JP2003191819A - シートベルト巻取装置 - Google Patents

シートベルト巻取装置

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JP2003191819A
JP2003191819A JP2001396614A JP2001396614A JP2003191819A JP 2003191819 A JP2003191819 A JP 2003191819A JP 2001396614 A JP2001396614 A JP 2001396614A JP 2001396614 A JP2001396614 A JP 2001396614A JP 2003191819 A JP2003191819 A JP 2003191819A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 火薬式プリテンショナが作動した場合に、
「フォースリミッタ機構」を安定して作動させることが
できるシートベルト巻き取り装置を提供する。 【解決手段】 火薬プリテンショナが作動すると、リン
グギア70は、反時計回りに回転する。すると、ストッ
パ28の先端部28aを固定していた外歯70aが移動
し、ストッパ28の先端部がフリーとなる。するとスト
ッパ28は、その付勢力により開く。すると、リリース
スプリング29は、ストッパ28の拘束を受けなくな
り、その付勢力により、図3の時計回りに回動する。す
ると、リリーススプリング29がこのクラッチパウル2
1のピン部21cに当接し、ピン部21cを押し下げ
る。よって、クラッチパウル21は、クラッチパウルピ
ン25の周りに時計回りに回動し、これにより、モータ
5とスプール4間の機械的な結合が切り離される

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、モータによってシ
ートベルトを巻き取る機能を有するシートベルト巻取装
置の制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】シートベルト巻取装置は、乗用車の衝突
等の事故に際して乗員の安全を確保するために取り付け
が義務付けられ、種々の方式のものが開発されている。
そのうち最も構成が簡単なものの例を図10に示す。
【0003】シートベルト巻取装置の一方の側の支持部
であるスプリングカバー41には、軸受部41aが設け
られ、それにスプール42の軸42aが嵌まりこんで回
転すると同時に、スプリングにより巻き取り方向への付
勢力を受けるようになっている。スプール42にはシー
トベルトが巻きつけられるようになっている。
【0004】スプール42の内側には凹状の嵌合部(図
示せず)が設けられ、その中にトーションバー43の一
端が嵌まり込んでいる。トーションバー43の他端は、
ロッキングベース44に設けられた凹状の嵌合部(図示
せず)に嵌まりこんでいる。ロッキングベース44の軸
44aは、ロックギア45の穴部45aを貫通し、シー
トベルト巻取装置の他の一方の側の支持部であるリテー
ナ46の軸受部(図示せず)に嵌まりこんでいる。
【0005】このような機構により、スプール42は、
結局スプリングカバー41とリテーナ46にその回転軸
を支持されたような形態となって回転し、スプリングの
付勢力によりシートベルトを巻き取るようになってい
る。そして、スプリングカバー41と、リテーナ46
は、ベースフレーム48の両端に固定されており、スプ
ール42はベースフレーム48の内部に収納されるよう
になっている。
【0006】これらの構成要素のうち、ロッキングベー
ス44とロックギア45は、所定量の相対回転が可能に
なっており、スプリング49によって、ロックギア45
がロッキングベース44に対して相対的にシートベルト
の引き出し方向に付勢されて、相対回転の限界に達する
ような状態になっている。
【0007】通常の状態でシートベルトが引き出される
ときは、ロックギア45の回転の抵抗となるものはない
ので、スプリング49の付勢力に打ち勝つことができ
ず、ロックギア45はロッキングベース44と一体とな
って回転する。
【0008】スプリングの力によりスプール42が巻き
取られ、それにつれてロッキングベース44が巻き取り
方向に回転しても、もともと、その回転方向には、前述
のように、ロックギア45がロッキングベース44に対
して相対回転の限界に達するような状態になっているの
で、ロックギア45はロッキングベース44と一体とな
って回転する。
【0009】衝突等により、急激なシートベルトの引き
出しが発生すると、ロックギア45の中に収納されてい
るフライホイール50がスプリング51の付勢力に打ち
勝って移動し、その結果、ロックギア45がリテーナ4
6に対して相対回転ができなくなり、回転が停止され
る。
【0010】すると、ロッキングベース44がスプリン
グ49の付勢力に抗して、ロックギア45に対して相対
回転する。この相対回転によって、ロッキングベース4
4に収納されているパウル52が外側に飛び出すように
メカニズムが構成されており、外側に飛び出したパウル
52のギアがベースフレーム43に形成されたギア部4
8aに係合し、これによりロッキングベース44の回転
も停止される。この機構を「ロック機構」と呼ぶ。
【0011】よって、トーションバー43の回転も停止
し、スプール42はトーションバー43の捩れに対応す
るだけの回転のみが許されることになる。従って、以後
は、シートベルトは、トーションバーの捩れ力に起因す
る張力を受けつつ回転する。この機構を、「フォースリ
ミッタ機構」と呼ぶ。
【0012】以上の説明は、シートベルト巻取装置の概
要を示したものであり、例えば、フライホイール50の
移動によりロックギア45の回転を止める機構、パウル
52を外側に押し出す機構には複雑な機構が用いられて
いるが、シートベルト巻取装置は周知・慣用のものであ
り、当業者にとってこれ以上の詳しい説明は不要と思わ
れるし、本発明の主要部分と関係がない事項なので、こ
れ以上の詳しい説明を省略する。
【0013】図10に示すシートベルト巻取装置には、
上述のような機構の他に、火薬式プリテンショナと呼ば
れるシートベルト引き込み装置が付属されている。これ
は、衝突等が実際に発生した場合に、火薬の力により急
速かつ強力にシートベルトを巻き取り、乗員をシートに
拘束するものである。
