JP3924213B2 - ウエビング巻取装置及びクラッチ機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両等のシートベルト装置を構成するウエビング巻取装置及びモータ等の駆動力の伝達、遮断の切り替えに用いられるクラッチ機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の座席に着座した乗員の身体を長尺帯状のウエビングベルトで拘束するシートベルト装置は、座席の側方で車体に固定されたウエビング巻取装置を備えている。ウエビング巻取装置は、例えば、軸方向が略車両前後方向に沿ったスプール(巻取軸)を備えており、このスプールにウエビングベルトの長手方向基端側が係止されている。スプールはその外周部にウエビングベルトを層状に巻き取った状態で収容している。
【0003】
また、ウエビング巻取装置には、ウエビングベルトを巻き取る巻取方向へスプールを付勢する捩じりコイルスプリング等の付勢部材が設けられており、この付勢部材の付勢力でウエビングベルトを巻き取って収容すると共に、乗員の身体にウエビングベルトを装着した状態では、付勢部材の付勢力でウエビングベルトの弛み等を除去している。
【0004】
さらに、この種のウエビング巻取装置では、付勢部材の付勢力に抗してウエビングベルトの長手方向中間部に設けられたタングプレートを引っ張ることでスプールに巻き取られたウエビングベルトを引き出し、この状態でタングプレートをウエビング巻取装置とは反対側の座席側方に設けられたバックル装置に保持させることでウエビングベルトを装着できる構造となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一方、車両急減速時等において一層強力に乗員の身体を拘束することを目的として、例えば、車両急減速時等にモータの駆動力をスプールに付与し、この駆動力で巻取方向にスプールを一定量回転させてウエビングベルトの張力を上昇させる構成が考えられている。
【0006】
この種のウエビング巻取装置では、通常時においてスプールとモータの駆動軸とが機械的に連結されていると、普段のウエビングベルトの巻き取りや引き出しにおけるスプールの回転に支障をきたしたり、モータに無用な負荷をかけたりすることから、駆動軸とスプールとの間にクラッチ機構を設けている。
【0007】
一方で、上記のように、車両急減速時等にモータの駆動力をスプールに付与し、この駆動力でウエビングベルトを巻き取る構造では、モータの回転量が大きく、巻取方向へのスプールの回転が過剰であると、ウエビングベルトによって乗員の身体が過剰な力で締め付けられることになる。
【0008】
このような過剰な締め付けを防止する一手段としては、ウエビングベルトの装着状態において必要以上にウエビングベルトが乗員の身体を締め付けている状態では、巻取方向へのスプールの回転が乗員の身体によって妨げられる状態となる。このように、スプールの回転が妨げられている状態でモータからスプールに付与された回転トルクが所定の大きさ以上になった場合にモータとスプールとの間の機械的な連結を解除する所謂「トルクリミッタ」を採用することが考えられる。
【0009】
ここで、ウエビング巻取装置のように車両に搭載される装置は、小型化、軽量化が常に要求される。しかしながら、上記のような遠心クラッチに加えて更にトルクリミッタを設けることで、ウエビング巻取装置は重量が増加し、大型化してしまう。
【0010】
本発明は、上記事実を考慮して、クラッチ機構及びトルクリミッタの双方を有しているにも関わらず、小型化、軽量化できるウエビング巻取装置及びトルクリミッタを有し、且つ、小型で薄型、軽量のクラッチ機構を得ることが目的である。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明は、長尺帯状のウエビングベルトの基端部が係止された巻取軸を有し、前記巻取軸をその軸周り一方の巻取方向へ回転させることで前記巻取軸の周囲に前記ウエビングベルトを層状に巻き取り、前記ウエビングベルトを先端側へ引っ張ることで前記巻取軸を前記巻取方向とは反対の引出方向へ回転させつつ前記ウエビングベルトが引き出されるウエビング巻取装置であって、前記巻取軸に対して同軸的且つ一体的に取り付けられた従動軸と、自らの軸心近傍で前記従動軸が内側に配置される周壁を有し、前記従動軸に対して同軸的に相対回転可能で、且つ、駆動手段からの駆動力を受けることで前記従動軸の軸心周りに回転する原動側回転体と、前記従動軸と前記周壁との間で前記周壁の内側に設けられ、前記原動側回転体の軸心周りに前記原動側回転体及び前記従動軸の双方に対して相対回転可能なリング状の中間回転体と、前記中間回転体と前記従動軸の外周部との間に設けられて、前記原動側回転体の回転に連動して前記中間回転体と前記従動軸とを機械的に連結する連結部材と、前記周壁の内周部と前記中間回転体の外周部との間に設けられて、一部が前記周壁及び前記中間回転体の何れか一方に係止されると共に、他の一部が前記周壁及び前記中間回転体の何れか他方に係合されて、前記周壁と前記中間回転体とを機械的に連結すると共に、前記中間回転体に対する前記周壁の相対的な所定値以上の回転力により前記係合が解除されるトルクリミッタと、を備えることを特徴としている。
【0012】
上記構成のウエビング巻取装置では、巻取軸に長尺帯状のウエビングベルトの基端部が係止されており、巻取軸を軸周り一方の巻取方向へ回転させると、巻取軸の外周部にウエビングベルトが基端側から層状に巻き取られ、これにより、ウエビングベルトが収納される。
【0013】
このような収納状態のウエビングベルトを先端側へ引っ張ると、この引張力によって巻取軸に巻き取られた状態(すなわち、収納状態)のウエビングベルトが引き出されつつ巻取軸が巻取方向とは反対の引出方向へ回転する。このようにして引き出されたウエビングベルトが乗員の身体に装着されることで、ウエビングベルトにより乗員の身体が拘束される。
【0014】
一方、本ウエビング巻取装置の巻取軸には、従動軸が同軸的且つ一体的に取り付けられている。従動軸の周囲には原動側回転体を構成する周壁が設けられており、駆動手段の駆動力が原動側回転体に付与されると原動側回転体が自らの軸心周り(すなわち、従動軸の軸心周り)に回転する。
【0015】
原動側回転体の周壁と従動軸との間には、原動側回転体及び従動軸の双方に対して相対回転可能に中間回転体が設けられている。但し、原動側回転体の周壁の内周部と中間回転体の外周部との間には、トルクリミッタが設けられており、このトルクリミッタの一部は原動側回転体の周壁及び中間回転体の何れか一方に係止され、他の一部が何れか他方に係合している。これにより、トルクリミッタを介して原動側回転体の周壁と中間回転体とが機械的に連結されるため、基本的に原動側回転体が回転すると中間回転体が回転する。
【0016】
さらに、中間回転体の内周部と従動軸の外周部との間には、連結部材が配置されており、原動側回転体が回転すると、この原動側回転体の回転に連動して連結部材が中間回転体と従動軸とを連結する。このため、この状態では、トルクリミッタ、中間回転体、及び連結部材を介して原動側回転体が従動軸に機械的に連結される。これにより、原動側回転体の回転はトルクリミッタ、中間回転体、及び連結部材を介して従動軸に伝達され、従動軸が回転する。
【0017】
この従動軸の回転が巻取方向への回転であれば、従動軸と一体の巻取軸は巻取方向への回転力が付与され、ウエビングベルトを巻き取ろうとする。したがって、ウエビングベルトの装着状態であれば、ウエビングベルトの弛み(所謂「スラック」)等が強制的に巻取軸に巻き取られ、ウエビングベルトによる拘束力が向上し、より一層確実に乗員の身体をウエビングベルトが保持する。
【0018】
一方、従動軸の回転が引出方向であれば、巻取軸は引出方向への回転力が付与される。したがって、ウエビングベルトの装着状態であれば、ウエビングベルトが弛められ、ウエビングベルトを装着することで乗員が感じる圧迫感が軽減される。
【0019】
また、原動側回転体に回転力が付与されていないにも関わらず、何らかの外力が巻取軸に作用し、これにより、従動軸が回転したとしても、連結部材は原動側回転体の回転に連動して中間回転体と従動軸とを連結する。このため、原動側回転体に回転力が付与されていない場合には、連結部材による中間回転体と従動軸との連結が解除されている。
【0020】
したがって、上記のように、単に従動軸が回転しても、従動軸の回転が中間回転体、ひいては原動側回転体に伝達されることはなく、従動軸の回転力が駆動手段に伝達されることはない。このため、例えば、乗員によるウエビングベルトの引き出し等に伴う巻取軸の回転力が駆動手段に伝達されることで駆動手段に生じる不具合等を防止できる。
【0021】
一方、上記のように、駆動手段からの回転力が原動側回転体に付与されると、この回転力がトルクリミッタ、中間回転体、連結部材、及び従動軸を介して巻取軸に伝達される。ここで、この回転力に抗する外力が巻取軸や従動軸に作用している場合には、巻取軸や従動軸が回転しない。
【0022】
このため、連結部材によって従動軸に連結された中間回転体も回転せず、トルクリミッタによって中間回転体に連結された原動側回転体も回転しない。但し、本ウエビング巻取装置では、そもそも従動軸及び原動側回転体の双方に対して中間回転体が相対回転可能であり、トルクリミッタにより連結されることで原動側回転体と中間回転体とが一体的に回転する構成である。
【0023】
ここで、上記の回転力が所定値以上で、この回転力に抗する外力が従動軸や巻取軸に作用している状態では、原動側回転体の周壁と中間回転体との間に所定値以上の相対回転力が生じる。このような所定値以上の相対回転力が原動側回転体の周壁と中間回転体との間に生じると、トルクリミッタと原動側回転体の周壁及び中間回転体の何れか他方との係合が解除される。
【0024】
これにより、トルクリミッタと原動側回転体の周壁及び中間回転体の何れか他方との機械的連結、ひいては、原動側回転体と中間回転体との機械的連結が解除される。この状態では、原動側回転体の回転力が中間回転体に伝達されることがないため、原動側回転体のみが回転する。
【0025】
このようにして本ウエビング巻取装置では、所定値以上の相対回転力が原動側回転体の周壁と中間回転体との間に生じた場合に、原動側回転体の周壁と中間回転体との機械的連結を解除できる。このため、例えば、駆動手段の回転力により巻取軸が過剰にウエビングベルトを巻き取ろうとすることで、ウエビングベルトを装着した乗員が過剰な圧迫感を受けそうな場合、乗員の身体がウエビングベルトの巻き取る巻取力(すなわち、駆動手段の回転力)に抗することでウエビングベルトの巻き取りを中断させることができる。
【0026】
これにより、上記のようなウエビングベルトの過剰な巻き取りを防止できる。しかも、このような状態でも、原動側回転体と中間回転体との機械的連結が解除され、原動側回転体は駆動手段から受けた回転力により回転できるため、強制的な回転停止により駆動手段に過剰な負荷をかけることがない。これにより、駆動手段を保護できる。
【0027】
ところで、以上のような連結部材やトルクリミッタを有することによる様々な作用、効果を得ることができる本ウエビング巻取装置では、中間回転体が原動側回転体を構成する周壁の内周部と従動軸の外周部との間に配置される。また、連結部材は、原動側回転体及び従動軸の何れか一方と中間回転体との間(すなわち、原動側回転体の周壁の内周部と中間回転体の外周部との間及び従動軸の外周部と中間回転体の内周部との間の何れか一方)に配置される。さらに、トルクリミッタは、原動側回転体及び従動軸の何れか他方と中間回転体との間(すなわち、原動側回転体の周壁の内周部と中間回転体の外周部との間及び従動軸の外周部と中間回転体の内周部との間の何れか他方)に配置される。
【0028】
したがって、上記の各構成から成る本ウエビング巻取装置のクラッチ機構は、全体的な原動側回転体の周壁の軸直交方向(半径方向)に沿った原動側回転体の寸法におさまる。しかも、上記の各構成、周壁の軸方向に沿って重なり合うため、周壁の軸方向に沿った本ウエビング巻取装置のクラッチ機構の寸法も小さくできる。これにより、本ウエビング巻取装置全体の小型化や薄型化に大きく寄与する。
【0029】
請求項2記載の本発明は、請求項1記載のウエビング巻取装置において、前記原動側回転体の軸直交方向に沿って厚さ方向とされた略板状若しくは内径寸法が前記中間回転体の外径寸法よりも大きく外径寸法が前記周壁の内径寸法よりも小さな薄肉の筒状に形成されて、前記周壁の内周部と前記中間回転体の外周部との間で一部が前記周壁の内周部及び前記中間回転体の外周部の何れか一方に係止され、且つ、他の一部が自らの付勢力で前記周壁の内周部及び前記中間回転体の外周部の何れか他方の側へ弾性的に係合し、前記相対回転力が前記付勢力に抗した場合に前記弾性的な係合が解除される弾性部材を前記トルクリミッタとした、ことを特徴としている。
【0030】
上記構成のウエビング巻取装置によれば、厚さ方向が原動側回転体の軸直交方向に沿った弾性部材が原動側回転体を構成する周壁の内周部と中間回転体の外周部との間に配置される。弾性部材はその一部が周壁の内周部及び中間回転体の外周部の何れか一方に係止される。このため、この何れか一方が回転した際には、弾性部材も一体的に回転する。
【0031】
これに対して、弾性部材の他の一部は周壁の内周部及び中間回転体の外周部の何れか他方に弾性的に係合しており、基本的にはこの何れか他方に機械的に連結される。したがって、原動側回転体が回転すれば弾性部材を介して回転力がダイレクトに中間回転体に伝わり、中間回転体を回転させる。
【0032】
しかしながら、中間回転体に対する原動側回転体の相対回転力が所定値以上になり、上述した弾性部材の他の一部における弾性力(ばね力)に相対回転力が抗すれば、弾性部材の他の一部と前記何れか他方との弾性的な係合が解除され、その結果、弾性部材を介した原動側回転体と中間回転体との機械的連結が解除される。これにより、原動側回転体の回転力が中間回転体に伝えられることなく、中間回転体が停止したままの状態で原動側回転体が回転する。
【0033】
ところで、本ウエビング巻取装置では、トルクリミッタが上記の弾性部材とされている。ここで、弾性部材は厚さ方向が原動側回転体の軸直交方向に沿った板状、若しくは、内径寸法が中間回転体の外径寸法よりも大きく外径寸法が原動側回転体の周壁の内径寸法よりも小さな薄肉の筒状に形成される。したがって、板状、筒状の何れにしてもトルクリミッタである弾性部材は原動側回転体の周壁と中間回転体との間の間隙に介在する構造となる。
【0034】
換言すれば、原動側回転体の周壁と中間回転体との間には、上記の弾性部材を介在させうる程度の間隙を形成できるような寸法設定であれば、原動側回転体を必要以上に大型化しなくてもよい。このため、原動側回転体、トルクリミッタ、中間回転体、連結部材、及び従動軸から成る本ウエビング巻取装置のクラッチ機構全体を小型化、軽量化できる。
