JP2008249079A - 流体封入式トーコレクトブッシュ - Google Patents

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Abstract

【課題】車両の乗り心地と操縦安定性の両立が高度に達成される上で、流体室やトーコレクトゴムを備えた構造が、優れた製造効率や品質安定性をもって実現され得る、新規な構造の流体封入式トーコレクトブッシュを提供する。
【解決手段】インナ側傾斜部22とアウタ側傾斜部36の間のトーコレクトゴム部42やストッパ部24とフランジ状部34の間のストッパゴム部44を構成する環状の連結ゴム弾性体38には、トーコレクトゴム部42とストッパゴム部44の対向方向に直交する径方向の両側に一対の連通孔80,80が形成されて、アウタ筒部材14の内側における連結ゴム弾性体38と本体ゴム弾性体16との軸方向間の領域78が連通孔80を通じて外部空間と連通されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車用のサスペンションブッシュの一種であるトーコレクトブッシュに係り、特に、内部に封入された流体の流動作用に基づいて防振効果を得るようにした流体封入式トーコレクトブッシュに関するものである。
従来から、自動車のトーションビーム式リジットアクスル型のサスペンション機構において、トーションビーム(ツイストビーム等ともいう。)で連結された左右のトレーリングアームの車両ボデー側への取付部位に装着されるサスペンションブッシュの一種として、トーコレクトブッシュが知られている。トーコレクトブッシュは、一般に、インナ軸部材の外方にアウタ筒部材が離隔配置されて、それらインナ軸部材とアウタ筒部材の径方向対向面間に配設された本体ゴム弾性体により両部材が相互に弾性連結されていると共に、インナ軸部材とアウタ筒部材の各軸方向一方の側に軸方向外方に傾いて径方向斜め外方に向かって延びるインナ側傾斜部とアウタ側傾斜部が設けられて、それらインナ側傾斜部とアウタ側傾斜部の対向面間にトーコレクトゴムが配設された構造を呈している。そして、トーコレクトブッシュの中心軸が車両横方向となり、且つインナ及びアウタ側傾斜部の突出方向が車両前後方向となる状態で自動車に装着されて、主に車両前後方向の荷重に対して本体ゴム弾性体の弾性変形に基づく防振効果が得られることによって、車両の乗心地が向上される一方、主に車両横方向の荷重に対してトーコレクトゴムの弾性変形とそれに伴うトーコレクト作用が発揮されることで、車両の操縦安定性が向上されることとなる。
ここにおいて、車両前後方向の振動低減には、ブッシュに対して高減衰特性を付与することが有効である。そのために、従来では、高減衰特性の本体ゴム弾性体を採用する他、より高度な減衰特性を得るために、液封構造の適用も検討されている。例えば、特許文献1(特開2001−59541号公報)や特許文献2(特開2003−262249号公報)に示されているものがあり、本体ゴム弾性体の外周面に複数のポケット部が開口形成されて、アウタ筒部材の本体ゴム弾性体への外嵌固定に伴いポケット部が覆蓋されることで、それぞれ非圧縮性流体が封入されて、振動入力時に相対的な圧力変動が生ぜしめられる複数の流体室が形成されていると共に、それら複数の流体室がオリフィス通路を通じて相互に連通せしめられている。このような構造によれば、振動入力に伴う複数の流体室間での相対的な圧力変動に基づいて、オリフィス通路を通じての流体流動が生ぜしめられることとなり、かかる流体の共振作用等の流動作用に基づいて高減衰効果を得ることが出来る。
ところが、上述の特許文献1や特許文献2に示される流体封入式トーコレクトブッシュでは、本体ゴム弾性体とトーコレクトゴムが一体形成されていることから、各ゴムにおいてそれぞれ要求特性に最も適した材料を、両方同時に採用することが難しくなり、その結果、車両の乗り心地と操縦安定性が両立して高度に達成され難い問題を内在していた。
このような問題に対処するため、例えば特許文献3(特開2002−266929号公報)にも示されているように、本体ゴム弾性体とトーコレクトゴムを別体形成することが考えられる。
ここで、車両の乗り心地と操縦安定性をより高度に両立させるには、トーコレクトゴムにおいて、車両横方向の荷重に対する高ばね特性を十分に確保しつつ、車両前後方向の荷重に対して本体ゴム弾性体の流体封入構造に基づく防振効果への干渉が問題とならない程度に低ばね特性を確保することが有効である。
しかしながら、特許文献3に示されるように、インナ側傾斜部やアウタ側傾斜部と平行に延びる中間拘束板をトーコレクトゴムに埋設配置するだけで上述の要求特性に応じようとすると、トーコレクトゴムの耐久性能を十分に考慮しつつ、中間拘束板を目的とする位置に配置して、ばね特性をチューニングする負担が大きくなってしまい、製造やばね特性のチューニングの容易化が図られ難くなる可能性があった。
加えて、インナ軸部材の軸方向一方の端部とアウタ筒部材の軸方向一方の開口部の間の周上の一箇所において、ゴム弾性体からなるトーコレクトゴムが配設されただけの従来構造の流体封入式トーコレクトブッシュにおいては、耐荷重性能が十分に得られ難いことに起因して、例えば、車両の段差乗り越えによるハーシュネスやコーナリング等の大荷重入力に際して、インナ軸部材乃至はアウタ筒部材の過大な変位により、インナ側傾斜部がアウタ筒部材や本体ゴム弾性体等に当接し、かかる当接に伴う打音や衝撃が問題となったり、なめらかな荷重−ばね特性が十分に得られ難い問題を内在していた。