【0014】以下、火薬式プリテンショナの構成を説明
する。プリテンショナカバー61とプリテンショナープ
レート62の間には、パイプ63が設けられており、そ
のパイプ63の一端にはガス発生器64が取り付けられ
ている。そして、パイプ61の内部にはストッパスプリ
ング65、ピストン66、複数のボール67が設けられ
ている。パイプ63の他の端近傍の側方は切り欠かれて
おり、他端にはガイドブロック68が嵌め込まれてい
る。
【0015】プリテンションカバー61には2つのピン
69が設けられており、それに、リングギア70が嵌め
込まれて保持されている。そして、リングギア70の外
歯とパイプ63の切り欠かれていない内壁の間にボール
67の最先端のものが挟まって拘束されている。
【0016】一方、スプール42においては、ギア71
にピニオン72が嵌り込んでいる。通常の状態では、リ
ングギア70とピニオン72は係合していないが、ガス
発生器64からガスが発生した場合には、その圧力によ
り、ピストン66を介してボール67が押され、その力
でピン69が折れて、リングギア70がフリーとなり、
ピニオン72と係合する。そして、その状態でボール6
7にリングギア70の外歯71aが押されてリングギア
70が回転し、ピニオン72を介してスプール42を回
転させる。このようにしてシートベルトにプリテンショ
ンがかけられる。このような機構も周知のものであるの
で、これ以上の説明を省略する。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】発明者らは、このよう
な従来のシートベルト巻取装置を改良し、衝突等の事故
が実際に発生する前に、これらの発生が予想された段階
で、モータによりシートベルトを巻き取り、シートベル
トの弛みを取り除くと共に、ある程度の力で乗員をシー
トベルトに拘束する機能を有するシートベルト巻取装置
の発明を行い、特願2001−12886号として特許
出願した(以下、「第1先願発明」という)。
【0018】これは、モータによりシートベルトを巻き
取る機構を有するシートベルト巻取装置であって、前記
モータとシートベルトが巻回されたスプールと、結合時
には前記スプールをシートベルト巻き取り方向にのみ回
転させ、非結合時には前記スプールのいずれの方向への
回転をも許容する動力伝達切替機構(ラチェット機構)
とを有するものである。
【0019】以下、第1先願発明の実施の形態の例を、
図を用いて説明する。図4は、第1先願発明の実施の形
態の1例であるシートベルト巻取装置の概要を示す分解
斜視図である。なお、図4に示す実施の形態において
も、図10に示すようなロック機構、フォースリミッタ
機構や、スプールを巻き取るスプリング(図示せず)等
が設けられているが、先願発明と関係がないので説明を
省略する。
【0020】図4に示すように、このシートベルト巻取
装置1においては、フレーム2の中にシートベルト3を
巻き取るスプール4が収納され、それを軸支するトーシ
ョンバー5の一端がリテーナ6に嵌まり込み、他端はス
プール4の内部に嵌合している。スプール軸4aは、シ
ートベルト巻き取り用スプリング(図示せず)が収納さ
れたゼンマイユニット7の軸受に嵌まり込んでいる。リ
テーナ6とゼンマイユニット7はフレーム2に保持され
ており、これにより、スプール4が、リテーナ6とゼン
マイユニット7に保持される形でフレーム2の中に収納
されている。
【0021】モータ8は第2リテーナ9に保持され、そ
の軸に結合されたモータギア10が、コネクトギア11
に噛合し、コネクトギア11が中間減速ギア12を介し
て減速ギア13と噛合している。減速ギア13は、その
外径部に中間減速ギア12と噛合する大径歯部13aを
有すると共に、その中心部にサンギア13bを有してい
る。
【0022】キャリアギア14の中心孔(スプライン
孔)14cはスプール4のスプライン軸4bに嵌まり込
んでおり、スプール4と一体に回転する。キャリアギア
14には3個のネジ孔14dが設けられ、これにリダク
ションピン15の先端がネジ込まれている。リダクショ
ンピン15には、それぞれ1個づつのプラネタリギア1
6が回転自在に軸支され、リダクションプレート17に
より保持されている。
【0023】インターナルギア18は図5に示すように
円環状をしており、その外周部にはラチェット歯18a
が、内周部にはプラネタリギア18と噛合する内歯18
bが設けられている。すなわち、プラネタリギア16
は、サンギア13bとインターナルギア18の内歯18
bに挟まれて、リダクションピン15を中心に自転が可
能になっていると共に、キャリアギア14の中心(スプ
ール4の軸心)の周りに公転が可能とされている。
【0024】このように構成されたシートベルト巻取装
置のスプール4とモータ8の動力伝達経路を入り切りす
るための機構として、係止レバー21と、コネクトギア
11と一体に回転可能で係止レバー21を保持するレバ
ースプリング22と、スプリング保持部材23が設けら
れている。
【0025】図6に、この機構を詳細に示す。スプリン
グ保持部材23の軸方向側面には軸方向に延びる3本の
突出ピン23aが設けられており、これらの突出ピン2
3aがコネクトギア11の3個の軸方向孔11cそれぞ
れ嵌合されることで、スプリング保持部材23がコネク
トギア11に組み付けられる。また、スプリング保持部
材23の外周面には、径方向に延びる3個の突起23b
が周方向に等間隔に設けられている。そして、レバース
プリング22が、その湾曲部22aがスプリング保持部
材23の外周に位置するようにして配置されるととも
に、この湾曲部22aがスプリング保持部材23の2個
の突起23bとコネクトギア11との間に、回転方向に
所定の摩擦を有して扶持されることでスプリング保持部
材23に組み付けられる。
【0026】また、係止レバー21は第2リテーナ9に
設けられた溝に沿って平行移動し、平行移動によりイン
ターナルギア18のラチェット歯18aに接離可能に設
けられている。そして、係止レバー21は、その凹部2
1bに嵌まり込んだレバースプリング22によって、前
記のように平行移動するように駆動される。
【0027】以下、モータ8とスプール4間の動力伝達
のメカニズムと、動力伝達の入り切りのメカニズムにつ
いて、図7〜図9を用いて説明する。これらの図に示さ
れるように、モータ8の回転はモータギア10から、コ
ネクトギア11の歯11aを介してコネクトギア11に
