JP2003203534A - ステンレス鋼製接点 - Google Patents
ステンレス鋼製接点Info
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Abstract
価なリン青銅に代わるステンレス鋼製接点を提供する。 【構成】 このステンレス鋼製接点は、板厚t(mm)
が0.3mm以下のステンレス鋼板を基材とし、L/t
=40〜200の範囲にある膜厚L(μm)のCuめっ
き層が基材表面に形成されている。Cuめっき層の上に
Niめっき層又はSnめっき層を形成すると耐食性が向
上し、長期間にわたって優れた導電性を維持する接点材
料となる。Ni又はSnめっき層は、L/M=2〜10
0,M=0.2〜10を満足する膜厚M(μm)で形成
される。
Description
に優れ、薄肉化しても十分なバネ弾性を呈し、各種電気
・電子機器に組み込まれるステンレス鋼製接点に関す
る。
触抵抗,導電性,バネ弾性等が良好なリン青銅が従来か
ら使用されている。リン青銅にはSn:3.5〜9.0質
量%,P:0.05〜0.25質量%を含むC5111,C510
2,C5191,C5212,C5210等があり、体積抵抗が低く、接
点材料に要求されるはんだ付け性にも優れている。しか
し、リン青銅はCuを主成分とする材料であり、接点の
材料コストを上昇させる原因である。また、接点を加圧
して相手材に押し付けることにより接触抵抗を下げるこ
とができるが、耐ヘタリ性が十分でないリン青銅製接点
では加圧解除しても相手材に接触したままの状態が維持
されることがある。特に通電によるジュール発熱で昇温
する雰囲気やヒータ周辺,自動車エンジンルーム内等の
高温環境下で使用される接点では、リン青銅自体が軟化
するため接触状態が持続する傾向が強くなる。このよう
な用途では、耐熱化での耐ヘタリ性に比較的優れたバネ
用チタン銅(合金番号C 1990),C19025合金等の耐熱銅
合金や肉厚のリン青銅を接点材料として使用することに
より耐ヘタリ性をある程度改善できるものの、材料コス
トが一層上昇することは勿論、小型化・軽量化に対する
支障となる。
を克服するため、リン青銅に代えて種々の材料を使用す
ることが検討されている。なかでも、耐食性に優れたス
テンレス鋼は、代表的な代替材料として期待されてい
る。ステンレス鋼は、リン青銅に比較して耐ヘタリ性、
なかでも高温環境における耐応力緩和特性に優れてい
る。そのため、薄肉化しても十分な強度を維持し、小型
化・軽量化に適した接点材料であり、バネ用Ti銅等の
耐熱銅合金に比較して安価な材料でもある。
な不動態皮膜のため高い接触抵抗を示し、リン青銅等の
銅合金と比較して体積抵抗が高いことも欠点である。接
触抵抗や体積抵抗の高いステンレス鋼をそのまま接点材
料に使用すると、接触不良やジュール発熱等による電力
損失を招き、たとえば充電回路に組み込まれる用途では
必要電力の充電に長時間を要する。不動態皮膜は、電気
・電子機器用の接点に要求されるはんだ付け性を低下さ
せる原因でもある。ステンレス鋼の接触抵抗は、導電性
の良好な被覆層を表面に形成することによって低下でき
る。しかし、単に被覆層を形成しただけでは、高い体積
抵抗のためにリン青銅製接点に匹敵する特性を付与でき
ず、代替材料としての展開が期待できない。
題を解消すべく案出されたものであり、基材に使用され
るステンレス鋼と導電性被覆層としてのCuめっき層と
の組合せを特定することによって、従来のリン青銅製接
点に匹敵する特性を呈し、小型化・軽量化に適した安価