特開2001−59541号公報 特開2003−262249号公報 特開2002−266929号公報
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであり、その解決課題とするところは、車両の乗り心地と操縦安定性の両立が高度に達成される上で、流体室やトーコレクトゴムを備えた構造が、優れた製造効率や品質安定性をもって実現され得る、新規な構造の流体封入式トーコレクトブッシュを提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
すなわち、本発明の特徴とするところは、インナ軸部材の径方向外方にアウタ筒部材が離隔配置されていると共に、インナ軸部材の軸方向一方の端部がアウタ筒部材の軸方向一方の開口部よりも軸方向外方に延びており、インナ軸部材の軸方向一方の端部には軸方向外方に傾いて径方向斜め外方に向かって延びるインナ側傾斜部が設けられていると共に、アウタ筒部材の軸方向一方の開口部に軸方向外方に傾いて径方向斜め外方に向かって延びてインナ側傾斜部と離隔して対向位置せしめられるアウタ側傾斜部が設けられて、それらインナ側傾斜部とアウタ側傾斜部の対向面間にトーコレクトゴム部が設けられている一方、インナ軸部材とアウタ筒部材の径方向対向面間に筒状の本体ゴム弾性体が嵌着固定されることによってインナ軸部材とアウタ筒部材が相互に弾性連結されていると共に、本体ゴム弾性体の外周面に開口形成された複数のポケット部がアウタ筒部材で覆蓋されることでそれぞれ非圧縮性流体が封入された複数の流体室が形成されていると共に、それら流体室を相互に連通せしめるオリフィス通路が形成されている流体封入式トーコレクトブッシュにおいて、インナ軸部材の軸方向一方の端部に全周に亘って外周に向かって広がる環状プレートが設けられており、アウタ筒部材の軸方向一方の端部側に括れ部が形成されていると共に、括れ部の開口端部に全周に亘って広がるフランジ状部が形成されて、フランジ状部が環状プレートと軸方向で離隔して対向位置せしめられていると共に、環状プレートとフランジ状部の対向面間に全周に亘って連続して延びる連結ゴム弾性体が配設されて、環状プレートを備えたインナ軸部材とフランジ状部を備えた該アウタ筒部材が相互に弾性連結されており、環状プレートには、インナ軸部材を挟んで径方向一方向で対向位置する一方の側にインナ側傾斜部が形成され、且つ環状プレートのインナ軸部材を挟んで径方向一方向で対向位置する他方の側にストッパ部が形成されていると共に、フランジ状部にはインナ側傾斜部と対向位置せしめられた部分にアウタ側傾斜部が形成されて、インナ側傾斜部とアウタ側傾斜部の間に介装された部分の連結ゴム弾性体でトーコレクトゴム部が構成されていると共に、ストッパ部とフランジ状部の間に介装された部分の連結ゴム弾性体でストッパゴム部が構成されている一方、連結ゴム弾性体には、トーコレクトゴム部とストッパゴム部が対向位置する径方向に直交する径方向の両側に一対の連通孔が形成されて、アウタ筒部材の内側における連結ゴム弾性体と本体ゴム弾性体との軸方向間の領域が連通孔を通じて外部空間と連通されている流体封入式トーコレクトブッシュにある。
このような本発明に従う構造とされた流体封入式トーコレクトブッシュにおいては、インナ軸部材を挟んだ径方向一方向にトーコレクトゴム部とストッパゴム部が対向配置されていると共に、それらトーコレクトゴム部とストッパゴム部がインナ軸部材の環状プレートとアウタ筒部材の括れ部を介したフランジ状部との軸方向間に配置されていることによって、かかる径方向一方向での柔らかなばね特性が十分に確保されつつ、軸方向の耐荷重性能が有利に発揮され得る。
しかも、トーコレクトゴム部とストッパゴム部が、全周に亘って連続して延びる連結ゴム弾性体にて一体形成されていることによって、それぞれ別途配設する必要がなくなり、製造が容易になることに加えて、ゴムボリュームが十分に確保されることから、なめらかな荷重−ばね特性が実現される。
また、インナ側傾斜部やアウタ側傾斜部が、全周に亘って連続して延びる環状プレートやフランジ状部における各周上の一部に形成されていることから、両傾斜部および両傾斜部の間に配設されるトーコレクトゴム部の耐荷重性能や耐久性が有利に向上され得る。
また、インナ軸部材とアウタ筒部材の軸方向の過大な変位が抑えられることで、インナ側傾斜部がアウタ筒部材や本体ゴム弾性体等に当接することが抑えられて、当接に伴う異音や衝撃の問題が有利に解消され得る。
さらに、連結ゴム弾性体に形成された一対の連通孔が、本体ゴム弾性体と連結ゴム弾性体の軸方向間の領域に接続されていることから、かかる領域内の異物を連通孔を通じて外部に排出する排出用孔として利用され得る。これにより、例えば、非圧縮性流体中で、インナ軸部材とアウタ筒部材が連結ゴム弾性体で連結された組付け体の軸方向他方の端部から本体ゴム弾性体を嵌着固定することで、流体室に非圧縮性流体を封入する製造工程を採用した場合に、アウタ筒部材の内側における連結ゴム弾性体と本体ゴム弾性体の軸方向間の領域に入り込んだ流体を連通孔を通じて排出することも可能となる。