【0035】
また、上述したように、弾性部材は、板状若しくは筒状であるため、その幅寸法(原動側回転体及び中間回転体の軸方向に沿った寸法)を大きくしなくても、厚さ方向寸法の設定しだいで適宜に弾性力(ばね力)を調整できる。このように、幅寸法を大きくしなくても弾性力が得られることで、原動側回転体の周壁の軸方向寸法を必要以上に大きくしなくても、周壁の内側に弾性部材を収容できる。このため、本ウエビング巻取装置のクラッチ機構全体の薄型化に大きく寄与する。
【0036】
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2記載のウエビング巻取装置において、前記周壁の内側で前記原動側回転体及び前記従動軸の双方に対して同軸的に相対回転可能に配置され、前記原動側回転体に対する相対回転により前記連結部材を作動させ、前記中間回転体と前記従動軸とを機械的に連結させる連結強制部材と、前記周壁の内側で前記原動側回転体の回転に追従して回動可能に配置されると共に、前記原動側回転体の回転方向へ前記強制連結部材を付勢する付勢部材と、を備えることを特徴としている。
【0037】
上記構成のウエビング巻取装置では、原動側回転体に駆動手段からの回転力が付与されて原動側回転体が回転すると付勢部材が回動する。さらに、付勢部材は強制連結部材を原動側回転体の回転方向に付勢しているため、付勢部材から受ける付勢力により連結強制部材が回転する。したがって、この状態では、原動側回転体が回転するものの、連結強制部材が原動側回転体に追従回転するため、原動側回転体と連結強制部材との相対回転が生じない。
【0038】
ここで、連結強制部材が自らの慣性、若しくは、付勢部材からの付勢力以外の外力を受けることにより、付勢部材の付勢力に抗して回転しないか、回転したとしても原動側回転体の回転量との間に差異が生じた場合には、原動側回転体と連結強制部材との間に相対回転が生じる。このように、原動側回転体と連結強制部材との間に相対回転が生じると、連結強制部材は連結部材を作動させて従動軸と中間回転体とを機械的に連結し、従動軸、ひいては巻取軸を回転させる。
【0039】
請求項4記載のクラッチ機構は、外周形状及び内周形状が任意の筒状に形成された外側周壁を有する外側回転体と、外径寸法が前記外側周壁の内径寸法よりも充分に小さく、外周形状及び内周形状が任意の筒状に形成されて前記外側周壁の内側に設けられた中間周壁を有し、前記外側回転体の軸心周りに前記外側回転体に対して相対回転可能な中間回転体と、前記中間周壁の内側で前記外側回転体及び前記中間回転体の双方に対して前記外側回転体の軸心周りに相対回転自在に設けられた内側回転体と、前記外側周壁及び前記内側回転体の何れか一方と前記中間周壁との間に設けられ、所定の条件に基づき前記何れか一方と前記中間周壁とを機械的に連結して前記何れか一方と前記中間回転体とを一体的に回転させると共に、前記所定の条件の解除により前記機械的連結を解除する連結部材と、前記外側周壁及び前記内側回転体の何れか他方と前記中間周壁との間に設けられ、前記何れか他方と前記中間周壁とを一体的に連結すると共に、前記何れか他方に対する前記中間周壁が相対的に回転しようとする際に生じる所定の大きさ以上の相対回転力により前記何れか他方と前記中間周壁との連結を解除するトルクリミッタと、を備えている。
【0040】
上記構成のクラッチ機構では、外側回転体又は内側回転体が原動側回転体とされ、この原動側回転体に回転力が付与されると原動側回転体がその軸心周りに回転する。ここで、外側回転体及び内側回転体の何れか他方と外側回転体を構成する外側周壁の内側に配置された中間回転体とは、その間に設けられたトルクリミッタによって基本的には一体的に連結されている。このため、基本的には、外側回転体及び内側回転体の何れか他方と中間回転体とは一体的に回転可能である。
【0041】
しかしながら、外側回転体及び内側回転体の何れか一方と中間回転体との間に設けられた連結部材は、所定の条件を満足していなければ、何れか一方と中間回転体との機械的連結を解除している。
【0042】
このため、外側回転体及び内側回転体の何れか一方と中間回転体との間での回転力の伝達が行なわれない。したがって、この状態では、原動側回転体の回転が外側回転体及び内側回転体のうち原動側回転体ではない方の従動側回転体に伝達されることはなく、従動側回転体が回転することはない。
【0043】
これに対し、例えば、所定値以上の回転速度で原動側回転体が回転したり、原動側回転体の回転方向が特定の方向であったり等の所定の条件が満足されると、連結部材によって外側回転体及び内側回転体の何れか一方と中間回転体とが機械的に連結される。これにより、原動側回転体の回転は、トルクリミッタ及び連結部材の何れか一方、中間回転体、トルクリミッタ及び連結部材の何れか他方の順で従動側回転体に伝達され、従動側回転体が回転する。
【0044】
ところで、本クラッチ機構では、外側回転体、中間回転体、内側回転体はそもそも相対回転可能であり、連結部材やトルクリミッタによって連結されることにより回転が伝達される。
【0045】
ここで、例えば、連結部材により外側回転体及び内側回転体の何れか一方と中間回転体とが機械的に連結された状態であっても、従動側回転体に何らかの外力が作用し、原動側回転体の回転に従動側回転体が抗する場合がある。
【0046】
このような場合、原動側回転体の回転力が過剰になり、トルクリミッタによって連結されている外側回転体及び内側回転体の何れか他方と中間回転体との間での相対回転力が所定の以上になると、トルクリミッタによる機械的連結が解除される。
【0047】
これにより、原動側回転体の回転力が従動側回転体に伝えられることがない。このため、強制的な静止状態にある従動側回転体に回転力が付与されることにより生じる不具合を確実に防止できる。
【0048】
ところで、本クラッチ機構では、中間回転体が外側回転体を構成する外側周壁の内周部と内側回転体の外周部との間に配置される。また、連結部材は、外側回転体及び内側回転体の何れか一方と中間回転体との間(すなわち、外側回転体の外側周壁の内周部と中間回転体の中間周壁の外周部との間及び内側回転体の外周部と中間回転体の中間周壁の内周部との間の何れか一方)に配置される。さらに、トルクリミッタは、外側回転体及び内側回転体の何れか他方と中間回転体との間(すなわち、外側回転体の外側周壁の内周部と中間回転体の中間周壁の外周部との間及び内側回転体の外周部と中間回転体の中間周壁の内周部との間の何れか他方)に配置される。
【0049】
したがって、外側周壁の軸直交方向(半径方向)に沿った本クラッチ機構の寸法は、この方向に沿った外側回転体の寸法におさめることができる。しかも、上述したように本クラッチ機構の構成が配置されることで、外側周壁の軸方向に沿って各構成が重なり合うため、外側周壁の軸方向に沿った本クラッチ機構の寸法も小さくできる。したがって、例えば、本クラッチ機構を適用する各種装置の小型化や薄型化に大きく寄与する。
【0050】
【発明の実施の形態】
<第1の実施の形態の構成>
(ウエビング巻取装置10の全体構成)
図5には、本発明の第1の実施の形態に係るウエビング巻取装置10の全体構成を示す縦断面図が示されている。この図に示されるように、ウエビング巻取装置10はフレーム12を備えている。フレーム12は略板状の背板14を備えており、この背板14がボルト等の図示しない締結手段によって車体に固定されることで、本ウエビング巻取装置10が車体に取り付けられる構成となっている。背板14の幅方向両端からは一対の脚板16、18が互いに平行に延出されており、これらの脚板16、18間にダイカスト等によって製作された巻取軸としてのスプール20が回転可能に配置されている。
【0051】
スプール20は略円筒形状のスプール本体22と、このスプール本体22の両端部に略円板形状にそれぞれ形成された一対のフランジ部24、26とによって構成されており、全体としては鼓形状をなしている。
【0052】
スプール本体22はフランジ部24、26間には、長尺帯状に形成されたウエビングベルト28の基端部が固定されており、スプール20をその軸周り一方へ回転させると、ウエビングベルト28がその基端側からスプール本体22の外周部に層状に巻き取られる。また、ウエビングベルト28をその先端側から引っ張れば、スプール本体22の外周部に巻き取られたウエビングベルト28が引き出され、これに伴い、ウエビングベルト28を巻き取る際の回転方向(以下、この方向を便宜上「巻取方向」と称する)とは反対にスプール20が回転する(以下、ウエビングベルト28を引き出す際のスプール20の回転方向を便宜上「引出方向」と称する)。
【0053】
フランジ部24のフランジ部26とは反対側でスプール20の一端側は、脚板16に形成された円孔30を略同軸的に貫通してフレーム12の外部に突出している。脚板16側のフレーム12の外側には、ケース32が配置されている。ケース32は、スプール20の軸方向に沿って脚板16と対向して配置されて脚板16に固定されている。また、ケース32は全体的に脚板16側へ向けて開口しており、円孔30を貫通したスプール20の一端側はケース32の内側に入り込み、ケース32によって回転自在に軸支されている。
【0054】
さらに、ケース32の内部には渦巻きばね34が配置されている。渦巻きばね34は渦巻き方向外側の端部がケース32に係止されており、渦巻き方向内側の端部がスプール20に係止されている。渦巻きばね34は特別に負荷をかけない中立状態からスプール20を引出方向へ回転させると、巻取方向の付勢力が生じてスプール20を巻取方向へ付勢する。したがって、基本的には、スプール20から引き出すためにウエビングベルト28に付与した引っ張り力を解除すると、渦巻きばね34の付勢力がスプール20を巻取方向へ回転させ、スプール20にウエビングベルト28を巻き取らせる構造になっている。
【0055】
一方、フランジ部26のフランジ部24とは反対側でスプール20の他端側は、脚板18に形成された内歯のラチェット孔36を略同軸的に貫通してフレーム12の外部に突出している。脚板18側のフレーム12の外側には、ロック機構38が配置されている。ロック機構38はケース40を備えている。ケース40はスプール20の軸方向に沿って脚板18と対向して配置されて脚板18に固定されている。ケース40の内側には、ロック機構38を構成する図示しないイナーシャルプレートや外歯ギヤ、加速度センサ等の各部材が収容されており、急激に巻取方向へスプール20が回転することで、ケース40内のイナーシャルプレートがスプール20に対して相対回転したり、加速度センサが車両の急減速状態を検出して強制的にスプール20に対してケース40内のイナーシャルプレートがスプール20に対して相対回転させられる構造となっている。
【0056】
また、上述したラチェット孔36の内側には一対のロックプレート42が設けられている。これらのロックプレート42は、ケース40内に設けられてスプール20と共に一体的に回転するロックベースに支持されており、ベースロックに対してケース40内のイナーシャプレートが引出方向側へ相対回転すると、ロックベースに形成されたガイド部に案内されてラチェット孔36の内周部に接近し、ロックプレート42に形成された外歯がラチェット孔36の内周部に形成された内歯に噛み合う構造となっている。このように、ロックプレート42に形成された外歯がラチェット孔36の内周部に形成された内歯に噛み合うことで、引出方向へのロックベースの回転が規制され、ひいては、スプール20の回転が規制される構成となっている。
【0057】
一方、スプール20の下方で脚板16と脚板18との間には、駆動手段としてのモータ44が配置されている。モータ44は、ドライバ46を介して車両に搭載されたバッテリー48に電気的に接続されており、バッテリー48からの電流がドライバ46を介してモータ44に流れることで、モータ44は出力軸50を正方向又は逆方向へ回転させる構成となっている。ドライバ46は、マイコン等で構成されたECU52に接続されており、更に、ECU52は前方監視センサ54に接続されている。
【0058】
前方監視センサ54は、車両前端部近傍に設けられており、車両前方へ向けて赤外線を発光すると共に、車両の前方で走行若しくは停止している他の車両や障害物(以下、走行若しくは停止している車両も含めて便宜上「障害物」と称する)にて反射した赤外線を受光する。ECU52では、前方監視センサ54が赤外線を発光してから受光するまでに要する時間に基づいて、前方の障害物までの距離を算出する。
【0059】
ECU52は、前方監視センサ54から出力された電気信号に基づいてドライバ46を操作し、モータ44を制御している。
【0060】
(ブレーキ機構60の構成)
一方、モータ44の出力軸50の先端部にはギヤ56が同軸的且つ一体的に設けられている。ギヤ56はブレーキ機構60を構成する外歯のギヤ62に噛み合っている。図6及び図7(A)、(B)に示されるように、ブレーキ機構60はフレーム64を備えている。フレーム64はフレーム12の脚板16、18の対向方向に沿って互いに対向した一対の側壁66を備えている。これらの側壁66は、フレーム12の背面側で背壁68によって一体に連結されており、全体的には平面視でフレーム12の正面側へ向けて開口した略凹形状とされている。
【0061】
上記のギヤ62は、その回転中心が側壁66間に位置するように設けられており、側壁66を貫通してフレーム12の脚板16に支持されたシャフト70に回転自在に軸支されている。ギヤ62はギヤ56よりも大径で歯数も多い。したがって、ギヤ56の回転はギヤ62に伝達されることで減速される。また、ギヤ62を介してフレーム64の背壁68とは反対側にはギヤ72が配置されている。
【0062】
ギヤ72は両端が側壁66に支持されたシャフト74に回転自在に軸支された状態でギヤ62に噛み合っている。したがって、ギヤ62の回転が伝達されることでギヤ62の中心周りにギヤ72は回動できる。また、ギヤ72を軸支するシャフト74はフレーム12の内方へ延出されており、その先端部にはシャフト74と略同軸の円柱形状に形成されたウエート76が一体的に固定されている。ウエート76は、シャフト74を介してギヤ72と一体であり、ギヤ72には自重とウエート76の重量が作用している。
【0063】
一方、上述したフレーム64の背壁68には 引っ張りコイルスプリング78の一端が係止されている。引っ張りコイルスプリング78の他端は一端よりも下方で脚板16に固定されている。引っ張りコイルスプリング78の付勢力は、ギヤ72に作用するギヤ72の自重やウエート76の重量に基づく重力よりも大きく、ギヤ72に作用する重力に抗してフレーム64の背壁68側を下方へ引き降ろすように付勢力が作用している。
【0064】
また、背壁68の上端部からは細幅板状のブレーキ片80が延出されている。ブレーキ片80は後述するクラッチ機構としてのクラッチ90の摩擦リング170の外周部に当接した際の摩擦で摩擦リング170の回転を制限する。
