JP2003145659A - 炭酸ガス選択透過性を有する積層フィルム及びそれにて包装した包装体 - Google Patents

炭酸ガス選択透過性を有する積層フィルム及びそれにて包装した包装体

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JP2003145659A
JP2003145659A JP2001343929A JP2001343929A JP2003145659A JP 2003145659 A JP2003145659 A JP 2003145659A JP 2001343929 A JP2001343929 A JP 2001343929A JP 2001343929 A JP2001343929 A JP 2001343929A JP 2003145659 A JP2003145659 A JP 2003145659A
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Tomonori Hosoda
友則 細田
Toru Saiga
徹 雑賀
Hiroyuki Oba
弘行 大場
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い炭酸ガス透過度と低い水蒸気透過度、及
び炭酸ガス透過度(CO2TR)と酸素ガス透過度(O2
TR)の比が大きい、炭酸ガス選択透過性を有する積層
フィルムを提供すること。 【解決手段】 外層、中間層及び内層の少なくとも3層
からなり、外層の厚さが20μm以上、75μm以下で
ある積層フィルムであって、炭酸ガス透過度(CO2
R)と酸素ガス透過度(O2TR)の比(CO2TR/O
2TR)が10以上であり、CO2TRが10000cm
3/m2.day.atm以上、且つ水蒸気透過度(WV
TR)が40g/m2.day以下である炭酸ガス選択
透過性を有する積層フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭酸ガス透過性が
高く、炭酸ガス透過度(CO2TR)と酸素ガス透過度
(O2TR)の比(CO2TR/O2TR)が大きく、且
つ水蒸気透過度(WVTR)が特定値以下である炭酸ガ
ス選択透過性を有する積層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】食品包装の分野において、炭酸ガスを選
択的に透過するフィルムについては、例えば、特開平5
−222215号公報にはポリビニルアルコール樹脂
と、アルキレングリコール、ヒドロキシ酸の単量体及び
それらの重合体の群から選ばれた少なくとも1種であ
り、且つ、炭酸ガスと酸素ガスの溶解度比が30以上で
ある化合物との組成物からなる食品包装用成形物につい
ての開示がある。この成形物から得られるフィルムは炭
酸ガスの発生が多く、酸素との接触を嫌う食品、例えば
チーズ製品、コーヒー豆等を包装するのに適しているこ
とが記載されている。特開平9−316208号公報に
は、ポリアクリル酸と脂肪族ジアミンからなる反応混合
物を熱処理することにより得られる皮膜は水に対する耐
性を有し、且つ、炭酸ガス透過度と酸素ガス透過度との
比が15以上を有することが記載されている。また、食
品包装の分野ではないが、特開平11−538号公報に
は、ポリアミン構造を有する高分子からなるフィルムは
炭酸ガスと酸素ガスとの透過度比が大きいとの記載があ
る。特開2000−327873号公報は、等電点が
7.5以上である塩基性アミノ酸とポリアルコールの混
合物からなる組成物に関する発明であって、炭酸ガス透
過度(PCO2)と酸素ガス透過度(PO2)の比(PC
2/PO2)が15以上の成形物の発明が記載されてい
る。又、特開2000−301674号公報は、ポリ−
4−メチル−1−ペンテン樹脂からなる樹脂層(a)お
よびポリ−4−メチル−1−ペンテン樹脂を含むヒート
シール性樹脂層(b)との積層体であって、全体の酸素
ガス透過度が10000〜80000(cm3/m2/2
4hr/atm:25℃)であり、炭酸ガス透過度が3
0000〜300000(cm3/m2/24hr/at
m:25℃)であり、ヒートシール強度が500(gf
/15mm)以上である青果物包装用フィルムに関する
発明を開示している。これらのうち気体選択透過性を有
する材料に対しては、特に食品包装用材料としての用途
開発が進展すると共に、食品衛生上の安全性を満たすと
云う観点からの包装材料が望まれている。具体的には、
高い炭酸ガス透過性を有し、酸素ガスに対し高い炭酸ガ
ス選択透過性を有し、且つ、水蒸気透過度が小さく、ヒ
ートシール性などの実用的な意味でのフィルムがその一
つである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高い炭酸ガ
ス透過度と低い水蒸気透過度、及び炭酸ガス透過度(C
2TR)と酸素ガス透過度(O2TR)の比が大きい、
炭酸ガス選択透過性を有する積層フィルムを提供するこ
とにある。
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を達成するために鋭意検討した結果、ポリ4−メチル−
ペンテン−1又はポリスチレンの層とポリエチレンの層
とからなる特定厚さの外層、特定組成物からなる炭酸ガ
ス選択透過性を有する中間層、及び内層の少なくとも3
層からなる積層フィルムがかかる課題を解決し得ること
を見い出し、本発明を完成するに至った。
【0004】すなわち本発明は、外層、中間層及び内層
の少なくとも3層からなり、外層の厚さが20μm以
上、75μm以下である積層フィルムであって、外層の
厚さが20μm以上、75μm以下であり、炭酸ガス透
過度(CO2TR)と酸素ガス透過度(O2TR)の比
(CO2TR/O2TR)が10以上であり、CO2TR
が10000cm3/m2.day.atm以上、且つ水
蒸気透過度(WVTR)が40g/m2.day以下で
ある炭酸ガス選択透過性を有する積層フィルムを提供す
る。外層の伸度5%時における荷重が2.5N以上、C
2TRが25000cm3/m2.day.atm以
上、且つ、WVTRが40g/m2.atm以下である
前記発明の炭酸ガス選択透過性を有する積層フィルムを
提供する。外層および内層が熱可塑性樹脂からなる前記
発明の炭酸ガス選択透過性を有する積層フィルムを提供
する。前記発明において外層がポリ4−メチル−ペンテ
ン−1からなる最外層とポリエチレン類からなる隣接層
との積層体である炭酸ガス選択透過性を有する積層フィ
ルム、及び外層がポリスチレン類からなる最外層とポリ
