JP2011080117A - 導電部材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】コネクタ雌端子等の高い曲げ加工性を必要とする用途に必要な最低限の硬度を保持し、Niの上層への拡散を防ぎ、Ni系下地層内部の酸化を防ぎ、高い曲げ加工性を有するNi下地層を備え、良好な接触抵抗性、耐摩耗性を維持しながら、曲げ加工性に優れた導電部材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】導電部材10は、Cu系基材1の表面に、平均厚みが0.1〜3.0μmであるNi系下地層2を介して、平均厚みが0.05〜1.5μmであるCu−Sn金属間化合物層3、平均厚みが0.05〜2.0μmであるSn系表面層4がこの順に形成されるとともに、Cu−Sn金属間化合物層はさらに、Ni系下地層の上に配置されるCuSn層5と、該CuSn層の上に配置されるCuSn層6とからなり、Ni系下地層のホウ素含有量が50〜800ppmである。
【選択図】図1

Description

本発明は、電気接続用コネクタ等に用いられ、Cu又はCu合金からなる基材の表面に複数のめっき層を形成した導電部材及びその製造方法に関する。
自動車の電気接続用コネクタやプリント基板の接続端子等に用いられる導電部材として、電気接続特性の向上等のために、Cu又はCu合金からなるCu系基材の表面にSn系金属のめっきを施したものが多く使用されている。
そのような導電部材として、例えば特許文献1から特許文献3記載のものがあり、Cu又はCu合金からなる基材の表面にNi、Cu、Snを順にめっきして3層のめっき層を形成した後に、加熱してリフロー処理することにより、最表面層にSn層が形成され、Ni層とSn層との間にCu−Sn金属間化合物層(例えばCuSn)が形成された構成とされている。
なかでも、Ni或いはNi合金層は基本的に母材CuのSn層中への拡散を抑制するバリアー層として機能しており、特にホウ素を含有するNi合金層に関し、2層のめっき層ではあるが、特許文献4は、銅又は銅合金の母材に対し,ビッカース硬さ450〜750HVでかつ厚み0.3〜2μmのニッケル合金めっきの中間層と、同中間層と拡散により形成されたSn−Niを主成分とする厚みが0.05〜2μm、かつ、Sn−Ni化合物の平均粒径が0.05〜1μmの合金層、ならびに、リフロー処理されたSnまたはSn合金めっき表層とからなる挿抜性に優れたコネクタ用めっき材料を開示し、特許文献5には、銅又は銅合金の母材に対し、ニッケルを10%〜50%含有し、残部が錫および不可避不純物からなる合金めっき中間層と、錫又は錫合金めっきの表層とを備えた自動車のエンジン回り等での高温環境下の経時劣化と挿抜抵抗の両方を改善し、さらに長期間保管してもはんだ付け性等の特性が劣化しないという性能を併せ持った金属材料を開示している。
特許第3880877号公報 特許第4090488号公報 特開2009−97050号公報 特開2001−59197号公報 特開2002−194464号公報
Cu又はCu合金からなる基材の表面にNi、Cu、Snを順にめっきして3層のめっき層を形成した後に、加熱してリフロー処理することにより、最表面層にSn層が形成され、Ni層とSn層との間にCu−Sn金属間化合物層(例えばCuSn)が形成された構成の3層めっき品において、そのバリアーとしての下地層に0.05〜20wt%のホウ素を含有するNi合金を使用することにより、Ni合金層の硬度をあげ、Niの上層への拡散を防ぎ、Ni合金層内部の酸化を防ぎことが可能となり、3層めっき品としての耐熱性、挿抜性、耐摩耗性の向上に寄与することが知られている。
