属スリーブ30の厚さ寸法の略2倍と
されている。
【0057】これにより、金属スリーブ30の軸方向中
央部分には、第一及び第二の周溝32,34からなる段
付凹溝36が、金属スリーブ30の外周面に開口して略
一定の断面形状で全周に亘って形成されている。ここに
おいて、段付凹溝36は、第一の周溝32によって構成
された幅方向(図1中の左右方向)両側の浅底部と第二
の周溝34によって構成された幅方向中央部分の深底部
を備えている。また、段付凹溝36における浅底部の深
さ寸法は、金属スリーブ30の厚さ寸法と略同じとなっ
ていると共に、その深底部の深さ寸法は、金属スリーブ
30の厚さ寸法の略3倍となっている。
【0058】また、金属スリーブ30の軸方向中央部
分、即ち、段付凹溝36が形成された部分には、一対の
開口窓40,40が径方向一方向に対向位置して形成さ
れている。これらの開口窓40,40は、それぞれ、矩
形形状を有しており、金属スリーブ30を貫通して形成
されている。また、各開口窓40は、その周方向長さ
が、段付凹溝36の略1/3周とされていると共に、そ
の軸方向長さが、段付凹溝36の軸方向長さの略3/4
とされている。そして、これら一対の開口窓40,40
は、一対のストッパ部28,28の突出方向外方に位置
せしめられている。
【0059】また、金属スリーブ30に一対の開口窓4
0,40が形成されていることによって、段付凹溝36
の深底部を構成する第二の周溝34が、実質的に周方向
で二つに分断されており、それによって、一対の外周凹
溝42,42が径方向一方向で対向位置して形成されて
いる。そして、外周凹溝42,42は、一対の開口窓4
0,40間で、それぞれ、開口窓40,40をつなぐよ
うに周方向に延びている。
【0060】そして、これら第一の内筒金具18と金属
スリーブ30の径方向対向面間に本体ゴム弾性体16が
配設されており、図6〜8に示されているように、第一
の内筒金具18の外周面と金属スリーブ30の内周面に
対して、それぞれ加硫接着された第一の一体加硫成形品
44として形成されている。
【0061】かかる本体ゴム弾性体16は、全体として
厚肉の略円筒形状とされており、その外周面が金属スリ
ーブ30の内周面に加硫接着されていると共に、その内
周面が第一の内筒金具18の外周面に加硫接着されてい
る。また、本体ゴム弾性体16の軸方向中央部分には、
一対のポケット部46,46が形成されている。
【0062】この一対のポケット部46,46は、それ
ぞれ、本体ゴム弾性体16の外周面に開口して形成され
ている。また、本実施形態において、各ポケット部46
の軸方向両側の壁部を構成するゴム壁部47,47の厚
さは、それぞれ、本体ゴム弾性体16の軸方向長さの略
1/4とされている。また、各ポケット部46の深さ寸
法は、第一の内筒金具18までは僅かに至らない大きさ
とされていると共に、各ポケット部46の周方向寸法
は、本体ゴム弾性体16の周方向長さの略1/3周とさ
れている。そして、これら一対のポケット部46,46
は、金属スリーブ30における一対の開口窓40,40
を通じて、金属スリーブ30の外周面に開口せしめられ
ている。また、各ポケット部46の底面中央部分には、
ストッパ28が開口窓40までは至らない高さで突出位
置せしめられていると共に、かかるストッパ部28の表
面には、本体ゴム弾性体16から一体的に延び出したゴ
ム層によって、被覆緩衝ゴム層48が形成されている。
なお、図面には明示されていないが、かかる被覆緩衝ゴ
ム層48において、ストッパ部28の突出先端面を被覆
している部分には、その全面に亘ってシボ突起が形成さ
れている。
【0063】また、段付凹溝36の表面にも、本体ゴム
弾性体16から一体的にシールゴム層50が延び出して
おり、かかるシールゴム層50によって、段付凹溝36
の全面が覆われている。かかるシールゴム層50は、金
属スリーブ30の厚さ寸法より僅かに厚肉とされていお
り、段付凹溝36の浅底部を構成する第一の周溝32が
実質的にシールゴム層50によって埋め立てられてい
る。また、段付凹溝36の第二の周溝34によって構成
された一対の外周凹溝42,42は、その一方の外周凹
溝42だけがシールゴム層50によって埋め立てられて
遮断壁部51が形成されている。また、他方の外周凹溝
42は、その内周面に薄肉のシールゴム層50が被着さ
れており、かかる他方の外周凹溝42によって、一対の
ポケット部46,46を周方向に相互に接続する接続周
溝53が形成されている。
【0064】なお、シールゴム層50において、段付凹
溝36の浅底部を構成する第一の周溝32を埋め立てて
いる部分の外周面には、それぞれ、周方向に連続して延
びる形態をもって、僅かな高さで突出するシールリップ
54が一体形成されており、かかるシールリップ54の
突出先端部が、金属スリーブ30の外周面よりも径方向
外方に突出せしめられている。
【0065】さらに、本体ゴム弾性体16の軸方向一方
(図1中の左方)の端部には、一対のポケット部46,
46が形成された径方向を示す位置決めゴム56が、本
体ゴム弾性体16と一体的に形成されている。
【0066】また、かくの如き本体ゴム弾性体16の一
体加硫成形品44には、円弧形状のオリフィス金具58
が外周面上に組み付けられていると共に、このオリフィ
ス金具58の外周面を覆うようにして、更に、外筒金具
14が組み付けられている。
【0067】オリフィス金具58は、アルミニウム合金
や合成樹脂等の硬質材によって形成されており、全体と
して略一定の矩形断面形状で円弧状に湾曲して延びるよ
うに形成された湾曲ブロック形状とされている。また、
オリフィス金具58は、接続用溝53に対応した外径形
状とされており、接続用溝53に嵌め込まれて、該接続
用溝53に対して充填された状態で組み付けられてい
る。また、オリフィス金具58には、幅方向中央部分を
外周面に開口して周方向に延びる凹溝62が形成されて
いる。この凹溝62は、オリフィス金具58の外周面に
開口して、略一定の断面積でオリフィス金具58の周方
向の全長に亘って連続して延びており、その両端部分が
オリフィス金具58の周方向両端面に開口せしめられて
いる。なお、かかる組付け状態下において、オリフィス
金具58の軸方向両端面と内周面は、接続用溝53の表
面に圧接されていることにより、それらの圧接面間の流
体密性が確保されている。それによって、一対のポケッ
ト部46,46は、オリフィス金具58の凹溝62のみ
によって相互に連通されているのである。
【0068】また一方、図1〜4に示されているよう
に、外筒金具14は、金属スリーブ30の外径寸法より
も僅かに大きい内径寸法で軸方向にストレートに延びる
薄肉大径の円筒形状を有する円筒状部63を備えてお
り、この円筒状部63が金属スリーブ30の外周面に外
嵌されて組み付けられている。また、円筒状部63の軸
方向長さは、第一の内筒金具18の軸方向長さより小さ
くされており、第一の内筒金具18の軸方向両端部分が
円筒状部63から軸方向外方に突出せしめられている。
更に、外筒金具14における円筒状部63の軸方向一方
(図1中の左方)の開口周縁部には、径方向外方に突出
して周方向に延びるフランジ状部64が一体形成されて
いる。
【0069】そして、このフランジ状部64の周上の一
部分(図1,2中の上側部分)が、径方向外方に延長さ
れていると共に、軸方向外方に傾斜せしめられている。
それによって、内筒金具12(第二の内筒金具20)に
突設された固定プレート22に対して斜め軸方向に離隔
し、固定プレート22に対して略平行に対向位置する傾
斜板対向部66が、円筒状部63と一体形成されてお
り、かかる傾斜板対向部66によって、外筒金具14の
中心軸68に対して略一定の角度で傾斜した傾斜面が構
成されている。
【0070】なお、このことから明らかなように、本実
施形態では、内筒金具12(第二の内筒金具20)の固
定プレート22によってインナ側傾斜部が構成されてい
る一方、外筒金具14の傾斜板対向部66によってアウ
タ側傾斜部が構成されている。また、傾斜板対向部66
は、その突出先端面80が固定プレート22よりも大径
の円弧状面とされていると共に、その周方向長さが、固
定プレート22よりも十分に大きくされており、固定プ
レート22の周方向両側に張り出して位置せしめられて
いる。また、本実施形態では、固定プレート22と傾斜
板対向部66の各対向面70,72によって、相互に対
向位置する傾斜面が構成されており、各対向面70,7
2は互いに略平行とされている。
【0071】さらに、固定プレート22と傾斜板対向部
66の対向面70,72間には、中間拘束部材としての
金属製の中間拘束板74が配設されている。この中間拘
束板74は、図9,10にその単体図が示されているよ
うに、全体として略一定の板厚を有する周方向に湾曲し
た円弧板形の湾曲プレート形状とされており、内筒金具
12の中心軸26に対して径方向外方に傾斜して、径方
向一方(図1中の上方)の側に向って斜めに突出せしめ
られている。また、その突出方向の先端部分76は、径
方向外方に向って屈曲されて、且つ、径方向外方に行く
に従って幅広となる略扇形状とされている一方、その基
端部分は、後述するトーコレクトゴム弾性体84内に位
置せしめられている。なお、先端部分76の突出先端面
78は、内筒金具12の中心軸26を略中心とし、且
つ、傾斜板対向部66の突出先端面80よりも小径の円
弧形状とされている。そして、かかる中間拘束板74
は、固定プレート22と傾斜板対向部66の各対向面7
0,72間の中央部分に配設されており、中間拘束板7
4の表裏両面82,82が、固定プレート22と傾斜板
対向部66の各対向面70,72に互いに平行となるよ
うに、位置せしめられている。また、中間拘束板74に