エチレン類からなる隣接層との積層体である炭酸ガス選
択透過性を有する積層フィルムを提供する。また、中間
層が脱アセチル化度70モル%以上であるキトサン又は
脱アセチル化度70モル%以上であるキトサンとモンモ
リロナイトの組成物からなりキトサンとモンモリロナイ
トの質量割合が99/1〜10/90である前記発明の
炭酸ガス選択透過性を有する積層フィルムを提供する。
【0005】中間層が塩基性アミノ酸とポリアルコール
の混合物からなり、塩基性アミノ酸の塩基性を示すアミ
ノ基もしくはイミノ基とポリアルコールの水酸基との混
合割合がモル比で0.025/1〜2.0/1である前
記発明の炭酸ガス選択透過性を有する積層フィルムを提
供する。前記発明において中間層を構成するフィルムの
厚さが0.01〜3.0μmである炭酸ガス選択透過性
を有する積層フィルムを提供する。また、内層を構成す
るフィルムの厚さが10〜80μmである炭酸ガス選択
透過性を有する積層フィルムを提供する。食品包装用で
ある前記発明の炭酸ガス選択透過性を有する積層フィル
ムを提供する。食品がコーヒー、ヨーグルト、チーズ
類、味噌類、漬物類、もろみ、根菜類、菌茸類、葉茎菜
類、果菜類または生果類であるの前記炭酸ガス選択透過
性を有する積層フィルムを提供する。食品がコーヒー、
ヨーグルト、チーズ類、味噌類、漬物類、もろみ、根菜
類、菌茸類、葉茎菜類、果菜類または生果類である炭酸
ガス選択透過性を有する前記積層フィルムにて包装した
包装体を提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。本
発明は、特定厚みを有する外層、特定組成物からなる炭
酸ガス選択透過性を有する中間層、及び内層からなる少
なくとも3層の積層フィルムであって、外側層及び内層
は中間層の有する炭酸ガス選択透過性の機能をできるだ
け損なうことのない様に設定された炭酸ガス選択透過性
を有する積層フィルムである。本発明を構成する外側層
及び内側層において、外層は20μm以上、75μm以
下、好ましくは25〜70μmの厚さを有し、2層以上
の複数の層を有する。外層及び内層を構成する樹脂とし
ては、外層については前記の条件を満たす限り、特別の
制限はない。同様に、内層についても特別の制限はな
い。内層の一つの面は、被包装物に接する。外層の最外
層の一つの面は外気に接する。いずれの層も、その気体
透過度が極端に積層フィルムの炭酸ガス選択透過性能を
妨げないように考慮して、適宜選択することができる。
【0007】外層及び内層は、熱可塑性樹脂であること
が好ましい。熱可塑性樹脂としては、特に制限はない
が、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチ
レン、ポリアミド等であり、好ましくはポリエステル、
ポリオレフィン、ポリアミドである。ポリエステルとし
ては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエ
チレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、
ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレ
ート)、ポリエチレン2,6−ナフタレンジカルボキシ
レート等、およびこれらの共重合体、ブレンド物、また
はこれらと少量の他の樹脂とのブレンド物なども含まれ
る。
【0008】これらのうちポリオレフィンとしては、オ
レフィン類の単独重合体や共重合体、オレフィン類と他
の共重合可能な単量体、例えばビニル系単量体との共重
合体およびこれらの変性重合体などを例示することがで
きる。具体的には、高密度ポリエチレン、低密度ポリエ
チレン(以下、「LDPE」と略記)、直鎖状低密度ポ
リエチレン(以下、「LLDPE」と略記)、直鎖状超
低密度ポリエチレン(以下「VLDPE」と略記)、ポ
リプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、ポリ4
−メチルペンテン−1(以下、「PMP」と略記)、ア
イオノマー樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体(以下
「EVA」と略記)、エチレン・アクリル酸共重合体、
エチレン・メタクリル酸共重合体(以下「EMAA」と
略記)、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレ
ン・メタクリル酸メチル共重合体、変性ポリオレフィン
(例えば、オレフィン類の単独重合体または共重合体な
どとマレイン酸やフマル酸などの不飽和カルボン酸や酸
無水物やエステルもしくは金属塩などとの反応物など)
などである。上記ポリオレフィンは、単独あるいは2種
以上混合して用いることができる。
【0009】本発明では、ポリエチレン類とは、具体的
には、前記、高密度ポリエチレン、LDPE、LLDP
E、VLDPE、及びメタロセン触媒(以下「SSC」
と略記)を用いて重合された主としてエチレンからなる
重合体を云う。メタロセン触媒で重合されたポリエチレ
ン類としては直鎖状高密度ポリエチレン、直鎖状中密度
ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状超低
密度ポリエチレン、特に、メタロセン触媒系ポリオレフ
ィンの中で有効なものに拘束幾何触媒を用いて得られる
エチレン・α−オレフィン共重合体がある。これは、ダ
ウ・ケミカル社(Dow Chemical Comp
any)が開発したシングルサイト触媒、所謂、メタロ
セン触媒の一種である拘束幾何触媒を用いて得られるエ
チレン・α−オレフィン共重合体であり、1000炭素
数当たりの長鎖分岐(LongChain Branc
hing)の数が、約0.01〜約3、好ましくは約
0.01〜約1、より好ましくは約0.05〜約1の実
質的に線状のポリエチレン系樹脂である。該エチレン・
α−オレフィン共重合体は、分子構造中に約6炭素数以
上の鎖状の長鎖分岐が選択的に導入されているため、ポ
リマーに優れた物性と良好な成形加工性が付与される。
ダウ・ケミカル社からTMアフィニティー、TMエリー
トという名称で販売されている。本発明においてはメタ
ロセン触媒を使用したこれらのポリエチレン類の密度が
0.868〜0.910g/cm3の範囲のものを用い
ることが好ましい。メタロセン触媒ポリオレフィンは重
量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(M
w/Mn)(多分散度)が通常3未満、好ましくは1.