しかし、コネクタ雌端子等の高い曲げ加工性を必要とする用途には高い硬度が不具合になることも多く、最小限の硬度を有し、Niの上層への拡散を防ぎ、Ni合金層内部の酸化を防ぎ、更に、高い曲げ加工性を有するNi下地層に対する需要が最近強くなっている。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、最低限の硬度を保持し、Niの上層への拡散を防ぎ、Ni系下地層内部の酸化を防ぎ、高い曲げ加工性を有するNi下地層を備え、良好な接触抵抗性、耐摩耗性を維持しながら、曲げ加工性に優れた導電部材及びその製造方法を提供する。
本発明者らは、3層めっき品の下地Ni層中のホウ素含有量につき鋭意検討を行った結果、下地Ni層中のホウ素含有量が50〜800ppmであると、バリアー層として最低限の硬さ及び拡散防止効果を保ちながら、曲げ加工性が最大限に発揮できることを見出した。
本発明の導電部材は、Cu系基材の表面上に、平均厚みが0.1〜3.0μmであるNi系下地層を介して、平均厚みが0.05〜1.5μmであるCu−Sn金属間化合物層、平均厚みが0.05〜2.0μmであるSn系表面層がこの順に形成されるとともに、Cu−Sn金属間化合物層はさらに、Ni系下地層の上に配置されるCuSn層と、CuSn層の上に配置されるCuSn層とからなり、Ni系下地層のホウ素含有量が50〜800ppmであることを特徴とする。
本発明のNi系下地層は、最低限の硬さ及び拡散防止効果を保ちながら、曲げ加工性を最大限に発揮できるホウ素を含有量していることであり、ホウ素含有量が800ppmを超えると硬度が出過ぎて曲げ加工性が悪くなり、50ppm未満では最低減の硬さ及び拡散防止効果が発揮出来なくなる。含有量は100ppm〜500ppmであることがより好ましい。曲げ加工性が良くなる副次効果として、Ni下地層を3.0μmまで厚くすることが可能となり、拡散防止効果が大きくなり、バリアー層としてより強固な下地層を作ることが出来る。Ni系下地層の厚みが3.0μmを超えても拡散防止効果が飽和し不必要な厚みとなる。
また、本発明の導電部材の製造方法は、Ni系下地層を形成するためのNiめっきは、ホウ酸を含む無機酸を主成分とするめっき浴中にて、浴温45〜55℃、pH1.0〜2.0、電流密度20〜50A/dm、レイノルズ数2×10〜4×10なる電解めっきにより行うことを特徴とする。
Ni系下地層のホウ素含有量を微量の50〜800ppmとするには、特に、めっき浴中の被めっき物とめっき液の流れの場のレイノルズ数を2×10〜4×10とすることが重要であり、レイノルズ数がこの範囲内であると、めっき液成分中のホウ素が均質に50〜800ppmの含有量にてNiめっき中に分散される。ホウ素はめっき液成分中に含まれており、Niが電解めっきにてCu合金基材に付着する際、めっき層の表面に微量が取り込まれる。このNiめっき層と電解めっき液との界面の流れ場のレイノルズ数を2×10〜4×10とすることにより、50〜800ppmのホウ素がNiめっき層表面に取り込まれるのである。レイノルズ数が2×10未満では攪拌効果が弱く含有量が少なくなり、レイノルズ数が4×10を超えると含有量が多くなり過ぎ、特に好ましい範囲は2.5×10〜3.5×10である。
また、浴温45〜55℃にて、Niめっきの電流密度を20A/dm以上とすることにより、結晶粒が微細化し、リフローや製品化された後の加熱時にNi原子がSnや金属間化合物に拡散し難くなり、Niめっき欠損が減り、カーケンダルボイドの発生を防ぐことができる。電流密度が50A/dmを超えると、電解時のめっき表面での水素発生が激しくなり、気泡付着により皮膜にピンホールが発生し、これを起点として下地のCu系基材が拡散しカーケンダルボイドが発生し易くなる。このため、Niめっきの電流密度を20〜50A/dmとするのが望ましい。