は、図10に示されているように、複数個(本実施形態
では8個)の連通孔83が貫設されている。
【0072】そして、固定プレート22と傾斜板対向部
66の対向面70,72間にトーコレクトゴム弾性体8
4が介在されており、図11,12に示されているよう
に、固定プレート22の対向面70と傾斜板対向部66
の対向面72と中間拘束部材74の表裏両面82,82
に対して、それぞれ加硫接着された第二の一体加硫成形
品86として形成されている。また、本実施形態におい
ては、本体ゴム弾性体16とトーコレクトゴム弾性体8
4の材質は、互いに異なったものが採用されており、ト
ーコレクトゴム弾性体84のHs値が、本体ゴム弾性体
16のHs値よりも大きくされている。
【0073】かかるトーコレクトゴム弾性体84は、全
体として固定プレート22と傾斜板対向部66の対向面
70,72間の全体に亘って形成されており、両対向面
70,72間の略全体に亘って略一定の肉厚寸法で広が
る湾曲ブロック形状を有している。そして、トーコレク
トゴム弾性体84の外周面が傾斜板対向部66の対向面
72に加硫接着されていると共に、その内周面が固定プ
レート22の対向面70に加硫接着されている。また、
固定プレート22と傾斜板対向部66の対向面70,7
2間の中央部分に配設された中間拘束板74は、トーコ
レクトゴム弾性体84に埋設されており、中間拘束板7
4の表裏両面82,82がトーコレクトゴム弾性体84
に加硫接着されている。そして、中間拘束板74の連通
孔83を通じて、中間拘束板74を挟んだ両側に分断さ
れたトーコレクトゴム弾性体84が相互に接続一体化さ
れている。
【0074】ここにおいて、中間拘束板74は、その突
出方向の先端部分76だけが周方向の全周に亘ってトー
コレクトゴム弾性体84の外周側端面に突出せしめられ
ている。一方、中間拘束板74の内周側基端部分は、固
定プレート22と傾斜板対向部66の対向面70,72
間の内周側端部近くまで延び出して、トーコレクトゴム
弾性体84内に位置せしめられている。また、トーコレ
クトゴム弾性体84と一体的に形成された被覆ゴム層8
8が、固定プレート22の外周面に延び出しており、か
かる被覆ゴム層88によって、固定プレート22の外周
面が覆われている。
【0075】そして、このような第二の一体加硫成形品
86を構成する外筒金具14を第一の一体加硫成形品4
4を構成する金属スリーブ30に外嵌固定するに際して
は、図13に示されているように、第二の一体加硫成形
品86を構成する外筒金具14を、第一の一体加硫成形
品44に対して、オリフィス金具58の組付後に外挿せ
しめる。ここにおいて、傾斜板対向部66の突出する径
方向と一対のポケット部46,46が形成された径方向
が一致するように、位置決めゴム56の方向を参照しな
がら、外筒金具14を第一の一体加硫成形品44に対し
て外挿する。また、第二の内筒金具20の軸方向端面
が、第一の内筒金具18の軸方向端面に対して当接する
まで、外筒金具14を第一の一体加硫成形品44の金属
スリーブ30に外挿せしめた後、外筒金具14を八方絞
り等で縮径加工することにより、外筒金具14を第一の
一体加硫成形品44の金属スリーブ30とオリフィス金
具58の外周面に嵌着固定せしめる。これにより、オリ
フィス金具58を、金属スリーブ30と外筒金具14に
対して固定的に挟持せしめて組み付ける。また、かかる
第一の一体加硫成形品44と第二の一体加硫成形品86
の組付け状態下において、第一の内筒金具18と第二の
内筒金具20の各中心軸が一致せしめられて、内筒金具
12に一つの中心軸26が形成されている。また、かか
る組付け状態下において、本体ゴム弾性体16の軸方向
一方(トーコレクトゴム弾性体84側)の端面とトーコ
レクトゴム弾性体84の内周側端面の間には、空隙91
が形成されており、本体ゴム弾性体16とトーコレクト
ゴム弾性体84が弾性変形せしめられた際の相互干渉が
回避されるようになっている。
【0076】そして、このように本体ゴム弾性体の一体
加硫成形品44に対して、オリフィス金具58と外筒金
具14が組み付けられることにより、一対のポケット部
46,46の開口部が、それぞれ流体密に覆蓋されてい
る。
【0077】これにより、一対のポケット部46,46
の一方(本実施形態では、図1中の上方)において、壁
部の一部が本体ゴム弾性体16で構成された第一の流体
室92が形成されている。また、一対のポケット部4
6,46の他方において、壁部の一部が本体ゴム弾性体
16で構成された第二の流体室94が形成されている。
更に、これら第一及び第二の流体室92,94には、そ
れぞれ、非圧縮性流体が封入されている。かかる非圧縮
性流体としては、水やアルキレングリコール,シリコー
ン油等が採用されるが、特に後述する流体の共振作用に
基づく防振効果を有利に得るために、本実施形態では、
0.1Pa・s以下の低粘性流体が好適に採用される。
そして、第一及び第二の流体室92,94は、第一及び
第二の流体室92,94が形成された径方向の振動入力
に際して、本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づいて内
圧変動が生ぜしめられるようになっている。
【0078】また、第一及び第二の流体室92,94へ
の非圧縮性流体の封入は、例えば、本体ゴム弾性体の一
体加硫成形品44に対するオリフィス金具58とトーコ
レクトゴム弾性体の一体加硫成形品86の組付けを非圧
縮性流体中で行うことによって有利に為され得るが、そ
の他、例えば、かかる組付けを大気中で行った後に、外
筒金具に貫設した注入孔を通じて非圧縮性流体を充填
し、その後に注入孔を封止リベット等で閉塞せしめるこ
とによって、或いは、本体ゴム弾性体16に注射針等を
刺し通して、注射針を通じて非圧縮性流体を充填するこ
とによっても、為し得る。なお、金属スリーブ30と外
筒金具14の間では、シールゴム層50が挟圧されてお
り、第一及び第二の流体室92,94の流体密性が向上
されている。
【0079】さらに、第二の一体加硫成形品86を構成
する外筒金具14の組付けによって、オリフィス金具5
8に形成された凹溝62が流体密に覆蓋されて、第一の
流体室92と第二の流体室94を相互に連通するオリフ
ィス通路96が形成されている。なお、オリフィス金具
58の外周凹溝42への重ね合わせ面間には、シールゴ
ム層50が介在せしめられており、オリフィス金具58
と外周凹溝42の重ね合わせ面間の隙間を通じての第一
の流体室92と第二の流体室94の短絡が防止されてい
る。
【0080】そして、オリフィス通路96は、第一及び
第二の流体室92,94の壁ばね剛性の他、封入された
非圧縮性流体の密度等を考慮して、それぞれの通路長さ
や通路断面積が適当に設定されることにより、内部を通
じて流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振効果
が、目的とする周波数域の振動に対して有効に発揮され
るようにチューニングされている。なお、本実施形態で
は、オリフィス通路96は、その内部を流動せしめられ
る流体の共振作用に基づいて、14〜16Hzの周波数
域の振動に相当するハーシュネス(ブルブル振動)に対
して高減衰化による防振効果が発揮されるようにチュー
ニングされている。
【0081】また、第一及び第二の流体室92,94間
では、第一の内筒金具18側から突設されたストッパ部
28の突出先端面が所定距離を隔てて外筒金具14に対
向位置せしめられており、ストッパ28の表面に被着さ
れた被覆緩衝ゴム層48を介して、外筒金具14に当接
せしめられることにより、内筒金具12(第一の内筒金
具18)と外筒金具14の軸直角方向での相対的変位量
が緩衝的に制限されるようになっている。なお、本実施
形態では、被覆緩衝ゴム層48において、ストッパ部2
8の突出先端面を被覆する部分の全面に亘って、シボ突
起が設けられていることにより、ストッパ部28と外筒
金具14が当接する際の当接音が軽減乃至は防止される
ようになっている。
【0082】そして、上述の如き構造とされた流体封入
式トーコレクトブッシュ10は、図14に示されている
ように、例えば、左右両側の車輪を支持する一対のトレ
ーリングアーム98,98を車両幅方向に延びるトーシ
ョンビーム100で相互に連結固定せしめたトーション
ビーム式サスペンション機構に対して、一対が組み付け
られる。即ち、その左右両側のトレーリングアーム9
8,98の各車両前端部分に形成された車両横方向に延
びる装着孔に対して、外筒金具14を圧入固定する一
方、内筒金具12を、ロッド等を介してボデーに固定す
ることにより、図14において、その左右方向が車両左
右方向で、上下方向が車両前後方向となる状態で装着さ
れる。また、各トレーリングアーム98の先端部分にお
いて、内筒金具12の固定プレート22と外筒金具14
の傾斜板対向部66が、それぞれ、車両幅方向で内方に
位置し、且つ、車両の斜め前方に向って突出せしめられ
るように、車両前後方向に延びる対称軸:X−Xを挟ん
で、互いに対称的に装着される。
【0083】なお、本実施形態では、外筒金具(14)
における円筒状部(63)の軸方向一方(図1中の右
方)の端部が、他方の端部に比して僅かに縮径されてお
り、それによって、外筒金具(14)をトレーリングア
ーム98の装着孔に取り付ける際の作業性が向上されて
いる。
【0084】そして、かかる装着状態下において、例え
ば、車両の段差乗越時等に、タイヤ102,102から
車両前後方向に及ぼされる力:Fによって、各流体封入
式トーコレクトブッシュ10には、中心軸に対して垂直
な方向で、内外筒金具(12,14)間に外力:fが及