伝えられ、その歯11bと、中間減速ギア12の歯12
aを介して中間減速ギア12に伝えられる。そして、中
間減速ギア12の歯12bと減速ギア13の大径歯部1
3aを介して減速ギア13に伝達される。減速ギア13
には、サンギア13bがその中心軸を同じにして一体に
取り付けられている。よって、モータ8が回転すると、
これらのギア群が一体となって回転する。
【0028】一方、図4に示されるスプール4のスプラ
イン軸4bには、前述のようにキャリアギア14の中心
孔(スプライン孔)14cが嵌まり込んでいる。よっ
て、スプール4が回転すると、キャリアギア14が一体
に回転し、それにより3個のプラネタリギア16がスプ
ール軸を中心として公転する。
【0029】これら、モータ8に結合された動力伝達系
と、スプール4に連結された動力伝達系の連結を入り切
りするのが、インターナルギア18である。図7は、モ
ータ8が回転していないときの様子を示す図である。こ
のとき、レバースプリング22により、係止レバー21
は、インターナルギア18のラチェット歯車18aとは
係合しないような位置となっている。よって、インター
ナルギア18は完全にフリーな状態にあり、何の抵抗も
受けずに回転できる。それに対し、サンギア13bと減
速ギア13を回転させるためには、モータ8の回転抵抗
に打ち勝たなければならない。
【0030】このような状態で、スプール4がどちらか
の方向に回転すると、プラネタリギア16が公転する。
そのとき、インターナルギア18の抵抗がないので、プ
ラネタリギア16は、自転しながらサンギア13aの周
りを公転し、インターナルギア18を回転させる。すな
わち、サンギア13aは回転しない。よって、スプール
4は、モータ8の回転抵抗を受けずに回転することがで
きる。従って、特に、人間がシートベルトを引き出すと
き、大きな抵抗力を受けることなく引き出しが可能とな
る(巻き取り用ゼンマイの力に抗するのみでよい)。
【0031】図8は、モータ8がシートベルト巻き取り
方向に駆動されたときの様子を示す図である。すなわ
ち、モータ8が図のCW方向に回転すると、コネクトギ
ア11がCCW方向に減速されて回転する。すると、前
述のようにレバースプリング22の湾曲部22aがスプ
リング保持部材23の突起23bとコネクトギア11と
の間に回転方向に所定の摩擦を有して保持されているの
で、このコネクトギア11のCCW方向の回転で、レバ
ースプリング22も同方向に一緒に回転する。
【0032】これにより、係止レバー21がインターナ
ルギア18に接近する方向に平行移動して、係止爪21
aがインターナルギア18のラチェット歯18aの外周
に当接して係合可能な係合位置となる。係止爪21aが
ラチェット歯18aの外周に当接した後は、レバースプ
リング22はそれ以上CCW方向には回転できなくな
る。しかし、コネクトギア11とレバースプリング22
との間にすべりが生じてコネクトギア11がレバースプ
リング22に対して相対回転する。これにより、モータ
8は回転を継続することができる。
【0033】同時に、コネクトギア11の回転が中間減
速ギア12を介して減速されて減速ギア13に伝達さ
れ、減速ギア13がベルトCCW方向に回転するので、
サンギア13bが同方向に減速ギア13と同速度で回転
する。このサンギア13aの回転で各プラネタリギア1
6がCW方向に自転し、インターナルギア18がCW方
向に回転する。このとき、インターナルギア18が回転
するため、各プラネタリギア16は公転しない。
【0034】インターナルギア18がCW方向に回転す
ると、ラチェット歯18aと係止爪21aとが互いに係
合し、インターナルギア18の回転が停止する。インタ
ーナルギア18の回転が停止すると、前述のようにモー
タ8の駆動トルクで各プラネタリギア16が自転してい
るので、各プラネタリギア16はインターナルギア18
の内歯18bに沿って、サンギア13bのまわりをCC
W方向に減速されて公転するようになる。
【0035】したがって、プラネタリギア16を保持す
るキャリアギア14が、各プラネタリギア16の公転速
度でCCW方向に回転するので、スプール4がシートベ
ルト巻き取り方向に回転する。
【0036】図9は、モータ8がシートベルト引き出し
方向に回転したときの様子を示す図である。モータ8が
図のCCW方向に回転すると、コネクトギア11がCW
方向に減速されて回転する。すると、前述のようにレバ
ースプリング22の湾曲部22aがスプリング保持部材
23の突起23bとコネクトギア11との間に回転方向
に所定の摩擦を有して保持されているので、このコネク
トギア11のCW方向の回転で、レバースプリング22
も同方向に一緒に回転する。これにより、係止レバー2
1がインターナルギア18から遠ざかる方向に平行移動
して、係止爪21aとインターナルギア18のラチェッ
ト歯18aの係合が外れる。すると、インターナルギア
18の回転が自由になる。
【0037】図8に示したと同じように、モータ8の回
転により減速ギア13とサンギア13aが駆動され、サ
ンギア13aの回転がプラネタリギア16に伝わってプ
ラネタリギア16を自転させる。しかし、インターナル
ギア18が回転抵抗無く回転するので、プラネタリギア
16は公転を行うことが無く、従って、モータ8の回転
はスプール4には伝達されない。
【0038】以上をまとめると、モータが巻き取り方向
に回転したときは、その回転力によって駆動される係止
レバーによってインターナルギアの回転が止められ、そ
れによりモータとスプールとの間の動力伝達経路が結合
される。その他の場合は、係止レバーとインターナルギ
アとの係合が無く、インターナルギアは自由に回転でき
るので、モータとスプールとの間の動力伝達経路は切り
離される。
【0039】なお、以上の実施の形態においては、係止
レバーの駆動をモータの動力を使用して行っていたが、
例えばソレノイド等により電気的に駆動し、インターナ
ルギアと係合させたり係合を解いたりするようにしても
よい。
【0040】以下、以上のように構成された第1先願発
明の実施の形態であるシートベルト巻取装置の作動の例
について説明する。この実施の形態においては、通常の
状態では、動力伝達経路切替機構により、モータとスプ
ール間の動力伝達経路をオフとしておく。シートベルト
の巻き取りは、ゼンマイばねによって行われる。よっ
て、乗員は、シートベルトを引き出す際に、ゼンマイば
ねの巻き取り力に抗する引き出し力のみで、シートベル