また、Niめっき浴のpHを1.0〜2.0とすることにより、めっき時の水素発生により生成する水酸化ニッケルを溶解し、次のCu,Snめっきの付着性を良くすることができる。
本発明によれば、Cu系基材の表面にNi、Cu、Snを順にめっきして3層のめっき層を形成した後に、加熱してリフロー処理することにより、最表面層にSn層が形成され、Ni層とSn層との間にCu−Sn金属間化合物層が形成された構成の3層めっき品のNi系下地層に50〜400ppmのホウ素を含有することにより、最低限の硬度を有し、Niの上層への拡散を防ぎ、Ni系下地層内部の酸化を防ぎ、高い曲げ加工性を有するNi系下地層を得ることが可能となり、良好な接触抵抗性、耐摩耗性を維持しながら、曲げ加工性に優れた導電部材を提供することが出来る。
本発明に係る導電部材の一実施形態の表層部分をモデル化して示した断面図である。 導電部材の動摩擦係数を測定するための装置を概念的に示す正面図である。
以下、本発明の実施形態を説明する。
この実施形態の導電部材10は、例えば自動車の車載用コネクタの雌端子に用いられるものであり、図1に示すように、Cu系基材1の表面に、Ni系下地層2を介して、Cu−Sn金属間化合物層3、Sn系表面層4がこの順に形成されるとともに、Cu−Sn金属間化合物層3はさらに、CuSn層5とCuSn層6とから構成されている。
Cu系基材1は、Cu又はCu合金から構成された例えば板状のものである。Cu合金としては、その材質は必ずしも限定されないが、Cu−Zn系合金、Cu−Ni−Si系(コルソン系)合金、Cu−Cr−Zr系合金、Cu−Mg−P系合金、Cu−Fe−P
系合金、Cu−Sn−P系合金が好適であり、例えば、三菱伸銅株式会社製MSP1、MZC1、MAX251C、MAX375、MAX126が好適に用いられる。
Ni系下地層2は、Cu系基材1の表面に、例えば0.1〜3.0μmの厚さにNi又はNi合金を電解めっきして形成されたものであり、TEM−EDSによる定量分析にて測定したホウ素の含有量が50〜800ppmである。含有量がこの範囲であることにより、最低限の硬度を有し、Niの上層への拡散を防ぎ、Ni系下地層2内部の酸化を防ぎ、更に、高い曲げ加工性を有するNi系下地層2を得ることが可能となる。ホウ素含有量が800ppmを超えると硬度が出過ぎて曲げ加工性が悪くなり、50ppm未満では最低限の硬さ及び拡散防止効果が発揮出来なくなる。含有量は特に100ppm〜500ppmであることが好ましい。
また、曲げ加工性が良くなる副次効果として、Ni系下地層2を3.0μmまで厚くすることが可能であり、拡散防止効果が大きくなり、バリアー層としてより強固な下地層となる。Ni系下地層2の厚みが3.0μmを超えると、拡散防止効果が飽和し不必要な厚みとなり、0.1μm未満であると、Cu系基材1のCuの拡散防止機能が不十分となる。
Cu−Sn金属間化合物層3は、Ni系下地層2の上にめっきしたCuと表面のSnとがリフロー処理によって拡散して形成された厚みが0.05〜1.5μmの合金層である。このCu−Sn金属間化合物層3は、さらに、Ni系下地層2の上に配置されるCuSn層5と、該CuSn層5の上に配置されるCuSn層6とから構成されている。Cu−Sn金属間化合物層は硬質であり、0.05μm以上の厚さであると、コネクタ等の使用時の挿入力の低減に寄与するが、厚さが1.5μmを超えると、曲げ加工にて割れ発生の原因となる。
なお、このCu−Sn金属間化合物層3は、Ni系下地層2の上にめっきしたCuと表面のSnとが拡散することにより合金化したものであるから、リフロー処理等の条件によっては下地となったCuめっき層の全部が拡散してCu−Sn金属間化合物層3となる場合もあるが、そのCuめっき層が残る場合もある。このCuめっき層が残る場合は、そのCuめっき層は例えば0.01〜0.1μmの厚さとされる。