特に、これら一対の連通孔が、連結ゴム弾性体において、トーコレクトゴム部とストッパゴム部の径方向一方向に直交する径方向一方向に形成されていることにより、連通孔の形成スペースが有効に確保され得る。しかも、連通孔がトーコレクトゴム部やストッパゴム部から外れた位置に形成されているため、連通孔の形成に起因してトーコレクトゴム部やストッパゴム部に局所的な歪みが発生するおそれが好適に回避されるのであり、それによって、トーコレクトゴム部やストッパゴム部の耐久性が十分に確保される。
それ故、製造効率の向上が有利に図られつつ、本体ゴム弾性体や連結ゴム弾性体の弾性変形に基づく所期のばね特性の信頼性が向上されて、車両の乗り心地と操縦安定性の両立が高度に達成され得る。
また、本発明に係る流体封入式トーコレクトブッシュでは、連結ゴム弾性体には、本体ゴム弾性体と対向位置せしめられた軸方向面にすぐり部が設けられている構造が、好適に採用される。このような構造によれば、連結ゴム弾性体の応力集中が低減されて耐久性が向上され得ると共に、本体ゴム弾性体の軸方向面と連結ゴム弾性体の軸方向面が互いに接触することが抑えられ、目的とする防振効果やストッパ性能、トーコレクト作用等が一層安定して得られる。
また、本発明に係る流体封入式トーコレクトブッシュでは、アウタ筒部材の括れ部において径方向一方向で対向位置する部分には、内径寸法が大きくされた一対の拡開部が形成されており、かかる拡開部が連結ゴム弾性体の連通孔の外周側に位置するように周方向で位置合わせされている構造が、採用されても良い。このような構造によれば、括れ部による軸方向のストッパ強度を確保した上で、括れ部と拡開部の協働作用によって、連結ゴム弾性体の連通孔を一層大きく形成することが可能となり、それによって、連結ゴム弾性体のチューニング自由度が向上され得ると共に、本体ゴム弾性体と連結ゴム弾性体の軸方向間の領域における異物の排出効率が一層向上され得る。しかも、連通孔が大きくされることによって、連結ゴム弾性体の連通孔を形成した部位の局部歪みが緩和され、連結ゴム弾性体、延いてはトーコレクトゴム部およびストッパゴム部の耐久性の更なる向上が図られ得る。
また、本発明に係る流体封入式トーコレクトブッシュでは、アウタ筒部材の括れ部を利用して、本体ゴム弾性体がアウタ筒部材の軸方向他方の端部から嵌着固定される際の軸方向固定端の位置決めがされている構造が、好適に採用される。このような構造によれば、本体ゴム弾性体がアウタ筒部材とインナ軸部材の間に確実に位置決めされて、連結ゴム弾性体との接触が有利に抑えられ、しかも本体ゴム弾性体の軸方向固定端の位置決め手段を別途設ける必要がなくなり、部品点数乃至は製造工程の削減が一層有利に図られ得る。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について説明する。先ず、図1〜5には、本発明の流体封入式トーコレクトブッシュに係る一実施形態としてのトーコレクトブッシュ10が示されている。このトーコレクトブッシュ10は、インナ軸部材としての内筒金具12とアウタ筒部材としての外筒金具14が、それらの間に介装された本体ゴム弾性体16によって相互に弾性連結された構造を呈している。
より詳細には、内筒金具12が、厚肉の略円柱形状を有していると共に、その軸方向一方の端部側(図2,3中、左)には、環状プレートとしての固定板金具18が設けられている。
固定板金具18は、図6〜10にも示されているように、略平板形状とされており、その長手方向(図6中、上下)の中間部分(本実施形態では略中央部分)に円形の挿通孔20が貫設されている。かかる挿通孔20に内筒金具12が内挿されて、内筒金具12の軸方向一方(図9,10中、左)の端部側付近の周壁部に溶接等で固着されていることによって、固定板金具18が内筒金具12の全周に亘って外周に向かって広がっている。
また、固定板金具18が、長手方向の複数箇所(本実施形態では略中央部分の三箇所)で板厚方向(図9,10中、左右)に山状および谷状に屈曲しており、中央部分から径方向一方向の一方に偏倚した部位が内筒金具12の軸方向一方から他方に向かって凸となる板厚断面とされている。これにより、固定板金具18における内筒金具12を挟んで径方向一方向の一方(図6,9,10中、上)の側には、内筒金具12の中心軸に対して所定の角度で傾斜することに基づき、内筒金具12の軸方向外方に傾いて径方向斜め外方に向かって延びる、インナ側傾斜部22が形成されている。
固定板金具18の内筒金具12を挟んで径方向一方向の他方(図6,9,10中、下)の側には、内筒金具12の中心軸方向に略直交する方向に延びるストッパ部24が形成されている。本実施形態では、ストッパ部24が、インナ側傾斜部22に比して、内筒金具12から径方向外方に大きく突出している。
特に、固定板金具18の幅方向(図6中、左右)の寸法が、内筒金具12が固着された長手方向の略中央部分が内筒金具12の径方向一方向に沿って略一定の大きさで延びている一方、内筒金具12から径方向一方向で両側に突出するインナ側傾斜部22とストッパ部24において突出方向に向かって大きくされている。即ち、固定板金具18の正面視において、中央部分が幅寸法の小さな略矩形状を有していると共に、インナ側傾斜部22とストッパ部24が略扇形状を有している。
また、固定板金具18において、ストッパ部24の径方向の突出先端部分を除く外周縁部の略全体に亘って、内筒金具12の軸方向外方に向かって延びる補強リブ部26が一体形成されている。この補強リブ部26の突出先端面は、内筒金具12の軸方向一方の端面よりも軸方向内方に位置せしめられている。更に、固定板金具18には、複数の通孔28が貫設されている。