トを引き出すことができる。
【0041】そして、衝突予測装置等より、衝突等の事
故が発生する可能性のあることを示す信号が与えられた
とき、シートベルト巻取制御装置が、モータをシートベ
ルト巻き取り方向に駆動すると共に、動力伝達経路切替
機構によりモータとスプール間の動力伝達経路を結合す
る。これは、前述の実施の形態では、モータを巻き取り
方向に駆動することにより、自然に行われる。よって、
スプールにモータの巻き取り力が伝達され、スプールに
よりシートベルトが巻き取られる。このシートベルトの
巻き取りは、従来のように、実際に衝突が発生してから
行われるのでなく、衝突が予測された時点から開始され
るので、確実に乗員をシートに拘束することができる。
【0042】衝突等の発生が実際に起こらなかった場合
は、モータの駆動を停止すると共に、前記動力伝達切替
機構(ラチェット機構)の結合を解除することにより、
スプールの回転が自由になり、人間が容易にシートベル
トを引き出すことが可能となる。
【0043】なお、以上の第1先願発明の説明において
は、図面が煩雑になるのを避けるため、あえて図に示さ
れた火薬式プリテンショナの図示を省略し、その説明も
省略したが、火薬式プリテンショナが、図4における第
2リテーナ9の右側に設置されており、その場合におけ
る火薬式プリテンショナの作動と役割は、図に示した従
来技術と同じである。
【0044】また、第1先願発明においては、この他
に、シートベルトをモータで巻き取った場合に、スプー
ルがシートベルトの巻き取り方向にのみ回転し、引き出
し方向には回転しないようにする機構が付属されている
が、本願発明にはこの機構は関係ないのでその図示と説
明を省略する。
【0045】しかしながら、先願発明において、火薬式
プリテンショナを有するものにおいては、以下のような
事象が発生する場合がある。すなわち、従来技術におい
ては、実際に衝突が起こって火薬式プリテンショナが作
動し、乗員をシートに強力に拘束した後、火薬による力
が消滅すると、シートベルトが引き出されるようになっ
ていた。この際、前述した「フォースリミッタ機構」が
働き、シートベルトはトーションバーの捩れ力による張
力を受けながら引き出されるようにされていた。
【0046】ところが、第1先願発明の実施の形態を例
にとると、火薬式プリテンショナが作動しても、ラチェ
ット歯18aと係止爪21aとが互いに係合したままと
なり、インターナルギア18の回転が停止したままの状
態に保たれる可能性があった。そのようなことが発生す
ると、実際に衝突が起こって火薬式プリテンショナが作
動し、乗員をシートに強力に拘束した後、火薬による力
が消滅し、シートベルトが引き出される際に、モータが
スプールに機械的に結合された状態のままとなるので、
モータがシートベルト引き出し力の負荷となる場合があ
る。
【0047】このような事象の発生を防止するために、
本発明者等は、火薬式プリテンショナが作動するとほと
んど同時に、モータ逆転させることによって、ラチェッ
ト歯18aと係止爪21aの係合を解除し、モータとス
プールの機械的な結合(クラッチ機構)を解放すること
により、「フォースリミッタ機構」作動時にモータが引
き出し力の負荷となることを防止する方法を発明し、特
願2001−133967号として特許出願した(以
下、「第2先願発明」という)。この方法は、電気的に
モータとスプールの機械的な結合を解放するものであ
る。
【0048】本発明は第2先願発明と目的を同じくする
ものであり、火薬式プリテンショナが作動した場合に、
電気的手段を用いることなく、メカニズムにより、モー
タとスプールの機械的な結合(クラッチ機構)を解放す
ることによって、「フォースリミッタ機構」を安定して
作動させることができるシートベルト巻取装置を提供す
ることを課題とする。
【0049】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の第1の手段は、モータによりシートベルトを巻き取る
機構を有するシートベルト巻取装置であり、前記モータ
とシートベルトが巻回されたスプールと、結合時には前
記スプールをシートベルト巻き取り方向にのみ回転さ
せ、非結合時には前記スプールのいずれの方向への回転
をも許容する動力伝達切替機構とを有してなり、かつ、
シートベルトを急激に引き出すような力が働いたとき、
シートベルトが巻き付けられているスプールのシートベ
ルト引き出し方向への回転をトーションバーによる捩れ
力に抗して行わせるフォースリミッタ機構と、衝突が検
知されたときシートベルトを強制的に巻き取る火薬式プ
リテンショナを有するものであって、前記火薬式プリテ
ンショナが作動したときに移動する火薬式プリテンショ
ナの機構部の動きにより、前記動力伝達切替機構が非結
合状態とされ、前記モータと前記スプールの機械的な結
合が外れるようにされていることを特徴とするシートベ
ルト巻取装置(請求項1)である。
【0050】本手段においては、火薬式プリテンショナ
が作動したときに移動する火薬式プリテンショナの機構
部の動きにより、前記動力伝達切替機構が非結合状態と
され、前記モータと前記スプールの機械的な結合が外れ
るようにされている(本明細書において、動力伝達切替
機構が非結合状態とされているとは、モータとスプール
との機械的な動力伝達が働かないようにされていること
であり、動力伝達切替機構が結合状態とされていると
は、モータとスプールとの機械的な動力伝達が働くよう
にされていることである)。よって、火薬的プリテンシ
ョナが作動したとき、メカニズムのみにより、モータと
前記スプールの機械的な結合を切り離し、その後に発生
する「フォースリミッタ機構」作動時にモータが負荷と
なることを防止することができる。
【0051】前記課題を解決するための第2の手段は、
前記第1の手段であって、前記動力伝達切替機構はラチ
ェット歯車を有し、前記モータのシートベルト巻き取り
方向への回転力により駆動される係止部と前記ラチェッ
ト歯車との噛み合いの有無により、結合状態と非結合状
態が切り替わるものであり、前記係止部は、火薬式プリ
テンショナが作動したときに移動する火薬式プリテンシ
ョナの機構部の動きにより、前記ラチェット歯車との係
合を解除されるようにされていることを特徴とするもの
(請求項2)である。
【0052】本手段においては、動力伝達切替機構の結
合、非結合が、モータの回転力で駆動される係止部とラ