5〜2.8、より好ましくは1.9〜2.2である。本
発明の外層及び内層としての材料樹脂は、PMP、メタ
ロセン触媒を用いて製造されたポリエチレン類、ポリス
チレン、EVA、EMAA、LLDPE、エチレン・ア
クリル酸共重合体などが得られる積層体の物性の点から
好ましい。
【0010】本発明において外層として望まれる性能
は、ガス透過性(炭酸ガス透過性)が高く、防湿性を有
し、耐熱シール性を有することである。これらの性質を
満たす材料樹脂としては、PMP及びポリエチレン類が
ある。しかしながら、例えば、前記PMPでは上記性能
を満たすにはフィルムを厚くしなければならないこと
と、それに伴い製造コストが上がること、及びフィルム
自体が脆く機械的強度が弱いこと等の点で、現実的では
ない。また、ポリエチレン類単独層にした場合は、性能
面は満足するもののフィルムが軟らかすぎ、塗工機械に
かけ難い。そこで、外層としてポリエチレン類の優れた
性能である高い炭酸ガス透過性と防湿性を維持し剛性を
付加するために最外層のPMP層に接着剤を介して配置
された隣接層としてポリエチレン類の層を貼り合わせ、
外層とすることが好ましい。外層の厚さは20μm以
上、75μm以下、好ましく25〜70μmとする。適
宜選択された材料樹脂の複数層からなる外層は、後述の
理由で外層の伸度5%時における荷重が2.5N以上、
CO2TRが25000cm3/m2.day.atm以
上、更には28000cm3/m2.day.atm以上
であること、且つWVTRが40g/m2.day以
下、更には35g/m2.day以下であることが好ま
しい。また、複数層の外層を構成する各層の厚さは規定
された前記の外層厚さの範囲内であるように適宜選択さ
れる。尚、本発明において、外層とは最も外側の外気と
接する最外層から中間層に接する接着剤層を除く層迄を
含めた複数の層を意味するものとする。
【0011】内層の最も外側の面は袋に成形された場合
は被包装物に接する面となり、内層の最も内側の面は中
間層と接している。本発明で内層とは被包装物と接する
層から中間層と接する接着剤層を除く層迄を含めた層を
意味するものとする。内層として望まれる性質はガス透
過性(炭酸ガス透過性)、及び水蒸気透過性を有し、熱
及び高周波シール性を有することである。これを満たす
材料樹脂としては、EVA(Vac含量5〜20%)、
EMAA、EAA等を挙げることができる。各層に要求
される機能を考慮して、本発明の積層フィルムの好まし
い実施態様として、最外層のPMPの層、及びそれに接
着剤層を介して貼り合わされたポリエチレン類の隣接層
で構成される外層、キトサン系組成物からなる中間層、
接着剤層、及びEVAからなる内層で構成された積層フ
ィルム及び最外層のポリスチレンの層、及びそれに接着
剤層を介して貼り合わされたポリエチレン類の隣接層で
構成される外層、キトサン系組成物からなる中間層、接
着剤層、及びEVAからなる内層で構成された積層フィ
ルムを挙げることができる。内層の厚さとしては10〜
80μm、更には15〜75μmが好ましい。内層は被
包装物と接するため、外層と内層の材料樹脂の選択、厚
さの調整などにより、内層のWVTRは、外層のWVT
Rより大きく、特に外層のWVTRの2倍以上に設定す
ることが好ましい。
【0012】中間層を形成する組成物として、炭酸ガス
選択透過性を有する組成物からなっていることを除き、
特別な制限はない。中間層の炭酸ガス選択透過性の目安
として、(CO2TR/O2TR)が10以上、更には1
1以上であり、CO2TRが10000cm3/m2.d
ay.atm以上、更には11000cm3/m2.da
y.atm以上であることが好ましい。中間層を形成す
る好ましい組成物として、キトサン系組成物と等電点が
7.5以上である塩基性アミノ酸とポリアルコールの混
合物からなる組成物(塩基性アミン系組成物と略称す
る)を挙げることができる。
【0013】キトサン系組成物については、特願平11
−323293号、特願2000−132901号にお
いて本発明者らが既に提案している。用いるキトサン
は、分子量10000〜1000000、更には100
00〜500000、粘度(後記条件による)は1〜2
0000cp(1〜20000mpa・s)、更には1
〜2000cp(1〜2000mpa・s)のものが好
ましい。脱アセチル化度は70モル%以上、更には80
モル%以上であることが好ましい。キトサンの粘度は、
後記測定法により3〜2000cP(3〜2000mP
a・s)が好ましい。尚、キチンを濃アルカリ中で処理
して得られる脱アセチル化度が70モル%未満のキトサ
ンは酢酸に溶解せず、製膜できない。キトサンを使用す
る際には、取り扱い易さの点から、前記のキトサン酸塩
溶液として取り扱う。これらの中、酢酸塩及び乳酸塩が
価格及び食品衛生の点で好ましい。キトサン酸塩溶液に
メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の
アルコール類、ケトン類等の親水性有機溶剤を希釈剤と
して用いてもよい。また、キトサン酸塩溶液を外層の内
側面の基材に塗布する際、基材表面でキトサン酸塩溶液
が濡れ難く、はじかれてしまう場合に、上記希釈剤又は
少量の界面活性剤を用いると塗布し易くなる。キトサン
の塗布は、外層の内側面に塗工、乾燥され中間層を形成
する。
【0014】キトサン系組成物の別の態様として前記の
キトサンとモンモリロナイトからなる組成物が用いられ
る。この組成物は、前記キトサンとモンモリロナイトと
を混合して得られる。具体的には、キトサンを使用する
際には、取り扱い易さの点から、前記のようにキトサン
酸塩溶液として取り扱う。酢酸塩及び乳酸塩が価格及び
食品衛生の点で好ましい。キトサン酸塩水溶液にメタノ
ール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコ
ール類、ケトン類等の親水性有機溶剤を希釈剤として用
いてもよい。モンモリロナイトの量が多いと、酸素ガス
バリヤー性は向上するが、成形物の強度が損なわれるこ
とがある。キトサンとモンモリロナイトとの質量割合
は、特に制限はないがキトサン/モンモリロナイト=9
9/1〜10/90(質量比)、更には98/2〜30
/70が好ましい。キトサン酸塩溶液とモンモリロナイ
トの溶液(塗工液)を得るには、キトサン1質量部に対
して酸、例えば、酢酸0.1〜10質量部、更には0.
