JP4854662B2 - シートベルト装置 - Google Patents

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Description

本発明は、シートベルト装置に関し、特に、モータを用いる電動アクチュエータと火薬式アクチュエータ(プリテンショナー)とを備えたシートベルト装置に関する。
従来、この種のシートベルト装置では、衝突の可能性がある場合、衝突前に電動アクチュエータによりシートベルト(ウェビング)を巻き取り、衝突の可能性がなくなると衝突前の状態に戻し、衝突時の巻き取りはプリテンショナーで行っていた(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−191819号
このようにスピンドルを回転する動力を発生する電動アクチュエータと、スピンドルを回転する他の動力を発生するプリテンショナーとを備えるシートベルト装置では、プリテンショナーが作動した時には、シートベルトを巻き取るスピンドルと電動アクチュエータとの接続を切断することが望まれる。
従って、本発明の主な目的は、シートベルトを巻き取るスピンドル等のシートベルト巻き取り部材と、シートベルト巻回部材に結合されるとシートベルト巻回部材を回転させる電動アクチュエータ等の第1の回転源と、第1の回転源よりも大きい速度でシートベルト巻き取り部材を回転させるプリテンショナー等の第2の回転源とを備えるシートベルト装置であって、プリテンショナー等の第2の回転源が作動した時には、スピンドル等のシートベルト巻き取り部材とモータ等の第1の回転源との接続を切断することができるシートベルト装置を提供することにある。
本発明によれば、
シートベルトを巻き取るスピンドルと、
該スピンドルを回転する動力を発生する電動アクチュエータと、
前記スピンドルを回転する他の動力を発生する電動アクチュエータと、
前記電動アクチュエータからの動力を前記スピンドルに伝達可能な動力伝達機構と、を備え、
前記動力伝達機構は、前記スピンドルと共に回転する第1の係合部材と、前記電動アクチュエータが巻取り側に回転すると前記第1の係合部材と係合する第2の係合部材とを有し、前記プリテンショナーが作動する前は、前記電動アクチュエータと前記スピンドルとの間の結合、非結合を可逆的に切り換え可能であり、前記プリテンショナーが作動した時には、前記第1の係合部材が前記第2の係合部材を弾き、前記電動アクチュエータと前記スピンドルとの間を不可逆的に非結合にすることを特徴とするシートベルト装置が提供される。
また、本発明によれば、
シートベルトを巻き取るスピンドルと、
該スピンドルを回転する動力を発生する電動アクチュエータと、
前記スピンドルを回転する他の動力を発生するプリテンショナーと、
前記電動アクチュエータからの動力を前記スピンドルに伝達可能な動力伝達機構と、を備え、
前記動力伝達機構は、前記スピンドルと共に回転する第1の係合部材と、前記電動アクチュエータが巻取り側に回転すると前記第1の係合部材と係合する第2の係合部材とを有し、前記プリテンショナーが作動した時には、前記プリテンショナーによる前記スピンドルの回転を利用して前記第1の係合部材が前記第2の係合部材を弾き、前記電動アクチュエータと前記スピンドルとの間を非結合にすることを特徴とするシートベルト装置が提供される。
また、本発明によれば、
シートベルトを巻き取るシートベルト巻き取り部材と、
シートベルト巻き取り部材に結合されると前記シートベルト巻き取り部材を回転させる第1の回転源と、
前記第1の回転源よりも大きい速度で前記シートベルト巻き取り部材を回転させる第2の回転源と、
動力伝達機構と、を備え、
前記動力伝達機構は、前記スピンドルと共に回転する第1の係合部材と、前記第1の回転源が巻取り側に回転すると前記第1の係合部材と係合する第2の係合部材とを有し、前記第2の回転源が作動する前は、前記第1の回転源とシートベルト巻き取り部材との間の結合、非結合を可逆的に切り換え可能であり、
前記第2の回転源が作動した時には、前記第1の係合部材が前記第2の係合部材を弾き、前記第1の回転源と前記シートベルト巻き取り部材との間を不可逆的に非結合にすることを特徴とするシートベルト装置が提供される。
さらに、本発明によれば、
シートベルトを巻き取るスピンドルと、
該スピンドルを回転する動力を発生する電動アクチュエータと、