チェット歯車の係合により行われるようになっており、
かつ、前記係止部は、火薬式プリテンショナが作動した
ときに移動する火薬式プリテンショナの機構部の動きに
より、前記ラチェット歯車との係合を解除されるように
されているので、構造が簡単になる。
【0053】前記課題を解決するための第3の手段は、
前記第2の手段であって、前記モータの回転トルクで前
記回動可能な制御レバーを備えており、当該制御レバー
が前記係止部を駆動することにより係止部と前記ラチェ
ット歯車との噛み合いが制御されるようにされているこ
とを特徴とするもの(請求項3)である。
【0054】本手段においては、モータが巻き取り方向
に回転すると、そのトルクにより制御レバーが回動し、
それにより係止部と前記ラチェット歯車とを噛み合わせ
て、モータとスプール間の動力の伝達を可能にする。モ
ータが回転していない場合には、制御レバーは初期位置
にあり、係止部と前記ラチェット歯車とを噛み合わせな
いので、モータとスプールは動力的に切り離され、スプ
ールは自由に回転可能となる。よって、簡単な構成によ
り、モータとスプール間の動力の伝達のオン・オフが可
能となる。
【0055】前記課題を解決するための第4の手段は、
前記第2の手段又は前記第3の手段であって、前記モー
タの回転を減速して前記スプールに伝達する減速機構を
備えており、この減速機構は、モータの回転が伝達され
るサンギアと、回転可能に設けられ、外周にラチェット
歯を有しかつ内周に内歯を有するリング状のインターナ
ルギアと、これらのサンギアとインターナルギアとに噛
合するプラネタリギアと、このプラネタリギアを自転可
能に支持するとともにその公転を前記スプールに伝達す
るキャリヤとを有し、また、前記動力伝達切替機構は、
更に、前記ラチェット歯に係合しない非係合位置と前記
ラチェット歯に係合可能な係合位置との間で回動可能な
係止レバーを備えており、前記制御レバーが回動しない
通常時は前記係止レバーを非係合位置に設定して前記イ
ンターナルギアの回転を自由にし、前記制御レバーが回
動したときは前記係止レバーを係合位置に設定して、前
記ラチェット歯に前記係止レバーが係合することで前記
インターナルギアの回転を禁止するようになっており、
前記インターナルギアの回転が禁止されたときは、前記
動力伝達切替機構が結合状態に設定され、前記インター
ナルギアの回転が自由であるときは、前記動力伝達切替
機構が非結合状態に設定されるようになっていることを
特徴とするもの(請求項4)である。
【0056】本手段においては、係止レバーがラチェッ
ト歯に係合していないときは、インターナルギアは無負
荷に近い状態で回転可能となっている。この状態でモー
タが回転すると、それによりサンギアが回転される。す
ると、インターナルギアが無負荷に近い状態で回転可能
であり、一方、プラネタリギアの公転はスプールの負荷
を受けているので、各プラネタリギアは公転せず自転し
て、インターナルギアを回転させる。よって、モータの
動力はスプールには伝達されない。
【0057】この状態でスプールが回転すると、プラネ
タリギアは公転するが、サンギアにはモータの負荷がか
かっているのに対し、インターナルギアは無負荷である
ので、サンギアを回転させず、インターナルギアを回転
させながら公転する。よって、スプールとモータの動力
伝達は切られているので、シートベルトの引き出し、巻
き取りは、モータの負荷をうけることなく自由に行われ
る。
【0058】係止レバーがラチェット歯に係合すると、
インターナルギアの回転が阻止される。この状態でモー
タが回転すると、それにより減速ギアとサンギアが回転
される。すると、インターナルギアが回転できないの
で、プラネタリギアはサンギアによって自転させられる
と共に、インターナルギアによって公転力を受け公転す
る。よって、インターナルギアに結合されているスプー
ルが駆動力を受けて回転する。このときは、スプールが
回転した場合も、インターナルギアの公転によってサン
ギアが回転力を受け、モータが回転力を受ける。すなわ
ち、モータとスプールの間の動力伝達経路が結合されて
いることになる。
【0059】前記課題を解決するための第5の手段は、
前記第2の手段又は前記第3の手段であって、前記モー
タの回転を減速して前記スプールに伝達する減速機構を
備えており、この減速機構は、その回転をスプールに伝
達するサンギアと、回転可能に設けられ、外周にラチェ
ット歯を有しかつ内周に内歯を有するリング状のインタ
ーナルギアと、これらのサンギアとインターナルギアと
に噛合するプラネタリギアと、このプラネタリギアを自
転可能に支持するとともに前記モータの回転により前記
プラネタリギアを公転させるキャリヤとを有し、また、
前記動力伝達切替機構は、更に、前記ラチェット歯に係
合しない非係合位置と前記ラチェット歯に係合可能な係
合位置との間で回転可能な係止レバーを備えており、前
記制御レバーが回動しない通常時は前記係止レバーを非
係合位置に設定して前記インターナルギアの回転を自由
にし、前記制御レバーが回動したときは前記係止レバー
を係合位置に設定して、前記ラチェット歯に前記係止レ
バーが係合することで前記インターナルギアの回転を禁
止するようになっており、前記インターナルギアの回転
が自由であるときは、前記動力伝達切替機構が非結合状
態に設定され、前記インターナルギアの回転が禁止され
たときは、前記動力伝達切替機構が結合状態に設定され
るようになっていることを特徴とするもの(請求項5)
である。
【0060】本手段においては、サンギアがスプール側
に結合され、プラネタリギア側がモータ側に結合されて
いる点が前記第4の手段と異なるだけであり、その作動
は前記第4の手段と同じである。よって、前記第4の手
段と同じ作用効果を奏する。
【0061】前記課題を解決するための第6の手段は、
前記第2の手段から第5の手段のいずれかであって、火
薬プリテンショナが作動したときに火薬の力を直接又は
間接的に受けて回転し、その回転力をスプールに伝える
回転体の動きを直接的又は間接的に利用することによ
り、前記係止部の、前記ラチェット歯車との係合を解除
するものであることを特徴とするもの(請求項6)であ
る。
【0062】通常の火薬プリテンショナには、その作動
時に、火薬の力を直接又は間接的に受けて回転し、その
回転力をスプールに伝える回転体が存在する。本手段に
おいては、この回転体の動きを直接的又は間接的に利用