【0065】
(クラッチ90の構成)
一方、図5に示されるように、ギヤ62の半径方向側方にはクラッチ90が設けられている。以下、クラッチ90に関して図1乃至図4を用いて説明する。
【0066】
図1に示されるように、クラッチ90は中間回転体としてのベースプレート92を備えている。ベースプレート92は円盤状のベース部94の外周部に沿って中間周壁としての略リング状の周壁96が形成された軸方向寸法が極めて短い有底円筒状(若しくは浅底の盆状)に形成されている。ベースプレート92の軸方向一端側(図1の矢印C方向側)の開口端には、薄厚円盤状のカバー98が取り付けられており、基本的にベースプレート92の開口端が閉止されている。
【0067】
周壁96の外周部にはその周方向に沿って一定間隔毎に係合凹部100が形成されている。また、周壁96の外側には、原動側回転体及び外側回転体の外側周壁としての外歯ギヤ102が設けられている。外歯ギヤ102は、ギヤ62よりも充分に歯数が多い略リング形状に形成されており、ベースプレート92に対して同軸的に配置されている。また、外歯ギヤ102の内径寸法は、周壁96の外径寸法よりも充分に大きく、外歯ギヤ102の内周部と周壁96の外周部との間には環状の隙間が形成されており、図2乃至図4に示されるように、この環状の隙間に複数のトルクリミッタ104が周方向に断続的に配置されている。
【0068】
図1乃至図4に示されるように、トルクリミッタ104は、幅寸法が外歯ギヤ102の軸方向寸法未満とされたばね性を有する細幅の板状の金属片で、その長手方向両端部には上記の係合凹部100に入り込み可能な係合部106が形成されている。また、トルクリミッタ104の長手方向略中央には、係合部106の突出方向とは略反対方向に突出する如く屈曲した係合突起108が形成されている。
【0069】
係合突起108に対応して外歯ギヤ102の内周部には係合凹部110が形成されており、係合凹部110に係合突起108が入り込んだ状態で係合部106が係合凹部100に入り込むことによりトルクリミッタ104を介してベースプレート92と外歯ギヤ102とが略一体的に連結されている。これにより、ベースプレート92に対して外歯ギヤ102がベースプレート92の軸心周りに相対回転しようとすると、当然、トルクリミッタ104も外歯ギヤ102と共に一体的に回転しようとする。
【0070】
しかしながら、トルクリミッタ104の各係合部106が係合凹部100に入り込んでいることで、周壁96の周方向に沿って係合部106が回転しようとすると係合凹部100が係合部106に干渉し、係合部106の回転を規制する。これにより、ベースプレート92に対する外歯ギヤ102の相対回転が規制され、基本的には、外歯ギヤ102とベースプレート92とが一体的に連結される構成となっている。
【0071】
但し、上記のように、トルクリミッタ104がばね性を有する金属片であるため、ベースプレート92に対する外歯ギヤ102の相対回転で生じる回転力が、トルクリミッタ104のばね力(付勢力)に抗して係合部106を係合凹部100から抜け出させるのに充分な大きさであれば、係合凹部100による係合部106への干渉が解除されるため、ベースプレート92に対する外歯ギヤ102の相対回転が可能となる構成である。
【0072】
一方、上述したベースプレート92の内側には、従動軸及び内側回転体としての略円筒形状のアダプタ112がベースプレート92に対して略同軸的に配置されている。アダプタ112は全体的に軸方向他端(図1の矢印D方向側)がベース部94(ベースプレート92)の中央に形成された円孔30に回転自在に軸支されていると共に、他端に同軸的に形成された円筒状の筒部114がカバー98に形成された円孔116に回転自在に軸支されている。
【0073】
アダプタ112とベースプレート92のベース部94との間には、合成樹脂材によってリング状に形成されたスペーサ118が配置されている。スペーサ118は、アダプタ112の筒部114に軸支されており、軸方向一方の端面はベース部94に当接し、軸方向他方の端面はアダプタ112の本体部分の筒部114との接続部分における端面に当接している。
【0074】
また、アダプタ112にはその軸方向に沿って貫通した嵌合孔120が形成されている。嵌合孔120には上述したスプール20の軸方向他端が嵌合しており、アダプタ112とスプール20とが同軸的且つ一体的に連結される。また、アダプタ112の外周部には、歯数が奇数となる複数の外歯122が一定間隔毎に形成されている。
【0075】
さらに、アダプタ112の半径方向外側では、ベースプレート92のベース部94に一対のボス124が形成されている。各ボス124は、略円筒状に形成されており、ベース部94からその軸方向一方の側へ向けて立設されている。また、これらのボス124は円孔30を介して互いに対向する如く形成されており、各ボス124には連結部材としてのパウル130が設けられている。
【0076】
各パウル130は本体132を備えている。本体132は内径寸法がボス124の外径寸法よりも極僅かに大きなリング状に形成されており、ボス124が本体132を貫通する如く本体132がボス124に嵌め込まれることで、パウル130がボス124周りに回転自在に軸支される。
【0077】
本体132の外周一部には連結片134が形成されている。各連結片134は、本体132がボス124に軸支された状態で、本体132に対してスプール20の巻取方向側へ延出されるように形成されている。さらに、各連結片134はボス124周りに巻取方向へ所定角度回動することで、先端134Aの角部が上述したアダプタ112の外歯122と外歯122との間でアダプタ112の外周部に当接するように形成されている。
【0078】
また、各連結片134の先端134Aは、上述したアダプタ112の歯の引出方向側の面に対応して傾斜した斜面とされており、先端134Aが外歯122に当接して干渉することで引出方向へのアダプタ112の回転を規制する構造となっている。
【0079】
ここで、上述したように、ボス124は円孔30を介して対向するように形成されているため、基本的に同一形状である両パウル130の各先端134Aの角部がアダプタ112の外周面に接した状態では、アダプタ112の軸心を介して一方のパウル130の先端134Aとは反対側に他方のパウル130の先端134Aが位置することになる。したがって、アダプタ112の外周部に形成された外歯122の総数が偶数で、アダプタ112の軸心を介して何れかの外歯122の反対側にも外歯122が形成されているのであれば、両パウル130の先端134Aが共に外歯122に当接する構造となる。
【0080】
しかしながら、本実施の形態では、上述したように、アダプタ112の外周部に形成された外歯122の総数は奇数となっている。このため、一方のパウル130の先端134Aが外歯122に当接している状態では、他方のパウル130の先端134Aはアダプタ112の周方向に沿って外歯122から離間している(すなわち、他方の連結片134の先端134Aは外歯122に接していない)。
【0081】
一方、各本体132の外周部からは解除片136が延出されている。解除片136は概ね本体132を介して連結片134とは反対側に形成されており、外側側面が引出方向に対してベースプレート92の半径方向外側へ向いた斜面とされている。解除片136を引出方向に回動させることで、連結片134をアダプタ112の外周部から離間する方向へ回動する。
【0082】
また、クラッチ90は連結強制部材としての回転盤140を備えている。回転盤140はベースプレート92及びアダプタ112の軸方向に沿って厚さ方向とされた略板状のベース部142を備えている。ベース部142には円孔144が形成されている。円孔144の内径寸法は、アダプタ112の軸方向他端側でアダプタ112の外周部に対して同軸的に形成された筒部114の外径寸法よりも極僅かに大きく、円孔144に筒部114が貫通する如く組み付けられることで、ベース部142、ひいては、回転盤140がアダプタ112周りに回転自在にアダプタ112に軸支される。
【0083】
また、ベース部142のベース部94側の面には、連結強制手段としての一対のブロック146が形成されている。これらのブロック146は、円孔144を介して互いに対向する如く形成されており、円孔144の外側で一対のブロック146の一方の間隙に上述したボス124の一方が位置しており、円孔144を介してこの間隙とは反対側での一対のブロック146の間隙に他方のボス124が位置している。
【0084】
一対のブロック146のうちの一方の外周部(円孔144の半径方向に沿った各ブロック146の外側面)には、スプリング収容部148が形成されており、付勢手段としての圧縮コイルスプリング150が収容されている。
【0085】
圧縮コイルスプリング150は、円孔144の中心周りに湾曲した状態でスプリング収容部148に収容されており、その巻取方向側の端部はスプリング収容部148の壁部148Aに当接し、引出方向側の端部はベースプレート92の周壁96の内周部から延出されてスプリング収容部148内に入り込んだ当接壁152に当接している。
【0086】
回転盤140は、アダプタ112の筒部114に回転自在に軸支されているため、基本的には、アダプタ112のみならずベースプレート92に対しても相対回転自在である。しかしながら、上記のように、圧縮コイルスプリング150の巻取方向側端部がスプリング収容部148の壁部148Aに当接し、引出方向側端部がベースプレート92の当接壁152に当接していることから、回転盤140に対してベースプレート92が巻取方向へ相対回転しようとすると、当接壁152が圧縮コイルスプリング150を介して回転盤140を巻取方向に押圧して回転盤140をベースプレート92の回転に追従回転させる。このため、圧縮コイルスプリング150の付勢力に抗し得る大きさの回転力が回転盤140に作用しない限り、回転盤140に対するベースプレート92の巻取方向への相対回転は制限される。
【0087】
また、各ブロック146の内周部には押圧片154が設けられている。これらの押圧片154はパウル130の巻取方向側に配置されており、円孔144に対して同軸的に湾曲するようにブロック146に形成された周壁156に沿ってブロック146に対して(すなわち、回転盤140に対して)相対移動可能とされている。また、これらの押圧片154のパウル130とは反対側には圧縮コイルスプリング158が設けられている。圧縮コイルスプリング158は周壁156に沿って湾曲した状態で配置されている。圧縮コイルスプリング158の一端は押圧片154のパウル130とは反対側の端部に係合して連結されている。これに対して、圧縮コイルスプリング158の他端は押圧片154とは反対側で回転盤140に形成された当接壁160に当接した状態で、当接壁160から押圧片154側へ向けて突出形成された突起162が係合して連結されている。
【0088】
各押圧片154に対応して各パウル130の連結片134の幅方向外端には、斜面164が形成されている。斜面164は巻取方向に対してベースプレート92の半径方向外方へ傾斜しており、先端134Aがアダプタ112の外周部に接していない状態では、ベースプレート92及び回転盤140の周方向に沿って押圧片154と対向している。押圧片154は、ベースプレート92が回転盤140に対して巻取方向へ所定量相対回転することで斜面164に当接するように形成されており、この当接状態から更にベースプレート92が回転盤140に対して巻取方向へ相対回転しようとした際には、斜面164が押圧片154によって引出方向に押圧され、この押圧力によりパウル130がボス124周りに巻取方向に回動する。
【0089】
また、回転盤140の周方向に沿った各ブロック146の巻取方向側の端部には、押圧部166が形成されていると共に押圧部166よりも回転盤140の軸心側には解除片収容部168が形成されている。押圧部166は、回転盤140の周方向に沿ってパウル130の解除片136に対応して形成されている。解除片136は本体132との連結部分(基端部)から先端側へ向けて漸次ベースプレート92の軸心側へ湾曲しており、その幅方向外側面も同様に湾曲している。
【0090】
したがって、回転盤140に対してベースプレート92が引出方向に所定量相対回転すると、押圧部166が解除片136の幅方向外側面に当接し、この当接状態で更に回転盤140に対してベースプレート92が引出方向に相対回転すると、押圧部166が解除片136の先端部を巻取方向に押圧する。ここで解除片136の先端は、引出方向に対して回転盤140の半径方向外方へ傾斜した斜面とされている。このため、解除片136の先端を押圧部166が押圧することで、パウル130をボス124周りに引出方向に回動さて解除片収容部168に案内する。
【0091】
また、回転盤140のベース部142とカバー98との間には、摩擦リング170が同軸的に配置されている。摩擦リング170の全体的にリング状に形成されており、その内周部からは舌片状の一対の取付片172が摩擦リング170の中心を介して互いに対向する如く延出されている。取付片172はネジ等の締結手段によって回転盤140のベース部142へ一体的に連結されており、これにより、回転盤140と摩擦リング170とが一体となっている。摩擦リング170の外周部は、上述したブレーキ片80の先端に対応しており、フレーム64がシャフト70周りに引出方向へ回動することでブレーキ片80の先端が摩擦リング170の外周部に摺接する。
【0092】
以上の構成のクラッチ90は、上述した外歯ギヤ102がギヤ62に噛み合っている。
【0093】
<本実施の形態の作用、効果>
次に、本ウエビング巻取装置10の動作の説明を通して、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
【0094】
(ウエビング巻取装置10の基本動作)
先ず、本ウエビング巻取装置10の基本動作について説明する。
【0095】
本ウエビング巻取装置10では、スプール20にウエビングベルト28が層状に巻き取られた収納状態で、図示しないタングプレートを引っ張りつつウエビングベルト28を引っ張ると、スプール20を巻取方向に付勢する渦巻きばね34の付勢力に抗してスプール20を引出方向へ回転させながらウエビングベルト28が引き出される。このように、ウエビングベルト28が引き出された状態で、ウエビングベルト28を座席に着座した乗員の身体の前方に掛け回しつつタングプレートを図示しないバックル装置に指しこみ、バックル装置にタングプレートを保持させることで乗員の身体に対するウエビングベルト28の装着状態(以下、単に「装着状態」と称する)となる。
【0096】
また、ウエビングベルト28を装着するためにウエビングベルト28を引き出してスプール20を引出方向へ回転させると、渦巻きばね34が巻き締められてスプール20を巻取方向側へ付勢する渦巻きばね34の付勢力が増加する。したがって、上記装着状態では、渦巻きばねの付勢力がウエビングベルト28をスプール20に巻き取らせるように作用するため、基本的には、この付勢力で乗員の身体にウエビングベルト28がフィットし、このときの付勢力に応じた力でウエビングベルト28が乗員の身体を拘束、保持する。