ぼされることとなる。そして、かかる外力:fによっ
て、本体ゴム弾性体(16)とトーコレクトゴム弾性体
(16)が弾性変形せしめられることにより、内外筒金
具(12,14)が、相対的に変位せしめられて、サス
ペンション部材104の全体に、車両ボデーに対する相
対的な変位が生ぜしめられることとなる。
【0085】ここにおいて、かかる構造とされた流体封
入式トーコレクトブッシュ10においては、車両前後方
向となる径方向に振動が入力されて本体ゴム弾性体16
が弾性変形せしめられることにより、第一の流体室92
と第二の流体室94の間に相対的な圧力変化が生ぜしめ
られて、それら両流体室92,94間で、オリフィス通
路96を通じての流体流動が惹起されることとなる。
【0086】その結果、オリフィス通路96を流動せし
められる流体の共振作用に基づく高減衰効果が発揮され
て、段差乗越後に発生するブルブル振動に対して優れた
防振性能を得ることが可能となり、以て、車両の乗心地
の向上が図られ得るのである。
【0087】また、オリフィス通路96を流動せしめら
れる流体の共振作用に基づく効果は、動的なブルブル振
動に対して有効に発揮され得るものであることから、コ
ーナリングに際して入力される横力等の略静的な荷重に
対するばね特性への悪影響が軽減乃至は回避され得るの
であり、その結果、操縦安定性も高度に維持され得るの
である。
【0088】さらに、本実施形態では、トーコレクトゴ
ム弾性体84の硬度が、本体ゴム弾性体16の硬度より
も大きくされていることから、流体封入式トーコレクト
ブッシュ10の全体の全体として、主軸ばね比の値を一
層大きく設定することが可能となる。
【0089】また、トーコレクトゴム弾性体84の材質
と本体ゴム弾性体16の材質は、互いに異なるものが採
用されていることから、主に乗心地に影響する車両前後
方向荷重に対して、本体ゴム弾性体16の弾性変形と、
それに伴う流体の共振作用に基づいて発揮される防振効
果を高度に確保しつつ、主に操縦安定性に影響する車両
横方向荷重に対しては、トーコレクトゴム弾性体84の
弾性変形と、それに伴うトーコレクト作用に基づいて発
揮される操縦安定性の向上が、一層有利に達成され得る
のである。
【0090】また、かかる流体封入式トーコレクトブッ
シュ10において、例えば、車両の段差乗越後に発生す
るハーシュネスとしての衝撃的振動やブルブル振動等の
動的荷重に対するばね特性に関しては、本体ゴム弾性体
16が支配的となって、オリフィス通路96を流動せし
められる流体の共振作用に基づく防振効果、特に、本実
施形態では、ブルブル振動に対する高減衰化による防振
効果が有効に発揮され得るのであり、一方、車両コーナ
リング時に発生する向心力によって、流体封入式トーコ
レクトブッシュ10に及ぼされる横力等の静的荷重に対
するばね特性に関しては、トーコレクトゴム弾性体84
が支配的となることから、圧縮方向の弾性主軸と流体封
入式トーコレクトブッシュ10の中心軸の為す角度が小
さくされることにより、車両前後方向のばね特性が十分
に柔かくされて、優れた乗心地が発揮され得るのであ
る。
【0091】さらに、本実施形態の流体封入式トーコレ
クトブッシュ10では、本体ゴム弾性体16において、
車両前後方向となる径方向に一対のポケット部46,4
6が形成されていることから、車両前後方向の入力荷重
によって圧縮/引張変形せしめられるゴムボリュームが
小さくされて、車両前後方向のばね特性が柔かくされる
ことにより、優れた乗心地が一層有利に発揮され得るの
である。
【0092】また、本実施形態の流体封入式トーコレク
トブッシュ10は、第二の一体加硫成形品86と第一の
一体加硫成形品44によって構成されていることから、
それらの何れか一方の例えばゴム弾性体の材質や形状等
を異ならせることによって、特性の異なる流体封入式ト
ーコレクトブッシュを容易に製造することが出来るので
ある。
【0093】また、本実施形態では、固定プレート22
と傾斜板対向部66の対向面70,72間に中間拘束板
74を配設してトーコレクトゴム弾性体84に加硫接着
せしめたことにより、トーコレクトゴム弾性体84それ
自体において、柔かい剪断方向、即ち、固定プレート2
2と傾斜板対向部66の突出方向でのばね特性を維持し
ながら、圧縮方向、即ち、固定プレート22と傾斜板対
向部66の対向方向のばね特性を硬く設定することが出
来るのであり、それによって、車両前後方向での柔かい
ばね特性を確保しつつ、コーナリングに際しての車両横
方向荷重の入力時における横力ステアを一層有利に抑え
ることが出来るのであり、その結果、車両の乗心地と操
縦安定性をより高度に両立させることが可能となるので
ある。
【0094】また、本実施形態では、中間拘束板74
が、トーコレクトゴム弾性体84の厚さ方向略中央部分
乃至は僅かに外周側に偏倚して配設されていることか
ら、中間拘束板74の両側に位置せしめられたトーコレ
クトゴム弾性体84に対して応力が略均等に分布せしめ
られて、応力集中が回避されることにより、耐久性も有
利に確保され得る。
【0095】因みに、上述の如き流体封入式トーコレク
トブッシュ10を装着したサスペンション機構におい
て、その防振性能を測定した結果を、実施例として、図
15に示す。かかる測定に際しては、図14に示されて
いるように、流体封入式トーコレクトブッシュ10をト
レーリングアーム98の装着孔に装着した後に、かかる
サスペンション機構に対して、車両前後方向に段差乗越
えに相当する衝撃的振動荷重を及ぼして、車両前後方向
の振動伝達力の経時変化を測定した。なお、特開平9−
104212号公報等に記載されているような、流体室
を備えていない従来構造のトーコレクトブッシュを装着
したサスペンション機構についても、同様な測定を行
い、その結果を、比較例として、図15に併せ示す。
【0096】図15に示された測定結果から明らかなよ
うに、実施例は、比較例に比して、短い時間で振動が抑
えられており、ハーシュネスに対して優れた防振性能を
発揮し得ることが認められる。
【0097】以上、解決手段の欄に記載された本発明の
第一乃至第六の何れかの態様に係る一実施形態としての
流体封入式トーコレクトブッシュ10について、本発明
の第一の実施形態として詳述してきたが、これはあくま
でも例示であって、本発明は、かかる実施形態における
具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるもの
ではない。
【0098】例えば、前記第一の実施形態では、内筒金
具12が、第一の内筒金具18と第二の内筒金具20
を、それぞれの軸方向対向面で互いに重ね合わせること
によって構成されていたが、第一及び第二の内筒金具の
何れか一方を、他方に外挿することによって、内筒金具
を構成することも可能である。具体的には、例えば、図
16に示されているような構造が、好適に採用される。
【0099】すなわち、図16には、本発明の第二の実
施形態としての流体封入式トーコレクトブッシュ106
が示されている。本実施形態の流体封入式トーコレクト
ブッシュ106は、前記第一の実施形態としての流体封
入式トーコレクトブッシュ(10)に比して、内筒金具
の構造が異なっている。なお、以下の説明において、第
一の実施形態と同様な構造とされた部材及び部位につい
ては、それぞれ、図中に第一の実施形態と同一の符号を
付すことにより、それらの詳細な説明を省略する。
【0100】より詳細には、本実施形態では、第一の内
筒金具18が軸方向一方(第二の内筒金具20の方)の
側に向かって同軸上に延び出されて長尺とされており、
その延出部分108が、第一の内筒金具18の本体部分
107と内径寸法が同一で外径寸法だけ小さな薄肉の円
筒形状とされている。また一方、第二の内筒金具20
は、第一の内筒金具18の延出部分108と略同じ軸方
向長さを有しており、且つかかる第二の内筒金具20の
外径寸法が第一の内筒金具18における本体部分107
の外径寸法と略同じとされていると共に、その内径寸法
が第一の内筒金具18における延出部分108の外径寸
法よりも僅かに大きくされている。そして、第一の内筒
金具18の延出部分108が第二の内筒金具20に対し
て圧入されることにより、第二の内筒金具20が第一の
内筒金具18に対して外挿固定されている。なお、本実
施形態では、延出部分108が、第二の内筒金具20と
略同じ軸方向長さとされて、内筒金具20の全長に亘っ
て圧入固定されることにより、大きな固着力が得られる
ようになっている。
【0101】このような構造とされた流体封入式トーコ
レクトブッシュ106においても、前記実施形態の流体
封入式トーコレクトブッシュ(10)と同様の効果を得
ることが出来る。また、本実施形態においては、第一の
内筒金具18と第二の内筒金具20を相互に同軸的に固
定することが出来るのであり、それ故、前記第一の実施
形態において、本体ゴム弾性体の一体加硫成形品(4
4)に対して、外筒金具(14)を外挿する際に生じる
可能性がある第一及び第二の内筒金具(18,20)の
各中心軸のずれを防止することが出来るのである。ま
た、内筒金具12の内周面が、第一の内筒金具18の内
周面のみで形成されていることから、ロッド等を内挿す
る際の作業性が向上され得る。
【0102】なお、本実施形態においては、延出部分1
08と第二の内筒金具20の軸方向長さを異ならせても
良い。
【0103】また、本実施形態とは反対に、第二の内筒
金具20に対して、第一の内筒金具18側に向って延び
出す延出部分を設けて、該延出部分を第一の内筒金具1
8に内挿することによって、内筒金具12を構成するこ
とも可能である。
【0104】また、前記実施形態では、外筒金具14
が、円筒状部63と傾斜板対向部66を一体的に備えた