することにより、前記係止部の、前記ラチェット歯車と
の係合を解除するようにしているので、構成が簡単にな
る。
【0063】前記課題を解決するための第7の手段は、
前記第6の手段であって、火薬プリテンショナは、火薬
の力をパイプ中に入れられたボールに伝達し、ボールの
力を歯車の外歯に伝えることより歯車を回転させてその
回転力をスプールに伝えるものであり、定常状態におい
ては当該歯車の外歯によってその形状を決められ、前記
歯車が回転するとスプリング力により異なった形状とな
る第1の弾性体と、定常状態においては第1の弾性体に
よってその形状を決められ、第1の弾性体が前記異なっ
た形状となったとき、スプリング力により異なった形状
となる第2の弾性体を有し、第2の弾性体が異なった形
状となるときの付勢力により、前記係止部の、前記ラチ
ェット歯車との係合を解除するものであることを特徴と
するもの(請求項7)である。
【0064】本手段の作用については、後に実施の形態
を例として詳細に説明する。
【0065】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の例
を、図を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態
の1例であるシートベルト巻取装置の本発明に関する要
部を示す分解斜視図である。以下の図においては、前出
の図に示された構成要素と同じ構成要素には原則的に同
じ符号を付している。しかし、部品の設置位置や構成、
形状が図4と少し変わっており、かつ、図10と同じよ
うに火薬プリテンショナが設けられ、プリテンショナカ
バー61とパイプ63が図示されている。この火薬プリ
テンショナは、図10で説明したものと同じである。
【0066】以下、図1に示される実施の形態につい
て、図4と異なる点を中心に説明する。モータ5の出力
は、モータギア10から、2つの中間原則ギア12c、
12dを介してコネクトギア11に伝えられる。コネク
トギア11の、図で裏側になっていて図示されない軸部
にはレバースプリング22が巻き付けてあり、コネクト
ギア11と共に回転するようになっている。しかしなが
ら、レバースプリング22の回転を阻止するような一定
以上の力が働くと、その力が、レバースプリング22が
コネクトギア11に巻き付いているバネ力に打ち勝ち、
レバースプリング22はその位置で停止し、コネクトギ
ア11との間で相対回転が可能とされるようになってい
る。
【0067】図4の係止レバー21に相当するクラッチ
パウル21は、クラッチパウルピン25により、第2リ
テーナ9に固定されているが、クラッチパウル21と第
2リテーナ9の間にはスプリング26が配置され、クラ
ッチパウル21が、インターナルギア18のラチェット
歯車18aから離れるように、クラッチパウル21を付
勢している。
【0068】モータがシートベルト巻き取り方向に回転
すると、レバースプリング22がコネクトギア11と共
に図の反時計方向に回転し、後に詳しく説明するよう
に、それにより、クラッチパウル21を図の時計方向に
回転させる。すると、クラッチパウル21がインターナ
ルギア18のラチェット歯車18aに係合し、インター
ナルギア18の回転を止める。
【0069】このようにすると、モータの回転力が、ス
プール4に伝達されるようになるメカニズムは図4〜図
9において説明したものと同じである。ただし、図1に
示す実施の形態においては、リテーナベアリング23と
キャリアベアリング24が設けられているが、これは本
発明と直接の関係はない。また、図4〜図9において
は、キャリアギア14には、その外周にラチェット歯が
設けられているが、本実施の形態の図1においては、設
けられておらず、単なるキャリア14となっているが、
これは本発明と直接の関係はない。
【0070】このように、図1に示す実施の形態では、
インターナルギア11を停止させる機構が図4と異なっ
ているので、図2により、さらに詳しく説明する。図2
において、クラッチパウル21は第2リテーナ9に、ク
ラッチパウルピン25により固定されており、クラッチ
パウルピン25の周りに回動可能とされている。クラッ
チパウルピン21は穴22dを有しており、この穴の中
にレバースプリング22の折れ曲がった先端部22bが
嵌り込んでいる。そして、クラッチパウル21は、一部
が見えているスプリング26により、図の時計回りに付
勢されており、通常は、インターナルギア18のラチェ
ット歯18aから離れている。
【0071】モータ5がシートベルト巻き取り方向に回
転すると、インターナルギア11は時計方向に回転し、
これに伴い、レバースプリング22が時計方向に回動す
る。すると、レバースプリング22の先端部22bが穴
21dの縁に当たり、スプリング26の付勢力に逆らっ
て、クラッチパウル21を反時計回りに回動させる。す
ると、クラッチパウルピン21の先端部がインターナル
ギア18のラチェット歯18aに係合し、インターナル
ギア18の回転を止める。
【0072】モータ5がシートベルト引き出し方向に回
転すると、インターナルギア11は反時計方向に回転
し、これに伴い、レバースプリング22が反時計方向に
回動する。すると、レバースプリング22の先端部22
aが穴21dの縁に当たり、スプリング26の付勢力と
協働して、クラッチパウル21を時計回りに回動させ
る。すると、クラッチパウルピン21の先端部がインタ
ーナルギア18のラチェット歯18aから離れて、イン
ターナルギア18の回転が自由となる。
【0073】また、本実施の形態においては、火薬プリ
テンショナが作動したとき、クラッチパウル21をイン
ターナルギア18のラチェット歯18aから引き離すた
めの機構として、ストッパ28とリリーススプリング2
9が図1の第2リテーナ9とプリテンショナカバー61
の間に設けられている。
【0074】以下、火薬プリテンショナが作動したとき
の動きを、図1〜図3を参照しながら説明する。図3
は、火薬プリテンショナの作動に伴って作用する主要部
の部品の構成を示したもので、説明に関係のない部品の
図示を省略している。また、図3は、図1における第2
リテーナ9とプリテンショナカバー61の間にある部品
を中心に示したもので、これらを実線で、図1において
プリテンショナカバー61の奥(右側)にある部品を破
線で、第2リテーナ9より手前(左側)にある部品を2
点鎖線で示している。
【0075】図3において、バネ体であるストッパ28