【0097】
一方、バックル装置によるタングプレートの保持が解除され、バックル装置からタングプレートが抜け出ると、渦巻きばね34の付勢力に抗して引出状態のままウエビングベルト28を維持する力が解除されるため、渦巻きばね34は付勢力でスプール20を巻取方向に回転させる。この巻取方向へのスプール20の回転により引き出されたウエビングベルト28がスプール20の外周部に層状に巻き取られ、これにより、ウエビングベルト28が収納される。
【0098】
ここで、スプール20はクラッチ90のアダプタ112に嵌合しているため、ウエビングベルト28の引き出しや巻き取りのためにスプール20を回転させると、アダプタ112が回転する。しかしながら、この状態では、単にアダプタ112が回転するだけで、ベースプレート92や回転盤140は回転しないため、パウル130は回動することはなく、したがって、外歯ギヤ102が回転することはない。したがって、スプール20の回転が外歯ギヤ102、ギヤ62、56を介してモータ44の出力軸50に伝達されることはない。
【0099】
(前方障害物接近時におけるウエビング巻取装置10の動作)
一方、車両の走行状態では、前方監視センサ54が車両の前方の障害物までの距離を検出している。さらに、前方監視センサ54からは、障害物までの距離に対応した信号レベルを有する電気信号が出力される。前方監視センサ54から出力された電気信号はECU52に入力され、ECU52では前方監視センサ54からの電気信号に基づいて障害物までの距離が所定値未満であるか否かが判定される。
【0100】
次いで、障害物までの距離が所定値未満であるとECU52で判定されると、ECU52はドライバ46に対して制御信号を出力し、ドライバ46を介してモータ44に電流を流す。これにより、モータ44は所定値以上の速度で正転駆動し、出力軸50を正転させる。
【0101】
出力軸50の回転は、ギヤ56、62を介して減速されつつクラッチ90の外歯ギヤ102に伝達され、外歯ギヤ102を所定値以上の回転速度で巻取方向に回転させる。外歯ギヤ102は、トルクリミッタ104を介してベースプレート92に機械的に連結されているため、外歯ギヤ102が巻取方向に回転することでベースプレート92が巻取方向へ一体的に回転する。
【0102】
ベースプレート92が巻取方向に回転すると、当接壁152が圧縮コイルスプリング150の巻取方向側の端部を押圧し、更に、圧縮コイルスプリング150が付勢力でスプリング収容部148の壁部148Aを押圧することで、回転盤140がベースプレート92に追従回転しようとする。
【0103】
一方、上記のように、出力軸50の回転がギヤ56を介してギヤ62に伝えられると、ギヤ62からギヤ72に回転が伝えられ、シャフト74周りに回転しつつギヤ62周りに下方へ回動する。但し、ギヤ72を軸支するシャフト74が支持されたフレーム64には引っ張りコイルスプリング78の付勢力が作用しているため、基本的には、ギヤ72がギヤ62周りに下方へ回動することはできないが、上記のように所定値以上の回転速度で出力軸50が回転し、この回転がギヤ72へ伝えられることで、ギヤ72の自重、ウエート76の重量に基づく重力と、ギヤ62周りのギヤ72の回転力の合力が引っ張りコイルスプリング78の付勢力を上回り、ギヤ72を、ひいてはフレーム64をシャフト70周りに回動させる。
【0104】
これによって、ブレーキ片80が摩擦リング170の外周部に摺接し、ブレーキ片80と摩擦リング170の外周部との間で生じる摩擦が、摩擦リング170、ひいては摩擦リング170と一体の回転盤140の回転を規制する。これにより、ベースプレート92と回転盤140との間で相対回転が生じ、回転盤140に対してベースプレート92が巻取方向へ回転する。
【0105】
このようにして、回転盤140に対してベースプレート92が巻取方向へ所定量以上相対回転すると、回転盤140のブロック146に設けられた押圧片154がパウル130の連結片134に当接する。この状態で更に回転盤140に対してベースプレート92が巻取方向へ相対回転しようとすると、押圧片154が連結片134の斜面164を引出方向に押圧する。斜面164に付与された押圧力は、引出方向と回転盤140及びベースプレート92の半径方向内方へ作用し、この半径方向内方への作用分がパウル130をボス124周りに巻取方向へ回動させる。図3に示されるように、パウル130はボス124周りに巻取方向へ回動することで、先端134Aの角部をアダプタ112の外周部に当接させ、この状態で巻取方向側で隣接する外歯122に当接するまでベースプレート92と共にベースプレート92の中心周りに巻取方向へ回転する。
【0106】
次いで、この状態で先端134Aが外歯122に当接し、更に、ベースプレート92が巻取方向に回転すると、パウル130の先端134Aが外歯122を巻取方向へ押圧してアダプタ112、ひいてはスプール20を巻取方向に回転させる。このスプール20の回転によりウエビングベルト28がスプール20に巻き取られる。これにより、ウエビングベルト28の緩み、所謂「スラック」が解消されて、ウエビングベルト28による乗員身体に対する拘束力が向上し、仮に、その後に乗員が車両急制動(急ブレーキ)の操作を行ない、車両が急減速状態になったとしてもウエビングベルト28が確実に乗員の身体を保持する。
【0107】
また、このように、スラックが解消された状態でモータ44が停止すると、巻取方向へのベースプレート92の回転が停止する。ベースプレート92の回転が停止すると圧縮コイルスプリング150が付勢力で回転盤140を巻取方向に押圧し、回転盤140を巻取方向に回動させる。回転盤140が回動すると、押圧部166がパウル130の解除片136に当接して、解除片136を巻取方向に押圧する。この押圧力を解除片136が受けることで、パウル130はボス124周りに引出方向へ回動し、図2に示されるように、連結片134の先端134Aがアダプタ112の外周部から離間する。これにより、ベースプレート92とアダプタ112との機械的連結、すなわち、モータ44の出力軸50と圧縮コイルスプリング150との機械的な連結が解除される。
【0108】
ここで、本実施の形態では、上記のように、アダプタ112の外歯122の総数が奇数とされ、一方のパウル130の先端134Aが外歯122に当接している状態では、他方のパウル130の先端134Aはアダプタ112の周方向に沿って外歯122から離間し、アダプタ112の周方向に沿って巻取方向で隣接する外歯122と引出方向で隣接する外歯122との中間部に位置している。
【0109】
すなわち、本実施の形態では、両パウル130の先端134Aがアダプタ112の外周部に当接した状態では、一方のパウル130の先端134Aから他方のパウル130の先端134Aまでの間隔が外歯122のピッチの整数倍になっていない。このため、図4に示されるように、仮に、両パウル130がボス124周りに回動した際に、一方のパウル130の先端134Aが外歯122の歯先に当接しても、他方のパウル130の先端が外歯122の歯先に当接することなく、周方向に隣接する外歯122の間でアダプタ112の外周部に当接する。
【0110】
したがって、一方のパウル130の先端134Aが外歯122の歯先に当接して噛み合うことができなくても、外歯122の略半ピッチ分だけベースプレート92が回動すれば、他方のパウル130の先端134Aが確実に外歯122に噛み合う。このため、確実且つ早急にベースプレート92の回転をアダプタ112に伝えることができ、モータ44の回転力をスプール20に伝えることができる。
【0111】
また、一方のパウル130の先端134Aが外歯122の歯先に当接した状態では、この状態のまま連結片134が押圧片154に当接する。ここで、仮に、押圧片154が回転盤140と一体である場合には、それ以上の回転盤140に対するベースプレート92の巻取方向への相対回転が規制されてしまう。この状態では、他方のパウル130の先端への押圧片154の干渉が不充分で、押圧片154が他方のパウル130を充分に巻取方向へ回動させることができず、その結果、他方のパウル130の先端を外歯122に当接させることができない可能性がある。
【0112】
ここで、本実施の形態では、上記のように、一方のパウル130の先端134Aが外歯122の歯先に当接したまま連結片134が押圧片154に当接し、この状態で、更にベースプレート92が回転盤140に対して巻取方向へ相対回転しようとすると、図4に示されるように、圧縮コイルスプリング158の付勢力に抗してパウル130の先端134Aが押圧片154を押圧して巻取方向へ変位させる。これにより、回転盤140に対してベースプレート92が巻取方向に相対回転する。
【0113】
このため、他方のパウル130に対応した押圧片154が他方のパウル130の先端134Aに干渉してパウル130を巻取方向に回動させる。これにより、一方のパウル130の先端134Aが外歯122の歯先に当接したまま連結片134が押圧片154に当接しても、他方のパウル130をアダプタ112の外歯122に噛み合わせることができ、確実にベースプレート92の回転をアダプタ112に伝えることができる。
【0114】
一方、上記のように、モータ44の回転力でスプール20を巻取方向に回転させることで、ウエビングベルト28のよる乗員身体に対する拘束力が向上するが、スラックが解消されるまでスプール20にウエビングベルト28が巻き取られた状態では、乗員の身体が障害となり基本的にはそれ以上スプール20にウエビングベルト28を巻き取ることはできなくなる。この状態でスプール20が更に巻取方向に回転してウエビングベルト28を巻き取ろうとすると、必要以上の力でウエビングベルト28が乗員の身体を締め付けることになり好ましくない。
【0115】
ここで、上記のように、必要以上にスプール20がウエビングベルト28を巻き取ろうとした場合には、乗員の身体がウエビングベルト28の巻き取りの障害となり、スプール20がウエビングベルト28を巻き取るための巻取力に応じた大きさの引張力が、乗員の身体からウエビングベルト28に付与される。この引張力はスプール20がウエビングベルト28を巻き取る方向とは反対に作用するため、引張力がウエビングベルト28に付与されることでスプール20は停止する。
【0116】
この状態では、外歯ギヤ102、ベースプレート92、パウル130、及びアダプタ112を介してモータ44の回転力がスプール20に付与されているため、スプール20が停止した状態では、アダプタ112の外歯122はベースプレート92の中心周りのパウル130の回転を規制し、パウル130がベースプレート92の巻取方向への回転を規制する。さらに、ベースプレート92はトルクリミッタ104を介して外歯ギヤ102の巻取方向への回転を規制する。
【0117】
ここで、このようなトルクリミッタ104を介したベースプレート92による外歯ギヤ102の回転制限状態で、外歯ギヤ102が更に巻取方向に回転しようとし、このときの回転力がトルクリミッタ104のばね力を上回ると、トルクリミッタ104の係合部106が係合凹部100から抜け出る。これにより、一時的にベースプレート92と外歯ギヤ102との連結が解除され、隣接する他の係合凹部100に係合部106が入り込むまで外歯ギヤ102だけが巻取方向に回転する。このように、ベースプレート92と外歯ギヤ102との連結が解除されることで、ベースプレート92への外歯ギヤ102の回転力の伝達、すなわち、スプール20へのモータ44の回転力の伝達が遮断されるため、ウエビングベルト28による拘束力の上昇を抑制できる。
【0118】
以上のように、本ウエビング巻取装置10に用いられたクラッチ90は、回転力を伝達する機能を有しているのみならず、過剰な回転力が作用した場合には、トルクリミッタ104により回転力の伝達を遮断できる。以上のような効果を得られるにも関わらず、トルクリミッタ104の幅寸法(外歯ギヤ102の軸方向に沿った寸法)が、外歯ギヤ102の軸方向寸法未満で、回転盤140やトルクリミッタ104は全て外歯ギヤ102の半径方向に沿った外歯ギヤ102とベースプレート92の周壁96との間に配置される。
【0119】
しかも、パウル130や回転盤140等の部材も周壁96の半径方向に沿った周壁96とアダプタ112との間に配置され、これらの部材は、外歯ギヤ102の内側に収容される。このため、クラッチ90の厚さ寸法(軸方向寸法)は、実質的に外歯ギヤ102の軸方向寸法となり、極めて薄くなる。
【0120】
このように、トルクリミッタ104を備えたクラッチ90を薄くできることで、本ウエビング巻取装置10を小型化できる。
【0121】
<第2の実施の形態の構成>
次に、本発明のその他の実施の形態について説明する。なお、以下の各実施の形態を説明するうえで、前記第1の実施の形態を含めて説明している実施の形態よりも前出の実施の形態と基本的に同一の部位に関しては、同一の符号を付与してその詳細な説明を省略する。
【0122】
図8には、本発明の第2の実施の形態に係るクラッチ機構を採用したウエビング巻取装置210の構成が正面図により示されている。
【0123】
この図に示されるように、本ウエビング巻取装置210はブレーキ機構60やクラッチ90を備えておらず、代わりに、クラッチ機構としてのクラッチ220を備えている。以下、クラッチ220について説明する。
【0124】
(クラッチ220の構成)
図9には、本ウエビング巻取装置210に用いられるクラッチ220の分解斜視図が示されている。この図に示されるように、クラッチ220はトルクリミッタ222を備えている。トルクリミッタ222は外歯ギヤ102の内周部と周壁96の外周部との間に形成された環状の隙間に配置されている点についてはトルクリミッタ104と同じであるが、トルクリミッタ104とは異なりトルクリミッタ222はばね性を有する金属等により全体的に軸方向寸法が外歯ギヤ102の軸方向寸法未満の略リング状に形成されている。
【0125】
トルクリミッタ222はその半径方向に沿って厚さ方向とされており、その厚さ方向に貫通した係合孔224がトルクリミッタ222の所定間隔毎(本実施の形態では、トルクリミッタ222の中心周りに略45度毎)に形成されている。
【0126】
図10乃至図12に示されるように、各係合孔224には外歯ギヤ102の内周部に一定間隔毎に形成された係合突起226が入り込んでおり、トルクリミッタ222に対して外歯ギヤ102が回転しようとすると、係合孔224の内周部が係合突起226に干渉してトルクリミッタ222に対する外歯ギヤ102の相対回転を規制する(すなわち、基本的にトルクリミッタ222と外歯ギヤ102とは略一体的に連結されている)。
【0127】