な接点を提供することを目的とする。
を達成するため、板厚t(mm)が0.05〜0.5mm
以下のステンレス鋼板を基材とし、L/t=40〜20
0の関係を満足する膜厚L(μm)のCuめっき層が基
材表面に形成されていることを特徴とする。Cuめっき
層を最表層にする場合、Cuめっき層をRa:0.2μ
m以上に粗面化することが好ましい。Cuめっき層を粗
面化すると、接触抵抗が一層低下する。粗面化として
は、電解エッチング,化学エッチング,ショットブラス
ティング,サンドブラスティング,ダルロール圧延等に
よってRa:0.2μm以上の表面状態にすることが好
ましい。
めっき層を設ける場合、表面粗さRa:0.2μm以下
にCuめっき層を平滑化することが好ましい。Niめっ
き層又はSnめっき層は、L/M=2〜100,M=
0.2〜10を満足する膜厚M(μm)でCuめっき層
の上に設けられる。Niめっき層又はSnめっき層によ
って耐食性が付与され、長期にわたり接触抵抗が低位に
維持される。なお、膜厚L,Mは、ステンレス鋼の表裏
両面に形成されたCuめっき層,Niめっき層又はSn
めっき層それぞれの合計厚みで表す。
Cr:12.0〜20.0質量%,Ni:6.0〜20.0
質量%を含むオーステナイト系,Cr:12.0〜14.
0質量%を含むマルテンサイト系、Cr:13.5〜1
8.0質量%,Ni:6.0〜8.0質量%を含む析出硬
化系、又はCr:16.0〜18.0質量%,Ni:1.
5〜2.5質量%を含むα+α'二相系又はCr:10〜
25質量%を含むフェライト系等がある。
れるステンレス鋼は、Cr:12.0〜20.0質量%,
Ni:6.0〜20.0質量%を含むオーステナイト系,
Cr:12.0〜14.0質量%を含むマルテンサイト
系、Cr:13.5〜18.0質量%,Ni:6.0〜8.
0質量%を含む析出硬化系,Cr:16.0〜18.0質
量%,Ni:1.5〜2.5質量%を含むα+α'二相
系,Cr:10〜25質量%を含むフェライト系等、バ
ネ用ステンレス鋼として使用されている材料である。具
体的には、SUS301,SUS304等のオーステナイト系,SUS4
20J等のマルテンサイト系、SUS631,SUS632J1等の析出
硬化系、NSS−431DP2,NSS−431DP1等の二相系,SUS43
0,SUH409等のフェライト系が挙げられる。
合金成分であり、10.0質量%以上で耐食性改善効果
が顕著になる。しかし、20.0質量%を超える過剰量
のCrが含まれると、材質が硬質化し、接点形状への加
工が困難になる。Niは、非磁性のオーステナイト相に
必要な合金成分であり、オーステナイト相維持のために
は6.0質量%以上が必要である。しかし、高価な元素
であることから、Ni含有量の上限を20.0質量%に
設定する。
強さ,弾性係数,バネ限界値,硬さ等の機械的特性に優
れており、接点使用時の高温状態でも機械的特性の劣化
が少なく、耐ヘタリ性にも優れた材料である。しかし、
リン青銅の8.8〜13.26×10-8Ω・mに比較し
て、70×10-8Ω・m以上の高い体積抵抗率を示す。
高い体積抵抗率に起因する弊害は、基材に使用するステ
ンレス鋼を薄肉化することによって抑制できる。また、
機械的特性に優れているため、薄肉化しても接点材料の
要求特性を十分に満足する。
ンレス鋼の板厚t,Cuめっき層の膜厚Lと体積抵抗率
との関係を調査した結果、後述の実施例でも説明してい
るように、板厚t(mm)を0.05〜0.5mmの範囲
に設定し,Cuめっき層の膜厚L(μm)と板厚tとの