が凸部32に巻き付けられてプリテンショナカバー61
に固定されており、その先端部28aは図1に示すよう
に折れ曲がり、プリテンショナカバー61に設けられた
弧状の長穴61aを貫通して、リングギア70(図10
に示すものと同じもの)の外歯71aの片面に当接して
いる。この状態でストッパ28はその付勢力に対して押
し縮められたようになっており、リングギア70の外歯
71aが、ストッパ28が広がるのを妨げている。
【0076】このストッパ28の先端部28aに、リリ
ーススプリング29の先端部が支えられている。リリー
スプリング29は、板バネ部材で構成されており、プリ
テンショナカバー61の凸部30、31に挟み込まれて
固定されている。すなわち、ストッパ71の折れ曲がっ
た先端部28aの先端部は、前述のようにリングギア7
0の外歯71aに当接しており、ストッパ28の先端部
28aの根本部には、リリースプリング29が乗り上げ
るような形となっている。リリーススプリング29は、
図3で時計回りに付勢されているが、ストッパ71の先
端部28aのために、付勢力に抗して弾性的に曲げられ
た状態で固定されている。
【0077】図10において説明したように、火薬プリ
テンショナが作動すると、リングギア70がフリーとな
り、ピニオン72と係合する。そして、その状態でボー
ル67に押されてリングギア70が回転し、ピニオン7
2を介してスプール42を回転させる。
【0078】このとき、リングギア70は、図3におい
て反時計回りに回転する。すると、ストッパ28の先端
部28aを固定していた外歯70aが移動し、ストッパ
28の先端部がフリーとなる。するとストッパ28は、
その付勢力により開き、先端部28aが長穴61aの他
端にくるまで移動し、図の28’のようになる。先端部
は28a’の位置まで移動する(28’、28a’のよ
うに、最初の位置から動くものは、第2リテーナ9とプ
リテンショナカバー61の間にある部品であっても、動
いた後の位置を2点鎖線で記述する)。
【0079】すると、リリーススプリング29は、スト
ッパ28の拘束を受けなくなり、その付勢力により、図
3の時計回りに回動する。図1に示されるように、クラ
ッチパウル21は、ピン部21cを有し、このピン部2
1cは、第2リテーナ9に設けられた穴9aを貫通し
て、リリーススプリング29の位置まで達している。
【0080】リリースプリング29が図3の時計回りに
回動すると、リリーススプリング29がこのピン部21
cに当接し、ピン部21cを押し下げる。この力は、レ
バースプリング22の力より大きくされている。よっ
て、クラッチパウル21は、クラッチパウルピン25の
周りに、図3で時計回りに回動し、図3の21’の位置
となって、クラッチパウルピン21の先端部がインター
ナルギア18のラチェット歯18aから離れて、インタ
ーナルギア18の回転が自由となる。そのとき、リリー
ススプリングは29’で示される位置、クラッチパウル
のピン部は21c’で示される位置となる。
【0081】インターナルギア18の回転が自由となれ
ば、モータ5とスプール4間の機械的な結合が切り離さ
れるのは、前述の通りであるので、モータの負荷が「フ
ォースリミッタ機構」に影響を及ぼすことはない。
【0082】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
メカニズムにより、火薬式プリテンショナが作動した場
合に、「フォースリミッタ機構」の性能を安定して発揮
させることができるシートベルト巻取装置を提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例であるシートベルト
巻取装置の本発明に関する要部を示す分解斜視図であ
る。
【図2】図1における、インターナルギアを停止させる
機構を詳細に示す図である。
【図3】火薬プリテンショナの作動に伴って作用する主
要部の部品の構成を示す図である。
【図4】第1先願発明の実施の形態の1例であるシート
ベルト巻取装置の概要を示す分解斜視図である。
【図5】図4に示す実施の形態における動力伝達経路切
替機構の要部を示す概要図である。
【図6】図4に示す実施の形態における動力伝達経路切
替機構の要部を示す概要図である。
【図7】図4に示す実施の形態における動力伝達経路切
替機構の作動を説明する図である。
【図8】図4に示す実施の形態における動力伝達経路切
替機構の作動を説明する図である。
【図9】図4に示す実施の形態における動力伝達経路切
替機構の作動を説明する図である。
【図10】従来のシートベルト巻取装置の概要を示す図
である。
【符号の説明】
1…シートベルト巻取装置、2…フレーム、4…スプー
ル、4a…スプール軸、4b…スプライン軸、5…トー
ションバー、6…リテーナ、7…ゼンマイユニット、8
…モータ、9…第2リテーナ、9a…長穴、9b…長
穴、9c…案内部、10…モータギア、11…コネクト
ギア、11a…歯、11b…歯、11c…軸方向孔、1
2…中間減速ギア、12a…歯、12b…歯、12c…
中間減速ギア、12d…中間原則ギア、13…減速ギ
ア、13a…大径歯部、13b…サンギア、14…キャ
リア(キャリアギア)、14c…中心穴、14d…ネジ
穴、15…リダクションピン、16…プラネタリギア、
17…リダクションプレート、18…インターナルギ
ア、18a…ラチェット歯、18b…内歯、21…係止
レバー(クラッチパウル)、21a…係止爪、21b…
凹部、22…レバースプリング、22a…湾曲部、22
b…先端部、25…クラッチパウルピン、26…スプリ
ング、27…カバー、28…ストッパ、28a…先端
部、29…リリーススプリング、30…凸部、31…凸
部、32…凸部、61…プリテンショナカバー、61a
…長穴、63…パイプ、70…リングギア

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モータによりシートベルトを巻き取る機
    構を有するシートベルト巻取装置であり、前記モータと
    シートベルトが巻回されたスプールと、結合時には前記
    スプールをシートベルト巻き取り方向にのみ回転させ、
    非結合時には前記スプールのいずれの方向への回転をも
    許容する動力伝達切替機構とを有してなり、かつ、シー
    トベルトを急激に引き出すような力が働いたとき、シー
    トベルトが巻き付けられているスプールのシートベルト