単一の部材によって構成されていたが、それら円筒状部
63と傾斜板対向部66を別部材で構成しても良い。
【0105】すなわち、図17には、本発明の第三の実
施形態としての流体封入式トーコレクトブッシュ110
が示されている。本実施形態の流体封入式トーコレクト
ブッシュ110は、前記第一の実施形態の流体封入式ト
ーコレクトブッシュ(10)に比して、外筒金具14の
構造が異なっている。なお、以下の説明において、前記
第一の実施形態と同様な構造とされた部材及び部位につ
いては、前記第一の実施形態と同一の符号を付すことに
より、それらの詳細な説明を省略する。
【0106】本実施形態における外筒金具14は、前記
第一の実施形態における外筒金具(14)が、その円筒
状部(63)の軸方向一方(図1中の左方)の端部近く
で、二つに分割された構造とされている。そして、円筒
状部(63)の多くの部分を有している方が第一の外筒
金具112とされていると共に、円筒状部(63)のフ
ランジ部64側の端部と傾斜板対向部66を有している
方が第二の外筒金具114とされている。そして、これ
ら第一及び第二の外筒金具112,114は、それぞ
れ、トレーリングアームの装着孔116に対して圧入等
によって固定的に組み付けられることにより、一つの外
筒金具14が構成されるようになっている。
【0107】このような構造とされた流体封入式トーコ
レクトブッシュ110においても、前記実施形態の流体
封入式トーコレクトブッシュ(10)と同様の効果を得
ることが出来る。しかも、第一の一体加硫成形品44と
第二の一体加硫成形品86を組付ける前に、第一の一体
加硫成形品44に第一の外筒金具112を外嵌固定して
非圧縮性流体を封入することが出来ることから、非圧縮
性流体の封入作業性が向上されると共に、各々別部材と
して完成された本体ゴム弾性体側とトーコレクトゴム弾
性体側の組み合わせの変更を容易に行うことが可能とな
る。
【0108】なお、本実施形態においては、前記第一の
実施形態における内筒金具12の圧入等による軸方向連
結構造を第一及び第二の外筒金具112,114の連結
部分に採用して、それら両外筒金具112,114を相
互に連結固定するようにしても良い。
【0109】また、前記第一〜第三実施形態において
は、何れも、一対のポケット部46,46や一対の開口
窓40,40の大きさが互いに同じであったが、それら
を相互に異ならせても良い。
【0110】さらに、本体ゴム弾性体16の硬度とトー
コレクトゴム弾性体84の硬度を互いに同じとしたり、
それら本体ゴム弾性体16とトーコレクトゴム弾性体8
4の材質を同じにしても良いことは勿論である。
【0111】また、前記第一〜第三の実施形態では、何
れも、ストッパ部28が、第一の内筒金具18に固設さ
れていたが、その他の公知の各種のストッパ構造が採用
可能である。具体的には、例えば、第一及び第二の流体
室92,94内にマスブロックを収容せしめて、かかる
マスブロックによって、一対のストッパ部を構成するこ
とも可能である。
【0112】さらに、オリフィス通路の構造や長さ,断
面積,チューニング等は、要求される設計条件や防振性
能に応じて適宜に設定,変更され得るものであり、例え
ば、前記実施形態において、ハーシュネスにおける初期
の衝撃的振動に対して低動ばね効果が発揮されるように
チューニングすることも有効である。また、前記第一〜
第三の実施形態では、何れも、オリフィス金具58の凹
溝62が、オリフィス金具58の外周面側に開口せしめ
られていたが、かかる凹溝を内周面側に開口させたり、
或いは、蛇行して形成したり、また、流体室内にまで延
び出すオリフィス部材を用いてより一層長いオリフィス
通路を形成することも可能である。
【0113】続いて、前記解決手段の欄に記載された本
発明の第七乃至第十二の何れかの態様に係る一実施形態
としての流体封入式トーコレクトブッシュ210につい
て、本発明の第四の実施形態として、図18〜22を参
照しつつ、説明する。この流体封入式トーコレクトブッ
シュ210は、インナ軸部材としての内筒金具12とア
ウタ筒部材としての外筒金具214が、互いに径方向に
離隔して配されていると共に、それら内外筒金具21
2,214間に本体ゴム弾性体216が介装されて、両
金具212,214が弾性的に連結された構造を有して
いる。
【0114】より詳細には、内筒金具212は、厚肉小
径の円筒形状を有しており、軸方向一方(図1中の左
方)の端部近くには、略湾曲板形状の固定プレート21
8が固着されている。この固定プレート218は、プレ
ス金具等によって形成されており、略扇形の湾曲板形状
を有していると共に、扇形の中心部分には、円弧形状の
嵌着用切欠220が設けられている。そして、嵌着用切
欠220に対して内筒金具212が挿通され、嵌着用切
欠220が内筒金具212に溶着されることによって、
固定プレート218が内筒金具212に固着されてい
る。
【0115】そこにおいて、固定プレート218は、内
筒金具212から離れるに従って幅広となる略扇形状を
有しており、内筒金具212の中心軸222に対して、
軸方向外方に傾斜して、径方向一方(図18,19中の
上方)の側に向って突出せしめられており、かかる固定
プレート218の傾斜外面が、中心軸222に対して略
一定の傾斜角度で斜め外方に延び出す略平坦な傾斜面
(242)とされている。更に、固定プレート218
は、その中心部分の幅寸法(図19中の左右方向寸法)
が、内筒金具212の外径寸法と外筒金具214の内径
寸法の略中間程度にされていると共に、その突出先端部
の最も大きな幅寸法が、外筒金具214の内径寸法に略
近い大きさとされている。なお、固定プレート218の
突出先端面(外周面)は、内筒金具212の中心軸22
2を略中心とする円弧形状とされている。
【0116】また、内筒金具212の軸方向他方(図1
8中の右方)の端部近くには、径方向外方に突出する一
対のストッパ部224,224が、径方向で対向位置し
て一体形成されている。これら一対のストッパ部22
4,224は、それぞれ、径方向外方に突出する略矩形
ブロック形状を有している。また、各ストッパ部224
の幅寸法(図22中の左右方向の寸法)は、内筒金具1
2の外径寸法と略同じとされていると共に、各ストッパ
部224の軸方向寸法は、内筒金具212の軸方向寸法
よりも十分に小さくされている。
【0117】さらに、両ストッパ部224,224の突
出高さは、互いに異なっており、何れのストッパ部22
4,224も外筒金具214までは至らない高さとされ
ていると共に、一方(図18,22中の上方)のストッ
パ部224の突出高さが、他方(図18,22中の下
方)のストッパ部224の突出高さの略2倍の大きさと
なっている。また、各ストッパ部224の突出先端面は
周方向に湾曲されており、その曲率半径は外筒金具21
4の内周面の曲率半径と略同じとされている。
【0118】また、本実施形態では、内筒金具212の
軸方向一方(図18中の右方)の端面に、一対のストッ
パ部224,224が形成された径方向を示すための位
置決め用切欠226が形成されている。
【0119】また、内筒金具212の径方向外方には、
薄肉大径円筒形状の金属スリーブ228が所定距離を隔
てて、且つ、同心軸上に配設されている。この金属スリ
ーブ228の軸方向長さは、内筒金具212の軸方向長
さよりも小さくされており、内筒金具212の軸方向両
端部が、金属スリーブ228から軸方向外方に突出され
ている。更に、金属スリーブ228の軸方向中央部分に
は、周溝230が形成されている。
【0120】この周溝230は、金属スリーブ228の
外周面に開口した凹溝形状とされており、略一定の断面
積で金属スリーブ228の全周に亘って形成されてい
る。また、周溝230の幅方向(金属スリーブ228の
軸方向)の長さは、金属スリーブ228の軸方向長さよ
りも小さくされており、それによって、金属スリーブ2
28の軸方向両端部分には、それぞれ、大径の嵌着部2
31,231が形成されている。更に、周溝230の深
さ寸法は、本実施形態では、金属スリーブ228と内筒
金具212の径方向対向面間距離の略1/3とされてい
る。
【0121】また、金属スリーブ228の軸方向中央部
分には、一対の開口窓232,232が径方向一方向に
対向位置して形成されている。これらの開口窓232,
232は、それぞれ、矩形形状を有しており、金属スリ
ーブ228を貫通して形成されている。また、各開口窓
32は、その周方向長さが、金属スリーブ228におけ
る周方向長さの略1/3とされていると共に、その軸方
向長さが、金属スリーブ228の軸方向長さの略3/5
とされている。そして、これら一対の開口窓232,2
32は、一対のストッパ部224,224の突出方向外
方に位置せしめられている。
【0122】また、金属スリーブ228の軸方向一方
(図18中の左方)の開口周縁部には、径方向外方に突
出して周方向に連続して延びるフランジ状部234が一
体的に形成されている。このフランジ状部234の周上
の一部分(図18,19中の上側部分)が、軸方向に傾
斜して径方向斜め外方に延長されており、それによっ
て、内筒金具212に突設された固定プレート218に
対して斜め軸方向外方に離隔し、固定プレート218に
対して略平行に対向位置する傾斜板対向部236が形成
されており、傾斜板対向部236によって、金属スリー
ブ228の中心軸238に対して略一定の角度で傾斜し
た傾斜面が構成されている。ここにおいて、傾斜板対向
部236が突出する径方向と一対の開口窓232,23
2が形成されている径方向は、一致している。
【0123】なお、このことから明らかなように、本実
施形態では、内筒金具212の固定プレート218によ