前記スピンドルを回転する他の動力を発生するプリテンショナーと、
前記電動アクチュエータからの動力を前記スピンドルに伝達可能な動力伝達機構と、を備え、
前記動力伝達機構は、前記スピンドルと共に回転する第1の係合部材と、前記電動アクチュエータが巻取り側に回転すると前記第1の係合部材と係合する第2の係合部材とを有し、前記プリテンショナーが作動する前は、前記電動アクチュエータと前記スピンドルとの間の結合、非結合を可逆的に切り換え可能であり、前記プリテンショナーが作動した時には、前記第1の係合部材が前記第2の係合部材を弾き、前記電動アクチュエータと前記スピンドルとの間を不可逆的に非結合にし、且つ、
前記動力伝達機構は、電動アクチュエータからの動力が伝達されるアクチュエータ側ギアと、スピンドル側に設けられるスピンドル側ギアと、前記アクチュエータ側ギアとスピンドル側ギアの一方のギアに取り付けられ、他方のギアと係合可能な弾性片とを有し、前記アクチュエータ側ギアと前記スピンドル側ギアとの間に所定値より大きなトルク差が生じた場合に、該トルク差が前記所定値以下となるように、前記弾性片は前記他方のギアとの係合を解除して前記他方のギアに対して相対移動するトルクリミッタ機構を備えることを特徴とするシートベルト装置が提供される。
本発明によれば、シートベルトを巻き取るスピンドル等のシートベルト巻き取り部材と、シートベルト巻き取り部材に結合されるシートベルト巻回部材を回転させるモータ等の第1の回転源と、第1の回転源よりも大きい速度でシートベルト巻き取り部材を回転させるプリテンショナー等の第2の回転源とを備えるシートベルト装置であって、プリテンショナー等の第2の回転源が作動した時には、スピンドル等のシートベルト巻き取り部材とモータ等の第1の回転源との接続を切断することができるシートベルト装置が提供される。
本発明の第1実施形態のシートベルト装置を説明するための概略縦断面図である。 図1のAA線矢視部分切り欠き図である。 図1のBB線縦断面図であり、モータからの動力を伝達するクラッチの作動を説明するための図である。 図1のBB線縦断面図であり、モータからの動力を伝達するクラッチの作動を説明するための図である。 図1のBB線縦断面図であり、モータからの動力を伝達するクラッチの作動を説明するための図である。 図1のBB線縦断面図であり、モータからの動力を伝達するクラッチの作動を説明するための図である。 図1のBB線縦断面図であり、モータからの動力を伝達するクラッチの作動を説明するための図である。 本発明の第1実施形態のシートベルト装置のモータからの動力を伝達するクラッチの分解概略斜視図である。 図1のBB線縦断面図に対応する、本発明の第2実施形態のシートベルト装置の、非作動状態のクラッチを説明するための図である。 図1のBB線縦断面図に対応する、本発明の第2実施形態のシートベルト装置の、モータによる巻き取り作動時のクラッチを説明するための図である。 図1のBB線縦断面図に対応する、本発明の第2実施形態のシートベルト装置の、モータによる巻き取り作動時のクラッチを説明するための図である。 図1のBB線縦断面図に対応する、本発明の第2実施形態のシートベルト装置の、モータによる巻き取り作動時のクラッチを説明するための図である。 図1のBB線縦断面図に対応する、本発明の第2実施形態のシートベルト装置の、モータによる巻き取り解除時のクラッチを説明するための図である。 図1のBB線縦断面図に対応する、本発明の第2実施形態のシートベルト装置の、モータによる巻き取り解除時のクラッチを説明するための図である。 図1のBB線縦断面図に対応する、本発明の第2実施形態のシートベルト装置の、モータによる巻き取り解除時のクラッチを説明するための図である。 図1のBB線縦断面図に対応する、本発明の第2実施形態のシートベルト装置の、プリテンショナー作動時のクラッチを説明するための図である。 図1のBB線縦断面図に対応する、本発明の第2実施形態のシートベルト装置の、プリテンショナー作動時のクラッチを説明するための図である。 図1のBB線縦断面図に対応する、本発明の第2実施形態のシートベルト装置の、プリテンショナー作動時のクラッチを説明するための図である。 本発明の第3実施形態のシートベルト装置のギアアッセンブリを説明するための図である。 図13のトルクリミッタ機構を有するギアを説明するための図である。 トルクリミッタ機構を有するギアのトルクリミッタ動作を説明するための図である。