最表面のSn系表面層4は、Sn又はSn合金を電解めっきした後にリフロー処理することによって形成されたものであり、0.05〜2.0μmの厚さに形成される。このSn系表面層4の厚さが0.05μm未満であると、高温時にCuが拡散して表面にCuの酸化物が形成され易くなることから接触抵抗が増加し、また、はんだ付け性や耐食性も低下する。一方、2.0μmを超えると、柔軟なSn系表面層4の下層に存在するCu−Sn金属間化合物層3による表面の下地を硬くする効果が薄れ、コネクタとしての使用時の挿抜力が増大し、コネクタの多ピン化に伴う挿抜力の低減を図り難い。
次に、このような導電部材を製造する方法について説明する。
まず、Cu系基材1を脱脂、酸洗等によって表面を清浄にした後、Niめっき、Cuめっき、Snめっきをこの順序で順次行う。また、各めっき処理の間には、酸洗又は水洗処理を行う。
Niめっきの条件としては、めっき浴に、硫酸ニッケル(NiSO)、ホウ酸(HBO)を主成分としたホウ酸浴が用いられる。酸化反応を起こし易くする塩類として塩化ニッケル(NiCl)などが加えられる場合もある。また、めっき温度は45〜55℃、電流密度は20〜50A/dm、pH1.0〜2.0、レイノルズ数2×10〜4×10とされる。
Ni系下地層2のホウ素含有量を微量の50〜800ppmとするには、特に、めっき浴中の被めっき物とめっき液の流れの場のレイノルズ数を2×10〜4×10とすることが重要であり、レイノルズ数がこの範囲内であると、めっき液成分中のホウ素が均質に50〜800ppmの含有量にてNiめっき中に分散される。ホウ素はホウ酸としてめっき液成分中に含まれており、Niが電解めっきにてCu系基材1に付着する際、Niめっき層の表面に微量が取り込まれる。このCu系基材1と電解めっき液との界面の流れ場のレイノルズ数を2×10〜4×10とすることにより、50〜800ppmのホウ素がNiめっき層表面に均質に取り込まれるのである。レイノルズ数が2×10未満では攪拌効果が弱く含有量が少なくなり、レイノルズ数が4×10を超えると含有量が多くなり過ぎる。特に好ましい範囲は2.5×10〜3.5×10である。
レイノルズ数は、めっき液粘度、めっき流路径、めっき液と被めっき物との間の相対流速の3要素で決定される無次元数であり、状況に応じ3要素を適宜変更することにより最適値を得ることが出来る。
また、浴温45〜55℃にて、Niめっきの電流密度を20A/dm以上とすることにより、結晶粒が微細化しリフローや製品化された後の加熱時にNi原子がSnや金属間化合物に拡散し難くなり、Niめっき欠損が減り、カーケンダルボイドの発生を防ぐことができる。一方、電流密度が50A/dmを超えると、電解時のめっき表面での水素発生が激しくなり、気泡付着により皮膜にピンホールが発生し、これを起点として下地のCu系基材が拡散しカーケンダルボイドが発生し易くなる。このため、Niめっきの電流密度を20〜50A/dmとするのが望ましい。
また、Niめっき浴のpHを1.0〜2.0とすることにより、めっき時の水素発生により生成する水酸化ニッケルを溶解し、次のCu,Snめっきの付着性を良くすることができる。
Cuめっきの条件としては、めっき浴に硫酸銅(CuSO)及び硫酸(HSO)を主成分とした硫酸銅浴が用いられ、レベリングのために塩素イオン(Cl)が添加される。めっき温度は35〜55℃、電流密度は20〜60A/dmとされる。
Snめっきの条件としては、めっき浴に硫酸(HSO)と硫酸第一錫(SnSO)を主成分とした硫酸浴が用いられ、めっき温度は15〜35℃、電流密度は10〜30A/dmとされる。