一方、外筒金具14が、図11,12にも示されているように、大径の略円筒形状を有する筒壁部30を備えており、筒壁部30の軸方向一方(図11中、左)の端部に括れ部32が形成されている。括れ部32は、外筒金具14の径方向内側に向かって凸となるような湾曲状断面で周方向の全周に亘って連続して延びている。
さらに、括れ部32の軸方向外方に開口する端部には、全周に亘って径方向外方に広がるフランジ状部34が形成されていると共に、フランジ状部34の周上の一箇所には、アウタ側傾斜部36が形成されている。アウタ側傾斜部36は、外筒金具14の中心軸に対して所定の角度で傾斜することに基づき、外筒金具14の軸方向外方に傾いて径方向斜め外方に向かって延びる板状を呈している。また、フランジ状部34における外筒金具14の中心軸を挟んでアウタ側傾斜部36と径方向一方向で対向位置せしめられる部分が、他のフランジ状部34の部分に比して径方向外方に大きく延びている。ここで、アウタ側傾斜部36を備えた外筒金具14の軸方向寸法が、内筒金具12の軸方向寸法に比して小さくされている。
このようなアウタ側傾斜部36を備えた外筒金具14が、固定板金具18が固設された内筒金具12の外周側に離隔配置されて、内筒金具12と外筒金具14が略同心状に位置せしめられている。また、内筒金具12の軸方向一方の端部および固定板金具18が外筒金具14のアウタ側傾斜部36側の開口端部から軸方向外方に突出せしめられていると共に、内筒金具12の軸方向他方の端部が外筒金具14の軸方向他方の開口端部から軸方向外方に突出せしめられている。更に、固定板金具18とフランジ状部34が軸方向に所定の距離を隔てて対向位置せしめられていると共に、特に、固定板金具18のインナ側傾斜部22と外筒金具14のアウタ側傾斜部36が軸方向で対向位置せしめられるようにして固定板金具18を備えた内筒金具12とアウタ側傾斜部36を備えた外筒金具14が周方向に位置合わせされている。これら固定板金具18とフランジ状部34の対向面間には、連結ゴム弾性体38が配されている。
連結ゴム弾性体38は固定板金具18とフランジ状部34の軸方向間を周方向の全周に亘って連続して延びる環状のゴムブロックとされており、連結ゴム弾性体38の軸方向一方の端面が固定板金具18のフランジ状部34への対向面に加硫接着されていると共に、連結ゴム弾性体38の軸方向他方の端面がフランジ状部34の固定板金具18の対向面に加硫接着されており、更に連結ゴム弾性体38の筒状の内周面が内筒金具12の外周面に加硫接着されている。これにより、固定板金具18とフランジ状部34、延いては内筒金具12と外筒金具14が連結ゴム弾性体38で相互に弾性連結されていると共に、連結ゴム弾性体38が、固定板金具18や内筒金具12、外筒金具14を備えた一体加硫成形品として形成されている。なお、連結ゴム弾性体38の一部が固定板金具18の通孔28を通じて軸方向外方の端面や補強リブ部26の外周面の全体にまで回されていることによって、固定板金具18が、連結ゴム弾性体38に実質的に埋設配置されている。また、外筒金具14の括れ部32および筒壁部30の内周面には、連結ゴム弾性体38と一体形成されたシールゴム層40が、全体に亘って略一定の厚さ寸法で広がるようにして被着形成されている。
ここにおいて、インナ側傾斜部22とアウタ側傾斜部36が、内,外筒金具12,14の軸方向外方に傾いて径方向斜め外方に延びており、本実施形態では互いに略平行とされている。これらインナ側傾斜部22とアウタ側傾斜部36の間に配設されて両傾斜部22,36を連結せしめる部分の連結ゴム弾性体38によって、トーコレクトゴム部42が形成されていると共に、固定板金具18のストッパ部24と外筒金具14のフランジ状部34の軸方向対向面間に配設されてストッパ部24とフランジ状部34を相互に連結せしめる部分の連結ゴム弾性体38によって、ストッパゴム部44が形成されている。トーコレクトゴム部42とストッパゴム部44は、連結ゴム弾性体38の内筒金具12を挟んだ径方向一方向(図1,2中、上下)で対向位置せしめられている。
また、連結ゴム弾性体38は、周方向の全周に亘って連続して延びていることから、固定板金具18が形成されていない、固定板金具18の中央部分の幅方向外方におけるインナ側傾斜部22の周方向端部とストッパ部24の周方向端部の間、即ちインナ側傾斜部22とストッパ部24の対向方向に直交する径方向一方向においても、インナ側傾斜部22およびストッパ部24の周方向間と軸方向に所定距離を隔てて対向位置せしめられる外筒金具14のフランジ状部34の内側において、連続して延びており、フランジ状部34の内周縁部に薄肉の板状をもって加硫接着されている。要するに、外筒金具14のフランジ状部34側の開口端部には全周に亘って連結ゴム弾性体38が加硫接着されているのであり、特に、かかる固定板金具18に被着されておらずフランジ状部34にのみ加硫接着されている連結ゴム弾性体38の薄肉部分によって、連結ゴム部46が構成されている。上述の説明からも明らかなように、連結ゴム弾性体38における一対の連結ゴム部46,46は、固定板金具18の内筒金具12を挟んでインナ側傾斜部22とストッパ部24が対向位置せしめられた径方向一方向に直交する径方向一方向(図3中、上下)において、内筒金具12を挟んで対向位置せしめられている。