符号の説明
1………シートベルト装置
11……スピンドル
12……トーションバー(エネルギー吸収機構)
13……シートベルト(ウェビング)
14……プリテンショナー
15……ピニオン
16……ボール
17……チューブ
18……ガス発生装置
20、20a…クラッチ
21……下側カバー
22……凹部
22a…孔
23……ブッシュ
24……ジョイント
25……フリクションスプリング
26……端部
27……ラッチプレート(ラチェットホイール、第1の係合部材)
28……クラッチホイール(摩擦ホイール)
29……上側カバー
30……ガイドリング
31……ブッシュ
32……ポール(第2の係合部材)
34、34a…ロータカム(カム部材、規制部材)
35……カム面
36……軸
37……固定ピン
38……軸
41、41a…穴
42、42a…足部
39……リターンスプリング
50……ギアアセンブリ
51……ファイナルギア(回転部材)
55……モータ
60……ホールドスプリング
71……第1ギア
72……第2ギア
73……第3ギア
74……第4ギア
80……大径側ギア(アクチュエータ側ギア)
80d…係止面
81……リミットスプリング(弾性片)
81a…突部
82……小径側ギア(スピンドル側ギア)
次に、本発明の各実施形態のシートベルト装置を図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態のシートベルト装置を説明するための概略縦断面図であり、図2は、図1のAA線矢視部分切り欠き図であり、図3〜7は、図1のBB線縦断面図であり、モータからの動力を伝達するクラッチの作動を説明するための図であり、図8は、本発明の第1実施形態のシートベルト装置のモータからの動力を伝達するクラッチの分解概略斜視図である。
本実施形態のシートベルト装置1は、シートベルト(ウェビング)13を巻き取るスピンドル11と、スピンドル11に接続された火薬式アクチュエータ(プリテンショナー)14と、電動アクチュエータとしてのモータ55と、モータ55からの動力をスピンドル11に伝達する動力伝達機構としてのクラッチ20とを備えている。スピンドル11内には、エネルギー吸収機構としてのトーションバー12がスピンドル11に接続されて設けられている。
プリテンショナー14は、スピンドル11に接続されたピニオン15と、ボール16を収容するチューブ17と、チューブ17の一端に設けられたガス発生装置18とを備えている。火薬は発火するとガス発生装置18によってガスが発生し、チューブ17内にあるボール16を強く押し出す。押し出されたボール16は、ピニオン15の溝に沿って移動し、スピンドル11を回転させる。
モータ55は、ギアアセンブリ50に接続され、モータ55の回転はギアアセンブリ50によって減速される。ギアアセンブリ50と後述するクラッチ20は、下側カバー21と上側カバー29とにより構成される容器内に収容されている。
クラッチ20は、スピンドル11に接続されるジョイント24と、ジョイント24と一本化されスピンドル11と共に回転するラッチプレート(ラチェットホイール)27と、ギアアセンブリ50のうちのファイナルギア51であって、モータ55の回転軸にギア結合しているファイナルギア51と、ファイナルギア51に軸38の周りに回転可能に取り付けられ、ラッチプレート(ラチェットホイール)27の歯と係合可能なポール32と、ポール32をラッチプレート27から解除方向に付勢する付勢部材であるリターンスプリング39と、ファイナルギア51の内側にファイナルギア51と一体となって設けられたガイドリング30と、ガイドリング30の3つの穴41に対して必要な角度を相対回転可能にそれぞれ勘合する3つの足部42を備えるクラッチホイール28と、クラッチホイール28に軸36の周りに回転可能に取り付けられると共に固定ピン37によってクラッチホイール28に固定されて取り付けられ、固定ピン37によってクラッチホイール28に固定された状態では回転が禁止され、固定ピン37の破断により回転可能となるロータカム34と、端部26が下側カバー21の凹部22に嵌入して下側カバー21に取り付けられ、クラッチホイール28と摩擦摺動により接続されたフリクションスプリング25と、ブッシュ23、31とを備えている。ロータカム34のカム面35に沿ってポール32の一端が移動する。