間にL/t=40〜200の関係を満足させるとき、リ
ン青銅に匹敵する体積抵抗率及び機械的特性が得られる
ことを見出した。基材・ステンレス鋼は、そのままでは
接触抵抗を高める不動態皮膜が表面に生成している。そ
こで、導電性の良好なCuめっき層をステンレス鋼表面
に形成することにより接触抵抗を低減させ、薄肉化によ
って接点全体としての体積抵抗率をも低減させる。
L/t≧40で体積抵抗率が28×10-8Ω以下にな
り、接点材料に要求される導電性が満足される。体積抵
抗率はCuめっき層を厚膜化するほど低下するが、基材
・ステンレス鋼に対して必要以上の厚膜でCuめっき層
を形成すると、ステンレス鋼の優れた耐ヘタリ性等の機
械的特性が低下する傾向がみられる。耐ヘタリ性等はス
テンレス鋼の材質選択によってある程度まで制御可能で
あるが、200を超える膜厚比L/tではリン青銅に対
する優位性が損なわれる。Cuめっき層は、膜厚比L/
t=40〜200の関係が維持されている限り、基材・
ステンレス鋼の両面又は片面に形成することができる。
或いは、両面で膜厚が異なるCuめっき層を形成しても
良い。
層は、はんだ付け性の改善にも有効である。たとえば、
リン青銅ではPb−Snはんだに対して良好なはんだ濡
れ性を呈するが、環境負荷の少ないPbフリーはんだを
使用すると満足できるはんだ接合が得られない場合があ
る。これに対し、Cuめっき層は、Pb−Snはんだは
勿論、Pbフリーはんだに対しても十分なはんだ付け性
を呈する。
材・ステンレス鋼表面に形成できるが、基材に対する密
着性を高めるためNiプレめっき後に電気Cuめっきを
施すことが好ましい。光沢化剤を含まない硫酸浴やピロ
リン酸浴を電気Cuめっきに使用すると、Cuめっき層
の表面が適度に粗くなる。表面が粗いCuめっき層は、
ステンレス鋼製接点を相手材に押し付けたとき密着状態
で相手材に接触し、接触界面に多数の導通路が形成され
るため、接触抵抗を効果的に低減させる。
uめっき層であっても、めっき後に電解エッチング,化
学エッチング,ショットブラスティング,サンドブラス
ティング,ダルロール圧延等でCuめっき層を粗面化す
ることにより、同様に接触抵抗を低減できる。Cuめっ
き層の表面状態が接触抵抗に及ぼす影響は、Ra:0.
2μm以上の表面粗さで検出される。Ra:0.2μm
以上の粗面は、光沢化剤を含まないめっき浴を使用した
電気Cuめっきでは電流密度,電圧,浴温等の電解条件
によっても達成できる。
Cuめっき層の上に耐食性の改善に有効なNi,Sn,
Au等のめっき層を更に形成しても良い。このめっき層
の膜厚は、特に規定されるものではないが、経済性及び
耐食性を考慮して0.2〜10μmの範囲に調整され
る。Niめっき層又はSnめっき層を形成する場合、C
uめっき層の表面をRa:0.2μm以下に平滑化す
る。Niめっき層又はSnめっき層は、高温化熱環境化
での腐食発生を抑制すると共に、基材・ステンレス鋼の
優れた耐ヘタリ性等の機械的特性を維持する上でも有効
である。このような効果は、L/M=2〜100,M=
0.2〜10を満足する膜厚M(μm)でNiめっき層
又はSnめっき層を形成することにより顕著となる。
るNi,Snの影響が強く現れ、導電率の割に厚膜化
し、基材・ステンレス鋼の機械的特性が劣化する。逆
に、100を超える膜厚比L/Mは、Niめっき層又は
Snめっき層が薄いことを意味し、ピンホールの増加や
接点部の摩耗等に起因して下層のCuめっき層が露出
し、湿潤雰囲気下に長時間曝されたときCuめっき層が