また、図9に示されるように、トルクリミッタ222にはその周方向に沿って複数の切込み228が一定間隔毎に形成されている。これらの切込み228は、トルクリミッタ222の軸方向略中央(幅方向略中央)に一端が位置しており、その長手方向がトルクリミッタ222の周方向に沿っている。さらに、切込み228は長手方向他端側で略直角に屈曲しており、他端がトルクリミッタ222の軸方向に沿って長手となるように形成された後、トルクリミッタ222の軸方向一端(幅方向一端)で開口している。
【0128】
以上のような切込み228を形成することで、トルクリミッタ222の軸方向中央部よりも一端側には、切込み228の一端の側方にて基端部がトルクリミッタ222の本体部分に接続され、先端側が自由端となったばね片230がトルクリミッタ222の中心周りに複数形成される。ばね片230の先端には、トルクリミッタ222の半径方向中央側へ向けて突出する如く屈曲形成された係合部106が形成されている。各係合部106は、上述した周壁96(ベースプレート92)に形成された複数の係合凹部100に対応しており、図10乃至図12に示されるように、周壁96が外歯ギヤ102の内側に略同軸的に位置した状態では、係合部106が複数の係合凹部100の何れかに入り込んでいる。
【0129】
上述したように、係合孔224には係合突起226が入り込んでいるため、ベースプレート92に対して外歯ギヤ102がベースプレート92の軸心周りに相対回転しようとすると、当然、トルクリミッタ222も外歯ギヤ102と共に一体的に回転しようとする。しかしながら、各ばね片230の係合部106が係合凹部100に入り込んでいることで、周壁96の周方向に沿って係合部106が回転しようとすると係合凹部100が係合部106に干渉し、係合部106の回転を規制する。これにより、ベースプレート92に対する外歯ギヤ102の相対回転が規制され、基本的には、外歯ギヤ102とベースプレート92とが一体的に連結される構成となっている。
【0130】
但し、上記のように、トルクリミッタ222がばね性を有する金属等により形成されているため、ばね片230もまた当然ばね性を有している。したがって、ベースプレート92に対する外歯ギヤ102の相対回転で生じる回転力が、ばね片230のばね力(付勢力)に抗して係合部106を係合凹部100から抜け出させるのに充分な大きさであれば、係合凹部100による係合部106への干渉が解除されるため、ベースプレート92に対する外歯ギヤ102の相対回転が可能となる構成である。
【0131】
また、図9乃至図12に示されるように、クラッチ220の各ボス124には連結部材としてのパウル240が設けられている。各パウル240は本体242を備えている。本体242は内径寸法がボス124の外径寸法よりも極僅かに大きなリング状に形成されており、ボス124が本体242を貫通する如く本体242がボス124に嵌め込まれることで、パウル240がボス124周りに回転自在に軸支される。本体242の外周一部には連結片244が形成されている。
【0132】
連結片244は本体242の軸方向に沿った寸法が本体242よりも充分に大きく、ベース部94と対向する側の面は連結片244と本体242とが略面一になるが、ベース部94とは反対側では、連結片244が本体242よりもベースプレート92の軸方向他端側へ突出している。このように、連結片244は本体242の軸方向に沿った寸法が本体242よりも長いため、連結片244は、概ね、その延出方向に沿って長手方向で、本体242の軸方向に沿って幅方向の舌片状となっている。
【0133】
また、各連結片244は、本体242がボス124に軸支された状態で、本体242に対してスプール20の巻取方向側へ延出されるように形成されている。さらに、各連結片244はボス124周りに巻取方向へ所定角度回動することで、先端244Aの角部が上述したアダプタ112の外歯122と外歯122との間でアダプタ112の外周部に当接するように形成されている。また、各連結片244の先端244Aは、上述したアダプタ112の歯の引出方向側の面に対応して傾斜した斜面とされており、先端244Aが外歯122に当接して干渉することで引出方向へのアダプタ112の回転を規制する構造となっている。
【0134】
ここで、上述したように、ボス124は円孔30を介して対向するように形成されているため、基本的に同一形状である両パウル240の各先端244Aの角部がアダプタ112の外周面に接した状態では、アダプタ112の軸心を介して一方のパウル240の先端244Aとは反対側に他方のパウル240の先端244Aが位置することになる。したがって、アダプタ112の外周部に形成された外歯122の総数が偶数で、アダプタ112の軸心を介して何れかの外歯122の反対側にも外歯122が形成されているのであれば、両パウル240の先端244Aが共に外歯122に当接する構造となる。
【0135】
しかしながら、本実施の形態では、上述したように、アダプタ112の外周部に形成された外歯122の総数は奇数となっている。このため、一方のパウル240の先端244Aが外歯122に当接している状態では、他方のパウル240の先端244Aはアダプタ112の周方向に沿って外歯122から離間している(すなわち、他方の連結片244の先端244Aは外歯122に接していない)。
【0136】
一方、各本体242の外周部からは解除片246が延出されている。解除片246は概ね本体242を介して連結片244とは反対側に形成されており、先端側へ向けて漸次ベースプレート92の軸心側へ湾曲している。解除片246を引出方向に回動させることで、連結片244をアダプタ112の外周部から離間する方向へ回動する。また、解除片246は連結片244と同様に本体242の軸方向に沿った寸法が本体242よりも大きく、ベース部94側で本体242と解除片246とが面一で、ベース部94とは反対側へ向けて本体242よりも解除片246が突出している。
【0137】
これに対して、パウル240の本体242よりもボス124の先端側では、連結部材としてのパウル250の本体252がボス124周りに回転自在に軸支されている。各パウル250は基本的にパウル240と同じ構成で、本体252の軸方向に沿った寸法が本体252よりも大きな連結片254と解除片256が本体252の外周部から延出された構成であるが、パウル240とは異なりパウル250は、本体252がボス124に支持された状態で本体252よりも引出方向側に連結片254が形成され、巻取方向側に解除片256が形成されている。
【0138】
また、パウル240とは異なりパウル250は、ベース部94とは反対側で本体252と連結片254及び解除片256が面一で、連結片254及び解除片256が本体252よりもベース部94側に突出した構成である。したがって、パウル250は、連結片254がボス124周りに引出方向へ所定角度回動することで、連結片254の先端254Aの角部が外歯122と外歯122との間でアダプタ112の外周部に当接し、更に、先端254Aが外歯122の巻取方向側の面に接することで巻取方向へのアダプタ112の回転を規制する。
【0139】
さらに、クラッチ220は、連結強制部材としてのイナーシャルプレート260を備えている。イナーシャルプレート260はベースプレート92及びアダプタ112の軸方向に沿って厚さ方向とされた略板状のベース部262を備えている。ベース部262には円孔264が形成されている。円孔264の内径寸法は、アダプタ112の軸方向他端側でアダプタ112の外周部に対して同軸的に形成された筒部114の外径寸法よりも極僅かに大きく、円孔264に筒部114が貫通する如く組み付けられることで、ベース部262、ひいては、イナーシャルプレート260がアダプタ112周りに回転自在にアダプタ112に軸支される。
【0140】
また、ベース部262のベース部94側の面には、連結強制手段としての一対のブロック266が形成されている。これらのブロック266は、円孔264を介して互いに対向する如く形成されており、円孔264の外側で一対のブロック266の一方の間隙に上述したボス124の一方が位置しており、円孔264を介してこの間隙とは反対側での一対のブロック266の間隙に他方のボス124が位置している。
【0141】
一対のブロック266のうちの一方の外周部(円孔264の半径方向に沿った各ブロック266の外側面)には、スプリング収容部268が形成されており、付勢部材としての圧縮コイルスプリング270が収容されている。
【0142】
圧縮コイルスプリング270は、円孔264の中心周りに湾曲した状態でスプリング収容部268に収容されており、その巻取方向側の端部はスプリング収容部268の壁部268Aに当接、引出方向側の端部はベースプレート92の周壁96の内周部から延出されてスプリング収容部268内に入り込んだ当接壁152に当接している。
【0143】
イナーシャルプレート260は、アダプタ112の筒部114に回転自在に軸支されているため、基本的には、アダプタ112のみならずベースプレート92に対しても相対回転自在である。しかしながら、上記のように、圧縮コイルスプリング270の巻取方向側端部がスプリング収容部268の壁部268Aに当接し、引出方向側端部がベースプレート92の当接壁152に当接していることから、イナーシャルプレート260に対してベースプレート92が巻取方向へ相対回転しようとすると、当接壁152が圧縮コイルスプリング270を介してイナーシャルプレート260を巻取方向に押圧してイナーシャルプレート260をベースプレート92の回転に追従回転させる。このため、圧縮コイルスプリング270の付勢力に抗し得る大きさの回転力がイナーシャルプレート260に作用しない限り、イナーシャルプレート260に対するベースプレート92の巻取方向への相対回転は制限される。
【0144】
一方、一対のブロック266のうちの他方の外周部(円孔264の半径方向に沿った各ブロック266の外側面)には、スプリング収容部272が形成されており、付勢部材としての圧縮コイルスプリング274が収容されている。スプリング収容部272、圧縮コイルスプリング274、当接壁272Aは、円孔264の中心にスプリング収容部268、圧縮コイルスプリング270、当接壁152とは対称的に設けられている。したがって、ベースプレート92がアダプタ112周りに引出方向に回転すると、圧縮コイルスプリング270がその付勢力でベースプレート92に追従させるようにイナーシャルプレート260を引出方向に回転させる。
【0145】
このように、イナーシャルプレート260に対する圧縮コイルスプリング270と圧縮コイルスプリング274の付勢力は、ベースプレート92及びイナーシャルプレート260の中心周りに反対方向に作用するため、通常は、ベースプレート92に対するイナーシャルプレート260の回転位置が、圧縮コイルスプリング270の付勢力と圧縮コイルスプリング274の付勢力とがバランスする位置で保たれる。
【0146】
また、各ブロック266の内周部には押圧部276が形成されている。これらの押圧部276はパウル240の巻取方向側に形成されており、各押圧部276に対応して各パウル240の連結片244の幅方向外端には、斜面278が形成されている。斜面278は巻取方向に対してベースプレート92の半径方向外方へ傾斜しており、先端244Aがアダプタ112の外周部に接していない状態では、ベースプレート92及びイナーシャルプレート260の周方向に沿って押圧部276と対向している。
【0147】
押圧部276は、ベースプレート92がイナーシャルプレート260に対して巻取方向へ所定量相対回転することで斜面278に当接するように形成されており、この当接状態から更にベースプレート92がイナーシャルプレート260に対して巻取方向へ相対回転しようとした際には、斜面278が押圧部276によって引出方向に押圧され、この押圧力によりパウル240がボス124周りに巻取方向に回動する。
【0148】
また、各ブロック266の内周部には押圧部280が形成されている。押圧部280はイナーシャルプレート260の周方向に沿ったブロック266の中央部分を介して押圧部276とは反対側に形成されている。これらの押圧部280はパウル250の引出方向側に形成されており、各押圧部280に対応して各パウル250の連結片254の幅方向外端には、斜面282が形成されている。斜面282は引出方向に対してベースプレート92の半径方向外方へ傾斜しており、先端254Aがアダプタ112の外周部に接していない状態では、ベースプレート92及びイナーシャルプレート260の周方向に沿って押圧部280と対向している。
【0149】
押圧部280は、ベースプレート92がイナーシャルプレート260に対して引出方向へ所定量相対回転することで斜面282に当接するように形成されており、この当接状態から更にベースプレート92がイナーシャルプレート260に対して引出方向へ相対回転しようとした際には、斜面282が押圧部280によって巻取方向に押圧され、この押圧力によりパウル250がボス124周りに引出方向に回動する。
【0150】
さらに、イナーシャルプレート260の周方向に沿った各ブロック266の巻取方向側の端部には、押圧部166が形成されていると共に押圧部166よりもイナーシャルプレート260の軸心側には解除片収容部168が形成されている。押圧部166は、イナーシャルプレート260の周方向に沿ってパウル240の解除片246に対応して形成されている。
【0151】
解除片246は本体242との連結部分(基端部)から先端側へ向けて漸次ベースプレート92の軸心側へ湾曲しており、その幅方向外側面も同様に湾曲している。したがって、イナーシャルプレート260に対してベースプレート92が引出方向に所定量相対回転すると、押圧部166が解除片246の幅方向外側面に当接し、この当接状態で更にイナーシャルプレート260に対してベースプレート92が引出方向に相対回転すると、押圧部166が解除片246の先端部を巻取方向に押圧する。
【0152】
ここで、解除片246の先端は、引出方向に対してイナーシャルプレート260の半径方向外方へ傾斜した斜面とされている。このため、解除片246の先端を押圧部166が押圧することで、パウル240をボス124周りに引出方向に回動さて解除片収容部168に案内する。
【0153】
これに対して、イナーシャルプレート260の周方向に沿った各ブロック266の巻取方向側の端部には、押圧部284が形成されていると共に押圧部284よりもイナーシャルプレート260の軸心側には解除片収容部286が形成されている。これらの押圧部284及び解除片収容部286は、ブロック266の周方向中央を境として押圧部166及び解除片収容部168と対称となるように形勢されており、押圧部284が解除片256の幅方向外側面に当接して引出方向に押圧することで、パウル250をボス124周りに巻取方向に回動させて、解除片収容部286に案内する構造となっている。
【0154】