さらに、外筒金具14の内側における連結ゴム弾性体38の軸方向端面には、すぐり部48が形成されている。すぐり部48は、外筒金具14の軸方向他方の開口部側に向かって開口する凹状の断面で、内筒金具12と外筒金具14の間を周方向に連続して延びている。これにより、外筒金具14の内側における連結ゴム弾性体38の軸方向端面が、括れ部32における筒壁部30側の端部よりもフランジ状部34側の端部に位置せしめられている。
このような内外筒金具12,14や固定板金具18を備えた連結ゴム弾性体38の一体加硫成形品において、外筒金具14の筒壁部30の内側に位置せしめられた内筒金具12と外筒金具14の径方向対向面間には、本体ゴム弾性体16が配設されている。
本体ゴム弾性体16は、厚肉の略円筒形状を有しており、その内周面に内周スリーブ50が加硫接着されていると共に、その外周面に外周スリーブ52が加硫接着されていることによって、内外周スリーブ50,52を備えた一体加硫成形品として形成されている。内周スリーブ50は、薄肉の円筒形状を有しており、その軸方向寸法が外筒金具14の軸方向寸法と略同じとされている。
一方、外周スリーブ52は、軸方向中央部分の小径部54と軸方向両側部分の大径部56,56を有する大径の略段付き円筒形状とされており、小径部54によって周方向に延びる幅広の凹溝58が形成されている。また、外周スリーブ52の軸方向中間部分には、一対の窓部60,60が設けられている。これら窓部60, 60は、外周スリーブ52の中心軸(本体ゴム弾性体16の中心軸)を挟んだ径方向一方向で互いに対向位置せしめられつつ、それぞれ、外周スリーブ52の周方向に所定の長さで延びて、厚さ方向に貫通形成されている。また、窓部60は、小径部54(凹溝58)の軸方向長さよりも大きな軸方向長さとされており、それによって、それら窓部60,60の形成部位においては、外周スリーブ52が窓部60を挟んだ軸方向両側に配設された一対の帯状の大径部56,56のみとされている。また、小径部54の外周面の周上の一箇所には、本体ゴム弾性体16と一体形成等された弾性突起62が突設されている。
また、本体ゴム弾性体16の中心軸を挟んだ径方向一方向には、一対のポケット部64,64が設けられており、内周スリーブ50の中央部分の外周側から本体ゴム弾性体16の外周面に開口し、更に外周スリーブ52の一対の窓部60,60を通じて外周スリーブ52の外周面に開口している。また、ポケット部64の底部には、本体ゴム弾性体16と一体形成された緩衝ゴム66が突設されている。
このような内外周スリーブ50,52を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品の凹溝58に対して、略半周の円弧板形状を有する一対のオリフィス部材68,68が外方から嵌め込まれて、各オリフィス部材68の周方向一方の端部が、外周スリーブ52の小径部54の周上の一箇所で互いに突き合わせるようにして重ね合わせられていると共に、各オリフィス部材68の周方向他方の端部が、小径部54に突設された弾性突起62を周方向両側から挟んで互いに突き合わせるようにして重ね合わせられている。
また、各オリフィス部材68には、周方向中間部分から周方向一方の端部に至る周方向長さをもって外周面に開口する周溝70が形成されて、周溝70の周方向一方の端部が両オリフィス部材68,68の互いに突き合わされた周方向一方の端部で相互に接続されていることによって、一対の周溝70,70が協働して本体ゴム弾性体16の外周側を周方向に所定の長さ(本実施形態では半周弱の長さ)で延びている。
このような一対のオリフィス部材68,68が組み付けられた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品が、外筒金具14の軸方向他方の開口部側から軸方向に嵌め込まれて、本体ゴム弾性体16の内周スリーブ50に内筒金具12が圧入されていると共に、本体ゴム弾性体16の外周スリーブ52が外筒金具14に内挿されて、外筒金具14に八方絞り等の縮径加工が施されることによって、外周スリーブ52が外筒金具14に嵌着固定されている。なお、かかる嵌着固定は、例えば外周スリーブ52が外筒金具14に圧入されることによって実現されるようにしても良い。
これにより、内筒金具12と外筒金具14は、インナ側傾斜部22およびアウタ側傾斜部36が配設された軸方向一方の側において、連結ゴム弾性体38で連結されている一方、軸方向他方の側において、本体ゴム弾性体16で連結されているのである。
特に本実施形態では、内周スリーブ50が内筒金具12に圧入される際に、外周スリーブ52の圧入方向の先端側が、外筒金具14の括れ部32の外周縁部に重ね合わせられることで、内周スリーブ50の内筒金具12における軸方向の固定端が規定されており、それによって、本体ゴム弾性体16の軸方向中央部分が外筒金具14の筒壁部30の軸方向中央部分に位置せしめられている。
さらに、本実施形態では、本体ゴム弾性体16の材質と連結ゴム弾性体38の材質が互いに異なるものが採用されており、特に連結ゴム弾性体38の硬度が本体ゴム弾性体16の硬度よりも大きくされている。