変色し、変色部分の接触抵抗が高くなる。
しては、Cuめっき層を表面粗さRa:0.2μm以下
に平滑化する。Ra:0.2μmを超えると表面粗さで
は、Niめっき層又はSnめっき層に多量のピンホール
が発生し、ピンホールを介してCuめっき層が露出する
ため耐食性,耐変色性が低下する。粗すぎるCuめっき
層の表面は、Cuめっき層の上に形成されるNiめっき
層又はSnめっき層を粗面化して耐磨耗性が低下する原
因であり、接点使用時に下層のCuめっき層が露出しや
すくなる。更に、高温環境下や大電流用途では、Cuめ
っき層とNiめっき層又はSnめっき層との界面で相互
拡散が促進され、導電性に有害なSn−Cu,Sn−N
i等の金属間化合物が形成しやすくなる。
本発明を具体的に説明するが、SUS301,SUS420J,SUS63
1,SUS632J1,NSS−431DP1,NSS−431DP2等、他のステ
ンレス鋼を基材に使用した場合でも同様な結果が得られ
ることは勿論である。ステンレス鋼をNiプレめっきし
た後、表1の条件下で種々の膜厚をもつCuめっき層を
形成した。Cuめっき後、ベンゾトリアゾールを用いて
めっき層表面を変色防止処理した。比較のために用いた
リン青銅にも同様な変色防止処理を施した。
ついて、ρVa=(t1+t2)/(t1/ρV1+t2/ρ
V2)の式で体積抵抗率ρVaを算出した。ただし、t1
はステンレス鋼の板厚、t2はCuめっき層の膜厚,ρ
V1はSUS304ステンレス鋼の体積抵抗率,ρV2はCuめ
っき層の体積抵抗率を示す。
ステンレス鋼を薄肉化するほど、またCuめっき層を厚
膜化するほど体積抵抗率が低下する。なかでも、板厚
0.3mm以下のステンレス鋼に膜厚10μm以上のC
uめっき層を形成したものでは、リン青銅(C5191)に
匹敵する低い体積抵抗率を呈することが判る。なお、図
1では、Niめっき層を形成した板厚0.2mmのステ
ンレス鋼を比較材として掲げたが、この場合にはNiめ
っき層を厚膜化しても30×10-8Ω・m以上の高い体
積抵抗率である。
(C5191)と比較すると機械的特性が格段に優れた材料
である(表2)。そのため、薄肉化しても接点材料に要
求されるバネ弾性,耐ヘタリ性を十分に満足している。
しかも、薄肉化により体積抵抗率が低くなることから、
接点材料として使用可能な材料といえる。
鋼板(0.2%耐力:1200N/mm2)に片面当りの
膜厚15μmでCuめっき層を形成したCuめっきステ
ンレス鋼板から幅10mm,長さ40mmの試験片を切
り出し、図2に示す条件下で日本電子材料工業会規格1
011(ばね材料の曲げによる応力緩和試験方法)に基
づき300℃の高温雰囲気における応力緩和率を測定し
た。高温保持時間と熱応力緩和率との関係を調査した結
果を示す図3にみられるように、Cuめっきステンレス
鋼板では、原板のSUS301ステンレス鋼板とほぼ同じ耐熱
応力緩和性を呈した。比較のため同様な条件下で測定し
たところ、リン青銅(C5191合金)では保持時間100
時間で熱応力緩和率が100%近くなっており、バネ性
が完全に消失していた。
レス鋼から幅10mm,長さ100mmの試験片を切り
出し、室温雰囲気で試験片の両端を定電流電源の端子に
それぞれ接続し、電流を変化させながら試験片に通電す
ることにより、体積抵抗率及び試験片の温度を測定し
た。片面当り膜厚20μm(両面で40μm)のCuめ
っき層を形成したステンレス鋼では、リン青銅(C519
1)とほぼ同じ体積抵抗率(図4)を呈し、通電に伴う