また、イナーシャルプレート260のベース部262とベースプレート92のベース部94との間には、合成樹脂材によってリング状に形成されたスペーサ118が配置されている。スペーサ118は、アダプタ112の筒部114に軸支されており、軸方向一方の端面はイナーシャルプレート260のベース部262に当接し、軸方向他方の端面はアダプタ112の本体部分の筒部114との接続部分における端面に当接している。
【0155】
以上の構成のクラッチ220は、上述した外歯ギヤ102がギヤ212に噛み合っている。
【0156】
<本実施の形態の作用、効果>
(前方障害物接近時におけるウエビング巻取装置210の動作)
前記第1の実施の形態と同様に、前方監視センサ54からの電気信号に基づいて障害物までの距離が所定値未満であるとECU52で判定されると、ECU52はドライバ46に対して制御信号を出力し、ドライバ46を介してモータ44に電流を流す。これにより、モータ44は所定値以上の速度で正転駆動し、出力軸50を正転させる。出力軸50の回転は、ギヤ56、212を介して減速されつつクラッチ220の外歯ギヤ102に伝達され、外歯ギヤ102を所定値以上の回転速度で巻取方向に回転させる。外歯ギヤ102は、トルクリミッタ222を介してベースプレート92に機械的に連結されているため、外歯ギヤ102が巻取方向に回転することでベースプレート92が巻取方向へ一体的に回転する。
【0157】
ベースプレート92が巻取方向に回転すると、当接壁152が圧縮コイルスプリング270の巻取方向側の端部を押圧し、更に、圧縮コイルスプリング270が付勢力でスプリング収容部268の壁部268Aを押圧することで、イナーシャルプレート260がベースプレート92に追従回転する。しかしながら、基本的にイナーシャルプレート260は自重による慣性でその場に留まろうとする。このため、モータ44の駆動力で急激にベースプレート92が所定値以上の速度で回転すると、圧縮コイルスプリング270の付勢力がイナーシャルプレート260を追従回転させるよりも先に(すなわち、圧縮コイルスプリング270の付勢力に抗して)ベースプレート92がイナーシャルプレート260に対して巻取方向に相対回転してしまう。
【0158】
このようにして、イナーシャルプレート260に対してベースプレート92が巻取方向へ所定量以上相対回転すると、イナーシャルプレート260のブロック266に形成された押圧部276が、パウル240の連結片244に当接する。この状態で更にイナーシャルプレート260に対してベースプレート92が巻取方向へ相対回転しようとすると、押圧部276が連結片244の斜面278を引出方向に押圧する。
【0159】
斜面278に付与された押圧力は、引出方向とイナーシャルプレート260及びベースプレート92の半径方向内方へ作用し、この半径方向内方への作用分がパウル240をボス124周りに巻取方向へ回動させる。図11に示されるように、パウル240はボス124周りに巻取方向へ回動することで、先端244Aの角部をアダプタ112の外周部に当接させ、この状態で巻取方向側で隣接する外歯122に当接するまでベースプレート92と共にベースプレート92の中心周りに巻取方向へ回転する。
【0160】
次いで、この状態で先端244Aが外歯122に当接し、更に、ベースプレート92が巻取方向に回転すると、パウル240の先端244Aが外歯122を巻取方向へ押圧してアダプタ112、ひいてはスプール20を巻取方向に回転させる。このスプール20の回転によりウエビングベルト28がスプール20に巻き取られる。これにより、ウエビングベルト28の緩み、所謂「スラック」が解消されて、ウエビングベルト28による乗員身体に対する拘束力が向上し、仮に、その後に乗員が車両急制動(急ブレーキ)の操作を行ない、車両が急減速状態になったとしてもウエビングベルト28が確実に乗員の身体を保持する。
【0161】
また、このように、スラックが解消された状態でモータ44が停止すると、巻取方向へのベースプレート92の回転が停止する。ベースプレート92の回転が停止すると圧縮コイルスプリング270が付勢力でイナーシャルプレート260を巻取方向に押圧し、圧縮コイルスプリング270の付勢力と圧縮コイルスプリング274の付勢力がバランスする位置までイナーシャルプレート260を巻取方向に回動させる。
【0162】
イナーシャルプレート260が回動すると、押圧部166がパウル240の解除片246に当接して、解除片246を巻取方向に押圧する。この押圧力を解除片246が受けることで、パウル240はボス124周りに引出方向へ回動し、連結片244の先端244Aがアダプタ112の外周部から離間する。これにより、ベースプレート92とアダプタ112との機械的連結、すなわち、モータ44の出力軸50と圧縮コイルスプリング270との機械的な連結が解除される。
【0163】
ここで、本実施の形態でもアダプタ112の外歯122の総数が奇数とされ、一方のパウル240の先端244Aが外歯122に当接している状態では、他方のパウル240の先端244Aはアダプタ112の周方向に沿って外歯122から離間し、アダプタ112の周方向に沿って巻取方向で隣接する外歯122と引出方向で隣接する外歯122との中間部に位置している。
【0164】
このため、前記第1の実施の形態と同様に一方のパウル240の先端244Aが外歯122の歯先に当接して噛み合うことができなくても、外歯122の略半ピッチ分だけベースプレート92が回動すれば、他方のパウル240の先端244Aが確実に外歯122に噛み合う。このため、確実且つ早急にベースプレート92の回転をアダプタ112に伝えることができ、モータ44の回転力をスプール20に伝えることができる。
【0165】
一方、前記第1の実施の形態と同様に、モータ44の回転力が必要以上にスプール20がウエビングベルト28を巻き取ろうとしたが、乗員の身体からウエビングベルト28に付与された反力(引張力)がスプール20を停止させた場合には、ベースプレート92がトルクリミッタ222を介して外歯ギヤ102の巻取方向への回転を規制する。
【0166】
ここで、このようなトルクリミッタ222を介したベースプレート92による外歯ギヤ102の回転制限状態で、外歯ギヤ102が更に巻取方向に回転しようとし、このときの回転力がトルクリミッタ222を構成するばね片230のばね力を上回ると、ばね片230の係合部106が係合凹部100から抜け出る。これにより、一時的にベースプレート92と外歯ギヤ102との連結が解除され、隣接する他の係合凹部100に係合部106が入り込むまで外歯ギヤ102だけが巻取方向に回転する。このように、ベースプレート92と外歯ギヤ102との連結が解除されることで、ベースプレート92への外歯ギヤ102の回転力の伝達、すなわち、スプール20へのモータ44の回転力の伝達が遮断されるため、ウエビングベルト28による拘束力の上昇を抑制できる。
【0167】
(障害物接近解消時におけるウエビング巻取装置210の動作)
一方、上記のような障害物に対する車両の接近が解消された場合、すなわち、車両が減速若しくは停止して前方を走行する車両が遠ざかった場合等について説明する。このような状態で、前方監視センサ54から出力された障害物までの距離に対応した電気信号がECU52に入力され、ECU52で障害物までの距離が所定値未満ではないと判定されると、先ず、ECU52では、メモリ等から現状がスラックを解消させた状態であるか否かが確認される。
【0168】
ECU52で障害物までの距離が所定値未満ではないと判定され現状がスラックを解消させた状態であると確認されると、ECU52はドライバ46に対して制御信号を出力し、ドライバ46を介してモータ44に電流を流す。但し、この場合の電流は、スラックを解消する場合に流した電流とは反対方向の電流が流される。これにより、モータ44は所定値以上の速度で逆転駆動し、出力軸50を逆転させ、外歯ギヤ102を所定値以上の回転速度で引出方向に回転させる。引出方向への外歯ギヤ102の回転は、トルクリミッタ222を介してベースプレート92に伝えられ、ベースプレート92が所定値以上の速度で引出方向へ回転させられる。
【0169】
ベースプレート92が所定値以上の速度で巻取方向へ回転した場合と同様に、ベースプレート92が所定値以上の速度で引出方向へ回転すると、慣性で留まろうとするイナーシャルプレート260に対してベースプレート92が引出方向へ相対回転する。イナーシャルプレート260に対してベースプレート92が引出方向へ所定量以上相対回転すると、イナーシャルプレート260のブロック266に形成された押圧部280が、パウル250の連結片254に当接する。
【0170】
この状態で更にイナーシャルプレート260に対してベースプレート92が引出方向へ相対回転しようとすると、押圧部280が連結片254の斜面282を巻取方向に押圧する。斜面282に付与された押圧力は、巻取方向とイナーシャルプレート260及びベースプレート92の半径方向内方へ作用し、この半径方向内方への作用分がパウル250をボス124周りに引出方向へ回動させる。
【0171】
図12に示されるように、パウル250はボス124周りに引出方向へ回動することで、先端254Aの角部をアダプタ112の外周部に当接させ、この状態で引出方向側で隣接する外歯122に当接するまでベースプレート92と共にベースプレート92の中心周りに引出方向へ回転する。
【0172】
次いで、この状態で先端254Aが外歯122に当接し、更に、ベースプレート92が引出方向に回転すると、パウル250の先端254Aが外歯122を引出方向へ押圧してアダプタ112、ひいてはスプール20を引出方向に回転させる。このスプール20の回転によりスプール20におけるウエビングベルト28の巻き締めが弛められ、ウエビングベルト28から乗員身体に与えられる圧迫感が軽減される。
【0173】
また、この状態でモータ44が停止すると、引出方向へのベースプレート92の回転が停止する。ベースプレート92の回転が停止すると圧縮コイルスプリング274が付勢力でイナーシャルプレート260を引出方向に押圧し、圧縮コイルスプリング274の付勢力と圧縮コイルスプリング270の付勢力がバランスする位置までイナーシャルプレート260を引出方向に回動させる。イナーシャルプレート260が回動すると、押圧部166がパウル250の解除片246に当接して、解除片246を引出方向に押圧する。
【0174】
この押圧力を解除片246が受けることで、パウル250はボス124周りに巻取方向へ回動し、連結片254の先端254Aがアダプタ112の外周部から離間する。これにより、ベースプレート92とアダプタ112との機械的連結、すなわち、モータ44の出力軸50と圧縮コイルスプリング274との機械的な連結が解除される。
【0175】
このように、本ウエビング巻取装置210のクラッチ220は、巻取方向及び引出方向の何れの方向を問わず、外歯ギヤ102の回転をアダプタ112に伝達でき、逆にアダプタ112からの回転は外歯ギヤ102に伝達しない構成である。このため、モータ44の所定値以上の速度で正転駆動及び逆転駆動させるだけでスプール20を巻取方向へも引出方向へも回転させることができる。
【0176】
これにより、上述したように、車両と障害物との間隔が小さくなった場合にウエビングベルト28による拘束力を向上でき、車両と障害物との間隔が大きくなった場合にウエビングベルト28から受ける圧迫感を軽減できる。また、基本的には、巻取方向回転伝達用のパウル240と引出方向回転伝達用のパウル250を設けることで両方向の回転伝達を実現しているため、クラッチ220の構造を簡素で小型にできる。これにより、本ウエビング巻取装置210の小型化及びコストの低減を図ることができる。
【0177】
また、これまで説明したように、クラッチ220は、前記第1の実施の形態におけるクラッチ90とは異なり、巻取方向及び引出方向の何れの方向を問わず、外歯ギヤ102の回転をアダプタ112に伝達できる構成である。また、クラッチ90に用いられたトルクリミッタ104が細幅板状であったのに対し、クラッチ220のトルクリミッタ222は筒状に形成されている。
【0178】
しかしながら、外歯ギヤ102と周壁96との間にトルクリミッタ222が配置されており、しかも、トルクリミッタ104での幅寸法に相当するトルクリミッタ222の軸方向寸法が外歯ギヤ102の軸方向寸法未満で、外歯ギヤ102と周壁96との間に配置されている点に関しては、クラッチ220はクラッチ90と同じである。
【0179】
また、クラッチ90では、パウル130が周壁96とアダプタ112との間に配置されていたが、クラッチ220でもパウル240、250やイナーシャルプレート260が周壁96とアダプタ112との間に配置されている。このため、クラッチ220の全体的な厚さ寸法を外歯102の軸方向寸法程度にすることができ、これにより、クラッチ220を薄型化でき、ウエビング巻取装置210を小型化できる。
【0180】
なお、本実施の形態では、ウエビングベルト28による圧迫感の軽減のためにモータ44の逆転駆動力をスプール20の引出方向への回転力に供する構成としたが、例えば、ウエビングベルト28装着時に乗員がウエビングベルト28を引っ張る際のアシスト等、他の目的のためにモータ44の逆転駆動力をスプール20の引出方向への回転力に供する構成としてもよい。
【0181】
<第3の実施の形態の構成>
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0182】
図13に示されるように、本実施の形態に係るウエビング巻取装置290は、前記第1の実施の形態に係るウエビング巻取装置10とは異なり、ブレーキ機構60及びクラッチ90を備えておらず、代わりに、ブレーキ機構300並びにクラッチ機構としてのクラッチ350を備えている。
【0183】
(ブレーキ機構300の構成)
図13及び図14に示されるように、モータ44の出力軸50の先端部に同一的且つ一体的に設けられたギヤ56はブレーキ機構300を構成する外歯のギヤ302に噛み合っている。ギヤ302は、歯数がギヤ56よりも充分に多く、更に、その軸方向両端がフレーム12の脚板16とブレーキ機構300のフレーム301に回転自在に軸支されている。
【0184】
ギヤ302の脚板16側には、ギヤ302よりも充分に歯数が少ないギヤ304がギヤ302に対して同軸的且つ一体的に設けられている。ギヤ304の上方では、ギヤ304よりも歯数が多いギヤ306がギヤ304に噛み合った状態で脚板16とフレーム301に回転自在に軸支されている。さらに、このギヤ306の上方では、後述するクラッチ350を構成する原動側回転体としての外歯の外歯ギヤ102がギヤ306に噛み合っており、出力軸50の回転がギヤ56、302、304、306を介して外歯ギヤ102に減速されて伝えられる。
【0185】
一方、ギヤ304の脚板16側には、アーム308が設けられている。アーム308はギヤ302の回転半径方向に沿って長手方向とされ、且つ、ギヤ302の軸方向に沿って厚さ方向とされた板状部材で、その長手方向基端側には、略円形のスプリング収容部310が形成されている。
【0186】