外周スリーブ52の外周面がシールゴム層40を介して外筒金具14の内周面に流体密に重ね合わせられることに基づき、本体ゴム弾性体16のポケット部64の開口部分が外筒金具14によって流体密に覆蓋されている。このポケット部64と外筒金具14により画設された空間には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16からなるポケット部64で構成されて、本体ゴム弾性体16の弾性変形により圧力変動が生ぜしめられる流体室72が形成されている。本実施形態では、二つのポケット部64,64が設けられていることにより、二つの流体室72,72が形成されているが、流体室72の数や配置等は当該形態に限定されない。
一対の流体室72,72は、内筒金具12を挟んだ径方向一方向で対向位置せしめられていて、当該対向方向が、連結ゴム弾性体38におけるトーコレクトゴム部42およびストッパゴム部44の対向方向と平行に延びている。このような対向方向の位置決めは、本体ゴム弾性体16と一体形成された位置決め突起74が、一対の流体室72,72の対向方向と平行に延びるようにして突設されており、該位置決め突起74がトーコレクトゴム部42およびストッパゴム部44の対向方向と平行に延びようにして、本体ゴム弾性体16が内外筒金具12,14に嵌着固定されることによって実現される。
これら流体室72,72には、非圧縮性流体が封入されている。封入流体としては、例えば水やアルキレングリコール, ポリアルキレングリコール, シリコーン油等が採用されるが、特に流体の共振作用等の流動作用に基づく防振効果を有効に得るためには、0.1Pa・s以下の低粘性流体を採用することが望ましい。
また、オリフィス部材68の外周面がシールゴム層40を介して外筒金具14の筒壁部30の内周面に流体密に重ね合わせられて、オリフィス部材68の周溝70の開口部が外筒金具14で流体密に覆蓋されている。その結果、一対の周溝70,70が協働して、オリフィス部材68と外筒金具14の間を周方向に所定の長さ(本実施形態では半周弱の長さ)で延びるオリフィス通路76が形成されている。オリフィス通路76の一方の端部が、一方のオリフィス部材68に形成された連通孔を通じて一方の流体室72に接続されていると共に、オリフィス通路76の他方の端部が、他方のオリフィス部材68に形成された連通孔を通じて他方の流体室72に接続されている。これにより、オリフィス通路76を通じて一対の流体室72,72が相互に連通せしめられて、それら両室72,72間での相対的な圧力変動の差に基づき、オリフィス通路76を通じての流体流動が許容されるようになっている。
このオリフィス通路76を通じて流動せしめられる流体の共振周波数が、該流体の共振作用に基づいて防振すべき周波数域の振動に対して有効な防振効果(高減衰効果)が発揮されるようにチューニングされている。オリフィス通路76のチューニングは、例えば、一対の流体室72,72の各壁ばね剛性、即ちそれら各室72,72を単位容積だけ変化させるのに必要な圧力変化量に対応する本体ゴム弾性体16の弾性変形量に基づく特性値を考慮しつつ、オリフィス通路76の通路長さと通路断面積を調節することによって行うことが可能である。
このように互いに別体構造の本体ゴム弾性体16と連結ゴム弾性体38が内筒金具12と外筒金具14を連結せしめるようにして、それぞれ組み付けられた状態下、連結ゴム弾性体38のすぐり部48が形成された軸方向端面と本体ゴム弾性体16の軸方向端面が、外筒金具14の内側で軸方向に所定距離を隔てて対向位置せしめられており、それら両軸方向端面の間に環状領域78が形成されている。
さらに、連結ゴム弾性体38の内筒金具12を挟んでトーコレクトゴム部42およびストッパゴム部44が対向位置せしめられる径方向一方向に略直交する径方向一方向で対向せしめられた一対の連結ゴム部46,46には、それぞれ連通孔80が形成されている。連通孔80は、径方向内方の内筒金具12から外方の外筒金具14に向かって幅寸法が広がる略扇形断面で軸方向に延びていて、連結ゴム部46を軸方向に貫いている。また本実施形態では、連通孔80の径方向外方に向かう縁部が、連結ゴム部46の径方向の略中央部分に位置せしめられていることによって、外筒金具14の括れ部32の内壁部よりも径方向内側に位置せしめられている。
これにより、外筒金具14の内側の連結ゴム弾性体38と本体ゴム弾性体16の間の環状領域78が、各連通孔80を通じて外部空間に連通せしめられている。
このような構造とされたトーコレクトブッシュ10は、図示しない公知のトーションビーム式サスペンション機構に採用されることとなり、左右両側のトレーリングアームの装着孔に外筒金具14が圧入されると共に、内筒金具12の内孔にロッドやボルト等が挿通されて、車両ボデー側に固定されることによって、トレーリングアームと車両ボデーの間に介装されて、トレーリングアームを車両ボデーに対して防振連結するようになっている。特に、トーコレクトブッシュ10は、トーコレクトゴム部42とストッパゴム部44の対向方向および一対の流体室72,72の対向方向が車両前後方向に延び、且つブッシュの軸方向が車両横方向に延びるようにして装着される。
従って、車両前後方向となるブッシュ10の径方向一方向(図1,2中、上下)に振動が入力されて、本体ゴム弾性体16が弾性変形することより、一対の流体室72,72間に相対的な圧力変動が生ぜしめられ、それら両室72,72間でオリフィス通路76を通じての流体流動が生ぜしめられる。その結果、オリフィス通路76を通じての流体の共振作用等の流動作用に基づく高減衰効果が有効に得られることから、車両の乗り心地の向上が有利に図られ得る。