    引き出し方向への回転をトーションバーによる捩れ力に
    抗して行わせるフォースリミッタ機構と、衝突が検知さ
    れたときシートベルトを強制的に巻き取る火薬式プリテ
    ンショナを有するものであって、前記火薬式プリテンシ
    ョナが作動したときに移動する火薬式プリテンショナの
    機構部の動きにより、前記動力伝達切替機構が非結合状
    態とされ、前記モータと前記スプールの機械的な結合が
    外れるようにされていることを特徴とするシートベルト
    巻取装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のシートベルト巻取装置
    であって、前記動力伝達切替機構はラチェット歯車を有
    し、前記モータのシートベルト巻き取り方向への回転力
    により駆動される係止部と前記ラチェット歯車との噛み
    合いの有無により、結合状態と非結合状態が切り替わる
    ものであり、前記係止部は、火薬式プリテンショナが作
    動したときに移動する火薬式プリテンショナの機構部の
    動きにより、前記ラチェット歯車との係合を解除される
    ようにされていることを特徴とするシートベルト巻取装
    置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のシートベルト巻取装置
    であって、前記モータの回転トルクで前記回動可能な制
    御レバーを備えており、当該制御レバーが前記係止部を
    駆動することにより係止部と前記ラチェット歯車との噛
    み合いが制御されるようにされていることを特徴とする
    シートベルト巻取装置。
  4. 【請求項4】 請求項2又は請求項3に記載のシートベ
    ルト巻取装置であって、前記モータの回転を減速して前
    記スプールに伝達する減速機構を備えており、この減速
    機構は、モータの回転が伝達されるサンギアと、回転可
    能に設けられ、外周にラチェット歯を有しかつ内周に内
    歯を有するリング状のインターナルギアと、これらのサ
    ンギアとインターナルギアとに噛合するプラネタリギア
    と、このプラネタリギアを自転可能に支持するとともに
    その公転を前記スプールに伝達するキャリヤとを有し、
    また、前記動力伝達切替機構は、更に、前記ラチェット
    歯に係合しない非係合位置と前記ラチェット歯に係合可
    能な係合位置との間で回動可能な係止レバーを備えてお
    り、前記制御レバーが回動しない通常時は前記係止レバ
    ーを非係合位置に設定して前記インターナルギアの回転
    を自由にし、前記制御レバーが回動したときは前記係止
    レバーを係合位置に設定して、前記ラチェット歯に前記
    係止レバーが係合することで前記インターナルギアの回
    転を禁止するようになっており、前記インターナルギア
    の回転が禁止されたときは、前記動力伝達切替機構が結
    合状態に設定され、前記インターナルギアの回転が自由
    であるときは、前記動力伝達切替機構が非結合状態に設
    定されるようになっていることを特徴とするシートベル
    ト巻取装置。
  5. 【請求項5】 請求項2又は請求項3に記載のシートベ
    ルト巻取装置であって、前記モータの回転を減速して前
    記スプールに伝達する減速機構を備えており、この減速
    機構は、その回転をスプールに伝達するサンギアと、回
    転可能に設けられ、外周にラチェット歯を有しかつ内周
    に内歯を有するリング状のインターナルギアと、これら
    のサンギアとインターナルギアとに噛合するプラネタリ
    ギアと、このプラネタリギアを自転可能に支持するとと
    もに前記モータの回転により前記プラネタリギアを公転
    させるキャリヤとを有し、また、前記動力伝達切替機構
    は、更に、前記ラチェット歯に係合しない非係合位置と
    前記ラチェット歯に係合可能な係合位置との間で回転可
    能な係止レバーを備えており、前記制御レバーが回動し
    ない通常時は前記係止レバーを非係合位置に設定して前
    記インターナルギアの回転を自由にし、前記制御レバー
    が回動したときは前記係止レバーを係合位置に設定し
    て、前記ラチェット歯に前記係止レバーが係合すること
    で前記インターナルギアの回転を禁止するようになって
    おり、前記インターナルギアの回転が自由であるとき
    は、前記動力伝達切替機構が非結合状態に設定され、前
    記インターナルギアの回転が禁止されたときは、前記動
    力伝達切替機構が結合状態に設定されるようになってい
    ることを特徴とするシートベルト巻取装置。
  6. 【請求項6】 請求項2から請求項5のうちいずれか1
    項に記載のシートベルト巻取装置であって、火薬プリテ
    ンショナが作動したときに火薬の力を直接又は間接的に
    受けて回転し、その回転力をスプールに伝える回転体の
    動きを直接的又は間接的に利用することにより、前記係
    止部の、前記ラチェット歯車との係合を解除するもので
    あることを特徴とするシートベルト巻取装置。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載のシートベルト巻取装置
    であって、火薬プリテンショナは、火薬の力をパイプ中
    に入れられたボールに伝達し、ボールの力を歯車の外歯
    に伝えることより歯車を回転させてその回転力をスプー
    ルに伝えるものであり、定常状態においては当該歯車の
    外歯によってその形状を決められ、前記歯車が回転する
    とスプリング力により異なった形状となる第1の弾性体
    と、定常状態においては第1の弾性体によってその形状
    を決められ、第1の弾性体が前記異なった形状となった
    とき、スプリング力により異なった形状となる第2の弾
    性体を有し、第2の弾性体が異なった形状となるときの
    付勢力により、前記係止部の、前記ラチェット歯車との
    係合を解除するものであることを特徴とするシートベル
    ト巻取装置。
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