このスプリング収容部310にはフリクションスプリング312が収容されている。フリクションスプリング312は全体的に略リング状に形成されており、その内周部はギヤ304と一体の軸部314に摺接している。また、フリクションスプリング312の周方向両端は半径方向外側へ屈曲している。
【0187】
この屈曲したフリクションスプリング312の両端の間に対応してスプリング収容部310には壁部316が形成されており、アーム308に対してフリクションスプリング312が軸部314周りに回転しようとすると、フリクションスプリング312の両端の何れかが壁部316に干渉し、フリクションスプリング312が壁部316をその回転方向へ押圧する。
【0188】
一方、アーム308の先端側からはギヤ302側へ向けて軸部318が突出形成されている。この軸部318にはレバー320の基端部が軸部318周りに回動自在に軸支されている。レバー320は軸部318の半径方向に沿って長手方向とされ、且つ、ギヤ302の軸方向に沿って厚さ方向とされた板状部材で、その長手方向先端側には厚さ方向に貫通した透孔322が形成されており、略リング状に形成されたブレーキスプリング324の引出方向側の端部が嵌合している。
【0189】
(クラッチ350の構成)
一方、図16に示されるように、クラッチ350を構成する外歯ギヤ102を備えるクラッチ350はベースプレート92を備えている。ベースプレート92は円盤状のベース部94の外周部に沿って略リング状の周壁96が形成された軸方向寸法が極めて短い有底円筒状(若しくは浅底の盆状)に形成されている。ベースプレート92の軸方向一端側(図16の矢印C方向側)の開口端には、薄厚円盤状のカバー98が取り付けられており、基本的にベースプレート92の開口端が閉止されている。
【0190】
周壁96の外周部にはその周方向に沿って一定間隔毎に係合凹部100が形成されている。また、周壁96の外側には、ギヤ302よりも充分に歯数が多い略リング形状の外歯ギヤ102がベースプレート92に対して同軸的に配置されている。外歯ギヤ102の内径寸法は、周壁96の外径寸法よりも充分に大きく、外歯ギヤ102の内周部と周壁96の外周部との間には環状の隙間が形成されており、この環状の隙間に複数のトルクリミッタ104が周方向に断続的に配置されている。
【0191】
トルクリミッタ104は、ばね性を有する細幅の板状の金属片で、その長手方向量端部には上記の係合凹部100に入り込み可能な係合部106が形成されている。また、トルクリミッタ104の長手方向略中央には、係合部106の突出方向とは略反対方向に突出する如く屈曲した係合突起108が形成されている。
【0192】
この係合突起108に対応して外歯ギヤ102の内周部には係合凹部110が形成されており、係合凹部110に係合突起108が入り込んだ状態で係合部106が係合凹部100に入り込むことによりトルクリミッタ104を介してベースプレート92と外歯ギヤ102とが略一体的に連結されている。
【0193】
これにより、ベースプレート92に対して外歯ギヤ102がベースプレート92の軸心周りに相対回転しようとすると、当然、トルクリミッタ104も外歯ギヤ102と共に一体的に回転しようとする。しかしながら、トルクリミッタ104の各係合部106が係合凹部100に入り込んでいることで、周壁96の周方向に沿って係合部106が回転しようとすると係合凹部100が係合部106に干渉し、係合部106の回転を規制する。
【0194】
これにより、ベースプレート92に対する外歯ギヤ102の相対回転が規制され、基本的には、外歯ギヤ102とベースプレート92とが一体的に連結される構成となっている。
【0195】
但し、上記のように、トルクリミッタ104がばね性を有する金属片であるため、ベースプレート92に対する外歯ギヤ102の相対回転で生じる回転力が、トルクリミッタ104のばね力(付勢力)に抗して係合部106を係合凹部100から抜け出させるのに充分な大きさであれば、係合凹部100による係合部106への干渉が解除されるため、ベースプレート92に対する外歯ギヤ102の相対回転が可能となる構成である。
【0196】
一方、上述したベースプレート92の内側には、従動軸及び内側回転体としての略円筒形状のアダプタ352がベースプレート92に対して略同軸的に配置されている。アダプタ352は全体的にベースプレート92の軸方向に沿って厚さ方向(軸方向)とされた厚肉のリング状に形成されており、上述したスプール20が一体的且つ同軸的に嵌め込まれている。アダプタ352のベース部94側の端部には、合成樹脂材によってリング状に形成されたスペーサ118が嵌め込まれており、その軸方向一方の端面(図16の矢印Cとは反対方向側)はベース部94に当接している。
【0197】
また、アダプタ352の半径方向外方には、各々が連結部材としての複数(本実施の形態では3個)の連結ローラ354が配置されている。連結ローラ354は全体的に略円柱形状に形成されており、その軸方向はアダプタ352の軸方向、すなわち、スプール20の軸方向と略同方向とされている。さらに、連結ローラ354をベースプレート92の周壁96の間にはガイド部材としてのロックピース356が設けられている。
【0198】
ロックピース356は比較的強度が高い(一例としては、ベースプレート92を形成する材質よりも充分に機械的強度が高い)材質で形成されており、周壁96の内周部に形成されたピース取付部358に嵌め込まれた状態で周壁96に一体的に固定されている。
【0199】
アダプタ352及びベースプレート92の半径方向に沿ってロックピース356の連結ローラ354と対向する側の面はガイド面360とされている。ガイド面360は、アダプタ352の軸心周りの引出方向へ向けて漸次アダプタ352の外周面との距離が短くなる斜面若しくは湾曲面とされており、連結ローラ354がガイド面360に倣って引出方向側へ回動若しくは移動することにより、強制的にアダプタ352の外周面へ接近させられる構造となっている。
【0200】
さらに、ガイド面360の引出方向側の端部近傍では、アダプタ352の外周面との間隔(距離)が連結ローラ354の外径寸法と同じか極僅かに短くなるように設定されている。このため、ガイド面360の引出方向側の端部近傍まで連結ローラ354が移動すると、連結ローラ354はアダプタ352の外周部に接触する。
【0201】
また、連結ローラ354を介してベースプレート92のベース部94とは反対側には、連結強制部材としての回転盤362が設けられている。回転盤362はスプール20が貫通する円孔364が形成された板状のベース部366を備えており、基本的には、スプール20及びベースプレート92に対してスプール20の軸心周りに相対回転自在とされている。
【0202】
ベース部366の円孔364の周囲には複数の周壁368が形成されている。周壁368は円孔364と同心の仮想円周上に一定間隔毎に連結ローラ354と同じ数だけ形成されており、これらの周壁368の間に上述した連結ローラ354が配置される。アダプタ352の軸心周りに周壁368の引出方向(図16及び図17の矢印B方向)側の端部には強制連結手段としての規制壁370が形成されている。アダプタ352の軸心周りに巻取方向へ連結ローラ354が所定量以上移動しようとした際には、連結ローラ354の外周部に規制壁370が干渉して連結ローラ354の移動を制限する。
【0203】
これに対して、アダプタ352の軸心周りに周壁368の巻取方向(図16及び図17のの矢印A方向)側の端部には強制解除手段としての楔状部372が形成されている。楔状部372は巻取方向へ向けて漸次肉厚が薄くなるテーパ状に形成されており、回転盤362が連結ローラ354に対して巻取方向側へ回動することで楔状部372がアダプタ352の外周部近傍で連結ローラ354の外周部に干渉し、連結ローラ354をアダプタ352の外周部から離間させる方向へ押圧する構造となっている。
【0204】
また、複数の周壁368のうちの1つには、スプリング取付部374が形成されており、付勢部材としての圧縮コイルスプリング150が取り付けられている。圧縮コイルスプリング150は、軸方向が概ね周壁96の内周形状に沿うように湾曲し、その巻取方向側の端部はスプリング取付部374の壁部374Aに当接し、引出方向側の端部は周壁96の内周部に形成された当接壁376に当接している。
【0205】
上記のように、回転盤362は基本的にアダプタ352及びベースプレート92に対してアダプタ352の軸心周りに相対回転自在である。しかしながら、回転盤362に対してベースプレート92が相対的に巻取方向へ回転しようとした場合には、当接壁376が圧縮コイルスプリング150の他端部を巻取方向側へ押圧し、これにより、増加する圧縮コイルスプリング150の付勢力が壁部374Aを巻取方向へ押圧し、回転盤362を巻取方向へ回動させる。
【0206】
したがって、回転盤362に対してベースプレート92が相対的に巻取方向へ回転しようとした場合には、圧縮コイルスプリング150の付勢力によって回転盤362がベースプレート92の回動に追従しようとする。
【0207】
一方、カバー98を介して回転盤362とは反対側(すなわち、カバー98の外側)には、摩擦リング378がアダプタ352に対して同軸的に配置されている。摩擦リング378は全体的に略リング状に形成されていると共に、その外周部には上述したブレーキスプリング324を収容する環状の収容溝380が形成されている。収容溝380の底部における収容溝380の外径寸法はブレーキスプリング324の内径寸法に略等しく、収容溝380の底部にブレーキスプリング324の内周部が摺接している。
【0208】
また、摩擦リング378の内周部からは舌片状の複数(本実施の形態では3つ)の取付片382が延出されており、カバー98に形成された開口384を貫通したネジ等の締結手段によって回転盤362のベース部366へ一体的に連結されており、これにより、回転盤362と摩擦リング378とが一体となっている。
【0209】
以上の構成のクラッチ350は、上述した外歯ギヤ102がギヤ306に噛み合っている。
【0210】
<本実施の形態の作用、効果>
次に、本ウエビング巻取装置10の動作の説明を通して、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
【0211】
(前方障害物接近時におけるウエビング巻取装置10の動作)
本実施の形態においても、車両の走行状態では、前方監視センサ54が車両の前方の障害物までの距離を検出している。さらに、前方監視センサ54からは、障害物までの距離に対応した信号レベルを有する電気信号が出力される。
【0212】
前方監視センサ54から出力された電気信号はECU52に入力され、ECU52では前方監視センサ54からの電気信号に基づいて障害物までの距離が所定値未満であるか否かが判定される。
【0213】
次いで、障害物までの距離が所定値未満であるとECU52で判定されると、ECU52はドライバ46に対して制御信号を出力し、ドライバ46を介してモータ44に電流を流す。これにより、モータ44は所定値以上の速度で正転駆動し、出力軸50を正転させる。出力軸50の回転は、ギヤ56、302、304、306を介して減速されつつクラッチ350の外歯ギヤ102に伝達され、外歯ギヤ102を所定値以上の回転速度で巻取方向に回転させる。
【0214】
外歯ギヤ102は、トルクリミッタ104を介してベースプレート92に機械的に連結されているため、外歯ギヤ102が巻取方向に回転することでベースプレート92が巻取方向へ一体的に回転する。
【0215】
ベースプレート92が巻取方向に回転すると、当接壁376が圧縮コイルスプリング150の引出方向側の端部を押圧し、更に、圧縮コイルスプリング150が付勢力でスプリング収容部148の壁部148Aを押圧することで、回転盤362がベースプレート92に追従回転しようとする。
【0216】
一方、上記のように、出力軸50の回転がギヤ56の回転がギヤ302に伝えられてギヤ302が回転すると軸部314が回転し、軸部314が回転することでフリクションスプリング312の内周部との間に生じた摩擦力がフリクションスプリング312を回転させようとする。フリクションスプリング312は伝えられた回転力によって壁部316を押圧し、アーム308を軸部314周りに回動させる。
【0217】
アーム308が回動することにより、レバー320の基端部が軸部314周りに回動し、これにより、レバー320がブレーキスプリング324の一端(レバー320の先端に係合した側の端部)を引出方向(図16及び図17の矢印B方向)側へ回動させる。
【0218】
上記のようにブレーキスプリング324の内周部は摩擦リング378の収容溝380の底部に摺接しているため、ブレーキスプリング324が回動することで、収容溝380の底部との間に摩擦力が生じる。
【0219】
この摩擦力は、ブレーキスプリング324の回動を規制するように作用する。このため、ブレーキスプリング324の他端側では一端側の回動に追従しない。これにより、ブレーキスプリング324は、収容溝380の底部を締め付け、ブレーキスプリング324が摩擦リング378を、ひいては、摩擦リング378と一体の回転盤362を引出方向へ回動させようとする。このような回転盤362自体の引出方向への回転と、外歯ギヤ102で受けた回転力とにより、ベースプレート92は回転盤362に対して巻取方向へ相対回転する。
【0220】
このようにして、回転盤362に対してベースプレート92が巻取方向へ相対回転すると、ベースプレート92のベース部94に固定されたロックピース356のガイド面360が、連結ローラ354を押圧してアダプタ352の軸心周りに連結ローラ354を巻取方向へ回動させる。所定量連結ローラ354が回動すると、規制壁370が連結ローラ354の外周部に干渉し、連結ローラ354の回動が規制される。
【0221】
この状態で更にガイド面360が連結ローラ354を押圧することで連結ローラ354はアダプタ352の外周部へ接近移動させられる。連結ローラ354がアダプタ352の外周部へ接触するまでガイド面360が連結ローラ354を押圧することで、連結ローラ354はアダプタ352の外周部とガイド面360との間に挟み込まれ、アダプタ352の外周部とガイド面360の双方に連結ローラ354が圧接する(図18参照)。
【0222】
これにより、ベースプレート92の回転がロックピース356及び連結ローラ354を介してアダプタ352へ伝えられ、アダプタ352、ひいてはアダプタ352と一体のスプール20が巻取方向へ回転させられる。
【0223】
このスプール20の回転によりウエビングベルト28がスプール20に巻き取られる。これにより、ウエビングベルト28の緩み、所謂「スラック」が解消されて、ウエビングベルト28による乗員身体に対する拘束力が向上し、仮に、その後に乗員が車両急制動(急ブレーキ)の操作を行ない、車両が急減速状態になったとしてもウエビングベルト28が確実に乗員の身体を保持する。