なお、クラッチホイール28には、円周方向に亘る所定の位置にリブ28aが形成されており、このリブ28aの一端部は、モータ55による巻取りが行われていない非作動時において、ポール32の近傍に位置する。そして、モータ55の非作動時に、ポール32が車両の激しい振動等によって回動した場合に、リブ28aはポール32と当接し、ポール32がラッチプレート27と係合する方向へ不用意に回動することを防止している。
次に、本実施形態のシートベルト装置1の作動を説明する。
衝突の可能性がある場合、衝突前にモータ55によってシートベルト13を巻き取り、衝突の可能性がなくなると衝突前の状態に戻し、衝突発生時には、火薬式アクチュエータ(プリテンショナー)14により衝突前のモータ55による巻き取り速度よりも大きい速度でシートベルト13を巻き取り、シートベルト13に所定の張力以上が加わった時には、トーションバー12により張力を制限する。
次に、クラッチ20の作動を説明する。
まず、図3に示すように、モータ55による巻き取りが行われていない場合は、ラッチプレート27とポール32とは非係合である。スピンドル11と一体のラッチプレート27のみ回転し、シートベルト13の通常の巻き取り/引き出しが可能である。
図4に示すように、モータ55が巻き取り側に回転すると、モータ55の回転軸にギア結合しているファイナルギア51が半時計方向(C方向)に回転する。ファイナルギア51に回転可能に取り付けられているポール32が、リターンスプリング39の付勢力に逆らってロータカム34のカム面35に沿ってラッチプレート27側に回転しラッチプレート27と係合を開始する。
図5に示すように、ポール32がラッチプレート27と係合すると、ファイナルギア51の回転がラッチプレート27を介してスピンドル11に伝達され、シートベルト13の巻き込みを開始する。このとき、ロータカム34はクラッチホイール28と共に、フリクションスプリング25に対して摩擦摺動回転する。
図6に示すように、モータ55が解除側に回転すると回転に応じてファイナルギア51が解除方向(時計回り:D方向)に回転する。ポール32はファイナルギア51と共に回転するが、クラッチホイール28とそれに取り付けられているロータカム34はフリクションスプリング25により取り残される。ポール32は、リターンスプリング39の付勢力により、ロータカム34のカム面35に沿ってラッチプレートから離れ、ポール32はラッチプレートと非係合になる。
図7に示すように、プリテンショナー14が作動した時には、スピンドル11とそれと一体のラッチプレート27の高速巻き取り回転によって、ラッチプレート27の歯面によりポール32が外方向に弾き飛ばされる。同時にロータカム34がポール32に押されて、クラッチホイール28の軸36を中心に外方向に向かって回転する。この回転力によって、クラッチホイール28の固定ピン37がせん断される。その結果、ポール32およびロータカム34は、リターンスプリングの付勢力によって外周部に保持され、以後クラッチ20によっては、モータ55の動力はスピンドルに伝達されることはない。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るシートベルト装置について、図9〜図12(c)を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同等部分については、同一符号を付して説明を省略或は簡略化する。
本実施形態では、第1実施形態の固定ピン37の代わりに、弾性部材であるホールドスプリング60を設けて、ロータカム34aの保持が行われている。即ち、ロータカム34aは、軸36に対して、カム面35が設けられる側と反対側に延出する端部61を有している。また、クラッチホイール28には、ロータカム34aの反対側の端部61と当接可能にホールドスプリング60が組み付けられている。
これにより、本実施形態のロータカム34aは、クラッチホイール28に軸36の周りに回転可能に取り付けられると共に、ホールドスプリング60によって付勢された状態で回転しないようにクラッチホイール28に固定され、さらに、ホールドスプリング60による付勢が解除されることで回転可能となる。
次に、本実施形態のクラッチ20aの作動について説明する。
