JP2003151743A

JP2003151743A - 電磁調理器に使用可能な陶磁器製調理器具とその製造方法

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Publication number: JP2003151743A
Application number: JP2001350975A
Authority: JP
Inventors: Naoki Maru; 直樹丸
Original assignee: Individual
Current assignee: Individual
Priority date: 2001-11-16
Filing date: 2001-11-16
Publication date: 2003-05-23

Abstract

(57)【要約】【課題】外観上は直接火にかける陶磁器製の調理器具
と何ら変らず、勿論火にかけることもできるが、これを
電磁調理器にも使用することができるようにした新規な
陶磁器製の調理器具とその製造方法を提案する。【解決手段】粘土で所定の器具形状に成型する際に、
その底部に所定広さの空間部を形成すると共に、底面に
は該空間部が外部と通じる小径の注湯口と空気に逃がし
孔を開設しておき、この成型体を焼成後、上記注湯口か
ら導電性金属の溶湯を上記空間部内に鋳込むようにした
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、本来電磁調理器で
は使用できない土鍋や陶板等の陶磁器製の調理器具を、
電磁調理器にも使用可能とした陶磁器製調理器具とその
製造方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】電磁調理器は、磁気発生コイルに電流を
流して磁力線を生じさせ、電磁調理用の鍋等に無数の小
さな渦電流が起きて、磁力により鍋等そのものを発熱さ
せるようにしたもので、熱効率が良く、火を使わないの
で、ガス中毒や酸欠事故の心配がなく、安全かつクリー
ンな調理器具として、飲食店や一般家庭でも最近盛んに
使用されている。

【０００３】しかし、この電磁調理器にかける鍋等は導
電性のもの、即ち鉄、ステンレス鋼、銅、アルミニウム
等の金属製のものに限られ、導電性のない陶磁器製のも
のは材質上全く発熱しない。

【０００４】しかし、例えば湯どうふや水たきなどの鍋
料理では、金属製の鍋では風情がないので、土鍋などの
陶器あるいは磁気製の器具を使用したいという要望も強
い。

【０００５】そこで、この要望を満足させるため、例え
ば陶器鍋の底部に銅版やステンレス板を張り付けたもの
も提案されているが、金属板が外部に露出していると本
来陶磁器の持つ美感を著しく損ねてしまう。

【０００６】また、金属部が外から見えないようにする
ため、鍋等を製作する際、粘土成型中に内部に金属板を
セットして焼成することも考えられるが、粘土乾燥時の
収縮や焼成時の金属板の溶解等の問題があって、その製
作は極めて難しい。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、外観上は直
接火にかける陶磁器製の調理器具と何ら変らず、勿論火
にかけることもできるが、これを電磁調理器にも使用す
ることができるようにした新規な陶磁器製の調理器具と
その製造方法を提案するものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明では、鍋等の陶磁
器製の調理器具の製造工程において、当該器具の底部に
空間部を作って焼成を行い、焼成後にその空間部に導電
性金属の溶湯を鋳込むようにしたもので、いわば調理器
具自体を鋳型に見立てて、鋳造により製品を完成させる
ものである。

【０００９】即ち、第１に、本発明は器具底部に形成さ
れた空間部に、底面に開設した注湯口を介して鋳込まれ
た導電性金属が装填されてなる陶磁器製調理器具に関す
るものである。

【００１０】また、第２に、本発明は粘土で所定の器具
形状に成型する際に、その底部に所定広さの空間部を形
成すると共に、底面には該空間部が外部と通じる小径の
注湯口と空気に逃がし孔を開設しておき、この成型体を
焼成後、上記注湯口から導電性金属の溶湯を上記空間部
内に鋳込むようにした陶磁器製調理器の製造方法に関す
るものでもある。以下、本発明の実施形態を図により説
明する。

【００１１】

【発明の実施の形態】添付図は、本発明による陶磁器製
器具の一例として土鍋（陶器鍋）を製造する場合の工程
を示すもので、図１は焼成後の状態の鍋の断面説明図、
図２はその底面説明図であり、１は粘土を成型して焼成
した鍋本体で、該鍋本体１の底部には内底面にほぼ等し
い広さで厚さ（上下幅）数mmの空間部２が形成されてお
り、該本体１の外底面にはその片側に寄せて直径８〜１
２mm程度の注湯口３とそれと反対側に寄せて直径４〜８
mm程度の空気逃し孔４とがそれぞれ開設され、上記空間
部２と連通している。

【００１２】鍋本体１の製造過程で、その底部に上記空
間部２が形成されて、そのままの状態で焼成されるよう
にする方法としては、例えば粘土成型の際に、該空間部
個所にろうやポーラス状の樹脂等焼成により溶解あるい
は焼失するような材料を使用し充填しておく等、種々の
方法を採用することができる。そして、粘土により上記
形状に鍋本体１が形成されたら、乾燥後、焼成し、その
後放冷する。

【００１３】次に、鍋本体１を上下逆にして、上記底部
空間部２が外部と通じる上記注湯口３からるつぼ５を使
用して導電性金属、例えば銅、鉄、ステンレス鋼、アル
ミニウム等の溶湯６を空間部２内に鋳込んで行き、空気
逃し孔４から溶湯６が多少溢出して来るまで充填する
（図３参照）。

【００１４】そして、空間部２内に充満したこの金属溶
湯６が固化したら、注湯口３及び空気逃し孔４から若干
突出している金属部分をやすり等により研削して、本体
１底面をきれいに仕上げる。これにより、陶器製の鍋本
体１の底部には、導電性の固化金属７が薄く広く装填さ
れた形となり、この陶器鍋は電磁調理器でも使用するこ
とが可能となるのである。

【００１５】なお、この実施例では陶器鍋を例とした
が、本発明は電磁調理器で加温加熱したい陶磁器製器
具、例えば調理用陶板や小さな陶釜、ポット、湯のみ、
カップ、椀、皿、どんぶり等に適用してもよいことは勿
論である。

【００１６】

【発明の効果】本発明は上述のようにしてなり、器具底
面に小さな注湯口と空気逃し孔からわずかに金属部分が
露呈するだけで、外観上は通常の陶磁器製の調理器具と
何ら変らずに、これを電磁調理器で使用することがで
き、体裁も良好である。

【００１７】また、この陶磁製器具は通常の陶磁製調理
器具と同様に直接火にかけることも勿論可能で、底部に
銅等の金属が鋳込まれているので、通常のものより火に
かけたときの熱伝導効果も良くなる等、製造簡単にして
種々の利点を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る陶磁器製調理器具の製造過程の一
例を示したもので、図では焼成後の陶器鍋の断面説明図
を示している。

【図２】同、底面図である。

【図３】鍋底部の空間部に金属溶湯を注入している状態
を示す断面説明図である。

【図４】鍋底部の空間部に金属が鋳込まれた完成品の陶
器鍋を示す断面説明図である。

【符号の説明】

１−鍋本体２−空間部３−注湯口４−空気逃し孔５−るつぼ６−金属溶湯（溶融金属）７−固化金属

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】器具底部に形成された空間部に、底面に
開設した注湯口を介して鋳込まれた導電性金属が装填さ
れてなることを特徴とする電磁調理器に使用可能な陶磁
器製調理器具。
【請求項２】粘土で所定の器具形状に成型する際に、そ
の底部に所定広さの空間部を形成すると共に、底面には
該空間部が外部と通じる小径の注湯口と空気に逃がし孔
を開設しておき、この成型体を焼成後、上記注湯口から
導電性金属の溶湯を上記空間部内に鋳込むことを特徴と
する電磁調理器に使用可能な陶磁器製調理器の製造方
法。