温度上昇(図5)もリン青銅(C5191)より銅板に近い
傾向を呈した。膜厚10μmのCuめっき層を形成した
ステンレス鋼も、供給電流が少ない領域ではリン青銅
(C5191)に近い体積抵抗率及び温度上昇傾向を示し
た。温度上昇が抑制されることは、機械的特性に優れた
ステンレス鋼を基材に使用することと相俟って、耐ヘタ
リ性の改善に有効である。
だ濡れ性を次の試験で調査し、はんだ付け性を評価し
た。 〔はんだ濡れ性試験〕 使用はんだ:千住金属(株)製PbフリーはんだM31(Sn−3.5Ag−0.75Cu) 千住金属(株)製一般はんだ(Sn−40%Pb) フラックス:日本はんだ(株)製P5(電子部品用,塩素なし) 試験温度:250℃(Pbフリーはんだ)及び235℃(一般はんだ)
℃,93%RHに100時間放置した試験片について、
レスカー製のソルダ−チェッカーSAT−5000を使用し、
Pbフリーはんだ又は一般はんだの溶融浴にサイズ10
mm×40mm×0.3mmの試験片を浸漬速度2mm
/分で深さ2mmまで浸漬し、当該浸漬深さに10秒保
持した。そして、試験片浸漬から濡れの力がゼロをよぎ
るまでの時間(ゼロクロスタイム)を測定し、ゼロクロ
スタイムが1.5秒以内を◎,1.5〜3秒を○,3秒以
上を×としてはんだ濡れ性を評価した。
っきステンレス鋼は、めっき浴種,めっき膜厚に拘ら
ず、Pbフリーはんだに対しても良好なはんだ濡れ性を
呈し、経時劣化試験後においても十分なはんだ濡れ性が
維持されていた。リン青銅は、一般はんだでは十分なは
んだ濡れ性を示すものの、Pbフリーはんだに対しては
特性が劣化し、経時劣化試験後のはんだ濡れ性が不十分
であった。Niめっきしたステンレス鋼,銅板について
も同様な傾向が示された。Cuめっきステンレス鋼に比
較して銅板の方がはんだ濡れ性に劣ることは、熱伝導性
の良好な銅板がはんだ浴に浸漬された際に試験片周辺の
浴温が低下することに原因があるものと推察される。
が得られた膜厚20μm(両面で40μm)のCuめっ
き層を形成した板厚0.2mmのステンレス鋼を選択
し、電解エッチングによりCuめっき層を粗面化した。
このとき、電解条件の調節によってCuめっき層の表面
粗さをRa:0.05〜2.0μmの範囲で変化させた。
Cuめっき層が粗面化されたステンレス鋼から切り出さ
れた試験片を用いて接触抵抗を測定し、表面粗さが接触
抵抗に及ぼす影響を調査した。また、60℃,93%R
Hに96時間放置する促進劣化試験後の試験片について
も同様に接触抵抗を測定した。
子を接触させ、摺動距離1mmで金接触端子を摺動させ
ながら荷重100gのオン・オフを繰り返す摺動接触抵
抗試験及び定点で試験片表面に接触させた金接触端子に
荷重100gをオン・オフする定位置接触抵抗試験を採
用した。表4の試験結果にみられるように、表面粗さが
大きくなるほど摺動接触抵抗,定位置接触抵抗が共に低
下する傾向がみられた。接触抵抗の低減に及ぼす表面粗
さの影響はRa:0.2μm以上でみられ、Ra:0.2
5μm以上でほぼ銅板と同じ程度にまで接触抵抗が低下
した。
ス鋼板を基材に使用した。脱脂,酸洗したステンレス鋼
板に膜厚0.1μmのNiプレめっき,更に片面当り膜
厚10μm(両面20μm)のCuめっきを施した後、
種々の膜厚でNiめっき層,Snめっき層を形成した。
Niめっきでは、pH2,浴温50℃のワット浴(硫酸
ニッケル240g/l,塩化ニッケル50g/l,硼酸
30g/l)にCuめっきステンレス鋼板を浸漬し、電
流密度5A/dm2で電気めっきした。Snめっきで