ってインナ側傾斜部が構成されている一方、金属スリー
ブ228の傾斜板対向部236によってアウタ側傾斜部
が構成されている。また、傾斜板対向部236は、その
突出先端面240が、固定プレート218よりも大径の
円弧状面とされていると共に、その周方向長さが、固定
プレート218よりも十分に大きくされており、固定プ
レート218の周方向両側に張り出して位置せしめられ
ている。また、本実施形態では、固定プレート218と
傾斜板対向部236の各対向面242,244によっ
て、相互に対向位置する傾斜面が形成されており、各対
向面242,244は、互いに略平行とされている。
【0124】さらに、図18に示されているように、固
定プレート218と傾斜板対向部2236の対向面24
2,244間には、中間拘束部材としての中間拘束板2
46が配設されている。この中間拘束板246は金属製
とされており、図23,24にその単体図が示されてい
るように、全体として略一定の板厚を有する周方向に湾
曲した円弧板形の湾曲プレート形状とされており、内筒
金具212の中心軸222に対して、径方向外方に傾斜
して、径方向一方(図18中の上方)の側に向って斜め
に突出せしめられている。また、その突出方向の先端部
分248は、径方向外方に向って屈曲されて、且つ、径
方向外方に行くに従って幅広となる扇形形状とされてい
る一方、その基端部は、後述するトーコレクトゴム弾性
体258内に位置せしめられている。なお、先端部分2
48の突出先端面250は、内筒金具212の中心軸2
22を略中心とし、且つ、傾斜板対向部236の突出先
端面240よりも小径の円弧形状とされている。そし
て、かかる中間拘束板46は、固定プレート218と傾
斜板対向部236の各対向面242,244間の中央部
分に配設されており、中間拘束板246の表裏両面25
2,252が、固定プレート218と傾斜板対向部36
の各対向面242,244に互いに平行となるように位
置せしめられている。更に、中間拘束板246には、図
24に示されているように、複数個(本実施形態では5
個)の連通孔254が設けられている。
【0125】また、内筒金具212と金属スリーブ22
8の径方向対向面間には、本体ゴム弾性体216が配設
されている。かかる本体ゴム弾性体216は、全体とし
て厚肉円筒形状を有しており、内筒金具212と金属ス
リーブ228の径方向対向面間の略全体に亘って介在せ
しめられている。そして、本体ゴム弾性体216の外周
面が金属スリーブ228の内周面に加硫接着されている
と共に、その内周面が内筒金具212の外周面に加硫接
着されていることにより、図25〜29に示されている
ように、本体ゴム弾性体216が、それら内筒金具21
2と金属スリーブ228を有する一体加硫成形品256
として形成されている。
【0126】さらに、本体ゴム弾性体216は、固定プ
レート218と中間拘束板246と傾斜板対向部236
のそれぞれの対向面間にも延び出しており、以て、それ
ら固定プレート218と中間拘束板246と傾斜板対向
部236の各対向面間の全体に亘って充填されたトーコ
レクトゴム弾性体258が、本体ゴム弾性体216と一
体的に形成されている。また、中間拘束板246の連通
孔254により、中間拘束板246を挟んだ両側のトー
コレクトゴム弾性体258が相互に接続されている。こ
こにおいて、中間拘束板246は、その突出方向の先端
部分248だけが、周方向の全周に亘って、トーコレク
トゴム弾性体258の外周側端面に突出せしめられてい
る。一方、中間拘束板246の内周側基端部分は、固定
プレート218と傾斜板対向部236の対向面242,
244間の内周側端部近くまで延び出して位置せしめら
れている。更に、本体ゴム弾性体216は、トーコレク
トゴム弾性体258側の軸方向端部が、内筒金具212
の外周面に沿って、固定プレート218まで軸方向に延
び出しており、更に、内筒金具212と金属スリーブ2
28の径方向対向面間から連続して、固定プレート21
8と傾斜板対向部236の対向面242,244間のト
ーコレクトゴム弾性体258に対して、連続的に接続さ
れている。また、固定プレート218の外周面にも、本
体ゴム弾性体216から一体的にゴム層260が延び出
しており、かかるゴム層260によって、固定プレート
218が覆われている。
【0127】また、本体ゴム弾性体216の軸方向中央
部分には、固定プレート218や傾斜板対向部236が
突出する径方向で内筒金具212を挟んだ両側におい
て、一対のポケット部262,262が形成されてい
る。この一対のポケット部262,262は、それぞ
れ、本体ゴム弾性体216の外周面に開口して形成され
ている。ここにおいて、各ポケット部262の軸方向の
長さは、それぞれ、本体ゴム弾性体216の軸方向長さ
の略1/2となっている。また、各ポケット部262の
深さ寸法は、内筒金具212までは僅かに至らない大き
さとされていると共に、各ポケット部262の周方向寸
法は、本体ゴム弾性体216の周方向長さの略1/3と
されている。そして、これら一対のポケット部262,
262は、それぞれ、金属スリーブ228における一対
の開口窓232,232を通じて、金属スリーブ228
の外周面に開口せしめられている。
【0128】また、ポケット部262の底面中央には、
ストッパ部224が開口窓232までは至らない高さで
突出位置せしめられていると共に、かかるストッパ部2
24の表面には、本体ゴム弾性体216から一体的に延
び出したゴム層によって、被覆緩衝ゴム層264が形成
されている。なお、かかる被覆緩衝ゴム層264におい
て、ストッパ部224の突出先端面を被覆している部分
は、軸方向両端面および周方向両端面を被覆している部
分よりも厚肉とされていると共に、図面には明示されて
いないが、その表面には、全面に亘ってシボ突起が形成
されている。
【0129】ここにおいて、固定プレート218側に形
成されたポケット部262aの軸方向一方(図18中の
右方)のゴム壁部266は、全体に亘って略一定の肉厚
寸法とされていると共に、高さ方向(径方向)の基端部
分と先端部分は略径方向に延びているが、高さ方向の中
間部分は、径方向外方に行くに従って軸方向外方に延び
出すように傾斜せしめられており、全体として緩やかな
略S字状の湾曲断面形状とされている。なお、かかるゴ
ム壁部266は、ポケット部262内に突設されたスト
ッパ部224から軸方向に十分に離隔されており、弾性
変形時におけるストッパ部224への干渉が回避される
ようになっている。また、ゴム壁部266の径方向外方
の先端部分は、金属スリーブ228における開口窓23
2の内周縁部に加硫接着されており、開口窓232の内
周縁部から径方向内方に向かって突設されている。な
お、本実施形態では、ゴム壁部266の高さ方向中央部
分が内筒金具212の中心軸222と為す角度は、略4
5度とされている。また、ポケット部262の軸方向他
方(トーコレクトゴム弾性体258側)のゴム壁部は、
全体に亘って内筒金具212の中心軸222に対して略
直交して広がる垂直面形状とされている。
【0130】また、他方のポケット部262bの軸方向
両側のゴム壁部266,266も、上述のゴム壁部26
6と同様に、全体に亘って略一定の肉厚寸法とされてい
ると共に、高さ方向(径方向)の基端部分と先端部分は
略径方向に延びているが、高さ方向の中間部分は、径方
向外方に行くに従って軸方向外方に延び出すように傾斜
せしめられており、全体として緩やかな略S字状の湾曲
断面形状とされている。そして、これら両ゴム壁部26
6,266は、径方向外方に行くに従って相互に軸方向
に離隔する相対形状を有しており、それによって、両ゴ
ム壁部266,266の対向面間に形成されたポケット
部262bが、外周面側に向かって拡開した形状とされ
ている。
【0131】なお、これらのことから明らかなように、
本実施形態では、各ポケット部262a,262bの軸
方向壁部を構成する各ゴム壁部266によって、弾性壁
部が構成されている。
【0132】また、金属スリーブ228に形成されて、
一対のポケット部262a,262b間に跨がって周方
向に延びる周溝230には、本体ゴム弾性体216によ
って一体形成されたシールゴム268が充填されてい
る。また、ポケット部262a,262bの一方の周方
向間に跨がって延びる周溝230の部分には、一方のポ
ケット部262a側から周方向に略半周に亘って延びる
嵌合凹部270が形成されている。また一方、ポケット
部262a,262bの他方の周方向間に跨がって延び
る周溝230の部分には、両ポケット部262a,26
2b間に跨がって周方向に延びる連通凹溝288が形成
されている。なお、連通凹溝288における長手方向中
央部分の底壁面には、後述するオリフィス金具(27
4)の周方向位置決め用に僅かな段差部が形成されてい
る。そして、かかる連通凹溝88によって、一対のポケ
ット部262a,262bが、金属スリーブ228に形
成された開口窓232,232において相互に接続され
ているのである。なお、シールゴム268の外周面に
は、シールゴムを軸方向に延びるシールリップ272が
突設されている。
【0133】また、かくの如き本体ゴム弾性体216の
一体加硫成形品256には、オリフィス金具274が外
周面上に組み付けられていると共に、そのオリフィス金
具274の外周面上に、更に、外筒金具214が組み付
けられて、金属スリーブ228に対して外嵌状態で組み
付けられている。オリフィス金具274は、図22に示
されているように、略半円環形のブロック形状を有して
いる。そして、かかるオリフィス金具274は、一体加
硫成形品256の径方向一方から組み付けられており、
金属スリーブ228における一方の開口窓232(ポケ