2〜5質量部、モンモリロナイトを前記の好ましい範囲
を目安にした適当量、及び溶媒を5〜1000質量部混
合し、溶解させて調製すればよい。尚、溶媒としては水
が好ましい。キトサン酸塩が溶解する範囲で溶媒として
水と、この水に可溶な有機溶媒(例えば、2−プロパノ
ール及びエタノール等)との混合液を用いてもよい。
【0015】中間層として用いられる別の組成物とし
て、前記塩基性アミン系組成物を挙げることができる。
本発明者らが提案した特開2000−327873号公
報によれば、等電点が7.5以上である塩基性アミノ酸
とポリアルコールの混合物からなる組成物が高い炭酸ガ
ス透過性と大きい(CO2TR/O2TR)を有する。本
発明で塩基性アミノ酸とは、塩基性側鎖を有するアミノ
酸を云う。これらの内、リジン、アルギニン(これらは
塩基性を示すアミノ基1個を有す。)及びヒスチジン
(塩基性を示すイミノ基1個を有す。)の群から選ばれ
た少なくとも1種の塩基性アミノ酸が製膜性及び製造コ
ストの観点から、好ましく用いられる。尚、等電点が
7.5以上であることにより得られたフィルムの炭酸ガ
ス透過度と酸素透過度の比が高くなる。
【0016】また、ポリアルコールとは、分子内に2個
以上の水酸基を有する低分子化合物からアルコール系重
合体までを含み、ポリビニルアルコール(PVA)や糖
類および澱粉類を含むものである。前記分子内に2個以
上の水酸基を有する低分子量化合物としては、グリセリ
ン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,
3−プロパンジオール、ペンタエリトリトール、ポリエ
チレングリコール、ポリプロピレングリコールなどを例
示できる。また、PVAはケン化度が通常60%以上、
好ましくは80%以上であり、平均重合度が通常300
〜2400であるものが好ましい。糖類としては、単糖
類、オリゴ糖類および多糖類を使用する。これらの糖類
には、ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、キ
シリトール、エリトリトール等の糖アルコールや各種置
換体、誘導体なども含まれる。これらの糖類は、水又は
アルコール、あるいは水とアルコールの混合溶剤に溶解
性のものが好ましい。
【0017】澱粉類は、前記多糖類に含まれるが、本発
明で使用される澱粉類としては、小麦澱粉、トウモロコ
シ澱粉、モチトウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ
澱粉、米澱粉、甘藷澱粉、サゴ澱粉などの生澱粉(未変
性澱粉)のほか、各種の加工澱粉がある。加工澱粉とし
ては、物理的変性澱粉、酵素変性澱粉、化学分解変性澱
粉、化学変性澱粉、澱粉類にモノマーをグラフト重合し
たグラフト澱粉などが挙げられる。これらの澱粉類の中
でも、例えば、馬鈴薯澱粉を酸で加水分解した水に可溶
性の加工澱粉が好ましい。さらに好ましくは、澱粉の末
端基(アルデヒド基)を水酸基に置換することにより得
られる糖アルコールである。澱粉類は、含水物であって
もよい。また、これらの澱粉類は、それぞれ単独で、或
いは2種以上を組み合わせて使用することができる。こ
れらの内ポリビニルアルコール及び澱粉の群から選ばれ
た少なくとも1種のポリアルコールが製膜性の観点か
ら、好ましく用いられる。
【0018】塩基性アミノ酸とポリアルコールとの混合
割合(塩基性アミノ酸の塩基性を示すアミノ基もしくは
イミノ基/ポリアルコールの水酸基)は、モル比で好ま
しくは0.025/1〜2.0/1、更に好ましくは
0.1/1〜1/1である。混合割合が0.025/1
に満たないと炭酸ガス選択透過性が得られないので好ま
しくない。また、混合割合が2.0/1を超えると製膜
後の含水率が高く、取り扱いが困難のため好ましくな
い。塩基性アミノ酸とポリアルコールとの混合方法は、
特別な制限はない。予め調製した塩基性アミノ酸の水溶
液と予め調製したポリアルコール水溶液とを混合する方
法、ポリアルコール水溶液に粉末の塩基性アミノ酸を添
加する方法、塩基性アミノ酸の水溶液或いは懸濁液にポ
リアルコールの粉体を添加する方法いずれでもよい。両
原料を混合時、発熱、吸熱現象は殆ど認められない。
【0019】前記キトサン系組成物及び塩基性アミノ酸
系組成物溶液は、通常外層の内側面に塗工され、乾燥さ
れて中間層を形成する。乾燥後塗工面が接着剤層を介し
て内層の内側面に積層される。中間層の組成物を塗工す
る際に、外層としては伸度5%における荷重が2.5N
以上であることが連続工程で塗工作業を遅滞なく行うの
に好ましい。キトサン系組成物の塗工液のキトサン酸塩
とモンモリロナイトの固形分濃度は、外層の内側基材へ
の塗工のし易さから1〜20質量%、更には3〜18質
量%が好ましい。また、該塗工液を外層の内側面の基材
に塗布する際、基材表面で塗工液が塗れ難く、はじかれ
てしまう場合に、上記希釈剤又は少量の界面活性剤を用
いると塗布し易くなる。
【0020】塗工方法としては、外層の内側面の基材上
に流延し、乾燥して皮膜を形成させる溶液流延法、ある