いずれのめっき処理も、一般的なめっき技術よりも高い電流密度で行われる。その場合に、めっき液の攪拌技術が重要となるが、めっき液を処理板に向けて高速で噴きつける方法やめっき液を処理板と平行に流す方法などとすることにより、処理板の表面に新鮮なめっき液を速やかに供給し、高電流密度によって均質なめっき層を短時間で形成することができる。また、この従来技術よりも一桁高い電流密度でのめっき処理を可能とするために、陽極には、アノード限界電流密度の高い酸化イリジウム(IrO)を被覆したTi板等の不溶性陽極を用いることが望ましい。
これらの各めっき条件をまとめると、以下の表1〜表3に示す通りとなる。
Figure 2011080117
Figure 2011080117
Figure 2011080117
そして、この三種類のめっき処理を施した後、加熱してリフロー処理を行う。例えば、そのリフロー処理は、CO還元性雰囲気にした加熱炉内でめっき後の処理材を20〜75℃/秒の昇温速度で240〜300℃のピーク温度まで2.9〜11秒間加熱する加熱工程と、そのピーク温度に達した後、30℃/秒以下の冷却速度で2〜10秒間冷却する一次冷却工程と、一次冷却後に100〜250℃/秒の冷却速度で0.5〜5秒間冷却する二次冷却工程とを有する処理とする。一次冷却工程は空冷により、二次冷却工程は10〜90℃の水を用いた水冷により行われる。
このリフロー処理を還元性雰囲気で行うことによりSnめっき表面に溶融温度の高いすず酸化物皮膜が生成するのを防ぎ、より低い温度かつより短い時間でリフロー処理を行うことが可能となり、所望の金属間化合物構造を作製することが容易となる。また、冷却工程を二段階とし、冷却速度の小さい一次冷却工程を設けることにより、Cu原子がSn粒内に穏やかに拡散し、所望の金属間化合物構造で成長する。そして、その後に急冷を行うことにより金属間化合物層の成長を止め、所望の構造で固定化することができる。
以上のように、Cu系基材1の表面に表1〜表3に示すめっき条件により三層のめっきを施した後、上述のリフロー処理することにより、図1に示すように、Cu系基材1の表面に形成したNi系下地層2がCuSn層5によって覆われ、その上にさらにCuSn層6が形成され、最表面にSn系表面層4が形成される。
この様に形成された導電部材10は、最低限の硬度を有し、Niの上層への拡散を防ぎ、Ni系下地層2内部の酸化を防ぎ、更に、高い曲げ加工性を有するNi系下地層2を備え、良好な接触抵抗性及び耐摩耗性を有し、曲げ加工性に優れた導電部材となる。
次に本発明の実施例を説明する。
Cu合金板(Cu系基材)として、厚さ0.25mmの三菱伸銅株式会社製MAX251C材を用い、これにNi、Cu、Snの各めっき処理を順次行った。この場合、Cuめっきは表2に示す条件にて、Snめっきは表3に示す条件にてめっきを行い、Niめっきは、硫酸ニッケルを300g/L、ホウ酸を30g/L含有するホウ酸浴を使用し、表4に示す条件にて、浴温、pH、電流密度、レイノルズ数を変更してめっきを行い、複数の試料を作成した。各めっき層の目標厚さについては、Niめっき層の厚さは0.3μm、Cuめっき層の厚さは0.3μm、Snめっき層の厚さは1.5μmとした。また、これら三種類の各めっき工程間には、処理材表面からめっき液を洗い流すための水洗工程を入れた。本実施例におけるめっき処理では、Cu合金板にめっき液を高速で噴きつけ、なおかつ酸化イリジウムを被覆したTi板の不溶性陽極を用いた。