ット部262a側の開口窓)を周方向に跨いで配設され
ている。また、オリフィス金具274は、その周方向両
端部分が嵌合凹溝270と連通凹溝288に嵌め込まれ
て、周方向および軸方向に位置決め固定されている。
【0134】ここにおいて、かかるオリフィス金具27
4は、図22に示されているように、金属スリーブ22
8の略半周の周方向長さを有しており、外周面上には、
一方の端部近くから他方の端部まで連続して延びる凹溝
276が形成されている。この凹溝276は、オリフィ
ス金具274の一方の周方向端面に開口せしめられてい
ると共に、周方向他方の端部(行き止まり端)には、底
壁部を貫通してオリフィス金具274内周面に開口する
連通孔278が形成されている。そして、この連通孔2
78を通じて、凹溝276の一方の端部がポケット部2
62aに開口,連通せしめられている。また、凹溝27
6の他方の端部は、連通凹溝288を通じて、他方のポ
ケット部262bに連通せしめられている。
【0135】また、図30に示されているように、オリ
フィス金具274の周方向略中央部分には、軸方向両側
に向ってそれぞれ突出する軸方向突部280,280が
一体形成されている。これらの軸方向突部280,28
0は、開口窓232の周方向寸法よりも小さな周方向寸
法を持って形成されており、本実施形態では、開口窓2
32の略1/3周の周方向長さで形成されている。ま
た、かかる軸方向突部280の突出高さは、両側軸方向
突部の突出先端面間の距離が、開口窓232の軸方向長
さよりも僅かに小さくされている。
【0136】そして、一体加硫成形品256に組み付け
られたオリフィス金具274は、両側の軸方向突部28
0,280の突出先端面が、金属スリーブ228におけ
る軸方向内側端面に対して、それぞれ実質的に当接され
ている。特に、本実施形態では、オリフィス金具274
の軸方向突部280,280の突出先端面が、金属スリ
ーブ228の開口窓232の内周面を被覆しているシー
ルゴム268を介して、開口窓232の軸方向端面に当
接されている。これにより、金属スリーブ228は、開
口窓232によって分断された軸方向両端部分が、それ
らの間に嵌め込まれたオリフィス金具274を介して、
相互に直接的に連接されている。
【0137】また、オリフィス金具274の周方向両端
部分、換言すれば、軸方向突部280,280が形成さ
れていない部分は、軸方向幅が開口窓232の軸方向長
さよりも小さくされており、それによって、開口窓23
2の周方向両側部分には、オリフィス金具274を挟ん
だ両側において、ポケット部262を金属スリーブ22
8の外周面に開口せしめるポケット開口部282が形成
されている。即ち、本実施形態では、かかるポケット開
口部282が、開口窓232の四隅にそれぞれ形成され
ている。
【0138】また一方、外筒金具214は、図18に示
されるように、薄肉の大径円筒形状を有しており、本体
ゴム弾性体216の一体加硫成形品256に対して、オ
リフィス金具274の組付け後に外挿された後、八方絞
り等で縮径されることにより、金属スリーブ228とオ
リフィス金具274の外周面に嵌着固定されている。即
ち、オリフィス金具274は、外筒金具214により、
金属スリーブ228に対して固定的に組み付けられてい
る。なお、外筒金具214の内周面には、略全面に亘っ
て、薄肉のシールゴム292が加硫接着されており、こ
のシールゴム292によって、金属スリーブ228と外
筒金具214の嵌着面間およびオリフィス金具274と
外筒金具214の嵌着面間が、それぞれ、流体密にシー
ルされている。
【0139】そして、このような本体ゴム弾性体216
の一体加硫成形品256に対して、オリフィス金具27
4と外筒金具214が組み付けられることにより、一対
のポケット部262a,262bの開口部が、それぞれ
流体密に覆蓋されている。これにより、一方のポケット
部262bにおいて、壁部の一部が本体ゴム弾性体21
6(ゴム壁部266)で構成された第一の流体室294
が形成されていると共に、他方のポケット部262aに
おいて、壁部の一部が本体ゴム弾性体216(ゴム壁部
266,266)で構成された第二の流体室296が形
成されている。さらに、これら第一及び第二の流体室2
94,296には、それぞれ、非圧縮性流体が封入され
ている。かかる非圧縮性流体としては、水やアルキレン
グリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油
等が採用されるが、後述する流体の共振作用に基づく防
振効果を有利に得るために、本実施形態では、粘度が
0.1Pa・s以下の低粘性流体が好適に採用される。
そして、第一及び第二の流体室294,296は、第一
及び第二の流体室294,296が形成された径方向の
振動入力に際して、本体ゴム弾性体216の弾性変形に
基づいて内圧変動が生ぜしめられるようになっている。
【0140】また、第一及び第二の流体室294,29
6への非圧縮性流体の封入は、例えば、本体ゴム弾性体
216の一体加硫成形品256に対する組付けを非圧縮
性流体中で行うことによって有利に為され得るが、その
他、例えば、かかる組付けを大気中で行った後に、外筒
金具に貫設した注入孔を通じて非圧縮性流体を充填し、
その後に注入孔を封止リベット等で閉塞せしめることに
よって、或いは,本体ゴム弾性体216に注射針等を刺
し通して、注射針を通じて非圧縮性流体を充填すること
によっても為し得る。なお、金属スリーブ228と外筒
金具214の嵌着面間では、シールゴム292が挟圧さ
れており、第一及び第二の流体室294,296の流体
密性が向上されている。
【0141】さらに、外筒金具214の組付けによっ
て、オリフィス金具274に形成された凹溝276が流
体密に覆蓋されており、第一及び第二の流体室294,
296を相互に連通するオリフィス通路298が形成さ
れている。なお、オリフィス金具274の外周面は、シ
ールゴム268,292を介して、金属スリーブ228
と外筒金具214に流体密に圧接されており、それによ
って、オリフィス金具274の外周面の隙間を通じての
第一の流体室294と第二の流体室296の短絡が防止
されている。
【0142】そして、オリフィス通路298は、第一及
び第二の流体室294,296の壁ばね剛性等の他、封
入された非圧縮性流体の密度等を考慮して、それぞれの
通路長さや通路断面積が適当に設定されることにより、
内部を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づく
防振効果が、目的とする周波数域の振動に対して有効に
発揮されるようにチューニングされている。なお、本実
施形態では、オリフィス通路98は、その内部を流動せ
しめられる流体の共振作用に基づいて、14〜16Hz
の周波数域の振動に相当するハーシュネス(ブルブル
感)振動に対して高減衰化による防振効果が発揮される
ようにチューニングされている。
【0143】また、第一及び第二の流体室294,29
6内では、内筒金具212側に突設されたストッパ部2
24の突出先端面が所定距離を隔てて外筒金具214乃
至はオリフィス金具274に対向位置せしめられてお
り、ストッパ部224の表面を被覆する被覆緩衝ゴム層
264を介して、外筒金具214に対して直接に或いは
オリフィス金具274を介して間接的に当接せしめられ
ることにより、内筒金具212と外筒金具214の軸直
角方向での相対的変位量が緩衝的に制限されるようにな
っている。なお、本実施形態では、被覆緩衝ゴム層26
4において、ストッパ部224の突出先端面を被覆する
部分の全面に亘って、シボ突起が設けられていることに
より、ストッパ部224が外筒金具214やオリフィス
金具274に当接する際の当接音が軽減乃至は防止され
るようになっている。
【0144】そして、このような構造とされた流体封入
式トーコレクトブッシュ10は、前記第一の実施形態に
おける図14に示されているのと同様に、例えば、トー
ションビーム式サスペンション機構に対して、その左右
両側のトレーリングアームの装着孔に対して外筒金具を
圧入固定する一方、内筒金具を、ロツド等を介してボデ
ーに固定することにより自動車に装着される。
【0145】そして、かかる装着状態下において、本実
施形態の流体封入式トーコレクトブッシュ210におい
ては、第一の実施形態のトーコレクトブッシュ10と同
様に、車両前後方向となる径方向に振動が入力されて本
体ゴム弾性体16が弾性変形せしめられることにより、
第一の流体室294と第二の流体室296の間に相対的
な圧力変化が生ぜしめられて、それら両流体室294,
296間で、オリフィス通路298を通じての流体流動
が惹起されることとなる。その結果、オリフィス通路2
98を流動せしめられる流体の共振作用に基づく高減衰
効果が発揮されて、段差乗越え後に発生するブルブル感
振動に対して、優れた防振性能を得ることが可能とな
り、以て、車両の乗心地の向上が図られ得るのである。
また、オリフィス通路298を流動せしめられる流体の
共振作用に基づく高減衰効果は、動的なブルブル感振動
に対して有効に発揮され得るものであることから、コー
ナリングに際して入力される横力等の略静的な荷重に対
するばね特性への悪影響が軽減乃至は回避され得るので
あり、その結果、操縦安定性も高度に維持され得るので
ある。
【0146】そこにおいて、特に本実施形態の流体封入
式トーコレクトブッシュ210においては、第一の流体
室294の軸方向一方の壁部と第二の流体室296の軸
方向両側の壁部が、上述の如き特定形状で湾曲した弾性
壁部266,266,266とされていることにより、
自由長が有利に確保されて、軸直角方向荷重に対して変