いはキトサン酸塩溶液の高濃度の水溶液をエキストルー
ダーにより吐出圧力をかけながら細隙から外層の内側面
に膜状に流延し、水分を含んだ塗工フィルムを回転ドラ
ムまたはベルト上で乾燥する押出法、外層の内側面のフ
ィルムに該水溶液を塗工した後、塗工したフィルムを6
0〜200℃、3〜60秒間、加熱下で乾燥する方法な
どにより成形される。このようにして乾燥皮膜を得る。
これらの製膜法の中でも、特に、溶液流延法(キャスト
法、コーティング法)は、透明性に優れた成形膜(乾燥
皮膜)を容易に得ることができるため好ましく用いられ
る。
【0021】塩基性アミノ酸系組成物の場合もキトサン
系組成物の場合と同様であるが、溶液流延法を採用する
場合には、固形分濃度(ポリアルコールが常温で液体の
場合も含めて、ポリアルコールと塩基性アミノ酸の合計
の濃度を指す)は、好ましくは1〜30質量%程度とす
る。水溶液を調製する場合、所望によりアルコールなど
水以外の溶剤や柔軟剤等を適宜添加してもよい。また、
予め、可塑剤(但し、分子内に2個以上の水酸基を有す
る低分子化合物は除く)や熱安定剤等を少なくとも一方
の成分に配合しておくこともできる。成形物の厚みは、
使用目的に応じて適宜定めることができ、特に限定され
ないが、好ましく0.01〜100μm、さらに好まし
くは0.1〜50μm程度である。コーティング法で
は、塩基性アミノ酸として例えば、L−アルギニンとポ
リアルコールとして例えば、糖類の混合物溶液を、エア
ーナイフコーター、キスロールコーター、メタリングバ
ーコーター、グラビアロールコーター、リバースロール
コーター、デイップコーター、ダイコーター等の装置、
あるいは、それらを組み合わせた装置を用いて、基材と
なる金属板、ガラス板、プラスチック等の支持体(基
材)上に所望の厚さにコーティングし、次いでアーチド
ライヤー、ストレートバスドライヤー、タワードライヤ
ー、フローティングドライヤー、ドラムドライヤーなど
の装置、あるいは、それらを組み合わせた装置を用い
て、熱風の吹き付けや赤外線照射などにより水分を蒸発
させて乾燥させ、乾燥皮膜(成形膜)を形成させる。外
層以外の基材に本発明で用いる中間層組成物を塗工する
場合、例えば内層の内側面(被包装物に接する面の反対
側の面)面には、同様に塗工できる。また、他の基材上
に塗布して乾燥皮膜を得て、これを中間層として所定の
外層、内層と共に積層してもよい。
【0022】乾燥条件としては、特別な制限はない。例
えば、乾燥器中で90℃、20分間乾燥させ水分を蒸発
させる。塗工厚さは、得ようとする選択透過性の程度、
酸素ガスバリヤ性等により随意決めることができる。外
層フィルムの内側に形成された乾燥した塗工成形膜は中
間層として用いられ、後処理を経た後、接着剤層を介し
て内層と貼り合わされ本発明の炭酸ガス選択透過性を有
する積層フィルムとなる。中間層の厚さは通常0.01
〜3.0μm、更には0.1〜0.25μmが好まし
い。
【0023】後処理をキトサン酸塩・モンモリロナイト
を含む乾燥皮膜を例に取り説明する。乾燥皮膜中のキト
サン酸塩は水溶性である。この乾燥皮膜をアルカリ性水
溶液で処理する。例えば水酸化ナトリウム水溶液中に浸
漬(例えば、1規定水酸化ナトリウム水溶液に0.5秒
〜48時間浸漬)した後、水洗(例えば、水道水中1秒
〜1時間)することにより水に不溶性のキトサン・モン
モリロナイトからなる膜が得られ、これを乾燥(例え
ば、30〜200℃、0.5秒〜1時間)し水に不溶性
のフィルムとすることができる。また、キトサン酸塩・
モンモリロナイトの皮膜をキトサン・モンモリロナイト
皮膜へもどす際は、例えば1規定の水酸化ナトリウム水
溶液に5〜60℃で0.5秒〜48時間キトサン酸塩・
モンモリロナイト皮膜を浸漬した後、上記の条件で、水
洗、乾燥する。こうして得たキトサン・モンモリロナイ
ト皮膜(本発明の組成物からなるフィルムの中間層)
は、外層基材と共に、内層基材面に積層して積層フィル
ムとすることができる。
【0024】本発明の積層フィルムは、CO2TR/O2
TRが10以上、好ましくは11以上、CO2TRが1
0000cm3/m2.day.atm以上、好ましくは
11000cm3/m2.day.atm以上、且つ、W
VTRが40g/m2.day以下、好ましくは35g
/m2.day以下、更に好ましくは30g/m2.da
y以下である。また、積層フィルム全体の厚さは、40
〜100μm、更には、50〜90μmの範囲にあるこ
とが炭酸ガスの透過性およびコストの点で好ましい。こ
のようにして得られた炭酸ガス選択透過性を有する積層
フィルムは、コーヒー、ヨーグルト、チーズ類、味噌
類、漬物類、もろみ、根菜類、菌茸類、葉茎菜類、果菜
類、または生果類などの食品の包装及びこれらの食品を
本発明の積層フィルムを用いて包装した包装体を製造す
るのに用いられる。
【0025】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、
本発明の評価のための測定は以下のように行った。 (酸素ガスおよび炭酸ガス透過度の測定)炭酸ガス/酸