まず、モータ55による巻き取りが行われていない場合は、図9に示すように、ポール32はリターンスプリング39の付勢力によりラッチプレート27と非係合である。このため、スピンドル11と一体のラッチプレート27のみ回転し、シートベルト13の通常の巻き取り/引き出しが可能である。
次に、モータ55が巻き取り側に回転すると、図10(a)に示すように、モータ55の回転軸にギア結合しているファイナルギア51が反時計方向(C方向)に回転する。ファイナルギア51が回転すると、フリクションスプリング25が下側カバー21の穴22aの円周方向淵部まで空転する。
モータ55がさらに巻き取り側に回転すると、図10(b)に示すように、このフリクションスプリング25の摩擦力により、クラッチホイール28が固定され、ファイナルギア51のみ回転する。そして、ガイドリング30に軸支されたポール32が、リターンスプリング39の付勢力に逆らってロータカム34aのカム面35に沿ってラッチプレート27側に回転し、ラッチプレート27と係合を開始する。さらに、ファイナルギア51が回転すると、ガイドリング30の穴41aの円周方向淵部にクラッチホイール28の足部42aが当接し、ファイナルギア51とクラッチホイール28が共回りする。
そして、図10(c)に示すように、ポール32がラッチプレート27と係合すると、ファイナルギア51の回転がラッチプレート27を介してスピンドル11に伝達され、シートベルト13の巻込みを開始する。
また、図11(a)に示すように、モータ55が解除側に回転すると、回転に応じてファイナルギア51が解除方向(時計回り:D方向)に回転する。これと共に、ウェビングに作用している乗員からの反力によりウェビングが引き出され、クラッチホイール28とラッチプレート27はフリクションスプリング25が空転する分共回りする。その後、図11(b)に示すように、クラッチホイール28がフリクションスプリング25の付勢力により固定され、ファイナルギア51とラッチプレート27のみが解除方向に回転する。ラッチプレート27は、ファイナルギア51の回転に伴って回転している間は、ポール32と噛み合い状態を維持している。
そして、図11(c)に示すように、乗員からの反力がなくなり、スピンドル11と共にラッチプレート27の引き出し方向の回転が終了すると、ファイナルギア51が更に回転することで、ポール32とラッチプレート27の係合が外れて初期状態に戻る。
また、図12(a)に示すように、モータが巻取り側に回転している状態で、プリテンショナー14が作動した時には、スピンドル11とそれと一体のラッチプレート27の高速巻き取り回転によって、ラッチプレート27の歯面によりポール32が外方向に弾き飛ばされる。
そして、図12(b)に示すように、ポール32がロータカム34と当接して、ロータカム34を外方向に押すと、ロータカム34は、クラッチホイール28の軸36を中心に回転し、クラッチホイール28に組付けたホールドスプリング60からの押圧が解除される(図12(c)参照)。その後、ポール32とロータカム34は、リターンスプリング39の付勢力によりガイドリング30の外周部に保持され、これ以降クラッチ20によっては、モータ55の動力はスピンドル11に伝達されない。
従って、本実施形態のシートベルト装置においても、プリテンショナー14が作動した時点で、クラッチ20によってモータ55からの動力伝達が遮断され、ウェビングは、モータ55とクラッチ20の動力抵抗を受けることなく、プリテンショナー14による巻き取りが行われるので、プリテンショナー14による巻き取り性能を向上することができる。
さらに、トーションバー12によりエネルギー吸収動作が行われている際、ベルト引き出し荷重は、エネルギー吸収荷重にモータ55とクラッチ20の動力抵抗が上乗せされることがなく、拘束性能を向上することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係るシートベルト装置について、図13〜図15を参照して詳細に説明する。本実施形態は、ギアアッセンブリの構成において、第1実施形態のものと異なり、その他の第1実施形態と同等部分については、同一符号を付して説明を省略或は簡略化する。