形し易くされており、それによって、変形に伴う流体室
の容積変化が効率的乃至は積極的に生ぜしめられ得るよ
うになっている。その結果、車両前後方向の振動入力時
に第一の流体室294と第二の流体室296の間でオリ
フィス通路298を流動せしめられる流体の流動量が有
利に確保され得て、かかる流体の共振作用に基づいて発
揮される高減衰効果が、一層有利に発揮され得るのであ
る。
【0147】さらに、例えば、ハーシュネス等として車
両の段差乗越時等に発生する衝撃的振動やその後のブル
ブル感振動等の動的荷重に対するばね特性に関しては、
本体ゴム弾性体216が支配的となって、オリフィス通
路298を流動せしめられる流体の共振作用に基づく防
振効果、特に本実施形態では、ブルブル感振動に対する
高減衰化による防振効果が有効に発揮され得るのであ
り、一方、車両コーナリング時に発生する横力等の静的
荷重に対するばね特性に関しては、トーコレクトゴム弾
性体258が支配的となることから、圧縮方向の弾性主
軸と流体封入式トーコレクトブッシュ210の中心軸が
為す角度が小さくされることにより、車両前後方向のば
ね特性が十分に柔かくされ得て、優れた乗心地が発揮さ
れ得るのである。
【0148】さらに、本実施形態の流体封入式トーコレ
クトブッシュ210では、本体ゴム弾性体16におい
て、車両前後方向となる径方向に一対のポケット部26
2a,262bが形成されていることから、車両前後方
向の入力荷重によって圧縮/引張変形せしめられるゴム
ボリュームが小さくされて、車両前後方向のばね特性が
柔かくされていることにより、優れた乗心地が一層有利
に発揮され得るのである。
【0149】また、本実施形態の流体封入式トーコレク
トブッシュ210においては、第一の実施形態の流体封
入式トーコレクトブッシュ10と同様に、トーコレクト
ゴム弾性体258に加硫接着せしめた中間拘束板246
を備えていることから、第一の実施形態と同様に、かか
る中間拘束板246による車両の乗心地と操縦安定性の
より高度な両立化等が図られ得るのである。
【0150】なお、本実施形態に係る構造の流体封入式
トーコレクトブッシュ210を装着したサスペンション
機構において、その防振性能を測定したところ、第一の
実施形態の流体封入式トーコレクトブッシュ10の防振
性能を測定した図15に示されたものと略同じ結果が得
られた。
【0151】以上、解決手段の欄における前記第七乃至
第十二の何れかに記載の態様に係る流体封入式トーコレ
クトブッシュの一実施形態として、本発明の第四の実施
形態としての流体封入式トーコレクトブッシュについて
詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、前記
第七乃至第十二の態様に係る本発明は、かかる実施形態
における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈さ
れるものではない。
【0152】例えば、インナ軸部材とアウタ筒部材は、
装着状態下に及ぼされる静的荷重等を考慮して、装着前
の非荷重入力状態下で軸直角方向で偏心位置せしめられ
ていても良い。
【0153】また、軸方向と軸直角方向の入力荷重に対
して分力作用を発揮する傾斜面の形状や大きさ等は、要
求特性に応じて適宜に変更,設定されるものであって、
何等、限定されるものではない。
【0154】更にまた、ゴム壁部266の形状および厚
さ寸法は、本実施形態の形状および厚さ寸法に限定され
るものでなく、例えば、第一及び第二の流体室94,9
6における軸方向一方の壁部だけを、上述の如きS字状
の湾曲断面形状とすることも可能である。
【0155】また、オリフィス通路を、オリフィス部材
を採用することなく、金属スリーブ228と外筒金具2
14の間に直接に形成したり、或いは、外筒金具214
の内周面に沿って周方向の全周に亘って延びる環状のオ
リフィス部材を採用して周方向に長いオリフィス通路を
形成することも可能である。
【0156】また、本体ゴム弾性体とトーコレクトゴム
弾性体を別体で形成することも可能であり、そのような
別体のゴム弾性体を採用する場合には、本体ゴム弾性体
とトーコレクトゴム弾性体を、互いに異なる材質とする
ことが出来、それによってチューニング自由度の更なる
向上が図られ得る。
【0157】さらに、本発明においても、オリフィス通
路の長さや断面積を含む形状や構造等は、第一の実施形
態における流体封入式トーコレクトブッシュ10と同様
に、要求特性等を考慮して、適宜に設定されるものであ
り、何等、限定されるものでないことは、言うまでもな
い。
【0158】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて、種々なる変更,修正,改良等
を加えた態様において実施され得るものであり、また、
そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限
り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであること
は、言うまでもない。
【0159】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明
に従う構造とされた流体封入式トーコレクトブッシュに
おいては、第一の流体室と第二の流体室の間でオリフィ
ス通路を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて軸
直角方向に入力される動的な振動荷重に対して有効な防
振効果が発揮されることから、インナ軸部材とアウタ筒
部材の間に及ぼされる軸方向荷重に対するばね剛性や、
トーコレクトゴム弾性体によって発揮される所期の弾性
主軸特性に対する悪影響を回避して、そのような目的と
する軸方向のばね剛性や弾性主軸特性を確保しつつ、軸
直角方向に及ぼされる振動に対する防振性能を向上させ
ることが可能となるのである。
【0160】また、このような流体封入式トーコレクト
ブッシュを採用した本発明に係るサスペンション機構に
おいては、コーナリング等に際して入力される軸方向荷
重に対して有効なばね剛性を確保しつつ、軸直角方向に
入力されるハーシュネス等の走行時振動に対して流体の
共振作用に基づく有効な防振効果を得ることができるの
であり、それによって、車両の操縦安定性と乗り心地を
高次元で両立させることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態としての流体封入式ト
ーコレクトブッシュの縦断面図であって、図2のI−I
断面に相当する図である。
【図2】図1における左側面図である。
【図3】図1における右側面図である。
【図4】図3におけるIV−IV断面図である。
【図5】図1におけるV−V断面図である。
【図6】図1に示された流体封入式トーコレクトブッシ
ュに採用されている本体ゴム弾性体の一体加硫成形品の
縦断面図である。
【図7】図6におけるVII−VII断面図である。
【図8】図6におけるVIII−VIII断面図であ
る。
【図9】図1に示された流体封入式トーコレクトブッシ
ュに採用されている中間拘束部材の縦断面図である。
【図10】図9に示された中間拘束部材の斜視図であ
る。
【図11】図1に示された流体封入式トーコレクトブッ
シュに採用されているトーコレクトゴム弾性体の一体加
硫成形品の縦断面図である。
【図12】図11におけるXII−XII断面図であ
る。
【図13】図1に示された流体封入式トーコレクトブッ
シュの絞り加工前の縦断面図である。
【図14】図1に示された流体封入式トーコレクトブッ
シュのサスペンション機構への装着状態を示す概略図で
ある。
【図15】図14に示されたサスペンション機構におけ
る車両前後方向の振動伝達力の防振特性を測定した結果
を示すグラフである。
【図16】本発明の第二の実施形態としての流体封入式
トーコレクトブッシュの縦断面図である。
【図17】本発明の第三の実施形態としての流体封入式
トーコレクトブッシュの縦断面図である。
【図18】本発明の第四の実施形態としての流体封入式
トーコレクトブッシュの縦断面図であり、図19におけ
るXVIII−XVIII断面に相当する図である。
【図19】図18に示された流体封入式トーコレクトブ
ッシュの左側端視図である。
【図20】図18に示された流体封入式トーコレクトブ
ッシュの右側端視図である。
【図21】図20におけるXXI−XXI断面図であ
る。
【図22】図18におけるXXII−XXII断面図で
ある。
【図23】図18に示された流体封入式トーコレクトブ
ッシュに採用されている中間拘束板の縦断面図である。
【図24】図23に示された中間拘束板の斜視図であ
る。
【図25】図18に示された流体封入式トーコレクトブ
ッシュに採用されている本体ゴム弾性体の一体加硫成形
品の縦断面図である。
【図26】図25におけるXXVI−XXVI断面図で
ある。
【図27】図26におけるXXVII−XXVII断面
図である。
【図28】図25に示された一体加硫成形品の下面図で
ある。
【図29】図25に示された一体加硫成形品の右側面図
である。
【図30】図25に示された本体ゴム弾性体の一体加硫
成形品にオリフイス金具が組み付けられた後の下面図で
ある。
【符号の説明】