素ガス混合標準ガス(CO2:O2=20:80体積%)
(巴商会(株))をテストガスとして用いた。また、ガ
スクロのキャリヤーガスとしては、高純度ヘリウムガス
(巴商会(株))を用い等圧法に準じた方法で測定し
た。測定フィルムは23℃-80%相対湿度(RH)雰
囲気下で2日間以上調湿したものを用いた。酸素ガスお
よび炭酸ガス透過度は積層フィルムの状態で測定した。
混合ガス透過度測定装置(GLサイエンス(株)製、フ
ィルム両面加湿ガス透過試験器)を用い、温度23℃、
80%相対湿度(以後、RHと略記する)の条件で測定
した。透過ガス検出器にはガスクロマトグラフ(GLサ
イエンス(株)製、ガスクロマトグラフ(GC-39
0))、カラムはPorapak-Nを用いた。
【0026】(炭酸ガス透過度と酸素ガス透過度の比:
α=(CO2TR/O2TR))前記測定法により得られ
た炭酸ガス透過度を酸素ガス透過度で除することにより
求めた。この比から炭酸ガス選択透過性を評価した。 (キトサン酸塩溶液の粘度)キトサンの粘度の測定は、
1.0質量%の酢酸塩水溶液にして、20℃に保持した
水溶液をB型粘度計で測定した。 (脱アセチル化度)0.5質量%の酢酸水溶液に0.5
質量%となるようにキトサンを溶解し、キトサン-酢酸
水溶液を得た。次いで、このキトサン溶液1gを取り出
し、蒸留水を30ml加えた。得られた水溶液を1/40
0規定のポリビニル硫酸カリウムで滴定し、指示薬とし
てメチレンブルーを用いて脱アセチル化度を求めた。
【0027】(水蒸気透過度の測定)水蒸気透過度は積
層フィルムの状態で測定した。水蒸気透過度測定装置
(Lyssy社製、L80-4000)を用い、40℃で測定した。
また、積層フィルムにおいて、内層のシール層になる面
を90%RH、積層フィルムの他の片面を0%RHの条
件とした。 (応力-歪みカーブ測定)外層フィルムの応力-歪み測定
を行った。東洋ボールドウィン(株)製、テンシロンR
TM-100型を用い、23℃−50%RH条件下にて
応力-歪み測定を行った。クロスヘッドスピードは50
0m/分、試料長は50mm、試料幅は10mmとし
た。
【0028】(実施例1〜6)水100質量部に対し
て、酢酸を3.87質量部、IPA(イソプロピルアル
コール)を25質量部、キトサン(大日精化工業(株)
製、商品名「ダイキトサン100DVL」、脱アセチル
化度:100モル%、粘度:5〜7cp(mPa・S)[1
質量%酢酸水溶液中の1質量%キトサン濃度])を6.
78質量部加えて、攪拌・溶解させ、塗工液を得た。得
られた塗工液の水とIPAの質量比は80:20であ
る。この塗工液を以下の方法により製膜した基材フィル
ム上にメイヤーバーを用いて、塗工(コーティング)し
た。この塗工物を乾燥機に入れ90℃、20分間乾燥を
行い、水を蒸発させて、外層フィルムのポリエチレン面
上にキトサン酢酸塩からなる厚さ0.3μmの乾燥皮膜
が塗工された積層フィルムを得た。この積層フィルムを
20℃で1規定の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液
に120秒間浸漬した。次いで、浸漬したフィルムを3
0分間20℃の水道水に浸漬後、乾燥機に入れ、90
℃、20分間乾燥を行い、水を蒸発させて、厚さ0.3
μmの乾燥皮膜が積層された積層フィルムを得た。
【0029】外層フィルムは、以下の方法で作成した。
ポリ4-メチル-ペンテン-1(以下、PMPと略称す
る)(三井化学(株)製、TPX:MX021、密度:0.83
3g/cm3、MFR:23〜30g/10分(ASTMD12
38))とポリエチレン(ダウ・ケミカル(株)製、Affi
nityPL1880、VLDPE、密度:0.902g/c
3、MFR:1.0g/10分(ASTM D1238))とを
T−ダイ方式により、溶融成形し、共押出しによる積層
フィルムを作成した。この時の接着樹脂として、ポリオ
レフィン系接着剤(三井化学(株)製、TL-221)を用
い、この接着層を(AD1)とした。PMPの押出機には
35φ押出機を用い、シリンダー温度および導管温度は
240℃〜260℃とした。ポリエチレンの押出機には
40φ押出機を用い、シリンダーの温度および導管温度
は140℃〜200℃とした。接着性樹脂であるTL-221
の押出機には25φ押出機を用い、シリンダー温度およ
び導管温度は240℃〜260℃とした。フィードブロ
ックおよびダイスの温度は260℃とした。
【0030】上記の基本的条件に基づき、多層フィルム
の成形を行った。35φ押出機のスクリュウ回転数を1
5rpm、40φ押出機のスクリュウ回転数を16rp
m、25φ押出機のスクリュウ回転数を9rpmとし
て、PMPの最外層が20μm、接着層(AD1)3μm、
ポリエチレン層が20μmからなる積層体を得た(実施
例1)。35φ押出機のスクリュウ回転数を15rpm、
40φ押出機のスクリュウ回転数を24rpm、25φ
押出機のスクリュウ回転数を9rpmとして、PMPの
最外層が20μm、接着層(AD1)3μm、ポリエチレン
層が30μmからなる積層体を得た(実施例2)。35