本実施形態のギアアッセンブリ50aは、図13に示すように、第1〜第4ギア71,72,73,74を備え、第4のギア74の歯面がファイナルギア51と噛合している。第1ギア71は、モータ55のモータ軸に連結され、第2ギア72は、第1ギア71及び第3ギア73とそれぞれ噛合する2つの歯面72a,72bを有する。第3ギア73は、図14に示すように、有底円筒状の大径側ギア(アクチュエータ側ギア)80と、複数のリミットスプリング(弾性片)81と、筒状の小径側ギア(スピンドル側ギア)82とを備えたトルクリミット機構付きのギア組立体である。
小径側ギア82は、第4ギア74と噛合するギア部82aと、複数のリミットスプリング81が組みつけられるスリット82bが形成されるばね支持部82cとが軸方向に連結した形状を有する。また、大径側ギア80は、外周面に第2ギア72と噛合する歯部80aを有し、グリースが塗布された内壁80b及び底部80cにて、小径側ギア82のばね支持部82cとリミットスプリング81を収容している。
大径側ギア80の内壁80bは、所定の間隔で凹状の係止面80dが複数形成されており、リミットスプリング81に形成された突部81aがこれら係止面80dと係合する。なお、係止面80dは、突部81aの数の整数倍の数だけ形成されている。
次に、トルクリミッタ機構の作動について説明する。
通常状態では、図13(a)に示すように、第3ギア73の大径側ギア80と小径側ギア82は、リミットスプリング81によって相対的な位相が保持され、図中実線で示す巻き取り方向、或は点線で示す解除方向において、同一方向に回転している。ここで、モータ55の駆動による巻取り時に、プリテンショナー14が作動しないような軽衝突やブレーキングにより、大径側ギア80と小径側ギア82との間に所定値より大きなトルク差が生じた場合、図15に示すように、リミットスプリング81の突部81aは係止面80dとの係合が解除され、内壁80bに沿って弾性変形しながら滑り始める。そして、突部81aは、となりの係止面80dと係合することで、大径側ギア80と小径側ギア82との間で回転ずれを生じ、図13(b)に示すように、第4ギア74及びファイナルギア51はベルト引き出し方向に回転する。この結果、モータ55による過大なトルクの伝達が抑制され、ギア歯の破損が防止できると共に、エネルギー吸収動作時における拘束性能への影響を低減することができる。
また、トルクリミッタ機構は、ギアアッセンブリ50aの第3ギア73に組み込まれており、小型な構成であってもスピンドル11でのリミッタトルクを大きくすることができる。
なお、本実施形態のギアアッセンブリ50aは、第1、第2実施形態の動力伝達機構を備えたシートベルト装置に適用されることがより好ましいが、これに限定されるものでなく、公知のシートベルト装置に適用されてもよい。
また、本実施形態のリミットスプリング81は、小径側ギア82に取り付けられているが、大径側ギア80に取り付けて、小径側ギア82に設けられた係止面と係脱するようにしてもよい。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、適宜、変形、改良等が可能である。
また、本出願は、2005年5月19日出願の日本特許出願(特願2005−146173)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

Claims (12)

  1. シートベルトを巻き取るスピンドルと、
    該スピンドルを回転する動力を発生する電動アクチュエータと、
    前記スピンドルを回転する他の動力を発生するプリテンショナーと、
    前記電動アクチュエータからの動力を前記スピンドルに伝達可能な動力伝達機構と、を備え、
    前記動力伝達機構は、前記スピンドルと共に回転する第1の係合部材と、前記電動アクチュエータが巻取り側に回転すると前記第1の係合部材と係合する第2の係合部材とを有し、前記プリテンショナーが作動する前は、前記電動アクチュエータと前記スピンドルとの間の結合、非結合を可逆的に切り換え可能であり、前記プリテンショナーが作動した時には、前記第1の係合部材が前記第2の係合部材を弾き、前記電動アクチュエータと前記スピンドルとの間を不可逆的に非結合にすることを特徴とするシートベルト装置。
  2. シートベルトを巻き取るスピンドルと、
    該スピンドルを回転する動力を発生する電動アクチュエータと、
    前記スピンドルを回転する他の動力を発生するプリテンショナーと、
    前記電動アクチュエータからの動力を前記スピンドルに伝達可能な動力伝達機構と、を備え、