10 流体封入式トーコレクトブッシュ 12 内筒金具 14 外筒金具 16 本体ゴム弾性体 22 固定プレート 66 傾斜板対向部 84 トーコレクトゴム弾性体 92 第一の流体室 94 第二の流体室 96 オリフィス通路 210 流体封入式トーコレクトブッシュ 212 内筒金具 214 外筒金具 216 本体ゴム弾性体 218 固定プレート 236 傾斜板対向部 258 トーコレクトゴム弾性体 266 ゴム壁部 294 第一の流体室 296 第二の流体室 298 オリフィス通路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中浦 啓全 愛知県小牧市東三丁目1番地 東海ゴム工 業株式会社内 (72)発明者 林 幸男 愛知県小牧市東三丁目1番地 東海ゴム工 業株式会社内 (72)発明者 森 善之 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 井関 政博 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 清田 裕一 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 村田 英紀 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 3D001 AA19 AA43 BA76 CA01 DA08 DA13 3J047 AA06 CA02 CD02 CD08 FA04 GA03

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インナ軸部材と、その外方に離隔配置さ
    れたアウタ筒部材を、それらの径方向対向面間に介装さ
    れた本体ゴム弾性体で連結すると共に、該インナ軸部材
    の軸方向一方の端部において、軸方向外方に傾いて径方
    向斜め外方に向かって突出するインナ側傾斜部を設ける
    一方、前記アウタ筒部材の軸方向一方の端部において、
    軸方向外方に傾いて径方向斜め外方に向かって突出し、
    該インナ側傾斜部に対して離隔して対向位置せしめられ
    たアウタ側傾斜部を設けて、それらインナ側傾斜部とア
    ウタ側傾斜部の対向面間にトーコレクトゴム弾性体を介
    在せしめたトーコレクトブッシュにおいて、 前記本体ゴム弾性体と前記トーコレクトゴム弾性体を、
    互いに別体の加硫成形品にて構成する一方、前記インナ
    軸部材と前記アウタ筒部材の径方向対向面間で、該イン
    ナ軸部材を前記インナ側傾斜部が突出する径方向に挟ん
    だ両側に位置して、それぞれ前記本体ゴム弾性体で壁部
    の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された第一の流
    体室と第二の流体室を形成すると共に、それら第一の流
    体室と第二の流体室を相互に連通するオリフィス通路を
    設けたことを特徴とする流体封入式トーコレクトブッシ
    ュ。
  2. 【請求項2】 前記本体ゴム弾性体の材質と、前記トー
    コレクトゴム弾性体の材質を、相互に異ならせた請求項
    1に記載の流体封入式トーコレクトブッシュ。
  3. 【請求項3】 前記インナ軸部材を、前記本体ゴム弾性
    体に加硫接着された第一のインナ軸部材と、前記トーコ
    レクトゴム弾性体に加硫接着された第二のインナ軸部材
    からなる分割構造として、それら第一のインナ軸部材と
    第二のインナ軸部材が、装着状態下で相互に固定される
    ようにした請求項1又は2に記載の流体封入式トーコレ
    クトブッシュ。
  4. 【請求項4】 前記第一のインナ軸部材と前記第二のイ
    ンナ軸部材の何れか一方を他方に対して外挿固定せしめ
    た請求項3に記載の流体封入式トーコレクトブッシュ。
  5. 【請求項5】 前記本体ゴム弾性体の外周面に金属スリ
    ーブを加硫接着して、該金属スリーブに開口窓を設け、
    該本体ゴム弾性体において該開口窓を通じて外周面に開
    口するポケット部を前記インナ軸部材を径方向に挟んだ
    両側にそれぞれ形成すると共に、該金属スリーブに前記
    アウタ筒部材を外嵌固定してそれらのポケット部を流体
    密に覆蓋することにより、前記第一の流体室と前記第二
    の流体室を形成した請求項1乃至4の何れかに記載の流
    体封入式トーコレクトブッシュ。
  6. 【請求項6】 前記アウタ筒部材を、前記本体ゴム弾性
    体を介して前記インナ軸部材に連結される円筒状部と、
    前記トーコレクトゴム弾性体を介して前記インナ側傾斜
    部に連結されるアウタ側傾斜部を備えた一体構造とし
    て、該アウタ筒部材を該トーコレクトゴム弾性体に加硫
    接着せしめると共に、かかるトーコレクトゴム弾性体の
    一体加硫成形品における該アウタ筒部材の該円筒状部
    を、前記本体ゴム弾性体の外周面に加硫接着された前記
    金属スリーブに外嵌固定せしめた請求項5に記載の流体
    封入式トーコレクトブッシュ。
  7. 【請求項7】 インナ軸部材と、その外方に離隔配置さ
    れたアウタ筒部材を、それらの径方向対向面間に介装さ
    れた本体ゴム弾性体で連結すると共に、該インナ軸部材
    の軸方向一方の端部において、軸方向外方に傾いて径方
    向斜め外方に向かって突出するインナ側傾斜部を設ける
    一方、前記アウタ筒部材の軸方向一方の端部において、
    軸方向外方に傾いて径方向斜め外方に向かって突出し、
    該インナ側傾斜部に対して離隔して対向位置せしめられ
    たアウタ側傾斜部を設けて、それらインナ側傾斜部とア
    ウタ側傾斜部の対向面間にトーコレクトゴム弾性体を介
    在せしめたトーコレクトブッシュにおいて、 前記インナ軸部材と前記アウタ筒部材の径方向対向面間
    で、該インナ軸部材を前記インナ側傾斜部が突出する径
    方向に挟んだ両側に位置して、それぞれ前記本体ゴム弾
    性体で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入され
    た第一の流体室と第二の流体室を形成すると共に、それ
    ら第一及び第二の流体室において該本体ゴム弾性体によ
    って構成された軸方向の少なくとも一方の弾性壁部を、
    前記インナ軸部材から前記アウタ筒部材に向かって径方
    向線に対して傾斜して延びる傾斜壁部を含んで形成し、
    更にそれら第一の流体室と第二の流体室を相互に連通す
    るオリフィス通路を設けたことを特徴とする流体封入式
    トーコレクトブッシュ。
  8. 【請求項8】 前記本体ゴム弾性体の外周面に金属スリ
    ーブを加硫接着して、該金属スリーブに開口窓を設け、
    該本体ゴム弾性体において該開口窓を通じて外周面に開
    口するポケット部を前記インナ軸部材を径方向に挟んだ
    両側にそれぞれ形成すると共に、該金属スリーブに前記
    アウタ筒部材を外嵌固定してそれらのポケット部を流体
    密に覆蓋することにより、前記第一の流体室と前記第二
    の流体室を形成した請求項7に記載の流体封入式トーコ
    レクトブッシュ。
  9. 【請求項9】 前記金属スリーブにおいて、前記開口窓
    を径方向で対向位置して二つ形成すると共に、それらの
    開口窓間に跨がって周方向に延びる凹溝を外周面に開口
    して形成せしめて、該凹溝内で前記アウタ筒部材の内周
    面に沿って周方向に延びるようにして前記オリフィス通
    路を形成した請求項7又は8に記載の流体封入式トーコ
    レクトブッシュ。
  10. 【請求項10】 前記金属スリーブに対して、前記アウ
    タ側傾斜部を一体形成した請求項8又は9に記載の流体
    封入式トーコレクトブッシュ。
  11. 【請求項11】 前記本体ゴム弾性体と前記トーコレク
    トゴム弾性体を別体形成して、それら本体ゴム弾性体の
    材質と前記トーコレクトゴム弾性体の材質を、相互に異
    ならせた請求項7乃至9の何れかに記載の流体封入式ト
    ーコレクトブッシュ。
  12. 【請求項12】 前記第一の流体室又は前記第二の流体
    室における軸方向両側の弾性壁部を、前記インナ軸部材
    から前記アウタ筒部材に向かって径方向外方に行くに従
    って次第に軸方向外方に延び出させて、径方向の中間部
    分の傾斜角度が最も大きくなる略S字形の湾曲断面形状
    とした請求項7乃至11の何れかに記載の流体封入式ト
    ーコレクトブッシュ。
  13. 【請求項13】 前記インナ側傾斜部と前記アウタ側傾
    斜部の対向面間に位置して、それら各傾斜部の対向面か
    らそれぞれ離隔して広がる中間拘束部材を配設すると共
    に、該中間拘束部材を前記トーコレクトゴムに加硫接着
    せしめた請求項1乃至12の何れかに記載の流体封入式
    トーコレクトブッシュ。
  14. 【請求項14】 左右のトレーリングアームをトーショ
    ンビームで連結したサスペンション部材を、自動車のボ
    デーに対して揺動可能に防振連結せしめたサスペンショ
    ン機構において、 前記サスペンション部材における車両前方側の左右両側
    部分に対して、請求項1乃至13の何れかに記載の流体
    封入式トーコレクトブッシュをそれぞれ装着せしめて、
    それらの流体封入式トーコレクトブッシュを介して、該
    サスペンション部材を前記ボデーに防振連結すると共
    に、かかる左右両側の流体封入式トーコレクトブッシュ
    の中心軸を車両左右方向に向けて配設して、前記第一の
    流体室と前記第二の流体室を車両前後方向で対向位置せ
    しめたことを特徴とするサスペンション機構。
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