φ押出機のスクリュウ回転数を15rpm、40φ押出機
のスクリュウ回転数を32rpm、25φ押出機のスク
リュウ回転数を9rpmとして、PMPの最外層が20
μm、接着層(AD1)3μm、ポリエチレン層が40μmか
らなる積層体を得た(実施例3)。
【0031】35φ押出機のスクリュウ回転数を7.5
rpm、40φ押出機のスクリュウ回転数を16rpm、
25φ押出機のスクリュウ回転数を9rpmとして、P
MPの最外層が10μm、接着層(AD1)3μm、ポリエ
チレン層が20μmからなる積層体を得た(実施例
4)。35φ押出機のスクリュウ回転数を7.5rpm、
40φ押出機のスクリュウ回転数を24rpm、25φ
押出機のスクリュウ回転数を9rpmとして、PMPの
最外層が10μm、接着層(AD1)3μm、ポリエチレン
層が30μmからなる積層体を得た(実施例5)。35
φ押出機のスクリュウ回転数を7.5rpm、40φ押出
機のスクリュウ回転数を32rpm、25φ押出機のス
クリュウ回転数を9rpmとして、PMPの最外層が1
0μm、接着層(AD1)3μm、ポリエチレン層が40μm
からなる積層体を得た(実施例6)。
【0032】一方、ポリエステル系樹脂のTM-329
(東洋モートン(株)製)を100質量部、ポリエステ
ル系樹脂のCAT-8B(東洋モートン(株)製)を1
00質量部および酢酸エチル(和光純薬(株))を76
5質量部混合し、15質量%の濃度となる接着剤(AD
3)を調製した。この接着剤(AD3)を各積層フィルムの
シール層(内層)を形成する厚さ30μmのエチレン・
酢酸ビニル共重合フィルム(EVA:タマポリ(株)
製、SB-10)の片面上にメイヤーバーを用いて塗工
し、塗工厚さ2μmとなる積層フィルムを得た。キトサ
ンが塗工された積層フィルムのキトサン面と接着剤(AD
3)が塗工されているフィルムの接着剤の面をラミネー
ターを用い、60℃の乾燥条件で貼り合わせ、それぞれ
表1に示した積層フィルムを得た。
【0033】(実施例7〜8)キトサンとしては実施例
1と同じものを使用した。外層である基材への塗工方法
も実施例1と同じ方法で行った。外層である基材は実施
例1で用いたPMPを最外層とし、次に記すポリエチレ
ンとの共押出しによる積層フィルムを用いた。即ち、ポ
リエチレン1(三井化学(株)製、ウルトゼックス35
20L、LLDPE、密度:0.935g/cm3、MF
R:2.1g/10分(ASTM D1238))およびポリエチ
レン2(三井化学(株)製、エボリューSP1540、L
LDPE、密度:0.915g/cm3、MFR:4g
/10分(ASTM D1238))の2種類を用いた。接着樹脂
は実施例1と同じものを使用した。共押出しフィルムは
実施例1と同じ方法で作成した。35φ押出機のスクリ
ュウ回転数を7.5rpm、40φ押出機のスクリュウ回
転数を8rpm、25φ押出機のスクリュウ回転数を9rpm
として、PMPの最外層が10μm、接着層が3μm、ポ
リエチレン1の層が10μmからなる積層体を得た(実
施例7)。
【0034】35φ押出機のスクリュウ回転数を7.5
rpm、40φ押出機のスクリュウ回転数を16rpm、25
φ押出機のスクリュウ回転数を9rpmとして、PMPの
最外層が10μm、接着層が3μm、ポリエチレン2の層
が20μmからなる積層体を得た(実施例8)。内層で
あるEVAフィルムとのラミネートは、前記各々の実施
例とも実施例1と同じ方法で行い、表1に示した積層フ
ィルムを得た。
【0035】(実施例9)キトサンとしては実施例1と
同じものを使用した。外層である基材への塗工方法も実
施例1と同じ方法で行った。最外層にはポリスチレン
(PS)(旭化成工業(株)製、SX-100、密度:
1.08g/cm3、MFR:2.8g/10分(ISO
1133))を用い、接着層を介して配置された実施例1で
用いたポリエチレン(ダウ・ケミカル製、VLDPE、
AffinityPL1880)の層からなる共押出しによる積層フィ
ルムを調製した。接着層(AD2)としてポリエチレン系
接着剤(三井化学(株)製、SE-800、密度:0.900
g/cm3、MFR:4.4g/10分(190℃))を用
いた。前記共押出しフィルムは実施例1と同じ方法で作
成した。ポリスチレン樹脂は35φ押出機を用い、スク
リュウ回転数を3.8rpm、ポリエチレンは40φ押出
機でスクリュウ回転数を24rpm、25φ押出機のスク
リュウ回転数を9rpmとして、PSの最外層が5μm、接
着層(AD2)が3μm、ポリエチレン層が30μmからな
る積層体を得た。EVAフィルムとのラミネートは実施
例1と同じ方法で行なった。得られた積層フィルムの性
状を表1に示した。
【0036】
【表1】
【0037】(実施例10〜13)キトサンとして、
「ダイキトサンVLA」(大日精化工業(株)製の商品
名、脱アセチル化度:80モル%、粘度5〜7cp(mP
a・S)[1質量%酢酸水溶液中の1質量%キトサン濃
度])を使用した。水100質量部に対して、酢酸を
3.87質量部、IPAを25質量部、キトサンを6.