は、光沢剤を添加した浴温20℃の硫酸Snめっき浴
(硫酸第一錫50g/l,硫酸100g/l,クレゾー
ルスルホン酸30g/l)にCuめっきステンレス鋼板
を浸漬し、電流密度2A/dm2で電気めっきした。
試験片を切り出し、実施例1と同じ条件下の摺動接触抵
抗試験の外に塩水噴霧試験,促進劣化試験により性能調
査した。塩水噴霧試験では,JIS C0023に準拠
し塩水噴霧を24時間継続した後で試験片表面の外観を
観察し、腐食生成物が検出されなかった試験片を◎,腐
食生成物の発生面積率が5%以下を○,5〜20%を
△,20%を超える面積率で腐食生成物が観察された試
験片を×として耐食性を評価した。促進劣化試験では、
60℃,93%RHの恒温恒湿雰囲気に試験片を放置
し、所定時間経過後の接触抵抗を測定し、接触抵抗の経
時変化を求めた。表6の調査結果にみられるように、塩
水噴霧試験後においても試験片表面に腐食生成物が検出
されず、或いは検出された場合でも極僅かな腐食生成物
であり、Cuめっき層の上にNiめっき層又はSnめっ
き層を形成することにより耐食性が改善されていること
が判る。促進劣化試験後の接触抵抗も初期値に比較して
僅かな上昇に留まり、長期にわたり優れた導電性を呈す
ることが確認された。なかでも、Cu/Snの複層めっ
きを施した試験片では、図6にみられるように接触抵抗
がほとんど変化せず、良好な導電性を維持していた。
レス鋼製接点は、膜厚比L/tが40〜200の範囲に
あるCuめっき層を基材・ステンレス鋼の表面に形成す
ることにより、導電性,はんだ付け性に関してリン青銅
製接点に匹敵し或いは凌駕する特性を呈する。しかも、
基材が耐食性及びバネ弾性に優れたステンレス鋼である
ことから、薄肉化しても良好な機械的特性や耐ヘタリ性
が維持され、小型化・軽量化に適した安価な接点として
使用される。更に、Cuめっき層の上にNiめっき層又
はSnめっき層を形成することにより耐食性が向上し、
長期間にわたって接触抵抗が低く良好な導電性を維持す
る接点材料が得られる。
ら求めた体積抵抗率を基材・ステンレス鋼,Niめっき
ステンレス鋼,リン青銅と比較したグラフ
定するための装置
との関係を表したグラフ
係を表したグラフ
上昇を表すグラフ
すグラフ
Claims (4)
- 【請求項1】 板厚t(mm)が0.05〜0.5mm以
下のステンレス鋼板を基材とし、L/t=40〜200
の関係を満足する膜厚L(μm)のCuめっき層が基材
表面に形成されていることを特徴とするステンレス鋼製
接点。 - 【請求項2】 Cuめっき層の表面がRa:0.2μm
以上に粗面化されている請求項1記載のステンレス鋼製
接点。 - 【請求項3】 Cuめっき層が表面粗さRa:0.2μ
m以下に平滑化され、L/M=2〜100,M=0.2
〜10を満足する膜厚M(μm)のNiめっき層又はS
nめっき層がCuめっき層の上に設けられている請求項
1記載のステンレス鋼製接点。 - 【請求項4】 Cr:12.0〜20.0質量%,Ni:
6.0〜20.0質量%を含むオーステナイト系,Cr:
12.0〜14.0質量%を含むマルテンサイト系、C
r:13.5〜18.0質量%,Ni:6.0〜8.0質量
%を含む析出硬化系、又はCr:16.0〜18.0質量
%,Ni:1.5〜2.5質量%を含むα+α'二相系又
はCr:10〜25質量%を含むフェライト系のステン
レス鋼を基材とする請求項1〜3何れかに記載のステン
レス鋼製接点。
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