【0224】
また、このように、スラックが解消された状態でモータ44が停止すると、巻取方向へのベースプレート92の回転が停止する。ベースプレート92の回転が停止すると圧縮コイルスプリング150が付勢力で回転盤362を巻取方向に押圧し、回転盤362を巻取方向に回動させる。
【0225】
回転盤362が回動すると、楔状部372が連結ローラ354の外周部を押圧して連結ローラ354をアダプタ352の外周部から離間させる。これにより、ベースプレート92とアダプタ352との機械的連結、すなわち、モータ44の出力軸50と圧縮コイルスプリング150との機械的な連結が解除される(図17参照)。
【0226】
このように、本実施の形態では、楔状部372が強制的に連結ローラ354をアダプタ352の外周部から離間させるため、連結ローラ354とアダプタ352の外周部との間で生じた摩擦力等に起因して、不要に連結ローラ354とアダプタ352の外周部との圧接状態が維持されることはない。
【0227】
ところで、上記のように、連結ローラ354はロックピース356のガイド面360に押圧されることで移動し、アダプタ352の外周部に圧接する構造であるが、急激なベースプレート92の回動によりアダプタ352の外周部に連結ローラ354が圧接する際には、ロックピース356にも大きな荷重がかかる。
【0228】
ここで、本実施の形態では、ロックピース356はベースプレート92とは基本的に別体で構成されているため、ロックピース356のみの機械的強度を向上させることができる。このため、上記の荷重に充分に耐え得る強度を有する材質でロックピース356を成形することで重量が増加したとしても、この重量増加はロックピース356のみにとどまる。
【0229】
しかも、ロックピース356の機械的強度が向上することでベースプレート92全体の機械的強度を必要以上に増加させることがないため、ロックピース356を除いたベースプレート92全体としては、比較的重量が軽い材料を使用できる。このため、クラッチ350全体の軽量化を図ることができる。
【0230】
また、上記のように、連結ローラ354はガイド面360に押圧されて移動する構成であるため、ガイド面360の傾斜角度や曲率半径により、ベースプレート92が回動を開始してから連結ローラ354がアダプタ352の外周面に圧接するまでの時間等が微妙に異なる。
【0231】
ここで、本実施の形態では、上記のように、ロックピース356がベースプレート92とは別体で構成されて独立している。このため、ガイド面360の傾斜角度や曲率半径が異なる複数種類のロックピース356を車両の仕様や要求等に応じて適宜に選択することで、ベースプレート92をはじめとするロックピース356以外の部品を変更せずとも連結ローラ354がアダプタ352の外周面に圧接するまでの時間等の設定を容易に変更できる。
【0232】
一方、本実施の形態では、上記のようにブレーキ機構300により、ベースプレート92に対する回転盤362の追従回転を強制的に規制し、しかも、回転盤362を強制的に引出方向へ回動させることで、回転盤362に対するベースプレート92の巻取方向への相対回転素早く且つ確実に生じさせることができる。このため、上述した連結ローラ354の移動によるベースプレート92とアダプタ352との機械的な連結を素早く且つ確実に行なうことができる。
【0233】
また、上記のように、モータ44の回転力でスプール20を巻取方向に回転させることで、ウエビングベルト28のよる乗員身体に対する拘束力が向上するが、スラックが解消されるまでスプール20にウエビングベルト28が巻き取られた状態では、乗員の身体が障害となり基本的にはそれ以上スプール20にウエビングベルト28を巻き取ることはできなくなる。
【0234】
この状態でスプール20が更に巻取方向に回転してウエビングベルト28を巻き取ろうとすると、必要以上の力でウエビングベルト28が乗員の身体を締め付けることになり好ましくない。
【0235】
ここで、上記のように、必要以上にスプール20がウエビングベルト28を巻き取ろうとした場合には、乗員の身体がウエビングベルト28の巻き取りの障害となり、スプール20がウエビングベルト28を巻き取るための巻取力に応じた大きさの引張力が、乗員の身体からウエビングベルト28に付与される。この引張力はスプール20がウエビングベルト28を巻き取る方向とは反対に作用するため、引張力がウエビングベルト28に付与されることでスプール20は停止する。
【0236】
この状態では、外歯ギヤ102、ベースプレート92、連結ローラ354、及びアダプタ352を介してモータ44の回転力がスプール20に付与されているため、スプール20が停止した状態では、アダプタ352とガイド面360とに挟み込まれた連結ローラ354がロックピース356を介してベースプレート92の巻取方向への回転を規制する。さらに、ベースプレート92はトルクリミッタ104を介して外歯ギヤ102の巻取方向への回転を規制する。
【0237】
ここで、このようなトルクリミッタ104を介したベースプレート92による外歯ギヤ102の回転制限状態で、外歯ギヤ102が更に巻取方向に回転しようとし、このときの回転力がトルクリミッタ104のばね力を上回ると、トルクリミッタ104の係合部106が係合凹部100から抜け出る。これにより、一時的にベースプレート92と外歯ギヤ102との連結が解除され、隣接する他の係合凹部100に係合部106が入り込むまで外歯ギヤ102だけが巻取方向に回転する。
【0238】
このように、ベースプレート92と外歯ギヤ102との連結が解除されることで、ベースプレート92への外歯ギヤ102の回転力の伝達、すなわち、スプール20へのモータ44の回転力の伝達が遮断されるため、ウエビングベルト28による拘束力の上昇を抑制できる。
【0239】
また、これまで説明したように、クラッチ350は、前記第1の実施の形態におけるクラッチ90とは異なり、連結ローラ35によって外歯ギヤ102の回転をアダプタ352に伝える構成であったが、トルクリミッタ104に関しては、前記第1の実施の形態と同じである。また、クラッチ90では、回転盤140やパウル130が周壁96とアダプタ112との間に配置されていたが、クラッチ350でもパウル240、250や回転盤362が周壁96とアダプタ352との間に配置されている。このため、クラッチ350の全体的な厚さ寸法を外歯102の軸方向寸法程度にすることができ、これにより、クラッチ350を薄型化でき、ウエビング巻取装置210を小型化できる。
【0240】
なお、本実施の形態では、前方障害物までの距離が一定値以下となった場合の前方監視センサ54からの信号に基づいてECU52がドライバ46を介してモータ44を駆動させる構成であった。しかしながら、例えば、加速度センサによって車両の急減速状態を検出した場合に、モータ44を駆動させる構成としてもよい。
【0241】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るウエビング巻取装置では、駆動手段の駆動力を伝達するためのクラッチ機構にトルクリミッタを設けているが、全体的な軸方向寸法を原動側回転体の周壁の軸直交方の寸法におさめることができる。しかも、上記の各構成、周壁の軸方向に沿って重なり合うため、周壁の軸方向に沿った本ウエビング巻取装置のクラッチ機構の寸法も小さくできる。これにより、装置全体の小型化や薄型化が可能となる。
【0242】
また、本発明に係るクラッチ機構では、その軸直交方向(半径方向)に沿った寸法を、同方向に沿った外側回転体の寸法におさめることができる。しかも、上述したように本クラッチ機構の構成が配置されることで、外側周壁の軸方向に沿って各構成が重なり合うため、外側周壁の軸方向に沿った本クラッチ機構の寸法も小さくできる。したがって、例えば、本クラッチ機構を適用する各種装置の小型化や薄型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るウエビング巻取装置のクラッチ機構の分解斜視図である。
【図2】クラッチ機構の構造を示す側面図である。
【図3】従動軸に連結手段が係合した状態を示す図2に対応した側面図である。
【図4】一方の連結部材が従動軸の外歯の歯先に乗り上げた状態を示す図2に対応した側面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るウエビング巻取装置の構成の概略を示す正面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係るウエビング巻取装置のブレーキ機構の概略を示す斜視図である。
【図7】ブレーキ機構の構成の概略を示す側面図で(A)が通常状態、(B)が摺接状態を示す。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係るウエビング巻取装置の構成の概略を示す正面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係るウエビング巻取装置のクラッチ機構の分解斜視図である。
【図10】クラッチ機構の構造を示す側面図である。
【図11】巻取方向の回転を伝えている状態を示す図2に対応した側面図である。
【図12】引出方向の回転を伝えている状態を示す図2に対応した側面図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態に係るウエビング巻取装置のクラッチ機構の分解斜視図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態に係るウエビング巻取装置のブレーキ機構の概略を示す分解斜視図である。
【図15】本発明の第3の実施の形態に係るウエビング巻取装置のブレーキ機構の概略を示す側面図である。
【図16】本発明の第3の実施の形態に係るウエビング巻取装置のクラッチ機構の分解斜視図である。
【図17】クラッチ機構の構造を示す側面図である。
【図18】従動軸に連結手段が係合した状態を示す図17に対応した側面図である。
【符号の説明】
10 ウエビング巻取装置
20 スプール(巻取軸)
28 ウエビングベルト
44 モータ(駆動手段)
90 クラッチ
92 ベースプレート(中間回転体)
96 周壁(中間周壁)
102 外歯ギヤ(原動側回転体、外側回転体、外側周壁)
104 トルクリミッタ
112 アダプタ(従動側回転体、内側回転体)
130 パウル(連結部材)
140 回転盤(連結強制部材)
150 圧縮コイルスプリング(付勢部材)
210 ウエビング巻取装置
220 クラッチ
222 トルクリミッタ
240 パウル(連結部材)
250 パウル(連結部材)
260 イナーシャルプレート(連結強制部材)
270 圧縮コイルスプリング(付勢部材)
274 圧縮コイルスプリング(付勢部材)
290 ウエビング巻取装置
350 クラッチ
352 アダプタ(従動側回転体、内側回転体)
354 連結ローラ(連結部材)
Claims (4)
- 長尺帯状のウエビングベルトの基端部が係止された巻取軸を有し、前記巻取軸をその軸周り一方の巻取方向へ回転させることで前記巻取軸の周囲に前記ウエビングベルトを層状に巻き取り、前記ウエビングベルトを先端側へ引っ張ることで前記巻取軸を前記巻取方向とは反対の引出方向へ回転させつつ前記ウエビングベルトが引き出されるウエビング巻取装置であって、
前記巻取軸に対して同軸的且つ一体的に取り付けられた従動軸と、
自らの軸心近傍で前記従動軸が内側に配置される周壁を有し、前記従動軸に対して同軸的に相対回転可能で、且つ、駆動手段からの駆動力を受けることで前記従動軸の軸心周りに回転する原動側回転体と、
前記従動軸と前記周壁との間で前記周壁の内側に設けられ、前記原動側回転体の軸心周りに前記原動側回転体及び前記従動軸の双方に対して相対回転可能なリング状の中間回転体と、
前記中間回転体と前記従動軸の外周部との間に設けられて、前記原動側回転体の回転に連動して前記中間回転体と前記従動軸とを機械的に連結する連結部材と、
前記周壁の内周部と前記中間回転体の外周部との間に設けられて、一部が前記周壁及び前記中間回転体の何れか一方に係止されると共に、他の一部が前記周壁及び前記中間回転体の何れか他方に係合されて、前記周壁と前記中間回転体とを機械的に連結すると共に、前記中間回転体に対する前記周壁の相対的な所定値以上の回転力により前記係合が解除されるトルクリミッタと、
を備えることを特徴とするウエビング巻取装置。 - 前記原動側回転体の軸直交方向に沿って厚さ方向とされた略板状若しくは内径寸法が前記中間回転体の外径寸法よりも大きく外径寸法が前記周壁の内径寸法よりも小さな薄肉の筒状に形成されて、前記周壁の内周部と前記中間回転体の外周部との間で一部が前記周壁の内周部及び前記中間回転体の外周部の何れか一方に係止され、且つ、他の一部が自らの付勢力で前記周壁の内周部及び前記中間回転体の外周部の何れか他方の側へ弾性的に係合し、前記相対回転力が前記付勢力に抗した場合に前記弾性的な係合が解除される弾性部材を前記トルクリミッタとした、
ことを特徴とする請求項1記載のウエビング巻取装置。 - 前記周壁の内側で前記原動側回転体及び前記従動軸の双方に対して同軸的に相対回転可能に配置され、前記原動側回転体に対する相対回転により前記連結部材を作動させ、前記中間回転体と前記従動軸とを機械的に連結させる連結強制部材と、
前記周壁の内側で前記原動側回転体の回転に追従して回動可能に配置されると共に、前記原動側回転体の回転方向へ前記強制連結部材を付勢する付勢部材と、
を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のウエビング巻取装置。 - 外周形状及び内周形状が任意の筒状に形成された外側周壁を有する外側回転体と、
外径寸法が前記外側周壁の内径寸法よりも充分に小さく、外周形状及び内周形状が任意の筒状に形成されて前記外側周壁の内側に設けられた中間周壁を有し、
前記外側回転体の軸心周りに前記外側回転体に対して相対回転可能な中間回転体と、
前記中間周壁の内側で前記外側回転体及び前記中間回転体の双方に対して前記外側回転体の軸心周りに相対回転自在に設けられた内側回転体と、
前記外側周壁及び前記内側回転体の何れか一方と前記中間周壁との間に設けられ、所定の条件に基づき前記何れか一方と前記中間周壁とを機械的に連結して前記何れか一方と前記中間回転体とを一体的に回転させると共に、前記所定の条件の解除により前記機械的連結を解除する連結部材と、
前記外側周壁及び前記内側回転体の何れか他方と前記中間周壁との間に設けられ、前記何れか他方と前記中間周壁とを一体的に連結すると共に、前記何れか他方に対する前記中間周壁が相対的に回転しようとする際に生じる所定の大きさ以上の相対回転力により前記何れか他方と前記中間周壁との連結を解除するトルクリミッタと、
を備えるクラッチ機構。
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