44質量部、モンモリロナイトとしてクニピアG(クニ
ミネ工業(株)製)を0.34質量部加えて、攪拌・溶
解させ、塗工液を得た。得られた塗工液の水とIPAの
質量比は80:20であり、キトサンとモンモリロナイ
トの質量比は95:5である。この塗工液を実施例1、
2、4、5で用いたPMPとポリエチレンの積層フィル
ムのポリエチレンの面に実施例1と同じ方法でメイヤー
バーを用いて塗工(コーティング)した。この塗工物を
実施例1と同じ方法で乾燥およびアルカリ処理を行い、
外層のポリエチレン層上に0.3μmの乾燥皮膜(M−
キトサン)が塗工された積層フィルムを得た。一方、実
施例1と同じ方法でEVAフィルムを外層のポリエチレ
ン層上に塗工された乾燥皮膜上にラミネートし、表2に
示した積層フィルムを得た。
【0038】
【表2】
【0039】(実施例14〜17)ポリビニルアルコー
ル(クラレ(株)製、PVA105、ケン化度98.5モ
ル%、重合度500)(以下、PVAと略記する)と、
塩基性アミノ酸としてL-アルギニン(和光純薬(株)
製、等電点は10.76)(以下、Argと略記するこ
とがある)を用いた。水80質量部にPVAを10質量
部、L-アルギニンを10質量部加えた後、80℃の温水
にて攪拌し、混合水溶液を得た。この水溶液を実施例
1、2、4、5で用いたPMPとポリエチレンの積層フ
ィルムのポリエチレンの面に実施例1と同じ方法でメイ
ヤーバーを用いて塗工(コーティング)した。この塗工
物を実施例1と同じ方法で乾燥を行い、基材フィルム上
に2.0μmの乾燥皮膜(PVA+Arg)が塗工され
た積層フィルムを得た。一方、実施例1と同じ方法でE
VAフィルムを外層のポリエチレン層上に塗工された乾
燥皮膜上にラミネートし、表3に示した積層フィルムを
得た。
【0040】
【表3】
【0041】(比較例1〜3)キトサンとしては実施例
1と同じものを使用した。外層である基材への塗工方法
も実施例1と同じ方法で行った。外層はポリエチレン1
(三井化学(株)製、ウルトゼックス3520L、LL
DPE、密度=0.935g/cm3)およびポリエチレ
ン2(三井化学(株)製、エボリューSP1540、LL
DPE、密度:0.915g/cm3、MFR:4g/
10分(ASTM D1238))の2種類を用いた。それぞれの
単層のT−ダイを用い、30μm及び40μmのポリエ
チレン1単層フィルムおよび40μmのポリエチレン2
単層フィルムを得た。EVAフィルムとのラミネートは
実施例1と同じ方法で行い、積層フィルムを作成した。
積層フィルムの性状を表4に示した。
【0042】
【表4】
【0043】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、炭酸ガス
透過性の高い範囲での炭酸ガス選択透過性を有し、食品
の包装などに適した積層フィルムを提供することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 雑賀 徹 茨城県新治郡玉里村大字上玉里18−13 呉 羽化学工業株式会社樹脂加工技術センター 内 (72)発明者 大場 弘行 茨城県新治郡玉里村大字上玉里18−13 呉 羽化学工業株式会社樹脂加工技術センター 内 Fターム(参考) 3E035 AA11 AA12 AA18 AA19 BA08 BC02 BD01 BD02 BD03 3E067 AA01 AA11 AB01 AB08 AB09 AB24 AB28 BA17A BB14A BB25A BB26A CA06 CA10 CA24 CA30 GD01 GD02 GD07 3E086 AB01 AB02 BA04 BA15 BA24 BB02 BB03 BB05 BB51 CA01 CA05 CA17 CA18 CA40 4F100 AC03B AH02B AH03B AJ08B AK01A AK01C AK04A AK08C AK12C AL05B BA03 BA07 BA10A BA10C GB23 JB16A JB16C JB20B JD03 JD04 JD20

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外層、中間層及び内層の少なくとも3層か
    らなり、外層の厚さが20μm以上、75μm以下であ
    る積層フィルムであって、炭酸ガス透過度(CO2
    R)と酸素ガス透過度(O2TR)の比(CO2TR/O
    2TR)が10以上であり、CO2TRが10000cm
    3/m2.day.atm以上、且つ水蒸気透過度(WV
    TR)が40g/m2.day以下である炭酸ガス選択
    透過性を有する積層フィルム。
  2. 【請求項2】外層の伸度5%時における荷重が2.5N
    以上、CO2TRが25000cm3/m2.day.a
    tm以上、且つ、WVTRが40g/m2.atm以下
    である請求項1記載の炭酸ガス選択透過性を有する積層
    フィルム。
  3. 【請求項3】外層および内層が熱可塑性樹脂からなる請
    求項1又は2に記載の炭酸ガス選択透過性を有する積層
    フィルム。
  4. 【請求項4】外層がポリ4−メチル−ペンテン−1から
    なる最外層とポリエチレン類からなる隣接層との積層体
    である請求項1〜3のいずれかに記載の炭酸ガス選択透
    過性を有する積層フィルム。
  5. 【請求項5】外層がポリスチレン類からなる最外層とポ
    リエチレン類からなる隣接層との積層体である請求項1
    〜3のいずれかに記載の炭酸ガス選択透過性を有する積
    層フィルム。
  6. 【請求項6】中間層が脱アセチル化度70モル%以上で
    あるキトサン又は脱アセチル化度70モル%以上である
    キトサンとモンモリロナイトの組成物からなりキトサン
    とモンモリロナイトの質量割合が99/1〜10/90
    である請求項1〜5のいずれかに記載の炭酸ガス選択透
    過性を有する積層フィルム。
  7. 【請求項7】中間層が塩基性アミノ酸とポリアルコール
    の混合物からなり、塩基性アミノ酸の塩基性を示すアミ
    ノ基もしくはイミノ基とポリアルコールの水酸基との混
    合割合がモル比で0.025/1〜2.0/1である請
    求項1〜5のいずれかに記載の炭酸ガス選択透過性を有
    する積層フィルム。
  8. 【請求項8】中間層を構成するフィルムの厚さが0.0
    1〜3.0μmである請求項1〜7のいずれかに記載の
    炭酸ガス選択透過性を有する積層フィルム。
  9. 【請求項9】内層を構成するフィルムの厚さが10〜8
    0μmである請求項1〜7のいずれかに記載の炭酸ガス
    選択透過性を有する積層フィルム。
  10. 【請求項10】食品包装用である請求項1〜9のいずれ
    かに記載の炭酸ガス選択透過性を有する積層フィルム。
  11. 【請求項11】食品がコーヒー、ヨーグルト、チーズ
    類、味噌類、漬物類、もろみ、根菜類、菌茸類、葉茎菜
    類、果菜類または生果類である請求項6記載の炭酸ガス
    選択透過性を有する積層フィルム。
  12. 【請求項12】食品がコーヒー、ヨーグルト、チーズ
    類、味噌類、漬物類、もろみ、根菜類、菌茸類、葉茎菜
    類、果菜類または生果類である請求項6記載の炭酸ガス
    選択透過性を有する積層フィルムにて包装した包装体。
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