    前記動力伝達機構は、
    前記スピンドルと共に回転する第1の係合部材と、
    前記電動アクチュエータの回転に応じて移動する第2の係合部材と、
    前記電動アクチュエータの回転に応じて前記第2の係合部材が移動する際に、前記第2の係合部材の移動を規制して前記第2の係合部材が前記第1の係合部材に向けて移動して前記第2の係合部材を前記第1の係合部材に係合させる規制部材とを備え、
    前記プリテンショナーが作動する前は、前記電動アクチュエータと前記スピンドルとの間の結合、非結合を可逆的に切り換え可能であり、
    前記プリテンショナーが作動した時には、前記プリテンショナーによる前記第1の係合部材の回転を利用して前記第2の係合部材を前記第1の係合部材から遠ざかる方向に移動させ、前記第2の係合部材の移動により前記規制部材を前記規制部材が前記第2の係合部材の移動を規制できない位置に移動させ、前記電動アクチュエータと前記スピンドルとの間を不可逆的に非結合にすることを特徴とするシートベルト装置。
  3. シートベルトを巻き取るスピンドルと、
    該スピンドルを回転する動力を発生する電動アクチュエータと、
    前記スピンドルを回転する他の動力を発生するプリテンショナーと、
    前記電動アクチュエータからの動力を前記スピンドルに伝達可能な動力伝達機構と、を備え、
    前記動力伝達機構は、
    前記スピンドルと共に回転するラチェットホイールと、
    前記電動アクチュエータに結合する回転部材と、
    前記回転部材に回転可能に取り付けられ、前記ラチェットホイールと係合可能なポールと、
    前記回転部材に接して設けられた摩擦ホイールと、
    前記摩擦ホイールに固定部材によって取り付けられたカム部材であって、そのカム面に沿って前記ポールの一端が移動する前記カム部材とを備え、
    前記プリテンショナーが作動する前は、前記電動アクチュエータと前記スピンドルとの間の結合、非結合を可逆的に切り換え可能であり、
    前記プリテンショナーが作動した時には、前記プリテンショナーによる前記ラチェットホイールの回転により前記ポールを前記ラチェットホイールから遠ざかる方向に移動させ、前記ポールの移動により前記カム部材の前記固定部材を破断し、前記ポールが前記ラチェットホイールと係合できないようにし、前記電動アクチュエータと前記スピンドルとの間を不可逆的に非結合にすることを特徴とするシートベルト装置。
  4. 前記カム部材は回転可能に前記摩擦ホイールに取り付けられ、前記固定部材により前記摩擦ホイールに取り付けられた状態では前記カム部材の回転が禁止され、前記固定部材の破断により前記カム部材が回転可能となることを特徴とする請求項記載のシートベルト装置。
  5. 前記ポールを前記ラチェットホイールから解除方向に付勢する付勢部材をさらに備え、前記カム部材の前記固定部材が破断した後は、前記付勢部材の付勢力により、前記カム部材は前記ポールを介して前記ラチェットホイールから遠ざかる方向に付勢されることを特徴とする請求項または記載のシートベルト装置。
  6. シートベルトを巻き取るスピンドルと、
    該スピンドルを回転する動力を発生する電動アクチュエータと、
    前記スピンドルを回転する他の動力を発生するプリテンショナーと、
    前記電動アクチュエータからの動力を前記スピンドルに伝達可能な動力伝達機構と、を備え、
    前記動力伝達機構は、
    前記スピンドルと共に回転するラチェットホイールと、
    前記電動アクチュエータに結合する回転部材と、
    前記回転部材に回転可能に取り付けられ、前記ラチェットホイールと係合可能なポールと、
    前記回転部材に接して設けられた摩擦ホイールと、
    前記摩擦ホイールに弾性部材によって付勢された状態で取り付けられたカム部材であって、そのカム面に沿って前記ポールの一端が移動する前記カム部材とを備え、
    前記プリテンショナーが作動する前は、前記電動アクチュエータと前記スピンドルとの間の結合、非結合を可逆的に切り換え可能であり、
    前記プリテンショナーが作動した時には、前記プリテンショナーによる前記ラチェットホイールの回転により前記ポールを前記ラチェットホイールから遠ざかる方向に移動させ、前記ポールの移動により前記カム部材の前記弾性部材による付勢を解除し、前記ポールが前記ラチェットホイールと係合できないようにし、前記電動アクチュエータと前記スピンドルとの間を不可逆的に非結合にすることを特徴とするシートベルト装置。