また、本実施形態では、各オリフィス部材68が流体室72内で径方向に所定距離を隔てて緩衝ゴム66と対向位置せしめられていることによって、段差乗り越え等で径方向に過大な荷重が入力されると、内筒金具12と外筒金具14の変位に伴いオリフィス部材68が緩衝ゴム66を介して内筒金具12に打ち当たって、内筒金具12と外筒金具14の過大な変位が抑えられる結果、本体ゴム弾性体16や連結ゴム弾性体38の過大な変形が抑えられて、耐久性能が有利に向上され得る。
さらに、本実施形態では、連結ゴム弾性体38の硬度が本体ゴム弾性体16の硬度よりも大きくされていることから、トーコレクトブッシュ10全体として、主軸ばね比の値を大きくすることが出来る。
また、連結ゴム弾性体38の材質と本体ゴム弾性体16の材質において、互いに異なるものが採用されていることから、主に乗り心地に影響する車両前後方向の荷重に対して、本体ゴム弾性体16とそれに伴う流体の共振作用に基づいて発揮される防振効果を高度に確保しつつ、主に操縦安定性に影響する車両横荷重に対しては、連結ゴム弾性体38の弾性変形とそれに伴うトーコレクトゴム部42のトーコレクト作用に基づいて車両の操縦安定性が有利に向上され得る。
そこにおいて、車両前後方向となる内筒金具12を挟んだ径方向一方向にトーコレクトゴム部42とストッパゴム部44を備えた連結ゴム弾性体38が配設されていることによって、ゴムボリュームが十分に確保されることとなり、車両前後方向での柔らかなばね特性が十分に確保されることに加え、車両横方向となる軸方向の耐荷重性能が十分に得られる。特に本実施形態では、連結ゴム弾性体38が固定板金具18と外筒金具14の括れ部32を介したフランジ状部34との軸方向間に配置されていることで、車両横方向の耐荷重性能が一層有利に発揮され得るのである。
また、本実施形態では、流体室72への非圧縮性流体の封入が、内外筒金具12,14を備えた連結ゴム弾性体38の一体加硫成形品に対する内外周スリーブ50,52を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品の組み付けを非圧縮性流体中で行うことによって、実現されるようになっている。
ここで、かかる組み付けに際して、外筒金具14の内側の連結ゴム弾性体38と本体ゴム弾性体16の間の環状領域78に非圧縮性流体が入り込むこととなるが、この流体を連結ゴム弾性体38に形成された一対の連通孔80,80を通じて外部に排出することが可能となる。これにより、流体排出用の通孔を外筒金具14等に別途形成する必要が無くなり、製造が容易とされると共に、外筒金具14の耐久性が充分に確保されて、車両横方向の耐荷重性能が一層有利に発揮され得る。
さらに、一対の連通孔80,80が、連結ゴム弾性体38において、トーコレクトゴム部42やストッパゴム部44の形成位置から外れた、両ゴム部42,44の対向方向に直交する径方向一方向に位置せしめられた一対の連結ゴム部46,46に形成されていることにより、連通孔80の形成に起因してトーコレクトゴム部42やストッパゴム部44への局所的な歪みの発生が好適に抑えられ、しかも、薄肉の連結ゴム部46に形成されていることから、連結ゴム弾性体38全体に対する歪みの影響も少なくされている。
従って、本構造のトーコレクトブッシュ10によれば、トーコレクトゴム部42やストッパゴム部44を備えた連結ゴム弾性体38の耐久性が確保された上で、連通孔80を通じて、外筒金具14の内側の環状領域78における非圧縮性流体の残留を回避することが出来、その結果、目的とする車両の乗り心地や操縦安定性が達成されつつ、上述の非圧縮性流体中での組み付け工程が有利に採用されて、製造効率が飛躍的に向上され得るのである。
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、かかる実施形態における具体的な記載によって、本発明は、何等限定されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様で実施可能であり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
例えば、内筒金具12や外筒金具14、固定板金具18、連結ゴム弾性体38、本体ゴム弾性体16、インナ側およびアウタ側傾斜部22,36等における形状や大きさ、構造、配置、数等の形態は、例示の如きものに限定されない。
具体的に、前記実施形態では、インナ側傾斜部22とアウタ側傾斜部36が互いに平行に延びていたが、互いに異なる角度で延びていても良い。また、連結ゴム弾性体38の材質と本体ゴム弾性体16の材質が互いに異ならされていたが、同じとされていても良い。
また、例えば図13〜15にも示されているように、外筒金具14の括れ部32において径方向一方向で対向位置する部分には、括れ部32の内径寸法よりも大きくされた一対の拡開部82,82を形成し、かかる拡開部82を連結ゴム弾性体38の連通孔80’の径方向外方に向かう縁部(外周縁部)側に位置するように周方向で位置合わせすることによって、連通孔80’の外周縁部を連結ゴム部46の径方向中央部分から外周側に位置せしめて、連通孔80’の寸法を径方向に大きく確保することも可能である。これにより、トーコレクトゴム部42およびストッパゴム部44への歪みの影響を抑えつつ、環状領域78から流体や異物等を一層排出し易くすることが出来る。また、連結ゴム部46の外周縁部が、拡開部82を備えた外筒金具14で補強されることとなり、連結ゴム部46の耐久性が有利になる。なお、図13〜15を参照した説明において、前記実施形態と実質的に同一の構造とされた部材および部位については、図中に前記実施形態と同一の符号を付することにより、それらの詳細な説明を省略する。