上記の三種類のめっき処理を行った後、その処理材に対してリフロー処理を行った。このリフロー処理は、CO還元性雰囲気にした加熱炉内でめっき後の処理材を20〜75℃/秒の昇温速度で240〜300℃のピーク温度まで2.9〜11秒間加熱する加熱工程と、そのピーク温度に達した後、30℃/秒以下の冷却速度で2〜10秒間冷却する一次冷却工程と、一次冷却後に100〜250℃/秒の冷却速度で0.5〜5秒間冷却する二次冷却工程とを有する処理とする。一次冷却工程は空冷により、二次冷却工程は10〜90℃の水を用いた水冷により行った。
以上のように製造された試料につき、Ni系下地層の厚み及びホウ素含有量、Cu−Sn金属間化合物層(表4ではCu−Sn層と表す)の厚み、Sn系表面層の厚み、接触抵抗、動摩擦係数、曲げ加工性を測定し、その結果を表4に示す。
各めっき層の厚みは、TEM−EDS分析により測定した。
ホウ素含有量は、TEM−EDSによる定量分析にて測定した。
接触抵抗は、試料を175℃×1000時間放置した後、山崎精機株式会社製電気接点シミュレーターを用い荷重0.49N(50gf)摺動有りの条件で測定した。
動摩擦係数は、動摩擦係数については、嵌合型のコネクタのオス端子とメス端子の接点部を模擬するように、各試料によって板状のオス試験片と内径1.5mmの半球状としたメス試験片とを作成し、アイコーエンジニアリング株式会社製の横型荷重測定器(Model−2152NRE)を用い、両試験片間の摩擦力を測定して動摩擦係数を求めた。図2により説明すると、水平な台21上にオス試験片22を固定し、その上にメス試験片23の半球凸面を置いてめっき面どうしを接触させ、メス試験片23に錘24によって4.9N(500gf)の荷重Pをかけてオス試験片22を押さえた状態とする。この荷重Pをかけた状態で、オス試験片22を摺動速度80mm/分で矢印で示す水平方向に10mm引っ張ったときの摩擦力Fをロードセル25によって測定した。その摩擦力Fの平均値Favと荷重Pより動摩擦係数(=Fav/P)を求めた。
曲げ加工性は、試料の圧延方向と直角に90°曲げ(曲げ半径R=0.2mm)を施し、曲げ部におけるめっき皮膜の割れにより評価した。曲げ部について500倍でSEM観察し、めっき皮膜に割れが見られないものを○、割れが見られたものを×として評価した。
Figure 2011080117
表4より、本発明の導電部材は、Cu又はCu合金からなる基材の表面にNi、Cu、Snを順にめっきして3層のめっき層を形成した後に、加熱してリフロー処理することにより、最表面層にSn層が形成され、Ni層とSn層との間にCu−Sn金属間化合物層が形成された構成の3層めっき品の下地層に50〜400ppm、特に、100〜500ppmのホウ素を含有するNi系下地層を形成することにより、良好な接触抵抗性、耐摩耗性を有し、優れた曲げ加工性を有することがわかる。
1 Cu系基材
2 Ni系下地層
3 Cu−Sn金属間化合物層
4 Sn系表面層
5 CuSn層
6 CuSn
10 導電部材

Claims (2)

  1. Cu系基材の表面に、平均厚みが0.1〜3.0μmであるNi系下地層を介して、平均厚みが0.05〜1.5μmであるCu−Sn金属間化合物層、平均厚みが0.05〜2.0μmであるSn系表面層がこの順に形成されるとともに、Cu−Sn金属間化合物層はさらに、前記Ni系下地層の上に配置されるCuSn層と、該CuSn層の上に配置されるCuSn層とからなり、前記Ni系下地層のホウ素含有量が50〜800ppmであることを特徴とする導電部材。
  2. 請求項1記載の導電部材を製造する方法であって、前記Ni系下地層を形成するためのNiめっきは、ホウ酸を含む無機酸を主成分とするめっき浴中にて、浴温45〜55℃、pH1.0〜2.0、電流密度20〜50A/dm、レイノルズ数2×10〜4×10なる電解めっきにより行うことを特徴とする導電部材の製造方法。
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