  7. 前記カム部材は回転可能に前記摩擦ホイールに取り付けられ、前記弾性部材に付勢されて前記摩擦ホイールに取り付けられた状態では前記カム部材の回転が禁止され、前記弾性部材による付勢の解除により前記カム部材が回転可能となることを特徴とする請求項記載のシートベルト装置。
  8. 前記ポールを前記ラチェットホイールから解除方向に付勢する付勢部材をさらに備え、前記カム部材の前記弾性部材による付勢が解除された後は、前記付勢部材の付勢力により、前記カム部材は前記ポールを介して前記ラチェットホイールから遠ざかる方向に付勢されることを特徴とする請求項または記載のシートベルト装置。
  9. 前記摩擦ホイールは、前記電動アクチュエータの非作動時に、前記ポールが前記ラチェットホイールと係合するのを防止するように、前記ポールと当接可能なリブを有することを特徴とする請求項乃至のいずれかに記載のシートベルト装置。
  10. シートベルトを巻き取るスピンドルと、
    該スピンドルを回転する動力を発生する電動アクチュエータと、
    前記スピンドルを回転する他の動力を発生するプリテンショナーと、
    前記電動アクチュエータからの動力を前記スピンドルに伝達可能な動力伝達機構と、を備え、
    前記動力伝達機構は、前記スピンドルと共に回転する第1の係合部材と、前記電動アクチュエータが巻取り側に回転すると前記第1の係合部材と係合する第2の係合部材とを有し、前記プリテンショナーが作動した時には、前記プリテンショナーによる前記スピンドルの回転を利用して前記第1の係合部材が前記第2の係合部材を弾き、前記電動アクチュエータと前記スピンドルとの間を非結合にすることを特徴とするシートベルト装置。
  11. シートベルトを巻き取るシートベルト巻き取り部材と、
    シートベルト巻き取り部材に結合されると前記シートベルト巻き取り部材を回転させる第1の回転源と、
    前記第1の回転源よりも大きい速度で前記シートベルト巻き取り部材を回転させる第2の回転源と、
    動力伝達機構と、を備え、
    前記動力伝達機構は、前記スピンドルと共に回転する第1の係合部材と、前記第1の回転源が巻取り側に回転すると前記第1の係合部材と係合する第2の係合部材とを有し、前記第2の回転源が作動する前は、前記第1の回転源とシートベルト巻き取り部材との間の結合、非結合を可逆的に切り換え可能であり、
    前記第2の回転源が作動した時には、前記第1の係合部材が前記第2の係合部材を弾き、前記第1の回転源と前記シートベルト巻き取り部材との間を不可逆的に非結合にすることを特徴とするシートベルト装置。
  12. シートベルトを巻き取るスピンドルと、
    該スピンドルを回転する動力を発生する電動アクチュエータと、
    前記スピンドルを回転する他の動力を発生するプリテンショナーと、
    前記電動アクチュエータからの動力を前記スピンドルに伝達可能な動力伝達機構と、を備え、
    前記動力伝達機構は、前記スピンドルと共に回転する第1の係合部材と、前記電動アクチュエータが巻取り側に回転すると前記第1の係合部材と係合する第2の係合部材とを有し、前記プリテンショナーが作動する前は、前記電動アクチュエータと前記スピンドルとの間の結合、非結合を可逆的に切り換え可能であり、前記プリテンショナーが作動した時には、前記第1の係合部材が前記第2の係合部材を弾き、前記電動アクチュエータと前記スピンドルとの間を不可逆的に非結合にし、且つ、
    前記動力伝達機構は、電動アクチュエータからの動力が伝達されるアクチュエータ側ギアと、スピンドル側に設けられるスピンドル側ギアと、前記アクチュエータ側ギアとスピンドル側ギアの一方のギアに取り付けられ、他方のギアと係合可能な弾性片とを有し、前記アクチュエータ側ギアと前記スピンドル側ギアとの間に所定値より大きなトルク差が生じた場合に、該トルク差が前記所定値以下となるように、前記弾性片は前記他方のギアとの係合を解除して前記他方のギアに対して相対移動するトルクリミッタ機構を備えることを特徴とするシートベルト装置。
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