本発明の一実施形態としてのトーコレクトブッシュの正面図。 図1のII−II断面図。 図1のIII−III断面図。 図2のIV−IV断面図。 同トーコレクトブッシュの背面図。 同トーコレクトブッシュの一部を構成する内筒金具に拘束板金具を固着した状態を示す正面図。 図6のVII−VII断面図。 同内筒金具に拘束板金具を固着したものの底面図。 同内筒金具に拘束板金具を固着したものの右側面図。 図6のX−X断面図。 同トーコレクトブッシュの一部を構成する外筒金具の右側面図。 図11のXII−XII断面図。 本発明の別の一具体例としてのトーコレクトブッシュの正面図。 同トーコレクトブッシュの一部を構成する外筒金具の右側面図。 図14のXV−XV断面図。
符号の説明
10:トーコレクトブッシュ、12:内筒金具、14:外筒金具、16:本体ゴム弾性体、18:固定板金具、22:インナ側傾斜部、24:ストッパ部、32:括れ部、34:フランジ状部、36:アウタ側傾斜部、38:連結ゴム弾性体、42:トーコレクトゴム部、44:ストッパゴム部、68:ポケット部、72:流体室、76:オリフィス通路、78:環状領域、80:連通孔

Claims (4)

  1. インナ軸部材の径方向外方にアウタ筒部材が離隔配置されていると共に、該インナ軸部材の軸方向一方の端部が該アウタ筒部材の軸方向一方の開口部よりも軸方向外方に延びており、該インナ軸部材の軸方向一方の端部には軸方向外方に傾いて径方向斜め外方に向かって延びるインナ側傾斜部が設けられていると共に、該アウタ筒部材の軸方向一方の開口部に軸方向外方に傾いて径方向斜め外方に向かって延びて該インナ側傾斜部と離隔して対向位置せしめられるアウタ側傾斜部が設けられて、それらインナ側傾斜部とアウタ側傾斜部の対向面間にトーコレクトゴム部が設けられている一方、該インナ軸部材と該アウタ筒部材の径方向対向面間に筒状の本体ゴム弾性体が嵌着固定されることによって該インナ軸部材と該アウタ筒部材が相互に弾性連結されていると共に、該本体ゴム弾性体の外周面に開口形成された複数のポケット部が該アウタ筒部材で覆蓋されることでそれぞれ非圧縮性流体が封入された複数の流体室が形成されていると共に、それら流体室を相互に連通せしめるオリフィス通路が形成されている流体封入式トーコレクトブッシュにおいて、
    前記インナ軸部材の軸方向一方の端部に全周に亘って外周に向かって広がる環状プレートが設けられており、
    前記アウタ筒部材の軸方向一方の端部側に括れ部が形成されていると共に、該括れ部の開口端部に全周に亘って広がるフランジ状部が形成されて、該フランジ状部が該環状プレートと軸方向で離隔して対向位置せしめられていると共に、
    該環状プレートと該フランジ状部の対向面間に全周に亘って連続して延びる連結ゴム弾性体が配設されて、該環状プレートを備えた該インナ軸部材と該フランジ状部を備えた該アウタ筒部材が相互に弾性連結されており、
    該環状プレートには、該インナ軸部材を挟んで径方向一方向で対向位置する一方の側に前記インナ側傾斜部が形成され、且つ該環状プレートの該インナ軸部材を挟んで径方向一方向で対向位置する他方の側にストッパ部が形成されていると共に、該フランジ状部には該インナ側傾斜部と対向位置せしめられた部分に前記アウタ側傾斜部が形成されて、該インナ側傾斜部と該アウタ側傾斜部の間に介装された部分の該連結ゴム弾性体で前記トーコレクトゴム部が構成されていると共に、該ストッパ部と該フランジ状部の間に介装された部分の該連結ゴム弾性体でストッパゴム部が構成されている一方、
    該連結ゴム弾性体には、該トーコレクトゴム部と該ストッパゴム部が対向位置する径方向に直交する径方向の両側に一対の連通孔が形成されて、該アウタ筒部材の内側における該連結ゴム弾性体と前記本体ゴム弾性体との軸方向間の領域が該連通孔を通じて外部空間と連通されていることを特徴とする流体封入式トーコレクトブッシュ。
  2. 前記連結ゴム弾性体には、前記本体ゴム弾性体と対向位置せしめられた軸方向面にすぐり部が設けられている請求項1に記載の流体封入式トーコレクトブッシュ。
  3. 前記アウタ筒部材の前記括れ部において径方向一方向で対向位置する部分には、内径寸法が大きくされた一対の拡開部が形成されており、かかる拡開部が前記連結ゴム弾性体の前記連通孔の外周側に位置するように周方向で位置合わせされている請求項1又は2に記載の流体封入式トーコレクトブッシュ。
  4. 前記アウタ筒部材の前記括れ部を利用して、前記本体ゴム弾性体が該アウタ筒部材の軸方向他方の端部から嵌着固定される際の軸方向固定端の位置決めがされている請求項1乃至3の何れか一項に記載の流体封入式トーコレクトブッシュ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP3900961A4 (en) * 2018-12-20 2022-10-19 Prospira Corporation TOE ADJUSTMENT BUSHING AND REAR SUSPENSION DEVICE

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